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2019/06/11 雇用調整助成金で従業員を守ろう!条件・手続きについて解説

不況により業績が悪化した時に利用できる「雇用調整助成金」。事業の縮小により従業員を減らさざるを得ないとき、解雇ではなく休業・教育訓練・出向という形で雇用を継続させると受給することができます。

今回はそんな雇用調整助成金についてご紹介いたします。万が一の時に会社と従業員を守るためにも、ぜひ知っておきましょう。

1.≪雇用調整助成金とは?≫

雇用調整助成金とは、業績が悪化し事業を縮小せざるを得なくなったとき、従業員の雇用を調整することができる助成金のことです。
一時的な業績悪化の場合、従業員を解雇してしまうと企業と従業員どちらにとってもデメリットが大きくなります。そこで、解雇ではなく雇用形態を休業・教育訓練・出向のいずれかに調整することで受給できるのが雇用調整助成金です。この期間の一部を助成してくれるため、会社と従業員を両方守ることができます。

近年、雇用調整助成金の申請件数は減少傾向にあります。しかし、たとえ経営状態が万全でも、事故や災害などで思わぬ損害を受けてしまうこともあるでしょう。雇用調整助成金はそんなときにも特例で支給されることがあるため、全くの無関係な企業はほとんどないと言えます。
万が一のとき、解雇という選択肢を取ってしまわないために、ぜひ雇用調整助成金の制度を知っておきましょう。

(1)支給の対象となるのは?

雇用調整助成金は雇用保険の適用事業所が対象となります。なお、対象となる従業員は、6ヶ月以上継続雇用されている雇用保険被保険者です。

(2)支給の条件とは?

雇用調整助成金が支給されるには、以下の業績不振の条件を満たす必要があります。

・直近3か月の生産量・売上高等の生産指標が、前年同期と比べて10%以上減少していること
・雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者数の最近3か月間の月平均値の雇用指数が、前年同期と比べ一定数以上(*)増加していないこと
・実施する休業等および出向が労使協定に基づくものであること。(計画届とともに協定書の提出が必要)
・過去に雇用調整助成金又は中小企業緊急雇用安定助成金の支給を受けたことのある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の翌日から起算して一年を超えていること。
*大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上

なお、事故や災害の被害によって業績が悪化した場合は、基本的には対象外となります。しかし、熊本地震発生時や2018年7月の西日本豪雨の際には、特例として支給が認められました。
事故・災害等の特例は支給条件・支給額ともに異なるため、詳しくは厚生労働省のHPなどを確認しましょう。

(3)支給される期間

雇用調整助成金が支給されるのは、雇用主が指定した1年間です。引き続き申請することはできませんが、休止期間(支給終了後1年)が明ければ再度申請することができます。

(4)受け取れる金額

雇用調整助成金で受け取れる金額は、中小企業の場合は従業員の雇用継続にかかる費用の2/3、大企業の場合は1/2です。
ただし、どちらの場合も1日1人あたり7,810円が雇用調整助成金支給額の上限です。この上限額はその時の物価などによって変動するため、申請の際に確認するようにしましょう。

・休業の場合:休業手当の2/3(1/2)
・教育訓練期間の場合:賃金負担額の2/3(1/2)+1,200円
・出向の場合:負担額の2/3(1/2)

この金額を、休業・教育訓練の場合は1年で最大100日分、休止後に再度申請する場合は3年で150日分受け取れます。出向の場合は、最長1年分です。

(5)不正受給が多い理由

2013年から2015年までに支給された657億円の雇用調整助成金のうち、不正受給されたのは54億円。全体の申請件数の10%弱が不正受給という状況です。

これは、実際に休業したかどうかの確認が難しいためです。
雇用調整助成金の申請書には勤怠記録の添付も必要ですが、カレンダー形式の書類に「休業」と書くだけ申請が通ってしまいます。また、従業員に休業手当が支給されたかどうかという書類も添付しますが、これも実態とは違う書類が提出される可能性があります。
つまり、実際は通常通り操業している、従業員に助成金が分配されないといった状況でも、雇用調整助成金の申請書は通ってしまうのです。

申請件数が多いため、不正受給が多くても全てをチェックするのは難しい状況にあります。ただし、ランダムに抜き打ちチェックが行われており、もし不正受給が発覚した場合は助成金を全額返還することになっています。また、不正受給が発覚した事業所は、各都道府県の労働局から事業所名が公表され、会社の信用を落としてしまいます。
制度は会社と従業員を守るためだけに正しく使いましょう。

2.≪雇用調整の方法と手続き≫

雇用調整は労働組合または従業員の過半数を代表する者との間で、「休業等協定書」を締結して実施します。
休業・出向・教育訓練とは、以下の基準に沿ったもののことを指します。

(1)休業

・所定労働日の全一日にわたる、もしくは所定労働時間内に対象従業員が一斉に1時間以上行うこと(シフト制は除く)
・判定基礎期間における対象従業員の休業等の実施の延日数が所定労働延日数の1/20以上(大企業は1/15以上)
・休業手当の支払が平均賃金の6割以上であること

(2)出向

・出向従業員の同意を得ていること
・賃金の一部を負担していること
・出向前とおおむね同額の賃金が出向従業員に支払われるもの
・終了後6ヶ月以内に同じ従業員を出向させないこと

(3)教育訓練

・休業期間を利用して従業員の能力を向上させる教育・訓練・講習等を行うこと
・訓練や講習は所定労働日の所定労働時間内に実施すること

ただし、対象となるのは職業に関する知識・技術・技能を会得・向上するための関する講習のみです。語学などの一般的な講習や業務に関することであっても、通常時と同様に行なっている教育プログラムには適用されません。
また、受講者は受講日には業務を行うことはできず、受講後にレポートを提出する必要があります。

(4)手続きの流れ

雇用調整助成金の申請書は、開始の2週間前を目処に管轄の労働局かハローワークに提出する必要があります。申請に必要な書類は以下の通りです。

・雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
・雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書
・雇用調整助成金休業等実施計画届
・登記事項証明書
・月次損益計算書
・従業員名簿

そして、休業・教育訓練・出向のそれぞれの場合で、以下の書類が追加で必要となります。

休業
・休業協定書

教育訓練
・教育訓練協定書
・教育訓練の状況を示す就業規則等
・教育訓練計画一覧表

出向
・雇用調整助成金出向実施計画届
・出向協定書
・出向契約書

休業・教育訓練の場合、判定基礎期間を1~3ヶ月の間で定め、期間ごとに休業等実施計画書を提出します。助成金の申請書も判定期間終了後2ヶ月以内に提出しましょう。
出向の場合は、6ヶ月ごとに申請を行います。続けて申請をする場合は6ヶ月経過後の2ヶ月以内に手続きが必要です。

3.≪雇用調整助成金の申請書はどこでダウンロードできる?≫

雇用調整助成金の申請書は、厚生労働省のホームページでダウンロードできます。以下のURLからダウンロードできますので、必要なものを用意して提出しましょう。

厚生労働省HP「雇用調整助成金の様式ダウンロード」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080400.html

4.≪まとめ≫

雇用調整助成金は経営状態が厳しい会社や、その従業員にとってとても有効です。
申請件数が多く不正受給も多いという一面もありますが、発覚した場合には全額返還となります。制度は正しく利用して、不況の時も会社と従業員を守れるように努めましょう。