東京・大阪経理代行サポートセンターPowered by スタートパートナーズ会計事務所

012-345-6789 受付時間:XX:00~YY:00(平日)

トップへ戻る 経理代行診断 メールで相談 トップへ戻る

カテゴリ:
2020/02/20 基礎控除とは?税制改正に伴う変更のポイントも解説

所得税・住民税の計算をするとき、誰でも所得から差し引くことができるのが「基礎控除」です。

現在、基礎控除は一律38万円ですが、税制改正により令和2年度以降の所得は計算方法が変わります。

 

今回は、税制改正で変更となる点や、基礎控除の計算方法を詳しく解説します。

関連して、給与所得控除・相続税の基礎控除についても見ていきましょう。

 

 

1.≪基礎控除とは≫

基礎控除とは、全ての納税者が所得額から差し引ける控除のことです。

まずは、基礎控除の基本的な知識について知っていきましょう。

 

(1)所得税の基礎控除

そもそも控除とは、個人の事情に合わせて課税額を調整するためにある制度です。

例えば、一人身で特段の事情がない人と、養う家族がたくさんいたり、重い病気にかかっている人では、生活にかかる金額が異なります。

それなのに、所得額が同じなら一律で同額の税金を徴収していると、不公平が生じてしまうのです。

それを調整するために、一定の条件に当てはまる人は、総所得から控除を差し引いて課税所得を減らすことができるようになっています。

 

しかし、基礎控除は個人の事情に関係なく、誰にでも適用される控除です。

その金額は、現在38万円です。

つまり、年間の所得が38万円以下であれば、課税所得は0となり所得税がかからないことになります。

また、サラリーマン・アルバイトなどで、給与所得を得ている方には追加で、最小でも65万円の「給与所得控除」も受けられます。

このため、年間所得が「基礎控除38万円+給与所得控除65万円」の「103万円」なら、給与所得者は所得税がかかりません。

家族の扶養に入っている場合などに言われる「103万円の壁」は、基礎控除と給与所得控除の金額が根拠になっているのです。

 

ただし、令和2年度(2020年1月1日~12月31日)の所得にかかる所得税から、基礎控除の金額が改定されます。

この税制改正については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)住民税の基礎控除

所得税だけではなく、住民税にも基礎控除があります。

住民税の基礎控除額は、33万円です。

また、住民税には「人的非課税」という非課税制度があります。これは、生活保護世帯など一定の条件を満たしている場合、住民税を納める必要がないという制度です。

さらに、納税者に扶養親族がいない場合、所得金額が35万円以下なら住民税は課税されません。

そのため、住民税の基礎控除は基本的には33万円ですが、非課税限度額は35万円と言えます。

 

2.≪「基礎」以外のおもな「控除」≫

誰でも受けられる基礎控除以外に、様々な条件を満たすと受けられる控除があります。

その中から、適用される人が多い「扶養控除」「配偶者控除/配偶者特別控除」「社会保険料控除」について解説していきます。

 

(1)扶養控除

扶養控除とは、子供や親など、配偶者以外の家族・親族を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者を扶養している場合の控除は制度が異なるため、次の項目で解説します。

 

税制上、「扶養している」と言える家族・親族の条件は、以下の通りです。

・年間の所得金額が38万円以下(給与所得103万円以下)

・16歳以上の親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)

・納税者と生計を一にしている

 

このような家族・親族が納税者の収入で生活していると、一人当たり以下の金額が控除されます。

・一般の控除対象扶養親族(16歳以上):38万円

・特定扶養親族(19歳以上23歳未満):65万円

・老人扶養親族(70歳以上・同居老親等以外):48万円

・老人扶養親族(70歳以上・同居老親):58万円

 

(2)配偶者控除/配偶者特別控除

配偶者控除・配偶者特別控除は、妻・夫を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者控除に当てはまる家族の条件は、以下のようになっています。

・配偶者であること

・納税者と生計を一にしていること

・配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であること

・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、又は、白色申告者の事業専従者でないこと

 

配偶者控除の金額は、以下の通りです。

 

納税者の所得が900万円以下の場合

一般の控除対象配偶者:38万円

老人控除対象配偶者:48万円

 

納税者の所得が900〜950万円の場合

一般の控除対象配偶者:26万円

老人控除対象配偶者:32万円

 

また、配偶者特別控除は、以上の条件のうち収入面のみ満たしていない場合に受けられます。

配偶者特別控除は、年間所得が38万円以上123万円以下の場合かつ、納税者の所得が1,000万円以下の場合に適用されます。

配偶者特別控除の金額は、納税者と配偶者の所得金額のバランスによって異なります。

 

(3)社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者本人や生計を一にしている家族・親族の社会保険料を支払った場合に適用されます。

控除金額は、支払った社会保険料の全額です。

 

3.≪税制改正で基礎控除はどう変わる?≫

令和2年度(2020年1月1日~12月31日)分の所得から、基礎控除額・給与所得控除額が変更になることを国税庁が決定しました。

基礎控除に関わる税制改正の内容について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)税制改正のポイント

今回の税制改正では、

・基礎控除額の引き上げ

・給与所得控除額の引き下げ

が行われます。

以下の項目で、変更点を詳しく解説します。

 

①基礎控除引き上げ

まず、現在38万円の基礎控除額は、最大48万円に引き上げられます。

これまでは、所得総額に関わらず基礎控除は一律でしたが、改正以降は所得金額によって基礎控除の金額が異なるようになります。

税制改正後の、年間の合計所得金額と基礎控除の関係は以下の通り。

 

【所得税の基礎控除額】

〜2,400万円:48万円

2,400万円〜2,450万円:32万円

2,450万円〜2,500万円:16万円

2,500万円〜:なし

 

また、これに伴い、現在一律33万円となっている住民税の基礎控除も変更になります。

 

【住民税の基礎控除額】

〜2,400万円:43万円

2,400万円〜2,450万円:29万円

2,450万円〜2,500万円:15万円

2,500万円〜:なし

 

②給与所得控除引き下げ

給与所得者に適用される給与所得控除は、基礎控除とは逆に最大10万円引き下げられます。

また、給与所得控除の上限金額が適用となるのも、現行の1,000万円から850万円に引き下げられます。

税制改正後の、給与収入金額と給与所得控除の関係は、以下の通りです。

 

〜162.5万円:55万円

162.5万円〜180万円:収入金額×40%ー10万円

180万円〜360万円:収入金額×30%+8万円

360万円〜660万円:収入金額×20%+44万円

660万〜850万円:収入金額×10%+110万円

850万円〜:195万円(上限)

 

(2)税制改正で税金は上がる?下がる?

今回の税制改正を大まかにまとめると、「年収850万円以上の人は増税・850万円以下の人は変わらない」と言えます。

年収850万円以下の方は、基礎控除額と給与所得控除額がそれぞれ±10万円のため、実質的には影響を受けません。

年収850万円以上の方は、基礎控除額と給与所得控除額の合計が改正前よりも少なくなるため、所得税が増税されます。

また、給与所得控除に関係がない自営業やフリーランスの方は、基礎控除額の引き上げのみが適用されるため、減税となります。

 

4.≪相続税の基礎控除の仕組み≫

所得税や住民税だけではなく、相続税にも基礎控除があります。

亡くなった人の財産を相続すると相続税が発生しますが、相続したのが一定の金額以下なら納税や申告が必要なくなるのです。

このボーダーラインを、相続税の基礎控除と言います。

相続税の基礎控除の計算方法は、以下の通りです。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。

内縁関係の配偶者や、義理の息子・娘といった関係の人は、実際に遺産を相続するとしても法定相続人には含まれません。

例えば、法定相続人の数が3人の場合、計算式は以下のようになります。

 

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

 

この場合、遺産の合計額が4,800万円以下なら相続税の申告・納税をする必要はありません。

また、遺産が4,800万円を超えている場合には、4,800万円を超えた金額にのみ相続税が課せられます。

 

5.≪まとめ≫

税制改正により、基礎控除は+10万円、給与所得控除は−10万円になります。

給与所得者で、年収850万円以下の方には影響がありませんが、年収850万円以上の方は増税、個人事業主やフリーランスの方は減税となります。

これにより、扶養控除や配偶者控除・配偶者特別控除の基準も変わるため、令和2年度分の確定申告には注意が必要です。

カテゴリ:
2020/02/13 復興法人税とは?用途や税率、前倒し廃止の理由を解説

復興法人税は、東日本大震災の復興の財源とするため、法人に課せられていた特別税です。

徴収期間は2012年4月1日から2014年3月30日までで、当初の予定より1年早く廃止されました。

 

今回は、この復興法人税の概要や、廃止が前倒しされた理由について詳しく解説します。

また、個人向けの特別税である「復興所得税」についてもご紹介いたします。

 

1.≪復興特別法人税の概要≫

まずは、復興特別法人税とは何か、その概要について知っていきましょう。

 

(1)復興法人税とは

復興法人税とは、2011年に発生した東日本大震災の復興のための施策に必要な財源を確保するために実施された特別税で、平成23年12月に公布されました。

復興法人税の具体的な使い道は、以下の通り。

 

・被災者支援…被災者の生活再建への支援等

・住宅再建・復興まちづくり:復興道路などの社会インフラ整備等

・産業・生業(なりわい)の再生:観光復興や水産業の販路開拓支援等

・原子力災害からの復興・再生:避難指示が解除された区域での生活支援等

 

さらに詳しく復興法人税の使途を知りたい場合は、「東日本大震災復興特別会計歳出暫定予算予定額各目明細書」や復興庁のホームページで確認することができます。

 

復興法人税の課税対象は、全ての所得がある法人です。一般的な会社だけではなく、設立前の会社・町内会・政党要件を満たさない政治団体・マンションの管理組合といった、収益目的ではない法人でも、所得があれば課税されます。

 

ただし、赤字の会社などで法人税が課税されない場合には、復興法人税も同じく課税されません。

復興法人税が課税される法人は、各課税事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に復興特別法人税申告書を提出し、納税額を確定します。

 

2012年4月1日から、通常の法人税に上乗せして復興法人税の徴収が始まりました。

当初、徴収時期は2015年3月30日までの予定でした。しかし、2014年4月の消費税率引き上げの影響を考慮して1年早く廃止されました。

復興法人税の廃止については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)復興法人税の税率

復興法人税の税率は、「法人税額の10%」です。各事業年度の法人税課税額に対して、10%の税率をかけたものが復興法人税額となります。

大まかにいうと、復興法人税の徴収期間は、それ以外の期間と比べて法人税が1.1倍になるというイメージです。

 

ただし、利子など一定の所得に課された復興所得税など、復興法人税から控除できる金額もあります。

そのため、単純に法人税が必ずしも1.1倍になるというわけではありません。

 

また、復興法人税から控除しきれない復興所得税の額がある場合には、申告書を提出することで還付を受けることができます。

 

2.≪法人税引き下げと復興法人税との関係≫

復興法人税の制度は、2011年12月に行われた法人税率の引き下げとセットで実施されています。

先にお伝えしたように、復興法人税は法人税の納税額に基づいて決定されるので、復興法人税が追加で課されたとしても、実質的には減税となりました。

 

(1)軽減税率との関係

平成23年12月以前の、法人に課せられる法人税率は以下の通りでした。

 

大企業:30%

中小企業(年間所得800万円以上):30%

中小企業(年間所得800万円以下):22%

 

そして、平成23年12月の改正で、法人税率は以下のように引き下げられます。

 

大企業:25.5%

中小企業(年間所得800万円以上):25.5%

中小企業(年間所得800万円以下):15%

 

前の項目でお伝えした通り、復興法人税は法人税の10%なので、「法人税+復興法人税」の税率は以下のようになります。

 

大企業:28.05%

中小企業(年間所得800万円以上):28.05%

中小企業(年間所得800万円以下):16.5%

 

このように、法人税引き下げ・復興法人税の実施で、大企業と年間所得800万円以上の中小企業は「1.95%」、年間所得800万円以下の中小企業は「5.5%」もの減税になったのです。

震災復興のために税収が必要となるのにも関わらず、法人に対して実質的な減税を行なったことで、当時は「企業優遇」という批判の声も上がりました。

 

(2)地方税との関係

次に、法人が納める地方税と復興法人税の関係を見ていきましょう。

 

地方事業税に関しては、復興法人税の影響はありません。地方事業税は法人の所得が課税標準となり、復興法人税の実施に際して税率の変更もなかったため、従前通りです。

 

地方住民税については、税率自体に変更はないものの、課税標準となるのが法人税額なので、法人税引き下げ・復興法人税導入の影響を受けます。

先に触れたように、法人税は1.95%または5.5%の減税となるため、地方住民税も連動して減額されます。

 

3.≪復興特別法人税の「前倒し廃止」とは≫

復興法人税が実施された当初、課税期間は課されるのは2012年4月1日から2015年3月30日まで(9月決算法人では9月30日まで)の予定でした。

 

ところが、2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた影響で終了が1年前倒しされ、2014年3月30日(9月決算法人では2014年9月30日)で廃止されました。

消費税増税以外の廃止理由としては、賃金引上げを含む経済の好循環に繋がる、外国企業の誘致を促進し国際的競争力を高める、などが挙げられています。

 

具体的に、いつから復興法人税がかからなくなったかというと、3月決算の法人では2014年4月1日以降の事業所得、9月決算の法人では2014年10月1日以降の事業所得です。

個人の所得から徴収される復興特別所得税は、予定通り25年間続くため、たった2年で廃止された復興法人税は法人税率の引き下げと同じく「企業優遇」と批判を受けました。

しかし、復興法人税の廃止で浮いた金額を、従業員の賃上げに回すよう推進するということで断行されています。

 

4.≪継続中の復興特別所得税との違い≫

復興法人税の他に、復興特別税には復興所得税というものもあります。

 

復興法人税と復興所得税の違いは課税の対象者です。復興法人税は先にも触れた通り法人に、復興所得税は個人に課せられます。

 

復興所得税は全ての納税者が支払う税金です。サラリーマンなどの給与所得者は、源泉所得の際に復興所得税額も含めた金額を徴収されます。

給与以外の所得がある個人事業主等は、確定申告で所得税と復興所得税をあわせて申告し、納税します。

また、源泉徴収義務者は、従業員の給与からあらかじめ徴収した復興所得税を法定期限までにまとめて納付しなければなりません。

 

復興所得税が徴収されるのは、2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間です。

この期間中は、全ての納税者が通常の所得税に復興所得税を上乗せして納税します。

 

復興所得税の税額は所得税額の2.1%です。個人の所得税は、所得金額が高くなるほど税率も上がる累進課税制度を採用しているため、復興所得税の金額や負担割合も所得が高くなるほど高くなります。

 

5.≪まとめ≫

復興法人税は日本国内の法人が東日本大震災の復興のために納める税金です。

個人向けの復興所得税より税率は高いですが、法人税引き下げと同時に実施されて実質的に減税になったことや、短期間で廃止されたことが批判の的になったこともあります。

 

復興法人税はすでに廃止されている税金のため、今後の経理業務に登場することはありません。

しかし、復興所得税は徴収期間が2037年まで続くため、源泉徴収や確定申告の際に気をつけておく必要があります。

カテゴリ:
2020/02/06 役員借入金とは?役員借入金を減らす6つの方法

役員借入金とは、役員から法人に貸し付けたお金のことをいいます。上手く利用すれば節税にもなる役員借入金ですが、その金額が膨らんでしまうと様々なデメリットが生じます。

 

今回は、役員借入金が増えてしまった場合のデメリットと、その解決方法を解説いたします。

役員借入金は、借入をするメリットとデメリットを踏まえて適切に利用する必要があります。

 

 

1.≪役員借入金とは?≫

役員借入金とは、会社の役員から会社に対して貸し付けているお金のことで、勘定科目では「役員借入金(負債)」と仕訳します。

逆に、役員が会社から借りているお金のことは役員貸付金と言い、勘定科目では「役員貸付金(資産)」となります。

 

役員借入金が発生するのは、主に以下のような場合です。

 

会社の資本金が足りない時、役員のポケットマネーで立て替えた

法人設立時の開業費等の費用

 

役員借入金のメリットは、金融機関や他社からの借入とは違い、返済期日や利息が自由に定められることです。

もちろん、いずれは返済する必要がありますが、経営状態に余裕のあるタイミングで都合よく返済することができます。

 

さらに、返済するときには当然会社から役員へお金を支払うことになりますが、これは報酬ではなく借入金の返済なので、税金や社会保険料がかかりません。

元本の返済ではなく、利息についても同様なので、役員は利息分については非課税の収入を得ることができるのです。

 

また、役員借入金の利用法として、借入金を増額することで資本金を3,000万円以下に抑え、中小企業向けの税制度を受けるという使い方もあります。

さらに、役員借入金の利息は経費にできるため、適正な利息を役員に支払うことで会社の経費を増やし、利益調整することもできます。

 

2.≪役員借入金が増えるとどうなる?≫

先に役員借入金のメリットをお伝えしましたが、一方で役員借入金が増えてしまうことによるデメリットもあります。

 

取締役会の承認が必要に

金融機関の印象悪化

相続税の対象になる

 

以下の項目で、詳しく見ていきましょう。

 

(1)取締役会の承認が必要に

役員借入金には、金融機関からの借り入れのようなビジネスという側面がありません。

そのため、役員から会社にお金を貸す時には、無利子での賃借が認められています。

 

しかし、利益調整などの目的で利息を設定する場合には利益相反取引に該当するため、取締役会での承認が必要となります。

役員借入金の返済利息は、お金を貸す役員個人では決めることができないのです。

 

(2)金融機関の印象悪化

いくら身内からの借り入れであっても、役員借入金は決算書類上の負債に該当します。

 

また、役員借入金は法人の経営状況が健全であれば、そもそも発生させる必要がない項目なので、金融機関からの印象が悪くなります。

経営状態に問題がないのに役員借入金が多い企業は、役員個人のお金と会社のお金の区別がついていないルーズな会社と思われてしまいかねません。

 

先に解説したようなメリットがあるとはいえ、役員借入金は乱用するべきものではないのです。

 

(3)相続税の対象になる

会社にお金を貸している役員が亡くなった場合、役員借入金も相続税の課税対象です。相続人にとっては、会社に対する債権が相続財産になります。

 

もし、会社の業績が悪く、相続人に対して返済することができない場合も、相続放棄をしない限りは相続人が債権を引き継ぐことになります。そのため、相続人から見ると、戻ってくる見込みがないお金に対して相続税が生じる可能性があるのです。

役員借入金の金額が大きくなればなるほど、相続税負担も重くなります。

 

3.≪役員借入金を減らす6つの方法≫

それでは、上記のデメリットをなくすため、役員借入金を減らす方法を6つご紹介します。

 

(1)役員報酬を減額

役員借入金が増えてしまう原因として、会社の資本に対して役員報酬が高すぎるという問題が挙げられます。

過剰な節税対策で役員報酬の金額を上げすぎると会社に資本が残らず、役員が自分の報酬を役員借入金として会社に戻さざるを得なくなっているのです。

 

その場合には、役員報酬の金額を見直すことで負のスパイラルから抜け出すことができます。

役員借入金が膨らみすぎてしまった企業では、まず役員報酬の減額を考えてみましょう。

 

(2)債務免除する

会社にお金を貸した役員が債務免除をすれば、当然、役員借入金を減らすことができます。

 

ただし、債務免除された金額は「債務免除益」として利益に組み込まれ、法人税の課税対象となります。(消費税については課税売上とはならず、消費税の納税額が増えることはありません。)

また、財産の贈与とみなされて贈与税が発生する場合もあるので注意してください。

 

(3)後継者へ贈与する

役員借入金を後継者に贈与する「暦年贈与」という方法があります。

 

この方法は、役員が亡くなった場合を見越した相続税対策として使えます。

生前に贈与しておけば、贈与税の基礎控除額である110万円の範囲内であれば贈与税はかかりません。

相続税がネックになりそうな役員借入金は、万が一の事態が起こる前から計画的に減らしておくのが大切です。

 

また、役員が亡くなった時、相続税の税務調査に備えておくため、暦年贈与の際は必ず贈与契約書を作成しましょう。

 

(4)DES活用

DESは「Debt Equity Swap」の略です。

「債務と資本を交換する」という意味で、役員借入金を返済する代わりに、役員に会社の株式を発行します。

 

この方法を使うことで、実際に現金を動かすことなく役員借入金を減らすことが可能です。

 

(5)生命保険を活用する

生命保険の解約返戻金や死亡保険金を使って、役員借入金を減らすこともできます。

生命保険料を損金に計上しながら解約返戻金を簿外に貯めていき、その貯まった資金で役員に借入金を返済するという方法です。

 

ただし、解約返戻金には契約上もっとも得ができるタイミングがある(返戻率が年々推移するため。)ので、解約時期を決めて計画的に利用する必要があります。

 

(6)代物返済

代物返済とは、役員の承諾を得て現金以外のもので役員借入金を返済することです。

会社が保有している自己株式、不動産、在庫商品などで、役員借入金を相殺することができます。

 

ただし、会社と役員間の取引はルーズになりがちなので、税務調査などで代物返済にあてた物の時価総額などが問われる場合があります。

会社や役員にとって都合のいい取引ではなく、他者の目から見ても公正と思える取引で返済しなければいけません。

 

4.≪役員借入金は決算書でも工夫が必要≫

先にもお伝えしたように、役員借入金は仕訳では負債に組み込まれます。

身内からの借入金であっても借金は借金なので、決算書上で負債が多すぎるのは問題です。

金融機関や取引先からの印象を良くするためには、役員借入金の扱い方に工夫が必要です。

 

役員借入金は、返済利息だけではなく返済期間も自由に設定することができます。

ですから、役員借入金の返済期間はできるだけ1年以上の長期に定め、決算書上は「固定負債」に組み込まれるようにしましょう。

そうすることで流動負債を減らし、流動比率(流動資産÷流動負債)を良く見せることができるのです。

また、固定長期適合比率(固定資産÷(固定負債+自己資本))についても、流動比率と連動して良い値になります。

 

5.≪まとめ≫

役員借入金は、使い方によっては節税に役立つこともあります。

しかし、そもそも会社の経営状態が健全なら発生させる必要はなく、決算書上では負債となるため金融機関からの印象も悪くなります。

また、役員が亡くなった場合には相続税の対象となるため、あまり増やしすぎず、できるだけ早く返済していくのが理想です。

今回ご紹介した6つの方法を使って、役員借入金が増えすぎないように調整しましょう。

 

カテゴリ:
2019/12/25 決算書の読み方・目的を解説

決算書は、会社の財務状況が一目でわかるようにまとめた書類です。

決算期に1年分のまとめとして作成し、株主や関係会社への報告や、法人税を算出するための確定申告に用います。

 

今回は、決算書とは何なのかという基礎知識や、活用方法をご紹介。決算書を作成するための、具体的な作業スケジュールも解説します。

 

1.≪会社の家計簿?決算書とは

決算書は、会社の一定期間の経営成績や財務状況をまとめた書類です。

決算書に含まれる書類には、以下のようなものがあります。

・貸借対照表

・損益計算書

・株主資本等変動計算書

・キャッシュフロー計算書など

 

決算書は会社ごとに定めた年に1度の決算日から2ヶ月以内に作成し、これらを元に確定申告を行います。

税法改正の施行が4月1日になることが多いため、大多数の会社では3月に決算を行い、決算書もこの時期に作ります。

 

決算書は確定申告だけではなく、株主や取引先に対する業績報告や、金融機関から融資を受ける際の与信管理にも用いられる重要な書類です。

 

(1)決算書と財務諸表の違い

決算書とよく似た言葉として「財務諸表」があります。

2つの言葉が指すものはほぼ同じで、単純な言い換えもできますが、決算書の中でも有価証券報告書を提出する会社(上場企業など)が作成するものを財務諸表と呼びます。

 

ちなみに、それ以外の会社が作成する決算書は「計算書類」です。

同じ決算書でも、財務諸表と計算書類では含まれる書類の種類が異なります。

 

財務諸表

・賃借対照表

・損益計算書

・株主資本変動計画書

・製造原価報告書

・キャッシュフロー計画書

・附属明細表

 

計算書類

・賃借対照表

・損益計算書

・株主資本変動計画書

・個別注記表

 

2.≪決算書の読み方!財務三表はここをチェック≫

決算書を見ると、企業の経営状況を確認することができます。

決算書類の中でも代表的な

・損益計算書

・賃借対照表

・キャッシュフロー計画書

の3種類について、読み方を解説していきます。

 

(1)会社のもうけが一目瞭然「損益計算書」

損益計算書の構成は、左側に科目・右側に金額という形でシンプルな表です。

1事業年度で会社が使ったお金と儲けたお金を全てまとめ、どれだけ損失・利益があったかをまとめています。

 

まず、上の3つの項目「売上高」「売上原価」「販売費および一般管理費」で、会社の本業の経営成績がわかります。

「営業利益=売上高−売上原価−販売費および一般管理費」という計算で、会社の本業が赤字か黒字か、またその金額がどれだけかを表しています。

 

次の「営業外収益」「営業外費用」で、会社が本業以外に使ったお金と儲けたお金がわかります。

ここに含まれるのは家賃収入や支払利息など、本業以外で発生する金額の中でも恒常的なものです。「経常利益=営業外収益−営業外費用」という計算式になります。

 

最後に「特別利益」と「特別損失」は、会社の本業以外で、かつ突発的に発生したお金の動きです。資産の売買や、災害損失、盗難損失などが含まれます。

そして、全ての収益から全ての損失と費用を引いたものが「税引前当期利益」。

そこから支払いが発生する、法人税などの税金を引いたものが「当期利益」という見方になります。

 

(2)会社の財産チェック「貸借対照表」

賃借対照表は別名「バランスシート」とも呼ばれます。

表の左右でバランスをとって、同じ金額になるようにすることが名前の由来です。

 

賃借対照表に記載する項目は大きく「資産」「負債」「純資産」の3つのカテゴリに分かれていて、表の左側に資産、右側に負債と純資産が載っています。

 

資産とは、預金・売掛金・商品在庫・不動産など会社が持っている財産のこと。負債は借入金・買掛金・社債など、会社が負っている借金です。純資産は資本金・利益余剰金など、自己資本のことを言います。

 

計算式で表すと「資産=負債+純資産」となり、その会社にどれだけの財産と負債があるか、割合はどのようになっているかがわかります。

 

(3)会社の家計簿「キャッシュフロー計算書」

キャッシュフロー計算書とは、会社の現金が1事業年度でどのように動いたかを示す書類。項目ごとに、期首と期末の状況を比べてどのような収支になったかを記載します。

 

厳密に決まったフォーマットがあるわけではありませんが、大項目は「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3つに分けることが多いです。

 

営業キャッシュフローは商品販売やサービス提供など、会社の本業で得たキャッシュ量を表します。

投資キャッシュフローは事業の維持に必要となる資金です。固定資産の取得や売却などが当てはまります。「営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー」を「フリーキャッシュフロー」と呼びます。

財務キャッシュフローでは、会社の資金が不足したときに行なった資金調達の方法や、返済状況がわかります。

 

3.≪決算書の活用方法

決算書には、先にも触れたように3つの役割があります。

 

・税金の確定申告

・株主・関係会社に対する成果報告

・与信管理

 

しかし、この他にも決算書を活用して企業の健康状態を測る、「財務分析」という活用方法があります。

経営分析は決算書に記載されている数字を比較して、企業の「収益性」「安全性」「成長性」を分析するものです。

 

会社の収益性は、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」をそれぞれ売上高で割り、売上高利益率を求めることでわかります。

前年度よりこれらの値が大きくなっていると、1事業年度で会社の収益性が向上したと言えます。

 

安全性は会社の資産と負債を比較し、「流動比率(流動資産÷流動負債)」や「当座比率(当座資産÷流動負債)」を調べることで分析できます。

これらの数値は%で表し、高ければ高いほど安全な経営ができているということです。

 

成長性は売上高・総資産の規模などを、同社の前期や同業界の市場平均値と比較して確かめます。

「売上高成長率」や「経常利益成長率」を分析することで、会社の成長スピードや業界での位置付けがわかります。

 

4.≪良い決算書は毎日の入力作業から

決算書類は決算期に集中して作るものではありません。事業年度中、毎日のお金の出入りや使い道を記帳していき、その積み重ねが決算書になるのです。

間違いがない決算書類をスムーズに作成するためには、日々の帳簿付けが鍵になります。

 

そして、その帳簿をまとめて決算書にするのが、決算期の作業です。

例として、3月決算の企業で決算書を作成する場合の理想的なスケジュールと、それぞれの作業にかかる日数を見ていきましょう。

 

4月(1ヶ月):記帳

・通帳のコピーを取る

・データ入力の際に必要な情報を収集

・領収書・請求書を整理

 

5月上旬(10日):決算整理事項の確認

・決算整理仕訳を作成

・会計ソフトに仕訳を入力

・残高試算表を作成

・総勘定元帳を作成

 

5月中旬(10日):決算書の作成

・損益計算書・貸借対照表を作成

・個別注記表を作成

・勘定科目内訳書を作成

 

5月下旬(10日):申告書の作成

・法人税の申告書を作成

・地方税(事業税・都道府県税・市町村民税)の申告書を作成

 

5月末(10日):申告書の作成・税金納付

・法人税・消費税を税務署に申告

・地方税(事業税・都道府県民税)を都道府県税事務所に申告

・市町村民税を各市町村に申告

・金融機関で税金を納付

 

5月末(1日):書類保存

・決算書・申告書を決算報告書として保管

・保管義務のある書類を、定められた期間保存

 

5.≪決算書を提出する方法

作成した決算書は、株主・金融機関・税務署になどに提出します。

持参して手渡しが望ましいですが、提出先が多い場合には郵送も可能です。

 

決算書を郵送で提出する場合は、案内状・送付状を添えて信書として郵送します。ゆうパックやゆうメールは、信書を送ることができないためNGです。

 

6.≪まとめ≫

決算書は、毎年決算期に作成する重要書類。会社の1年間の利益や損失、財務状況をまとめて記載します。

主に株主や関係各社への成果報告・税金の申告・信用審査などに利用しますが、記載内容を元に会社の経営状況を診断することもできます。会社が何を重要視した決算書を作るのか?ここが分かっていると、数字の記載箇所・表示科目も変わってくることがあります。

 

経理関係者にとっては年に一度の大仕事となる決算書作成には、スケジュールをしっかり組んで計画的に取り組みましょう。

カテゴリ:
2019/12/11 法人税等とは?「法人税等調整額」の取り扱いも解説

損益計算書や賃借対照表で用いる、「法人税等」という言葉。

法人税や、それに類する税金を表すことは予想できますが、具体的に何が含まれているのか知っていますか?

 

今回は、法人税等に含まれる税金や、会計処理上の扱いについて解説。ほぼ全ての企業で毎年必要になる作業なので、法人税等の仕訳や処理方法を知っておきましょう。

 

 

1.≪法人税等とは?

企業の経理業務には、「法人税等」という言葉が登場します。

文字通り「法人税や、それに類するもの」という意味ですが、具体的にどんなものが法人税等に含まれるのかはご存知ですか?

 

法人税等には、以下の3つの税金が含まれています。

 

・法人税

・住民税

・事業税

 

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

 

(1)法人税

「法人税等」というくらいなので、当然法人税等のメインは法人税です。

法人税は会社の所得に対して課税される税金で、個人事業主における所得税にあたります。そのため、「法人所得税」と呼ばれることもある税金です。

 

法人税の税率は法人の区分や所得金額により異なり、所得金額が高くなるほど税率も上がる「累進課税制度」が採用されています。

国に対して納める国税で、法人税等に含まれる税金の中では唯一の国税となっています。

 

(2)住民税

法人税等に含まれる税金2つ目は、住民税です。法人税等に含まれる住民税は、個人のものと区別するために「法人住民税」と呼ばれることもあります。

 

法人住民税は法人が事業所を置く市区町村に納付する税金です。法人税が国税なのに比べ、こちらは地方税。

法人住民税には2種類あり、法人税額よって金額が変わる「法人税割」と、資本金の額などに応じて金額が決まる「均等割」の2つの合計金額を支払います。

法人税割は、赤字だった年など法人税がかからない場合は支払いが発生しませんが、均等割は赤字の場合でも支払い義務があります。

 

(3)事業税

事業税は法人が事業を行うにあたって利用している、道路や港湾、消防、警察といった公共施設・公共サービスの費用を負担するための税金です。

 

法人税と同じく所得金額に対して課税されますが、納める先は国ではなく地方自治体の地方税です。

資本金が1億円以上の法人の場合は、所得に課税される「課税割」だけではなく「付加価値割」「資本割」も加わります。

 

ただし、このうち法人税等に含まれるのは所得割のみ。付加価値割と資本割は、法人税等ではなく「販売費および一般管理費」に計上します。

 

(4)租税公課との違い

法人税等と似た勘定科目に、「租税公課」というものがあります。

 

租税公課とは、その名の通り「租税」と「公課」、国や地方自治体に納める税金や、国・地方公共団体・その他団体などから課せられる会費・組合費・賦課金・罰金などを計上する科目です。

損益計算書上では、「販売費および一般管理費」という部に属しています。

 

しかし、法人税等に含まれる法人税・住民税・事業税の課税割は、租税公課には含まれません。法人税等は、損益計算書上「法人税、住民税および事業税」という部となります。

なぜなら、法人税等は所得の中から支払われる税金で、損金算入できないためです。

 

(5)法人税等は消費税の課税対象外

課税売上高が1,000万円を超える法人には、消費税の支払いが発生します。

消費税は税金の中でも「間接税」といい、顧客や取引先が商品の購入に際して支払った消費税を法人が一旦預かり、それをまとめて納付するものです。

 

先にも触れましたが、法人税等は所得の中から支払われる税金なので、消費税の課税対象にはなりません。

消費税の課税所得を算出する際には、法人税等の金額を除いて計算します。

 

2.≪法人税等の申告について≫

法人は1年分の法人税等を、「中間申告納付」と「確定申告納付」の2回に分けて納付します。

 

法人税等はその法人の1年分の所得に対して課税されるため、1年の営業が終わってみないと具体的な納税額が確定しません。そのため、まず中間申告では「前事業年度の法人税額÷12×6」、つまり前事業年度に支払った法人税の半額を支払います。

中間申告納付を会計処理する際は、「仮払法人税等」という勘定科目を使います。

 

その後、1年分の所得金額がわかった上で「確定申告納付」を行い、残りの法人税等の正確な金額を算出します。

法人税等の金額が確定したら、会計処理で「仮払法人税等」の金額を、「法人税等」の科目に振り替えます。

 

3.≪法人税等の調整額とは?≫

会計上の利益と法人税の課税所得にズレがある場合、法人税法が定める方法で所得を再計算し、法人税等の調整を行います。

その場合に発生するのが、法人税等調整額です。

 

(1)法人税等調整額の見方

「法人税等調整額」という科目は、損益計算書の「法人税等合計」の内訳にあります。

「法人税、住民税および事業税」から「法人税等調整額」を引いた金額が、実際の法人税等の支払い金額となります。

 

(2)企業会計と法人税のズレを調整

なぜ法人税等調整額が必要になるかというと、法人税法上の所得の計算ルールと、一般的な企業の利益の計算ルールが同じではないため。

一般的な利益の計算方法で企業の所得を算出すると、法人税等が過剰または過少になってしまうケースがあるのです。

 

そういった場合に、「税効果会計」という作業を行なって法人税等調整額を算出し、「法人税、住民税および事業税」の金額に加算・減算します。企業会計上と法人税のズレを解消するために使用する科目が「法人税等調整額」であると言えます。

税効果会計の対象になるのは、「貸倒引当金繰入超過額」「減価償却費」「退職給付引当金」「賞与引当金」「繰越欠損金」といった将来解消される見込みのある一時差異のみです。

 

4.≪法人税等の仕訳計上のポイント≫

先に触れたように、法人税等は「中間申告納付」「確定申告納付」と年2回に分けて納付します。

そのため、法人税等を仕訳計上する際は、「仮払法人税等」「未払法人税等」という勘定科目を使って処理します。

 

まず、前年分の法人税額をベースにして、中間申告で納付すべき法人税等が50万円と計算された場合。

借方:仮払法人税等 500,000円

貸方:現金 500,000円

 

次に、1年間の営業利益が昨年分より増えたため、確定申告で納付すべき法人税等が110万円だとわかった場合。

110万円のうち、50万円は先に支払っているので、以下のように仕訳を行います。

借方:法人税等 1,100,000円

貸方:仮払法人税等 500,000円

   未払法人税等 600,000円

 

最後に、法人税等の残りを現金で納付した場合、仕訳は以下のようになります。

借方:未払法人税等 600,000円

貸方:現金 600,000円

 

このように、法人税等の納付に際しては、中間申告・確定申告・納付時の3段階に分けて仕訳を行うことになります。

 

5.≪まとめ≫

法人税等には「法人税」「住民税」「事業税」の3つの税金が含まれます。他の税金を計上する「租税公課」とは分けて考え、所得から支払う税金のため消費税の課税対象にもなりません。

 

法人税等の納付は中間申告・確定申告の2回に分けて行い、会計処理は「仮払法人税等」「未払法人税等」という勘定項目を使って3段階に分けて仕訳。

少し複雑な作業が必要ですが、ほぼ全ての法人で毎年必要な処理となるため、経理担当者・経営者の方はしっかり把握しておきましょう。

カテゴリ:
2019/09/25 確定申告の期限はいつまで?忘れたときの対処法も紹介

「確定申告を忘れた!」「うっかり期限を過ぎてしまった!」ということは、誰にでも起こりえます。そこで放置してしまうと、無申告加算税が課せられ、本来支払う必要がない税金まで払わなければいけなくなることも。

 

今回は、確定申告を忘れた場合の対処法をご紹介。確定申告が遅れた場合のペナルティや、ペナルティを回避する方法も解説していきます。

 

 

1.≪確定申告の期限は?≫

確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日。2月16日や3月15日が土曜日・日曜日にあたる場合は、後倒しになります。

 

つまり、確定申告の期限は3月15日ですが、この期限を過ぎても確定申告の手続き自体は可能。ただし「期限後申告」となり、ペナルティが課せられます。

 

2.≪確定申告を忘れた場合の対処法≫

それでは、確定申告をうっかり忘れてしまった方のために、対処方法を解説していきます。

 

(1)できるだけ早く確定申告を行う

確定申告を忘れた場合の対処は、「できるだけ早く確定申告を行う」これ一択です。

 

先にも触れましたが、3月15日の期限が過ぎても確定申告の手続き自体は可能です。手続きの内容も、期限内と同じです。

異なるのは受付日時のみですが、遅れて確定申告をした場合は遅れた日数に合わせたペナルティが課せられます。このペナルティ「無申告加算税」については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)事情がある場合は税務署に相談する

単純に忘れていたのではなく、確定申告が遅れてしまったやむを得ない事情がある場合は、期限後申告をする前に税務署に相談しましょう。

 

やむを得ない事情とは、例えば「確定申告期間に病気で入院していた」「海外に渡航していた」「災害にあって手続きができなかった」などです。

個別のケースにもよりますが、やむを得ない事情の証明ができればペナルティが免除される場合もあります。

 

(3)来年は忘れないように心得ておく

期限後申告が2年続くと、青色申告の承認が取り消される場合があります。連続ではなくても、断続的に遅れる年が続くと取り消されてしまう場合も。

来年は確定申告を忘れないよう、しっかり心得ておきましょう。

 

3.≪確定申告の書類の提出方法≫

「確定申告の期間内に税務署に行けないから、期限に遅れてしまう」と焦っている人もいるかと思います。または、「期限内の確定申告を忘れたから、税務署に行きづらい」という人もいるかもしれませんね。

 

実は、確定申告は税務署に直接赴く以外の方法でも提出できます。

それぞれの提出方法について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)郵送を利用する

郵送での提出は、切手と封筒だけ用意すればできるので手軽です。

用意する書類は窓口に提出する場合と変わりありません。確定申告書類を封筒に全て入れ、控えを受け取るために切手を貼った返信用封筒を同封して郵送しましょう。

 

送り先は納税地の管轄税務署です。郵送では提出期限は消印が有効となるので、3月15日中に忘れていたことに気付ければ期限内の提出が可能です。

 

(2)e-Taxを利用する

確定申告をe-Taxで提出するには、電子証明書の取得やカードリーダーの購入など事前準備が必要です。

しかし、手続きを全て電子で行うことができるので、紙の書類は必要ありませんし提出にかかる時間も一瞬です。すでにe-Tax利用の手続きが済んでいる方であれば、直前まで確定申告を忘れていても安心ですね。

 

(3)管轄の税務署に直接提出

もちろん、確定申告は管轄の税務署に直接提出することもできます。

書類でわからないところがあれば職員の方に質問できますし、直しがあった場合も郵送やe-Taxでの提出より手間がかかりません。

 

税務署の開庁時間は平日の8:30~17:00です。確定申告書の提出自体は、時間外収受箱へ投函することによりいつでも提出できます。

 

4.≪確定申告を忘れた場合のペナルティ≫

それでは、確定申告を忘れた場合のペナルティについて詳しく見ていきましょう。

 

(1)無申告加算税

確定申告の期限に遅れると、「無申告加算税」というペナルティが課せられます。

無申告加算税は、納付すべき税額に対して「50万円までは15%・50万円を超える部分は20%」の割合を乗じて計算した金額となります。

 

例えば、納税額が100万円なら、

 

(50万円×15%)+(50万円×20%)=17万5,000円

 

ということになりますね。もちろん本来の納税額100万円も納付しますから、計117万5,000円の納税が必要になります。

 

ただし、税務署の調査を受ける前に自ら期限後申告を行った場合は、この無申告加算税の税率は5%に軽減されます。

同じく納税額が100万円の場合は、

 

100万円×5%=5万円

 

ということになります。追及される前に自分で申告することで、3倍以上もペナルティの金額を抑えることができるのですね。

 

また、期限後申告であっても無申告加算税が課されないケースもあります。

 

①無申告加算税が課されないケース

無申告加算税が課されないケースは、以下の2つの条件を両方満たした場合です。

 

  • 法定申告期限から1ヶ月以内に、自主的に期限後申告をしたこと
  • 期限内申告をする意思があったと認められること

 

このうち、期限内申告をする意思があったと認められる」とは、以下の条件を満たしていることです。

 

  • その期限後申告で確定した納税額を、全額法定期限内に納めること
  • 期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと

 

つまり、期限後すぐに自分から申告し、さらに過去にも確定申告が遅れたことがなければ、悪質ではないので容赦しましょうということですね。

そのため、これまで確定申告が遅れたことがなく、うっかり忘れたことに1ヶ月以内に気付いた場合には、早めに期限後申告をすれば通常の確定申告と何ら変わりはありません。

 

(2)延滞税

確定申告により確定した税金を法定期限内に納めないと、延滞税が課せられます。

これは「確定申告自体を忘れた」ことには直接関わりはありませんが「確定申告後に税金の支払いを忘れた」場合に適用されるものです。

 

延滞税は、支払いが遅れた期間によって課税率が変わります。

原則的な課税率は、以下の通りです。

 

  • 納期限の翌日から2月を経過する日まで:年3%
  • 納期限の翌日から2月を経過した日以後:年6%

 

ただし、平成26年1月1日以後の期間は「特例基準割合」が適用されて税率が低くなります。

具体的な税率は、以下の通りです。

 

  • 納期限の翌日から2月を経過する日まで:年6~4.5%(期間による)
  • 納期限の翌日から2月を経過した日以後:年9~9.2%(期間による)

 

(3)青色申告に関わるペナルティ

先にもお伝えしましたが、青色申告をしている場合、2年連続で期限後申告となると青色申告の承認が取り消される場合があります。

青色申告の承認が取り消されると、10万円・65万円の青色申告特別控除が受けられなくなるなど、税制上の優遇が受けられなくなってしまいます。青色申告を行なっている個人事業主の方は、特に確定申告を忘れないように気をつけましょう。

 

(4)重加算税

重加算税とは、意図的に実情と違う内容で確定申告をした場合に課せられる罰金です。多くの場合、所得を過少に申告し、「脱税」や「ほ税」をした場合に課せられます。

 

課税率は税額の35~40%と高額で、もし払えない場合は不動産や貯蓄の差し押さえなどの処分が行われます。

確定申告は期限内に忘れず行うのも大切ですが、内容を正直に申告するのも重要です。

 

なお、もし意図的ではなく確定申告の内容を間違えてしまった場合は「修正申告」を行えば重加算税の課税は免れられます。

 

5.≪確定申告を忘れたら、修正申告は必ず行おう≫

確定申告は、

 

  • 忘れない
  • 忘れて期限を過ぎてしまったら、なるべく早めに期限後申告をする
  • 内容は正しく申告する
  • 確定した税金は期限内に納める

 

以上のポイントを守って行うようにしましょう。

ペナルティはあくまで悪質な脱税を取り締まるためのものなので、誠実な対応をしていればそこまでひどい罰金が課せられることはありませんよ。

カテゴリ:
2019/09/04 単式簿記とは?【複式簿記との違いを解説】

単式簿記とは、2つある帳簿付けの方法のうちシンプルで簡単なものです。簿記の知識がなくても帳簿付けをすることが可能ですが、複式簿記より記録しておける内容が少ないのがデメリット。

 

今回は、そんな単式簿記と複式簿記の違いや、単式簿記で帳簿付けする方法を具体的に解説していきます。

メリット・デメリットを把握して、自分に最適な帳簿付けの方法を選びましょう。

 

 

1.≪単式簿記とは?≫

単式簿記とは「簿記」の記帳方法の一つです。対になる言葉として「複式簿記」があり、単式簿記の方が複式簿記よりもシンプルで簡単です。

 

そもそも「簿記」とは、会計報告を行うために帳簿をつけること。この帳簿を元に会計業務を行い、会社や個人事業の財務状況を報告します。

 

(1)単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記と複式簿記の違いは、1回の取引につき、1つの項目を使うか、複数の項目を使うか。

単式簿記では「収入or支出」と「勘定科目」「金額」のみを一列に書き記します。複式簿記では帳簿を左右で「借方」と「貸方」に分け、借方と貸方の金額が同じになるように記帳していきます。

 

言葉の説明だけではわかりづらいので、具体的な例を見ていきましょう。

同じ取引を単式簿記と複式簿記のそれぞれの方法で記帳すると、以下のようになります。

 

例1 ◯月◯日、金融機関から100,000円の借り入れを行なった場合

 

単式簿記:◯月◯日 収入 借入金 100,000円

複式簿記:◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

 

例2 △月△日、10,000円の電気代を現金で支払った場合

 

単式簿記:△月△日 支出 電気代 10,000円

複式簿記:△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

 

例3 ×月×日、50,000円の商品を売って現金を受け取った場合

 

単式簿記:×月×日 収入 商品売上 50,000円

複式簿記:×月×日 現金 10,000円 / 商品売上 10,000円

 

そして、これらの取引が行われた後、単式簿記の帳簿は以下のようになっています。

◯月◯日 収入 借入金 100,000円

△月△日 支出 電気代 10,000円

×月×日 収入 商品売上 50,000円

 

単式簿記の場合は、お金の出入りを「収入・支出」の2パターンのみで管理します。そのため、収入の総額から支出の総額を引けば、収益がプラスかマイナスかがすぐにわかります。

この例だと、借入金10万円から支払いで1万円が減り、そのあと5万円の売上が入ったので、現在「14万円」のプラスだということがわかりますね。

ただし、「預金」「現金」という区別はないので、口座にあるべき金額はいくらか、手元にあるべき金額はいくらかということはわかりません。

 

また、単式簿記ではあとで返済する必要がある借入金も「収入」として計算してしまうので、最終的に手元に残る利益は「4万円」だという情報もわかりません。

さらに、帳簿を付け始める以前の預金額や借り入れ総額もわからないので、会社の会計の大枠を把握するのは難しいです。

 

次に、同じ取引が行われた後の複式簿記の帳簿を見てみましょう。

 

◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

×月×日 現金 50,000円 / 商品売上 50,000円

 

こちらでは、例えば「電気代を支払った」という情報だけではなく、「電気代を現金で支払った」という情報がわかります。借入金の10万円は普通預金に入り、現金として手元にあるのは4万円だという情報もわかりますね。

複式簿記は単式簿記よりも書き方が複雑ですが、複式簿記の帳簿からは単式簿記よりも多くの情報が読み取ることができるのです。

 

また、複式簿記の場合は、お金の出入りを「資産・負債・純資産・収益・費用」の5つに分けて管理します。

上記の取引だと、「借入金」は「負債」、「電気代」は「費用」、「商品売上」は「収益」です。

 

そして、会計業務の際はこの帳簿をもとに「貸借対照表」と「損益計算書」を作成します。

これは「資産・負債・純資産・収益・費用」それぞれのカテゴリの総額はいくらなのかを算出するものです。これにより、会社がどのような財務状況にあるのかを詳しく分析することが可能になります。

 

(2)単式簿記は目的のみを記録する

単式簿記では、取引により現金が増えたのか・減ったのかという「収入・支出」と、その取引の目的のみを記録します。

「収入」のカテゴリになるのは、勘定科目でいうと借入金・売上金・事業主貸など。逆に「支出」になる勘定科目は、地代家賃・仕入・水道光熱費・通信費・給料賃金など全ての出費です。

 

そして、単式簿記では取引の「手段」の記録はしません。

手段というのは、現金のやりとりがあったのか、クレジットカードや売掛・買掛などで後払いになったのか、口座に振り込みをしたのか…などの支払い方法のことです。そのため、取引にかかった金額の出所はどこなのか、どこに入ったのかという情報はわかりません。

 

個人事業主や規模の小さい会社で、複雑な取引はなく現金の出入りさえわかればいいという場合は単式簿記でも十分です。

しかし大規模な会社では詳細な財務状況の把握が必要になるので、単式簿記が採用されることはほぼありません。

 

2.≪単式簿記のメリット・デメリット≫

それでは、単式簿記のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

(1)単式簿記のメリット

  • 簿記の知識がなくても記帳できる
  • 現金のプラス・マイナスがすぐにわかる
  • 作業工程数が複式簿記より少ない

 

まず、単式簿記の大きなメリットは簿記の知識がなくても記帳できること。

その取引が「収入」か「支出」なのかということは誰でも直感的にわかりますから、付け間違いも少ないです。家計簿をつける感覚で、誰でも帳簿付けができます。

確定申告も、白色申告なら単式簿記の帳簿付けで問題ないので、大きな控除枠が必要ない場合は手間が省けるでしょう。

 

また、単式簿記の帳簿は「収入-支出」というシンプルな計算で総計ができるので、収益がプラスかマイナスかということが一目でわかります。

詳細な経営状況の分析は必要なく、ざっくりプラスかマイナスかわかればいいという場合も単式簿記で十分ですね。

 

そして、単式簿記の場合は、複式簿記のように「貸借対照表」や「損益計算書」に発展させる必要がありません。

複式簿記が他の会計書類を作るための土台としての意味合いが強いのに比べ、単式簿記はそれだけで完結しているのです。

 

(2)単式簿記のデメリット

  • 経営状況が把握しづらい
  • 青色申告ができず、控除額が減る

 

単式簿記のデメリットは、記録しておける情報が少なく経営状況の把握がしづらいこと。ある程度規模が大きく、借入金や株式の配当、買掛金、売掛金など複雑な取引がある事業の帳簿付けは、単式簿記では無理でしょう。

 

また、確定申告で「青色申告」をするためには複式簿記での帳簿付けが義務付けられています。

10万円・65万円の青色申告控除など、青色申告は税制で優遇されるポイントがたくさん。単式簿記の帳簿ではこの優遇が受けられないので、納税額で損をしてしまう可能性があります。

 

3.≪単式簿記の書き方・記入例≫

先の例では不要な項目を省略しましたが、実際に単式簿記で記帳するときには以下の項目が必要です。

1つの取引ごとに、それぞれの項目を埋めて表を作っていくイメージです。

 

  • 日付
  • 収入or支出
  • 勘定科目
  • 金額
  • 摘要

 

記入例

◯月◯日 収入 借入金 100,000円 A銀行

△月△日 支出 電気代 10,000円 B電力

×月×日 収入 商品売上 50,000円 C株式会社

 

4.≪単式簿記の帳簿を作成する方法≫

単式簿記はノートに手書き・エクセル・会計ソフトなどで簡単に作成することができます。会計ソフトを使えば、最初から必要な項目や勘定科目のリストが用意されているので簡単です。

しかし、単式簿記にはあまり多くの項目は必要ないので、手書きやエクセルで1から作成してもそこまで手間はかかりません。

 

5.≪まとめ≫

単式簿記は簿記の知識がなくても作成しやすく、初心者におすすめの帳簿付けの方法です。収益のプラス・マイナスを一目で把握でき、確定申告も白色申告なら単式簿記の帳簿でできます。

 

ただし、事業が大きくなってくると詳細な経営状況は把握できず、複式簿記に切り替えざるを得ません

単式簿記の帳簿では青色申告もできないため、納税額で損をしてしまうというデメリットも把握しておきましょう。

カテゴリ:
2019/08/12 青色申告と白色申告の違いとは?【メリット・デメリットを解説】

確定申告とは、税務署に前年の所得額を申告して納税額を確定させる作業のことです。38万円を超える所得があれば個人・法人ともに行う必要がありますが、うっかり忘れてしまうと追徴課税が課せられることも。

今回は、確定申告の種類である「青色申告」「白色申告」について詳しく解説します。自分に適した確定申告の種類を知っておくことは、大幅な節税にも繋がりますよ。

 

 

1.≪確定申告における青色申告と白色申告の違いとは?≫

確定申告とは、その年にあった収入や控除額を税務署に申告し、納税すべき税額を決める手続きのことです。

 

(1)確定申告の種類

確定申告には青色申告(10万円控除・65万円控除)と白色申告があります。

青色申告と白色申告は、大まかに言うと必要になる帳簿の書き方と控除額が違います。

 

・青色申告(65万円控除):青色申告承認申請書が必要・複式簿記・特別控除65万円+基礎控除38万円

・青色申告(10万円控除):青色申告承認申請書が必要・簡易簿記・特別控除10万円+基礎控除38万円

・白色申告:事前の申請必要なし・簡易な記帳・基礎控除38万円のみ

 

また、青色申告をするのは事業所得を得ている人(個人事業主)や法人と不動産所得を得ている人のみ。

その他の人や、青色申告承認申請書を提出していない人・法人は白色申告を行います。

 

(2)誰が確定申告をする必要がある?

確定申告は個人・法人で38万円以上の所得があった人や、給与以外の収入が20万円以上あった人が行います。

 

・配当所得があった人

・不動産所得があった人

・事業所得があった人(個人事業主)

・給与所得があった人(2箇所以上から給与を得ている人や、職場で年末調整を受けていない人)

・退職所得があった人

・譲渡所得があった人

・山林所得があった人

・一時所得があった人

・雑所得があった人(年金、副業による所得などがあった人)

 

給与所得を1箇所のみから得ていて、所属している会社が年末調整を行なっている場合(一般的なサラリーマンなど)は確定申告する必要はありません。

ただし、給与に加えて副業などの所得があった場合や、住宅購入や寄付などをして控除を受ける場合にはサラリーマンも確定申告の必要があります。

 

(3)確定申告の提出時期・期間は

確定申告の提出期限は、毎年2月16日~3月15日。2月16日と3月15日に土曜日・日曜日が重なる場合には、それぞれ後ろ倒しになります。

 

2.≪青色申告と白色申告のメリット&デメリット≫

それでは、青色申告と白色申告の違いやメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

 

(1)青色申告のメリット

  • 青色申告特別控除
  • 純損失の繰越し控除
  • 青色専従者給与
  • 少額減価償却の特例
  • 家事按分

 

青色申告のメリットは全部でこの5つ。具体的にどのような利点があるのでしょうか。

 

  • 青色申告特別控除

青色申告の最大のメリットは、白色申告より控除額が大きいことです。「青色申告特別控除」といって、帳簿の付け方によって基礎控除に加えて「10万円」「65万円」の控除枠がもらえます。この控除があると、収入額のうち10万円・65万円が無条件に非課税ということになるので、大幅に所得税を節約できます。

 

  • 純損失の繰越し控除

青色申告では、事業が赤字となった場合、その赤字額を3年まで繰り越すことができます。例えば、1年目は100万円の赤字・2年目も100万円の赤字・3年目は200万円の黒字が出た場合、過去2年の赤字を繰り越して3年目の事業所得を0とすることができます。

1年ごとに税額を計算する白色申告では、3年目の200万円にそのまま課税されてしまうので、収入が年によって不安定な場合も青色申告にメリットがあります。

 

  • 青色専従者給与

青色申告は「専従者給与」でも優遇されています。白色申告の場合、家族など生計を同一にする従業員を雇っていた場合、専従者給与として差し引けるのは、配偶者86万円、その他の親族は50万円と決まっています。一方青色申告では、妥当性のある金額であれば専従者給与に上限が設けられていません。

ただし、このシステムを利用するためには、その年の3月15日までに税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。

 

  • 少額減価償却の特例

白色申告の場合、事業に必要な機材などの購入で、一括で減価償却できるのは10万円までです。10万円を超えた分は、耐用年数に応じて少しずつ経費として計上します。

青色申告ではこの一括減価償却が30万円まで可能。これを「少額減価償却の特例」と言います。一括で経費に算入できる額が大きくなるので課税所得が減り、納税額の調整が可能です。

 

  • 家事按分

自宅などで事業を行なっている場合、「家事按分」といって家賃や光熱費などの一部を経費として算入できるシステムがあります。家事按分自体は白色申告にも認められていますが、青色申告ではその範囲が異なります。

白色申告では家事関連の主な部分が業務に関わっていなければ認められませんが、青色申告では業務に必要なことが明白であれば経費に認められます。

 

(2)青色申告のデメリット

一方で、青色申告のデメリットはこの2つです。

 

  • 青色申告承認申請書が必要
  • 帳簿付けが複雑

 

  • 青色申告承認申請書が必要

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。年度の途中で開業した場合には、開業から2カ月以内に提出しなければならなりません。

そのため、確定申告直前に、いきなり「青色申告をしよう!」と思い立ってできるものではないのです。

 

  • 帳簿付けが複雑

青色申告の65万円控除を受けるためには、複式簿記で帳簿をつけなければいけません。手書きで複式簿記をつけるには、専門的な知識が必要ですし手間もかかります。

手間を減らすために会計ソフトを利用したり、税理士事務所に依頼したりするためにもコストがかかるというのがデメリットです。

 

(3)白色申告のメリット

白色申告のメリットは、記帳が簡単で手間が少ないことです。収支内訳書に売上や経費などを記入するだけの、シンプルな帳簿で申告が認められます。

青色申告のように事前申請等も必要がないので、節税よりも時間の節約を選びたい場合におすすめです。

 

(4)白色申告のデメリット

白色申告のデメリットは、以下の2つです。

 

  • 特別控除枠がない
  • 赤字を繰り越せない

 

  • 特別控除枠がない

白色申告で受けることができる控除は、どんな人も無条件で受けられる「基礎控除38万円」のみ。帳簿付けの手間は実質的に「青色申告10万円控除」と変わらないため、青色承認申請書を提出するだけで、追加で10万円の控除を受けることができます。

 

  • 赤字を繰り越せない

先の項目でも触れましたが、白色申告では青色申告とは違い赤字の繰り越しができません。そのため、赤字の年は青色・白色ともに非課税になりますが、黒字の年は過去の赤字で所得を打ち消せない白色申告の方が税額は重くなります。

業績が赤字と黒字を繰り返している場合には、青色申告の方が適しているのです。

 

3.≪個人の青色申告・白色申告について≫

それでは、個人が確定申告をする場合の流れについて、詳しく見ていきましょう。

 

(1)個人は「所得税」

個人が確定申告を行う目的は「所得税」の金額を算定するためです。ちなみに住民税も同じ所得額から計算されるので、「住民税」の金額もここで確定します。

 

(2)個人の青色申告・白色申告の流れ

個人が確定申告をする場合の流れは、以下の5ステップです。

 

  1. 青色申告の場合、「青色申告承認申請書」を提出する
  2. 請求書や領収書を保管しておく・帳簿をつけておく
  3. 確定申告書を入手する
  4. 確定申告書に記入する
  5. 確定申告書を提出する

 

  • 青色申告の場合、「青色申告承認申請書」を提出する

繰り返しになりますが、青色申告をするためには事前に申請が必要です。

また、個人で青色申告が認められるのは「個人事業主」のため、「開業届」を提出して事業主になる必要があります。

 

  • 請求書や領収書を保管しておく・帳簿をつけておく

確定申告には1年分の収支の証明が必要です。1月1日~12月31日までの収支を、それぞれの申告に必要な方法で記録し、その証明となる請求書・領収書を保管しておきましょう。

 

  • 確定申告書を入手する

確定申告書は税務署や市区町村役所の税務課で直接入手したり、税務署のホームページからダウンロードしたりできます。

 

  • 確定申告書に記入する

①住所・氏名などの基本情報を記入する

②所得金額を項目別に記入する

③控除額を項目別に記入する

  • 所得金額から控除額を差し引き、課税所得を算出する

④課税所得を元に納税額を計算し、記入する

 

⑤確定申告書を提出する

確定申告書の提出は、所轄の税務署の窓口に直接提出・郵送・e-Tax3つの方法で行えます。

提出時に必要な書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 収支内訳書(白色申告の場合)
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)
  • 医療費控除の明細書(医療費控除を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得があった場合)
  • 寄附金の受領証明(ふるさと納税等、寄付をした場合)

 

(3)青色申告向きなのはこんな人

青色申告に向いているのは、以下のような人です。

 

  • 個人事業主・不動産所得がある人・山林所得がある人
  • 特別控除を受けて節税したい人
  • 複式簿記で帳簿付けができる人
  • 年によって年収にばらつきがある人
  • 家族・親族を従業員として雇用している人
  • 自宅で仕事をしているなど家事按分で節税できる人

 

(4)白色申告向きなのはこんな人

  • サラリーマンなど、個人事業主以外の人
  • 給与所得や副業での所得など、青色申告できない所得がある人
  • 帳簿付けが手間だと感じる人

 

青色申告で申告できるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のみです。その他の「給与所得」「退職所得」「雑所得」などの収入があった場合には、青色申告はできません。

青色申告の方が白色申告よりメリット面が大きいので、基本的には青色申告できない所得があるかどうかが白色申告をするべき人の見分け方です。

 

4.≪会社の青色申告・白色申告について≫

最後に、会社が確定申告をする場合の流れについて見ていきます。

 

(1)会社は「法人税」

会社が確定申告をするのは「法人税」の納税額を確定するためです。法人の種類と規模によって適用される法人税率が異なるため、自社の法人税率を事前に把握しておきましょう。

 

(2)法人税申告の青色申告と白色申告の流れ

法人税申告の際の流れは、次の4ステップです。

 

  1. 決算の確定
  2. 税務調整をする
  3. 添付書類を用意する
  4. 法人税申告書を提出する

 

決算の確定

法人税の確定申告には、まず決算の確定が必要です。会計上のルールに従って、その年の収支や財務状況を整理します。

 

②税務調整をする

会計上の利益を税務上の利益に適応させるため、調整を行います。そして、法人税申告書の別表を使い、課税所得と法人税額を計算して記入します。

 

③添付書類を用意する

法人税の確定申告に必要な添付書類を準備します。

必要な書類は、以下の5つです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 勘定科目内訳書
  • 法人事業概況説明書

 

④法人税申告書を提出する

添付書類と法人税申告書を税務署に持参するか、郵送・e-Taxで提出します。

 

(3)便利な会計ソフト

法人であれば多くの場合税理士に確定申告を依頼しますが、そうではない場合は会計ソフトが便利です。必要項目を入力するだけで、帳簿付けや確定申告書の作成が自動で完了します。

税理士に丸投げするよりは手間や知識が必要になりますが、コストを大幅に節約することが可能です。

 

5.≪まとめ≫

青色申告には、10万円・65万円の特別控除枠をはじめとしたメリットがたくさん。白色申告にも帳簿付けが義務付けられたので、手間の面では青色申告もあまり大きな差がありません。

所得税・法人税を節税したい場合や、年によって所得にばらつきがある場合は、青色申告が断然有利です。

カテゴリ:
2019/07/24 確定申告書の種類・提出方法を解説!

確定申告の書類は種類が色々あって、毎年混乱してしまいますよね。また、普段は確定申告をしないサラリーマンの方も、特定の収入・出費があったときは確定申告をする必要があります。

今回は、確定申告のどの種類の書類が、どんなケースで必要になるのかを具体的に解説していきます。作成した書類の提出方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

 

1.≪確定申告の用紙の種類≫

確定申告の種類は大きく分けて2種類で、

 

・確定申告書A

・確定申告書B

 

があります。

 

さらに、特定の収入や支出があった時には

・申告書第三表

・申告書第四表

・申告書第五表

・住宅借入金特別控除額の計算明細書

・医療費の明細書

という添付書類も必要です。

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

(1)「確定申告書A」

確定申告書Aを使うのは、

・会社員・パート・アルバイトで勤務先からお給料をもらっている人

・老齢年金をもらっている人

・株の配当金をもらっている人

・生命保険の一時金をもらった人

などです。

 

  • 4つの所得に特化

確定申告書Aが対応している所得の種類は、

 

・給与所得:給与・俸給・賃金・賞与など

・雑所得:国民年金・厚生年金・恩給・確定給付企業年金・確定拠出年金・外国年金など

・配当所得:株式などの配当・投資信託の収益の配当など

・一時所得:生命保険の一時金・損害保険の満期払戻金・賞金・懸賞の当選金・ギャンブルの払戻金など

 

の4つのみです。

これ以外の所得がある人は、確定申告書Bを使います。

 

  • 年末調整を受けていない人などが使える

一般的に確定申告書Aを使うのは、会社員・アルバイト・パート、年金受給者などで年末調整を受けていない人です。一般的な会社では、年末調整が行われるため確定申告の必要はありません。

 

具体的に確定申告書Aが必要なケースとしては、

・アルバイトなどを掛け持ちしていて複数箇所から給与を得ている場合

・年末調整に算入されない一時所得があった場合

・公的年金の収入金額が、公的年金等控除+基礎控除の合計額(108〜158万円)を上回る場合

などが挙げられます。

 

  • 予定納税がある場合は使用不可

確定申告書Aは予定納税がある場合は使用できません。予定納税とは、前年の所得税が15万円以上だった場合に前払いで納める税金のことです。

 

(2)「確定申告書B」

確定申告書Bは、確定申告書Aよりも項目が多く、多様な所得に対応している確定申告書です。

・アパートやマンションの経営をしている人

・フリーランスで仕事をしている人

・自営業者

などが確定申告書Bを使用します。

 

  • 10種類すべての所得に対応

確定申告書Bは、全ての所得の区分に対応しています。区分は以下の10種類です。

 

・給与所得:給与・俸給・賃金・賞与など

・雑所得:国民年金・厚生年金・恩給・確定給付企業年金・確定拠出年金・外国年金など

・配当所得:株式などの配当・投資信託の収益の配当など

・一時所得:生命保険の一時金・損害保険の満期払戻金・賞金・懸賞の当選金・ギャンブルの払戻金など

・利子所得:公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配など

・不動産所得:不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得

・事業所得:商業・工業・農業・漁業・自由業など、事業から生じる所得

・退職所得:退職金など

・山林所得:5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得

・譲渡所得:資産を売却して得た所得

 

参考:金融広報中央委員会 知るぽると

 

  • 給与所得・雑所得・配当所得・一時所得だけでもok

確定申告書Aに対応している給与所得・雑所得・配当所得・一時所得しかない人も、確定申告書Bを使用することが可能です。記入できる項目は確定申告書Bの方が多いですが、確定申告書Aを使える人はその部分が空欄になるだけです。

確定申告書Bが正式なバージョン、確定申告書Aは簡易バージョンと考えるとわかりやすいですね。

 

  • 退職金を貰った人や個人事業主、誰でも使える

確定申告書Bは、確定申告書Aに記載できない所得がある人全てが使えます。

例えば、

・退職金をもらった人

・個人事業主やフリーランスで仕事をしている人

・不動産収入を得ている人

など、給与所得以外で生活している人が主に該当します。

 

  • 青色・分離・国出・損失・修正とは

確定申告書Bには、氏名や住所を書く欄の下に「種類」という項目があります。青色・分離・国出・損失・修正と種類が並んでいて丸をつけるようになっていますが、これらは以下のような意味を持っています。

 

・青色:青色申告(個人事業主向けの、特別控除が受けられる申告方法)を行う人

・分離:分離課税(特定の所得をほかと分けて計算する申告方法)を行う人

・国出:国外転出時課税制度が適用となる人

・損失:損失申告を行う人

・修正:一度確定申告したあと、修正があり再度提出する人

 

当てはまるもの全てに丸をつけ、確定申告を行います。なお、一つも当てはまらなければ何も書かなくてOKです。

 

(3)(確定申告書Bに添付する)「申告書第三表(分離課税用)」

特定の取引収入があった場合は、確定申告書Bに「申告書第三表(分離課税用)」を添付する必要があります。

 

  • 土地・建物や株式の譲渡、先物取引、FX取引がある人

申告書第三表を使うのは、

・土地・建物の譲渡

・株式などの譲渡

・FX取引や先物取引

などを行った人です。

 

これらの所得は、他の所得と切り離して特定の税率をかける「分離課税」に該当するためです。もし、普段は給与所得のみで生活していても、不動産や株式を売って収入を得たり、FXや先物取引で一定以上の利益を出したりした時には、確定申告Bと申告書第三表が必要になります。

 

(4)「申告書第四表(損失申告用)」

申告書第四表が必要になるのは、以下のようなケースです。

 

・事業やで赤字が出た場合

・株式や不動産、FXなどの取引で赤字が出た場合

・生活に必要な資産が災害・盗難・横領などの被害を受けた場合

 

これらの損失を申告すると、その金額を翌年以降の所得から差し引くことができ、結果的に支払う税金の額が軽減されます。

 

(5)「申告書第四表(損失申告用)付表 東日本大震災の被災者の方用」

損失の中でも、東日本大震災によって資産が被害を受けた場合であれば、申告書第四表に加えてこの付表を記入し提出します。

 

(6)「申告書第五表(修正申告用)」

一度提出した確定申告書に間違いがあり、修正したい場合は「申告書第五表」を用います。

修正申告は必ず追加で税金を納入しなければいけないので、納税者にとって得な手続きではありません。しかし、間違った申告を放っておくと、延滞税やその他の罰金を支払うことになる恐れがあります。そのため、確定申告の内容に間違いが見つかった場合は、なるべく速やかに修正申告をして是正しましょう。

 

(7)「住宅借入金特別控除額の計算明細書」

「住宅借入金特別控除額の計算明細書」は、住宅を購入するためにローンを組んだ人が使用する書類です。

 

  • 住宅ローン控除を受けるための書類

住宅ローン控除とは、住宅ローン残高に合わせて最大40万円(認定長期優良住宅等の場合は最大50万円)の控除を受けられる仕組みのことです。最大10年、計400〜500万円の控除を受けられるお得な制度なので、ローンを組んで住宅を購入した場合は申告しないと絶対に損です。通常、「住宅借入金特別控除額の計算明細書」は住宅ローンを組んだ金融機関から送付されてきます。

 

  • 「確定申告書A/B」に加えて作成するもの

住宅借入金特別控除額の計算明細書は、この1枚だけでは提出できません。

・サラリーマンなど給与収入を得ている人:確定申告書A

・自営業者などその他の収入を得ている人:確定申告書B

と一緒に作成し、提出します。

 

  • 会社員は1年目だけ確定申告 2年目以降は年末調整

会社員の場合、住宅ローン控除のために確定申告が必要なのは最初の1年目のみです。残りの年数分は、会社に「控除証明書」を提出すると年末調整に算入されます。

 

(8)「医療費の明細書」

1年間で10万円以上の医療費を支払った場合、「医療費の明細書」を確定申告書に添付すると、医療費控除を受けられます。

 

  • 医療費控除を受けるための書類

自分や自分が養っている家族の医療費が年間で合計10万円以上かかった時は、医療費控除を受けるために「医療費の明細書」を作成します。

ここでいう医療費には、以下のものが含まれます。

 

・医師に支払った診療費や治療費

・治療や療養に必要な医薬品の購入(風邪を引いた際の薬代等)

・あん摩マッサージ、はり師、きゅう師、柔道整復師に支払った代金

・出産費用

・市販の医薬品

・手術代金(一部例外あり)

・通院や入院のための交通費

 

  • 「確定申告書A/B」に加えて作成するもの

住宅借入金特別控除額の計算明細書と同じく、医療費の明細書はこの1枚だけでは提出できません。

・サラリーマンなど給与収入を得ている人:確定申告書A

・自営業者などその他の収入を得ている人:確定申告書B

と一緒に作成し、提出します。

 

2.≪白色申告と青色申告とは≫

個人事業主の確定申告方法には、

・白色申告

・青色申告

の2種類があります。

 

(1)申告方法の種類

白色申告と青色申告の違いは、以下の通りです。

 

・白色申告:届出不要、簡単な帳簿で提出できるが、節税効果は低い

・青色申告:白色申告より控除額が大きく、節税効果が高いが、複式帳簿が必要となる

 

(2)白色申告とは

白色申告、青色申告の申請書を提出していない事業者が行う確定申告の方法です。

 

  • 届出は不要

白色申告は届出不要で誰でもできる確定申告の方法です。手軽にできる分、控除枠や税制上の優遇措置は用意されていません。

 

  • 単式簿記でOK 比較的手間のかからない申告方法

2014年以前は、白色申告を行うのであれば帳簿付けは義務ではありませんでした。その後白色申告も記帳が義務付けられましたが、青色申告で使う複式帳簿ではなく単式帳簿でもOKとなっています。帳簿付けの手間が少なく、簿記の知識がなくてもできる申告方法です。

 

  • フリーランス収入の少ない人や経費の少ない人におすすめ

白色申告は、比較的収入の少ない人や、あまり経費がかからない人におすすめです。

そもそも収入や経費が多くなければ大きな控除枠は必要ないので、手間のかからない白色申告の方が時間の節約になります。

 

(3)青色申告とは

帳簿付けの手間はかかりますが、青色申告は税制上で優遇されることが多く、ある程度収入がある個人事業主におすすめの方法です。

 

  • 複式簿記で手間はかかるが特別控除が受けられるメリット

青色申告を行うには、複式簿記で記帳した帳簿が必要です。帳簿付けに手間はかかりますが、その分「10万円」または「65万円」の控除が無条件で受けられるというメリットがあります。

 

  • フリーランス収入が多く、節税したい人におすすめ

青色申告がおすすめなのは、ある程度フリーランスで収入があり、節税をしたい人です。

具体的には、所得税率が一気に上がる330万円以上の所得がある人は青色申告の方がお得になります。

 

  • 「青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要がある

青色申告を行うためには、「青色申告承認申請書」を提出しなければいけません。これにより税務署の承認を得て、青色申告をする権利を得られます。

ただし、承認といっても提出内容に不備や問題がない限り、税務署から特に連絡がくることはありません。

 

  • 新規開業時の申告期限

新規事業を開始した初年度から青色申告をしたい場合、開業日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

 

  • 白色申告からの申告期限

すでに白色申告を行なっていて青色申告に切り替えたい場合、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。

 

3.≪確定申告書を提出するには?≫

確定申告書を提出するには、

・WEB(e-Tax)

・税務署へ持参する

・税務署へ郵送する

の3つの方法があります。

 

(1)WEB(e-Tax)で提出可能

WEB(e-Tax)で確定申告書を提出する方法は、ペーパーレスかつ税務署に出向かなくて済むため手軽です。ただし、e-Taxを使用するためには、「電子申告等開始届出書」の提出やICカードリーダライタの購入などの事前準備が必要となります。

 

(2)税務署へ持参する

記入した確定申告書を税務署の窓口に直接持参することもできます。書き方がわからない人向けに相談会なども行われているので、確定申告初心者におすすめの方法です。

ただし、平日の日中しか税務署は開いていない上、確定申告の時期は窓口が混み合うため、提出に時間がかかります。

 

(3)税務署へ郵送する

封筒さえ準備すればいいため、郵送は手軽な提出方法です。提出用封筒と控えを受け取るための返信用封筒を用意し、所轄の税務署の住所へ送ります。

ただし、郵送に日数がかかるのと、もし不備があった場合は返送・再送が必要になるため、期日まで余裕を持って行うのがおすすめです。

 

4.≪まとめ≫

確定申告書の種類は2種類、添付書類には6種類があります。どれが必要なものなのかは自分で判断しなければいけないので、今回の記事を参考に選んでみてください。

また、個人事業主の場合は、白色申告・青色申告からも種類を選ぶ必要があります。青色申告に切り替えるのは、所得330万円をボーダーラインにするのがおすすめです。

カテゴリ:
2019/04/16 確定申告を郵送するための注意点まとめ

確定申告は、郵送でも提出できるのをご存知ですか?

しかし、いざ確定申告を郵送しようと思っても、意外と宛名や封筒のサイズなどの細かいポイントがわからないものです。「どんな書類が必要かわからない」「控えを受け取る方法は?」など、疑問がある方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな方のために、確定申告を郵送で行う方法を解説していきます。

 

1. ≪実は確定申告は郵送でもできる?≫

確定申告の書類は、郵送でも提出できます。郵送すれば、わざわざ税務署まで足を運んだり、確定申告時期の長い行列に並んだりする必要がなくなるため、とても便利ですよね。

 

しかし、いざ確定申告を郵送しようと思うと、宛名や封筒のサイズ、必要な書類など、わからないことが多い方も多いのではないでしょうか。

郵送での提出には直接持参するより日数がかかるので、直前になって焦ることがないように知っておきたいところですよね。

 

2.≪確定申告を郵送するメリット・デメリット≫

確定申告を郵送するメリットは、直接税務署へ行かなくてもいいということです。

基本的に、税務署は平日の昼間しか窓口が開いていませんし、確定申告の時期は人が殺到して長い待ち時間がかかることもあります。平日は忙しくて税務署に行けない方や、待ち時間がもったいないという方は郵送を利用するのが便利です。

また、税務署に行くための交通費よりも郵送料金の方が安い場合が多いので、節約をしたい方にもおすすめです。

 

一方で確定申告を郵送するデメリットは、税務署で書類の書き方などを尋ねることができないため、自分で確定申告のやり方を学ばなければいけないということです。

また、書類や封筒の宛名に不備があった場合、訂正や再提出に手間がかかります。書類が送り返されたり、再度郵送したりするのにも日数がかかるので、確定申告の郵送は期限より早めに送っておきましょう。

 

3.≪確定申告を郵送で行う場合の必要書類≫

確定申告を郵送で行う場合は、以下の書類が必要です。

 

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • 生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書
  • 国民年金控除証明書
  • 医療費控除の明細書
  • 返信用封筒

 

特に返信用封筒は忘れてしまいやすいですが、確定申告書の控えを返送してもらうために必要なので注意しましょう。宛名に自分の住所と名前を記入し、切手も忘れず貼り付けて同封してください。

なお、源泉徴収票は控えやコピーではなく、原本を提出することが義務付けられています。

 

4.≪確定申告を郵送する際のよくある質問≫

確定申告を郵送する時に、よくある質問に答えていきます。疑問を解消して、不備がないように書類を郵送しましょう。

 

(1)普通郵便で大丈夫なの?

確定申告は「信書」という扱いになるので、ゆうパックや各運送会社のサービスでは送ることができません。

確定申告を郵送する場合は、普通郵便で送ります。普通の手紙と同じように、封筒に宛名を書いて切手を貼り、ポストに入れれば送ることができます。

封筒の宛名面に「信書便物」「確定申告書類等在中」などと記載すると親切です。

ちなみに、確定申告が受理された後の控えも、普通郵便で届けられます。

 

(2)封筒の大きさは決まっている?

確定申告を郵送するための封筒の大きさは、特に決まっていません。確定申告の書類はA4サイズなので、その書類が入るサイズなら大丈夫です。また、小さな封筒に、書類を折って入れても問題ありません。

ちなみに、A4サイズの書類を折らずにちょうど入れられる封筒のサイズは「角形2号」です。

 

控えを受け取るために同封する返信用封筒も、サイズは特に決まっていません。送付するときの封筒と同じものを折って入れてもいいですし、サイズの小さいものを入れてもいいでしょう。

間違いなく控えを受け取れるように、自分の名前と住所をあらかじめ記載し、切手を貼って同封しましょう。

 

(3)送り先・宛名はどこ?

確定申告を郵送する場合、宛名は「納税地(住所地・居所地・事業所等の所在地)の管轄税務署」となります。直接出向いて確定申告を提出する場合と、同じ税務署に郵送します。

宛名に記載する税務署の住所は国税庁のホームーページから調べられます。

 

また、宛名を書く時には、住所を書いた後「◯◯税務署 御中」と書きましょう。特定の担当者宛に送付するわけではないので、敬称は「御中」になります。

重要書類なので、裏面にはしっかり自分の住所と名前も書いておきましょう。

 

(4)郵送の場合提出日はいつになる?

確定申告の通常の提出期限は、毎年3月15日です。

曜日の関係で前後することもありますが、郵送で提出する場合にはこの期限日の消印が有効になります。郵送の場合は、宛名の不備で返送されるなどすると届くまでに日数がかかってしまう可能性もあるので、期限に関わらず早めに提出するのがおすすめです。

ただし、還付金が発生する場合や、その年の事業が赤字だった場合など納税額が発生しない場合には、期限より後の消印でも受け付けてもらえます。

 

5.≪その他の税務署へ行かずに確定申告をする方法≫

郵送以外に、税務署へ行かずに確定申告する方法はあるのでしょうか。自分が出向けないときや、時間がないときなどにできる2つの方法をご紹介します。

 

(1)代理人に提出してもらう

確定申告は、本人ではなく代理人に提出してもらうこともできますが、ただ誰にでも頼めるという訳ではありません。

まず、確定申告の書類を代理で作成し、提出できるのは本人か税理士のみです。有償か無償かは関係なく、本人以外で確定申告の書類を作成できるのは税理士のみと決まっているので、どんなに時間がなくても素人に書類作成の依頼はやめておきましょう。

 

本人が作成した書類を、税務署に提出するだけなら税理士以外でも問題ありません。配偶者など近しい家族や親族なら「代理で持参した」という旨だけ窓口で伝えれば不受理になることはまずないでしょう。念のため、代理人が本人と血縁関係や婚姻関係にあることがわかる書類などを持参すると安心です。

 

家族以外の友人や知人に代理人を頼むのは、おすすめできません。

確定申告は重要な手続きのため、いくら親しくても友人・知人に頼むのは違和感があります。詐称を疑われるなどトラブルに巻き込まれ、友人や知人に迷惑をかけてしまうこともあるため、代理を頼むなら家族にお願いするのが無難です。

 

また、代理人に提出をお願いすると、代理人がその場で確定申告の控えを受け取ることになります。確定申告の控えは、ローンを組むときや奨学金の申請、保育園の入園手続きなどに必要になります。提出だけ頼んで安心せず、受理された後には控えを渡してもらうのを忘れないようにしましょう。

 

(2)e-Taxを利用する

もう一つ、直接税務署に行かずに確定申告ができる方法が、e-Taxです。

e-Taxは事前の準備や登録が必要ですが、利用できる環境が整っていればPC上のみで確定申告書類の作成・提出が行えます。郵送より時間も切手や封筒代もかからず、手軽な提出方法といえます。

e-Taxでの提出なら控えもメールで送付されてくるため、紛失する心配がありません。毎年必ず確定申告をする個人事業主の方は、e-Taxを使えるようにしておくと便利です。

 

6.≪まとめ≫

確定申告を郵送するには、基本的には窓口で提出するのと同じ書類を全て揃え、普通郵便扱いでポストに投函するだけです。

不備があると訂正に手間がかかるため、確定申告を郵送するときはなるべく間違いがないようによく確認してください。スムーズに郵送で確定申告をしてみましょう。

« 以前の記事をもっと見る