美容院・理容室などのヘアサロンで、安定した店舗運営を行う為には経理業務が必要です。顧客を集めても、人件費や商品の仕入れが高額になっていれば、利益を上げることができないからです。
日々の経理業務をしっかりと行っていくことが重要となるため、忙しいオーナーには記帳代行サービスがおすすめです。また経営計画をしっかりと立てスタッフに落とし込むことも重要です。
1.美容院・理容室の現状
美容院や理容室などヘアサロンの数は年々増加傾向にあり、平成27年3月末時点での美容院の数は全国に約23万7000店となっています。
これは全国のコンビニの数(5万3000店)の約4倍に当たります。ご存知の通り人口は減少傾向にあるため、各店舗が顧客を奪い合っているような状況になっています。
このような状況の中で顧客を集めるためには、カットやセットの技術を磨き、スタイリスト・スタッフへの教育を徹底して接客レベルを上げ、顧客満足度を高め口コミを広げていくといった事が必要です。
2.美容院・理容室の経理業務
いくら顧客を集めても、人件費やシャンプー等の仕入れが高額になっていれば、利益を上げることはできません。
非常に基本的な事ですが、日々の経理業務をしっかりと行っていくことが重要です。
では、美容院・理容室ではどのような業務が必要なのでしょうか?
①記帳
毎日の売上や経費を管理し、お金の動きを管理する必要があります。
具体的には、
- 現金・クレジットカードそれぞれで売上がいくらあったのか
- ディーラーからどれくらい備品を仕入れたのか
- スタッフの人件費(給与)はいくらだったのか
- 諸経費がどれくらいかかったのか
等を、PCやノートに記録していく必要があります。
現在は会計ソフトでの管理が主流ですが、エクセルや紙媒体で管理しても構いません。
正しく記帳を行うためには経理や会計を学ぶ必要も出てくるため、忙しいオーナーさんが毎日行っていくことは非常に困難です。
かといって、新たに専門のスタッフを雇い入れる手間も余裕もないという際には、記帳代行サービスが便利です。
記帳代行サービスとは、領収書や請求書を送るだけで、専門知識を持った税理士がオーナーに代わり記帳業務を行ってくれるサービスです。
以前のコラムで記帳代行と経理代行について解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。
②経営計画
①については、税務申告をするにあたっても必要不可欠なものとなってきます。言ってみれば、最低限のこととなります。
美容院・理容室などのヘアサロン業界において大競争時代を勝ち残っていくためには、①で出た数字をもとにしてより突っ込んだ「経営計画」が必要になってきます。
今の数字から来期はどのような数字計画を立てるのか?そのためにはどのような行動計画が必要なのか?計画を立てても、ビジョンや未来像がなければスタッフはついてこないでしょう。
会社が成長するためには①の結果から徹底的な経営計画を行う必要があります。経営計画の中に社長の意思決定を落とし込むことが必須なのです。①、②の両方を通してこそ会社は成長します。融資の際にもこれらは大きなアドバンテージになるでしょう。
2.経理業務を行う上で知っておきたい勘定科目
美容院・理容室の経理は、エクセルやノートで一から帳簿を作成するのは少々手間がかかるため、市販の会計ソフト等の使用をおすすめします。
会計ソフトであれば指定された場所にそれぞれの項目や金額を入力するだけで、自動的に帳簿の形式に整えてくれるため、経理初心者でも比較的簡単に記帳業務を行うことができます。
1.収入
事例 | 勘定科目 |
カットやカラー、商品販売の売上があった時 | 売上 |
本業以外で収益があった時 | 雑収入 |
2.支出
事例 | 勘定科目 |
ディーラーへ支払うシャンプーやカラー材等の代金 | 材料費 |
店舗や駐車場等の家賃 | 地代家賃 |
店舗で使用する電気、ガス、水道代金 | 水道光熱費 |
電話やインターネット料金、DMはがきや切手の代金 | 通信費 |
店舗の火災保険等 | 保険料 |
通勤や買い出し用の車のガソリン、車検代等 | 車両費 |
自動車税、印紙税、固定資産税等 | 租税公課 |
スタッフ用のお菓子やコーヒー代等 | 福利厚生費 |
振込や引落しの際に発生した手数料 | 支払手数料 |
借入金の返済額 | 長期借入金 |
借入金の利息 | 支払利息 |
チラシ作成代金やポータルサイトへの掲載料 | 広告宣伝費 |
顧客や同業者との会食等の代金 | 接待交際費 |
ドライヤーやその他機器、内装や配管の修理代金 | 修繕費 |
スタッフへの給与 | 給料手当 |
家族を雇っている場合、その家族への給与 | 専従者給与(要件に注意) |
顧客用の雑誌、飲食物、有線放送等 | 雑費 |
上記で挙げたものは美容院・理容室において勘定科目の一部に過ぎません。
実際の記帳ではこれら以外の勘定科目も使用する機会が出てくるため、やはり多少の勉強は必要となります。