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2019/11/06 給与計算で算出する「所得税」とは?

毎月の給与総額を算出し、社会保険料や源泉徴収税を差し引く作業を給与計算といいます。

 

給与計算は社員の生活に直結する業務のため、ミスは厳禁。給与計算に関わる控除や税率は、給与計算担当者が詳しく把握しておく必要があります。

 

今回は、源泉徴収税の中でも所得税について詳しく解説いたします。

給与計算での所得税の算出方法や、注意点について知っていきましょう。

 

 

1.≪給与計算で算出する「所得税」とは?≫

所得税とは、その名の通り所得に対してかかる税金。所得金額が上がるほど税率も高くなる累進課税制度を採用していて、多く稼ぐ人ほど多く支払う税金となっています。

 

サラリーマンなど会社勤めの方は給与計算の際に天引きされ、個人事業主の場合は確定申告で所得を申告することで支払額が確定します。

 

(1)給与と所得の違い

「給与」と「所得」は混同されがちな言葉ですが、実は少し意味合いが違います。

 

まず給与とは、会社から支払われる賃金や、個人事業主の場合は自分で稼いだ売り上げ。所得とは、そこから「必要経費」を差し引いたものです。

住民税の計算は、この所得に基づいて行います。

 

所得から差し引ける必要経費は、個人事業主の場合、事業所の家賃や商品の仕入れ金額、従業員に支払った給与など、売り上げを出すために必要な出費です。

会社勤めの方は、仕事の時だけ着るスーツや靴、自分の携帯を仕事にも使う場合の通信費などが当てはまります。

 

しかし、毎月具体的な金額を申告して給与計算するのは難しいため、「給与所得控除」という一定の式に当てはめた額が採用されます。

給与所得控除については、後の項目で詳しく解説するので、そちらを参照してください。

 

そのほかに、扶養家族の数に従って課税額が減額される「扶養控除」、ふるさと納税などの「寄付控除」、誰でも無条件で差し引かれる「基礎控除」などの控除も必要経費に含まれます。

 

(2)所得税の仕組み

先にも触れましたが、所得税は「累進課税制度」が採用されている税金。所得額が上がると税率も上がり、多く稼ぐ人ほど多く負担することになっています。

 

所得金額ごとの税率は、以下の通りです。

 

〜195万円:5%

195〜330万円:10%

330〜695万円:20%

695〜900万円:23%

900〜1800万円:33%

1800〜4000万円:40%

4000万円〜:45%

 

所得税の金額は、給与総額から必要経費や控除を引いた額にこの税率をかけて計算します。

 

(3)「源泉徴収」とは

源泉徴収とは、従業員の給与から支払うべき所得税や住民税を、会社が前もって差し引き、国に支払うことをいいます。

従業員を雇い、給与を支払っている事業者は、必ず給与計算の際に行わなければいけません。

 

源泉徴収をすることで、会社勤めの人は毎月の給与から少額ずつ税金を支払っていることになり、確定申告をする必要がなくなるのです。

 

2.≪給与計算で所得税を算出する前に押さえておきたい用語≫

それでは、給与計算で所得税を算出するに当たって、必ず知っておきたい用語を解説していきます。

後で解説する計算方法にはこれらの用語が登場するので、実際に給与計算をする前に言葉の意味を理解しておきましょう。

 

(1)課税所得

課税所得とは、給与の支払い総額から必要経費や控除を全て差し引いた金額です。

この課税所得に、先にお伝えした所得税の税率をかけると、所得税の金額が算出できます。

 

(2)扶養控除申告書

扶養控除申告書は毎月の給与計算ではなく、年末調整のタイミングで必要になる書類。正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という名称です。

 

年に一度、従業員本人が記入して提出し、扶養している家族や配偶者がいることを申告する書類です。

ここに書かれた内容を元に、扶養控除の金額が決まります。

 

(3)給与所得控除

給与所得控除は、会社勤めの人の必要経費にあたるものです。

 

会社に勤めている人は、仕事をするときに着る服や靴の購入費、仕事関係の電話にかかる電話代などを自分で負担しています。

これらの具体的な金額を一人一人に申告させていると毎月の給与計算の業務量が膨大になってしまうので、給与の額に対して全員一率で計算するのが給与所得控除です。

 

給与所得控除の計算式は、給与収入の額に応じて異なります。

 

〜180万円:収入金額×40%(65万円に満たない場合には65万円)

180〜360万円:収入金額×30%+18万円

360〜660万円:収入金額×20%+54万円

660〜1,000万円:収入金額×10%+120万円

1,000万円〜:2,200,000円(上限)

 

(4)給与所得の源泉徴収税額表

「給与所得の源泉徴収税額表」とは、その名の通り給与所得に対してかかる源泉徴収税額の一覧表です。

給与の金額と扶養家族の数を参照すると、複雑な計算を経ずに源泉所得税額がわかるようになっています。

 

3.≪給与計算で所得税を計算する方法≫

それでは、給与計算で所得税を算出するための計算方法を解説していきます。

 

(1)所得税の計算式

給与計算で所得税を計算する場合、必要になる情報は以下の通りです。

 

・給与の支払い総額

・社会保険料の総額

 

例えば、給与・社会保険料が、以下のような内容の人がいた場合。

 

基本給:200,000円

残業手当:15,000円

非課税の手当(通勤手当など):6,000円

健康保険料:9,970円

厚生年金保険:16,766円

雇用保険料:1,105円

扶養親族等の数:2人

 

この場合、給与計算で源泉所得税を算出する計算式は以下のようになります。

 

給与の支払い総額総額:200,000円+15,000円=215,000円

社会保険料の総額:9,970円+16,766円+1,105円=27,841円

 

そして、「給与所得の源泉徴収税額表」を参照する際は、給与から社会保険料等を差し引いた金額と、扶養親族等の数が必要です。

 

給与の支払い総額総額−社会保険料の総額=187,159円

扶養親族等の数:2人

 

この条件で、最新の平成31年版「給与所得の源泉徴収税額表」を参照すると、「1,100円」と記載されています。

よって、この人の源泉所得税額は1,100円です。

 

(2)「給与所得の源泉徴収税額表」の見方

給与所得の源泉徴収税額表は、給与計算の際に求めた「給与総額−社会保険料」と「扶養親族等の数」を基準に参照します。

 

まず、「給与総額−社会保険料」を算出し、一番左の欄で当てはまる行を探しましょう。

上で挙げた例だと、「187,159円」は「187,000円以上、189,000円未満」の行に当てはまります。

 

そして、「扶養控除申告書」が提出されている従業員は「甲」欄の扶養親族の人数に該当する場所、それ以外の従業員は「乙」欄を参照します。

 

4.≪給与計算で所得税を算出する時の注意≫

それでは、給与計算で所得税を算出する際、注意するべきポイントを解説していきます。

 

(1)扶養家族の数え方

給与計算で、扶養家族として数えることができる家族の条件は、以下の通り。

 

・年間の所得金額が38万円以下(給与所得103万円以下)

・16歳以上の親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)

・納税者と生計を一にしている

 

基本的には、パート・アルバイト・無職などで収入が少ない配偶者・16歳以上の子供・老親など、同居や仕送りをしている家族の中でこの条件に当てはまる人数を数えるだけです。。

ただし、以下の条件に当てはまる場合、実際に扶養している人が存在しなくても、扶養家族の数を加算して給与計算します。

 

・本人が障害者、寡婦(寡夫)、勤労学生の場合:1条件につき1人加算。

・同一生計配偶者・扶養親族(16歳未満を含む)が一般障害者または特別障害者の場合:1人加算
・同一生計配偶者・扶養親族(16歳未満を含む)が同居特別障害者の場合・2人加算

 

(2)賞与の源泉所得税の計算方法

賞与の源泉所得税を計算するときは、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用います。

給与計算の時と違うのは、この表で賞与にかける税率を参照する点です。

 

例えば、賞与金額が100万円、扶養親族が2人という場合、「扶養親族2人」の欄から「987,000円以上、1,370,000円未満」の行を参照します。

すると、左の欄に書いてある賞与に対する源泉所得税率が「32.672%」とわかります。

 

100万円×32.672%=326,720円

 

この場合の賞与の源泉所得税額は、326,720円ということです。

 

(3)復興特別所得税も同時に徴収

2011年に発生した東日本大震災の復興財源にあてるため、2013年から所得税に加えて復興特別所得税も徴収されるようになりました。

 

復興特別所得税の税率は、課税基準となる所得税額の2.1%。毎月の給与だけではなく、賞与も課税の対象です。

興特別所得税は、2037年まで徴収される予定となっています。

 

5.≪給与計算で算出した所得税の納付方法≫

給与計算で算出した源泉所得税は、翌月の10日までに会社が納めます。

基本的には毎月行う手続きですが、従業員10人未満の小規模な会社は「納期の特例」という制度を利用すると納付のタイミングが年2回にまとめることができます。

 

納付方法は、e-taxもしくは所轄の税務署の窓口。「所得税徴収高計算書(納付書)」を作成し、従業員全員の所得税の合計額を支払います。

 

6.≪まとめ≫

給与計算で所得税を算出する方法は、給与総額と社会保険料を先に求め、「源泉徴収税額表」で扶養家族の数を参照するだけ。

一見簡単ですが、給与計算の中で忘れてはいけない大事なステップです。

 

課税対象にならない収入の範囲や、扶養家族の数え方がやや複雑なため、給与計算を担当する方は制度をよく知っておきましょう。

また、頻繁に制度改正がある部分でもあるため、毎年の変更点にも注意を払う必要があります。

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2019/10/24 給与計算の基礎【計算方法から算定基礎届の書き方まで】

給与計算はどんな会社にも発生する基本的な業務です。

しかし、一人一人適用される控除や手当が異なるので、実際の業務内容はかなり複雑。給与計算を任されても、事務職に就いて日が浅い方はわからないことだらけで困ってしまうことも多いでしょう。

 

そこで今回は、給与計算の基礎の基礎について、わかりやすく解説していきます。

 

1.≪給与計算の基礎≫

まずは、給与計算の基礎から学んでいきましょう。

ただし、給与計算の細かな方法は会社によって異なるため、ここでご紹介するのはあくまで一般的な計算方法となります。

 

(1)給与計算の基本式

給与計算のもっとも基本となる式は、以下の通り。

 

・総支給額-控除額=差引支給額

 

「総支給額」とは、基本給に残業代などの時間外手当や、各種手当が加算された給与の総額。時間外手当の割増率は法令で定められていますが、各種手当については会社ごとに規則が異なります。

 

「控除額」とは、税金や保険料など会社が給与から天引きする金額のことです。

一般的なサラリーマンの給与にかかる税金・保険料は以下のものがあります。

 

・所得税

・住民税

・雇用保険料

・健康保険料

・厚生年金保険料

 

また、税金・保険料以外にも、社宅の家賃など会社が天引きしているものがあればそれも控除額に含まれます。

 

なお、「差引支給額」とはいわゆる「手取り」のことです。総支給額から支払うべき税金や保険料が引かれて、実際に従業員の手元に入る金額となります。

 

(2)総支給額の計算方法

それでは、具体的に総支給額の給与計算方法を見ていきましょう。

 

  • 基本は「基本給」+「諸手当」

総支給額は、「基本給+諸手当」という計算式で給与計算ができます。

 

「基本給」とは、従業員ごとに雇用契約で定められている基本の給与のことです。求人票などに「月給20万円」「日給1万円」などと書かれているものですね。

社内規定により、勤続年数や実績に合わせて昇給・減給することもあります。

 

「諸手当」には、「時間外手当」と「その他の手当」の2種類があります。

時間外手当とは、残業代や休日出勤手当など、基本給に含まれていない勤務時間にかかるものです。

 

給与計算の式は、それぞれ以下の通りです。

 

・残業手当:基本給(1時間)×1.25×実働時間数

・深夜残業手当(22時~翌5時の間の残業):基本給(1時間)×1.5×実働時間数

・休日出勤手当(法定休日):基本給(1時間)×1.35×実働時間数」

・休日出勤手当(法定外休日)かつ時間外労働の場合:基本給(1時間)×1.25×実働時間数

・休日出勤手当(法定外休日)かつ時間外労働でない場合:基本給(1時間)×実働時関数

 

その他の手当は、会社が独自に定めて支給している手当のこと。

会社ごとに自由に定められるため種類や名称はバラバラですが、よくある手当には以下のようなものがあります。

 

・通勤手当

・住宅手当

・役職手当

・資格手当

・役職手当

など

 

基本給と時間外手当、その他の手当を全て足し合わせたものが、「総支給額」となります。

 

  • 基準内給与・基準外給与

給与計算に関わる言葉で、「基準内給与」「基準外給与」というものがあります。

それぞれの言葉の意味は、以下の通り。

 

・基準内給与:割増賃金(残業代など)を計算する際の基礎となる賃金

・基準外給与:割増賃金の計算には算入されない賃金

 

残業代などの割増賃金を計算するときは、基礎となる時間給に1.25〜1.5の割増率をかけて計算します。

しかし、基準外給与となる諸手当はその計算に算入されません。例えば、「基準内給与20万円+基準外賃金5万円=総支給25万円」というケースの場合、割増賃金の基礎となる給与は「20万円」となります。

 

具体的には、厚生労働省は以下の7つを基準外給与と定めています。

 

・通勤手当

・家族手当

・別居手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支払われる手当

・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

なぜこれらが割増賃金の基礎に含まれないかというと、これらは労働時間ではなく個人の事情によって支給される手当のため。常識的に考えて、家が遠くて通勤手当を多くもらっている人の基礎賃金が、家が近い人に比べて高くなってしまうのは変ですよね。

 

ただし、例えば通勤手当が全社員に一律に支給されている場合など、個人の事情が関わっていない通勤手当は基準内給与に含まれます。

基準外給与かどうかということは、その名称ではなく実態に伴って判断されるのです。

 

(3)控除額の計算方法

次に、総支給額から天引きする「控除額」の給与計算方法を解説していきます。

 

  • 法定控除・協定控除

総支給額から差し引かれる控除には、「法定控除」と「協定控除」の2種類があります。

 

・法定控除:法律の定めにより決まっている控除額。従業員の同意がなくても控除することができる

・協定控除:会社の労働組合、または従業員の過半数を代表するものと会社が協定を結ぶことで発生する控除

 

法定控除とは、法律で納入が定められている税金や保険料のことです。給与の金額ごとに定められた税率・保険料があり、必ず納めなければいけません。

詳しくは、下の項目で解説します。

 

協定控除とは、法律で定められていないので労働組合や会社が独自に規定するものです。

例えば、

 

・財形貯蓄

・食事代

・社宅使用料

・労働組合費

・団体生命保険料

・社内預金

・互助会費

・クリーニング代

 

などが協定控除です。

項目や金額は会社ごとにバラバラで、もちろん協定控除がない会社もあります。

 

  • 税・社会保険料

先にも触れましたが、一般的なサラリーマンの給与にかかる税金・保険料は以下のものがあります。

 

・所得税:

所得税は、総支給額から控除や非課税の手当といった「非課税所得」を除いた金額に課税されます。

累進課税制度を採用しているので、給与の金額が高くなると税率も上がるシステムとなっています。

 

・住民税:

住民票を置いている自治体に支払う税金です。

税率は市区町村によって異なります。

 

・雇用保険料:

失業したとき、失業給付を受けるための掛け金です。

 

・健康保険料:

従業員が怪我や病気で医療機関にかかるとき、負担額を減らせるように加入しているものです。保険料は従業員と会社で折半して負担します。

 

・厚生年金保険料:

将来年金を受け取るための掛け金です。健康保険料と同じく、会社と従業員が折半して負担します。

国民年金保険料は収入額に関わらず一律ですが、厚生年金保険は給与の額が基準となって保険料が異なります。

 

これらの税率・保険料率は、個々の収入額・居住地・加入している保険組合などによって異なるため、共通した計算式はありません。

そのため、総支給額は同じでも控除額に差があり、手取り額は一人一人異なるのです。

 

2.≪給与計算の月毎・年間の基礎的スケジュール≫

次に、給与計算の業務にまつわる基礎的なスケジュールを見ていきましょう。

 

(1)毎月行う業務

給与は多くの会社で月払い形式を採用しているため、給与計算の業務は毎月発生します。そのため、給与計算の担当者は毎月同じサイクルで全従業員の給与計算を行なっていくことになります。

そして、給与計算の作業は、毎月の締め日から給与支払い日までに行う必要があります。

 

例えば、締め日が毎月15日、25日が支払日という会社の場合、基礎的なスケジュールは以下の通り。

 

〜15日:人事異動・昇降給・扶養家族増減・氏名、振込先変更などの把握・確認

15日〜17日:勤怠(出退勤:遅早欠勤・休暇)の把握、歩合給の算出基礎

18日〜20日:支給額・控除額の計算、管理資料・給与明細の作成

21日〜22日:給与支払いの手配

25日:給与支払い・給与明細の配布

月末:社会保険料の納付

翌月10日:源泉所得税、住民税の納付

 

給与計算にかかる労力や時間は、従業員の人数・担当者の人数・締め日から支払日までの日数などで会社ごとにかなりばらつきがあります。

そのため、それぞれの工程にかかる日数は異なりますが、作業の順番や工程数は会社の規模に関わらず同じです。

 

給与計算の遅れは給与の遅配にも繋がるので、実際に業務を担当するときはスケジュール組みがとても重要になりますよ。

 

(2)給料計算の年間スケジュール

次に、給与計算に関わる年間スケジュールを月ごとにまとめてみました。

 

1月:税務署に法定調書を提出、市区町村に給与支払報告書を提出

2月:特になし

3月:4月の新規採用者・異動者の給与決定、4月に64歳以上になる従業員を把握(雇用保険料が免除となるため)

4月:新入社員・異動社員の給与設定、税率・保険料に改定があれば変更を反映

5月:4月に入社した社員の社会保険料控除開始

6月:住民税の新年度控除額を登録、賞与の計算(6月に賞与支給がある場合)

7月:労働保険の年度更新(保険料計算)、社会保険は算定基礎届提出、4月昇給者の随時改定(月額変更届)

8月:4月昇給による随時改定者の社会保険料改定

9月:厚生年金保険料率の変更(変更後の保険料が控除されるのは10月に支払う給与から)

10月:7月に算定基礎届を提出した社員の社会保険料改定

11月:年末調整の準備(社員に案内し、必要書類を配布する)

12月:賞与支給、年末調整実施

 

給与計算には保険や税金が関わっているので、年間スケジュールもそれに伴うものが多いです。

年末調整がある12月や、新入社員・異動社員の多い4月が給与計算業務の繁忙期となります。

 

3.≪給与計算に必須!算定基礎届≫

給与計算の中の保険料の計算には、算定基礎届という書類が必要です。

算定基礎届とは何なのか、また何のために提出する書類なのかを見ていきましょう。

 

(1)算定基礎届が大事なわけ

社会保険の保険料は、給与の金額によって納付する額が異なります。

しかし、給与は毎月変動するものなので、毎回社会保険料を一から計算するのはとても大変ですよね。

 

そこで必要となるのが「算定基礎届」。算定基礎届で「標準報酬月額」を決定し、その金額に基づいて保険料を計算することができる制度となっています。

 

(2)算定基礎届の提出期限・対象者は?

算定基礎届の提出期限は、毎年7月10日。この算定基礎届で決まった標準報酬月額は、同年9月から翌年8月まで適用されます。

 

算定基礎届の対象者となるのは、その年の7月1日に勤務している従業員です。

ただし、4〜6月のどの月も出勤日数が17日以下だった場合や、病欠などで賃金を受け取らなかった場合には算定基礎届の対象外となります。

 

(3)算定基礎届の提出方法

算定基礎届の提出には、以下の2種類の書類が必要です。

 

・算定基礎届

・算定基礎届総括表

 

これらの書類を、毎年7月1日〜10日の間に年金事務所や保険組合に提出します。

窓口への持ち込み・郵送・電子申請での提出が可能です。

 

4.≪基礎日数から標準報酬月額を計算する≫

算定基礎届の提出には、標準報酬月額の算出が必要です。

その計算方法を、簡単に解説していきます。

 

(1)支払い基礎日数の求め方

支払い基礎日数とは、給与計算の対象となる労働日数のことです。

 

(2)月給制の場合

月給制の支払い基礎日数は、「欠勤控除なし」「欠勤控除あり」の2パターンがあります。

 

欠勤控除なしの場合:「暦日数=支払い基礎日数」。カレンダー上の日数がそのまま支払い基礎日数になります。

欠勤控除ありの場合:「所定労働日数-欠勤日数=支払い基礎日数」。例えば月の労働時間が22日と就業規則で定められている場合、そこから欠勤日数を引いたものが支払い基礎日数です。

 

(3)日給・時給制の場合

日給・時給制の場合は、実際に出勤した日数がそのまま支払い基礎日数となります。

 

(4)標準報酬月額の求め方

標準報酬月額は、4〜6月の賃金を3で割り、平均を出したものです。

この賃金には、通勤手当や残業代など、基本給以外の手当も全て含みます。基準内賃金とは計算方法が違うので注意してください。

 

基本的には支払われた報酬全てが含まれますが、結婚祝い・見舞金といった一時金や、出張の旅費など経費精算で支払われた金額は除外して計算します。

 

5.≪まとめ≫

給与計算の基礎的な計算方法が、わかりましたか?

給与計算は会社ごとに計算方法が違い、また従業員一人一人についても適用される手当や控除が異なるので、そう単純ではありません。

 

今回ご紹介した計算方法は、あくまで基本的なものです。実際に給与計算の業務を行うときは、社内の賃金規定を優先して行いましょう。

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2019/08/05 算定基礎届の基礎知識【書き方・提出方法まとめ】

社会保険料の算定に不可欠な算定基礎届。毎年7月に、標準月額報酬を算定して定時決定を行う際に必要となります。計算自体は単純ですが、従業員の就業状況ごとにそれぞれ複雑なルールがあり、提出期限も短いため、慣れていないとなかなか難しいです。

今回は、算定基礎届の作成方法や提出方法、提出期限について、詳しく解説していきます。

 

 

1.≪算定基礎届の基礎知識≫

まず、算定基礎届とは何なのかという基礎知識を解説いたします。

算定基礎届は社会保険料や保険給付の計算に必要な書類です。

 

(1)算定基礎届とは

算定基礎届は従業員の社会保険料や保険給付の計算に用いられる書類です。

まず、社会保険は従業員の報酬に基づいて保険料や給付額が算出されます。そしてその金額を会社と従業員で折半し、毎月支払うことになるのです。

 

しかし、実際に支払われる報酬は年間のうちで推移するため、毎回保険料を算出しなおしていると膨大な手間がかかります。そこで、年に一度「標準月額報酬」という大まかな月額報酬の指標を算出し、これを社会保険料算定の基礎とします。

この標準月額報酬を決定する作業が、「定時決定」。そして、定時決定の届け出に必要な用紙が、算定基礎届です。

 

(2)算定基礎届の計算方法

算定基礎届に記載する標準月額報酬の計算方法は、以下の通りです。

 

  • 原則:4・5・6月に支払った賃金の合計÷3

 

欠勤やシフト勤務などでいずれかの月が17日未満の勤務だった従業員や、対象月に休業していた従業員の計算式は以下の通りです。

 

  • 4月の報酬支払基礎日数が17日未満で、5・6月の報酬支払基礎日数が17日以上の場合:5・6月に支払った賃金の合計÷2
  • 4・5月の報酬支払基礎日数が17日未満で、6月のみ報酬支払基礎日数が17日以上である場合:6月の報酬額
  • 5月入社の場合:5・6月に支払った賃金の合計÷2(定時決定の算定基礎となる期間が「その事業所で継続して使用された期間」に限られるため)
  • パート・アルバイトなどの短時間就労者で、4月から6月の報酬支払基礎日数が、どの月も17日に満たなかった場合:15日以上17日未満の月を対象月として算出した額
  • 一時帰休の場合:休業手当をもとに算出した額(定時決定後に休業が明けた場合は、随時改定)

 

(3)算定基礎届の対象者

算定基礎届の対象者となるのは、社会保険の被保険者かつ、その年の7月1日時点で勤務している従業員です。

 

(4)算定基礎届の提出期限

算定基礎届の提出期間は、毎年7月1日~7月10日です。

 

2.≪算定基礎届を書く≫

それでは、具体的に算定基礎届の書き方を見ていきましょう。

 

(1)算定基礎届の用紙を入手する

算定基礎届は、毎年6月上旬~下旬に送られてきます。

送付されてくる書類は、以下の3種類。

 

  • 被保険者報酬月額算定基礎届
  • 被保険者報酬月額算定基礎届 総括表
  • 被保険者報酬月額算定基礎届 総括表附表

 

もし届かない場合は、日本年金機構に連絡して取り寄せたり、日本年金機構のホームページからダウンロードしたりすることが可能です。また、「届書作成プログラム」を入手すれば、電子申請をすることもできます。

 

(2)算定基礎届の対象者は?

先にもお伝えした通り、算定基礎届の対象者は7月1日時点で雇用している社会保険の被保険者です。正社員・パート・アルバイトなど、雇用の種別は問いません。育児休業や介護休業などを取得して休業している人、長期欠勤をしている人も含みます。

ただし、6月1日以降に被保険者になった人は、社会保険の資格取得時にすでに標準報酬月額が翌年8月まで決まっているため、定時決定の手続きは必要ありません。また、昇給・減給・長期欠勤などで4~6月に支払われた報酬と年間平均の報酬が大きくかけ離れている人は、7月に随時改定を行うため算定基礎届の対象にはなりません。

 

(3)退職者・中途入社・休職者の取り扱いは?

退職者・中途入社・求職者の取り扱いは、以下の通りです。

 

  • 退職者

その年の6月30日以前に退職した人は不要。7月1日以後に退職する人は4~6月の標準報酬月額を算定します。

 

  • 中途入社

中途入社で4~6月いずれかの月に1ヶ月分の給与が支給されていない場合は、その月を除いた金額で算定します。

 

  • 休職者

4~6月の期間を全て休職していた人は、休業手当に基づく標準報酬月額を算定します。4~6月のうちのいずれかの月で休職し、他の1~2ヶ月は通常の勤務をした場合は、休職した月を除いて標準報酬月額を算定します。

 

  • 標準報酬額の求め方

それでは、具体的な例を挙げて標準報酬額を計算していきます。

 

例:社員Aさんに、4月は25万円、5月は26万円、6月は24万円の報酬を支払った場合

 

(25+26+24)÷3=25 → Aさんの標準報酬月額=25万円

 

とても単純な計算ですが、ここでいう「報酬」とは労働に対する賃金のことです。労働に対する賃金と見なされないものは、実際に支払った金額に含まれていても報酬からは除外されます。

 

報酬に含まれないもの:見舞金・解雇予告手当・退職手当・大入袋・交際費・出張旅費・・傷病手当金慶弔費・労災保険の休業補償給付・年3回以下の賞与

 

また、現金ではなく現物支給されたものの中にも、報酬に含まれるものもあります。

 

報酬に含まれる現物支給:通勤定期券・回数券・食事・食券・社宅・寮・被服・自社製品など

 

例えば、先ほどの社員Aさんが、毎月の賃金に加え、4月に通勤定期券3万円分と結婚祝い金3万円を受け取っていた場合、以下のような計算になります。

 

{25+3(通勤定期代)+26+24}÷3=26 → Aさんの標準報酬月額=26万円

 

通勤定期代は報酬の計算に算入され、労働の対価ではない結婚祝い金は算入されません。

 

3.≪算定基礎届を提出する≫

最後に、算定基礎届の提出方法について解説していきます。

 

(1)提出・添付書類は?

 

定時決定で提出する書類は、以下の4種類です。

 

  • 被保険者報酬月額算定基礎届
  • 被保険者報酬月額算定基礎届 総括表
  • 被保険者報酬月額算定基礎届 総括表附表(必要な場合)
  • 被保険者報酬月額変更届(7月改定者がいる場合)

 

算定基礎届には従業員個人ごとの標準報酬月額を記入し、総括表には事業所の被保険者の状況や報酬などをまとめて記入します。

 

(2)提出方法

算定基礎届の提出は、書類が送付されてきたときに同封されている返信用封筒で郵送するのが一般的です。また、管轄の年金事務所担当窓口に直接提出することも可能です。

電子申請(e-Gov)で提出する場合には、e-Gov電子申請アプリケーションをインストールすると、そこで書類作成から提出までを済ませることができます。

 

(3)提出期限

先にも触れましたが、算定基礎届の提出期限は毎年7月1日~7月10日です。用紙が届いてから提出期限までは1ヶ月ほどしかないため、注意してください。

 

(4)内容を訂正したい時は?

もし、算定基礎届に記載する内容を間違えてしまったときには、ただちに年金事務所や健康保険組合に連絡をしましょう。内容に間違いがあったことを伝え、正しく訂正したものを再提出する必要があります。

訂正書類を作成する時は、まず用紙の上部に大きな字で「訂正」と記入します。金額に間違いがあった場合は、上の段に正しい金額を記入し、下の段には間違えた金額を赤で記入します。

 

4.≪まとめ≫

算定基礎届の計算自体は単純で、作成にあまり手間取らない書類です。しかし、休業・中途入社などで満額の給与を支払っていない場合には、それぞれ複雑なルールがあります。報酬に算入される手当・されない手当なども複雑で、慣れていないとわかりにくいかもしれません。

また、算定基礎届は提出期限が短いため、早めに作成に取り掛かりましょう。