「少しでも税負担を軽くしたい!」という場合は、決算日までに何かしらのアクションが必要となります。そのためには、事前の検討及び対策が必要です。
目次
1.保険を活用して節税する
①小規模企業共済に加入する
小規模企業共済とは、中小企業基盤整備機構が運営する会社役員の退職金や個人事業主の生活資金を積み立てておくための共済制度です。
掛金は月額1,000円~7万円の範囲内で選択できます。
会社の経費としては計上できませんが、個人の節税が可能です。掛金は年間最大84万円まで掛けることができ、全額所得控除が受けられます。
②経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入する
経営セーフティ共済とは、こちらも中小企業基盤整備機構が運営する取引先の経営破綻などで中小企業が連鎖倒産するのを防ぐために設けられた共済制度です。
掛金は月額5,000円~20万円ですが、掛金の前払いができるため決算直前であっても最大240万円まで経費計上できます。
仮に解約した場合、12か月以上支払っていれば支払った掛金の80%、40か月以上支払っていれば支払った掛金の全額が戻ってきます。掛金は総額で800万円まで積み立てることができ、節税しながら不測の事態の備えができるのでこちらもオススメの節税方法です。
③中小企業退職金共済に加入する
中小企業退職金共済とは、中小企業退職金共済本部(中退共)が運営する単独で退職金制度をもつことが困難な中小企業の実情を考慮して、従業員が退職時には中退共から直接退職金を支払ってくれるという共済制度です。
掛金は月額5,000円~30,000円の範囲で、従業員ごとに任意の金額を選べます。
掛金は全額経費計上できます。また、新しく加入すると月額の掛金2分の1(上限5,000円)を加入後4か月目から1年間、国が助成してくれます。
ただし、原則的に従業員全員加入する必要があり、一度積み立てた資金を事業主側でコントロールすることが出来ないというデメリットもありますので、他の積立金とうまく併用した方がよいでしょう。
④生命保険に加入する
法人向けの生命保険は、例えば500万円の保険料を支払うと、その全額もしくは半額を経費として計上できるので、他の節税方法に比べて費用対効果が大きく将来の資金繰り悪化にも対応できるメリットがあります。
また、割とすぐに加入の手続きができるので、決算直前の節税対策としては取り入れやすいですよね。
ただし、法人向けの生命保険は節税というよりは納税の繰り延べに過ぎないというデメリットがあります。保険金受け取り時には利益として計上しなければなりません。また、解約のタイミングを誤ると損失を出す可能性も否定できませんので、加入される場合には専門家に相談しましょう。
2.【特別償却・税額控除】設備、人材へ投資をして節税
①中小企業投資促進税制の活用
機械装置等の対象設備を取得や製作等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は 7%の税額控除が選択適用できるものです。
また、生産性向上に資する一定の設備については、特別償却又は税額控除の上乗せ措置(即時償却又は取得価額の10%の税額控除)の適用を受けることができます。
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②所得拡大促進税制の活用
給与を一定金額引き上げた場合、引き上げた金額の10%を法人税額から減額することができます。
下記のように要件が緩和され中小企業を中心に活用しやすくなっています。
<適用要件>
1.雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加促進割合以上になっていること
2.雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額(前事業年度)以上であること
3.平均給与等支給額が比較平均給与等支給額(前事業年度)を超えること
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③雇用促進税制の活用
雇用者数を5人以上(中小企業等は2人以上)かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主が、法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除の適用が受けられる制度です。増加した人数×40万円を法人税額から減額できます。
適用を受けるためには、あらかじめ 「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要があります。
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3.【まとめ】
今回のコラムは決算月にできる節税対策についてお話しました。
直前でも様々な方法があることがおわかりいただけたと思います。ただもう少し時間をかければもっと効果的な節税対策ができます。