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2020/04/13 会社設立のメリットとは?個人事業主とどちらが得か見極めるポイント

会社設立には、何かと手間とコストがかかります。

それでも会社設立する人が多いのは、事業の運営や税制上、得られるメリットが大きいためです。

 

今回は、会社設立のメリットとデメリットについて詳しく解説。

個人事業主と法人成りのどちらが得か見極めるポイントや、個人事業主が会社設立(法人成り)すべきタイミングについてもご紹介します。

 

≪1.会社設立と個人事業主との違い≫

現在サラリーマンで、これから独立を考えている方には、事業を行う方法として「個人事業主」「会社設立」の2つの選択肢があります。

 

会社と個人事業主のもっとも大きな違いは、法律上「法人」と扱われるか「個人」と扱われるかということです。

個人事業主は事業を行なっていてもあくまで個人なので、適用される法律や税金は個人向けのものです。

会社を設立すると、「法律上、人格を持つ組織」である法人になり、個人事業主とは根本的に扱いが変わります。

 

会社設立のためには個人事業より複雑な手続きが必要になり、運営上のルールが課せられるなど厳しい側面もあります。

しかし、その分税制上の優遇措置は法人の方がはるかに多く、メリットが大きいです。

社会的な信用度も個人事業主より法人の方が高いので、事業拡大を目指すなら会社設立の方が適しています。

 

≪2.会社設立の7つのメリット≫

会社設立のメリットは、大きく分けて7つあります。

 

・取引先からの信頼を得られる

・節税になる

・融資・資金調達しやすい

・決算日を決められる

・人材を集めやすい

・相続税が発生せず、継承しやすい

・有限責任なので経営のリスクが減る

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

(1)取引先からの信頼を得られる

会社経営者と個人事業主では、一般的には会社経営者の方が社会的信用度は高いです。

それは、会社の作り方には定款の作成や登記といった複雑な手続きが必要で、手軽に開業できる個人事業主より事業への本気度が高いと判断されるためです。

 

また、資本金や定款・登記手続きの費用など設立にかかるコストも高く、それだけ事業に確実性があると見なされます。

 

(2)節税になる

会社設立には、以下のような様々な税制上のメリットもあります。

法人に適用される税金の軽減措置を利用できることは、個人事業主と比べて大きなメリットでしょう。

 

①給与所得控除

給与所得控除とは、サラリーマンが給与の中から仕事に必要なものを買ったりするための必要経費として、給与所得から一定額が非課税になるというものです。

この給与所得控除は役員報酬にも適用されるため、会社を設立して社長や役員になると、所得のうち一定額は自動的に非課税になります。

個人事業主の場合、非課税になるのは実際に使った必要経費のみです。

 

また、社長や役員は、実際に使った経費を必要経費として会社に申請した上で給与所得控除が適用されるので、二重に得をすることができます。

 

②家族に給与を支払える

会社設立を行うと、家族を従業員として雇い、給与を支払うことができます。

法人であれば給与の額に制限がなく、事業の状況に応じて柔軟に給与額を定めることができます。

会社なら家族へ支払った給与を必要経費にできるので、事業に従事する家族が多いほど大きな節税になるのです。

 

個人事業主も、家族を雇って給与を支払うこと自体は可能ですが、上限額が定められていたり、給与額を自由に変動させられなかったりと様々な制約があります。

また、個人事業主は、基本的に家族に支払った給与を経費にすることができません。

 

③消費税の免除を受けられる

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者、また1,000万円を超えてから2事業年度以内の事業者は、消費税の免税事業者となり、消費税を納付する必要がありません。

基本的には、課税売上高が1,000万円を超えた2年後から、消費税の納付義務が発生します。

 

この条件は会社でも個人事業主でも同様ですが、個人事業主が法人化(会社設立)を行うと、それまでの事業と会社設立後の事業は切り離して考えることになります。

つまり、課税売上高の記録がリセットされ、会社設立から2年間はまた免税事業者になれるということになります。

そのため、会社設立を行うと、免税事業者でいられる期間が4年間に伸び、大きな節税になるのです。

 

④所得税・法人税率の差

会社に課せられる法人税は累進課税で、最大税率は23.2%です。

一方、個人事業主に課せられる所得税では、最大45%までの累進課税制度が採用されています。

 

利益が大きくなるほど納税額の差も開いていくため、純利益が500~1,000万円くらいのラインで「法人成り(会社設立)」を行う個人事業主も多いです。

 

⑤退職所得で節税

会社が利用できる控除には、「退職所得控除」というものもあります。

先にご説明した「給与所得控除」よりもこの退職所得控除の方が枠は大きく、また課税対象となる金額自体も、退職金から退職所得控除を差し引いた額の半額のみです。

 

そのため、従業員の給与の一部を退職金として積み立てておき、後で退職金として支払うことで、課税額を減らして節税することができるのです。

個人事業主の事業形態では、退職金という概念自体がないので、会社設立をする大きなメリットと言えます。

 

⑥必要経費の幅が増える

会社設立を行うと、個人事業主より必要経費の幅が増えます。

例えば、会社名義で借りた不動産を「社宅」とすることによって、その家賃が必要経費になります。

これにより、自分や従業員の家賃を利用して節税することが可能です。

 

また、交際費や、個人事業主では家事按分が適用される必要経費についても、会社の方が経費にできる枠が大きく、節税に繋がりやすいです。

 

⑦欠損金を10年繰り越せる

欠損金の繰越とは、ある年に生じた赤字を翌年以降に繰り越し、後の年度の利益と相殺して課税所得を減らすことです。

会社設立を行うと、赤字が発生した年から10年間この欠損金の繰越が認められます。

 

個人事業主の場合、欠損金の繰越が認められるのは最長3年なので、こちらの面でも会社設立をした方が有利です。

 

⑧保険の半額損金算入が可能

会社設立をすると、社会保険に加入する義務が発生します。

従業員の保険料を半額負担するのでコストは増えますが、そのぶん保険料を損金算入して課税所得を減らし、節税することが可能です。

 

⑨相続税・贈与税なしで事業を引き継げる

個人事業を次の世代に継承するとき、多くの財産を持っている場合は多額の相続税や贈与税が課せられます。

 

しかし、事業を法人化して会社設立しておけば、財産は法人所有のものとなり相続税がかかりません。

これは、最初の項目で解説した「会社は法律上、人として扱われる組織」ということがポイントになります。

会社は法人格を持っているので財産を所有でき、相続税・贈与税の対策にもなるのです。

 

(3)融資・資金調達しやすい

先にもお伝えしたように、会社設立をすると個人事業主より高い社会的信頼性が得られます。

「フリーランスや個人商店より、会社の方が信頼できる」という心象面のほか、実務の面で、登記簿謄本により会社の重要事項を確認できるということも重要です。

 

融資や資金調達には信用が重視されるので、会社設立を行った方が多くの融資・資金を引き出しやすくなります。

そのため、会社設立をすると大規模な事業が可能になり、事業拡大のスピードも速くなるでしょう。

 

(4)決算日を決められる

会社の事業年度は、会社設立時に自由に設定することが可能ですが、個人事業主の場合は毎年1月1日~12月31日と決まっています。

 

そのため、資金繰りに余裕がある時期に設定したり、繁忙期を避けて決算業務がしやすい時期に設定したりと、自社にとって有利に決算を行うことができるのです。

 

(5)人材を集めやすい

会社設立で高い社会的信用が得られることは、人材集めにも影響します。

誰でも、働くなら安定した職場で長く働きたいと思うのは当然。会社なら、社会保険や退職金といった制度がしっかりしているということで求職者の信頼感が増し、人が集まりやすくなるのです。

 

(6)相続税が発生せず、継承しやすい

先にもお伝えしましたが、法人の事業承継には相続税や贈与税がかかりません。

自分一代だけではなく、子供や孫に代々事業を続けていってほしいと考える場合には、会社設立を検討するのがおすすめです。

 

(7)有限責任なので経営のリスクが減る

個人事業主の場合、事業主は事業に対して無限責任を負います。

つまり、多額の借金を抱えて事業が倒産した場合、個人の財産を処分してでも借金を返済する必要があるのです。

 

対して、株式会社や有限会社の社長や役員は有限責任なので、出資額以上の責任を負うことはありません。

万が一事業がうまくいかなかった場合のリスク回避にも、会社設立という方法が使えるのです。

 

≪3.会社設立でのデメリットとは≫

会社設立には、メリットだけではなくデメリットがあります。

両方をしっかり比較して、会社設立をするべきかどうか検討した方が良いでしょう。

 

(1)赤字でも発生する税金がある

法人の場合、法人住民税の均等割りがあるため、利益が全く無くても毎年最低7万円を納税する必要があります。

 

しかし、個人事業主だと、赤字で利益がない場合には所得税は課税されず、納税の義務があるのは年数千円程度の個人住民税の均等割りのみです。

 

(2)社会保険への加入が必要

法人は、従業員を守るために社会保険加入の義務があります。

そして会社は、従業員にかかる社会保険料の半分を負担しなければなりません。

 

先にお伝えしたようにその保険料は損金算入できますが、従業員を雇うごとにコストが増えるというのは会社設立のデメリットです。

従業員が社長1人だけの場合も、国民健康保険と国民年金を納める個人事業主よりも社会保険料は高額です。

 

(3)会社のお金を使う場合に制限がある

個人事業主の場合は、稼いだお金は全て事業主のものとなり、自由に使うことができます。

しかし、会社設立をすると、会社と個人のお金が明確に区別されるようになります。

社長の給料も、役員報酬として会社から受け取るという形に変わります。

 

また、役員報酬の額は自由に変更することができず、決算日の翌日から3ヶ月以内に決定した「定期同額給与」しか経費として計上することができません。

 

(4)税務会計など、事務作業が煩雑

会社設立をすると、個人事業の時よりも提出書類が増え、しかも複雑になります。

確定申告の提出資料だと、個人事業主は書類3~4枚で済ませられますが、法人の場合は法人税の決算申告で少なくとも30~50枚も必要となります。

 

そのため、手続きのために従業員を雇う、申告のために税理士と契約をするなどの必要が出てくるでしょう。

そのためのコストがかかるのも、会社設立のデメリットです。

 

(5)設立と解散に手間と費用がかかる

会社設立には、個人事業よりも何かと費用がかかります。

例えば、個人事業の開業なら書類を提出するだけなので0円ですが、株式会社設立には手続き費用として、登録免許税などが最低でも20万円ほどかかります。

 

また、会社設立をすると税務や保険関係の手続きが複雑になるため、税理士や社労士に依頼する費用もかかります。

さらに、会社を廃止するときにも、解散手続きや官報広告費用に8万円ほどの費用がかかることを知っておきましょう。

 

≪4.メリットはある?会社設立すべきかのポイント≫

会社設立のメリットは、シンプルにいうと「信用性」と「節税」です。

 

すでに個人事業を行なっていて、経営のノウハウが備わり、今後も事業拡大の見込みがある場合は、会社設立をするメリットが大きいです。

節税できる額が、会社設立費用やランニングコストを上回った時点で会社設立を考えていいでしょう。

ちなみに、実利の面では、個人事業主より会社設立をした方が得になるボーダーラインは「事業所得600~800万円」と言われています。もちろん、従業員を雇用しているケースなどもありケースバイケースではあるため、税理士に一度シュミレーションしてもらいましょう。

 

また、新規事業を開始したいときなど、まとまった事業資金が必要なタイミングに合わせて会社設立をするのも一つの方法です。

完全に新規起業をする場合は、「その仕事で自分や家族が食べてさえいければいいのか」、それとも「事業を成長させていずれは大企業に育てたいのか」という将来のビジョンが重要になります。

法人化や、会社設立をするタイミングは人それぞれですが、いずれにせよしっかりした事業計画と必然性があるということが重要です。

 

≪5.まとめ≫

会社設立のメリットは、社会的な信用が高く、事業の運営がスムーズになること。

税制上の優遇措置も法人向けのものの方が多く、節税目的で会社設立する人もいます。

 

しかし、会社設立には何かとコストがかかり、リスクが大きいのも事実。

会社設立を行うなら、事業のビジョンをしっかりと検討し、得になるタイミングを見極める必要があります。