年末調整の手続きを終え、給与支払報告書を各市区町村へ発送し、さらに、法定調書合計表の提出まで完了した頃でしょうか。
ひと段落したのも束の間、都税事務所や市区町村などから大きめの封筒に入った「償却資産の申告の手引き」が送られていることにお気づきですか?
「償却資産」という見慣れない言葉に、慌てた経営者の方からお問い合わせをいただくことも少なくありません。
償却資産税は一般的にあまりなじみがなく、計算方法や書き方も独特です。
そこで今回は償却資産税の概要について詳しく説明したいと思います。
1.固定資産税(償却資産)とは
固定資産税は、毎年1月1日現在の固定資産(土地、家屋、償却資産)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額をその固定資産の所在する市町村が課税する税金です。
※東京都23区内においては、特例で都が課税をすることになっています。
2.償却資産の種類と具体例
固定資産税の対象となる償却資産とは、事業で使用している資産で、減価償却費を計上するような資産のみが対象となります。
固定資産であっても償却資産の対象になるものと対象外のものがあります。
具体的には事業のために使う構築物、機械、器具、備品などが対象です。
次のようなものが該当します。
◆構築物
舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板(広告塔等)ゴルフ練習場設備等
◆建物付属設備
受変電設備、予備電源設備、内装・内部造作など
◆機械及び装置
各種製造設備等の機械及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備
(ターンテーブルを含みます。)等
◆船舶
ボート、釣船、漁船、遊覧船等
◆航空機
飛行機、ヘリコプター、グライダー等
◆車両及び運搬具
大型特殊自動車 ※自動車税、軽自動車の対象となる車両は対象外
◆工具・器具及び備品
パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器、衝立、ルームエアコン、応接セット、レジスター、自動販売機等
償却資産の対象からはずれるもの
- 営業車両 (自動車税・軽自動車税の課税対象となるべきもの )
- 無形固定資産 (例:アプリケーションソフトウエア、特許権、実用新案権等)
- 繰延資産
- 取得価額10万円未満の資産で一時に損金処理を行ったもの
- 取得価額20万円未満のうち一括償却資産として3年均等償却を行ったもの
- リースしているコピー機など
<注意点>
取得価額30万円未満の償却資産を
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例により
「即時償却」で全額費用計上したものは償却資産税の課税対象となります。
次回は実践編として償却資産の計算方法・申告から納付までの流れについて
詳しく説明したいと思います。