経理代行は、経理や税金の専門家でもある税理士へ依頼することをおすすめします。行政書士ではなく税理士に依頼すべき理由は、決算申告を依頼できるからです。仮に行政書士へ経理全般をアウトソーシングした場合、決算申告は自身で行わなくてはいけなくなります。
また、面倒だからと行政書士へ名義貸しを行うと、違法行為とみなされ罰せられるおそれがあります。
目次
1.税理士へ経理代行・経理派遣を依頼するメリット
税理士は税や経理に関するプロフェッショナルであり、税理士事務所によっては経理代行・記帳代行サービスを提供しています。このような経理代行などを税理士へ依頼するメリットは、記帳の信頼性の高さなどにあるでしょう。
企業では別途経理部門を置いたり、経理・会計業務専用の従業員を雇っているところも少なくありません。しかし、経理の人件費が重荷となるほか、経理担当者の知識・経験次第では信頼性も低くなります。
もし税理士へ記帳代行を依頼すれば、経理の人件費の重荷から解放されるだけでなく、正しい経理を行ってくれるでしょう。
記帳1つとってみても、法人税や所得税、消費税など税法の知識も必要です。自計化している会社さんの記帳を拝見して、100点満点のものは皆無といっていいでしょう。
また、税理士なら決算申告も代行してもらえますので、申告にかかる時間や費用を節約できる側面もあります。決算申告は納税者本人か税理士のみが認められており、記帳代行サービスを利用する一番のメリットとも言えます。正しい記帳の延長線上に決算・申告があります。記帳が誤っていると、節税等のご提案も誤ったものになってしまいます。
経理において、記帳の正確性はそれだけ重要と言えます。
2.行政書士へ経理代行・経理派遣を依頼するメリット
一方、経理代行サービスなどは、行政書士へ依頼することも可能でしょう。
個人の行政書士事務所などがサービスを提供している場合も中にはあります。自社の経理をアウトソーシングできるメリットは計り知れませんが、行政書士に依頼するメリットは費用の安さでしょう。
行政書士の記帳代行サービスなどは、月々数千円から依頼できるのが大きな強みでしょう。様々な事務所がサービス提供しており、非常に格安なサービスも存在しています。
自社で会計担当者を雇う場合と比べて、経費削減効果は大きなものとなるでしょう。ただし、同程度や同程度以下の料金で税理士にアウトソーシング可能な場合もありますので、安さが行政書士特有の利点とも言い難いのが実情です。
さらに、記帳には法人税、所得税、消費税等の税法の知識が必要という観点から見ると、行政書士による経理代行にはクエッションマークがつきます。会計や税務の専門家は税理士であり、公認会計士です。
この辺りが正確でないと、記帳の正確性にも大きく及んできます。弊社への経理代行切替も多く存在しますが、記帳の内容に誤りが多くあるものも実際に存在しています。
3.経理のプロである税理士がおすすめ
税理士と行政書士は全く異なる職業なのですが、記帳など経理のアウトソーシングをする場合、一体どちらを選ぶべきでしょうか?
もし悩んだ時は経理や税金の専門家でもある税理士へ依頼することをおすすめします。
なぜ行政書士ではなく税理士なのか、と疑問が湧くかもしれませんが、前述の通り、記帳の正確性があり、結果、その延長線上にある決算申告を依頼できるからです。
仮に行政書士へ経理全般をアウトソーシングした場合、決算申告は自身で行わなくてはいけません。
行政書士は法律上、決算申告の代行ができません。面倒だからと行政書士へ名義貸しを行ったりでもしたら、違法行為とみなされ罰せられるおそれがあります。
また、毎月の記帳と決算申告を1つの経理代行会社にまとめることで全体の経理費用はおさえることが可能です。さらに、税理士であれば決算申告が可能なため、ご自身で税務署まで出向く必要もありません。経理に関すること全般を一任できますので、経費を削減しつつ事業に専念できます。
4.経理代行会社へどの部分から依頼すればいいか?
➀経理代行を依頼するにしても、どこから依頼すればいいのかというお悩みもお聞きします。
こちらについてのご回答は、ずばり「記帳」からでしょう。記帳とは、御社で起こる全てのお金の動き・損益の発生を会計ソフト(会社様によっては、いまだに振替伝票のみをご使用されているところもあります。)に入力していくことです。
先述した通り、記帳には専門知識が必要です。会社様で記帳された結果を拝見して、100点満点の記帳を私は見たことがありません。
さらに、記帳の結果が試算表などの数字となって社長の意思決定が行われます。誤った数字に基づいて、社長が意思決定するわけにはいきません。
そのため、経理周りで一番最初に外注すべきは「記帳」であると言えます。逆に言えば、記帳以外の請求書発行・振込支払・給与計算などは記帳ほどの専門的な知識は求められません。
➁記帳の次に専門知識が必要となる経理分野は給与計算でしょう。
また、従業員さんの人数が増えれば増えるほど外注されている会社様が多い傾向にあります。
給与計算を誤ると、会社と従業員の間の問題となるため、後で修正するのも一苦労です。年末調整で所得税部分は修正できる仕組みになっていますが、社会保険料や支給額の課税・非課税を誤ってしまうと、年末調整でも修正・精算できません。
経理を行っていくうえで、給与計算も大事な位置づけとなります。
➂「記帳⇒給与計算」の順にアウトソーシングされると、経理で専門知識が必要になるものはおおよそカバーすることができます。
請求書の発行や振込などの支払いは専門知識というよりも作業的位置づけとなります。それでも従業員を雇って、「請求書の発行や振込をされると誤っていないか心配」、「余計な人件費がかかってしまう」ということにもなりかねません。
そのような場合、➀・➁をアウトソーシングされた後で経理周りを全てアウトソーシングするということも考えるべきでしょう。
5.経営における経理の重要性
社長が経営を行っていく場合、社長の中で経理はどれくらいの重要性を占めているでしょうか?
弊社では経理の重要性は創業期とそれ以降で変わってくるものであると認識しております。
➀創業期で一番大事なことは「売上を上げること」です。
売上が上がらなければ、そもそも経理もくそもありません。会社の存続に関わるからです。
よって、専門知識も必要な経理(特に記帳・決算申告)は必要最低限なコストでアウトソーシングして、社長は売上アップに専念するべきです。また、このような創業期であっても「経理をやらない」という選択肢はありません。
経理をやっていないと決算申告ができず、納税の義務を果たせません。法人は登記されるので、税務署も決算申告を行っているか否かは全て法人ごとに情報として持っています。
ここで、決算申告をしなければ、後々大変なことになるでしょう。延滞税や加算税など余計な納税が必要になります。もちろん融資も受けることができません。
売上を上げることに全力を注ぎつつ、経理にも最低限のコストをかけて経営していくことになります。
経理にかけるコストをおさえるためにも記帳・決算申告だけでもアウトソーシングして経営に専念していくのが正解でしょう。
➁創業期を乗り切れば、会社に最低限の売上は立つようになっているでしょう。
もちろん売上アップのためにまだまだ営業活動は必要ですが、この頃には従業員も増えて売上アップだけやっておけばいいというステージではなくなっています。
ここで、経理の持つ意味は創業期と変わっています。
一人代表だけの創業期と異なり、従業員も何人か会社に存在するでしょう。組織化に向けて走っているステージに入っています。
当然、従業員の給与計算を毎月やらなければ従業員に給与を支給できませんし、給与計算が誤っていれば従業員が会社に不信感を抱き退職してしまうことも考えられます。
請求書の発行や振込支払についても同様です。期日通りに請求書の発行・振込支払を行わなければ信用問題になり、取引がなくなってしまうことも考えられます。記帳も同じです。
正しい数字を毎月見て意思決定していかなければ、誤った意思決定をすることになります。誤った意思決定で会社は傾きかねません。数字に基づいて正しい意思決定をしていくことが重要なステージに入っています。
創業期と異なり入ってくるお金も出ていくお金も大きくなっているため、経営意思決定におけるインパクトが大きくなっているからです。
結果的に、創業期と異なり、経営における経理の位置づけは高いものとなっています。場合によっては、経理専門の人員を雇用して経営しなくてはならないでしょう。
しかし、優秀な人材の雇用が困難な時代において、経理という重要な場所に置くことのできる人材の確保は難しくなっています。
お金に関する事を全て任せていいのか、社内の別の人間にむやみに話したりしないか、雇用しても退職してしまった・・・。
このような悩みは経理のアウトソーシングで解決できます。
記帳・給与計算・請求書の発行・振込支払・年末調整・決算申告から御社の状況に合わせてカスタマイズしてアウトソーシングできます。