こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。
本コラムでは毎月、経理に関する話題を執筆してきましたが、
平成27年にあった相続税基礎控除額の改正以降、相続税の課税対象となる方は増加しています。国税庁の下記HPには「相続税の計算方法」について記載がありますが、専門用語が多くよく分からないというのが本音だと思います。
相続税の計算は非常に複雑なものとなっているからです。
そこで、今回は、相続税の計算方法の概要について解説していきます。
2.相続税の計算方法
相続税を計算するためには下記のような手順が必要です。
①相続税の課税対象となる遺産額を計算する 税額を計算するため、個々の相続人の相続する財産のうち、課税対象となる相続財産(正味の遺産額とも言います)がどの程度あるのかを、確認・確定させる必要があります。
といったことに注意しましょう。 |
②相続税の基礎控除額を計算する
といったことに注意しましょう。 |
③相続税の課税遺産総額を計算する ①②で計算した金額をもとに、相続人全員分の課税対象となる相続財産を計算します。
といったことに注意しましょう。 |
④相続税を計算する ③で計算した相続税の課税遺産総額をもとに、相続人全員分の相続税の合計金額を計算する
といったことに注意しましょう。 |
それでは、簡単な具体例を用いて実際に相続税額を算出してみましょう。
<具体例>
課税財産9,000万円/被相続人は夫。相続人は妻・長男・長女/
実際の取得割合は、妻→6/10、長男→3/10、長女→1/10である場合。
①法定相続分で分けた場合の妻の相続税額
- 9,000万円×1/2(法定相続割合)=4,500万円
- 4,500万円×20%(相続税率)-200万円(控除額)=700万円
②法定相続分で分けた場合の長男の相続税額
- 9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円
- 2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円
③法定相続分で分けた場合の長女の相続税額
- 9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円
- 2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円
<全体の相続税額>
- 700万円+287万5千円+287万5千円=1,275万円
具体例における家族の場合、全体の相続税額は1,275万円になります。
この1,275万円のうち、妻・長男・長女それぞれが、相続税をいくらずつ払わなくてはいけないのかを計算するのが次のステップです。
①妻の相続税額
- 1,275万円×6/10(実際の取得割合)=765万円
②長男の相続税額
- 1,275万円×3/10(実際の取得割合)=382万5千円
③長女の相続税額
- 1,275万円×1/10(実際の取得割合)=127万5千円
さらに、「一定の条件をみたしている場合」、ここまでで算出した各人の相続税額から金額を差し引くことができます。
これを「税額控除」といいます。国税庁のHPにおいても、各種の税額控除について詳細の記載があります。
税額控除は誰でも受けられるものではなく、相続人が一定の条件をみたしている場合だけ受けることのできるものです。
また、相続人1人1人に税額控除が適用されるため、例えば、具体例における妻に配偶者控除が適用されても、長男・長女まで適用される訳ではありません。
ただし、未成年者控除・障害者控除については、対象相続人の税額から控除できなかった部分は対象相続人の扶養義務者の税額から控除することができます。
税額控除を受けるためには相続税申告が必要となりますので、まずは税額控除を受けられる相続人がいるかどうか確認することとなります。
相続税の計算をする際には計算ミスが無いかはもちろんのこと、相続財産をすべて計算に含めているかどうかにも気をつけなければなりません。
万が一、申告した税額に誤りがあった場合には追徴課税が発生する可能性もありますので、専門家である税理士に依頼したほうが無難なことは間違いありません。
弊社では経理代行を承っておりますが、相続や贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。
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