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2019/07/03 学生や主婦でも起業する時代!起業するために必要なこととは

「起業したい」という志を抱く人は多いですが、どんなことから始めればいいか知っていますか?漠然と考えているだけでは、いつまでたっても起業はできません。逆に、優れたビジネスモデルがあれば、学生や主婦でも成功をつかむことも可能です。

古殿
古殿
今回は、起業をしたい方のために、起業をするためのステップを解説します。

 

1.起業する理由や目的、事業内容を考える

起業するには、企業のアイデアや目的が不可欠です。漠然と「起業したい」というだけでは事業は始まらないので、まず自己分析をして企業したい理由を煮詰めていきましょう。

 

 

 

(1)なぜ起業したいのかを明確にする

「何でもいいからとにかく社長になりたい」「起業って面白そう」「〇〇をやってみたら儲かりそう」など、曖昧な理由で起業した会社では、軸が定まらず失敗する可能性が大。「起業する」だけではなく「起業して成功する」には、しっかりと事業の軸になる理由や目的が必要なのです。

 

ビジネスモデルを描き出す前に、

  • なぜ起業したいのか
  • 起業して何を実現したいのか
  • 起業することで、自分はどうなりたいのか

を突き詰めて考えておきましょう。

 

(2)どのような事業を行うのかを決める

起業する目的が決まったら、それに沿ってどんな事業を行うのか決めていきます。すでにアイデアがある人は、そのアイデアを具体的に実現するための手段を考えましょう。

 

また、なかなかアイデアが浮かばないという方は、以下のような発想を持つのがおすすめです。

  • 既存の商品やサービスを発展させる方法
  • 既存の商品やサービスを組み合わせる方法
  • 自分の趣味や特技、専門知識を活かす方法
  • 海外で成功している事業を輸入する方法
  • 日常的に感じる不便を解消する方法

自分の中で考えるだけではなく、家族や友人、インターネットの声などを参考にすると、アイデアが生まれやすいかもしれません。

 

(3)どのような価値を提供できるのかを考える

次に、自分の事業でどのような価値を世間に提供できるかを考えます。できれば、既存の企業がまだ実現していないオリジナルの価値を見出せると良いでしょう。

古殿
古殿
既存事業と似た内容で起業する場合には、どこで他社と差別化できるかを考えてみてください。

 

(4)具体的なビジネスモデルにする

最後に、事業内容を噛み砕き、具体的なビジネスモデルにしていきます。

具体的であればあるほど現実味が増しますが、少なくとも

  1. 「誰に」
  2. 「何を」
  3. 「どうやって」

という3つの軸はしっかり決めておきましょう。

1.「誰に」

主な顧客は?ターゲット層

まずは、自分のサービスや商品を「誰に」売るのかというターゲット層を決めます。万人ウケする商品やサービスは既に出揃っていることが多いので、今までにない価値を生むならピンポイントにターゲットを定めるのが重要です。

さらに、ターゲット層は具体的に定めておきましょう。例えば、「若い女性」というだけではなく、「18〜25歳の女性」「○○が好きな若い女性」など。そうすると、その層の平均収入や生活スタイルから求められているものが見えてきやすいです。

2.「何を」

売りたいモノ・サービスは?

次に、ターゲット層から見えてきたニーズを形にします。このとき、ただ理想を追い求めるだけではなく、原価率や生産効率などが現実的かどうかも重視しましょう。

モノやサービスを具体的にしていく中で何度もブラッシュアップを重ね、他社にはない独自の価値が創造できるといいですね。

3.「どうやって」

販売方法は?

最後に、流通経路を決めていきます。

  • 受注生産
  • 店舗販売
  • 通信販売

など、どの販売形態が顧客にアプローチしやすいか考えてみましょう。

また、商品を宣伝するマーケティング方法についても合わせて考えます。ネットショップでの販売・SNSを活用した広報活動など、販売・広報に資金を割かずに事業を行うこともできますよ。

 

2.資金の計画・調達方法

具体的なビジネスモデルが決まったら、次に実際に資金を集めていきます。

資金調達は、

  • 企業資金の把握
  • 自己資金を貯める
  • 融資や助成金など他者から調達

というステップで行なっていきます。

 

(1)必要な起業資金を試算・把握する

どれくらいの資金が必要かわかっていないと、集めようにも集められません。資金が潤沢であるに越したことはありませんが、起業するにはどれくらいの金額がかかるのか把握しておきましょう。

 

店舗・事務所・機械などにかかる設備資金

起業するのにまずかかるのは、店舗・事務所・機械などにかかる設備資金です。設備資金は、起業資金の中でも大きな割合を占めることが多くなります。

 

以下のようなものが、設備資金に含まれます。

  • 店舗・事業所関係:敷金、礼金、仲介手数料、改装費、看板制作費 など
  • 設備費:机、椅子、パソコン、プリンター、電話、車、レジスター、棚、厨房機器 など
  • 備品費:ユニフォーム、食器、事務用品 など
  • 広告宣伝費:チラシ、Webサイト、雑誌広告 など

 

店舗や事務所を借りるための初期費用は、家賃の10ヶ月分くらいが目安。改装などを行う場合、さらに500〜2,000万円ほどかかることもあります。

古殿
古殿
なお、必ずしも事業所が必要ないビジネスモデルなら、まずは自宅で始めると大幅に資金を節約できますよ。

 

仕入れ・給料・広告費などの運転資金

次に、仕入れ・従業員の給与・広告費など、事業を運転していくための資金も必要です。以下のような費用(運転資金)が毎月いくらかかるのか把握しておきましょう。

  • 家賃
  • 人件費・経営者の生活費
  • 仕入れ代金
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 借入れ返済額

 

古殿
古殿
運転資金が尽きるのが早いと、起業直後に倒産を余儀無くされてしまいます。事業が軌道に乗るまで、半年〜1年くらいは赤字でも運転できるくらいの資金は用意しておきたいものです。

 

(2)自己資金を貯める

自己資金とは自分の貯金の中で事業に回せる資金のことです。返済や利息が必要ないので、自己資金の割合が高いほど余裕を持って事業を運営することができます。可能であれば、全て自己資金で起業できるのが理想でしょう。

ただし、融資の審査は起業時より起業後の申込みの方が厳しくなります。自己資金のみで起業すると、もし立ち行かなくなって融資を受けたいときに審査が通りにくい場合があるので注意が必要です。

 

(3)他から調達する場合

自己資金だけでは起業できない場合、他から融資を受けて起業資金を調達します。

 

金融機関から融資を受ける

銀行などの金融機関から融資を受けるのはとてもポピュラーな方法です。

しかし、個人で起業をしたい場合、メガバンクから創業融資を受けることは基本的にできません。地方銀行は、地元の起業家を応援する意味もあって起業融資に積極的なことが多いです。

 

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する

日本政策金融公庫は、少額の融資で起業家を応援してくれます。事業実績がない企業でも、無担保・無保証で3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで融資を受けることが可能です。

 

助成金・補助金など自治体の支援制度を利用する

国や自治体が、起業家を応援するための助成金・補助金を設けていることもあります。事業内容や事業所を置く場所によって限定的に受けられる助成金・補助金もあるので、ビジネスモデルを考えるときにチェックしておきましょう。

 

クラウドファンディングを活用する

近年注目されている資金調達方法が、クラウドファンディング。インターネットを通じて、事業内容に賛同してくれる人たちから少額ずつ融資を募るものです。

資金調達段階からPRの代わりになるので、マーケティングを兼ねることもできます。

 

3.起業の種類

次に、起業に向けての手続きを行います。

  • 法人を設立する
  • 個人事業主として開業する

それぞれの方法で、必要となる手続きが異なります。

 

(1)法人を設立する

法人を設立するには、公証人役場・法務局・税務署・年金事務所・労働基準監督署での手続きが必要です。

 

以下のステップを踏んで、法人登録をしていきます。

  • 定款を作成し、公証人役場の認証を受ける
  • 法務局に行き、設立登記を行う
  • 税務署に行き、法人設立届出書を提出する
  • 年金事務所で、健康保険と厚生年金保険加入の手続きをする
  • 労働基準監督署で、労働保険加入の手続きをする(従業員を雇う場合)

 

(2)個人事業主として開業する

個人事業主として開業するのは、法人の設立よりもずっと簡単です。

 

手続きは税務署で開業届を提出するだけ

 

個人事業主として起業する手続きは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけです。この手続きは、開業から1ヶ月以内に行います。費用は特に必要ありません。また、青色申告を行う場合や、従業員を雇って給与を支払う場合は別の届け出が必要になります。

このような計画がある場合は、開業届と一緒に手続きを行うとスムーズです。

 

4.高校生におすすめ!大学で起業を勉強できる時代

アップルやマイクロソフト、フェイスブックなど、学生起業家が起こした大企業は多数あります。若い起業家は、フレッシュなアイデアや学生のエネルギーを利用できるのが最大のメリットです。

 

(1)起業家支援施設や育成施設がある

「起業をしてみたいけど、知識がなくて不安」という学生向けに、起業家支援施設や育成施設が増えています。知識が豊富なスタッフや、同じく起業を志す仲間と出会う場にもなるため、起業を考えている学生は一度訪れてみるのがおすすめです。

起業に役立つ知識はもちろん、空き店舗の斡旋や起業後の経営相談をしてくれる施設もありますよ。

 

(2)学生の企業への出資制度がある大学も

学生の起業をサポートするために、学生の企業に出資などの支援を行う大学があります。

 

  • 日本経済大学
  • 慶應義塾大学
  • 早稲田大学
  • 京都大学
  • 大阪商業大学
  • 同志社大学
  • 岡山大学
  • 九州情報大学

など

 

大学時代に起業をしたいと思っている高校生は、起業家支援を軸に大学を選んでみてはいかがでしょうか。

 

(3)専属アドバイザーがいることも

学生の起業支援に力を入れている大学では、専属の起業アドバイザーの力を借りられることもあります。経済・経営系の学部なら、豊富な知識を持つ教授が相談に乗ってくれることも。

学生起業家は、周りの力を借りやすいというメリットもあるのです。

 

5.独立起業するのは難しい?

独立起業は、決して難しいことではありません。元手がかからず、パソコン一台で始められる事業もあります。まずは挑戦してみて、軌道に乗りそうなら本業化するというのも一つの方法です。

 

(1)会社に勤めながらネット副業 週末起業する人も

今は、クラウドソーシングなどを利用して誰でもフリーで仕事ができる時代です。ライティング、プログラミング、デザインなど、仕事で培ったスキルがあれば、会社の給与より高収入が得られることも。まずは副業から始め、事業が軌道に乗ったところで退職して本業化すると、収入が途切れることがなく安心です。

 

(2)女性起業家も増加 主婦の趣味・経験を活かした起業例

結婚後は家に入るのではなく、自分のスキルを活かした起業をする女性も多くなっています。

 

子育て経験を活かして 育児ビジネス

子育て中、様々な不便に気づいて「こんな商品・サービスがあればいいのに」と思う女性は多いです。そんなアイデアを行かせるのが、子育て経験のある女性による育児ビジネス。子育て中のピンポイントなニーズを押さえた商品やサービスなど、女性による育児関連の起業が注目されています。

また、自分の子育てが終わったあと、ベビーシッターとして活躍する女性も多いですね。

 

自宅でできる お教室やエステサロン

料理・洋裁・ヨガ・フラワーアレンジメントなど、自分の興味や特技を活かせるのが自宅で行うお教室。結婚や出産で退職したエステティシャン・ネイリストが、自宅でサロンを開くというケースも多いです。家庭の都合で出勤や長時間勤務が難しい、人に教えられる特技があるという女性におすすめの起業方法です。

 

カフェなどの飲食店経営も 

「個人で起業」というと思い浮かべる人の多い、カフェなどの飲食店経営。飲食店経営には保健所の飲食店営業許可、お酒を扱う場合は税務署の酒類販売業免許が必要ですが、スキルの面では比較的ハードルが低い起業方法です。

 

6.起業を考えたら

「起業」というワードが頭に浮かんだら、まずは行動あるのみです。経営者には行動力が必須スキルですから、第一歩を踏み出してみるのが大切ですよ。

 

(1)まずはネットや本で勉強してみる

起業に関するノウハウを書いた本は、書店に数え切れないほどあります。また、インターネットでは無料の起業関連サイトも多く、知識の入り口としておすすめです。漠然と「起業したい」と思うだけでは始まりません。本やネットの知識をもとに起業について多方面から考えてみましょう。

 

(2)税金やお金の知識は必須

ビジネスは理想や熱意があれば成功するものではありません。起業をするなら、一般常識以上の税金やお金の知識は必須となります。できれば簿記の資格を持っていると、起業後に帳簿付けなどの作業がスムーズにできますよ。

 

7.まとめ

起業するには、実現可能なビジネスモデルを具体的に考えるのが大事です。その後、起業するまでには資金調達・起業の手続きというステップがあります。

学生や主婦、いま会社勤めをしている方でも、やり方次第で起業は可能です。

古殿
古殿
起業したいと思ったら、まず知識集めから始めてみましょう!

 

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2019/06/18 役員報酬を変更するには?覚えておきたいポイントまとめ

法人税や社会保険料の節税のためには、役員報酬は注意深く決定する必要があります。そんな役員報酬を変更したい場合、どのようにすればいいかはご存知ですか?

実は、役員報酬を変更できる時期や手順は、厳密に決められているのです。

古殿
古殿
ここでは、役員報酬はいつからいつまで変更できるのか、時期を逃した場合の注意点など、詳しく解説していきます。

 

1.役員報酬の変更は「事業年度開始日から3か月以内」

役員報酬はいつからいつまで変更できるのかというと、会社設立時または事業年度のはじめから3ヶ月以内です。この期間中に一度のみ変更することができます。

原則として、事業年度中に理由なく役員報酬を変更することはありません。役員報酬を頻繁に変更できないのは、節税が目的の利益操作を防ぐためです。

 

しかし、業績などの理由で、どうしても役員報酬を変更しなければいけないという場面もあるでしょう。そういった場合、どのような手続きをして役員報酬を変更すればいいのかを解説していきます。

 

2.役員報酬の変更手続きの手順

それでは、具体的に役員報酬を変更するための手順を見ていきましょう。役員報酬を変更できる時期や手続き方法、いつから変更ができなくなるかなどを解説いたします。

 

(1)税法上の役員報酬の規定とは?

役員報酬とは、その名の通り会社の取締役会を形成する役員に支払われる報酬です。一般的には、株主総会で役員報酬の総額を決め、取締役会か代表取締役が役員それぞれの報酬額を決めます。

 

税務上、役員報酬には以下の3つのルールがあります。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 利益連動給与

 

前提として、一度決定すると、役員報酬は事業年度の期首から終わりまでずっと一定額を支払わなければなりません。先ほども少し触れましたが、これは不正な利益操作を防ぐためで、「定期同額給与」と言います。期首からずっと同額の報酬を支払っているので、恣意的な利益操作はできなくなります。

 

また、役員に賞与を出す場合には、あらかじめ税務署に給与額を届け出る必要があります。これを「事前確定届出給与 」といい、賞与で利益操作をすることを防ぎます。

最後の「利益連動給与 」は有価証券報告書から算出されるものなので、通常は上場会社のみしか用いることはありません。

古殿
古殿
これらの規定に当てはまる役員報酬は、税務上で「損金」に計上することができます。

 

(2)年度開始時に変更する場合

役員報酬は事業年度の期首から変更するのがスムーズです。役員報酬を変更する際は、期首から3ヶ月以内に株主総会などで役員報酬の変更を決定し、議事録に残して保管します。合同会社の場合は、同意書などを作成して議事録同様保管しておきましょう。

議事録などの証拠を残しておかないと、税務調査の際に不正とされて追徴課税が必要になってしまうことも。また、この議事録は社会保険料を変更する際に提出を求められる場合もあります。

 

(3)年度の途中で役員報酬を変更するには

年度の途中で役員報酬を変更することは、特段の理由がない限り認められていません。特に、期首から4ヶ月以上すぎた後に増額された金額は損金算入ができません。損金に算入できないと、法人税と所得税が二重課税されることになってしまいます。

 

損金にならなくても構わないなら、期首での変更と同じく株主総会で決定し、議事録を残せば変更自体は可能です。ただし、税金の二重払いとなり結果的に損をするので、どうしても必要な時以外には増額はしないほうがいいでしょう。

 

(4)役員報酬はいくらに設定すればよい?

先に解説した通り、役員報酬は株主総会が、役員一人ひとりの報酬は取締役会や代表取締役が決めます。

とは言え、中小企業の場合、社長本人が大株主という場合が大半です。役員の仕事に対する適正な給与というよりは、節税の観点で役員報酬を決めることが多くなっています。

 

数年前までは、社会保険への加入督促が厳しくなかったため、社会保険に加入しない場合は法人の利益がゼロになるように役員報酬を定めるのが税制上有利でした。しかし、社会保険料を考慮に入れると、法人に利益を残し、社会保険料を抑えた方が節税になるケースが多いです。

給与と同じく、役員報酬にも社会保険料はかかるため、個人負担・法人負担両方の社会保険料を考えて役員報酬を決めなければなりません。

 

社会保険料を考慮した場合、以下の金額でもっとも節税することができます。

  • 法人利益 〜500万円の場合:役員報酬 0円
  • 法人利益 1,000万円の場合:役員報酬 200万円
  • 法人利益 2,000万円の場合:役員報酬 500万円
  • 法人利益 3,000万円〜の場合:役員報酬 500万円

 

ある程度会社の規模が大きくなると、役員の手取りを多くするだけではなく、会社にお金を残して成長させることも大切です。

古殿
古殿
具体的には、正社員を雇いだすくらいの時期からは、会社の成長も視野に入れて役員報酬を決定しましょう!

 

3.年度の途中で役員報酬を変更できるケースとは?

例外として、期首以外の時期に役員報酬を変更できる場合もあります。それはどんな理由なのか、ケース別に解説していきます。

 

(1)就任又は退任する場合

新たに役員が就任したり、すでにいる役員が退任したりする場合、役員報酬を変更することができます。

取締役会に加わったり退任したりする時期は期首ではなくても問題ありません。事業年度中に役員になれば当然年の途中から報酬が支払われますし、途中で退任した場合は以降の報酬は無くなります。このようなケースでは、「臨時改定事由」として役員報酬の変更が認められます。

 

(2)役職や職務内容に変更がある場合

役員の中で、平の取締役から上級役員になった場合など、地位や職務に重大な変更があった場合も役員報酬を変更できます。

職務内容が変更されれば、報酬も変わるのが当然。そもそも役員報酬を簡単に変えられないのは不正な利益調整を防ぐためなので、こういった変更は問題ないという訳です。

 

(3)会社の経営状況が悪化した場合

会社の経営状況が著しく悪化した場合も、役員報酬を変更できるケースの一つです。経営状況が著しく悪化しているかどうかは誰が判断するかというと、税務署や国税局です。客観的な事情や銀行や取引先などとの関係上、どうしても役員報酬を減額せざるを得ないと判断された場合は、役員報酬の変更が認められます。

 

(4)その他の特別な事情

その他、会社の合併や役員の休職など、特別な理由があれば役員報酬の変更が認められる場合もあります。事情は個々のケースで違うため、疑問があれば顧問税理士や所轄の税務署に問い合わせてみましょう。

 

4.事業年度の途中で役員報酬を変更する際の注意点

事業年度の途中で役員報酬を変更する場合も、株主総会で決定し議事録を残すという手順は同じです。役員報酬を増額する場合・減額する場合それぞれの注意点を解説していきます。

 

(1)減額したい場合

事業年度の途中で役員報酬を減額する場合、特に税制上不利になるようなことはありません。

ただし、役員報酬の減額は固定制賃金の減額にあたるため、日本年金機構に届出をする必要があります。なお、税務署等への届出は不要です。

 

(2)増額したい場合

繰り返しになりますが、事業年度の途中で増額した分の役員報酬は損金算入ができません。

理由のない役員報酬の増額は、利益操作と見なされる可能性があります。増額すること自体は可能ですが、増額ぶんは損金にならず二重課税となるため注意しましょう。役員報酬の増額は、期首まで時期を待って行うのがおすすめです。

 

5.まとめ

事業年度中に役員報酬を変更できないのは、あくまで利益調整を防ぐためです。正当な理由がある場合は、きちんと手順を踏めば増額も認められます。

役員報酬の決め方やいつから会社に利益を残していくかというのは、会社の成長戦略の一つでもあります。

古殿
古殿
なるべく変更をしなくて済むよう、法人税や社会保険料を念入りに計算して決定しましょう。

 

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2019/05/27 中小企業の経営者必見!2019年の助成金まとめ

助成金や補助金の利用は、中小企業の経営戦略には欠かせません。しかし、年間で5,000種類以上の中小企業向けの助成金や補助金が発表されているため、知らなくて損してしまうことがないよう自社が活用できる助成金をあらかじめ知っておかなければなりません。

古殿
古殿
ここでは、2019年版の中小企業が活用できる助成金一覧をまとめてご紹介します!

 

1.助成金とは

助成金は、主に厚生労働省の管轄によるものです。

女性や高齢者の雇用の促進や正社員の増加など、国が抱えている雇用の課題を改善するために取り組んでいる企業に対して一定額交付されるお金のことです。

 

一方補助金は、経済産業省が管轄していて、国の政策目標の達成に貢献する企業に交付されるお金です。例えば、新規創業をサポートする補助金や、社屋の防火や耐震リフォームに対して一定額が交付されるお金などのことです。

 

助成金と補助金の違いは、「雇用問題に関するお金」と「政策に関するお金」と覚えておくといいでしょう。国の省庁以外に、地方自治体や民間の団体が交付している助成金・補助金もあります。

また、助成金は支給要件をみたすと支給されるのが基本ですが、補助金は要件をみたした上で、さらに事業計画書などによる選抜制が基本になるという違いもあります。

古殿
古殿
もちろん、助成金も要件をみたせば絶対支給されるというものではありません。

 

2.国から受け取れる助成金一覧

2019年現在、国から受け取れる助成金を一覧でご紹介します。一覧と言っても、助成金の種類はあまりにも多く、全てはご紹介しきれないので、有名なものや中小企業が利用しやすいものについて解説していきます。

 

(1)キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、パートやアルバイトなど、非正規雇用の従業員をキャリアアップさせたいときに利用したい助成金です。「正社員として雇用する」以外にも、「職業訓練を受けさせる」「賃金規定を改定する」など全部で8通りのコースがあります。

創業後経営が軌道に乗り正社員を増やしたいときなど、人事に関する変更をしたい際にはチェックしておきましょう。

支給金額は、該当する従業員1人あたり60万円です。

 

(2)トライアル助成金

「トライアル助成金」は、経験不足など就職が困難な求職者を3ヶ月試験雇用することで支給される助成金です。普通に就職活動をしているだけでは履歴書段階で落とされてしまうような人材を、助成金をきっかけに雇用してもらい常用雇用に繋げることが目的となっています。

 

未経験者を試験雇用する「一般トライアルコース」、障害者を雇い入れる「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」、35歳以下の若年者や女性を建設労働者として雇い入れる「若年・女性建設労働者トライアルコース」の3つがあります。トライアル後の常用雇用は義務ではないため、経験不足でもまずは人手が欲しいという中小企業におすすめの助成金です。

 

支給金額は1人あたり1ヶ月4万円(一定の要件を満たせば5万円)で、最長3ヶ月で12〜15 万円となっています。

 

(3)職場定着支援助成金

「職場定着支援助成金」は、離職率の低下を目的とした助成金です。離職率低下のための「評価・処遇制度」「研修制度」「健康づくり制度」「メンター制度」を導入・実施した企業に支給されます。各種制度を導入することで40万円、さらに、その結果離職率低下の目標を達成できれば60万円が追加で支給されます。

古殿
古殿
また、介護事業・保育事業主が介護労働者・保育労働者の離職率低下に取り組んだ場合にも、一定の助成金が支給されます。

 

(4)労働移動支援助成金

「労働移動支援助成金」は、事業縮小により従業員の解雇を余儀なくされた時に役立つ助成金です。

離職を余儀なくされた従業員に対し、職業紹介事業者や教育訓練施設での再就職支援・職業訓練を企業が提供する場合に支給されます。また、従業員が求職活動をするための休暇に対しても助成金が支払われます。

古殿
古殿
申請には、職業紹介業者に委託契約をした翌日から2か月以内に「利用確認券」の発行手続きが必要です!

 

(5)三年以内既卒者等採用定着奨励金

既卒者・中退者を従業員として雇い入れる時に使えるのが「三年以内既卒者等採用定着奨励金」です。求人を新卒者だけでなく既卒者も応募可能とし、採用してから一定期間定着させると事業主に奨励金が支給されます。

中小企業では、採用後1年で既卒者1人に対し50万円、中退者1人に対し60万円が支払われます。2人目以降は既卒者15万円、中退者25万円です。その後は1年1人あたり10万円が支払われ、3年定着させると1人最大80万円を受け取ることが可能です。

さらに、若者雇用促進法に基づく認定企業(ユースエール認定企業)は、1年目の雇用に対して10万円が加算されます。

 

3.地方自治体から受け取れる助成金一覧

次に、2019年現在、都道府県や市町村など、地方自治体から受け取れる助成金を一覧でご紹介します。

こちらも数が多く全ては解説しきれないため、中小企業や創業者が利用しやすい代表的なものや、地方ならではのユニークな助成金をいくつか解説していきます。

 

(1)東京都:創業助成金

東京都の「創業助成金」は、東京都内での創業を具体的に計画している人や、創業5年未満の中小企業に対して交付される助成金です。

都内所在の創業支援施設に入居していることや、都が実施した創業支援プログラムに参加したなど、17ある条件のうち1つを満たしていれば交付を受けることができます。

古殿
古殿
東京都の創業助成金支給額は300万円で、事業所の賃借料・広告費・設備投資などに用いることができます。

 

(2)大阪府:業務改善助成金

「業務改善助成金」は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内の最低賃金を引き上げるための制度です。 事業場内の最低賃金を30円引き上げることで、該当する労働者の人数により50〜100万円が支給されます。

さらに、賃金改善のために必要となった設備投資についても、費用の一部が助成されます。

 

(3)北海道札幌市:映画・ドラマ制作助成金

札幌市の「国際共同映像制作助成金」は、札幌市内の映像事業者や広告代理店が、北海道・札幌を舞台にした映画やドラマを政策すると交付される助成金です。北海道や札幌の魅力を国内・海外に広め観光客を誘致することが目的で、撮影にかかった経費が上限1,000万円まで支給されます。

地方自治体には、このように地方ならではのユニークな助成金や、観光客誘致を目的とした助成金も数多くあります。

古殿
古殿
各地方自治体の助成金は、助成金のポータルサイトなどでチェックできますよ!

 

4.助成金を利用する時の注意点

助成金や補助金は、基本的に後払いです。銀行からの融資や出資のように、審査に通った時点で入金されすぐに使えるというわけにはいかないのです。

例えば、設備投資などが要件の助成金の場合、先に手持ちのお金で設備投資をし、その経費を報告・確認されて初めて助成金が入金されます。そのため、助成金が支給される要件を「これから満たそうとしている」という形では助成金は申請できません。

 

また、人気の高い助成金は競争率が高くなるため、申請したからといって必ず支給されるわけではありません。要件をきちんと満たしていなければ採択されませんし、満たしていても他に魅力的な企業が応募していると採択率が低くなります。

古殿
古殿
応募の際はきちんと要件を確認し、もし助成が受けられなくても成り立つ経営を心がけましょう!

 

5.まとめ

2019年版、中小企業向けの助成金をご紹介してきましたが、いかがでしたか?

助成金は、利用できるものはした方が絶対に得です。

古殿
古殿
企業にも社会にもメリットがあるものなので、新規事業を開始したり人材を雇い入れたりする時には、該当する助成金がないかどうかチェックしておきましょう。

 

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2019/05/20 会社設立に必要な費用とは?なぜ必要?

自分で会社を設立する時、まず心配なのが費用のこと。

今回は、株式会社設立・合同会社設立にかかる費用を、項目ごとにご紹介します。会社設立にまつわる手続きを自分で行なった場合・行政書士に依頼した場合それぞれについて解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。

古殿
古殿
会社設立の費用を経費として計上するときの方法やその科目についても解説します!

 

1.会社設立の費用っていくら?

会社設立の費用は、株式会社か合同会社かによって異なります。

株式会社と合同会社の違いは、大まかにいうと株式を公開できるかどうか。株式を持つ株主がいるかどうかで、資金調達や会社の意思決定の面で違いがあります。

会社設立の費用においては、株式会社と合同会社では登記費用や登録免許税の額が異なります。それぞれの会社設立にかかる費用について、詳しく見ていきましょう。

 

2.会社設立に必要な費用|株式会社

まず、株式会社設立に必要な費用について見ていきましょう。株式会社設立には、「登記」という手続きが必要になり、費用も大部分は登記に関わるものとなっています。

 

(1)株式会社設立に必要な法定費用

株式会社設立にかかる費用は、242,000円です。これは、資本金や開業のための設備投資、行政書士への報酬などは含まず、株式会社を登記するための法定費用です。

 

金額の内訳は、以下のようになります。

  • 定款の認証手数料:50,000円
  • 定款の謄本手数料:2,000円
  • 定款に貼る収入印紙代:40,000円
  • 設立にかかる登録免許税:150,000円

 

「定款に貼る収入印紙代」の40,000円は、電子定款を選択すれば不要となります。しかし、電子定款の作成には専用の機器が必要で、行政書士への依頼が必要になるため、依頼をせず自分で株式会社設立をする場合には24万2,000円の実費がかかります。

また、「設立にかかる登録免許税」150,000円に関しては、資本金の0.7%が150,000円を超えている場合には不要です。ということは、資本金が2,140万円以上ある場合には「設立にかかる登録免許税」は不要ということになります。

 

(2)株式会社設立に必要な雑費

会社設立のために必要な費用には、上で解説した法定費用の他に以下のものがあります。

 

  • 設立する会社の実印作成費:5,000円程度
  • 設立時に必要な個人の印鑑証明取得費:300円×必要枚数
  • 新しい会社の登記簿謄本の発行費:500円×必要枚数

 

これらの費用が合わせて10,000円程度となるため、株式会社設立には25万円ほどかかるという認識を持っていればいいでしょう。

 

(3)株式会社設立を行政書士に依頼する場合

上でご紹介した金額は会社設立の手続きを全て自分で行なった場合のため、行政書士などの専門家に依頼した場合には別途代行手数料がかかります。代行手数料の相場は、50,000〜90,000円ほどです。

 

行政書士に依頼した場合には、電子定款での手続きとなるため収入印紙の40,000円が不要となります。そのため、行政書士に株式会社設立を依頼した場合、260,000〜300,000円ほどが費用としてかかると考えておきましょう。

 

3.会社設立に必要な費用|合同会社

次に、合同会社を設立する場合の費用をご紹介します。合同会社の設立は、株式会社に比べて費用を抑えられ、手続きもシンプルです。

 

(1)合同会社設立に必要な法定費用

合同会社設立の費用は、100,000万円です。こちらも、資本金や行政書士への報酬を除いた法定費用の実費となります。

費用の内訳は、以下の通りです。

 

  • 定款に貼る収入印紙代:40,000円
  • 設立にかかる登録免許税:60,000円

 

株式会社設立と同じく、「定款に貼る収入印紙代」40,000円は、電子定款を選択した場合はかかりません。また、「設立にかかる登録免許税」60,000円は、資本金の0.7%が60,000円以上なら不要となるため、資本金が857万円以上あれば必要ありません。

 

(2)合同会社設立に必要な雑費

合同会社設立にも、株式会社設立と同じく以下の雑費がかかります。

 

  • 新しく設立する会社の実印作成代:5,000円程度
  • 設立時に必要な個人の印鑑証明取得費:300円×必要枚数
  • 新しい会社の登記簿謄本の発行費:500円×必要枚数

 

これらの合計は約10,000円のため、合同会社設立には約110,000円かかると思っておきましょう。

 

(3)合同会社設立を行政書士に依頼する場合

合同会社設立の代行を行政書士に依頼した場合、代行手数料の相場は40,000〜80,000円ほどです。その場合は電子定款となり収入印紙代が不要となるため、合同会社設立を行政書士に依頼した場合の費用は110,000円〜150,000円ほどとなります。

 

4.会社設立のコストを削減する方法

 

会社設立には一定の費用がかかりますが、できることなら安く済ませたいものです。コストを抑えて会社設立する方法はあるのでしょうか。

 

(1)資本金を多く用意する

会社設立にかかる費用は、ほとんど法定費用といって必ずかかる費用です。そのため、大幅にコストを削減するのは難しいですが、一つ目の方法として、まず資本金を多めに用意するということがあります。

先にも触れましたが、「設立にかかる登録免許税」は資本金が株式会社で2,140万円、合同会社で857万円以上ある場合には必要ありません。それぞれ15万円・6万円の費用が削減できますので、可能なら資本金を多く用意すると会社設立の費用が大幅カットできます。

ただし、資本金が1,000万円を超えてしまうと税制の優遇が受けられなくなり、削減したコスト以上に損をしてしまうこともあるため注意しましょう。

 

(2)行政書士に依頼する

行政書士に依頼して、電子定款を利用すれば「定款に貼る収入印紙代」4万円を節約することができます。もちろん行政書士への報酬が別途かかりますが、会計事務所によっては、会社設立後の顧問契約を条件に会社設立代行を無料で行なってくれる場合もあります

さらに、行政書士は会社設立にあたってのアドバイスも行なってくれるので、初めて会社設立する方には心強い存在です。4万円のコストを削減しつつ専門家のサポートも受けられるので、会社設立には行政書士の手を借りるのがおすすめです。

 

(3)合同会社を設立する

会社設立費用を大幅に削減する方法としては、株式会社ではなく合同会社を設立するという手もあります。

先に解説した通り、株式会社の設立費用は約25万円、合同会社の設立費用は約10万円と、15万円ほどの差があります。合同会社は株式を発行できないため資金調達が難しいですが、株主がいない分会社の意思決定がスムーズというメリットもあります。

古殿
古殿
会社設立の手続きも合同会社の方がシンプルなので、とにかく費用と手間を削減して会社を設立したいという方は合同会社という方法もあることを覚えておきましょう。

 

5.会社設立費用を自分で立替えた場合は?

会社設立のためにかかった費用は、もちろん会社設立後に経費として計上します。会社設立費用を経費として計上するときは、全ての費用を会社の設立日に発生したものとして総勘定元帳に記入します。

 

経費として計上する方法は複数ありますが、社長が会社設立費用を全て立替えた場合、貸方に「役員借入金」「短期借入金」「未払金」「仮受金」などの科目を用いて記入しましょう。

または、会社の設立日に現金で清算したことにして、現金出納帳に記載することもできます。この場合の科目は「創立費」「開業費」などを用います。

ちなみに、会社設立までにかかった費用は法定費用だけではなく、法務局の駐車場代や定款のコピー代、行政書士と打ち合わせに使ったカフェ代など、細かな経費まで「創立費」の科目で計上できます。

古殿
古殿
これらの「創立費」の科目は、決算時に全額を償却するか、5年で償却する処理をします。

 

6.まとめ

会社設立の費用は、株式会社か合同会社か、自分で手続きを行うかなどによって変わってきます。

古殿
古殿
損してしまうことのないよう、ご紹介した情報をしっかり理解しておいてくださいね!

 

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