経理部門のない会社や、簿記の知識がない個人事業主の方が悩まされていることも多い「決算」。
そんな複雑で難しい決算を格安で代わりに行ってくれる「決算代行サービス」があるのをご存知でしょうか?業界では、年一決算と呼ばれる方も多くいらっしゃいます。
目次
1.決算とは?
決算とは、1会計年度(ほとんどの会社で1年)ごとに、財務状況を明確にするために行う処理を指します。
会計期間分の金銭の出入りをまとめて決算書類を作成し、決算期から2ヶ月以内に決算申告を行って納税額を確定させます。
結果的に、決算書・申告書関係を税務署に確定申告して、納税を行う一連の流れとなります。
2.決算代行サービスとは?
決算代行サービスとは、その名のとおり、会社や個人事業主に代わって税理士や経理代行業者が決算・申告を行うサービスのことです。
多くの会社では経理部門や顧問税理士が決算を行いますが、個人事業主や創業したばかりの小規模な会社では、簿記の知識がある社員が不在であったり顧問税理士をつけていなかったりという場合も往々にしてあります。
簿記の知識や専門資格がないと絶対に決算が出来ないという訳ではありませんが、やはり知識のない人にとっては難しく非常に時間のかかる大変な作業です。間違いのあるままで決算申告しても、税務調査の際に否認されて、結果的に、延滞税や加算税という余計な税金が発生してしまいます。
そんな決算作業を税理士や経理の専門家に外注できるサービスが「決算代行サービス」です。費用はかかってしまいますが、自分でやるのと比較しても時間を大幅に節約することができるため、利用している企業や個人事業主の方はとても多いです。
(1)決算書作成代行サービス
決算書作成代行サービスとは、決算申告を行うのに使う「決算書」の作成を代行して行うサービスです。
年度内の領収書・請求書・通帳の写しなどを提出し、「貸借対照表」「損益計算書」などの決算申告に必要な書類を作成してもらいます。
費用は決算申告のみの代行と比較して高くなる場合が多いですが、必要なものを集めて代行サービスに丸投げするだけで決算をすることができます。
(2)決算申告代行サービス
決算申告代行サービスは、「法人税申告書」「消費税申告書」「地方税申告書」「事業概況書」などの決算に必要な書類は自分で準備し、税務署への申告のみ代行してもらうサービスです。
申告書の内容次第では大幅に節税できることもあり、決算申告のみを税理士に依頼する事業主の方も非常に多いです。
3.決算代行サービスのメリット
決算代行サービスを利用することのメリットについてまとめてみました。
(1)複雑な手続きを自分でしないで済む
決算代行サービスを利用する最も大きなメリットは、複雑な決算手続きを自分で行わなくて済むということです。
決算は、1年分の領収書や請求書をまとめるだけでも大変な作業です。簿記の専門知識がない個人事業主の方や経理担当者のいない小規模な会社にとっては、決算が毎年の悩みの種となっていることも多いかと思います。
もちろん決算代行サービスには相応の費用がかかりますが、丸投げしてしまうことでその悩みを解消できるなら、むしろ格安と感じられるのではないでしょうか。
(2)申告漏れを防ぐことができる
法人税・消費税・住民税・事業税の申告書は、提出が1日でも遅れてしまうと無申告加算税の対象となります。本来納めるべき税額から5〜20%増額されてしまう可能性があるため、申告漏れは絶対に避けたいところです。
また、2期連続で法人税の申告が遅れると、青色申告の承認が取り消されます。青色申告の取り消しには重いペナルティが課され、会社の信用も失われてしまいます。
経理部門のない会社で通常業務をこなしながら自力で決算をしていると、「うっかり忘れていた」「わからなくて期限が過ぎてしまった」ということが起こりかねません。
(3)経理担当者を雇うよりも安い
小規模な会社や個人事業主の場合、経理担当者を雇いたくても予算がないという場合も多いのではないかと思います。また、通常の業務程度なら自力で財務処理ができるが、決算期だけは専門知識を持った人に頼りたいということもあるでしょう。
決算代行サービスは年に一度の決算期のみ経理を外注することができるので、毎月の給与が必要となる経理担当者を雇うことと比較しても、費用は格安です。年一決算で経理は最低限のことだけ外注し、会社は売上アップに専念することができます。
格安で専門知識がある税理士の手を借りることができるため、小規模な会社・個人事業主の方こそ決算代行サービスを利用するのがおすすめです。
(4)プロの目を通して節税できる
自力で決算しようとすると、本来経費として計上できる仕訳を見逃してしまうことがあります。また、間違えて計上すべきではない仕訳を行ってしまうと、過少申告と見なされてペナルティが課せられる場合もあります。
決算代行サービスは専門知識のある税理士によって行われるため、節税しつつ不正にならないようプロの目のチェックを受けることができます。
4.決算代行サービスの流れ
決算代行サービスを利用するときの流れは、以下の通りです。
1.依頼する会社を決める
料金が安いかなど、決算代行サービスの内容を比較してよく検討しましょう。
2.見積依頼をする
決算代行サービス会社に会社の規模などを相談して、費用の見積依頼をします。
3.契約する
見積金額に納得できたら、契約し必要書類(領収証や通帳の写しなど)を提出します。
4.決算書類を作成
代理作成してくれるサービスもありますが、自分で作った方が安いです。予算や状況に合わせましょう。
- 経営状況などを相談し、将来の節税対策の方針を決定
- 決算申告書類を代理作成
- 申告書類を代理提出
5.決算代行サービスを選ぶ時のポイント
決算代行サービスを選ぶ時の比較ポイントについて解説していきます。
(1)自分の会社に合ったプランがあるか
決算代行サービスは、会社ごとに多様なプランを用意しています。
安い費用に抑えたい方向けの決算申告のみ代行のプランや、領収書を提出するだけで決算書類作成から代理申告まで行ってくれる丸投げプランなど様々です。
中には、創業初年度の企業向けに格安で記帳代行や財務顧問を行うコースが用意されている場合もあります。
自分の会社の状況や代行してもらいたいサービスに合うプランを提供しているのはどこか、サービス内容をよく比較検討した上で選びましょう。
(2)費用が格安
どんなサービスを受けるときも、費用が安いということは魅力的ですよね。特に会社経営においては安い経費に抑えたいため、できるだけ安い決算代行サービスを探しているという方も多いでしょう。
(3)最短期間で決算申告できるかどうか
決算代行サービスを検討している方の中には、「気づいたら決算期が迫っていた」「途中まで自分でやってみたが間に合わなさそうだ」など、最短期間で決算申告をしたいという方もおられるかと思います。
決算代行サービスへの申し込みから決算申告までは、最短で4〜5日と言われています。書類の揃い方など様々な状況により最短期間は変わってきますが、最短で決算を済ませたい方は短期間での対応が可能と謳っているサービスを選びましょう。
まずは数社に電話やメール問い合わせで状況を説明して最短期間を算出してもらい、それぞれを比較してみましょう。
6.決算代行サービスの費用相場
決算代行サービスの費用相場は、決算申告の代理のみで5万円、決算書類の作成から決算申告までの代理で10〜20万円ほどです。
決算書類を自力で揃えることができれば費用は格安にできるため、決算代行サービスを安い費用で抑えたいという方は日頃からしっかり記帳をしておくのがおすすめです。
また、月額1〜3万円ほどの安い料金で日頃の会計入力業務から代行してくれるサービスもあります。会社の規模や書類の揃い具合によっても費用は変わるため、正確な費用については電話やメールで見積依頼をしてください。
7.決算代行サービスに関するQ&A
決算代行サービスに関するよくある疑問について答えました。
(1)決算だけ依頼することは可能?
決算だけを依頼することは、もちろん可能です。月額制での会計入力代行から、決算申告のみの代理まで様々なプランがあるので、比較して自分の会社に必要なサービスを選んで外注しましょう。
(2)決算だけを依頼するデメリットはある?
決算のみを代行サービスに依頼することに、特に大きなデメリットはありません。
数万円単位の費用がかかるという側面はありますが、年間通して経理担当者を雇うよりも格安ですし、税理士のアドバイスを受けられて将来の節税にもなるため、結果的には外注の方が安いというケースも多いです。
(3)決算だけを依頼するべき会社の特徴は?
決算だけを代行サービスに依頼するべき会社は、経理部門がなかったり、経理担当者を雇う予算がなかったりという小規模な会社です。
簿記の専門知識のある社員を雇おうとすると安い給与では済みませんし、年に一度の決算期だけのためにそういった人材を雇うのは割に合わないと感じることもあるかと思います。
決算代行サービスなら決算期に一時的な費用が発生するだけで、経理担当者を雇うより格安となるのです。
(4)最短でどのくらいで対応可能?
決算代行サービスへの依頼から決算申告の完了までは、最短で4〜5日という場合が多いです。しかし、これは決算書の作成が完了していて申告のみを依頼する場合の最短期間なので、決算書の作成から依頼するともう少し時間がかかります。全て丸投げとなると、3週間~1ヶ月は見ておくべきでしょう。申告期限まで、あまりに時間がないと特急料金がかかってくるケースもあります。
決算書・申告書作成の最短期間は、使訳の数や必要書類の揃い具合によって変わってくるため、記帳代行・経理代行サービス会社に直接問い合わせてみましょう。