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2018/12/11 連結決算とは?何を連結するの?対象となる会社と作成手順を解説

連結決算とは、一つの会社だけではなく親会社、国内の子会社、海外子会社、その他の関連会社全て一括で決算をすることです。企業グループ全体で貸借対照表、損益計算書を連結財務諸表として作成し、公開します。

現在は、上場企業を対象に連結決算が義務付けられています。

この記事では、そんな連結決算について解説していきます。中小企業も対象となるのかどうかや、連結決算のメリット、連結決算の具体的な進め方についても詳しくご紹介します。

古殿
古殿
連結決算は、上場している大企業には義務化されている大切な作業です!

 

1.連結決算とは?

連結決算とは、一つの会社だけではなく、親会社と子会社、国内・海外の関連会社全て一括で決算をすることです。連結決算では、グループ全体の損益計算書や貸借対照表を連結財務諸表として公開します。

現在は、上場企業を対象に連結決算が義務付けられています。

企業が大きくなって経営が多角化すると、それぞれに特化した子会社や関連会社を作って効率的に経営をしていくことになります。何百・何千と子会社がある大企業の場合、親会社のみの決算を発表しても経営状況の指標にはなりにくく、投資家や株主、取引先など利害関係のある相手先の判断の参考にならないのです。

そのため、親会社と、関連のある子会社で合算した連結決算が必要となります。

上場していない中小企業は特に義務付けの対象にはなっていませんが、子会社がある場合は経営状況を明らかにするために自主的に連結決算を行う場合もあります。

古殿
古殿
大企業・中小企業問わず、連結決算を行う企業グループのことを連結グループと呼びます。

 

2.全部連結と持分法の違いとは?

全部連結持分法の違いは、適用される対象にあります。基本的に、親会社の支配力が認められる子会社は全部連結、親会社の影響が認められる関連会社は持分法が適用の対象です。

また、決算を合算する時に、全部連結では親会社と子会社を100%連結してから少数株主持分を控除するのに対し、持分法では最初から親会社持分だけを加算します。

そのため、親会社の持ち株率の低い子会社を全部連結した場合、子会社の業績が決算に過大に反映されます。

 

子会社の業績が良ければ実際より見栄えのいい決算書になるというメリットがありますし、業績が悪ければ逆にグループ全体の経営状況が過大に悪く見せるデメリットがあります。

先にご紹介したように、投資家や株主、取引先は連結決算を見てその会社の業績を判断します。

古殿
古殿
そのため、どの企業を子会社・関連会社とするか、全部連結・持分法どちらの適用対象になるかは親会社にとって大きな問題なのです。

 

3.連結決算の対象になるのは?

連結決算が義務付けられている対象は、有価証券報告書を提出する大企業です。子会社を持っている企業でも、上場していない中小企業は対象になりません。

 

ただし、義務付けの対象になっていない中小企業であっても、取引先や株主に開示するために連結決算を作成するのは自由です。

グループ全体の経営状況が明確になりますし、先に解説したように子会社の業績によってはより決算書の見栄えが良くなるというメリットもあるので、非上場の中小企業でも連結決算を作成する場合もあります。

 

企業が連結決算をする時に合算する対象は、先にもご紹介しているように子会社と関連会社です。

詳しく説明すると、子会社とは

  • 親会社の持ち株が50%以上の会社
  • 持ち株率40〜50%かつ、親会社と同一の株主の持分と合わせると過半数になる会社
  • 持ち株率40%以下かつ、親会社と同一の株主の持分と合わせると過半数になり、さらに親会社の役員・従業員が取締役会の過半数を構成している会社

となります。

 

関連会社は、

  • 親会社の持ち株が20%以上の会社
  • 持ち株率15〜20%かつ、親会社と同一の株主の持分と合わせると20%を超える会社
  • 持ち株率15%以下かつ、親会社と同一の株主の持分と合わせると20%以上になり、さらに親会社の役員・従業員が取締役会の過半数を構成している会社

です。

 

これらの会社は全て、全部連結または持分法で連結決算の対象となります。

 

4.連結決算の流れは?

連結決算を行う流れについて、解説していきます。

 

(1)連結範囲の確認

連結決算をする時は、まず連結範囲の確認から始まります。

どの子会社・関連会社が連結決算の対象になるか判定するために、支配力や重要性などのデータを収集します。

それらのデータを元に、今期の連結決算の対象となる子会社・関連会社を確定させます。

 

(2)子会社・関連会社からの情報収集

連結範囲が確定した後、持ち株率や役員兼任状況、出向者、取引依存率など親会社との関連度を整理します。これらの情報が財務諸表を合算する際の合算方法に影響します。

また、所在地区分や事業セグメントなど、子会社の基本的な情報も集めます。

 

(3)期ズレ会社の対応

同じグループ内でも、決算期が親会社と違う子会社もあります。

そういった会社の場合、3ヶ月以内の期ズレであれば連結修正を行います。

 

(4)決算説明会

連結決算の対象となる子会社・関連会社に、決算手続に関する説明を行います。

 

5.連結決算書の作成手順

実際に連結決算書を作成してく手順を、ステップごとに解説します。

 

(1)子会社の決算情報を収集

まずは連結財務諸表を作成するため、子会社から個別財務諸表や関係会社取引明細、キャッシュフロー関連データなど、経営状況に関するデータを収集します。

これらのデータをもとに、連結決算の作業を行なっていきます。

 

(2)親会社と子会社の財務諸表を合算

データが集まったら、親会社と全ての子会社の個別財務諸表を合算します。

海外の子会社・関連会社の財務諸表は、あらかじめ円貨に換算しておきます。

 

(3)連結調整作業

個別財務諸表を合算した後で、親会社から子会社への、またグループ間の融資や取引を相殺します。

例えば親会社から子会社へある商品を販売した利益を100、その商品を子会社からグループ外へ販売した利益を150とします。単純に個別財務諸表を合算しただけでは利益250となりますが、これらの取引で実際にグループにもたらされた利益は50であることがわかります。

こうしたダブった取引を消去する作業が連結調整作業です。

 

(4)連結財務諸表の作成

連結調整作業のあと、連結財務諸表を作成します。

具体的に、作成する連結財務諸表は以下の4種類です。

  • 連結賃借対照表
  • 連結損益計算書
  • 連結キャッシュフロー計画書
  • 連結株主資本等変動計画書

 

6.連結決算のメリット・デメリット

連結決算の一番のメリットは、グループ全体の経営状況が明確になるということです。

投資家や株主への有用な情報になるのはもちろんですし、中小企業ならまだしも、大企業では親会社の経営陣も子会社一つ一つの経営状況までは把握していない場合が多いです。

また、これはグループ内での粉飾を防ぐことにも繋がり、不正を防げるというメリットもあります。

さらに、連結決算をする子会社の中に業績が好調な企業があると、グループ全体の決算書も実際より好調に見える場合もあります。

上場しておらず連結決算の義務がない中小企業も、これらのメリットのために連結決算をする場合があります。

 

逆にデメリットとしては、作業量の多さと煩雑さがあります。

連結範囲の確認に始まり、連結方針の確定、連結調整作業など、連結決算の際には決めることも実質的な作業量も多いです。

連結子会社が数社のみの中小企業でも大変な作業ですが、数百・数千の子会社を抱える大企業ではさらに膨大な作業量となります。

また、子会社が少ない、または子会社の持ち株率が低い中小企業では、1つの子会社の業績がグループ全体の連結決算書に過大に反映されてしまいます。

古殿
古殿
先にメリットとして挙げたように実際より見栄えが良くなる場合もありますが、業績の悪い子会社があるとグループ全体の経営状況も悪く見えてしまいます。

 

7.連結決算をするときの注意点

連結決算をするときの注意点は、数多くの子会社を抱える大企業では、連結決算に関わる担当者の人数が膨大になるということです。それを踏まえて、連結決算に関わる全員との意思疎通を確実にし、余裕を持ったスケジュールを組むことが必要になります。

親会社と子会社間で、必要な情報を素早く共有できるよう、事前にパッケージを作っておくなどの工夫が必要です。

古殿
古殿
グループ内に不慣れな経理担当者がいれば、事前に研修を行なっておくなどするのもスムーズな連結決算のポイントとなります!

 

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2018/12/04 管理会計ってなに?導入するメリット・デメリットを徹底解説!

御社では、管理会計を導入しておられますか?

管理会計は決まった形式がなく、必須のものではありませんが、導入すれば経営状況や経営目標が明確になる、とても効果的なシステムです。

今回は、そんな管理会計について詳しく解説していきます。

古殿
古殿
管理会計を導入する目的や具体例、財務会計との違いなどをご紹介していきますので、ぜひ最後までお読みください!

 

1.管理会計とは?

「会計管理」とは、企業の内部にいる経営管理者が見る会計情報のことです。

内部会計報告と呼ばれることもあり、基本的に社外の目に触れることはありません。

会計管理は自社の経営状況を確認したり、今後の経営計画の指標としたりするために作成されます。

会計管理は、期間も決まっておらず、決まったフォーマットもありません。そのため、週単位・月単位・数ヶ月単位など任意の期間で、企業ごとに異なった方法で作成されます。

 

集計項目にも特に決まりはありませんが、具体例を挙げると、

  • 経営分析(安全性、収益性、生産性、成長性など)
  • 原価計算(製品・店舗・個人別減価、損益計算など)
  • 変動損益計算書(損益分岐点の分析)
  • キャッシュフロー分析・経常収支計算
  • 予算管理・予実算管理

 

このような項目が会計管理に含まれます。

これらの情報が、会社の今後の経営戦略を考えるための材料となります。

古殿
古殿
会計管理は、企業のありのままの経営状況を把握し、今後繁栄していくための戦略を考える材料となる重要なものです。

 

2.管理会計と財務会計の違いは?

管理会計と財務会計の大きな違いは、会計管理は社内の経営管理者しか目にしないもの、財務会計は社外の目にも触れるものであるということです。

 

財務会計は、決算時に利害関係者に対して開示されます。利害関係者とは、具体例を挙げると株主・債権者・投資家・取引先など、主に企業と金銭のやり取りがある相手です。

要するに、管理会計で集計した情報を外部に開示するために作成されるのが財務会計です。財務会計を開示することで、企業と関係相手との利害の調整をする目的があります。また、財務会計は税務署に申告する際の書類としても使われます。

管理会計には決まったフォーマットがなく各社が独自に作成しますが、財務会計は外部に開示するもののため、決められた会計ルールに則って会計処理をする必要があります。

古殿
古殿
まとめると、管理会計と財務会計は、開示する相手・作成する目的・作成の方法が異なるということになります!

 

3.管理会計を導入するメリット・デメリットは?

管理会計を取り入れるメリットは、経営状況が明確になり、目標や成長戦略が立てやすくなるという点にあります。部門ごとに管理会計を作成すれば、具体的にどの部門で利益を出せているのか、あるいはどの部門が足を引っ張っているのかがわかります。

その上で経営戦略を立案することで、時期の利益目標やコストカット目標など、効果的かつ達成可能で明確な目標が立てられるようになるのです。

 

管理会計を導入していない企業では、成長目標がはっきりしていないという場合も実は少なくありません。また、部門ごとの目標はあっても、それを達成することが必ずしも企業全体の成長に結びつかないという場合もあります。

管理会計を導入して部門ごと、また企業全体の事業戦略を明確にすることで、各部門が一丸となって無駄なく企業の成長に寄与していけるのです。

さらに、経営戦略に基づく目標をトップダウンで各部門に伝えることで、現場の人員が経営者的な視点を持つことができ、より効率的な利益計上を見込むこともできます。

 

管理会計を導入するデメリットとしては、経理部門や現場の負担が導入前よりも増えることが挙げられます。当然ですが、管理会計導入前には必要のなかった手続きや書類が増えることとなり、慣れるまでは従業員の負担になったり、混乱が生じたりするかもしれません。

 

しかし、管理会計の導入には他に主だったデメリットもなく、企業が成長していく中で必ず必要なプロセスです。

古殿
古殿
手厚い研修を行ったり、他社で管理会計を扱った経験のある人員を雇用したりするなど、経理部門の負担とならないよう十分に下準備を行ってから導入するようにしましょう。

 

4.管理会計を導入するときのポイント

管理会計を導入するときのポイントを3つご紹介します。

(1)導入するタイミングを吟味すること

ポイント1つ目は、まず導入するタイミングを吟味することと、導入の目的を明確にすることです。具体例を挙げると、社員数名の小規模な企業で日々の報告書などで完全に経営状況が把握できている場合は、管理会計を導入しても余計な作業が増えるだけです。

かといって、経営状態が全く把握できておらず、原因不明の経営不振に悩んでから管理会計を導入するのでは遅すぎます。

管理会計の導入は企業の成長の中で必ず必要になるプロセスなので、経営陣の中で、事前に管理会計を導入するタイミングを明確にしておくようにしましょう。

また、管理会計を導入することで何をどのように改善したいのか、目的を明確にする必要があります。

古殿
古殿
目的がないまま管理会計を導入しても、現場や経理部門に余計な仕事を増やすだけになってしまいます。

 

(2)信頼できる導入パートナーを選ぶこと

ポイント2つ目は、信頼できる導入パートナーを選び、適宜アドバイスを受けていくことです。管理会計システムを独自に組み立てて導入するという企業は少ないはずです。

多くの場合、会計事務所やシステム会社に依頼してサポートを受けながら導入していくことになるでしょう。この導入パートナー選びも、管理会計を導入するときのポイントです。

管理会計を導入する目的は、もちろん経営状態を改善・成長させていくことです。信頼して会計情報を預けることができ、適切なアドバイスをしてくれる導入パートナーを選ぶのが、企業が成長する近道となります。

 

(3)管理会計の導入以後もPDCAサイクルを繰り返して効果検証をしていくこと

ポイント3つ目は、管理会計を導入して満足するのではなく、導入以後もPDCAサイクルを繰り返して効果検証をしていくことです。

管理会計システム導入時の形がその企業にとって最適のものとは限らず、運用していく中で、新たに集計項目に加えるべき項目や不要な項目、企業ごとに合った運用方法が見つかるかもしれません。

古殿
古殿
運用計画に沿って効果検証を繰り返し、導入後も自社に最適な運用方法を探っていきましょう。

 

5.管理会計システムの主な機能

管理会計システムの主な機能について、具体例を挙げながらご紹介していきます。

 

(1)会計情報の細かな分析

管理会計システムでは、部門別、商品別、プロジェクト別、期間別、地域別など、様々な切り口で会計情報を得ることができます。

この機能が役立つ具体例としては、会社全体の経営状態が悪化しているとき、具体的にどの部分に問題があるのか洗い出したい場合などが挙げられます。

会社全体の損益計算書だけを見ても、どの部門・どのプロジェクトに問題があるのかということは明らかになりません。

古殿
古殿
管理会計システムを導入することで会計情報を多角的に分析でき、効率的な業務改善が可能になります。

 

(2)予算管理と予実帳票

経営戦略を実践していく中で重要になるのが、予算管理と予実帳票です。具体例を挙げると、取引先から納入価格の引き下げ要求があった場合など、この機能を使ってどこまで金額を下げることが可能なのか事前にシミュレーションできることなどです。

他の具体例としては、導入したいシステムや機器を自社で作成した方がいいか、外部企業から購入した方がいいかなど、経営上の意思決定の参考にできることが挙げられます。

管理会計システムは、現在の経営状況を明確にするだけではなく、現在の状況から最適な判断をする目的でも使えるのです。

 

(3)経営状況の予測シミュレーション

管理会計システムのなかで最も有用な機能が、この経営状況の予測シミュレーションです。過去から現在に到るまでの会計情報を分析し、未来の予測を立てることで、今後の戦略や改善点を見つけることができます。

具体例としては、大幅な事業拡大や高額な設備投資をする際など、リスクの大きい投資をする際に役立ちます。

ただし、当然のことながら、システムの予測は100%当たるものではありません。しかし、目安になる予測を立てられることで、より安全性の高い経営戦略の実現が可能になることも管理会計システム導入の目的の一つであります。

 

(4)管理会計帳票の作成

最初の項目でも解説しましたが、管理会計には決まった形式がありません。そのためダウンロードして利用できる無料フォーマット等も多くありませんが、管理会計システムを利用すれば、自社に最適な管理会計帳票を作成することができます。

また、管理会計の情報を利用して、財務会計の作成も容易になります。

 

6.まとめ

管理会計は、明確な目的を持って導入すれば、企業の成長に非常に効果的です。

自社の経営状況が明らかになることで、具体的な数値目標や経営戦略も立てやすくなります。

古殿
古殿
管理会計の導入は、企業の成長に不可欠なプロセスです。タイミングと導入目的を吟味して、無理なく適切に取り入れられるようにしましょう。

 

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2018/11/30 確定申告のやり方のポイントまとめ!確定申告をわかりやすく解説

確定申告とは、その年の終了後に確定した所得と税額を税務署に申告する手続きのことです。

 

1.東京・大阪の経理代行|確定申告が必要な人って?

創業して間もない顧問先の社長様より、「会社の社長は確定申告をする必要がありますか?」というお問い合わせをいただくことがあります。

 

役員報酬給与所得となるため、年末調整で所得税額を確定し納税を完了しているので、通常は確定申告の必要はありません。

ただし役員・従業員にかかわらず給与所得者のうち一定の要件に該当する場合は確定申告の必要があります。

それは一体どのような場合でしょうか。

古殿
古殿
今回は「確定申告をする必要のある人」についてご説明したいと思います。

 

(1)確定申告をする必要のある人って?

以下の場合、確定申告が必要となります。

 

  • 給与の収入金額が2,000万円を超える人
  • 給与を1か所からもらっている人で、給与及び退職所得以外の所得額が20万円を超える人

⇒オークションやアフィリエイト収入がある人、外貨預金で為替差益がある人、株や不動産売却で譲渡所得がある人など、いわゆる副業で収入を得ている場合は確定申告が必要です。また原稿料や講演料など源泉徴収をされた報酬がある場合には支払調書を準備しましょう。

 

  • 2か所以上から給与をもらっている人で、年末調整されていない給与の収入金額とその他の所得金額との合計額が20万円を超える人

⇒「乙欄」といって高めに源泉徴収されているケースがあります。確定申告することで還付になる場合もありますので源泉徴収票を準備しましょう

 

  • 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

⇒自宅で事業をしていて会社使用分を家賃として会社からもらっている、または保有している土地や建物を会社に賃貸しているといった場合には、不動産所得が発生していますので確定申告が必要です。固定資産税等の経費資料を準備しましょう。

⇒会社への貸付金がある場合には、貸付金の利息が生じています。この利息は社長の所得となり、確定申告の対象となります。

※この収入については、金額の大小にかかわらず確定申告の必要があります。

 

  • 災害にあって、災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

  • 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税等を源泉徴収されないこととなっている人

 

【参考】国税庁HP「平成28年分確定申告特集」

 

古殿
古殿
確定申告期間中は税務署などに確定申告書作成コーナーが設けられ、無料で教えてもらいながら申告書を作ることができます。

 

2.東京・大阪の経理代行|確定申告した方が得する場合って?

「年末調整の書類と控除について」のコラムでお伝えしたように、年末調整では「医療費控除」「寄附金控除」「雑損控除」は対象になりません。

これらの控除がある方は、確定申告をする必要があります。

このように今回は確定申告が義務ではないけれど、確定申告すれば一度納めた税金が戻ってくる(還付される)可能性がある場合について説明したいと思います。

 

(1)確定申告すると得するケースとは?

1.医療費が高額となった場合

自分や家族のために支払った医療費等の実質負担額が、1年間で10万円(所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額)を超えた場合、その超えた金額をその年の所得から差し引くことができます。控除できる金額の上限は200万円です。

⇒医療費の領収書が必要となりますが、医療機関へのタクシー代・バス代など交通費等も対象になります。領収書は捨てずにとっておきましょう。

2.寄付をした場合

◎国境なき医師団やユニセフなど国が定めた団体に寄付をした人

政治活動関連への寄付金や認定NPO法人、公益社団法人などへ寄付をした場合には、その金額の一部を所得控除にするか税額控除とするか、計算してお得な方を選択できます。⇒年収1千万円以上の高額所得者でない場合、税額控除を受けた方がお得な場合が多いです。

◎ふるさと納税した人

通常の寄付金控除に加え、住民税の税額控除の特例が受けられます。⇒「ふるさと納税ワンストップ特例」を使う場合、確定申告は不要ですが、6つ以上の自治体にふるさと納税をした人はこの特例は使えず、「ふるさと納税以外の理由で確定申告する人」もこの特例が使えないので確定申告が必要です。

3.仕事に必要なものを自腹で多く支払った場合

給与所得者の特定支出控除」といって、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、単身赴任者などの帰宅旅費、書籍代や交通費などのうち、会社が必要経費と認めた費用の合計額が、同年の給与所得控除額の2分の1を超えた場合、その超えた分の金額を所得から控除できます。

⇒平成24年の改正で要件が緩和されたので、自分の支払っている分が、特定支出控除にできるか確認してみましょう。

4.株で損をした人

株式等の売買で出た損失分を、申告分離課税を選択した配当所得などと損益通算できます。相殺しきれない場合は、翌年以降3年間繰越して損益通算できます。⇒NISA口座や源泉徴収あり特定口座で株取引をしていれば確定申告は不要と思われがちですが、損失がでた場合は確定申告した方がよいでしょう。

 

<株式の配当金や投信の分配金をもらった人>

配当金は源泉徴収されているので確定申告は不要ですが、確定申告をすれば配当控除が受けられます。⇒この場合は本業の収入に対する税率20%以下の人しか得しないので注意が必要です。

5.災害や盗難にあった人

地震や火事などの災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、雑損控除により一定の金額の所得控除を受けることができます。

 

6.住宅ローンを組んで家を買って入居した人

1年目は確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整可能です。

⇒その他、マイホームを増改築した、耐震工事した、売った人にも控除がいろいろあります。

【参考】国税庁HP「マイホームの取得や増改築などしたとき」

 

その他

  • 年の途中で退職して再就職していない人
  • 年末調整で漏れがあった人、年末調整後に扶養家族に変更があった人

 

このように確定申告は税金をただ支払うだけではなく、場合によっては税金が還付される可能性のあるシステムでもあるのです。確定申告期間中は税務署などに確定申告書作成コーナーが設けられ、無料で教えてもらいながら申告書を作ることができます。

【参考】国税庁HP「平成28年分確定申告特集」

 

3.東京・大阪の経理代行|確定申告代行のメリットと注意点

確定申告は本人がすることももちろん可能ですが、税金に関する問題は専門家である税理士に任せたほうが、時間的に節約できるのはもちろん、金銭的にもお得になる可能性があります。

近年、個人事業主やフリーランスの方だけでなく副業の所得が20万円を超える会社員の方などから、「税理士へ確定申告をお願いしたい」というお問い合わせをいただくことも増えています。

古殿
古殿
そこで、ここからは「確定申告代行のメリットと注意点」について説明したいと思います。

 

(1)確定申告の代行は税理士へ

本人が確定申告をする場合には、特に制限はありませんが、他人の確定申告書の作成などは、税理士法に以下のような規定があります。

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税理士法第二条(税理士の業務)

税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。

一 税務代理

二 税務書類の作成

三 税務相談

 

同法第五十二条(税理士業務の制限)

税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

————————————————————————————————————————

 

つまり確定申告の代行は税理士にしかできないということです。

「会社を経営している友達に頼んで手伝ってもらった」など軽い気持ちでやったことも法律違反となります。上記の税理士にしかできない業務をしっかり把握しておきましょう。

 

(2)確定申告代行を税理士にお願いするメリット

①節税できる

個人事業主の方は節税できる方法がいくつもあります。青色申告制度を活用した「青色専従者給与」の活用、「65万円控除」「小規模企業共済」の活用など節税してキャッシュアウトを減らしましょう。

場合によっては、法人成りしたほうが節税できるケースもあります。また、青色申告では、赤字が出た場合でも損失を3年間繰り越しできます。将来、所得が出た場合に赤字部分と相殺することで将来発生する税金も節税できます。

青色申告の特典は他にも多くあります。

まずは、青色申告の承認申請書を税務署に提出しましょう!

 

②手間が省ける

大量の領収書や請求書など書類の整理や会計ソフトへの入力、また、どこまで経費にしていいのか迷った場合、自分で調べようとすると時間も手間もかかりますが、税理士へ依頼すれば、こういった作業を全て代行してくれます。

慣れていない確定申告に時間を大量投下するよりも、その時間を本業に投下するほうが最終的に皆さんの手元にお金は残ります。本業に時間も体力も集中投下することで売上を上げることに集中してください。

 

③正確な確定申告ができる

自分で確定申告をした場合、記帳内容の不備やミスで申告漏れが発生する可能性があります。経費や控除に関してもよく知らなかったために損をすることも。

1つのミスで延滞税や加算税が多額にかかってしまった事例も多くあります。専門家である税理士に任せたほうが、結果的に正確な申告をしてもらえます。

 

④税務調査の立会いをしてもらえる

税務調査は法人にだけ存在するものだと思っていませんか?個人にも税務調査はあります。自分の事業に税務調査が訪れる可能性は高いのか低いのか、税務調査のときはどのように対応すればいいのか?

経験豊富な税理士にアドバイス・対応してもらえると安心です。

ただ、税理士に確定申告代行を依頼した場合、当然ですが費用が発生します。

コスト削減の為、ご自身で確定申告をされることでかえって余計な税金がかかってしまい、税理士に依頼した方が割安だったという結果になることもあります。

 

青色申告の65万円控除のように目に見えて税金を少なくするだけでなく、確定申告に費やす時間的・金銭的コストを節約し、本業で集中していただけるので、実際には顧問料以上のメリットを税理士は提供できます。

古殿
古殿
初めての確定申告で知識がない方はもちろん、今までの確定申告に不安や手間を感じている方は、税理士が運営しているので高品質の東京・大阪経理代行へお気軽にご連絡ください。

 

4.東京・大阪の経理代行|確定申告のポイント

 

先ほどは確定申告代行のメリットと注意点について説明しました。

最後に、「平成 28 年分 確定申告のポイント」について説明していきたいと思います。

 

(1)平成28年分確定申告の相談・申告書の受付、納期限及び振替日

 

※振替納税をご利用の方は、事前に預貯金残高をご確認ください。

⇒残高不足等で振替ができない場合は、振替日ではなく納期限の翌日(所得税等は3月16日)から納付日までの延滞税がかかる場合があります。必ず預貯金残高を確認して不足がないようにしておきましょう。

 

(2)社会保障・税番号(マイナンバー)制度の本格導入

平成28年分の確定申告でもっとも大きな変更点と言えるのが、社会保障・税番号(マイナンバー)制度の本格導入です。

今回より「マイナンバーの記載」「本人確認書類の提示又は写しの添付」が必要となります。

⇒ただマイナンバーの記載がなくても罰則規定は設けられてはいません。現状は、マイナンバーの記載がなくても確定申告書は受理してもらえます。

 

(3)給与所得控除の上限額の引き下げ(給与収入1,200万円を超える場合

給与所得控除とは給与を得るためにかかる経費を概算計算した控除項目であり、給与の年収額に応じて定められている金額をいいます。

この給与所得控除額の上限額が平成28年分より段階的に引き下げられます。つまり年収1,200万を超える高額所得者は増税となります。

 

【年収1,200万円超1,500万円以下の人】

<改正前>給与所得控除額 収入金額×5%+170万円

  ↓ ↓ ↓

<改正後>給与所得控除額 230万円

 

【年収1500万円超】

<改正前>給与所得控除額 245万円

  ↓ ↓ ↓

<改正後>給与所得控除額 230万円

 

(4)特定公社債等が申告分離課税の対象へ

国債、地方債、社債といった特定公社債等の売却益は非課税でしたが、上場株式等の譲渡所得として20.315%の申告分離課税となりました。

また特定公社債等の利子所得についても、源泉分離課税から申告分離課税に変更されています。こちらは選択により申告しなくても構いません。

 

(5)多世帯同居リフォーム工事の税額控除

世代間の助け合いによる子育てを支援する観点から、祖父母・父母・子世代の三世代等の同居を後押しするため、住宅の三世代同居改修工事等に係る特例という制度が創設されました。

 

【対象になるリフォーム】

  • 所有する居住用家屋に対してのリフォーム
  • キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれかの増設
  • リフォーム費用が50万円を超える
  • 改修後にキッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれか2つ以上が複数になる

⇒住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)との併用はできません。

 

(6)公益社団法人等寄附金特別控除の対象拡大

国立大学や公立大学などへの個人の寄付を促すため、現行の所得控除に加え、税額控除が追加され、いずれかを選べるようになりました。

その他についてはこちらを参照ください。

【参考】国税庁HP「平成28年分確定申告 税制上の主な変更点」

 

5.まとめ

今回の経理代行コラムでは個人の方の確定申告についてお話しました。

日本は年末調整という制度があるため、多くの方が確定申告は自分には関係ないものと思い税金について無関心になっているのが現状です。確定申告しなければいけない方が確定申告をしていないと、後々、延滞税や加算税がかかってしまい、余計に税金を納めることになります。

確定申告を通じて税金に対して意識をすることで適切な税金を納める(または還付される)ことが大事ですね。確定申告をしていない方は、今一度、ご自身に確定申告義務がないのか確認しておくべきでしょう。

 

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2018/11/23 自計化のメリット・デメリット!重要なポイントは?

自計化とは、経理業務を全て会計事務所や委託業者に外注するのではなく、自社のパソコンと会計ソフトを利用していく運用方針のことです。

自計化には、記帳代行サービスの利用料や会計事務所の顧問料を節約できるほか、自社の経営状況をリアルタイムで把握できるというメリットもあります。ある程度の会社規模になってくると、経理を内製化して、記帳についても自計化していくのが一般的です。

古殿
古殿
今回は、自計化を行う上でのポイントや、メリット・デメリットから見た自計化の必要性などをご紹介していきます。

 

1.自計化を行う上での重要なポイントは?

自計化は、ただ単に会計事務所の顧問料や記帳代行の委託費用を浮かせるためだけに行うのでは意味がありません。

 

より効率よく自計化を行うためのポイントについて、以下の項目で解説していきます。

 

 

(1)自計化で運用していくだけの余裕がある

会社を起業して間もない頃は、資金が心もとなく、会計事務所への顧問料や記帳代行の利用料の支払いが苦しいという場合も多いのではないでしょうか。顧問料を少しでも節約するため、記帳代行を利用せず最初から自計化で運用したい経営者も多いかと思いますが、逆に資金にある程度の余裕がないと自計化は難しいのです。

自計化を行うためには、経理担当者を雇用したり、経営者自身が時間を割いて経理業務を行ったりする必要があります。

古殿
古殿
経理業務に時間や人員を取られて本業に専念できないと、業績が上がらず、余計に経営も苦しくなってしまいますよね。

 

そのため、起業したてで経営状況がまだ上向きでないという場合には、会計事務所の顧問料の節約を考えるよりも、まず記帳代行から委託して本業に専念し、資金に余裕を作るのがおすすめです。

その後、経理担当者を雇用して会計ソフトやクラウド型記帳代行サービスを導入し、自計化を進めていきましょう。

クラウド型記帳代行サービスなら、顧問料・入力の作業量ともに少なく済み、創業間もない企業でも無理なく導入できる場合もあります。

古殿
古殿
創業間もない会社や個人事業主の方は、まずは本業が軌道に乗るまで売上アップに一点集中して記帳は税理士や経理代行業者に丸投げすべきでしょう。

 

(2)自社の経理担当者の負担を軽減する

自計化を行うと、記帳代行を外部に丸投げしていた時に比べて顧問料が節約できる反面、当然自社の経理担当者の作業量や負担が増えてしまいます。

会計ソフトに数字を打ち込むのは一見単純作業に思えますが、ソフトによって算出されるデータ、試算表、決算書などの読み方を習得するのは大変なことです。

会計ソフト導入時には、必ず経理担当者に対して十分な研修や自計化導入支援を行うようにしましょう。

また、もし顧問料を支払っている税理士がいるのであれば、ソフトの使い方やソフトが算出するデータの読み方を教えてもらうようにすれば、経理担当者の業務に対する理解が深まり、より作業効率を上げることができるでしょう。

古殿
古殿
このことが後の項目でご紹介する、より高度な提案を受け入れる下地にもなります。

 

なお、クラウド型の会計ソフトを利用して、自社と会計事務所で入力作業を分担することでも、経理担当者の負担を減らすことができます。

自計化を行う時には、必ず経営者と経理担当者で意思疎通を図り、経営も作業量も無理のない形でソフトやサービスを導入するようにしましょう。

 

(3)会計事務所からのより高度な提案を受け入れられる体制を作る

会計ソフトやクラウド型サービスを使った自計化により、社内で経営状況がリアルタイムに把握できるようになります。それによって、会計事務所から資金繰りや節税対策についてより高度なアドバイスを受けられるようになるのが大きなメリットです。

しかし、それを実行できる体制が社内に出来上がっていないと、せっかくの顧問料が無駄になってしまいます。

 

基本的に、自計化は経営の維持のみではなく、更なる成長を見越して導入するものです。

自計化を行うときは、ソフトやクラウド型サービスに頼った作業量の軽減だけではなく、企業の成長や事業拡大を視野に入れるようにしましょう。

 

2.自計化の必要性とは?

そもそも、会計ソフトやクラウド型サービスを利用した自計化を行う必要性があるのは、どのような場合なのでしょうか。

こちらの項目では、自計化のメリット・デメリットから見た自計化の必要性について解説していきます。

 

(1)自社の経営を即時に把握できる

自計化の最も大きなメリットは、会計ソフトやクラウド型サービスの利用で即時に自社の経営状況を把握することができる点です。

入力ミスや細かな損失もその場ですぐに分かるため、使途不明金や無駄遣いを最小限に食い止めることができます。

また、記帳代行を利用すると、多くの場合、今月の経営データを把握できるのは2〜3ヶ月先となります。直近の経営状況がわからないと、銀行の融資を受けることが難しくなるほか、まとまった仕入、投資など思い切った資金繰りにも踏み切れません。

 

自計化を行うと前月の試算表が次月には監査できるため、スピーディーでより利益の大きな経営が可能になります。会社が成長してきて一定以上の規模になれば、毎月の業績をリアルタイムで知ることに価値が出てきます。その過程で経理体制も整えていく必要があり、ここは会社のステージに応じて整備していくべき話になってきます。

まずは、売上の確保に一点集中して、余計なことをやろうとしない。記帳代行も外部の税理士や経理代行業者を活用します。このステージが終われば次のステージに行く。ここで、自計化を含めた経理体制の整備をしていきます。

古殿
古殿
経営の見通しを立てて会社がより成長していくために、自計化は必ず必要となるプロセスとなります。

 

(2)顧問料を節約できる

経理資料を会計事務所に丸投げして記帳代行から委託すると、毎月の顧問料が嵩んでしまいます。

経営が軌道に乗り、ある程度業績を確保できるようになれば、自計化して自社で経理業務をこなす方が経費の節約となります。ある程度の余裕がある上で月々の経費を節約したい企業には、自計化は最も効率のいい手段です。

 

また、自計化を行う中で自社に経理のノウハウが蓄積され、顧問税理士とより高度な話し合いができるようになります。

資金繰りや節税対策を利用した経営利益の向上にも、自計化は不可欠です。

そのため会社の立ち上げや経営の維持という段階を超え、更なる成長や事業拡大を考える段階で自計化が必要となっていきます。

 

ただし、後にも解説しますが、会計ソフトやクラウド型サービスの導入、経理担当者の雇用など、自計化にあたっても初期投資が必要となることは把握しておきましょう。この初期投資も会社の成長ステージで必要不可欠なものです。

 

(3)作業量が大幅に増える

自計化を行うデメリットは、記帳代行を利用していた頃と比べて、ソフトやクラウド型サービスに情報を入力するなどの作業量が大幅に増えるということです。簿記知識のない経営者一人で本業も行いながら自計化を行うのは、かなり難しいと言えるでしょう。

実質的な作業をこなしていくのが難しい段階では、自計化よりも丸投げでOKな記帳代行サービスを利用する方が効率良く業務ができます。投資する金額も記帳代行のほうが結果的に安くなるケースが多いです。

 

ただし、現在では「半計化」と言って、クラウド型会計ソフトを利用して勘定科目や仕訳など複雑な入力を会計事務所と分担して行うサービスも登場しています。自計化を行いたいが作業量は増やしすぎたくないという場合は、クラウド型のサービスを利用して「半計化」を行うのもおすすめです。

半計化で運用する中で自計化に十分な簿記の知識が身につく場合もあるため、小規模な企業や個人事業者は半計化から自計化へと段階を踏んで導入するのも方法の一つでしょう。

 

(4)設備投資の金額が顧問料より嵩む場合もある

自計化を行うにあたって会計事務所が持つような会計専用PCを導入するとなると、かなり高額な設備投資が必要です。ダウンロード型やクラウド型の会計ソフトであればそこまで高額ではありませんが、それでも自計化には設備投資が不可欠です。

また、自計化にあたって簿記知識のある経理担当者を雇用する場合、その人件費も必要となります。自計化に成功すれば、顧問料の節約額や業績の向上による利益が設備投資の額を上回るのは確実です。しかし、自計化には一時的な出費が必要となることは把握しておきましょう。

逆にその出費が痛手になるような経営状況の場合には、顧問料の節約を考えるより、丸投げの記帳代行サービスを利用して本業の業績を上げていくのが先決となります。

記帳代行か自計化どっちを選択すべきかは、弊社でもよくご質問いただく内容になります。

これについては、会社の置かれた状況・環境によって答えは異なりますので、答えは一通りではありません。しかし、一般的には、会社のステージ・会社規模によって判断すべきであると考えます。数字の持つ意味がステージによって変わってくるからです。

古殿
古殿
記帳代行サービスをご希望のお客様は、東京・大阪経理代行サポートセンターも選択肢の一つとしてご検討ください。納品スケジュールなどもできるだけお客様のご希望に沿えるようにお打合せさせていただきます。税理士が運営しており、品質にも自信を持っております。

 

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2018/11/16 帳簿を手書きでつけるメリット・デメリットをわかりやすく解説

手書きの帳簿はその名の通り、帳簿をパソコンではなく手書きでノートなどにつけることです。賛否両論ありますがいまだに多くの企業・個人事業主の方に取り入れられている方法です。

今回は、現金出納帳などの帳簿を手書きでつけるメリットやデメリット、手書きで帳簿をつけるおすすめの方法などについて解説していきます。

古殿
古殿
手書きで帳簿をつける際の注意点もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください!

 

1.帳簿の種類

取引の内容を記録する「帳簿」には、「主要簿」と「補助簿」の2種類があります。

主要簿」は、どのような会社や個人事業主も必ず必要になるもので、取引があるたびに必ず記入します。

この主要簿を元にして試算表、貸借対照表や損益計算書を作成します。

主要簿には、全ての取引を日付順に記入した「仕訳帳」、それを元に作られて勘定項目ごとに記録した「総勘定元帳」があります。

 

補助簿」とはその名の通り主要簿を補助する帳簿で、必要な時のみ記入します。いくつか種類がありますが、会社によって必要になるものは異なります。

古殿
古殿
補助簿に分類される主なものには、「現金出納帳」「仕入帳」「売上帳」「支払手形記入帳」「売掛金元帳」などがあります。

 

2.帳簿を手書きでつけるメリット

帳簿をパソコンではなく、手書きでノートなどにつけるメリットについて解説していきます。

 

(1)経営の実態に実感を持てる

手書きで現金出納帳などの帳簿をつけることのメリットは、実際に手を動かすことで経営の状態に実感を持てるということです。パソコンなどで会計ソフトを使うと手間や時間の節約にはなりますが、途中の転記などが自動化され何度も自分で数字を書き写すということがなくなり、経営に対する実感が薄れがちになります。

そのため、中小企業などの熱意ある経営者の中には、帳簿だけは経営者自らがノートなどに手書きして作っているという人も少なくありません。

経営実態に実感を持ち続け、常に業績アップのチャンスを掴んでいきたいという経営者・個人事業主には、手間をかけてもノートなどに手書きで帳簿をつけるのがおすすめです。

 

(2)実際に手に取って見られる

ノートに手書きした帳簿のパソコン作成の帳簿にはない利点は、実際にノートを手にとってすぐに見られるということです。帳簿はパソコンで記入・保存しても全く問題はありませんが、データ化された帳簿は後から見返す際に見づらいという人もいます。

また、高齢の社員や経営者などはパソコンでデータ化された帳簿に抵抗があるという人も多く、いまだに多くの企業でノートなどに手書きされた帳簿が採用されています。

取引先や社員などにすぐ見える形で帳簿の内容を示したい時には、ノートに手書きした帳簿がおすすめです。

 

(3)無駄遣いがその場でわかり、節約できる

小規模な企業や個人事業主は、補助簿に分類される現金出納帳を作っていない場合もあります。現金出納帳をつけておらず、現金が足りなくなり次第、経営者が個人的にお金を補填しているということも少なくありません。

そういった企業であれば、現金出納帳を手書きでノートにつけると現金の出入りがクリアになります

手書きの現金出納帳をつけることがきっかけで毎日残高を意識して過ごすことになり、無駄遣いに敏感になります。無駄遣いが減って月々の利益もアップするため、細かい現金の動きを把握したい場合は手書きで現金出納帳をつけるのがおすすめです。

 

(4)簿記や申告手続きに詳しくなる

帳簿を日常的にノートに手書きすることで、簿記や申告手続きに関する知識が増えるというメリットもあります。

帳簿の手書きを始めた当初は書き方もわからず見本を見ながらどうにかこなしていたという人も、毎日やっていくうちに徐々に用語の意味や書き方のコツを掴んでいきます。

パソコンで自動化された会計ソフトを使ったり、外部に業務委託していたりしては、簿記や申告手続きについての知識をつけることはできません。

古殿
古殿
努力は必要ですが、見本を参考に帳簿の書き方を自分で学んでいくうちに得るスキルは、経営やキャリアアップにも必ず役立つでしょう。

 

3.帳簿を手書きでつけるデメリット

ここからは、帳簿をパソコンではなく、ノートに手書きでつけるデメリットについて解説していきます。

 

(1)書き方を覚える必要がある

ノートに手書きで帳簿をつけるには、当然ですが帳簿の書き方を覚える必要があります。簿記のテキストやウェブサイトでも帳簿の書き方や見本は確認することができるので、まずは検索してみるのがおすすめです。

書き方を覚えるのは大変ですが、一度習得してしまえば長く使えるスキルとなります。

ノートなどに手書きをすることで、パソコンで打ち込むより覚えが早くなるというメリットもあるため、スキルを身に付けたい事務員の方などは見本を参考に手書きの帳簿の書き方を覚えてみるのがおすすめです。

 

(2)実際に手を動かす手間がある

パソコンでの記入や会計ソフトへの入力に比べ、ノートなどに手書きで帳簿を書くのには確実に手間がかかります。転記の際には同じ取引の数字を何度も書く必要がありますし、パソコンが主流になった最近ではペンで字を書くこと自体が苦痛という人も多いです。

手間がかかるということは、ノートに手書きで帳簿を作ることの最大のデメリットと言えるでしょう。

 

(3)書き間違いや字の乱れが起こりやすい

先に解説した通り、仕訳帳や現金出納帳から総勘定元帳を作成する「転記」の作業では、同じ取引の数字を何度も繰り返して書く必要があります。

これらの数字が一つでも食い違ってしまうと帳簿としての意味を失ってしまうので、手書きで帳簿をつける時には細心の注意が必要となります

また、手書きの帳簿は、パソコンの印字とは違い字の癖や疲れなどで文字の乱れが出やすいです。

見返す時の手軽さは手書きのノートの方が上ですが、読みやすさに関してはパソコン入力されたものの方が見やすいという場合もあります。

 

(4)ミスや天災で失われる可能性がある

データではなくノートなどの紙で作成された帳簿は、人為的なミスや大雨・震災・火災などの天災で失われてしまう可能性があります

パソコンで作成したデータであれば、作成したパソコンや保存したUSB自体が壊れてしまっても、保存先を複数にしておいたり、過去のデータから復元できたりすることもあります。

古殿
古殿
手書きの紙帳簿ではそういった復元が不可能なので、万一の場合に備えてデータ化やコピーを用意しておくのがおすすめです。

 

4.帳簿を手書きで書く方法

帳簿をノートなどに手書きでつけていく場合の書き方について解説していきます。

 

(1)仕訳帳の書き方

仕訳帳は、主要簿に分類され、どの企業でも必ず必要になるものです。

仕訳帳の書き方は、現金・非現金問わず、発生した取引を全て日付順に記入していきます。必要になる項目は、「日付」「借方勘定科目」「借方金額」「貸方勘定科目」「貸方金額」「摘要」です。

「借方金額」と「貸方金額」は必ず同じ金額になるように記入します。

この項目さえ揃っていれば決まったフォーマットはありませんが、テキストやネット上にある見本を参考にすると作りやすいのでおすすめです。

 

(2)総勘定元帳の書き方

総勘定元帳は仕訳帳の内容を整理し、現金は現金・売り上げは売り上げなど、項目ごとに記入する書き方です。

特定の勘定項目について、最終的な残高を把握するのが目標です。仕訳帳から転記するときに数字を間違ってしまうと、残高が合わなくなり帳簿としての意味を無くしてしまいます。仕訳帳をしっかり見本として確認しながら、間違いのないよう記入しましょう。

総勘定元帳にも見本となる決まった書き方はありませんが、テキストやネットに載っているフォーマットを見本にするのがおすすめです。

 

(3)現金出納帳の書き方

補助簿に分類される現金出納帳は、毎日の現金の動きと残高を記録するもので、ほとんどの会社で必要となります。

現金出納帳書き方は現金取引を発生順に記録していくというシンプルなもので、動いた現金の額と残高、摘要を記録します。

これらの項目がわかれば現金出納帳のフォーマットに決まりはありませんが、簿記のテキストや経理関係のウェブサイトに現金出納帳の例が掲載されているので、それらを見本にするのがおすすめです。

 

5.帳簿を手書きでつける際の注意点

帳簿をノートなどに手書きでつける際の注意点について、解説していきます。

 

(1)書き間違いに気をつける

手書きの帳簿で最も多いミスは、数字の書き間違いです。一つでも数字を書き間違えてしまうと、帳簿としての意味がなくなるばかりではなく、使途不明金として処理する金額が増えてしまってトラブルの原因になります。

せっかく丁寧に手書きで作った帳簿も、数字を間違えれば全て無意味になってしまうので、常に見本や原本を確認しながら間違いのない記帳をしましょう。

 

(2)見返すことを考えて書く

帳簿は、書き終わって終わりではなく、以後何年も保管し見返すことのある書類です。決算書類などもこの帳簿を見本にして作成するので、必ずあとで見返すことを念頭に置いて作成しましょう。

文字が汚く読み間違う可能性のある字で書いてあると、後々トラブルの原因になります。手書きで帳簿を書く場合は、誰が見ても明確に読める丁寧な字を心がけましょう。

 

(3)必ず見本を参考にする

帳簿は、必要項目さえ満たしていれば決まった書き方はないとはいえ、基本的に自己流では書くのが難しいものです。今は簿記関係の本やウェブサイトにたくさん見本やダウンロード可能なフォーマットが公開されているので、それらを見本にして作成するのがおすすめです。

また、企業などで前任者が作成した帳簿がある場合には、それを見本にして同じフォーマットで作成しましょう。

 

6.手書きが苦手な方はパソコンを使う

手書きが苦手な方は、パソコンを使って帳簿を作成してももちろん問題ありません。

ここからは、パソコンなどを用いる場合の具体的なおすすめの書き方について解説していきます。

 

(1)手書きと同じ内容をパソコン入力する

字が汚くて読みにくい、手書きだとどうしても手が疲れてしまうという方は、上でご紹介した帳簿の書き方をそのままパソコン入力しても問題ありません。

必要な項目や書き方は同じなので、手書きより素早く綺麗に帳簿を記入することができます。

きちんと数字を把握しながら、綺麗な仕上がりの帳簿を作りたいという方におすすめです。

 

(2)一部のみ会計ソフトを利用する

仕訳帳や現金出納帳などの毎日のお金の動きを把握する帳簿のみ手書きでつけ、あとは会計ソフトを利用するという方法です。

何度も同じ記載をしなければならない転記の手間を省くことができ、かつ経営の実態はしっかり把握することができます。

 

どこから会計ソフトを頼るかは個人の線引きによりますが、手書きにこだわりすぎず上手に会計ソフトを利用していくことも時間の有効活用のためには必要なことです。

帳簿付けにかかる手間と時間を減らしたいという方におすすめです。

 

(3)会計ソフトを利用する

会計ソフトを利用すると、必要なのは入力作業のみとなり帳簿にかかる時間を大幅に削減できます。

経営者や個人事業主は、会計以外の本業に時間を割く方が業績アップに繋がる場合もあります。

現在手書きで帳簿をつけていて、事務作業に時間が取られすぎているという方におすすめの方法です。

 

7.まとめ

この記事では、帳簿を手書きでつけるメリット・デメリットをお伝えしました。

手書きの帳簿は、実際に手を動かすことで経営の状態に実感を持てるメリットがありますが、その反面ノートなどの紙で作成された帳簿は、人為的なミスや天災などで失われてしまう可能性があるため注意が必要です。

また、手書きの帳簿で最も多いミスは、数字の書き間違いです。苦手な方はパソコンを使うなどの方法もおすすめです。

古殿
古殿
手書きにこだわりすぎず、上手に会計ソフトを利用していくことも時間の有効活用となります!

 

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2018/11/09 記帳代行(アウトソーシング)とは?サービスの特徴やメリット・デメリットを解説

煩雑な経理業務を一手に引き受けてくれる記帳代行サービスをご存知でしょうか?

記帳や起票などの経理業務は、必要な業務とはいえ個人事業主や小規模企業を経営されている方にとっては時には負担となってしまいます。

古殿
古殿
今回は、記帳代行サービスについてメリットやデメリットなどを中心に詳しくご紹介いたします。

 

1.本業に専念できる記帳代行とは?

記帳代行とは、領収書や請求書の計算などの経理業務を外注し代行してもらうサービスのことです。

基本的には、期間ごとに発生した会計関係の書類を外注先の税理士や会計事務所に預け、その計算結果を受け取ります。

 

専門知識が必要な記帳作業は、個人事業主や小規模な会社といった税理士などの経理の専門家がいない企業にとっては大変な負担となります。

記帳代行サービスを利用することで、個人事業主は本業に専念することができ、業績アップが見込めるのです。

 

2.記帳代行サービスの種類

ここでは、記帳代行サービスの種類について解説していきます。

 

(1)台帳の作成

台帳とは、請求書や領収書をもとに金銭の出入りをまとめたもののことを言います。

記帳代行サービスでは、税理士や会計事務所が台帳の作成から行ってくれる場合と、自社で台帳作りまで行なう場合があります。

どこまで記帳代行のサービス内容に含まれるのかは税理士・会計事務所によって異なるため、契約前に確認しておきましょう。

 

(2)伝票・仕訳帳・現金出納帳・預金出納帳等の作成

これらは、記帳代行サービスのメイン作業となります。

伝票の作成は、厳密には「記帳」ではなく「起票」に分類される作業ですが、記帳代行サービスの一部として行なっている税理士や会計事務所は多いです。

伝票の仕訳には簿記の専門知識が不可欠なため、簿記の知識がない個人事業主や経営者自ら記帳を行なっている場合は、この作業をプロに依頼するだけでもかなり負担が減ります。

 

(3)総勘定元帳・合計残高試算表の作成

総勘定元帳や合計残高試算表とは、上記の仕訳帳や現金・預金出納帳をまとめたもので、決算書の作成に必要になる重要な書類です。

これらの作業も、記帳代行サービスに含まれている場合が多くなっています。

 

(4)貸借対照表・損益計算書の作成

貸借対照表はその企業が持つ資産と負債をまとめた報告書、損益計算書は一定期間の経営成績をまとめた決算書です。

個人事業主は、貸借対照表を作成することで確定申告の際に青色申告の65万円の特別控除を受けることができます。

これらの作業は、記帳代行サービスではなく税務代行業務に含まれていることが多いです。

繰り返しになりますが、どこからどこまでを「記帳代行サービス」とするのかは、各税理士や会計事務所、選択するコースなどによっても異なります。サービス利用前に必ず確認しておくようにしましょう。

 

3.記帳代行サービスの特徴

ここでは、税理士や会計事務所による記帳代行とはどんな特徴があるサービスなのかについて解説していきます。

 

(1)本業に専念できる

毎日発生する会計の記帳は、意外に手間や時間を取られるものです。特に簿記の知識がない個人事業主の場合、単調な会計ソフトの入力でさえ頭が痛くなるという方も多いでしょう。

さらに、記帳は売り上げに繋がる作業ではないので、個人事業主の方にとっては貴重な時間を割くことになってしまいます。

記帳代行サービスを税理士や会計事務所に外注することで、手間が減らせるだけではなく本業に専念できる時間が増えて業績アップにも繋がります。

 

(2)経費を削減できる

自社で経理担当者を雇ったり顧問税理士を付けたりすると、経費が嵩んでしまいます。記帳代行サービスなら、これらの人件費がなくなり税理士や会計事務所に月額を支払うだけになるため、大幅な経費削減が可能です。

また、記帳代行を通じてプロが経営状況をチェックすることで、節税や業績アップにも繋がります。

 

(3)依頼先の変更も可能

記帳代行サービスは、基本的に1ヶ月ごとの短期契約です。そのため一度依頼した税理士や会計事務所でも、対応や納期に不満があればすぐに契約先を変更することができます。

長期契約が必須ではないので、これまで記帳代行を利用したことがない経営者や個人事業主の方も比較的気軽に試しやすいきるサービスです。

 

4.知っておきたい記帳代行サービスのメリット・デメリット

税理士や会計事務所による記帳代行について、どんなメリット・デメリットがあるサービスなのかについて解説していきます。

 

(1)メリット

記帳を行うにあたっては、簿記の知識が必須です。多くの企業では経理担当者が記帳を行いますが、小規模な企業や個人事業主の場合、社内に簿記の知識を有する人がいないこともあると思います。

そういった場合、税理士や会計事務所など、経理のプロによる記帳代行サービスを利用することで、経理作業にかかる手間や人件費を削減できるというメリットがあります。

古殿
古殿
また、提出された会計書類を通じて税理士や会計事務所が経営状況をチェックすることで、簡易的なコンサルティングや節税のアドバイスを受けることができる場合もあります。

 

(2)デメリット

記帳代行サービスを利用するデメリットは、自社にノウハウが蓄積されないということです。

記帳代行サービスを会計事務所に外注すると、自社内に経理部門を作らないまま経営を続けていくことになるため、いざ社内経理を行おうとした時に社内に引き継ぎをできる人がいないということになります。

また、記帳代行サービスに必要な領収書や請求書は、経営状況が如実にわかってしまう重要な機密書類です。そういったデータを外部に渡すことになるので、万一のデータ流出悪用の可能性がゼロとは言えないのがデメリットといえます。

また、記帳代行サービスは当然ながら料金がかかるので、個人事業主や経営者が自ら簿記の知識をつけて経理作業を行うよりも経費は嵩むことになります。

 

5.記帳代行と自計化の違いとは?

自計化とは、会計ソフトを使って自分で記帳作業を行うことです。会計ソフトや会計用コンピュータは、以前は高額で個人事業主の方が入手するのは難しいものでした。

しかし、近年は技術の進化により、手頃な価格で導入できるものも増えています。

自計化のメリットは、いつでも会社の財務状況を把握することができ、長期的に会計事務所に記帳代行をしてもらうよりも購入費用が安くつく場合が多いということです。

ただし、初期費用や人力でソフトに入力する手間、多少の簿記の知識は記帳代行よりも必要となります。

古殿
古殿
自計化のメリットとデメリットを比較して、記帳代行を利用するかどうか検討しましょう。

 

6.記帳代行と経理代行の違いとは?

経理代行とは、記帳代行を含め、給与計算や経費の精算、決算など総合的な経理業務を代行するサービスのことです。

業務量が増える分月額は記帳代行より高くなりますが、記帳・給与計算・決算などを別々に外注するよりは安い場合が多いです。

一切の経理業務の手間をなくしたい、プロによる完璧な経理業務をお願いしたいという場合には、記帳代行を含めた経理代行サービスを利用するのもおすすめです。

 

7.税制改正に伴う「記帳義務化」とは?

平成26年1月以降、企業・個人事業主のどちらも決算申告・確定申告のための帳簿付けが義務付けられるようになりました。これを「記帳義務化」といいます。

それまでは、記帳が義務付けられていたのは所得の多い個人事業主に多い青色申告者のみでした。しかしこの記帳義務化により、白色申告者の個人事業主も複雑な帳簿付けが必須になってしまったのです。

白色申告者の個人事業主には記帳の知識がない人も多いですが、記帳をしないと申告ができず、最悪の場合は申告期限が過ぎてしまってペナルティの対象となります。

税理士や会計事務所など、プロが経理作業を代行してくれる記帳代行サービスは、こういった白色申告者の個人事業主にも便利なサービスなのです。

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2018/10/19 相続・贈与とは?相続税の申告・計算方法|プロが教える基礎知識

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!

こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

古殿
古殿
本コラムでは毎月、経理に関する話題を執筆してきましたが、今回は経理の話題から少し離れ、相続や贈与に関してわかりやすく解説していきます。

 

1.相続・贈与とは?

 

(1)相続とは?

相続」という言葉を耳にしたことはあっても、相続とは何なのか、また何をする必要があるのかをご存知ない方も多いかと思います。

相続とは一言で言うと「亡くなった方の財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐこと」です。

相続をするためには様々な手続きや、相続税の申告・納付をしなければならないことがあるため、「タダでお金がもらえる!」などという安易な気持ちでいると、後々苦労することになってしまいます。

また、相続するのはお金や土地など、自分にとってプラスになるものだけではありません。例えば、亡くなった方が借金をしていた場合には、借金の返済義務など自分にとってマイナスになるものも受け継がなければなりません。

古殿
古殿
ただし、自分にとってマイナスになるものが多くなってしまう場合には、所定の手続きをすることで「財産を受け継がない」という選択も可能ですからご安心ください。

 

(2)贈与とは?

ここまでの説明で、相続について何となくイメージが湧いたかと思います。相続とセットで知っておきたいのが「贈与」という言葉です。

贈与とは一言で言うと「生きている間に財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐこと」です。その性質から「生前贈与」という言い方もします。

この贈与に関しても贈与税がかかることがありますが、制度を上手に活用すれば相続する際にかかる税金よりも納税額を減らすことも可能です。

 

(3)相続と贈与の違いって何?

相続贈与の大きな違いは、2点あります。

 

➀1つ目は、財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

上記でも解説した通り、相続・贈与のどちらに関しても、相続税・贈与税という税金が課税される場合があり、亡くなった方の財産を丸ごと受け継ぐことができるとは限りません。

 

さらに言うと、相続税・贈与税の計算方法や申告方法に関する情報はインターネットや書籍で簡単に手に入りますが、内容が非常に複雑であるため、初めて相続や贈与を行う一般の方にはハードルが高いかと思います。

贈与は生きている間ならばいつでも行うことができますが、相続はある日突然発生するものです。いざという時に何をする必要があるのか、どこの役所に行けばいいのか、どのような書類が必要なのか、わからないことや不安なことも多いかと思います。

 

➁また、相続も贈与も、ある人が別の人に自分の財産をあげるという点は同じですが、財産を「あげる人・もらう人の意思の有無」が異なることに2点目の違いがあります。

 

相続では財産をあげる人が亡くなると、自動的に財産をもらう人に財産が移ります。

あげる人が「あげます」という意思表示をしていなくても、また、相続人が「もらいます」と意思表示をしていなくても、相続は成立します。「財産をもらいたくない」という場合、つまり、相続をしたくない場合は、相続放棄をしないといけません。

贈与では、基本的に生きているときに、財産をあげる人が「あげます」と意思表示をします。さらに、財産をもらう人が「もらいます」と意思表示をすることによって贈与が成立します。

贈与では、財産をもらう人の「もらいます」という意思表示が不可欠です。

 

そのため、意志表示できる年齢などは1つの論点になります。

例えば、20歳の方が財産をもらう場合に、「もらいます」と意思表示することはごくごく一般的にあることです。しかし、1歳の子供(赤ちゃん)が「もらいます」と意思表示することは普通に考えてあり得ませんので、結果的に贈与とはなりません。

 

(4)贈与の種類とは?

ここまで、贈与については生前贈与を前提にお話してきましたが、贈与にはいくつかの種類があります。

 

➀生前贈与(通常の贈与)

下記➁~➃でお話する贈与以外の贈与が、この生前贈与になります。「贈与」といえば、この生前贈与を指すことが一般的です。

 

➁定期贈与(連年贈与)

連年贈与とは毎年繰り返される贈与のことです。例えば、「100万円贈与する」という単発の贈与契約を毎年繰り返す場合などは、まさしく連年贈与になります。

 

定期贈与とは、一定期間、一定の給付を目的として行う贈与です。つまり、連年贈与することをあらかじめ決めている贈与を定期贈与といいます。

例えば、「毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与する」という契約は定期贈与です。連年贈与を10年間繰り返せば、それは定期贈与であり、10年間で1000万円の贈与をすることになります。

古殿
古殿
この定期贈与については、下記のように国税庁のタックスアンサーで見解が述べられています。これは要注意点になります。

参考:国税庁HP「No.4402 贈与税がかかる場合」

 

つまり、毎年100万円ずつ10年にわたって贈与する形式をとっていたとしても、それが1,000万円の贈与をする目的であると認められた場合、1,000万円の贈与として贈与税課税されてしまうということです。

110万円以下の贈与であれば基礎控除内であるため、贈与税はかかりません。しかし、定期贈与である場合にはこのようなリスクを考える必要があります。

 

それでは、定期贈与と認定されないためにどのような対策ができるでしょうか?

あくまでも、事実に基づいて贈与契約書は作成されるべきですが、定期贈与と誤解されないために贈与契約書を毎年(その都度)作成すべきでしょう。そして、「毎年100万円ずつ」、「10年間にわたって」などという文言は絶対に避けるべきでしょう。贈与が始まった初年度だけ贈与契約書を作成し、毎年同額が贈与される場合、定期贈与として認定される可能性が高いです。

また、相続開始前3年以内の贈与については、相続財産に加味して相続税課税の対象になります。贈与税の課税対象にはならないため注意が必要です。

 

➂負担付贈与

「マンションを贈与するので、代わりに住宅ローンを払ってほしい」、これは負担付贈与になります。つまり、財産をもらう人に一定の債務(借金など)を負担させることを条件として行う贈与が負担付贈与となります。

よって、上記の「住宅ローン」の具体例の場合、財産をあげる人はマンションを贈与する義務を負います。また、財産をもらう人も住宅ローンを負担する義務を負うことになります。

仮に、財産をもらう人が住宅ローンを支払わない場合には、財産をあげる人はこの贈与契約を解除することができます。

また、負担付贈与の場合にも贈与税は発生しますが、その計算過程がポイントになります。考え方として、負担付贈与の場合、贈与財産から負担額を差し引いた金額に対して贈与税が課税されます。

マンションの住宅ローンを負担する場合、マンションの「価額」から住宅ローンの金額を控除した金額となります。

 

相続税法基本通達では、この「価額」を「売却時価」としています。つまり、その財産(マンション)を今売りに出した場合、いくらで売れるかということになります。そのため、売却時価はその時々によって金額が変わってきますし、同じ時点であってもマンションなどでは不動産業者の見積りによって幅が出てくることになります。

幅が出てくる場合、複数の不動産業者の見積りの平均値をとれば問題ないでしょう。場合によっては、ある特定の業者さんの見積価額を売却時価として使っても問題になることは少ないでしょう。

 

具体的に、上記の「住宅ローン」の場合、

{(マンションの売却時価-住宅ローン残高)ー基礎控除額}× 税率 ー 控除額

が贈与税額となります。

(贈与)税率については、下記の国税庁HPをご覧ください。

参考:国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

 

例えば、「父親名義のマンションを長男に贈与する場合、不動産鑑定士さんによって、そのマンションの売却時価が2,000万円であると鑑定されました。住宅ローンの残高は700万円です。」この場合、

{(2,000万円-700万円)-110万円 }×45%-175万円=360万5千円

結果として、このケースでは360万5千円の贈与税がかかることになります。

 

また、負担付贈与では、財産をあげた人にも譲渡所得税が発生する可能性があります。

上記の例で、父親が当初、マンションを購入した金額は1,000万円(=マンション購入資金は全て住宅ローンで支払った。)だったとします。父親は住宅ローンの残債でマンションを譲渡したものとして取扱うことになります。住宅ローンの残債額で売却したこととなるため、マンションの譲渡金額は700万円です。

また、マンションは当初1,000万円で取得しています。結果として、1,000万円で取得したものを700万円で売却したと考えるため以下の算式で計算します(話を分かりやすくするため減価償却はあえて考えません。)。

 

(700万円−1,000万円)×20.42%※=0円

このケースでは、マンション取得資金よりも譲渡金額が低いため譲渡所得税は発生しません。しかし、マンション取得資金よりも譲渡金額が高い場合、譲渡所得税が発生することになります。(話を分かりやすくするため減価償却はあえて考えません。)

 

※譲渡所得の税率は以下の通りです。

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったときの税額計算の際の税率は、所得税が15%、住民税が5%となります。

(注) 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納税します。

 

➃死因贈与

「私が死んだら、この家をあなたにあげます」これは死因贈与となります。この死因贈与は、財産をあげる人が死亡することにより効力が生じる贈与契約となります。

 

よく遺贈(遺言によって財産をあげる・もらう行為)と死因贈与を勘違いされる方がいらっしゃいます。死因贈与も贈与の1つですから、財産をもらう人の意思表示・承諾があってはじめて成立します。しかし、遺贈は財産をもらう人の承諾がなくても、財産をあげる人の一方的な意思表示で成立します。

そして、「死因贈与」は、相続と同じタイミング(贈与者が亡くなったとき)で発生しますので、贈与税ではなく相続税がかかります。

 

➄みなし贈与

税法でいう「贈与」は、民法でいう贈与よりも範囲が広く定められています。形式的には贈与していなくても贈与とみなされ、贈与税がかかる場合もあります。これを「みなし贈与」といいます。

例えば、父親から子供にマンションの名義を変更した場合、父子ともに贈与する意図がなくても、実態は父親から子供にマンションをあげたのと同じことになります。その結果、贈与税が課税されます。マンションなどの不動産の場合、その金額が大きいものとなってしまうため、財産をもらった人に対して多額の贈与税が発生してしまうリスクが高いです。

 

2.相続税の申告手続きについて

 

相続税を納める必要がある場合、税務署に相続税の申告書を提出する必要があります。ここでは相続税の申告手続きについて解説していきます。

 

(1)相続に関する手続きの流れ

相続が発生してから相続税の申告を行うまでの流れは下記の通りです。

 

相続発生(故人の亡くなった日)

  • 遺言書の確認
  • 相続人の調査・確認
  • 相続財産の把握

  • 遺産分割協議

  • 相続税計算

  • 遺産分割協議書作成

  • 遺産分割

  • 相続税の申告

 

なお、

  • 相続の放棄・限定承認の選択は相続発生から3ヶ月以内
  • 所得税の準確定申告は相続発生から4ヶ月以内

という決まりもありますので、ご注意ください。

 

(2)相続の放棄

①相続の放棄とは?

相続の放棄とは、プラスの財産(現預金など)もマイナスの財産(借金など)も、被相続人が残した遺産の全てを受け取らないという方法のことをいいます。それでは、どんな場合に相続の放棄を選択すればいいのか確認していきましょう。

プラスの財産(現預金など)とマイナスの財産(借金など)を比べたケースにおいて、マイナスの財産のほうが明らかに多いと判断できる場合、相続の放棄は有効な手段です。もし、被相続人が莫大な借金を残して亡くなった場合、残された相続人は何もしなければその借金を全て負担する事になります。

そのため、相続の放棄という方法があります。

 

②相続の放棄が認められない場合はあるのか?

裁判所へ相続放棄の手続きをして申述が却下されるケースはほとんどありません。しかし、以下の➀または➁に該当する場合は単純承認をしたものとみなされますので、注意が必要です。

なお、単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ方法をいいます。

 

  1. 相続人が相続財産の全部、または一部を処分した場合
  2. 相続の放棄をした後に、相続財産の全部、または一部を隠匿、消費したり、わざと財産目録に記載しなかった場合

 

仮にこの他のケースで相続放棄が却下された場合、2週間以内に「即時抗告」を行えば高等裁判所の再審理を求めることが出来ます。却下された際はなぜ却下されたのか理由を教えてくれないケースがほとんどであるため、弁護士や税理士に相談されるのが良いでしょう。

 

③相続の放棄の期限

相続の放棄の期限は3ヶ月です。

民法第915条は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に相続放棄限定承認単純承認を選ばないといけない」と規定しています

 

④「自己のために相続の開始があったことを知ったときから」とは?

相続の放棄の期限は3ヶ月ですが、被相続人が死亡した時から3ヶ月経過すると、どのような理由があっても相続の放棄はできなくなってしまうのでしょうか?

この期間のカウントは、被相続人の死亡を知らない限り開始しません。例えば、被相続人が死亡して3年後に死亡を知ったのであれば、そこから3ヶ月間は相続の放棄をすることができます。

 

また、被相続人に借金などのマイナスの財産があることを知らなかった場合はどのような取扱いになるでしょうか?

この場合、相続人が、「被相続人に相続財産が全くない」と信じたことにやむを得ない事由が認められる場合であれば、相続の放棄をしないことについて、正当な理由があると認められます。

よって、相続人が被相続人の借金の存在を知らなかったのであれば、死亡の事実を知っていても、相続放棄の「3ヶ月間」についてカウントが開始しません。

ただし、相続人の過失によって借金などのマイナスの財産に気づかなかった場合、相続の放棄をしなかったことについて正当な理由があると認められないおそれもあります。例えば、被相続人の自宅に債権者から督促の郵便が届いているにもかかわらず、相続人が郵便物をチェックしていなかったため3ヶ月が経過したというケースでは、相続の放棄は認められないでしょう。

よって、自分が相続人になったら被相続人の負債の状況を必ず調べるべきです。そして、もし借金などマイナスの財産があったらどのくらいの金額であるのかしっかりと調べましょう。

 

(3)限定承認

①限定承認とは?

「限定承認」とは、マイナスとプラスの財産が両方ともあった場合に、マイナスの財産がプラスの財産を超えない範囲で相続するという相続の方法です。例えば、「プラスの財産が100万円、マイナスの財産が200万円以上あると判明している場合」については、明らかに相続分がマイナスになります。よって、相続の放棄を選択すべきです。

しかし、「プラスの財産が100万円、マイナスの財産が200万円以上あると推測しているが、正確な額は不明の場合」は限定承認を選択すべきでしょう。

 

②限定承認のタイミング

プラスの財産よりもマイナスの財産が明らかに多いと判断できる場合は相続の放棄をすべきです。しかし、プラスとマイナスどちらが多いか不明の場合、相続したマイナスの財産を相続したプラスの財産から弁済し、相続人自身の財産で弁済する責任を負わないというものが限定承認です。

限定承認を行う場合、放棄の場合と同様に、「相続の開始を知ったときから3ヶ月以内」に

家庭裁判所に限定承認の申立てをする必要があります。

ただし、共同相続の場合は相続人全員の共同でなければ限定承認の申立てはできません。逆に言えば、相続人のうち1人でも反対する者がいれば、相続の放棄をするのが良いでしょう。

 

(4)所得税の準確定申告

①準確定申告とは?

一般的に、「確定申告」とは、1月1日から12月31日までの一年間の所得について、翌年の2月16日から3月15日までに申告を行います。しかし、「準確定申告」は別に期限が定められており、被相続人が準確定申告の対象者であるかどうかの判断基準は一般的な確定申告と基本的には同じ考え方です。

ただし、被相続人の場合、本人が死亡しており申告することができません。よって、相続人が被相続人の代わりに確定申告をすることになります。これを「準確定申告」といいます。

 

②準確定申告が必要なケース

準確定申告が必要な場合について、主要なものを下記にまとめました。被相続人が下記の➀~④にあてはまる場合、準確定申告が必要となります。準確定申告の対象者は一般的な確定申告のものと同様です。

 

  • 個人事業主
  • 給与所得と退職所得以外(副業など)の所得
  • 給与の年間収入が2,000万円以上
  • 同族会社の役員やその親族などで、給与の他に貸付金の利子や家賃なども受け取っていた場合

 

③準確定申告の期限

準確定申告については、相続人が相続を知った日の翌日から4ヶ月以内に行わなければなりません。

納税も同期間に行わなければなりません。遅れないようにくれぐれも注意しましょう。

 

相続税の申告書はどこで手に入る?

税務署が相続発生(被相続人の死亡)を把握した後、申告が必要と思われる場合には申告書が送られてきます。送られてきていない場合には国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

 

相続税の申告書はいつまでに提出する?

相続税の申告書には提出期限は相続の開始を知った日(故人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内です。

 

相続税の申告書はどこに提出する?

被相続人の亡くなった時の住所地を所轄する税務署長に提出します。

 

相続税の申告書の他に必要な書類は?

相続する財産の種類や控除の有無によって、添付が必要な書類は異なります。

ここでは、特例等の適用を受けない場合に必要となる書類について解説していきます。

  • マイナンバーを確認するための本人確認書類
  • 身元を確認するための本人確認書類
  • 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本
  • 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
  • 相続人全員の印鑑証明書

 

古殿
古殿
相続税の手続きに関しては多くの必要書類や煩雑な計算が伴うため、相続に詳しい税理士に相談をするのが無難でしょう。

 

3.相続税の計算方法

 

平成27年にあった相続税基礎控除額の改正以降、相続税の課税対象となる方は増加しています。

国税庁の下記HPには「相続税の計算方法」について記載がありますが、専門用語が多くよく分からないというのが本音だと思います。相続税の計算は非常に複雑なものとなっているからです。

参考:国税庁HP「No.4152 相続税の計算」

 

そこで、今回は、相続税の計算方法の概要について解説していきます。

 

(1)相続税の計算方法

相続税を計算するためには下記のような手順が必要です。

 

①相続税の課税対象となる遺産額を計算する

税額を計算するため、個々の相続人の相続する財産のうち課税対象となる相続財産(正味の遺産額とも言います)がどの程度あるのかを確認・確定させる必要があります。

  • ここでは相続人1人1人の相続する遺産額を計算している
  • プラスの財産もマイナスの財産も全て含める
  • 非課税となる財産も確認する

といったことに注意しましょう。

 

②相続税の基礎控除額を計算する

相続税には基礎控除(課税対象額を減額する制度)があります。相続する財産が基礎控除額より少ない場合には、相続税を納める必要がなくなります。

  • 相続税を納める必要がなくても、申告手続きは必要なケースもある

といったことに注意しましょう。

 

③相続税の課税遺産総額を計算する

①②で計算した金額をもとに、相続人全員分の課税対象となる相続財産を計算します。

  • ①と異なり、ここでは相続人全員分の正味の遺産額の合計金額を計算するといったことに注意しましょう。

 

④相続税を計算する

③で計算した相続税の課税遺産総額をもとに、相続人全員分の相続税の合計金額を計算する

  • 相続税の合計金額を計算する際には

法定相続人が法定相続分を相続した」と仮定して計算する

  • 各人の相続税を計算する際には、相続税の合計金額に

「各人が実際に相続した財産が課税遺産総額に占める割合」を乗じて計算する

といったことに注意しましょう。

 

それでは、簡単な具体例を用いて実際に相続税額を算出してみましょう。

 

<具体例>

課税財産9,000万円/被相続人は夫。相続人は妻・長男・長女/

実際の取得割合は、妻→6/10、長男→3/10、長女→1/10である場合。

 

法定相続分で分けた場合の妻の相続税額

9,000万円×1/2(法定相続割合)=4,500万円

4,500万円×20%(相続税率)-200万円(控除額)=700万円

 

法定相続分で分けた場合の長男の相続税額

9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円

2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円

 

法定相続分で分けた場合の長女の相続税額

9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円

2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円

 

<全体の相続税額>

700万円+287万5千円+287万5千円=1,275万円

 

具体例における家族の場合、全体の相続税額は1,275万円になります。この1,275万円のうち、妻・長男・長女それぞれが相続税をいくらずつ払わなくてはいけないのかを計算するのが次のステップです。

 

妻の相続税額

1,275万円×6/10(実際の取得割合)=765万円

 

長男の相続税額

1,275万円×3/10(実際の取得割合)=382万5千円

 

長女の相続税額

1,275万円×1/10(実際の取得割合)=127万5千円

 

さらに、「一定の条件をみたしている場合」、ここまでで算出した各人の相続税額から金額を差し引くことができます。これを「税額控除」といいます。

国税庁のHPにおいても、各種の税額控除について詳細の記載があります。

参考:国税庁HP「相続税の計算と税額控除」

 

税額控除は誰でも受けられるものではなく、相続人が一定の条件をみたしている場合だけ受けることのできるものです。

また、相続人1人1人に税額控除が適用されるため、例えば、具体例における妻に配偶者控除が適用されても、長男・長女まで適用される訳ではありません。

ただし、未成年者控除・障害者控除については、対象相続人の税額から控除できなかった部分は対象相続人の扶養義務者の税額から控除することができます。

税額控除を受けるためには相続税申告が必要となりますので、まずは税額控除を受けられる相続人がいるかどうか確認することとなります。相続税の計算をする際には計算ミスが無いかはもちろんのこと、相続財産をすべて計算に含めているかどうかにも気をつけなければなりません。

古殿
古殿
万が一、申告した税額に誤りがあった場合には追徴課税が発生する可能性もありますので、専門家である税理士に依頼したほうが無難なことは間違いありません。

 

4.相続は贈与よりも得をする?

 

よく聞く相続税対策の1つとして生前贈与が挙げられます。「1.相続と贈与とは?」でも紹介した通り、相続と生前贈与の違いは財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

相続・贈与のいずれにせよ税金が課税されますが、生前贈与は本当に相続税よりもお得になるのでしょうか?

 

(1)贈与税の税額について

そもそも贈与税という税金が存在している理由は「生きている間に家族に財産を譲ってしまえば相続税を払わなくて済む!」という考えの人が少なからず出てきてしまうため、そういった人々からも平等に税金を徴収するためです。

 

こうした考え方から、本来であれば

相続税 ≦ 贈与税

となるべきなのですが、現在は贈与税の非課税制度が設けられているため、相続よりも贈与の方が納税額を抑えることができることがあります。

 

(2)贈与税の非課税制度について

贈与する財産のうち、非課税扱いになるのは次のような場合です。

 

法人から贈与を受け取得した財産

贈与税は個人から贈与受ける場合に課税される税金であるため、法人から贈与を受けた場合には贈与税はかかりません。かわりに所得税が課税されます。

扶養義務者から生活費または教育費として取得した財産

ここでの生活費とは通常の日常生活に必要な費用、教育費とは学費・教材費・文具費などを指します。

これらには贈与税はかかりません。ただし、「生活費」「教育費」の名目で財産を受け取った後、別の目的で使用した場合には贈与税がかかります。

公益を目的とする事業に使われる財産

宗教、慈善、学術など、公益を目的とする事業に使われることが確実なものには贈与税はかかりません。

個人から受け取った香典、花輪代、お年玉、見舞い金などの財産

上記のような金品に関しては、社会通念上相当の金額であれば贈与税はかかりません。

(例えば、100万円をお年玉として受け取った場合には贈与税がかかる可能性が高くなります。)

直系尊属(父母・祖父母)から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金とは、居住用の家を新築・取得・増築するための資金のことを指します。

高額なケースが多いですが、一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

直系尊属(父母・祖父母)から一括贈与を受けた教育資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金と似ていますが、例えば高校や大学の入学資金などは一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

 

(3)贈与は相続よりも得をする?

様々な状況やケースが考えられるため、一概に「贈与は相続よりも得をする」とは言えませんが、贈与の方が得をするケースがあることも事実です。

 

①贈与税の計算について

贈与税を計算する方法は、①「暦年課税方式」と②「相続時精算課税方式」の2種類から選ぶことができます。贈与税や相続税の課税の仕組みを理解すれば、税金を減らすことも可能となります。

まずは、この2つの方式を見てみましょう。

 

暦年課税方式とは

毎年1月1日から12月31日までの1年の間にもらった財産の合計額から贈与税を計算します。その合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた金額に税率を乗じて贈与税額を求めます。

 

計算方法

(贈与財産(時価評価額)- 110万円)× 税率 - 控除額 = 贈与税額

※贈与財産が不動産などの場合は一定の方法により時価評価額を算定します。

※相続開始3年以内に被相続人からの贈与財産がある場合、 その贈与財産は相続財産とみなされ相続税の計算対象になります。贈与税課税の対象ではありません。

贈与税率については、下記の国税庁のHPをご参考ください。

国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

 

(計算例)

  • お一人から100万円の贈与があった場合

(100万円 - 基礎控除額110万円)× 10% = 0円

  • お一人から600万円の贈与があった場合 (一般贈与財産)

(600万円 - 基礎控除額110万円)× 30% - 65万円 = 82万円

  • 10人の方からお一人100万円ずつ合計1,000万円の贈与があった場合 (一般贈与財産)

(1,000万円 - 基礎控除額110万円)× 40% - 125万円 = 231万円

 

基礎控除額110万円以内の贈与ですと、税負担をすることなく財産の移転が可能となります。

また、この基礎控除額110万円は毎年利用することが可能です。仮に、相続人3人に10年間110万円ずつ贈与をすれば、110万円×3人×10年=3,300万円もの資産を税の負担をすることなく移転することが可能です。

 

相続時精算課税制度とは

贈与を受けたときに、一律の税率(20%で贈与税を計算納付して、その贈与をした方が亡くなった時に相続税で精算を行う制度です。

分かりやすく言い換えると、相続時点において、贈与した財産も含めて相続税を計算し、その相続税から「支払った贈与税」をマイナスする方法です。

また、「支払う贈与税」を計算する際には、2,500万円まで特別控除の枠があるので贈与税はかかりません。そして、2,500万円の枠を超えた贈与額に対して一律の税率20%を掛けて贈与税額を計算します。

 

注意点として、この2,500万円の特別控除枠は、一年間あたりの枠ではなく、相続時精算課税制度を使って贈与をした累計額に対する枠となりますのでご注意ください。2,500万円に達するまでは何度でも税の負担をせずに贈与が行えることになります。

 

(計算例) 下記1年目から3年目まで、全て同じ贈与者から相続時精算課税制度を使って金銭の贈与を受けた。

  • 1年目

1,500万円の贈与を受け取った。

(1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=0円

  • 2年目

1,500万円の贈与を受け取った。

1年目    2年目

(1,500万円+1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=100万円

  • 3年目

2,000万円の贈与を受け取った。

※2年目までで特別控除額を使い切っているため、前年までの贈与金額をマイナスします。

前年までの総額  3年目  前年までの総額

(3,000万円 + 2,000万円 - 3,000万円)× 20% = 400万円

 

ちなみに、相続時精算課税制度は誰でも利用することができるのではなく、「贈与者」は60歳以上の親又は祖父母、「受贈者」は20歳以上の子又は孫という要件があります。

また、相続時精算課税制度を一度選択すると、同じ贈与者からの贈与は暦年課税に変更することができませんのでご注意ください。

 

②相続時精算課税制度は相続税対策になる?

相続時精算課税制度は、結果的に贈与財産が相続税で清算されるので、相続税対策にはならないように見えるかもしれません。しかし、

  • 「時価が上昇する財産」
  • 「収益不動産など収益を生む財産」

などについては、効果を発揮します。

 

①「時価が上昇する財産」については、 相続時点において贈与時の時価をもって財産が評価されるため、実際の被相続人の死亡の時点よりも低い評価額で財産を移すことができます。結果的に、相続税対策となります。

 

②「収益不動産など収益を生む財産」については、贈与者から受贈者へ財産を早期に贈与することによって、財産から生じる家賃などを被相続人の相続財産から除外することができます。結果的に、その分相続財産を減らすことができ、相続税対策となります。

相続時精算課税制度を利用し、贈与した財産の相続税を計算する場合の時価は、相続発生時の時価ではなく、贈与した時の時価で計算することがポイントになります。つまり、相続時精算課税制度を使った相続税対策は、「財産評価のタイミングが異なること」を利用した節税対策となるわけです。

 

相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度には、デメリットもあります。

  • 一度、相続時精算課税制度を選択すると暦年課税に戻すことができない
  • 年齢や対象者など要件がある
  • 贈与の都度、金額に関わらず贈与税の申告が必要になる
  • 相続時に小規模宅地等の特例が受けられない

 

などです。

 

(4)まとめ

相続は突然やってきます。相続税の計算は亡くなった方(被相続人)の相続発生時の財産すべてが対象となりますので、少しでも生きている間に財産を少なくすることで相続税への対策をとることは非常に有効です。

それに引きかえ、生前贈与は生きているうちに計画的に行うことができます。

これにより相続税の軽減対策が可能になります。その1つとして、相続時精算課税制度の選択が有用なこともあるでしょう。

 

また、暦年課税制度も毎年110万円の基礎控除額があります。毎年この基礎控除内での贈与を繰り返して行っていくことにより、相続発生時の財産を少なくすることが可能です。

また、【贈与税の非課税制度】を利用することにより、多くの財産を税の負担をすることなく次世代に移転する手もあります。

 

一例として、以前のコラムでもご紹介した

  • 「住宅取得等資金の非課税制度」
  • 「教育資金一括贈与の非課税制度」
  • 「結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度」

などがあります。

 

一方で、相続税にも多くの優遇措置があります。被相続人の財産の金額や種類、また相続人の人数などによって相続税と贈与税は「どちらがお得」とは言えないのが実情です。

贈与税は相続税の補完税としての役割であり、相続税と贈与税は表裏一体のものです。「どちらがお得」ではなく、両者の仕組みを理解してトータルに試算していくことが重要になってきます。

古殿
古殿
トータルに試算するためには、税理士の存在は不可欠であり、迷わず相談するべきでしょう。特に、相続税・贈与税の優遇措置を利用することにより税金が数百万円・数千万円変わってくることも少なくありません。

 

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2018/10/12 給与計算代行・アウトソーシングのメリット・料金相場・選び方

給与計算は、従業員を雇っている限り会社規模の大小を問わず必ず発生する業務です。しかし、立ち上げたばかりの小さな会社では、限りある人材を他の業務に集中させたかったり、自社で事務要員を雇っている余裕がなかったりというケースも多いのではないでしょうか?

そんな時に便利なのが、新規に事務や経理要員を雇うより安い給与計算の代行サービスです。

古殿
古殿
今回は、給与計算代行の費用相場やメリット・デメリットについてご紹介していきます。

 

1.給与計算の代行(アウトソーシング)サービスとは

給与計算の代行(アウトソーシング)サービスとは、その名の通り給与計算を外部委託できるサービスです。

 

給与計算とは、具体的には基本給に企業ごとに定められた諸手当、交通費などを加算し、税金や保険料など控除額を差し引いて支給金額を計算することです。簡単なように見えますが、実は複雑な計算が必要となり、意外に時間を取られる業務でもあります。

さらに、給与計算はかなり細かな知識が必要になるケースもあり、かつ、絶対に間違えることができないという特徴があるため、外注するメリットが高い業務であるとも言えます。

そんな給与計算だからこそ外部サービスに委託することで、より効率的に本来の業務に打ち込むことができます。

給与計算の代行(アウトソーシング)サービスはメリットが多いですが、デメリットも存在します。

古殿
古殿
ここからは、メリットとデメリットについてそれぞれ詳しく解説していきます。

 

2.給与計算の代行(アウトソーシング)を利用するメリット

給与計算の代行(アウトソーシング)サービスを利用するメリットについてご紹介していきます。

 

(1)限られた人員の手を煩わせずに済む

規模の小さな会社では、事務や経理部門を設けず社員や経営者が給与計算を担当しているというケースがよくあります。本来の業務の傍らで給与計算もしなければならないため、繁忙期など時期によっては大きな負担になっていることも多いのではないでしょうか?

かつ、給与計算の性質上、間違えることもできません。仮に、間違えてしまった場合の労使間トラブルを想像した場合、外注することでリスクヘッジにもなります。

給与計算代行サービスを利用すれば、社員も経営者も本来の業務に集中することができ、業務効率を上げることができます

 

(2)事務・経理要員を雇うより安い

給与計算のために事務や経理要員の社員を雇うと、1人あたり月15〜20万円ほどの給与が発生します。

 

給与計算代行サービスの費用相場については後の項目で詳しく解説しますが、例えば、月額3万円で給与計算代行サービスを利用した場合、給与計算のコストを1/5〜1/7程度に抑えることができます。人を雇うより安いため大幅なコストカットが可能になることも、給与計算代行サービスを利用する大きなメリットといえるでしょう。

古殿
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HPなどで料金表を提示している代行会社が多いため、まずは料金表を見て費用相場を把握し、どのくらいコストを削減できるのか確認してみましょう。

 

(3)税制の改定にもすぐ対応できる

税制や保険制度に関する法令は、毎年のように頻繁に改定されます。しかし、社内の担当者がこれらの法令の変更にタイムリーに対応するのは、専門家でない限り難しいことです。

給与計算代行サービスでは、給与計算を専門とするプロが業務を代行します。複雑な変更もすぐに反映しミスや対応遅れを防ぐことができるため、会社の社会的な信用を保つことができます。

 

(4)時期的な人員確保がスムーズにできる

給与計算は、ボーナスや年末調整の時期など時期によって業務量の増減が大きい業務です。変動する業務量に合わせて社内で人員を確保するのは難しいですよね。

給与計算代行サービスを利用すれば、増えた業務の人員確保を自社で行わなくて済むため、経理だけではなく人事の負担も減らすことができます。普段の給与計算は社内の人員や給与計算ソフトに任せ、年末やボーナス時期の業務のみ給与計算代行サービスに委託するといった部分的な使い方もおすすめです。

 

3.給与計算の代行(アウトソーシング)のデメリット

それでは、給与計算の代行(アウトソーシング)サービスを利用するデメリットにはどんなものがあるのでしょうか?下の項目で給与計算の代行を利用するデメリットを解説していきます。

 

(1)全ての業務を委託するのは難しい

1つ目のデメリットは、給与計算の代行(アウトソーシング)サービスに全ての給与計算業務を委託するのは難しいということです。

社員情報の更新や勤怠管理などは自社内でないと対応しにくいため、業務の一部は引き続き社内でこなすことになります。

 

また、これまで社内で行なっていた業務を外部の代行サービスに委託することになると、社内での締め切りが早まって一時的に業務量が増えるというデメリットも考えられます。

社員の人数によっては、給与の締め支払日を変更していただくケースもあります。

 

(2)自社にノウハウが蓄積されない

また、給与計算業務を代行サービスに委託すると、社内にノウハウが培われないというデメリットもあります。

委託していた会社がサービスを終了した場合などは、社内にノウハウがなく担当者もいなくなるため、一時的に給与計算ができなくなるリスクもあるデメリットとして念頭に置いておきましょう。

 

4.給与計算代行サービスを選ぶ時のポイント

給与計算代行サービスを選ぶときのポイントについて解説していきます。

 

(1)専門性が高いか

給与計算は、正確性専門性が大切です。

給与計算代行サービスを選ぶときには、どの程度専門的な知識を持っている会社か、またどの程度の規模の会社の給与計算を代行した実績があるのかをしっかりチェックしておきましょう。

 

(2)情報管理がしっかりしているか

給与計算を委託するときには、社員の個人情報や勤怠情報を受け渡す必要があります。必要なデータは社員のプライバシーに関わることもあるため、しっかりとした情報管理が必要です。

古殿
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これまでに情報流出などの事故が起こっていないかどうか、またどのようなセキュリティシステムを導入しているのかをチェックしましょう。

 

(3)料金が安いか

料金が安いということも、最終的に給与計算代行サービスを選ぶときのポイントになります。上記のポイントを抑えた上で料金相場を理解し、会社ごとの料金表と見比べて「安い」と納得できるサービスを選びましょう。

ただし、会社の規模や委託内容によっては、料金表とは違った費用がかかる場合もあります。検討時にはHPなどに記載されている料金表だけではなく、具体的な見積も依頼してから選ぶようにしましょう。

 

5.給与計算の代行・アウトソーシングの費用相場

給与計算代行サービスの相場費用はどのくらいなのでしょうか?項目ごとに、相場料金を解説していきます。

 

(1)給与計算代行のみの費用相場

給与計算の代行のみをアウトソーシングする場合、社員50名規模の会社で5〜8万円ほどが相場の料金です。

 

給与計算は比較的単調なルーティン作業が多いため、代行会社側も人員を割かずに済み数万円程度の安い費用で委託できます。

社員の人数によって料金相場も変わりますし、給与代行のみや給与と賞与計算代行は料金表で最も安い金額となっていることが多いため、詳しい料金は各代行サービスの料金表をチェックしてみましょう。

 

(2)年末調整・住民税更新代行の費用相場

時期により業務量が増える年末調整・住民税更新と給与計算を給与計算代行サービスに委託する場合は、50名規模の会社で月額10〜15万円ほどが相場の料金となります。

 

こちらも会社の規模により料金が変わってきますので、各会社・サービスの料金表をチェックしましょう。

 

(3)社会保険・勤怠管理代行の費用相場

給与計算・年末調整や住民税更新に、社会保険や勤怠管理代行のオプションを加えたパターンでは、月額20〜30万円が相場の料金となります。

 

給与計算代行サービスの料金表をみると、基本的な給与計算の料金にオプションとして他の控除額計算を加えていくというスタイルがほとんどです。そのため、オプションを増やすほど社内の仕事は楽になりますが、その分料金が高くなるというデメリットがあります。

 

料金表と照らし合わせながら必要なオプションとそうでないオプションを使い分け、なるべく安い料金で効率的にアウトソーシングできるようにしましょう。

 

6.給与計算の代行及びアウトソーシングと相性の良い会社の特徴

給与計算の代行及びアウトソーシングと相性のいい会社は、以下の通りです。

 

(1)給与計算要員が居ない企業

事務や経理など、給与計算のための専門知識がある人員が居ないという会社には、給与計算のアウトソーシングはおすすめです。

 

月額数万円で専門家に業務を委託できるため、新たに人員を雇って教育するよりもコストが安いですし、正確な給与計算を行えるようになります。

 

ただし、給与計算のノウハウが社内に全く蓄積されないと、サービス中止などの場合に給与計算ができなくなるおそれがあるというデメリットも把握しておきましょう。

 

(2)人件費を削減したい企業

人件費をトータルで削減したいという会社にも、給与計算のアウトソーシングがおすすめです。

 

単調なルーティン作業の多い給与計算を外部委託することで、限られた人件費をより効率の良い人材に充てることができ、会社全体の利益効率もアップします。

ただし、外部サービスに頼るあまりオプションを付けすぎると、結果的に人件費よりも外注費が高くなってしまうというデメリットもあります。料金表からオプション料金を把握して、必要なものとそうでないものを使い分けましょう。

 

(3)社員数が多く計算が煩雑な企業

小規模企業だけではなく、社員数が多く煩雑な計算が必要な会社も、給与計算のアウトソーシングがおすすめです。煩雑な計算が必要な会社の過去の給与明細を拝見すると、間違った給与計算をされている会社さんもいらっしゃいます。「給与計算=間違ってはいけないもの」であるため、間違える可能性があるのであれば、必ず外注すべきでしょう。

給与計算代行サービスの料金表をみると、社員数が多ければ多いほど1人あたりのコストは安く、デメリットが少ないことがほとんどです。膨大な業務量に対して安い金額で給与計算業務を委託できるので、社員数の多い大規模な企業にも給与計算のアウトソーシングがおすすめです。

 

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2018/10/05 決算代行サービスのメリットとは?費用相場・選び方を徹底解説!

経理部門のない会社や、簿記の知識がない個人事業主の方が悩まされていることも多い「決算」。

そんな複雑で難しい決算を格安で代わりに行ってくれる「決算代行サービス」があるのをご存知でしょうか?業界では、年一決算と呼ばれる方も多くいらっしゃいます。

古殿
古殿
今回は、プロ目線で将来の節税のアドバイスも受けることができる決算代行サービスについて、費用や比較する際のポイント、最短での納品期間について解説していきます。

 

1.決算とは?

決算とは、1会計年度(ほとんどの会社で1年)ごとに、財務状況を明確にするために行う処理を指します。

 

会計期間分の金銭の出入りをまとめて決算書類を作成し、決算期から2ヶ月以内に決算申告を行って納税額を確定させます。

結果的に、決算書・申告書関係を税務署に確定申告して、納税を行う一連の流れとなります。

 

2.決算代行サービスとは?

決算代行サービスとは、その名のとおり、会社や個人事業主に代わって税理士や経理代行業者が決算・申告を行うサービスのことです。

多くの会社では経理部門や顧問税理士が決算を行いますが、個人事業主や創業したばかりの小規模な会社では、簿記の知識がある社員が不在であったり顧問税理士をつけていなかったりという場合も往々にしてあります。

簿記の知識や専門資格がないと絶対に決算が出来ないという訳ではありませんが、やはり知識のない人にとっては難しく非常に時間のかかる大変な作業です。間違いのあるままで決算申告しても、税務調査の際に否認されて、結果的に、延滞税や加算税という余計な税金が発生してしまいます。

そんな決算作業を税理士や経理の専門家に外注できるサービスが「決算代行サービス」です。費用はかかってしまいますが、自分でやるのと比較しても時間を大幅に節約することができるため、利用している企業や個人事業主の方はとても多いです。

古殿
古殿
決算代行サービスは、会社によりサービスや格安プランなど様々な種類があります。その内容について、下の項目で比較解説していきます。

 

(1)決算書作成代行サービス

決算書作成代行サービスとは、決算申告を行うのに使う「決算書」の作成を代行して行うサービスです。

 

年度内の領収書・請求書・通帳の写しなどを提出し、「貸借対照表」「損益計算書」などの決算申告に必要な書類を作成してもらいます。

 

費用は決算申告のみの代行と比較して高くなる場合が多いですが、必要なものを集めて代行サービスに丸投げするだけで決算をすることができます。

 

(2)決算申告代行サービス

決算申告代行サービスは、「法人税申告書」「消費税申告書」「地方税申告書」「事業概況書」などの決算に必要な書類は自分で準備し、税務署への申告のみ代行してもらうサービスです。

申告書の内容次第では大幅に節税できることもあり、決算申告のみを税理士に依頼する事業主の方も非常に多いです。

古殿
古殿
費用は、決算書の作成から代行するのと比較にならないほど格安の費用で依頼することができます。

 

3.決算代行サービスのメリット

決算代行サービスを利用することのメリットについてまとめてみました。

 

(1)複雑な手続きを自分でしないで済む

決算代行サービスを利用する最も大きなメリットは、複雑な決算手続きを自分で行わなくて済むということです。

決算は、1年分の領収書や請求書をまとめるだけでも大変な作業です。簿記の専門知識がない個人事業主の方や経理担当者のいない小規模な会社にとっては、決算が毎年の悩みの種となっていることも多いかと思います。

もちろん決算代行サービスには相応の費用がかかりますが、丸投げしてしまうことでその悩みを解消できるなら、むしろ格安と感じられるのではないでしょうか。

 

(2)申告漏れを防ぐことができる

法人税・消費税・住民税・事業税の申告書は、提出が1日でも遅れてしまうと無申告加算税の対象となります。本来納めるべき税額から5〜20%増額されてしまう可能性があるため、申告漏れは絶対に避けたいところです。

また、2期連続で法人税の申告が遅れると、青色申告の承認が取り消されます。青色申告の取り消しには重いペナルティが課され、会社の信用も失われてしまいます

経理部門のない会社で通常業務をこなしながら自力で決算をしていると、「うっかり忘れていた」「わからなくて期限が過ぎてしまった」ということが起こりかねません。

古殿
古殿
決算代行サービスで専門家に外注し最短で決算することで、こういった申告漏れを防いで会社の信用を守ることができるのです。決算書・申告書の品質についても確保できます。

 

(3)経理担当者を雇うよりも安い

小規模な会社や個人事業主の場合、経理担当者を雇いたくても予算がないという場合も多いのではないかと思います。また、通常の業務程度なら自力で財務処理ができるが、決算期だけは専門知識を持った人に頼りたいということもあるでしょう。

決算代行サービスは年に一度の決算期のみ経理を外注することができるので、毎月の給与が必要となる経理担当者を雇うことと比較しても、費用は格安です。年一決算で経理は最低限のことだけ外注し、会社は売上アップに専念することができます。

格安で専門知識がある税理士の手を借りることができるため、小規模な会社・個人事業主の方こそ決算代行サービスを利用するのがおすすめです。

 

(4)プロの目を通して節税できる

自力で決算しようとすると、本来経費として計上できる仕訳を見逃してしまうことがあります。また、間違えて計上すべきではない仕訳を行ってしまうと、過少申告と見なされてペナルティが課せられる場合もあります。

決算代行サービスは専門知識のある税理士によって行われるため、節税しつつ不正にならないようプロの目のチェックを受けることができます。

古殿
古殿
決算を経理のプロに代行してもらうことで、代行会社に費用を支払っていても、納税額が減って格安となり却って節約できるという場合もあるのです。

 

4.決算代行サービスの流れ

決算代行サービスを利用するときの流れは、以下の通りです。

 1.依頼する会社を決める

料金が安いかなど、決算代行サービスの内容を比較してよく検討しましょう。

 2.見積依頼をする

決算代行サービス会社に会社の規模などを相談して、費用の見積依頼をします。

 3.契約する

見積金額に納得できたら、契約し必要書類(領収証や通帳の写しなど)を提出します。

4.決算書類を作成

代理作成してくれるサービスもありますが、自分で作った方が安いです。予算や状況に合わせましょう。

  1. 経営状況などを相談し、将来の節税対策の方針を決定
  2. 決算申告書類を代理作成
  3. 申告書類を代理提出

 

5.決算代行サービスを選ぶ時のポイント

決算代行サービスを選ぶ時の比較ポイントについて解説していきます。

 

(1)自分の会社に合ったプランがあるか

決算代行サービスは、会社ごとに多様なプランを用意しています。

安い費用に抑えたい方向けの決算申告のみ代行のプランや、領収書を提出するだけで決算書類作成から代理申告まで行ってくれる丸投げプランなど様々です。

中には、創業初年度の企業向けに格安で記帳代行や財務顧問を行うコースが用意されている場合もあります。

自分の会社の状況や代行してもらいたいサービスに合うプランを提供しているのはどこか、サービス内容をよく比較検討した上で選びましょう。

 

(2)費用が格安

どんなサービスを受けるときも、費用が安いということは魅力的ですよね。特に会社経営においては安い経費に抑えたいため、できるだけ安い決算代行サービスを探しているという方も多いでしょう。

古殿
古殿
下の項目で決算代行サービスの費用相場についても解説しましたので、サービスを比較してなるべく安い会社を選びましょう。

 

(3)最短期間で決算申告できるかどうか

決算代行サービスを検討している方の中には、「気づいたら決算期が迫っていた」「途中まで自分でやってみたが間に合わなさそうだ」など、最短期間で決算申告をしたいという方もおられるかと思います。

決算代行サービスへの申し込みから決算申告までは、最短で4〜5日と言われています。書類の揃い方など様々な状況により最短期間は変わってきますが、最短で決算を済ませたい方は短期間での対応が可能と謳っているサービスを選びましょう。

まずは数社に電話やメール問い合わせで状況を説明して最短期間を算出してもらい、それぞれを比較してみましょう。

 

6.決算代行サービスの費用相場

決算代行サービスの費用相場は、決算申告の代理のみで5万円、決算書類の作成から決算申告までの代理で10〜20万円ほどです。

決算書類を自力で揃えることができれば費用は格安にできるため、決算代行サービスを安い費用で抑えたいという方は日頃からしっかり記帳をしておくのがおすすめです。

また、月額1〜3万円ほどの安い料金で日頃の会計入力業務から代行してくれるサービスもあります。会社の規模や書類の揃い具合によっても費用は変わるため、正確な費用については電話やメールで見積依頼をしてください。

 

7.決算代行サービスに関するQ&A

決算代行サービスに関するよくある疑問について答えました。

 

(1)決算だけ依頼することは可能?

決算だけを依頼することは、もちろん可能です。月額制での会計入力代行から、決算申告のみの代理まで様々なプランがあるので、比較して自分の会社に必要なサービスを選んで外注しましょう。

 

(2)決算だけを依頼するデメリットはある?

決算のみを代行サービスに依頼することに、特に大きなデメリットはありません。

数万円単位の費用がかかるという側面はありますが、年間通して経理担当者を雇うよりも格安ですし、税理士のアドバイスを受けられて将来の節税にもなるため、結果的には外注の方が安いというケースも多いです。

 

(3)決算だけを依頼するべき会社の特徴は?

決算だけを代行サービスに依頼するべき会社は、経理部門がなかったり、経理担当者を雇う予算がなかったりという小規模な会社です。

簿記の専門知識のある社員を雇おうとすると安い給与では済みませんし、年に一度の決算期だけのためにそういった人材を雇うのは割に合わないと感じることもあるかと思います。

決算代行サービスなら決算期に一時的な費用が発生するだけで、経理担当者を雇うより格安となるのです。

 

(4)最短でどのくらいで対応可能?

決算代行サービスへの依頼から決算申告の完了までは、最短で4〜5日という場合が多いです。しかし、これは決算書の作成が完了していて申告のみを依頼する場合の最短期間なので、決算書の作成から依頼するともう少し時間がかかります。全て丸投げとなると、3週間~1ヶ月は見ておくべきでしょう。申告期限まで、あまりに時間がないと特急料金がかかってくるケースもあります。

決算書・申告書作成の最短期間は、使訳の数や必要書類の揃い具合によって変わってくるため、記帳代行・経理代行サービス会社に直接問い合わせてみましょう。

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2018/05/11 自計化って何?メリット・デメリットをわかりやすく解説

自計化とは、伝票の整理や帳簿記帳などの経営処理に必要となる経理事務を、自社で管理し運用していく取り組みのことです。
自計化と経理代行は異なるサービスです。経理派遣などのアウトソーシングとも違うメリットを持っていますが、その一方でデメリットも少なくありません。導入は慎重に考えたほうが良いでしょう。

古殿
古殿
この記事では、自計化のメリット・デメリットについてわかりやすく解説していきます!

 

1.自計化は経理派遣や記帳代行と異なる

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

経理の効率化を図るために経理派遣を雇ったり、経理代行を利用したりすることは珍しくありません。

しかし、経理を自計化することによって、仕訳や帳簿の信頼性を高めている企業などもあります

自計化と経理代行は基本的に異なる考え・サービスであり、経理派遣などのアウトソーシングとも違うメリットを持っています。

しかし、その一方でデメリットも少なくありませんので、導入は慎重に考えたほうが良いでしょう。

 

2.経理を自計化するメリットとデメリット

 

経理を自計化するメリットは以下となります。

(1)メリット

経理を自計化することのメリットは、第一に帳簿や会計業務全般の信頼性を高められることにあります。経理代行や記帳代行サービスの中には、仕訳の質が低かったり、信頼性に問題がある業者も潜んでいます。プロに頼んでいるからこそサービス品質が高いのは当たり前ですが、選定する業者を誤ると数字の信頼性を損なうことがあるのも事実です。

念のため、外注先は経理業務の知識やサービス体制が整っているのか調べるべきでしょう。業者に問題がある場合、最悪自社の決算の信頼性に影響するだけでなく、社会的な信頼性にも波及するリスクがあります。

経理派遣に関しても同じで、スキルの低い担当者が会計業務を担うと、同様のことが起こるおそれがあります。

 

また、自計化によってタイムリーに会社の数字を把握することができる点もメリットでしょう。アウトソーシングすれば自計化に比べてタイムラグが生じます。

その点、自計化は日々会社のお金の動きを記帳していくため、タイムラグがありません。
日々のお金の動きが頻繁にあり、日々記帳して会社の成績を把握しておく必要がある場合、有効です。

 

自計化では自社で会計業務全般を行うものの、その信頼性や評価を外部の税理士が実施します。つまり、第三者の目で正確性・適格性をチェックできるため、会計業務の信頼性を高めることができます。

もし少しでも不備がある場合や、不適切な仕訳などがあった場合は指摘してもらえますので、信頼性が重要な会計業務では大きなメリットになります。

 

(2)デメリット

その反面、経理の自計化はコスト削減や業務効率化の面では大きなデメリットを及ぼします。基本的に会計業務を自社で行いますので、別途経理担当が必要になるだけでなく、時間効率も低くなるのがネックと言えるでしょう。

特にコスト削減効果はほとんどなく、逆に自計化することによって膨れ上がってしまう可能性もあります。もし、経理派遣で担当者を雇い更に自計化するとなると、大幅なコスト増に繋がってしまうでしょう。

担当者の能力によっても品質が左右されるため、属人性もあります。

 

また、自計化の結果としての会計データは必ず税理士にチェック・修正してもらいましょう。弊社では自計化で100点満点の記帳を見たことがありません。自計化できても数字に信頼性がなければ本末転倒です。

 

3.記帳代行も利点が多い

経理の自計化はメリットとデメリットが正反対と言っても過言ではありません。記帳代行は悪質な代行業者もありますが、逆に税理士が在籍して帳簿の信頼性を高めている業者もあります。そのため、自計化のメリットそのものが薄れてしまう場合も多いのです。

外注するとコスト削減できますので、自計化のようなデメリットはありません。

 

そう考えると、記帳代行のほうが利点は多いと考えられます。つまり、帳簿の信頼性を高めたい場合は、信頼できる記帳代行業者へアウトソーシングすれば良いのです。

古殿
古殿
もし記帳代行の利点が多いと感じたら、ぜひ弊社の利用をご検討くださいませ。

 

4.結局、記帳代行と自計化どっちにすればいいの?

自計化のメリット・デメリット、さらには記帳代行についてお話してきましたが、「結局どっちがいいの?」というご質問が出てきそうですね。絶対的な正解は存在しない前提になりますが、個人的な価値観でご回答させていただきます。

現在、会社が置かれているステージが創業期(一般的に、事業を始めて3~4年)であれば自計化は避けて記帳代行サービスを利用しましょう。

創業期に一番大事なことは1にも2にも売上を上げることです。記帳代行にかかる料金は語弊を恐れずにいえば知れているため、ゼロから簿記や税務の勉強をして自計化するよりも費用対効果が優れていることは明らかです。

古殿
古殿
この時期は売上を上げることに一点集中することをオススメします。

 

また、創業期を越えて成長期以降を迎えている会社は、「経理に対する社長の位置づけ・会社の課題の優先順位」によって決めましょう。

成長期以降を迎えている会社は、会社によって課題が異なってきます。

売上は一定額以上上げることができるようになったけれども、まだ売上が月によってバラバラで売上アップに集中しなければならない。

組織化する過程で人材の採用・教育に時間がかかっている。

会社によって課題も画一的ではなくなります。そのため、成長期以降を迎えている会社は、社長にとって経理の優先順位が高いか否かで決定すればよいでしょう。優先順位が高いのであれば、この時期から会社を組織化して経理を行っていくべきです。

 

ただ、最低限、毎月売上がある程度計画できなくては自計化する意味はないでしょう。アウトソーシングし続けるべきです。

古殿
古殿
1つの判断基準となりますが、自計化(経理)導入のタイミングを計る参考にしてください。

 

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