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2019/04/02 知らないと絶対に損!扶養控除の基礎知識

よく耳にする「扶養控除」という言葉ですが、その具体的な意味や仕組みはご存知でしょうか?「年収◯◯◯万円の壁」や扶養親族の範囲など、実はきちんと理解できていない方も多いと思います。

今回は、そんな扶養控除の基礎知識について解説していきます。扶養控除は税額の算出に直接関わることなので、知っておかないと絶対に損ですよ。

 

  1. ≪扶養控除とは?≫

扶養控除とは、収入がない・または少ない親や子供などの親族を養っている場合、一定の金額の控除を受けられる制度のことです。簡単にいうと「養っている家族が多いと大変なので、優遇しましょう」ということですね。

 

納税者の所得から控除額を引き、その額に税率がかかるので、結果的に納税額が減免されます。扶養親族の年齢や同居をしているかどうかで金額は変わりますが、控除額は38〜63万円です。

扶養控除の手続きは、会社勤めの場合は年末調整、個人事業主の場合は確定申告によって行います。

 

  1. ≪配偶者控除・配偶者特別控除とはどう違う?≫

配偶者控除・配偶者特別控除と扶養控除のもっとも大きな違いは、扶養している対象が配偶者か、子供や両親などそれ以外の親族かということです。

配偶者の年収が少ない場合、配偶者を「扶養に入れる」と表現することがありますが、厳密には配偶者は扶養控除ではなく配偶者控除の対象となります。また、内縁の妻・夫など法律上の配偶者ではない人は扶養控除・配偶者控除どちらの対象にもなりません。

配偶者控除・配偶者特別控除はの計算は、扶養控除とは少し異なりますので、詳しくは後の項目で解説します。

 

  1. ≪扶養控除の対象の範囲は?≫

扶養控除の対象となる親族の範囲には、以下の条件があります。

 

  • 年齢が16歳以上
  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(里子)や市町村から養護を委託された老人
  • 納税者と生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額(年収)が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下
  • 青色申告者の事業専従者としてその年に一度も給与の支払いを受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

 

(1)子供は何歳から何歳まで対象?

上記の条件で挙げられているように、16歳未満の親族は扶養控除の対象にはなりません。子供を扶養に入れる場合には、16歳以上が対象になります。

平成23年以前は16歳未満の子供も扶養控除の対象だったのですが、これはこども手当の財源とするため廃止されました。

 

一方、その年の12月31日に19歳以上・23歳未満の子供は「特定扶養家族」に区分され、控除額が上がります。この期間は大学進学などでお金がかかる時期なので、税額の上でも優遇されているのです。

 

ちなみに、子供であっても、アルバイトなどで年収を103万円以上得ていると扶養親族から外れてしまいます。「年収103万円の壁」とはここから来ていて、子供が扶養を外れると親の年収に対して税金が多くかかってしまうため、注意が必要です。

 

(2)親も扶養控除の対象?

先の条件で挙げた通り、扶養控除の対象になるのは「6親等内の血族及び3親等内の姻族」です。

 

この範囲の親族とは、

・1等親:父母・子供

・2等親:祖父母・兄弟姉妹・孫

・3等親:曽祖父母・曽孫・叔父叔母・甥姪

 

ここまでは自分の親族・および配偶者の親族が扶養控除の対象です。

 

・4等親:高祖父母、玄孫、祖父母の兄弟姉妹、いとこ

・5等親:高祖父母の父母、来孫、いとこの子供

・6等親:高祖父母の祖父母

これらの親族は、自分の血族、つまり実際に血の繋がりがある親族が扶養控除の対象となります。そのため、1等親である自分の両親・配偶者の両親は、もちろん扶養控除の対象です。

 

(3)同居していないと扶養控除は受けられない?

扶養控除の対象となる親族ですが、同居している必要は特にありません。納税者の収入で生活している、または納税者と支援をしあっている親族は、「生計を一にしている」と見なされて扶養控除の対象です。

そのため、別居している祖父母や、単身赴任の親、留学している子供なども扶養控除の対象になります。ただし、70歳以上の老人扶養親族の場合、同居の有無によって控除額が変わります。

 

  1. ≪扶養控除の金額算出方法≫

扶養控除の金額は、納税者の年収に関わらず一定です。扶養親族一人当たり、以下の金額が年収から控除されます。

 

  • 一般の控除対象扶養親族:38万円
  • 特定扶養親族:63万円
  • 老人扶養親族のうち同居老親等以外の者:48万円
  • 老人扶養親族のうち同居老親等:58万円

 

「一般の控除対象扶養親族」とは、上の項目で挙げた条件に当てはまる、16歳以上の親族のことです。

「特定扶養親族」は、先の項目でも少し触れましたが、12月31日に19歳以上・23歳未満の子供です。

そして、「老人扶養親族」は、その年の12月31日に年齢が70歳以上の扶養親族です。そのうち同居している親族が「同居老親等」となり、別居の老人扶養親族と金額が異なります。

 

扶養している親族が二人以上の場合、一人当たりの金額を全て合計した額が年収から控除されます。

ただし、家庭内に2人以上納税者がいて親族を扶養している場合、1人の扶養親族は1人の納税者の扶養にしか入ることができません。例えば、両親が共稼ぎで16歳以上の子供を扶養している場合、子供の扶養控除を重複させたり、控除額を半分ずつ分けたりすることはできないのです。

 

  1. ≪法律改正で扶養控除・配偶者控除はどう変わった?≫

2018年1月に、配偶者控除と配偶者特別控除の制度が改正されました。

もっとも大きな変化は、扶養者の年収によって控除額が変わるということです。

 

改正前までは、扶養控除の仕組みと同じように、扶養者の年収がいくらであっても、配偶者の年収が103万円以下なら満額の38万円の控除を受けられました。

しかし、改正後は、扶養者の年収が高ければ高いほど控除される金額が少なくなります。扶養者の年収が1,120万円以下の場合、配偶者控除の額は以前までと同じ38万円です。ここから年収が上がるにつれ、1,170万円以下で26万円・1,220万円以下で13万円と金額が下がり、1,220万円以上になると配偶者控除はなくなります。

 

また、配偶者特別控除というのは、被扶養者の年収が103万円を超えている場合、段階的に控除額が下がっていくという制度です。2018年1月の改正で、満額の控除を受けられる年収が150万円まで引き上げられ、そこから201万円までは段階的に控除を受けられます。

この配偶者特別控除も、扶養者の年収が上がる控除額が下がり、1,220万円以上の年収では控除が受けられません。

 

これらの改正により、新たに控除を受けられたり控除額が増えたりするケースが増え、多くの家庭で減税が期待できるようになりました。

ただし、扶養者の年収が高い家庭では、改正の影響で税額が増えるケースもあります。

 

  1. ≪まとめ≫

親族を扶養している場合、扶養控除の仕組みは知っておかないと損です。特に配偶者や家族がボーダーラインに近い年収の場合は、働き方を少し変えるだけで節税して得ができるかもしれませんよ。

親族を扶養に入れるには、働いている会社や確定申告での申請が必要です。ぜひ、扶養控除の仕組みをよく知り、家族の働き方を見直してみてください。

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2019/03/21 減価償却ってどういう意味?計算方法・よくあるQ&Aまとめ

 

建物・パソコン・車両などの購入費を分割して計上する「減価償却」。言葉だけは聞いたことがあっても、詳しい意味や計算方法を理解していないという方もおられるかと思います。

今回は、減価償却の意味や計算方法について解説していきます。ケース別の処理方法や、節税に役立つ知識もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

1. ≪減価償却費はどんな経費?≫

そもそも、減価償却とはどういう意味か知らないという方もいると思います。

とは言え、意味を知らなくても、「減価」という文字から何かの価値が減っていくというイメージは想像できるのではないでしょうか。

 

減価償却費とは、企業や個人事業主が長期間に渡って使う物を購入した時、毎年一定の割合ずつ経費として計上するものです。ある程度高価な品物は、一度使ったからといって価値がゼロにはならないためで、例えば事業所の建物、車両、パソコンなどの機材の購入費などが挙げられます。

年月とともに減っていく価値を、一年で減った分だけ経費に計上するというのが減価償却の基本的な考え方となります。

 

なお、減価償却で価値がゼロになる期間のことを耐用年数といいます。車は6年パソコンは4年など、物品の種類ごとに耐用年数が決まっているので、減価償却費はこれを元に計算します。

減価償却は、厳密には耐用年数が1年以上で、価格が10万円以上の物にのみ適用されます。

減価償却の詳しい計算方法は、下の項目でご紹介します。

 

  1. ≪減価償却の計算方法は?≫

上の項目で減価償却の意味をご説明しましたが、減価償却の計算方法には大きなものとしては2種類あります。

それぞれの計算方法や基本の計上方法を、解説していきます。

 

(1)基本的な計上方法

減価償却費の計算方法には「定額法」「定率法」の2種類がありますが、基本的には「定額法」を使います。特に個人事業主は、事前の届け出をしない限り定額法が適用されます。

なお、2007年3月31日以前に取得した減価償却の対象物には、「旧定額法」「旧定率法」が適用されるので注意しましょう。

 

(2)計算が簡単な定額法

定額法とは、毎年同じだけ価値が減っていくという意味で、毎年同じ価格を計上していく計算方法です。

1年分の減価償却額は、「取得価格 ÷ 耐用年数」の額とほぼ一致し、厳密な計算方法は「取得価格 × 定額法の償却率」となります。

「定額法の償却率」は物品の耐用年数によって定められており、国税庁が計算表を公開しています。

 

ただし、耐用年数の最後の1年のみ、帳簿上に物品の購入履歴を残すという意味で便宜的に1円の価値を残します。そのため、耐用年数が終了する年だけ、減価償却額は他の年より1円少なくなります。

例えば、耐用年数4年、価格40万円のパソコンを購入した場合、最初の3年の減価償却費は10万円ずつ、最後の1年のみ99,999円という計算になります。

 

(3)定率法

定率法は、毎年決まった割合で価値が減っていくという意味の計算です。保証率によって償却保証額を設定し、その金額に達するまで購入金額の残高に決められた割合をかけて計算します。

 

計算式は「未償却残高 × 定率法の償却率」です。

「保証率」と「定率法の償却率」は耐用年数によって異なります。国税庁が定めて計算表を公開しているので、それを元に計算しましょう。

 

また、上記の計算で残高が償却保証額以下になった時には、「改定取得価額 × 改定償却率」の式で計算します。

定額法の例と同じように、耐用年数4年・価格40万円のパソコンを購入した場合は、以下のような計算になります。

1年目:購入金額400,000円 × 耐用年数4年の償却率62.5% = 250,000円

2年目:残高150,000円 × 62.5% = 93,750円

3年目:残高56,250円 × 62.5% = 35,156円

4年目:残高21,094円 × 62.5% = 13,183円

こういった計算で、徐々に減価償却額が少なくなっていくのが定率法です。

ただし、全てのものが定率法で計算できるわけではありません。建物や建物付属設備、無形固定資産、生物など、定率法が適用されないものもあるので注意しましょう。

 

(4)定額法と定率法どちらがいい?

定額法と定率法は、個人事業主は定額法を使い、法人は定率法を使うのが基本になります。

ただし、建物は定額法を適用するなど、その固定資産によって計算方法が決まっているものもあります。

計算が簡単で、明確なのが定額法のメリットです。また、毎年の経費が一定になるので、経営戦略を立てやすいという側面もあります。

定率法は、償却期間の前半は負担が重く、後半は軽くなるのが特徴です。例えば、投資した設備の利益が早く出ていれば、早く償却を済ませられる定率法にメリットがあります。

そのため、定額法と定率法は、事業の経営状態によって使い分ける必要があります。

 

  1. ≪耐用年数と減価償却期間の関係≫

耐用年数とは、先に解説した通り、その物品が利用できる年数という意味です。

減価償却期間も耐用年数から計算し、新品を購入した場合は基本的に減価償却期間と耐用年数は同じです。ただし、中古の物品を購入した場合は、残存耐用年数が減価償却期間となります。

また、既に耐用年数をオーバーしている場合、最短4年を限度として好きな年数を減価償却期間として設定できます。その物品や施設への投資がどのくらいの期間で回収できるのかを見極めるのが、節税や事業拡大のポイントとなるのです。

 

  1. ≪減価償却に関するよくあるQ&A≫

減価償却に関する、よくあるQ&Aをご紹介します。減価償却の計算に迷った時に、ぜひ参考にしてみてください。

 

(1)中古品を購入した場合はどうすればいい?

購入した中古品の価格が新品の50%以上だった場合、法定耐用年数がそのまま減価償却期間となります。それ以下の価格の中古品は、法定耐用年数ではなく、その事業に今後使い続けると思われる見込みの期間を減価償却期間に設定します。

期間の見積もりが難しい場合、耐用年数が終わっている資産は「耐用年数×20%」、耐用年数の一部が終わっている資産は「耐用年数−経過した年数+経過した年数の20%」という計算になります。

ただし、計算結果に1年未満の端数が出る場合は切り捨て、2年未満になる場合は全て2年と設定します。

 

例えば、新品のパソコンの耐用年数は4年です。既に4年使用された中古のパソコンを購入した場合、4年 × 20% = 9.6ヶ月なので、切り上げて2年です。

また、1年使用されただけの中古のパソコンは、4年 – 1年 + 1年 × 20% = 3年2.4ヶ月です。その場合は2.4ヶ月を切り捨てて3年が減価償却期間となります。

 

(2)1年の途中に購入したらどうすればいい?

1年の途中に物品を購入した場合、その月から12月までの月割の金額で減価償却します。

例えば、耐用年数4年・価格40万円のパソコンを10月に購入・使用開始した場合、1年あたりの減価償却額10万円の1/4である25,000円をその年の経費として計上します。

 

(3)売った場合はどうすればいい?

法人が減価償却中の資産を売却した場合、売れた金額が未償却の残高より高いかどうかで処理方法が違います。

売却で利益が出た場合「未償却残高」「売却益」に分けて仕訳帳に記入します。逆に損失が出た場合は「未償却残高」「売却損」です。

 

(4)処分してしまったらどうすればいい?

物品が耐用年数の途中で壊れるなどして処分した場合、帳簿上の未償却残高をゼロにする処理を行います。

「固定資産除却損」として未償却残高の金額を仕訳帳に記載することで、未償却残高がリセットされます。

 

(5)減価償却しないものってある?

長年使用しても、価値が落ちないと判断される資産は減価償却できません。

例えば、土地や電話加入権、絵画、骨董品、ゴルフ会員権などは、時間の経過によって価値が減るものではないので減価償却しません。売却や廃棄するまで、資産として計上します。

 

  1. ≪青色申告の少額減価償却資産の特例とは?≫

青色申告には、「30万円未満のものは、一括でその年の経費として計上することが可能」という特例が用意されています。

例えば、パソコン、オフィスチェア、デスク、コピー機、エアコンなど、減価償却できる資産で30万円未満のものは多くあります。そういったものは、青色申告の個人事業主・法人に限り、合計300万円まで一括で経費に計上できるのです。経費を嵩増しできるので、知っておくことで節税に使えるテクニックです。

ただし、年内に購入しても、使わず放置していた資産は計上できません。また、年の途中で開業した場合は、300万円を月割にして算出した金額が限度額となるため注意しましょう。

 

  1. ≪まとめ≫

減価償却の意味や計算方法が、よく理解できましたでしょうか。

減価償却は単純そうに見えて、意外と細かな計算が必要な処理です。しかし、決算や確定申告を行うには必ず必要な知識なので、ぜひやり方を覚えておきましょう。

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2019/03/14 貸借対照表の見方|合わないときはどうすればいい?

貸借対照表は、企業や個人事業の経営状態の判断の指標となる重要な書類です。確定申告の青色申告65万円控除にも必要な書類なので、個人事業主の方もきちんと書き方を覚える必要があります。

 

しかし、意外と貸借対照表の見方・書き方がわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな方に向けて貸借対照表の基礎知識を解説していきます。

 

 

1. ≪貸借対照表とは?≫

「貸借対照表」とは、バランスシートとも呼ばれることがある会計書類です。企業が持っている資産・負債・資本が現時点でいくらずつあるのかをまとめて記載してあるので、現在の財産状況が一目でわかるのが特徴です。

 

四半期や半期など、決算期ごとに作成したり、月末ごとに財産状況を確認したりするために作成します。

個人事業主が、青色申告65万円控除を適用して確定申告をする時にも必要になる書類です。

 

  1. ≪貸借対照表の見方≫

貸借対照表は、左側が「借方」、右側が「貸方」になっています。

左側(借方)には資産を記載していき、現在企業が持っているプラスの資産の額がわかります。右側(貸方)は上下に分かれていて、上部は負債、下部は純資産です。

負債は現在企業が負っている借金などのマイナスの資産、純資産は資本金など流動しない企業の運転資金を指します。

 

貸借対照表のどこに何が記載されているかわかったところで、貸借対照表の見方を解説していきます。

 

(1)貸借対照表の仕組み

貸借対照表は、左側の借方と右側の貸方が必ず同額になるようになっています。同額にならないときは何かが間違っているので、合うまでチェックが必要です。

貸借対照表の書き方や合わない時の対処方法は、後の項目で解説します。

 

貸借対照表は、資産・負債・資本の3つのバランスで、企業の財政が健全かどうかを判断できます。

詳しい見方について、次の項目で解説します。

 

(2)貸借対照表のここをチェックしよう!

  • 安全性の指標の一つ「自己資本比率」

貸借対照表の見方でまずチェックするのは、「自己資本比率」です。

自己資本比率は、以下の式で求めます。

 

自己資本比率 = 自己資本 / 総資本

 

この数字が高いほど、財産状況が健全な企業ということになります。

全ての資本の中で、企業の運営に使える資本金(純資産)が多いほど、経営が安定している・安全性が高いということです。やみくもに高ければ良いということではありませんが、大まかな経営状況の指標になります。

自己資本比率は、貸借対照表の見方でまずチェックすべき項目です。ちなみに、赤字企業の平均がマイナス4%~5%、黒字企業の平均が25%~26%くらいという統計もあります。

 

  • 会社の支払能力が分かる「流動比率」

貸借対照表の見方で次にチェックするのは「流動比率」です。

 

流動比率 = 流動資産 / 流動負債

 

流動比率は、という式で求めます。

流動資産とは、1年以内に現金化できる資産のことで、貸借対照表の借方の中でも最も上部に記載します。流動負債は、1年以内に返さなければならない負債のことです。

流動資産が流動負債より少なければ、1年以内に支払いができなくなり、資本金などを切り崩す必要があるということになります。逆に、流動資産が多いほど、支払能力に余裕があり経営が順調だということになります。

流動比率は、150%を超えるのが理想とされています。

 

  • 会社の支払能力を更に厳しくチェックする「当座比率」

次に、貸借対照表の見方でわかるのが「当座比率」です。

 

当座比率 = 当座資産 / 流動負債

 

という式で求めます。

当座資産とは、流動資産から1年以上回収できないリスクがある「棚卸資産」を除いたものです。売れ残る可能性がある在庫や、1年以内に廃棄する可能性がある在庫がこれに当たります。

当座比率とは、流動比率より厳しく支払能力をチェックするものです。当座比率は100%を超えるのが理想です。

 

  1. ≪貸借対照表の勘定科目リスト≫

先にご紹介したように、貸借対照表は大きく分けて「資産」「負債」「純資産」の3つの項目でできています。

それぞれの項目が細かな勘定科目に分かれるので、解説していきます。貸借対照表の詳しい見方や書き方を知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。

 

(1)会社の全財産である「資産」

左側の借方に書く「資産」は、「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分かれています。

それぞれ、さらに細かな勘定科目があるため、解説していきます。

 

「流動資産」

・現金預金:現金・預金など、企業が持っているキャッシュ

・売上債権:売掛金など、商品やサービスの対価として発生し、まだ受け取っていない金額

・有価証券:株券・国債などの中で、1年以内に満期になる金額

・棚卸資産:今後販売する商品や原材料などの在庫

・その他の流動資産:1年以内に返済される短期貸付金・仮払金・前渡金など

 

「固定資産」

・有形固定資産:土地・建物・車両・機械・備品など

・無形固定資産:電話加入権・特許権・借地権・ソフトウェアなど

・投資その他の資産:投資有価証券・関連会社株式・出資金・保証金など

 

「繰延資産」

・創立費・開業費・株式交付費・社債発行費・開発費

 

貸借対照表の借方欄は、これらの勘定科目の金額をそれぞれ記入し、最後に「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の合計と、それらの総合計の「資産合計」を算出します。

 

(2)返さなければならない「負債」

「負債」は、「流動負債」と「固定負債」の2つに分かれています。

流動負債は1年以内に返済しなければいけない負債、固定負債は返済期間が1年より長い負債のことを指します。

 

流動負債

・支払手形・買掛金・短期借入金・未払金・前受金・預り金など

 

固定負債

・社債・長期借入金・退職給付引当金など

 

負債は、それぞれ個別の勘定科目の金額を記入し、「流動負債」「固定負債」それぞれの合計を算出します。最後に「流動負債」と「固定負債」を合計した「負債合計」を算出し、貸借対照表の貸方上部に記入します。

 

(3)返さなくてもよい「純資産」

純資産は、「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」の3つに分かれます。

株主資本

・資本金:開業時に用意した資本金、増資して増えた資本金

・新株式申込証拠金:新規の株式を発行し譲渡した時の対価

・資本剰余金:資本準備金など

・利益剰余金:株式の配当で余った利益など

・自己株式:自社で保持している株式

 

評価・換算差額等

・その他有価証券評価差額金・繰越ヘッジ損失・土地再評価差額金

 

新株予約権

・新株予約権:今後発行される株式を購入できる権利

 

純資産は、勘定科目の金額を算出し、「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」それぞれの合計額を算出します。その後、全ての合計を「純資産合計」として貸方下部に記載します。

 

そして、「負債合計」と「純資産合計」を足した額が「負債・純資産合計」です。

この金額は、必ず「資産合計」の額と一致します。合わない場合は間違いがあるということなので、合うまでチェックしたり、下の項目でご紹介する合わない時の対処法で処理したりしましょう。

 

  1. ≪貸借対照表が一致しないときはどうすればいい?≫

確定申告初心者や、貸借対照表の書き方をきちんと理解していない方が作成した場合、借方と貸方の数字が合わないということが発生します。

個人の確定申告でも企業の決算でも、借方と貸方が合わないと受理してもらえません。確定申告をスムーズに終わらせるためにも、貸借対照表が合わない場合の書き方を知っておきましょう。

 

(1)対策①勘定科目が正しい箇所にあるかチェックする

確定申告初心者が、意外と間違えてしまいがちなのが勘定科目の書き方。左が資産・右が負債と純資産ということは理解していても、細かな勘定科目の配置を間違ってしまっていることがあります。

例えば、「現金」は必ず左側にある勘定科目です。右側にある場合は、仕訳や転記の時に間違えているということなので、勘定科目をチェックすることで間違った箇所を見つけやすくなります。

 

(2)対策②異常に金額が大きい(小さい)勘定科目がないかチェック

パソコンで貸借対照表を作成している場合、起こりがちなのが入力ミス。数字の打ち間違いでありえない数値を入力してしまい、左右が合わないという可能性もあります。

各勘定科目の金額を見直し、ありえない数字になっていないかどうかチェックしましょう。

 

(3)対策③どうしても合わない場合は「事業主貸し借り」

上のチェック方法を試しても間違っている箇所が見つからない場合、「事業主貸し借り」または「店主勘定」で処理します。

合わない金額を事業主に貸した、または事業主から借りたということにして帳尻を合わせるということです。

 

ただし、これは、法人の経理の方は使えないテクニックです。基本的には、貸借対照表が合わないときは徹底的にミスを探して合わせます。

個人事業主の方が、確定申告の期限までにどうしてもミスを見つけられない時の緊急避難法として覚えておきましょう。

 

もちろん、確定申告はこの書き方でごまかしたからといって、ミスを残したままにするわけにはいきません。確定申告が終わったら、改めて仕訳表をチェックし、どこが間違えているのか徹底的に探しましょう。

そして再度ミスが起こらないよう対策することで、次の確定申告をスムーズに乗り切ることができます。

 

  1. ≪まとめ≫

「バランスシートはバランスしない」というジョークがあるほど、貸借対照表は作成時にミスが起こりやすく、合わないことが多々あるものです。基本の書き方は単純なので、仕訳や転記でミスがないよう気をつけて作成しましょう。

そして、確定申告にどうしても間に合わないという個人事業主の方は、「事業主貸し借り」・「店主勘定」で帳尻を合わせる方法で乗り切りましょう。

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2019/03/07 複式簿記は覚えないと損?青色申告の65万円控除はお得!!

企業の経理部門や、青色申告の個人事業主には必須の複式簿記。「借方」「貸方」と聞くだけで頭が痛くなってしまうという方もいるかと思いますが、特に個人事業主の方なら青色申告で65万円控除を受けて得をするために必要なものです。

また、企業の経理の方も、複式簿記は業務の基本なので、しっかりやり方を把握しておきましょう。

 

ここでは、そんな複雑な複式簿記の記帳方法をわかりやすく解説していきます。

 

1. ≪複式簿記とは?≫

簿記初心者の中には、そもそも複式簿記とは何なのか、どのようにつければ良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

まずは、そんな方のために複式簿記とはどんなものなのかについて解説していきます。少し複雑ですが、企業で経理業務を行う方や、青色申告の個人事業主は、必ず覚えなければいけない基本の記帳方法です。

 

(1)そもそも簿記とは?

そもそも「簿記」とは、企業などの財産の増減を記録・計算・整理して明確にするものです。この簿記を利用して決算や財務報告書を作成し、税務署や関係先へ財務状況を知らせることを「会計」といいます。

簿記は、会計業務の基礎となる作業なのです。

単式簿記・複式簿記というのはその記録方法で、どちらの方法でも正しく記録されていれば結果に違いはありません。

 

(2)単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記は、一つの取引を一つの勘定項目で記録していく方法です。「支出 仕入 3万円」「収入 売上代金 5万円」「収入 借入金 10万円」などのように、シンプルに「支出」か「収入」をノートなどに記録していきます。

現金が増えたか減ったかのみを記録するので、簿記の知識がなくても簡単に計算できるのが単式簿記のメリットです。

 

しかし、この単式簿記では、その収入や支出の結果、現金や資産がいくらになったかがわかりにくいというデメリットがあります。上に挙げた例だと、借入金の収入で10万円現金が増えていますが、実際には借入金は返済しなければいけないため、単純に資産が増えたとは言えません。

また、返済を続けた場合の借入金残高も、全体の現金の動きを記録するのみの単式簿記では把握できないのです。

こういった単式簿記のデメリットを補えるのが、複式簿記です。

 

複式簿記では、「借方」「貸方」という概念を用いてノートやエクセルの表に記録します。ノートやエクセル表の左側が借方・右側が貸方で、まずは仕訳帳を作成して全ての現金の出入りを明確にします。

その後、仕訳帳の内容をまとめて作成するのが「貸借対照表」と「損益計算書」です。これにより、現金の残高や現金以外の資産、借入金残高などが明確になります。

会計情報がより明確になり、単式簿記よりも詳細な分析が可能なことが複式簿記のメリットです。そのため、企業や青色申告の個人事業主には、複式簿記での詳細な帳簿付けが義務付けられています。

 

(3)「企業会計原則」をクリアしている

「企業会計原則」とは、企業が会計を行うにあたって守るべき原則を定めたものです。虚偽の報告を行わない、正規の方法で作成する、報告される者が誤解しない明瞭な表示、毎期会計を継続するなどの7つの原則がありますが、この2つ目の「正規の方法」が複式簿記を意味します。

単式簿記は、シンプルで誰でも簡単に作成できますが、企業の正規的な会計の作成としては認められていないのです。

個人事業主の場合も、白色申告や青色申告の10万円控除では単式簿記で作成した簡易的な会計が認められていますが、青色申告の65万円控除は複式簿記で作成した正規の会計が必須です。

青色申告の65万円控除で優遇されたい方や、今は白色申告でも将来的に青色申告に切り替えたいという方は、複式簿記の作成を覚えておいた方がいいでしょう。

 

(4)貸借対照表と損益計算書

複式簿記で作成する書類を、「貸借対照表」と「損益計算書」と言います。ノートに手書きしても構いませんし、エクセルやアプリでも記録ができます。

ここでは、それぞれの書類の意味や作成方法を解説していきます。

 

  • 貸借対照表

賃借対照表とは、複式簿記で作成する「資産」「負債」「純資産」を記録した書類です。

他に「バランスシート」と呼ばれることもあり、借方と貸方をノートの左右で一致させることからこの名前になっています。

ノートやエクセル表左側の借方が「資産」・右側の貸方「負債」と「純資産」です。いつでも必ず、「資産=負債+純資産」という構図になります。

単式簿記ではわからない、現金残高や売掛金・借入金の残高がわかります。

 

  • 損益計算書

損益計算書は、複式簿記で作成する「費用」と「収益」を示す書類です。企業に入った収益から費用を差し引き、利益を算出するのに使います。

ノートやエクセル表左側の借方が「費用」・右側の貸方が「収益」です。こちらは「費用+利益=収益」という構図になります。

実質的に、その企業や個人事業が儲かっているか、儲かっていないかがわかる書類です。

 

  1. ≪複式簿記の記帳方法≫

それでは、複式簿記の記帳方法を解説していきます。

少し複雑ですが、企業の経理や青色申告をする個人事業主には複式簿記が必須なので、必ず覚えられるようにしましょう。

 

(1)まず「貸借対照表」を理解しよう

複式簿記を理解するには、まず貸借対照表を理解しましょう。

賃借対照表の作成を理解すれば、損益計算書の作成も容易になります。

 

(2)5つのグループ分けを知っておく

複式簿記で記録する項目には「資産」「負債」「純資産」「費用」「収益」という5つのグループがあります。

 

  • 資産:企業や個人事業主が持つ財産。現金・預金・不動産など
  • 負債:企業や個人事業主が他者から借りている金額。借入金・未払金など
  • 純資産:「総資産−負債」企業・個人事業主の純粋な資産。資本金など
  • 費用:事業の運営にかかった金額。仕入・備品購入・従業員の給与・家賃など
  • 収益:事業により得た金額。売上金・配当金など

 

貸借対照表で記録するのは、先に解説した通り「資産」「負債」「純資産」の3つです。

 

(3)具体的なケースから学ぶ複式簿記の記帳

まず、賃借対照表を作成するときは、仕訳帳を作成します。

複式簿記の仕訳帳は、最初にノートやエクセルの表の左側を「借方」、右側を「貸方」として区切ります。

例えば、現金10万円で業務に使う備品を購入した場合「備品 10万円 / 現金 10万円」とノートに記録します。これは、企業の資産として10万円分の備品が増え、10万円の現金が減ったという意味です。

 

逆に、売上金で資産が増えた場合は「売掛金 10万円 / 売上金 10万円」となります。金融機関から借入をした場合は「現金 10万円 / 借入金 10万円」です。

 

「お金や、受け取る予定のお金が増えた場合」はノート左側の借方に現金や売掛金、「お金が減った場合」はノート右側の貸方に現金が来ると覚えると良いでしょう。

ポイントは、絶対に貸方と借方を一致させるということです。一つずつの取引の金額も、結果的な残高も絶対に一致させます。

 

賃借対照表は、これらの仕訳帳の内容を項目ごとにまとめて見やすくしたものです。賃借対照表の借方は資産、貸方は負債と純資産を表します。

資産はさらに「現金」と「売掛金」、負債は「借入金」と「買掛金」、純資産は「出資金」と「当期純利益」に分けることができます。期末や月末に、どの項目にどれだけの残高があるのかをまとめて明確にすることで、企業や個人事業の経営状況がはっきりとわかります。

賃借対照表も、左右の残高の総合計は必ず一致します。

 

  1. ≪複式簿記を簡単に作成するなら≫

複式簿記を簡単に作成するなら、エクセルや会計ソフトを使ってPCで管理するのがおすすめです。

ノートに記帳するのは手軽ですが、あとで見返したりまとめたりするのに手間がかかるというデメリットがあります。PCでの作成なら、あとで賃借対照表や損益計算書を作成するときにまとめるのも簡単です。

近年はアプリでも複式簿記の記帳ができるので、PCと連動させて手軽なアプリで仕訳帳・エクセルや会計ソフトで賃借対照表と損益計算書を作成と使い分けるのもおすすめです。

 

(1)無料も!会計ソフト

会計ソフトは、テンプレートが充実している・勘定項目があらかじめ設定されているなど、準備の手間が少ないのがメリットです。仕訳帳から賃借対照表や損益計算書へのデータ移行もスムーズなので、青色申告の個人事業主など、会計業務に時間を割きたくないという方にぴったりです。

他の決算書類の作成まで一貫して行えるので、会計にかかる手間を極力抑えたい方や、仕訳の回数が多い企業も会計ソフトを導入するのがおすすめです。

 

ただし、会計ソフトはインストール型のものとクラウド型のものがありますが、どちらも購入費用・月額費用がかかります。仕訳帳など基本的な記帳のみなら、無料の会計ソフトもあるので探してみましょう。

 

(2)スマホで管理できるアプリ

近年は、スマホのアプリでも複式簿記での記帳が可能です。

ただし、賃借対照表や損益計算書までスマホのみで作成できるアプリは少なく、多くの場合アプリでできるのは仕訳帳の作成など簡易な操作がメインです。

PC版のソフトと連動しているアプリがほとんどなので、アプリからソフトへのデータ移行はスムーズです。

アプリ版の会計ソフトは、領収書の写真を撮るだけで仕訳が記録できるなど、スマホアプリならではの機能が充実しています。立ち上げも早く、ノートへの記帳と同じくらい手軽なので、手書きにこだわりがない方はアプリの導入がおすすめです。

 

(3)エクセルでも作成可能?

エクセルでも、複式簿記の記帳は可能です。仕訳帳のみであれば、表の左右に出納を記録するだけなのでほとんど手間なく作成できます。

賃借対照表・損益計算書へのデータ移行にはマクロの知識が必要ですが、ソフトを使わずエクセルのみで会計を行うのは不可能ではありません。エクセルで会計書類を作るソースコードを解説しているサイトもあるので、興味がある方は参考にしてみてください。

ただし、手間はかかるので、会計業務に時間をかけたくない方にはあまりおすすめできません。

 

  1. ≪まとめ≫

複式簿記は、企業の会計業務や青色申告の65万円控除に必須です。特に、個人事業主の方はやり方を知らないと控除枠が減り、損をしてしまいます。

複式簿記は本格的な会計業務の基礎中の基礎なので、会計に関わる方はぜひ理解しておきましょう。

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2019/02/26 現金出納帳の書き方ガイド|手書き以外にやり方はある?

現金出納帳は、現金の出入りを記録しておく基本的な帳簿です。書き方は単純で、経理初心者でも比較的簡単にマスターすることができます。

ただし、現金の過不足があると他の帳簿にも影響を及ぼすので、管理者の責任は重大です。

今回は、そんな現金出納帳について、基本的な役割や書き方を解説していきます。

 

1. ≪現金出納帳とは?≫

現金出納帳(現金出納簿)は、会計帳簿の一つで、現金の収入と支出を記録していくものです。現金を管理するために重要で、事業を行う上では必要不可欠です。

帳簿の分類の上では、仕訳帳や総勘定元帳といった主要簿を補助する補助簿という扱いになります。

 

(1)現金出納帳は何に必要?

現金出納帳をつける主な目的は、現金の出入りを把握して管理することです。そのため、毎日記帳を行い、実際の現金の出入りと一致しているかを確認する必要があります。

ある程度規模の大きな会社では、経理は一人が行う作業ではないため、現金出納帳をつけることで不正や使い込みを防止する役割もあります。

また、月末に作成する総勘定元帳を作るための原本としても必要です。

 

(2)現金出納帳と小口現金出納帳の違い

現金出納帳とは、先に解説したように現金の出入りを毎日記録し、実際の残高と一致しているかを確認するものです。

交通費の支払いなどの少額の経費まで都度口座から現金を下ろして清算するのは非効率的ですよね。そういった時のために、会社にある程度用意しておく現金のことを「小口現金」と言います。そして、この小口現金の出入りを記録するのが、「小口現金出納帳」です。

 

基本的に、会社に置いてある小口現金が1つのみなら、小口現金出納帳も現金出納帳も同じ内容になります。ただし、部署ごとに2つ以上の小口現金がある場合、それぞれの小口現金を管理するための小口現金出納帳を作っておいた方が記帳も簡単ですし、効率が良くなります。

 

  1. ≪現金出納帳の記帳のやり方解説≫

現金出納帳の書き方は、毎日の現金の出入りをそのまま記録するだけなのであまり難しくありません。法律などで決まった書き方はありませんが、独自のテンプレートを作るより一般的な様式で記帳したほうがいいでしょう。

既存のテンプレートを使えばスムーズに記帳できるので、無料でダウンロードできるテンプレートや会計ソフトを利用するのがおすすめです。

 

手書きでもPC上のテンプレートでも基本の書き方は同じなので、解説していきます。

 

(1)毎日の基本的な書き方

現金出納帳には、「日付」「勘定科目」「摘要」「入金(収入)」「出金(費用)」「残高」の6つの項目が必要です。

 

まず、現金の出入りがあったら、その日付を記入します。

次に「勘定科目」と「摘要」で、勘定科目は出入金の分類・摘要はその説明です。例えば、経費で印刷用紙を買ったら、勘定科目は「事務用品費」、摘要は「印刷用紙購入」となります。

取引先から入金があったなら、勘定科目は「売上高」、摘要は「株式会社○○より商品代金入金」などになります。その後、入金・出金それぞれの項目に金額を記入します。

最後に、直前の残高に入金額を足した・または出金額を引いた額を記入して完了です。

 

(2)立替えて支払った場合の書き方

会社から直接支払ったのではなく、役員や社員が一時的に代金を立て替え、その経費を清算することも多いかと思います。そういった場合は、「短期借入金」という勘定科目を使います。

例えば、社員が1万円の交通費の支払いを一時的に立て替え、経費で清算する時は、

 

勘定科目「短期借入金」 摘要「〇〇さんより」 入金「1万円」

勘定科目「旅費交通費」 摘要「A駅〜B駅電車代」 出金「1万円」

 

と記入することになります。

これで出入金がプラスマイナスゼロになり、現金残高に矛盾が生じません。

 

(3)実際と現金出納帳の残高が不一致の場合の書き方

現金のやりとりはミスが生じやすく、現金出納帳と実際の現金残高が合わなくなってしまうこともあります。

原因がわかっている場合にはもちろん間違いを正すのが解決方法となりますが、もし原因不明の場合は「雑損失」「雑収入」という勘定項目を使います。入金額・出金額の項目に過不足金の額を記入し、残高に足したり引いたりして実際の残高と合わせます。

 

  1. ≪現金出納帳の代表的な作り方3選≫

現金出納帳の作り方には、手書きでの作成・Excelのテンプレートを利用したPC作成・会計ソフトを使ったPC作成の3つがあります。

それぞれの書き方にメリット・デメリットがありますので、解説していきます。

 

(1)ノートなどに直接手書きする

個人事業主や、法人の代表が自ら経理作業をする時におすすめなのが、ノートなどに手書きで記帳する方法です。手書きで現金出納帳を作成する場合は、ノートのページを必要な6項目に分けるために縦線を引き、あとは上から順に記帳していきます。

 

現金出納帳を手書きするメリットは、現金の出入りがあった時にすぐに書き込めることです。PCやソフトを立ち上げる手間がなく、ノートを開くだけで記帳できるのでスピーディーに対応できます。

手書きなら事前にテンプレートを作成したりソフトを購入したりする必要もないので、最も手軽に始められる記帳方法と言えます。

また、手書きで一文字一文字書くことで現金の出入りをしっかり把握することができ、現金に対する意識が高まります。

 

ただし、現金出納帳を手書きするデメリットは、字を一文字ずつ書く手間があることです。特に現金取引が多い会社では、手書きで一つ一つ記帳するのは負担になります。

また、急いで書くと後で見返した時に視認しにくいことや、記帳ミスがあった時の修正が難しいこともデメリットとなるでしょう。

 

(2)Excelのテンプレートを利用する

現金出納帳をExcelのテンプレートで記帳する方法は、手間とお金がかからないというメリットがあります。

たった6項目の単純な表なのでテンプレートを自作するのも簡単ですし、無料でダウンロードできるテンプレートも多数配布されているので、それを利用すれば更に手軽です。

テンプレートがあれば正しく数字を打ち込むだけなので、経理初心者でも簡単に管理することができます。記帳ミスがあった時にも簡単に修正できますし、勘定科目をコードで管理したり、出入金額に応じて残高が自動で計算できたりするのも便利です。

 

デメリットとしては、会計ソフトのように仕訳帳や総勘定元帳と自動でデータを共有できないことが挙げられます。また、PC作業となるので、手書きよりも現金の動きに対する意識が低くなりがちなのもデメリットです。

 

(3)仕訳も簡単!会計ソフトで作成

会計ソフトで現金出納帳を作成するメリットは、既にテンプレートが万全に用意されていて操作性が高いということです。

また、仕訳帳や総勘定元帳など他の帳簿と自動でデータ共有できることが多いので、同じ内容を何度も転記する手間も省けます。

 

逆にデメリットは、会計ソフトの導入に手書きのノートやExcelよりも費用がかかることです。会計ソフトには買い切りタイプと月額利用料タイプの2種類がありますが、どちらにしても便利で使いやすい会計ソフトにはコストがかかります。

 

  1. ≪現金出納帳が作成できるスマホアプリ≫

スマホアプリで現金出納帳が作成できれば、PC作成の操作性の良さと、ノートに手書きする機動力の良いところ取りができます。

現金出納帳が作成できる便利なスマホアプリを3つご紹介していきます。

 

(1)freee

PC用会計ソフトで有名な「freee」には、スマホアプリも用意されています。

レシートや領収書を写真に撮るだけで日付や金額が自動で記帳でき、銀行やクレジットカードとも同期させることで正確に残高を計算できます。また、個人用にも対応しているので、家計簿やお小遣い帳としても利用することが可能です。

ダウンロード自体は無料で、個人プラン月額1,000円〜・法人プラン月額2,500円〜利用できます。

 

(2)Zaim

無料アプリ「Zaim」は、家庭の家計簿用に開発されたスマホアプリです。個人用なので仕訳帳への転記等はできませんが、現金出納帳の代わりとして十分使うことができます。

レシートを撮影しての読み取りや銀行口座・クレジットカードとの連携も無料プラン内で可能です。費用をかけず、手軽にアプリで現金出納帳を作りたい個人事業主の方におすすめです。

 

(3)ちまたの会計

「ちまたの会計」は、スマホ・タブレット・PCで使える無料の会計ソフトです。レシート読み取り機能や詳細な分析機能はありませんが、基本的な帳簿の作成を全て無料で行うことができます。

PCソフトと同等の機能がスマホでも使えるので、自宅にPCを持っていない方・無料ソフトで会計関連の記帳を全てまかないたい方におすすめです。

 

  1. ≪現金出納帳を作成する上での注意点≫

現金出納帳は、実際の現金残高と絶対に一致するように記帳するのが大切です。こまめにチェックし、不一致があった場合は必ず原因を追求するようにしましょう。

また、個人事業主や小規模な法人では、個人と会社の現金や出費を一緒にしてしまい、どんぶり勘定になりがちです。個人事業主であっても、現金出納帳を作るにあたっては仕事とプライベートをきっちり分け、現金の流れを明確に把握しましょう。

 

  1. ≪まとめ≫

現金出納帳は、帳簿のなかでも比較的記帳が簡単で、初心者にも理解しやすいです。単純な作りでも仕訳帳や総勘定元帳の原本ともなる重要な帳簿なので、過不足金が出ないようしっかりと管理しましょう。

スピーディーかつ明確な現金出納帳を作るには、手書きとPC作成の良いところ取りができるスマホアプリが便利です。

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2019/02/19 還付申告はやらないと損!対象事例とやり方を解説

納め過ぎた税金が確定申告時に戻ってくる、還付申告。

しかし、還付申告は、該当する場合でも国や税務署から案内などが来る事はありません。自分から申告しないと還付金は戻らないので、今まで還付申告をしたことがない人は知らず知らずのうちに損をしているかもしれませんよ。

今回は、そんな還付申告のやり方や注意点、申告の期限について解説していきます。

 

1. ≪還付申告って何?≫

還付申告とは、何らかの理由で税金を納め過ぎている場合、確定申告をすることで超過分を還付金として受け取れる制度のことです。

サラリーマンなど会社から給与を受け取っている人は、事前に年間の所得税額を年収から算出し、毎月給与から天引きされる形で支払っています。これを「源泉徴収」といいます。

 

しかし、様々な理由から、源泉徴収した額より実際の所得税の額が少なくなることがあります。具体的なケースは次の項目で解説しますが、この払い過ぎた税金の返還を求めるのが還付申告です。

 

還付申告は、確定申告で実際の年収や控除を申告することで行います。

会社でも予定納税の額と実際の納税額が食い違わないよう年末調整をしますが、年末調整と確定申告は別物です。会社が把握していない控除もあるので、年末調整をされているとしても確定申告が必要なケースもあります。

 

還付申告をする必要がある人は、ご自身で自ら行わない限り税金が返ってくることはありません。国や税務署から「還付申告が必要です」という通知がきたり、自動で還付金が支払われたりすることはないのです。

しなかったからといって罰則はありませんが、払い過ぎた税金が戻る還付申告をしない理由はないですよね。以下に挙げるケースに当てはまる方は、ぜひ確定申告をして還付申告を行いましょう。

 

  1. ≪還付申告ができるのはどんなケース?≫

では、還付申告が必要なのは、どのような場合なのでしょうか。実際に還付申告が必要となるケースについて解説していきます。

 

(1)年の途中で会社を辞め、年末調整を受けていない場合

先ほども解説したように、ほとんどの会社では年末調整が行われるので、基本的に会社員やアルバイトの方など、給与収入を得ている方は確定申告をする必要はありません。

しかし、年の途中で退職した場合、年末調整を受けられず源泉徴収された金額が実際に払うべき税額より多くなってしまう場合があります。退職したその年に再就職をせず給与所得を得なかった場合には、年収は源泉徴収の算出基準となっている額より低くなりますから、税金を納め過ぎていることになります。そのため、会社がする年末調整の代わりに、自分で確定申告をして還付申告を行う必要があるのです。

ただし、退職と同じ年に再就職すれば、新しい勤め先に前の職場の源泉徴収票を提出して年末調整を受けられるので、還付申告の必要はなくなります。

 

(2)マイホームを購入・改築し、住宅ローンがある場合

一定の基準を満たしたマイホームを購入したり、耐震基準を満たすためやバリアフリー化のための改修をしたりした場合、「住宅借入金等特別控除」または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」が適用されます。これは、購入から10年に渡ってローン残高×1%(上限40万円)の控除が認められ、大幅な節税となるので、住宅ローンを抱えている方は還付申告をしないと損です。

住宅ローン控除の申請は、購入して最初の確定申告で10年分の申請書類を貰えます。2年目以降はその書類を会社の年末調整時に提出すれば、確定申告の必要はありません。住宅ローン控除の適用が初年度の場合にのみ確定申告が必須となります。

また、災害や盗難などで住宅や資産に大きな損害を受けた場合も、還付申告をすれば一定の控除を受けることができます。

 

(3)医療費を10万円以上支払った場合

年間で多額の医療費を支払った場合も、医療費控除を受けることができ還付申告ができます。自分や配偶者、生計を一にする親族の医療費を支払った場合、実際に支払った金額−10万円の控除を受けることができます。

大きな手術や入院はしていなくても、医薬品の購入や診察費も医療費に含まれるので、年間を通すと家族全員の合計が10万円を超えるケースは多いです。

医療費控除については、平成29年から領収書の提出が不要になりました。医療費の明細書に支払った医療費の内訳を記入して提出しますが、税務署から領収書の開示を求められる場合もあるので、医療費の領収書は自宅で5年間保管しておく必要があります。

 

(3)還付申告の対象外はどんなケース?

還付申告の対象外となる所得もあります。それは、預貯金の利子や抵当証券などの利息、養老保険や損害保険の差益など、「源泉分離課税」の対象となる所得です。

源泉分離課税とは、収入額の20.315%が源泉徴収されることで課税手続きを終える制度です。課税の時点で手続きが終わっているので、事後的な還付の対象にはなりません。

超低金利が続いているので、微々たる額になる利子や利息の税額を正確に計算するのは非現実的であることから、このようなシステムになっています。

 

  1. ≪還付申告のやり方≫

ここでは、還付申告のやり方や、期限について解説していきます。

 

(1)必要な書類

還付申告には還付申告専用の書類がある訳ではなく、やり方は通常の確定申告と同様です。

会社員・パート・アルバイトなどの給与所得者は、通常「確定申告書A」を用います。確定申告書Aの記入には会社から貰った源泉徴収票が必要なので、還付申告をするときはこの2つの書類を用意しておきましょう。

 

確定申告書Aの表面(第一表)には、まず住所・氏名・マイナンバーなど基本的な個人情報を記載します。

 

他に記入が必要な項目は、以下の通りです。

  • 支払金額:1年間に支払われた給与の合計額。税金や保険が引かれる前の税込み年収
  • 基礎控除:全ての人が38万円
  • 給与所得控除後の金額:支払金額から給与所得控除額を引いた金額
  • 所得控除の額の合計額:配偶者控除や扶養控除、社会保険料控除など控除額の合計
  • 社会保険料等の金額:給与から天引きされた社会保険の額(厚生年金・健康保険・雇用保険など)
  • 生命保険料の控除額:生命保険料や個人年金保険料を支払った場合の控除額。最大12万円
  • 地震保険料の控除額:地震保険の保険料を支払った場合の控除額。最大5万円
  • 支払者の氏名又は名称:給与を支払った会社名

これらは全て源泉徴収票に記載されているはずなので、そのまま書き写しましょう。

 

次に、会社が把握していない控除を記入します。

以下の項目で該当するもの全ての欄に、支払ったり寄付をしたりした金額、ローン残高などを記入します。

  • 医療費控除
  • 寄附金控除(ふるさと納税など)
  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
  • 住宅耐震改修特別控除
  • 住宅特定改修特別税額控除
  • 認定長期優良住宅新築等特別税額控除

 

全ての控除欄に記入後、申告書右側の「税金の計算」の欄で「課税される所得金額」を計算し、記入して提出します。

 

(2)還付申告に期限はある?

還付申告は、確定申告とやり方は同じですが期限は違います。

確定申告期間は毎年2/15〜3/15頃で、期限後の提出にはペナルティが付きます。一方還付申告の期限は、税金を払い過ぎた翌年の1月1日から5年間です。

その年の確定申告の期限は終わっても還付申告の期限には間に合うので、うっかり忘れていて確定申告の期限に間に合わなかったとしても焦らず対応しましょう。

 

(3)還付申告をするときに気をつけたいこと

還付申告をするには、申告する控除の証明書・領収書が必要となります。

医療費控除のように領収書の添付が不要な控除もありますが、もし税務署から開示を指示された場合には提出しなければなりません。そのため、控除額を証明する領収書等は、還付申告の期限である5年間、自宅で大切に保管しておきましょう。

 

  1. ≪還付申告に関するよくある質問≫

最後に、還付申告に関するよくある質問に回答していきます。

 

(1)自分が還付の対象かどうか、どうしたらわかる?

還付申告は、国や税務署から対象者に通知が行くことはありません。そのため、還付金を受け取るためには、自分が対象者かどうか自分で判断して還付申告をしなければなりません。

基本的には、多額の医療費や仕事の必要経費を支払った人・住宅ローンを組んだ人・災害や犯罪の被害者となり損害を受けた人・転職や退職をした人・寄付やふるさと納税をした人が対象と覚えておくといいでしょう。

 

(2)還付申告をするデメリットはある?

還付申告は払い過ぎた税金が帰ってくる制度なので、該当する人は誰が行っても基本的に損をすることはありません。強いてデメリットを挙げるなら、申告書類の記入や税務署への提出に手間がかかることくらいです。

また、副業や贈与の収入を隠していた場合など、脱税をしている場合には確定申告がきっかけとなって追徴を受ける可能性があります。

 

(3)還付金はいつ振り込まれる?

還付申告で確定した還付金が振り込まれるのは、基本的には申告をしてから約1ヶ月後です。しかし、確定申告期間など、時期によっては税務署が多忙で処理が遅くなる場合もあります。

なお、紙の書類を税務署の窓口や郵送で提出するより、e-taxからの申請の方が早く処理される傾向がありますし、e-taxで申告をすると還付金の処理状況をリアルタイムで確認することが可能です。

 

  1. ≪まとめ≫

還付申告は、該当する人はやらないと損な制度です。多少の手間はかかりますがデメリットはありませんので、大きな出費があった方や転職・退職をした方はぜひ面倒がらずに申告しましょう。

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2019/02/12 開業届は出した方がいい?メリット・デメリットから解説

個人事業主の方が起業する際に税務署へ提出する「開業届」ですが、なんのために必要なのか、本当に出さなければならないものなのかと疑問に感じたことはありませんか?

ここでは、開業届を提出するメリット・デメリットから開業届などの書き方まで、開業届のあれこれについてまとめました。

 

1. ≪開業届とは?≫

開業届とは、正式名称を「個人事業の開廃業届出書」といい、個人事業を開業したことを税務署に届出するための書類です。

個人事業主には、所得税・住民税・消費税・個人事業税が課せられます。この税金を納めるために、個人事業主は開業したことを税務署に知らせる必要があるのです。

開業届を提出すると、税務署から納めるべき税金についての案内が送られてきます。ただし、開業届を提出しなかった場合の罰則は特に設けられていません。

 

  1. ≪開業届を提出するメリットはある?≫

税務署に開業届を出さなくても罰則はありませんが、提出するメリットはあります。まずは、個人事業主が開業届を提出するメリットについてご紹介します。

 

(1)青色申告で確定申告できるようになる

開業届を提出する最も大きなメリットは、白色申告より節税効果の高い青色申告ができるようになることです。

ちなみに、青色申告をするためには、開業届を提出したあとで「青色申告承認申請書」の提出も必要です。青色申告が目的で開業届を出す場合には、青色申告承認申請書の提出を忘れないようにしましょう。

 

青色申告は白色申告よりも帳簿付けの方法が少し複雑ですが、貸借対照表を作成することで事業所得から65万円を控除することができるため、大幅な節税になります。2014年からは、それまで帳簿付けが必要なかった白色申告にも帳簿付けが義務付けられたので、現在は青色申告も白色申告も労力の面では大差はありません。

青色申告の承認申請書を提出するだけで節税効果の高い青色申告が可能になるので、税制で得をしたい個人事業主にとっては、開業届は基本的に出しておいたほうがいい書類です。

また、開業前後に銀行融資を予定している個人事業主の方は、銀行から提出書類の1つとして求められることが多いです。

 

(2)屋号で口座を開設できる

開業届を提出すると、個人名ではなく屋号で銀行口座を開設できるようになります。

個人の口座を事業に利用しても特に問題はありませんが、経費の計算などをするためには、事業用とプライベート用の口座が分かれていた方がなにかと楽です。

また、振込口座が個人事業主の屋号名義になっていることで、取引先からの信用も増します。

 

(3)個人事業主向けの共済等に申し込める

経営が不安定になりがちな個人事業主には、将来の不安が付きものです。そういった不安を解消するための個人事業主向けの共済や積立に申し込むにも、開業届の提出が必要です。

代表的なのは「小規模企業共済」で、こちらは開業届さえ提出すれば実績がなくても申し込むことができます。万が一事業が失敗した時のセーフティネットになるので、起業から日の浅い経営者ほど入っておいたほうが有利です。なお、小規模企業共済は、法人の役員も加入できます。経営者にとっての退職金代わりとしての位置づけも持っています。

 

  1. ≪開業届を提出するデメリットはある?≫

開業届には、メリットだけではなくデメリットもあります。具体的にはどんなデメリットがあるのかを見ていきましょう。

 

(1)失業保険が受け取れなくなる

以前勤めていた会社を辞めて個人事業主になったり法人を設立したりする場合、開業届・法人設立届を提出すると失業保険が受け取れなくなります。

失業保険はその名の通り失業中で無職の人のための保険なので、開業届を出して経営者になった人には支払われません。開業後すぐに経営が軌道に乗るとも限らないので、貯蓄や後ろ盾のないまま仕事を辞めて個人事業主になった方は、失業保険を受け取ってから開業届を出した方が安心でしょう。

 

(2)確定申告をしないと、指摘される可能性あり

開業届とは、言わば「これから事業を始めます」という税務署に対する宣言です。事業には利益が伴うのが前提なので、事業を始めるという宣言をしておいて確定申告をしないと、所得隠しを疑われてしまいます。

開業届を提出しなければ、事業をしていることが税務署に知られないので、そのようなトラブルが起こる可能性は低いです。

 

しかし、事業での収入があるのに確定申告をしないというのは、すなわち脱税を意味します。所得をごまかして脱税をしたいと考えている経営者や個人事業主にとっては、事業の存在を税務署に知らせる開業届を出すのはデメリットとなるでしょう。

脱税せず正々堂々と事業をするには、開業届と確定申告が必須です。青色申告で税制が優遇されるのは、脱税をせずきちんと申告をした褒賞のような意味合いもあります。

 

(3)国民健康保険の減免ができない可能性がある

個人事業主は、ほとんどの場合、国民健康保険に加入することになります。会社に所属していない個人事業主は、開業届を出していなければ無職の人と区別がつかないため、条件によっては保険料が減免される可能性があります。

しかし、開業届を提出すると、個人で事業を行なっていることが税務署に知られるため、保険料の減免は受けられない可能性があります。

 

  1. ≪開業届の作成・提出方法を解説≫

 

それでは、実際に開業届を提出する場合の流れについて、解説していきます。

 

(1)開業届はどこで入手できる?

開業届は、国税庁のホームページからダウンロードするか、最寄りの税務署で入手できます。青色申告をする場合は、一緒に「青色申告承認申請書」も入手すると便利です。

 

(2)開業届の書き方

開業届の書き方には、あまり難しい事はありません。基本的には、求められる項目を埋めていくだけです。

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」なので、まずこの「開業」の部分にマルをつけましょう。その後、氏名、「納税地」となる自宅や事業所の住所、マイナンバー、職業、屋号を上半分の枠内に書き込みます。

屋号は自分の好きにつけて構いませんし、もしなければ空欄でも提出できます。

 

下半分の枠内には、開業日、事業の詳細な内容、従業員数、給与の支払い方法などを記入します。このとき、もし納税地として記載した住所と住民票がある場所や現住所が違うなら、その住所も記載しておきます。そして、氏名の横に捺印して、書類は完成です。

なお、開業日については細かい定義が難しい部分があります。

法人と違って商業登記の義務がないため、何をもって開業とするのかという疑問を持つ方も多いでしょう。結論からお話すると、個人事業主の場合、開業日の定義に明確な決まりはありません。例えば、飲食店の場合、オープンした日を開業日とするケースが多いと思いますが、独立しようと思い立った日を開業日とする方もいらっしゃいます。どちらも正解と言えます。ただし、売上が発生してから後の日付で開業した日とするのは、常識的に考えて少し難しいと言えるでしょう。曖昧な分、判断に迷う論点ではありますが、売上が発生する前の日付を「開業日」としていれば特に問題はないでしょう。

 

(3)開業届以外の必要書類は?

開業届を提出する際は、マイナンバーと本人確認が必要です。

マイナンバーカードを持っていれば一枚で済みますが、ない場合はマイナンバー通知カードと運転免許証などの本人確認書類の2種類が必要となります。これらを提出時に窓口で提示するか、または写しを添付して提出します。

帳簿などの経営の実績を示す書類は、開業届を提出する時点では必要ありません。

 

(4)開業届の提出期限

開業届の提出期限は、原則的に開業から1ヶ月以内です。

開業から1ヶ月以内よりも遅れたからといって特に罰則はありません。青色申告の承認申請書と合わせて提出する個人事業主の方がほとんどでしょうから、新規開業の場合、開業日から2ヶ月以内にセットで提出すれば、提出年度分から青色申告ができて特に問題になることもありません。

 

  1. ≪開業届提出のタイミングはいつ?≫

基本的には、開業届は開業したらすぐに提出をします。開業日にこだわりがある場合には、その日を起点に1ヶ月の期限内に提出しましょう。

もし失業保険を満期まで受給したい場合には、前職を退職してから90〜150日の給付期間が過ぎてから開業日を決めて提出しても、問題はありません。

 

  1. ≪まとめ≫

開業届は、本職として個人事業を続けていくのであれば、提出した方が良い書類です。

適正に提出をしないと、脱税や失業保険の不正受給をしてしまう場合もあります。また、提出しなくても罰則は特にないとは言え、提出に特に手間取る書類でもなく提出するメリットの方が大きいので、個人事業の開業に際しては、すぐに出せるよう準備しておくと良いでしょう。

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2019/02/05 勘定科目とは?選び方・注意点を解説

個人事業主や法人の代表として、記帳をする時にわからなくなることが多い「勘定科目」。勘定科目の定義は、「表示金額の内容を示す名称」です。

今回は、法人・個人事業主が使用する勘定科目の定義や分類方法、分類するときの注意点について解説していきます。

全ての種類を覚えるのは大変ですが、分類の仕組みは意外と単純なので、理解しておくと便利です。

 

1. ≪勘定科目とは?≫

勘定科目の定義としては、簿記の仕訳や財務諸表に記載する、表示金額の内容を示す名称のことを言います。詳細は後ほど解説しますが、大まかに「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の5種類に分類され、それぞれさらに細かな勘定科目があります。

 

例えば、現金で土地を購入した場合、購入した土地は「資産」の「有形固定資産」という種類に分類され、勘定科目は「土地」になります。

逆に支払った現金は、「費用」の「販売費及び一般管理費」という種類で、勘定科目は「地代家賃」になります。

 

分類する時は、細かな勘定科目ではなく、分類するときの定義を覚えておくと便利です。

また、勘定科目自体は自由に名称をつけられるので、法人によって種類が異なります。個人事業主や法人の代表者として記帳を行う時は、大まかな分類や定義だけ把握しておき、細かな種類分けはわからない時に調べて行えば問題ありません。

 

(1)勘定科目はなぜ必要なのか?

勘定科目が必要なのは、何にどれくらいお金がかかっているかを把握するためです。

記帳は、極論すれば「入ったお金」「出て行ったお金」「借りているお金」「貸しているお金」等のお金の動きだけが分かればできますが、具体的に何に使っているかまでは分かりません。

 

勘定科目を用いて動きだけではなく種類分けをすることで、具体的にどういった費用がかかっているか、どのくらいの収益が見込めるかが明確になります。これは、経営判断の材料にするため・関係先に経費の動きを見せるため・税金の計算をするために必要なことです。銀行に法人ローン申請をするときも、勘定科目で詳細な経費の動きを確認することは融資判断のポイントとなります。

また、勘定科目の種類によってかかる税率が変わる場合もあるので、計算のために正しい種類に分類する必要があります。

 

(2)法人でよく使われる勘定科目は?

法人でよく使われる勘定科目の種類について、まとめていきます。

勘定科目の定義は法人によって自由に変えられるので、今回ご紹介するのは一般的なものです。自由に定義付けられるからといって、あまりにも一般的なものとかけ離れていると取引先や銀行が把握しにくいので、基本的には一般的な勘定科目を使用しましょう。

 

「資産」区分の法人がよく使う勘定科目

  • 現金:口座・金庫などにある紙幣と硬貨、郵便為替証書、配当金領収書、送金小切手など
  • 売掛金:取引先に後払いで掛け売りしている料金を受け取る権利(1年以内に回収が見込まれるもの)
  • 商品:店舗や倉庫にある在庫商品
  • 建物:事業を行うために所有している建物
  • 車両運搬具:事業に必要な車・バイク・トラックなど

 

「負債」区分の法人がよく使う勘定項目

  • 買掛金:後払いで商品を購入したとき、支払いをする義務
  • 短期借入金:銀行からの借入、手形借入金、当座借越など(返済期限が1年以内のもの)
  • 長期借入金:銀行からの借入、手形借入金、当座借越など(返済期限が1年以上あるもの)
  • 未払金:未払いの水道光熱費・クレジットで支払った費用など
  • 前受金:水内金、手付金、前渡金など

 

「収益」区分の法人がよく使う勘定項目

  • 売上高:商品やサービスの対価として得た収益
  • 受取利息:有価証券利息、貸付金利息、普通預金利息など

 

「費用」区分の法人がよく使う勘定項目

  • 仕入高:商品の入れ代金、仕入れ時に発生する運賃など仕入れにかかる費用
  • 外注費:業務を外部委託するのにかかる費用
  • 給与手当:正社員の給料
  • 賞与:ボーナス
  • 福利厚生費:慶弔見舞金、通勤費、社内レクリエーション費用、健康診断費用など
  • 消耗品費:事務用品・備品など
  • 貸借料:リース料、レンタル料
  • 修繕費:建物・車・備品などの修繕にかかる費用
  • 水道光熱費:電気・水道・ガス代など
  • 接待交際費:得意先に行う接待費用
  • 法人税、住民税:法人税、住民税、事業税、預金利息の源泉税および事業税

 

  1. ≪勘定科目は5つに分類できる?≫

先にもご紹介しているように、勘定科目は大きく5つに分類できます。

大まかな分類の定義さえ外していなければ、細かな勘定項目は正確な計算にはあまり関係ありません。5つの分類の定義について、わかりやすくまとめていきます。

 

・資産:法人が持っている財産のことです。現金・土地・すぐに回収できる売掛金など、万一の場合には現金化できるものを言います。

・負債:法人が他者から借りている借金です。

・純資産:資産から負債を引いたものです。

・収益:売り上げなど事業で得た収入です。

・費用:収益を得るために必要な出費のことです。

 

  1. ≪勘定科目の一覧と仕訳方法の例≫

勘定科目の名称の付け方は法人によりそれぞれなので、全てを並べると膨大になります。

法人がよく使うメジャーな勘定科目を一覧にしてみました。

 

「資産」

現金・当座預金・普通預金・定期預金・現金過不足・支払手形・受取手形・貸倒引当金・有価証券・商品・貯蔵品・立替金・未収金・短期貸付金・未収収益・前払費用・仮払金・仮払消費税・建物・構築物・機械装置・車両運搬具・工具器具備品・減価償却累計額・一括償却資産・土地・無形資産・敷金・保証金・出資金・保険積立金・長期貸付金・長期前払費用・創立費・開業費

 

「負債」

買掛金・支払手形・短期借入金・未払金・未払法人税等・未払消費税等・未払費用・預り金・借受金・前受金・前受収益・仮受消費税・長期借入金

 

「純資産」

資本金・資本準備金・利益準備金・繰越利益余剰金・事業主貸・事業主借・元入金

 

「収益」

売上・受取利息・受取配当金・有価証券評価益・有価証券売却益・雑収入・固定資産売却益

 

「費用」

仕入高・期首商品棚卸高・期末商品棚卸高・会議費・外注費・貸倒損失・寄付金・給料手当・業務委託費・ソフトウェア等・賃借料・交際費・修繕費・消耗品費・保険料・地代家賃・広告宣伝費・役員報酬・賞与・採用教育費・福利厚生費・新聞図書費・減価償却費・研究開発費・租税公課・荷造運賃・支払い手数料・通信費・退職金・雑給 など

 

勘定科目の分類は、基本的には読んで字のごとくで、定義に当てはまりそうな科目に分ければ問題ありません。

簡単な例を挙げると、ノートやペンなど事務用品を購入した費用は「事務用品費」や「消耗品費」に分類します。ただし、事務用品とその他の消耗品を分けるかどうか、消耗品以外の備品もまとめて計上するかなど、細かな決まりは会社ごとに異なります。

また、期末に無理に経費を使い切ろうと大量の事務用品や消耗品を購入すると、税務署の監査によって「費用」である「消耗品費」ではなく「資産」である「貯蔵品」と見なされてしまうなど、例外もあります。

 

  1. ≪勘定科目の注意点≫

勘定科目を分類するときの注意点について、解説していきます。

 

(1)自由に付けられるため企業により違う

勘定科目は法律で決まっているわけではありません。法人ごとに、独自の分類で記載することが可能です。

例にも挙げたように、事務用品の購入費用が「事務用品費」になるのか、「備品費」「消耗品費」等になるのかは、企業によって異なるのです。

 

(2)一般型なものが望ましい

勘定科目を記載する帳簿は、社内だけではなく社外の人の目に触れることもあります。そのため誰にでもわかりやすいよう、一般的な勘定科目を使ったほうがいいでしょう。

会計ソフトの設定をしたり決算書を作成したりするときにも、一般に浸透している勘定科目の方がスムーズに作業できます。

 

(3)同じ勘定科目を一貫して使う

一度選択した勘定科目は、途中で変更せず継続して使わなければいけません。例でいうと、同じ事務用品の購入費用が「事務用品費」「備品費」「消耗品費」などそのときによってブレがあってはいけないのです。

同じ勘定科目を使い続けることで、経費の動きを正確に把握し、的確な経営判断をすることができます。

ただし、途中で業務形態が変わった時には、例外として勘定科目を見直す場合もあります。

 

  1. ≪まとめ≫

勘定科目は、種類が多く全てを覚えるのは大変です。

しかし、日常的に頻出する勘定科目は限られていますし、大まかな分類の定義を理解していれば誰でも簡単に仕訳することができます。分類に迷うものはその都度調べて記載すればいいので、それほど難しく考える必要はありません。

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2019/01/29 確定申告はいつまで?税金・贈与税・消費税の提出期限も解説!

個人事業主やフリーランスの方にとって、年に一度の大仕事である「確定申告」。毎年行っていても、年に一度のことなので期限や期間を忘れてしまう人も多いですよね。

2019年の確定申告期間がいつからいつまでかというと、2019年2月18日(月)〜3月15日(金)ですが、申告する税の種類によっては異なる場合もあります。

こちらのページでは、2019年の確定申告(2018年分)について、様々な「いつから?」「いつまで?」期限が過ぎたらどうなるのかについて解説していきます。

 

1. ≪2019年の確定申告の期限はいつまで?≫

確定申告の期間は、申告する国税の区分によって違います。

個人が申告する主な国税(個人事業主やフリーランスの所得税、消費税・地方消費税、贈与税)の区分別に、確定申告をいつからいつまでに行うのか、期間を過ぎたらどうなるのかについて解説していきます。

 

また、還付金の受け取りについても期間が定められているので、そちらの期間がいつからいつまでなのか、万が一過ぎたらどうなるかもご紹介します。

 

(1)個人事業主やフリーランスの場合は?

個人事業主やフリーランスの方の確定申告の期間がいつからいつまでかというと、2019年2月18日(月)〜2019年3月15日(金)です。個人事業主やフリーランスの方は、会社員のように会社が年末調整をしてくれないため、自分で確定申告をして所得税などの税額を確定する必要があります。

この期間中に、白色申告者は「確定申告書」「収支内訳書」青色申告者は「確定申告書」と「青色申告決算書」を提出します。

また、必要に応じて源泉徴収票など添付書類も提出します。

 

これらの書類が揃って初めて確定申告ができるので、申告期間が始まる前から帳簿付けや書類作成を開始して、速やかに確定申告ができるようにしましょう。

個人事業主やフリーランスではなくても、給与所得が2,000万円以上の方や住宅ローン減税を初めて受ける方、医療費の控除で所得税が還付される方、ふるさと納税をしてワンストップ特例制度を利用していない方なども、同じ期間中に所得税の確定申告を行います。

 

ちなみに、2019年3月15日(金)の期限を過ぎたらどうなるのでしょうか。

結論からいうと、確定申告の期間が終わった後も確定申告をすること自体は可能です。

 

ただし、期間を過ぎた後の確定申告は「期限後申告」となります。確定申告の期限から1ヶ月以内の申告には「延滞税」が、それ以後の申告には「延滞税」と「無申告加算税」が加算されるので注意しましょう。

延滞税や無申告加算税は遅れた日数によって年利が膨らむので、万が一確定申告を忘れていて期間が過ぎていた場合は、気付き次第できるだけ早く書類を提出しましょう。

 

(2)消費税及び地方消費税の申告はいつまで?

消費税及び地方消費税の確定申告期間がいつからいつまでかというと、2019年1月1日(火)〜2019年4月1日(月)です。

消費税・地方消費税の確定申告が必要なのは課税事業者で、簡単にいうと消費者から売上とともに預かっている消費税の額を、国に納付する作業となります。

免税事業者については、消費税や地方消費税の確定申告をする必要はありません。

 

課税事業者と免税事業者の違いは、2年前(基準期間)の課税売上が1,000万円以上かどうかです。

起業した初年度など、2年前の売り上げが存在しない場合には免税事業者となるので、消費税の確定申告は不要となります。

 

ちなみに消費税・地方消費税も、確定申告期間が過ぎたら期限後申告となり「無申告加算税」が発生します。

ただし、「確定申告期間から2週間以内の申告」かつ「期限内に申告する意思が認められた場合」には無申告加算税が加算されません。

「期限内に申告する意思」とは、期限後申告に関わる税額を全額法定納期限までに納付していることと、過去5年に無申告加算税を課されていないことが条件になっています。

申告期間を過ぎたら即罰金という訳ではなく、こういった救済措置が用意されているので、確定申告は毎年正しい期間内に終わらせて税務署の信頼を勝ち得ておきましょう。

 

(3)贈与税の申告はいつまで?

贈与税の申告はいつからいつまでかというと、2019年2月1日(金)~2019年3月15日(金)です。

贈与税の確定申告が必要な人は、前年1月1日〜12月31日までの1年間に財産の贈与を受けた人です。

ただし、贈与された財産の価額が110万円以下の場合には、贈与税がかからないため確定申告をする必要がありません。

 

贈与税の確定申告の期限が過ぎたら、税務調査を受けてペナルティの事前通知を受け取る可能性があります。

このペナルティは「申告を忘れていた場合」「申告したが額が過小だった場合」「意図的に申告しなかった場合」という悪質度合いや、税務調査の前か後かによって税率が大きく異なります。

 

贈与税の無申告ペナルティは最大50%にまでなり、申告期限を過ぎたら多額の罰金を支払う必要があります。せっかく贈与された財産を無駄にしないためにも、申告期限がいつからいつまでなのかをしっかり把握し、正しい金額を申告しましょう。

 

(4)税金の納付はいつまで?

確定申告で確定した税金の納付はいつまでかというと、所得税は2019年3月15日(金)、消費税及び地方消費税は2019年4月1日(月)、贈与税は2019年3月15日(金)までです。

基本的に、税金の納付期限は確定申告の期限と同じです。

 

(5)還付金の受け取りはいつまで?

事前に税金を納め過ぎていた場合や、住宅を購入した場合、多額の医療費を支払った場合など、確定申告によって還付金が受け取れる場合があります。

ただし、還付金については、税務署側から「還付金を受け取れますよ」という内容の通知が来ることはありません。

還付の対象になるかどうかを自分で調べて、自分から還付金の申請を行う必要があります。

 

還付金の申請がいつからいつまでかというと、原則的に確定申告期間と同じ2019年2月18日(月)〜2019年3月15日(金)です。

ただし、会社員の方で住宅を購入したり多額の医療費を支払ったりした場合など、確定申告をしていないために還付金を受け取れなかった場合は、以後5年の間なら更生の請求をして還付金を受け取ることができます。

過去数年以内に大きな出費があった方は「確定申告期間を過ぎたら還付金がもらえない」と思い込まずに税務署に相談してみましょう。

 

(6)国外財産調書及び財産債務調書の提出はいつまで?

日本国外に5,000万円以上の財産がある方は「国外財産調書」を、退職金を除く給与所得が2,000万円以上あった方は「財産債務調書」を提出する必要があります。

これらの提出期限がいつからいつまでかというと、確定申告期間と同じ2019年2月18日(月)〜2019年3月15日(金)です。

提出をせずに期限が過ぎたら、また提出したものの記載漏れがあった場合などは、税務署に申告していない金額に対して5〜20%の無申告加算税が課せられます。

これらの書類は、所得や財産が多額な方が提出する書類なので、自然と罰金の額も大きくなりやすいです。

提出すれば相続税の軽減などメリットもある書類なので、該当する方は忘れずに提出するようにしましょう。

 

  1. ≪確定申告は土日でもできる?≫

原則的に、土・日・祝日は税務署の閉庁日のため、税務署での確定申告の受付は行なっていません。

ただし例外もあるので、土・日・祝日に確定申告をしたい方のために解説を行なっていきます。

 

(1)一部日曜日に申告書の提出が可能な場合も

毎年、確定申告期間の一部の日曜日には税務署が開庁していて、確定申告や相談の受付を行なっています。

2019年は、2月24日3月3日の2回が日曜の開庁日です。平日はどうしても都合がつかないという方は、この日に税務署へ足を運んで確定申告を済ませておきましょう。

 

(2)e-taxを使えば24時間いつでも可能

国税庁が運営している電子申告・納税システム「e-tax」なら、期間中24時間いつでも確定申告が可能です。

2〜3月の寒い時期に税務署まで足を運ぶ必要がなく、またペーパーレスで確定申告ができるため手軽に素早く手続きを終えられます。

 

ただし、e-taxを利用するにはソフトのインストールやマイナンバーカード、カードリーダーの用意など、事前準備が必要です。事前準備には意外と手間がかかるので、確定申告期間が始まってからでは準備が間に合わないこともあります。

初めてe-taxを利用する方は、確定申告期間がいつからいつまでなのかを把握して、事前登録などの準備は期間前に済ませておくのがおすすめです。

 

  1. ≪確定申告の提出期限を過ぎた場合≫

それぞれの項目でもご紹介した通り、確定申告の期間を過ぎてしまうと「期限後申告」となり、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課せられます。

救済措置が用意されている場合もありますが、日数が経つに連れて税率が上がり、放置すると膨大な罰金を支払うことになりかねません。確定申告をうっかり忘れていた方は、速やかに書類を提出するようにしましょう。

 

  1. ≪税務署の窓口が開いている時間帯は?≫

税務署の開庁時間は、平日(月〜金曜日)の午前8時30分から午後5時です。

確定申告の期間には、申告者が殺到しているため待ち時間が長くなる可能性もあります。

手続きがスムーズに終わるよう、必要書類をしっかりと準備し、時間に余裕を持って税務署を訪れましょう。

 

  1. ≪税務署の相談会場が便利≫

確定申告がいつからいつまでか、期限が過ぎたらどうなるのかなどを解説してきましたが、まだまだ確定申告についてわからないことがあるという方も多いでしょう。

そういった方は、税務署が開設している相談会場で相談するのがおすすめです。

日曜の開庁日である2019年2月24日と3月3日の2回、全国の税務署に相談会場が設けられます。

確定申告や還付に関する疑問や質問に専門家が答えてくれるので、自力で確定申告をするのが不安な方はぜひ利用してみましょう。

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2019/01/22 e-taxは便利?使い方や利用条件を解説!

スマホやパソコンから、webを通じて簡単に確定申告ができるe-tax。毎年確定申告をしている個人事業主や経営者の方は、ぜひ使い方を知っておきたいシステムです。

今回は、そんなe-taxを導入するメリットや導入に必要なもの、導入手続きの方法などをご紹介します。

 

  1. ≪e-taxとは?≫

e-taxとは、国税庁が運営している納税・申告・申請に係るwebサービスで、正式名称を「国税電子申告・納税システム」といいます。

2015年の法人税申告の約75%(196万件)はe-taxを通じて行われており、法人・税理士を中心に広く浸透しつつあります。

利用率向上のため、2007年から2012年までは、確定申告にe-taxを用いると電子証明書等特別控除という税額控除(3,000〜5,000円)を受けられるというメリットもありました。(現在は廃止されています。)

 

利用開始には、初期設定や必要なものを揃える手間など少しハードルがありますが、導入した後は毎年の税に関わる手続きがぐっと楽になる便利なwebサービスです。

 

  1. ≪e-taxの手続きや利用方法・条件≫

こちらの項目では、e-taxを使い始めるための手続きや、必要なもの、利用条件などについて解説していきます。

 

(1)e-taxで利用できる手続

e-taxで利用できる手続きは、大きく分けて「申告」「申請」「納税」の3種類に分かれます。

さらに、それぞれe-taxで利用できる手続きは以下の通りです。

 

  • 申告

「所得税」「復興特別所得税(死亡した場合のいわゆる準確定申告を除く)」「贈与税」「法人税」「地方法人税」「消費税(地方消費税を含む)」「復興特別法人税」「酒税及び印紙税」に係る申告

 

  • 申請

「青色申告の承認申請」「納税地の異動届」「納税証明書の交付請求」「法定調書の提出」などの申請・届出

 

  • 納税

全ての国税に係る納税

 

(2)e-taxを利用できる人

e-taxを利用できるのは、webを利用できる環境にあり、電子署名用の電子証明書を持っている人です。つまり、スマホやパソコンなどwebを使える機器と、マイナンバーカードを用いて取得する「電子証明書」がe-taxの利用に必要なものです。

また、税理士や税理士法人など、税理士業務を行う人も利用することができます。

 

社会人であれば誰でも国税に関する申告や申請をする可能性があるため、必要なものを揃えれば、基本的に誰でもe-taxを利用できるということになります。

 

(3)e-tax利用開始に必要な手続

e-taxを利用するためにまず必要なものは、スマホやパソコンなどwebに接続できる機器と、本人確認のための電子証明書です。電子証明書はマイナンバーカードに組み込まれているため、未取得の方は発行する必要があります。

また、発行する認証機関によっては、電子証明書がICカードに組み込まれている場合もあり、その場合にはICカードリーダーや読み込み用ソフトも必要なものとなります。

 

必要なものが揃ったら、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を提出します。提出先は納税地を所轄する税務署となりますが、webで書類作成・提出することも可能です。

その後、利用者識別番号等を取得します。利用者識別番号等は、webで利用開始届を提出した場合はwebで発行(通知)され、税務署で提出した場合は後日書面で通知されます。

 

  1. ≪e-taxのシステム利用の流れ≫

e-taxの利用開始に必要なものを揃え、利用開始申請をしたら、実際にスマホやパソコンでe-taxを操作していきます。

e-taxのシステムを利用する流れについて、解説します。

 

(1)e-taxの事前手続

e-taxの利用を始めるには、まずスマホやパソコンにe-taxソフトをインストールすることが必要です。e-taxソフトは、e-taxのwebサイトの「ダウンロードコーナー」から入手することができます。

 

e-taxソフトのインストールには手順が4つあり、

  • 「利用規約の確認」
  • 「ルート証明書・中間証明書のダウンロード」
  • 「信頼済サイト・ポップアップブロック許可サイトへの登録」
  • 「e-taxソフトのダウンロード」

と進んでいきます。

個人で確定申告等にe-taxを利用する場合は、以上で必要なものが全てダウンロードできますが、源泉徴収票や電子的控除証明書を作成する場合はそれぞれの専用ソフトも必要となります。

以上は全てe-taxのwebサイトのダウンロードコーナーに詳細な説明がありますので、手順を読みながら進んでいけば、誰でも簡単にe-taxソフトをインストールすることができます。

 

(2)e-taxの初期登録

e-taxソフトがインストールできたら、利用開始のための初期登録をしていきます。

この登録に必要なものは、事前手続きで通知された「利用者識別番号(16桁の数字)」「納税用確認番号」「電子証明書」です。

 

インストールしたe-taxソフトを初めて立ち上げたときは、「利用者ファイルの新規作成」という画面が表示されます。そこに「利用者識別番号」と利用者名を入力すると、新たな利用者用ファイルが作成されます。

 

その後、「納税用確認番号」の入力を行います。納税用確認番号とは、モバイルバンキングやATMから電子納税をするときに必要となるパスワードのようなものです。自分で決めた6桁の数字を入力し、忘れないように控えておきましょう。

また、納税の際に表示される納税用氏名(カタカナまたは英数字)を同じ画面で登録します。

 

その後、電子証明書の登録に移ります。

メニューボタンの「利用者情報登録」から「電子証明書登録」を選択すると、「利用者情報登録・更新」画面が表示されます。利用者の住所・氏名・所轄税務署を入力したあと、「次へ」ボタンを押すと「メディア選択」画面に移ります。

電子証明書がICカードに組み込まれている場合は、「ICカードを利用」を選択し、ICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取ります。webで電子証明書を取得した場合は、「他メディアを利用」を選択し、スマホかパソコンに保存してある電子証明書ファイルを選択します。

電子証明書を取得したときに登録したパスワードを入力して、電子証明書の登録は完了です。

 

他には初期登録で「メールアドレス」「秘密の質問と答え」の登録が可能です。絶対に必要なものという訳ではありませんが、登録するとよりセキュリティが強化され、万が一パスワードを忘れた場合も再発行ができるため安心です。

 

(4)e-taxの申告・申請・納税手続

e-taxを使って申告や申請をするには、e-taxソフトを立ち上げてメニューボタンの「作成」ボタンから「申告・申請等」を選択します。「新規作成」をクリックし、申告・申請したい税目を選び、作成したい帳票を選びます。その後作成する申告・申請名を設定し、提出先の税務署を選択します。

「帳票一覧」から作成したい帳票を選んで内容を記入し、「作成完了」を選択すると税務署に提出されます。

 

ちなみに、確定申告をする場合には、e-taxのwebサイトの「確定申告書等作成コーナー」から書類を作成することができます。

作成した確定申告書類を、e-taxから電子提出すれば手続きは完了です。

 

  1. ≪e-taxを利用するメリットは?≫

e-taxを利用するメリットは、まず税務署に出向く必要がなく、自宅にいながらスマホやパソコンで国税の申告・申請・納税ができることです。

確定申告期間中は24時間送信が可能なので、どうしても税務署が開いている時間に行くことができないという方も、いつでも確定申告をすることができます。確定申告の時期は税務署が混み合い待ち時間が長くなることもあるので、その時間を節約することができるのもe-taxを利用するメリットと言えます。

 

また、e-taxで確定申告をすると、本人確認書類や医療費の領収書、源泉徴収票などの添付書類を省略できるというメリットもあります。

ただし、これらの保管義務は失われていないので、きちんと手元に取っておきましょう。

 

さらに実利的なメリットとして、確定申告の結果還付される税金がある場合、書類での提出よりもe-taxの電子提出の方が早く還付されるというものがあります。e-taxで申告された還付申告は3週間程度と言われていて、還付まで1ヶ月〜1ヶ月半かかる書類提出よりも約半分の期間で還付金を受け取ることができます。

 

逆にデメリットとしては、ICカードに組み込まれた電子証明書を利用する場合に購入費がかかるという点があります。また、自宅のパソコンやスマホから手軽に申告ができる反面、事前準備やシステムの理解に手間がかかるのもデメリットです。

ただし、このようなデメリットを払拭するため、平成31年1月からはe-taxの利用が簡便化され、マイナンバーカードなしでもIDとパスワードを発行することでe-taxが利用できるようになっています。

 

  1. ≪e-taxソフトとは?≫

e-taxソフトは、現在3種類が運用されています。まず、パソコンにインストールして使用するe-taxソフトの使い方は、先ほどの項目で詳しく解説しました。

他には少し機能が簡易的になっていますが、e-taxソフト(web版)とe-taxソフト(スマホ版)があります。

e-taxソフト(web版)は、e-taxソフトの基本的な機能をwebブラウザ上で利用できるシステムです。使用の際は毎回ログインする必要があり、できる手続きの種類はインストール版より少ないですが、インストール不要でいつでも手軽に使うことができます。

e-taxソフト(スマホ版)は、e-taxソフト(web版)をスマホユーザー向けに操作性を最適化したものです。申告・申請書類の作成等はできませんが、納税、還付金の処理状況の確認、納税証明書の交付請求、税務署からのお知らせの確認など、簡易な手続きを行うことができます。

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