東京・大阪経理代行サポートセンターPowered by スタートパートナーズ会計事務所

012-345-6789 受付時間:XX:00~YY:00(平日)

トップへ戻る 経理代行診断 メールで相談 トップへ戻る

2020/05/15 個人事業の起業には何が必要?リスクを減らして成功させるコツ

会社から独立したり、副業として個人起業したりする人が増えています。

個人起業をすれば誰でも経営者になることができて、収入がアップする・社会的信用が上がるなどというメリットがあります。

 

しかし当然、個人事業の起業にはリスクがつきものです。

今回は、そんな個人事業の起業のリスクを減らし、成功の可能性を高めるコツや、必要な知識やスキルについてご紹介していきます。

 

1.≪個人起業のために必要なもの≫

個人起業とは、その名の通り1人で会社を設立することです。

経営の責任を自分ひとりで負わなければいけないので、個人起業には様々な知識や準備が必要です。

 

(1)知識

個人事業の起業に必要なのは、まずビジネス・お金・社会保険に関する知識です。

個人事業主としての起業は失敗すれば多額の損失が出る大きな賭けなので、知識をきちんと蓄えてロジカルに経営する必要があります。

 

ビジネスに関する知識

良い事業のアイデアが思いついたら、何の根拠もなく「うまくいくに違いない」と思い込んでしまいがち。

業界や経営に関するビジネスの知識がないと、その目論見がまったく的外れということもあります。

 

ビジネスの知識といっても幅広いですが、事業計画を練ったり、安定した経営をしたりするためには、以下のような知識が役立ちます。

 

・起業する業界の知識(業界動向・顧客の志向など)

・マーケティング知識(商品作り・集客の仕組み・値決めなど)

・人を動かすための知識(プレゼン能力・コミュニケーション能力など)

・経営に関する知識(資金調達・財務・経理など)

・法律に関する知識(会社法・労働基準法・安全衛生法など)

 

お金に関する知識

個人事業の起業をするためには、お金に関する知識が不可欠です。

例えば、以下のような知識がないと、お金の出入りがどんぶり勘定になり、経営状況を的確に分析できません。

 

・資金繰り(キャッシュフロー)の知識

・資金調達のやり方・適切な借入額

・決算書の作り方・分析方法

・税申告のやり方、計算方法

・会計業務のやり方

 

お金に関する知識や実務については、顧問税理士に相談したり、専門知識を持つ経理スタッフを雇ったりすることも可能です。

しかし、それにもコストがかかるので、経営者自らお金の知識を持っておくに越したことはありません。

 

社会保険に関する知識

自分ひとりで事業を行うなら、個人事業主という方法もあります。

 

個人事業主と会社設立で異なるのは、社会保険への加入が義務になっている点です。

大きな会社では、保険関係の手続きは社労士が行うのが一般的ですが、個人事業の場合は経営者が責任を持って加入手続きや保険料の納付をしなければいけません。

 

(2)資本

個人事業主として起業をするには、もちろん先立つものが必要です。

起業の際に用意しておくお金を「資本金」と呼び、だいたい100~300万円ほど用意する人が多いです。

資本金に余裕があればあるほど、経営を維持しやすくなります。

 

起業前に必要な費用

個人ではなく、法人として会社設立する場合、起業前に必要となる費用には、以下のものがあります。

 

会社設立費用:合計25~30万円程度(株式会社の場合)

・定款認証手数料:5万円

・謄本作成費用:約2,000円

・登録免許税:15万円

・収入印紙代:4万円

・会社印鑑:1~2万円

・雑費(交通費・証明書発行費用など):約5,000円

 

この他に、打ち合わせを行う場所代や飲食代、手続きを専門家に依頼する場合はその報酬などがかかることもあります。

ちなみに、この会社設立費用は、会社設立後に使う資本金とは別に用意しておきます。

 

起業後に必要な費用

起業をしたら、事業を始めるための開業費と、経営を続けていくための運営費が必要になります。

ここでかかる費用は、事業内容や開業する地域、人を雇うかどうか、クオリティにどの程度こだわるかなどでかなりばらつきがあります。

 

開業費・運営費それぞれの項目に、自分の場合の金額を置き換えて考えてみましょう。

 

開業費に含まれる主な費用

・広告費

・名刺作成費

・事務所や店舗の敷金・礼金・初月家賃

・設備・備品購入費

・内装工事費

・求人費

など

 

運営費に含まれる主な費用

・事務所や店舗の家賃

・水道光熱費

・通信費

・設備・備品購入費

・人件費

・保険料

・支払い利子

など

 

ちなみに、資本金額の目安は「開業費+6ヵ月分の運営費」と言われています。

 

(3)しっかりとした事業計画

事業計画は個人事業主として起業する上で要となります。

「こうすればうまくいきそう」という予測だけではなく、業界や顧客の分析、試行調査を行い、データを元にして理論的に考えましょう。

 

事業計画書は、起業の際の資金調達にも大きく影響を及ぼします。

良いアイデアが浮かんだからといってすぐ起業せず、しっかりと内容を練って実現可能なプランを作るのが大切です。

 

(4)家族の理解

個人事業主として起業をするときに無視してはいけないのが、家族の理解です。

大黒柱の場合、万が一事業に失敗すると、家族に苦しい生活を強いるリスクがあります。

うまくいった場合も、起業直後は気持ちや時間に余裕がなかったり、収入に波があったりして、どこかで我慢させてしまう可能性が高いです。

 

個人事業主として起業した場合、実務面で家族のサポートが必要だったり、資本金が足りず家族からお金を借りたりすることもあるでしょう。

そのため、まず家族の理解を得ることが、個人起業をする上でもっとも大切です。

 

2.≪個人起業を成功させるコツ≫

それでは、個人起業を成功させるためのコツを見ていきましょう。

 

(1)起業の「4つのコツ」

上手くいく起業の4つのコツとは、

利益率が高い

小資本で始められる

在庫を持たない

定期的に売上が立つ(月額課金)

ということです。

 

これらの条件だとなぜ成功しやすいのか、また条件を満たしやすい事業内容について解説していきます。

 

利益率が高い

利益率が高ければ、それだけ経営に余裕が出るということは、誰にでも想像できることです。

しかし、商品やサービスの価格を上げすぎると買い手がつかないので、他者と競争できる料金のまま、いかに原価を下げるかというのが鍵になります。

 

そのため、独自の仕入れルートがあったり、元手がかからない自分のスキルを高く売ったりできるととても有利です。

例えば、前職でのコネを活かせる仕事や、自分のスキルを売るデザイナー、エンジニア、プログラマーなどの仕事は個人起業でも成功しやすいでしょう。

 

小資本で始められる

大掛かりな設備がいらず、小資本で始められる仕事なら、失敗した時のリスクが少ないです。

例えば、PC一台で始められるIT企業などは、個人事業主の起業にとても適しています。

反対に、高額な機械や大きな倉庫が必要な、製造業や卸売業といった業種は、個人事業主の起業には向いていません。

 

在庫を持たない

買い手がつかなければ、在庫はただの負債です。

どんなものでも一気に仕入れれば安いですが、売れるとは限らない在庫を抱えてしまうのはリスクになります。

 

商品が古くなればさらに売れにくくなるので値下げを検討しなければいけませんし、在庫を保管する場所にもコストがかかるので、利益率が下がる原因になります。

個人事業主で起業をした直後は仕入れを制限し、確実に売り切れる量から扱うのが良いでしょう。

 

定期的に売上が立つ

定期的に売上が立てば、毎月の利益を確保できて経営の見通しが立ちやすくなります。

例えば、個人相手の商売の場合、いつ商品を買いたくなるかは顧客次第なので、定期的な売上が見込めません。

しかし、販売する相手が企業であれば、毎月の消費量や予算がある程度決まっているので、定期的に売上を確保することができます。

 

また、一度買ったらしばらく買わない物より、定期的に買い替えが必要なものの方が売上は立ちやすいです。

サービスの場合は、月額で利用できる「サブスクリプション」も、毎月の売上を確保する方法です。

いかに定期的に売上を立てるかを考えることが、個人起業の鍵となります。

 

(2)個人起業が成功しやすい業種は?

個人事業主の起業が成功しやすい業種は、上記の4つの条件をなるべく満たせる業種です。

 

例えば、以下のような業種が当てはまります。

元手が少なくても始められる業種(IT、サービス、コンサルティング、コーチングなど)

自分のスキルを活かせる業種(デザイナー、エンジニア、音楽制作、理美容師など)

 

また、以下のようなビジネスモデルを取り入れることで、既存の業種を個人事業主の起業で成功させることも可能です。

・在庫を抱えすぎない仕組み(レンタル、受注生産など)

・定期的な売上が立つ販路(BtoB、CtoB、サブスクリプションなど)

 

3.≪起業するなら個人事業主と会社設立どちらがいい?≫

個人事業主と会社設立には、どちらにもメリットとデメリットがあります。

個人で事業を行う際、会社設立がおすすめなのは以下のような人です。

 

・将来的に事業を大きくしたり、継承したりしたい

売上が大きく、会社を設立した方が節税できる

・すでに個人事業主として軌道に乗っている

 

逆に、個人事業主が向いているのは以下のような人です。

事業を大きくしたり、継承したりする予定はない

会社設立でかかるコストより、所得税の方が得

法律や他者からの制約を受けず、自由に経営したい

 

会社設立のメリットについてもっと詳しく知りたい方は、「会社設立のメリットとは?個人事業主とどちらが得か見極めるポイント」をお読みください。

 

4.≪個人事業主として起業する時の注意点≫

個人事業主として起業する場合、事業から得た収入に関しては、自分で確定申告を行う必要があります。

会社を設立する場合には、法人税の申告手続きが必要です。

税申告を怠ると、追徴課税などの罰則が課せられる場合があるので、注意してください。

 

また、現在会社勤めをしていて副業禁止の場合、個人で起業したことが知られてしまうと、最悪クビになる可能性もあります。

会社勤めをしながら個人起業をする際は、まず会社の就業規則を調べ、規則の範囲内で行うようにしましょう。

 

5.≪まとめ≫

個人事業主が起業する場合は誰でも経営者になることができ、収入アップが見込めるということもあって、起業する人が増えています。

 

しかし、安易に始めてしまうと、知識や経験、計画が不十分などの理由で失敗してしまうリスクもあります。

資本金1円、取締役1人からの会社設立が可能になっていますが、事業内容や資金繰りはよく検討し、リスクを排除していくことが大切です。

2020/03/12 会社設立にかかる費用は?最低金額・内訳を解説

会社設立の費用は、設立したい会社の種類によって異なります。

現在、設立できる会社の種類は「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類。

ただし、実際に設立される会社の数は株式会社・合同会社の2種類が圧倒的に多いです。

 

今回は、その株式会社・合同会社の設立に関する費用について解説していきます。

 

1.≪株式会社設立の費用≫

それではまず、株式会社の設立にかかる費用を解説していきます。

株式会社の設立には、定款の認証・登記という手続きが必要となり、合同会社よりも設立費用が高くなります。

 

(1)必要な法定費用は242,000円

株式会社設立の手続きにかかる費用は、資本金・雑費を除くと24万2,000円。

その内訳は、以下のようになっています。

 

定款認証手数料:5万円

収入印紙代:4万円

定款の謄本手数料:2,000円

登録免許税:15万円

 

これらを合計すると、上記の24万2,000円という金額になります。

これは会社設立の手続きに必ず必要になるものです。相場などによる変動や、安くする方法はありません。

 

ただし、収入印紙代の4万円については、電子定款で会社を設立する場合にはかかりません。

電子定款を選択すると、紙媒体の定款自体が存在しないので、定款に印紙を貼り付ける必要がなくなるためです。

そのため、電子定款で株式会社を設立する場合、費用の合計は20万2,000円となります。

 

(2)その他にかかる雑費

株式会社設立の手続きを行うためには、必要な書類や印鑑の作成費用がかかります。

手続きにあたってかかる雑費の相場は、全て合わせて1万円ほど。

その内訳は、以下のようになります。

 

実印作成費(4本分):約5,000円~

印鑑登録の費用:約300円

印鑑証明書の発行費:約450円×必要枚数

登記簿謄本の発行費:約500円×必要枚数

 

雑費の中でもっとも大きな出費となるのが、実印作成費。

会社を設立する手続きには、「会社実印(代表社印)」「会社銀行印」「角印(社印)」「住所印(ゴム印)」という4種類の印鑑が必要となります。

安くても1本1,000円以上はかかるので、合計5,000円ほどは見込んでおいた方がいいでしょう。クオリティにこだわると、もっと費用がかかります。

 

印鑑証明や登記簿謄本の発行費は、自治体によって金額が異なるので、上記の金額は目安程度と思っておいてください。

 

(3)資本金はいくらにすべき?

株式会社の設立には資本金が必要です。

2006年に新会社法が施行されてからは、資本金1円からでも会社設立が可能になりました。

しかし、安易に資本金1円で起業してしまうと、様々なデメリットがあります。

 

資本金とは、端的にいうと会社の運転資金なので、これが少なすぎると経営を維持する力が弱いということになります。

金融機関や取引先から「すぐに倒産するのでは?」と思われてしまうと、資金調達や販路拡大が難しくなってしまうのです。

株式会社の資本金は、業種にもよりますが100~1,000万円くらいが相場となっています。可能な限りで、できるだけ多く資本金を集めた方が、設立後の事業がやりやすくなるでしょう。

 

ただし、多ければ多いほど良いというわけではありません。

なぜなら、先にご紹介した登録免許税は、資本金が2,140万円以上になると15万円より高くなるためです。

登録免許税の金額は、正式には「15万円、または資本金の0.7%(資本金の0.7%が15万円を上回る場合)」となっています。

「資本金の0.7%=15万円」となるのが2,140万円なので、これを超えると手続きにかかる法定費用が高くなるということは知っておきましょう。

 

2.≪合同会社設立の費用≫

次に、合同会社を設立するための費用について解説していきます。

合同会社の場合、手続きのステップが少なく、登録免許税も株式会社より安いので、設立費用を抑えることができます。

 

(1)必要な法定費用は10万円

合同会社設立の手続きに必要な費用は、10万円です。

こちらも、国に支払う法定費用なので、相場による変動や安い金額に抑える方法はありません。

費用の内訳は、以下のようになっています。

 

収入印紙代:4万円

登録免許税:6万円

 

合同会社を設立する場合、株式会社で必要な定款の認証という手続きが不要です。

そのため、定款認証手数料や、認証に必要な謄本の作成費用は必要ありません。

 

株式会社の場合と同様、電子定款の場合は収入印紙代の4万円も不要となります。

ですから、合同会社設立に最低限必要な費用は、登録免許税の6万円のみです。

 

資本金の0.7%が6万円を超える場合には、登録免許税はそちらの金額になります。

つまり、資本金が8,571,428円を超えると法定費用が高くなるということは覚えておきましょう。

 

(2)その他の雑費は株式会社とほぼ同じ

法定費用以外にかかる雑費の相場は、株式会社とほぼ同じで合計1万円程度です。

 

実印作成費(4本分):約5,000円~

印鑑登録の費用:約300円

印鑑証明書の発行費:約450円×必要枚数

登記簿謄本の発行費:約500円×必要枚数

 

そのため、合同会社設立にかかる費用の合計は、最低7万円ほど。

株式会社設立にかかる費用の1/3以下なので、とにかく安い方法を選びたい方には合同会社設立がおすすめです。

 

(3)資本金はいくらにすべき?

合同会社の資本金は、株式会社の場合と同じく最低1円でもOKです。

しかし、こちらも株式会社の場合と同じく、資金調達や販路拡大が難しいというデメリットがあります。

 

合同会社の資本金の相場は、50~300万円ほどです。

具体的には、「事業の準備にかかる資金+3~6ヶ月分の運転資金」を計算して、適切な金額を考えましょう。

ただし、先にもお伝えしましたが、資本金857万円を超えると登録免許税が高くなるということは知っておいてください。

 

3≪会社設立の費用を安くする方法≫

会社設立の費用を安くする方法は、あまり多くありません。

ここまでも何度かお伝えしてきましたが、会社設立の手続きにかかる費用は国に支払う法定費用のためです。

 

唯一削れるのは、定款に貼る収入印紙代の4万円。定款を紙ではなく電子定款にすれば、収入印紙代を支払わずに済みます。

ただし、電子定款は誰でも無料で作成できるわけではありません。

 

まず、電子定款はPDFで作成し、その中に電子署名を挿入する必要があります。

PDFデータ自体はフリーソフトでも簡単に作ることができますが、電子署名を挿入するにはAdobe Acrobatなどの専門ソフトを使わなければいけません。

このAdobe Acrobatの購入には、3万円ほどの費用がかかります。

 

また、電子署名を作成するには、あらかじめ電子証明書の交付を受けておく必要があります。

電子証明書の交付を受けるために、マイナンバーカードを読み取るカードリーダーを用意しなければいけません。

カードリーダーの価格は2,000円ほどなので、電子定款を作成する費用相場は32,000円程度と思っておきましょう。

 

ちなみに電子定款は、税理士や司法書士に作成を依頼することも可能です。

この場合、ソフトやカードリーダー代を節約できる代わりに、報酬として5,000円ほどがかかります。

そのため、もっとも法定費用が安いのは、「電子定款+作成を外注」という方法です。

 

4.≪会社設立費用を経費として計上するには≫

会社設立にかかった費用は、開業前のものも含めて会社の経費にすることが可能です。

設立時の費用は、「創立費」と「開業費」の2種類に分けて経費に計上します。

 

創立費:設立の準備にかかった費用(設立手続きに必要な書類の作成費用、登録免許税など)

開業費:設立後の開業準備段階に費用(調査費用、事前広告費、打ち合わせにかかった飲食代など)

 

ただし、会社設立後も経常的にかかっていく費用については、創立費または開業費として経費計上することができません。

設立と同時にかかった費用であっても、以下のようなものは通常の仕訳を行います。

 

・土地や建物の賃借料

・通信費

・事務用消耗品費

・仕入れ費用

・社員の給与

など

 

また、事務所や店舗を借りた時の敷金など、後日戻ってくるお金も開業費にすることはできません。

 

5.≪まとめ≫

会社設立にかかる費用は、株式会社で「約25万円」、合同会社で「約10万円」。この他に、会社の運転資金として使う資本金も必要です。

 

会社設立の費用は法定費用なので安くする方法は少ないですが、紙ではなく電子定款を選択することで収入印紙代4万円の節約が可能です。

ただし、電子定款の作成にもソフトなどの購入費や、外注する場合は報酬がかかることは知っておきましょう。

カテゴリ:
2020/02/20 基礎控除とは?税制改正に伴う変更のポイントも解説

所得税・住民税の計算をするとき、誰でも所得から差し引くことができるのが「基礎控除」です。

現在、基礎控除は一律38万円ですが、税制改正により令和2年度以降の所得は計算方法が変わります。

 

今回は、税制改正で変更となる点や、基礎控除の計算方法を詳しく解説します。

関連して、給与所得控除・相続税の基礎控除についても見ていきましょう。

 

 

1.≪基礎控除とは≫

基礎控除とは、全ての納税者が所得額から差し引ける控除のことです。

まずは、基礎控除の基本的な知識について知っていきましょう。

 

(1)所得税の基礎控除

そもそも控除とは、個人の事情に合わせて課税額を調整するためにある制度です。

例えば、一人身で特段の事情がない人と、養う家族がたくさんいたり、重い病気にかかっている人では、生活にかかる金額が異なります。

それなのに、所得額が同じなら一律で同額の税金を徴収していると、不公平が生じてしまうのです。

それを調整するために、一定の条件に当てはまる人は、総所得から控除を差し引いて課税所得を減らすことができるようになっています。

 

しかし、基礎控除は個人の事情に関係なく、誰にでも適用される控除です。

その金額は、現在38万円です。

つまり、年間の所得が38万円以下であれば、課税所得は0となり所得税がかからないことになります。

また、サラリーマン・アルバイトなどで、給与所得を得ている方には追加で、最小でも65万円の「給与所得控除」も受けられます。

このため、年間所得が「基礎控除38万円+給与所得控除65万円」の「103万円」なら、給与所得者は所得税がかかりません。

家族の扶養に入っている場合などに言われる「103万円の壁」は、基礎控除と給与所得控除の金額が根拠になっているのです。

 

ただし、令和2年度(2020年1月1日~12月31日)の所得にかかる所得税から、基礎控除の金額が改定されます。

この税制改正については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)住民税の基礎控除

所得税だけではなく、住民税にも基礎控除があります。

住民税の基礎控除額は、33万円です。

また、住民税には「人的非課税」という非課税制度があります。これは、生活保護世帯など一定の条件を満たしている場合、住民税を納める必要がないという制度です。

さらに、納税者に扶養親族がいない場合、所得金額が35万円以下なら住民税は課税されません。

そのため、住民税の基礎控除は基本的には33万円ですが、非課税限度額は35万円と言えます。

 

2.≪「基礎」以外のおもな「控除」≫

誰でも受けられる基礎控除以外に、様々な条件を満たすと受けられる控除があります。

その中から、適用される人が多い「扶養控除」「配偶者控除/配偶者特別控除」「社会保険料控除」について解説していきます。

 

(1)扶養控除

扶養控除とは、子供や親など、配偶者以外の家族・親族を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者を扶養している場合の控除は制度が異なるため、次の項目で解説します。

 

税制上、「扶養している」と言える家族・親族の条件は、以下の通りです。

・年間の所得金額が38万円以下(給与所得103万円以下)

・16歳以上の親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)

・納税者と生計を一にしている

 

このような家族・親族が納税者の収入で生活していると、一人当たり以下の金額が控除されます。

・一般の控除対象扶養親族(16歳以上):38万円

・特定扶養親族(19歳以上23歳未満):65万円

・老人扶養親族(70歳以上・同居老親等以外):48万円

・老人扶養親族(70歳以上・同居老親):58万円

 

(2)配偶者控除/配偶者特別控除

配偶者控除・配偶者特別控除は、妻・夫を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者控除に当てはまる家族の条件は、以下のようになっています。

・配偶者であること

・納税者と生計を一にしていること

・配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であること

・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、又は、白色申告者の事業専従者でないこと

 

配偶者控除の金額は、以下の通りです。

 

納税者の所得が900万円以下の場合

一般の控除対象配偶者:38万円

老人控除対象配偶者:48万円

 

納税者の所得が900〜950万円の場合

一般の控除対象配偶者:26万円

老人控除対象配偶者:32万円

 

また、配偶者特別控除は、以上の条件のうち収入面のみ満たしていない場合に受けられます。

配偶者特別控除は、年間所得が38万円以上123万円以下の場合かつ、納税者の所得が1,000万円以下の場合に適用されます。

配偶者特別控除の金額は、納税者と配偶者の所得金額のバランスによって異なります。

 

(3)社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者本人や生計を一にしている家族・親族の社会保険料を支払った場合に適用されます。

控除金額は、支払った社会保険料の全額です。

 

3.≪税制改正で基礎控除はどう変わる?≫

令和2年度(2020年1月1日~12月31日)分の所得から、基礎控除額・給与所得控除額が変更になることを国税庁が決定しました。

基礎控除に関わる税制改正の内容について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)税制改正のポイント

今回の税制改正では、

・基礎控除額の引き上げ

・給与所得控除額の引き下げ

が行われます。

以下の項目で、変更点を詳しく解説します。

 

①基礎控除引き上げ

まず、現在38万円の基礎控除額は、最大48万円に引き上げられます。

これまでは、所得総額に関わらず基礎控除は一律でしたが、改正以降は所得金額によって基礎控除の金額が異なるようになります。

税制改正後の、年間の合計所得金額と基礎控除の関係は以下の通り。

 

【所得税の基礎控除額】

〜2,400万円:48万円

2,400万円〜2,450万円:32万円

2,450万円〜2,500万円:16万円

2,500万円〜:なし

 

また、これに伴い、現在一律33万円となっている住民税の基礎控除も変更になります。

 

【住民税の基礎控除額】

〜2,400万円:43万円

2,400万円〜2,450万円:29万円

2,450万円〜2,500万円:15万円

2,500万円〜:なし

 

②給与所得控除引き下げ

給与所得者に適用される給与所得控除は、基礎控除とは逆に最大10万円引き下げられます。

また、給与所得控除の上限金額が適用となるのも、現行の1,000万円から850万円に引き下げられます。

税制改正後の、給与収入金額と給与所得控除の関係は、以下の通りです。

 

〜162.5万円:55万円

162.5万円〜180万円:収入金額×40%ー10万円

180万円〜360万円:収入金額×30%+8万円

360万円〜660万円:収入金額×20%+44万円

660万〜850万円:収入金額×10%+110万円

850万円〜:195万円(上限)

 

(2)税制改正で税金は上がる?下がる?

今回の税制改正を大まかにまとめると、「年収850万円以上の人は増税・850万円以下の人は変わらない」と言えます。

年収850万円以下の方は、基礎控除額と給与所得控除額がそれぞれ±10万円のため、実質的には影響を受けません。

年収850万円以上の方は、基礎控除額と給与所得控除額の合計が改正前よりも少なくなるため、所得税が増税されます。

また、給与所得控除に関係がない自営業やフリーランスの方は、基礎控除額の引き上げのみが適用されるため、減税となります。

 

4.≪相続税の基礎控除の仕組み≫

所得税や住民税だけではなく、相続税にも基礎控除があります。

亡くなった人の財産を相続すると相続税が発生しますが、相続したのが一定の金額以下なら納税や申告が必要なくなるのです。

このボーダーラインを、相続税の基礎控除と言います。

相続税の基礎控除の計算方法は、以下の通りです。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。

内縁関係の配偶者や、義理の息子・娘といった関係の人は、実際に遺産を相続するとしても法定相続人には含まれません。

例えば、法定相続人の数が3人の場合、計算式は以下のようになります。

 

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

 

この場合、遺産の合計額が4,800万円以下なら相続税の申告・納税をする必要はありません。

また、遺産が4,800万円を超えている場合には、4,800万円を超えた金額にのみ相続税が課せられます。

 

5.≪まとめ≫

税制改正により、基礎控除は+10万円、給与所得控除は−10万円になります。

給与所得者で、年収850万円以下の方には影響がありませんが、年収850万円以上の方は増税、個人事業主やフリーランスの方は減税となります。

これにより、扶養控除や配偶者控除・配偶者特別控除の基準も変わるため、令和2年度分の確定申告には注意が必要です。

カテゴリ:
2020/02/13 復興法人税とは?用途や税率、前倒し廃止の理由を解説

復興法人税は、東日本大震災の復興の財源とするため、法人に課せられていた特別税です。

徴収期間は2012年4月1日から2014年3月30日までで、当初の予定より1年早く廃止されました。

 

今回は、この復興法人税の概要や、廃止が前倒しされた理由について詳しく解説します。

また、個人向けの特別税である「復興所得税」についてもご紹介いたします。

 

1.≪復興特別法人税の概要≫

まずは、復興特別法人税とは何か、その概要について知っていきましょう。

 

(1)復興法人税とは

復興法人税とは、2011年に発生した東日本大震災の復興のための施策に必要な財源を確保するために実施された特別税で、平成23年12月に公布されました。

復興法人税の具体的な使い道は、以下の通り。

 

・被災者支援…被災者の生活再建への支援等

・住宅再建・復興まちづくり:復興道路などの社会インフラ整備等

・産業・生業(なりわい)の再生:観光復興や水産業の販路開拓支援等

・原子力災害からの復興・再生:避難指示が解除された区域での生活支援等

 

さらに詳しく復興法人税の使途を知りたい場合は、「東日本大震災復興特別会計歳出暫定予算予定額各目明細書」や復興庁のホームページで確認することができます。

 

復興法人税の課税対象は、全ての所得がある法人です。一般的な会社だけではなく、設立前の会社・町内会・政党要件を満たさない政治団体・マンションの管理組合といった、収益目的ではない法人でも、所得があれば課税されます。

 

ただし、赤字の会社などで法人税が課税されない場合には、復興法人税も同じく課税されません。

復興法人税が課税される法人は、各課税事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に復興特別法人税申告書を提出し、納税額を確定します。

 

2012年4月1日から、通常の法人税に上乗せして復興法人税の徴収が始まりました。

当初、徴収時期は2015年3月30日までの予定でした。しかし、2014年4月の消費税率引き上げの影響を考慮して1年早く廃止されました。

復興法人税の廃止については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)復興法人税の税率

復興法人税の税率は、「法人税額の10%」です。各事業年度の法人税課税額に対して、10%の税率をかけたものが復興法人税額となります。

大まかにいうと、復興法人税の徴収期間は、それ以外の期間と比べて法人税が1.1倍になるというイメージです。

 

ただし、利子など一定の所得に課された復興所得税など、復興法人税から控除できる金額もあります。

そのため、単純に法人税が必ずしも1.1倍になるというわけではありません。

 

また、復興法人税から控除しきれない復興所得税の額がある場合には、申告書を提出することで還付を受けることができます。

 

2.≪法人税引き下げと復興法人税との関係≫

復興法人税の制度は、2011年12月に行われた法人税率の引き下げとセットで実施されています。

先にお伝えしたように、復興法人税は法人税の納税額に基づいて決定されるので、復興法人税が追加で課されたとしても、実質的には減税となりました。

 

(1)軽減税率との関係

平成23年12月以前の、法人に課せられる法人税率は以下の通りでした。

 

大企業:30%

中小企業(年間所得800万円以上):30%

中小企業(年間所得800万円以下):22%

 

そして、平成23年12月の改正で、法人税率は以下のように引き下げられます。

 

大企業:25.5%

中小企業(年間所得800万円以上):25.5%

中小企業(年間所得800万円以下):15%

 

前の項目でお伝えした通り、復興法人税は法人税の10%なので、「法人税+復興法人税」の税率は以下のようになります。

 

大企業:28.05%

中小企業(年間所得800万円以上):28.05%

中小企業(年間所得800万円以下):16.5%

 

このように、法人税引き下げ・復興法人税の実施で、大企業と年間所得800万円以上の中小企業は「1.95%」、年間所得800万円以下の中小企業は「5.5%」もの減税になったのです。

震災復興のために税収が必要となるのにも関わらず、法人に対して実質的な減税を行なったことで、当時は「企業優遇」という批判の声も上がりました。

 

(2)地方税との関係

次に、法人が納める地方税と復興法人税の関係を見ていきましょう。

 

地方事業税に関しては、復興法人税の影響はありません。地方事業税は法人の所得が課税標準となり、復興法人税の実施に際して税率の変更もなかったため、従前通りです。

 

地方住民税については、税率自体に変更はないものの、課税標準となるのが法人税額なので、法人税引き下げ・復興法人税導入の影響を受けます。

先に触れたように、法人税は1.95%または5.5%の減税となるため、地方住民税も連動して減額されます。

 

3.≪復興特別法人税の「前倒し廃止」とは≫

復興法人税が実施された当初、課税期間は課されるのは2012年4月1日から2015年3月30日まで(9月決算法人では9月30日まで)の予定でした。

 

ところが、2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた影響で終了が1年前倒しされ、2014年3月30日(9月決算法人では2014年9月30日)で廃止されました。

消費税増税以外の廃止理由としては、賃金引上げを含む経済の好循環に繋がる、外国企業の誘致を促進し国際的競争力を高める、などが挙げられています。

 

具体的に、いつから復興法人税がかからなくなったかというと、3月決算の法人では2014年4月1日以降の事業所得、9月決算の法人では2014年10月1日以降の事業所得です。

個人の所得から徴収される復興特別所得税は、予定通り25年間続くため、たった2年で廃止された復興法人税は法人税率の引き下げと同じく「企業優遇」と批判を受けました。

しかし、復興法人税の廃止で浮いた金額を、従業員の賃上げに回すよう推進するということで断行されています。

 

4.≪継続中の復興特別所得税との違い≫

復興法人税の他に、復興特別税には復興所得税というものもあります。

 

復興法人税と復興所得税の違いは課税の対象者です。復興法人税は先にも触れた通り法人に、復興所得税は個人に課せられます。

 

復興所得税は全ての納税者が支払う税金です。サラリーマンなどの給与所得者は、源泉所得の際に復興所得税額も含めた金額を徴収されます。

給与以外の所得がある個人事業主等は、確定申告で所得税と復興所得税をあわせて申告し、納税します。

また、源泉徴収義務者は、従業員の給与からあらかじめ徴収した復興所得税を法定期限までにまとめて納付しなければなりません。

 

復興所得税が徴収されるのは、2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間です。

この期間中は、全ての納税者が通常の所得税に復興所得税を上乗せして納税します。

 

復興所得税の税額は所得税額の2.1%です。個人の所得税は、所得金額が高くなるほど税率も上がる累進課税制度を採用しているため、復興所得税の金額や負担割合も所得が高くなるほど高くなります。

 

5.≪まとめ≫

復興法人税は日本国内の法人が東日本大震災の復興のために納める税金です。

個人向けの復興所得税より税率は高いですが、法人税引き下げと同時に実施されて実質的に減税になったことや、短期間で廃止されたことが批判の的になったこともあります。

 

復興法人税はすでに廃止されている税金のため、今後の経理業務に登場することはありません。

しかし、復興所得税は徴収期間が2037年まで続くため、源泉徴収や確定申告の際に気をつけておく必要があります。

カテゴリ:
2020/02/06 役員借入金とは?役員借入金を減らす6つの方法

役員借入金とは、役員から法人に貸し付けたお金のことをいいます。上手く利用すれば節税にもなる役員借入金ですが、その金額が膨らんでしまうと様々なデメリットが生じます。

 

今回は、役員借入金が増えてしまった場合のデメリットと、その解決方法を解説いたします。

役員借入金は、借入をするメリットとデメリットを踏まえて適切に利用する必要があります。

 

 

1.≪役員借入金とは?≫

役員借入金とは、会社の役員から会社に対して貸し付けているお金のことで、勘定科目では「役員借入金(負債)」と仕訳します。

逆に、役員が会社から借りているお金のことは役員貸付金と言い、勘定科目では「役員貸付金(資産)」となります。

 

役員借入金が発生するのは、主に以下のような場合です。

 

会社の資本金が足りない時、役員のポケットマネーで立て替えた

法人設立時の開業費等の費用

 

役員借入金のメリットは、金融機関や他社からの借入とは違い、返済期日や利息が自由に定められることです。

もちろん、いずれは返済する必要がありますが、経営状態に余裕のあるタイミングで都合よく返済することができます。

 

さらに、返済するときには当然会社から役員へお金を支払うことになりますが、これは報酬ではなく借入金の返済なので、税金や社会保険料がかかりません。

元本の返済ではなく、利息についても同様なので、役員は利息分については非課税の収入を得ることができるのです。

 

また、役員借入金の利用法として、借入金を増額することで資本金を3,000万円以下に抑え、中小企業向けの税制度を受けるという使い方もあります。

さらに、役員借入金の利息は経費にできるため、適正な利息を役員に支払うことで会社の経費を増やし、利益調整することもできます。

 

2.≪役員借入金が増えるとどうなる?≫

先に役員借入金のメリットをお伝えしましたが、一方で役員借入金が増えてしまうことによるデメリットもあります。

 

取締役会の承認が必要に

金融機関の印象悪化

相続税の対象になる

 

以下の項目で、詳しく見ていきましょう。

 

(1)取締役会の承認が必要に

役員借入金には、金融機関からの借り入れのようなビジネスという側面がありません。

そのため、役員から会社にお金を貸す時には、無利子での賃借が認められています。

 

しかし、利益調整などの目的で利息を設定する場合には利益相反取引に該当するため、取締役会での承認が必要となります。

役員借入金の返済利息は、お金を貸す役員個人では決めることができないのです。

 

(2)金融機関の印象悪化

いくら身内からの借り入れであっても、役員借入金は決算書類上の負債に該当します。

 

また、役員借入金は法人の経営状況が健全であれば、そもそも発生させる必要がない項目なので、金融機関からの印象が悪くなります。

経営状態に問題がないのに役員借入金が多い企業は、役員個人のお金と会社のお金の区別がついていないルーズな会社と思われてしまいかねません。

 

先に解説したようなメリットがあるとはいえ、役員借入金は乱用するべきものではないのです。

 

(3)相続税の対象になる

会社にお金を貸している役員が亡くなった場合、役員借入金も相続税の課税対象です。相続人にとっては、会社に対する債権が相続財産になります。

 

もし、会社の業績が悪く、相続人に対して返済することができない場合も、相続放棄をしない限りは相続人が債権を引き継ぐことになります。そのため、相続人から見ると、戻ってくる見込みがないお金に対して相続税が生じる可能性があるのです。

役員借入金の金額が大きくなればなるほど、相続税負担も重くなります。

 

3.≪役員借入金を減らす6つの方法≫

それでは、上記のデメリットをなくすため、役員借入金を減らす方法を6つご紹介します。

 

(1)役員報酬を減額

役員借入金が増えてしまう原因として、会社の資本に対して役員報酬が高すぎるという問題が挙げられます。

過剰な節税対策で役員報酬の金額を上げすぎると会社に資本が残らず、役員が自分の報酬を役員借入金として会社に戻さざるを得なくなっているのです。

 

その場合には、役員報酬の金額を見直すことで負のスパイラルから抜け出すことができます。

役員借入金が膨らみすぎてしまった企業では、まず役員報酬の減額を考えてみましょう。

 

(2)債務免除する

会社にお金を貸した役員が債務免除をすれば、当然、役員借入金を減らすことができます。

 

ただし、債務免除された金額は「債務免除益」として利益に組み込まれ、法人税の課税対象となります。(消費税については課税売上とはならず、消費税の納税額が増えることはありません。)

また、財産の贈与とみなされて贈与税が発生する場合もあるので注意してください。

 

(3)後継者へ贈与する

役員借入金を後継者に贈与する「暦年贈与」という方法があります。

 

この方法は、役員が亡くなった場合を見越した相続税対策として使えます。

生前に贈与しておけば、贈与税の基礎控除額である110万円の範囲内であれば贈与税はかかりません。

相続税がネックになりそうな役員借入金は、万が一の事態が起こる前から計画的に減らしておくのが大切です。

 

また、役員が亡くなった時、相続税の税務調査に備えておくため、暦年贈与の際は必ず贈与契約書を作成しましょう。

 

(4)DES活用

DESは「Debt Equity Swap」の略です。

「債務と資本を交換する」という意味で、役員借入金を返済する代わりに、役員に会社の株式を発行します。

 

この方法を使うことで、実際に現金を動かすことなく役員借入金を減らすことが可能です。

 

(5)生命保険を活用する

生命保険の解約返戻金や死亡保険金を使って、役員借入金を減らすこともできます。

生命保険料を損金に計上しながら解約返戻金を簿外に貯めていき、その貯まった資金で役員に借入金を返済するという方法です。

 

ただし、解約返戻金には契約上もっとも得ができるタイミングがある(返戻率が年々推移するため。)ので、解約時期を決めて計画的に利用する必要があります。

 

(6)代物返済

代物返済とは、役員の承諾を得て現金以外のもので役員借入金を返済することです。

会社が保有している自己株式、不動産、在庫商品などで、役員借入金を相殺することができます。

 

ただし、会社と役員間の取引はルーズになりがちなので、税務調査などで代物返済にあてた物の時価総額などが問われる場合があります。

会社や役員にとって都合のいい取引ではなく、他者の目から見ても公正と思える取引で返済しなければいけません。

 

4.≪役員借入金は決算書でも工夫が必要≫

先にもお伝えしたように、役員借入金は仕訳では負債に組み込まれます。

身内からの借入金であっても借金は借金なので、決算書上で負債が多すぎるのは問題です。

金融機関や取引先からの印象を良くするためには、役員借入金の扱い方に工夫が必要です。

 

役員借入金は、返済利息だけではなく返済期間も自由に設定することができます。

ですから、役員借入金の返済期間はできるだけ1年以上の長期に定め、決算書上は「固定負債」に組み込まれるようにしましょう。

そうすることで流動負債を減らし、流動比率(流動資産÷流動負債)を良く見せることができるのです。

また、固定長期適合比率(固定資産÷(固定負債+自己資本))についても、流動比率と連動して良い値になります。

 

5.≪まとめ≫

役員借入金は、使い方によっては節税に役立つこともあります。

しかし、そもそも会社の経営状態が健全なら発生させる必要はなく、決算書上では負債となるため金融機関からの印象も悪くなります。

また、役員が亡くなった場合には相続税の対象となるため、あまり増やしすぎず、できるだけ早く返済していくのが理想です。

今回ご紹介した6つの方法を使って、役員借入金が増えすぎないように調整しましょう。

 

カテゴリ:
2019/12/25 決算書の読み方・目的を解説

決算書は、会社の財務状況が一目でわかるようにまとめた書類です。

決算期に1年分のまとめとして作成し、株主や関係会社への報告や、法人税を算出するための確定申告に用います。

 

今回は、決算書とは何なのかという基礎知識や、活用方法をご紹介。決算書を作成するための、具体的な作業スケジュールも解説します。

 

1.≪会社の家計簿?決算書とは

決算書は、会社の一定期間の経営成績や財務状況をまとめた書類です。

決算書に含まれる書類には、以下のようなものがあります。

・貸借対照表

・損益計算書

・株主資本等変動計算書

・キャッシュフロー計算書など

 

決算書は会社ごとに定めた年に1度の決算日から2ヶ月以内に作成し、これらを元に確定申告を行います。

税法改正の施行が4月1日になることが多いため、大多数の会社では3月に決算を行い、決算書もこの時期に作ります。

 

決算書は確定申告だけではなく、株主や取引先に対する業績報告や、金融機関から融資を受ける際の与信管理にも用いられる重要な書類です。

 

(1)決算書と財務諸表の違い

決算書とよく似た言葉として「財務諸表」があります。

2つの言葉が指すものはほぼ同じで、単純な言い換えもできますが、決算書の中でも有価証券報告書を提出する会社(上場企業など)が作成するものを財務諸表と呼びます。

 

ちなみに、それ以外の会社が作成する決算書は「計算書類」です。

同じ決算書でも、財務諸表と計算書類では含まれる書類の種類が異なります。

 

財務諸表

・賃借対照表

・損益計算書

・株主資本変動計画書

・製造原価報告書

・キャッシュフロー計画書

・附属明細表

 

計算書類

・賃借対照表

・損益計算書

・株主資本変動計画書

・個別注記表

 

2.≪決算書の読み方!財務三表はここをチェック≫

決算書を見ると、企業の経営状況を確認することができます。

決算書類の中でも代表的な

・損益計算書

・賃借対照表

・キャッシュフロー計画書

の3種類について、読み方を解説していきます。

 

(1)会社のもうけが一目瞭然「損益計算書」

損益計算書の構成は、左側に科目・右側に金額という形でシンプルな表です。

1事業年度で会社が使ったお金と儲けたお金を全てまとめ、どれだけ損失・利益があったかをまとめています。

 

まず、上の3つの項目「売上高」「売上原価」「販売費および一般管理費」で、会社の本業の経営成績がわかります。

「営業利益=売上高−売上原価−販売費および一般管理費」という計算で、会社の本業が赤字か黒字か、またその金額がどれだけかを表しています。

 

次の「営業外収益」「営業外費用」で、会社が本業以外に使ったお金と儲けたお金がわかります。

ここに含まれるのは家賃収入や支払利息など、本業以外で発生する金額の中でも恒常的なものです。「経常利益=営業外収益−営業外費用」という計算式になります。

 

最後に「特別利益」と「特別損失」は、会社の本業以外で、かつ突発的に発生したお金の動きです。資産の売買や、災害損失、盗難損失などが含まれます。

そして、全ての収益から全ての損失と費用を引いたものが「税引前当期利益」。

そこから支払いが発生する、法人税などの税金を引いたものが「当期利益」という見方になります。

 

(2)会社の財産チェック「貸借対照表」

賃借対照表は別名「バランスシート」とも呼ばれます。

表の左右でバランスをとって、同じ金額になるようにすることが名前の由来です。

 

賃借対照表に記載する項目は大きく「資産」「負債」「純資産」の3つのカテゴリに分かれていて、表の左側に資産、右側に負債と純資産が載っています。

 

資産とは、預金・売掛金・商品在庫・不動産など会社が持っている財産のこと。負債は借入金・買掛金・社債など、会社が負っている借金です。純資産は資本金・利益余剰金など、自己資本のことを言います。

 

計算式で表すと「資産=負債+純資産」となり、その会社にどれだけの財産と負債があるか、割合はどのようになっているかがわかります。

 

(3)会社の家計簿「キャッシュフロー計算書」

キャッシュフロー計算書とは、会社の現金が1事業年度でどのように動いたかを示す書類。項目ごとに、期首と期末の状況を比べてどのような収支になったかを記載します。

 

厳密に決まったフォーマットがあるわけではありませんが、大項目は「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3つに分けることが多いです。

 

営業キャッシュフローは商品販売やサービス提供など、会社の本業で得たキャッシュ量を表します。

投資キャッシュフローは事業の維持に必要となる資金です。固定資産の取得や売却などが当てはまります。「営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー」を「フリーキャッシュフロー」と呼びます。

財務キャッシュフローでは、会社の資金が不足したときに行なった資金調達の方法や、返済状況がわかります。

 

3.≪決算書の活用方法

決算書には、先にも触れたように3つの役割があります。

 

・税金の確定申告

・株主・関係会社に対する成果報告

・与信管理

 

しかし、この他にも決算書を活用して企業の健康状態を測る、「財務分析」という活用方法があります。

経営分析は決算書に記載されている数字を比較して、企業の「収益性」「安全性」「成長性」を分析するものです。

 

会社の収益性は、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」をそれぞれ売上高で割り、売上高利益率を求めることでわかります。

前年度よりこれらの値が大きくなっていると、1事業年度で会社の収益性が向上したと言えます。

 

安全性は会社の資産と負債を比較し、「流動比率(流動資産÷流動負債)」や「当座比率(当座資産÷流動負債)」を調べることで分析できます。

これらの数値は%で表し、高ければ高いほど安全な経営ができているということです。

 

成長性は売上高・総資産の規模などを、同社の前期や同業界の市場平均値と比較して確かめます。

「売上高成長率」や「経常利益成長率」を分析することで、会社の成長スピードや業界での位置付けがわかります。

 

4.≪良い決算書は毎日の入力作業から

決算書類は決算期に集中して作るものではありません。事業年度中、毎日のお金の出入りや使い道を記帳していき、その積み重ねが決算書になるのです。

間違いがない決算書類をスムーズに作成するためには、日々の帳簿付けが鍵になります。

 

そして、その帳簿をまとめて決算書にするのが、決算期の作業です。

例として、3月決算の企業で決算書を作成する場合の理想的なスケジュールと、それぞれの作業にかかる日数を見ていきましょう。

 

4月(1ヶ月):記帳

・通帳のコピーを取る

・データ入力の際に必要な情報を収集

・領収書・請求書を整理

 

5月上旬(10日):決算整理事項の確認

・決算整理仕訳を作成

・会計ソフトに仕訳を入力

・残高試算表を作成

・総勘定元帳を作成

 

5月中旬(10日):決算書の作成

・損益計算書・貸借対照表を作成

・個別注記表を作成

・勘定科目内訳書を作成

 

5月下旬(10日):申告書の作成

・法人税の申告書を作成

・地方税(事業税・都道府県税・市町村民税)の申告書を作成

 

5月末(10日):申告書の作成・税金納付

・法人税・消費税を税務署に申告

・地方税(事業税・都道府県民税)を都道府県税事務所に申告

・市町村民税を各市町村に申告

・金融機関で税金を納付

 

5月末(1日):書類保存

・決算書・申告書を決算報告書として保管

・保管義務のある書類を、定められた期間保存

 

5.≪決算書を提出する方法

作成した決算書は、株主・金融機関・税務署になどに提出します。

持参して手渡しが望ましいですが、提出先が多い場合には郵送も可能です。

 

決算書を郵送で提出する場合は、案内状・送付状を添えて信書として郵送します。ゆうパックやゆうメールは、信書を送ることができないためNGです。

 

6.≪まとめ≫

決算書は、毎年決算期に作成する重要書類。会社の1年間の利益や損失、財務状況をまとめて記載します。

主に株主や関係各社への成果報告・税金の申告・信用審査などに利用しますが、記載内容を元に会社の経営状況を診断することもできます。会社が何を重要視した決算書を作るのか?ここが分かっていると、数字の記載箇所・表示科目も変わってくることがあります。

 

経理関係者にとっては年に一度の大仕事となる決算書作成には、スケジュールをしっかり組んで計画的に取り組みましょう。

カテゴリ:
2019/12/11 法人税等とは?「法人税等調整額」の取り扱いも解説

損益計算書や賃借対照表で用いる、「法人税等」という言葉。

法人税や、それに類する税金を表すことは予想できますが、具体的に何が含まれているのか知っていますか?

 

今回は、法人税等に含まれる税金や、会計処理上の扱いについて解説。ほぼ全ての企業で毎年必要になる作業なので、法人税等の仕訳や処理方法を知っておきましょう。

 

 

1.≪法人税等とは?

企業の経理業務には、「法人税等」という言葉が登場します。

文字通り「法人税や、それに類するもの」という意味ですが、具体的にどんなものが法人税等に含まれるのかはご存知ですか?

 

法人税等には、以下の3つの税金が含まれています。

 

・法人税

・住民税

・事業税

 

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

 

(1)法人税

「法人税等」というくらいなので、当然法人税等のメインは法人税です。

法人税は会社の所得に対して課税される税金で、個人事業主における所得税にあたります。そのため、「法人所得税」と呼ばれることもある税金です。

 

法人税の税率は法人の区分や所得金額により異なり、所得金額が高くなるほど税率も上がる「累進課税制度」が採用されています。

国に対して納める国税で、法人税等に含まれる税金の中では唯一の国税となっています。

 

(2)住民税

法人税等に含まれる税金2つ目は、住民税です。法人税等に含まれる住民税は、個人のものと区別するために「法人住民税」と呼ばれることもあります。

 

法人住民税は法人が事業所を置く市区町村に納付する税金です。法人税が国税なのに比べ、こちらは地方税。

法人住民税には2種類あり、法人税額よって金額が変わる「法人税割」と、資本金の額などに応じて金額が決まる「均等割」の2つの合計金額を支払います。

法人税割は、赤字だった年など法人税がかからない場合は支払いが発生しませんが、均等割は赤字の場合でも支払い義務があります。

 

(3)事業税

事業税は法人が事業を行うにあたって利用している、道路や港湾、消防、警察といった公共施設・公共サービスの費用を負担するための税金です。

 

法人税と同じく所得金額に対して課税されますが、納める先は国ではなく地方自治体の地方税です。

資本金が1億円以上の法人の場合は、所得に課税される「課税割」だけではなく「付加価値割」「資本割」も加わります。

 

ただし、このうち法人税等に含まれるのは所得割のみ。付加価値割と資本割は、法人税等ではなく「販売費および一般管理費」に計上します。

 

(4)租税公課との違い

法人税等と似た勘定科目に、「租税公課」というものがあります。

 

租税公課とは、その名の通り「租税」と「公課」、国や地方自治体に納める税金や、国・地方公共団体・その他団体などから課せられる会費・組合費・賦課金・罰金などを計上する科目です。

損益計算書上では、「販売費および一般管理費」という部に属しています。

 

しかし、法人税等に含まれる法人税・住民税・事業税の課税割は、租税公課には含まれません。法人税等は、損益計算書上「法人税、住民税および事業税」という部となります。

なぜなら、法人税等は所得の中から支払われる税金で、損金算入できないためです。

 

(5)法人税等は消費税の課税対象外

課税売上高が1,000万円を超える法人には、消費税の支払いが発生します。

消費税は税金の中でも「間接税」といい、顧客や取引先が商品の購入に際して支払った消費税を法人が一旦預かり、それをまとめて納付するものです。

 

先にも触れましたが、法人税等は所得の中から支払われる税金なので、消費税の課税対象にはなりません。

消費税の課税所得を算出する際には、法人税等の金額を除いて計算します。

 

2.≪法人税等の申告について≫

法人は1年分の法人税等を、「中間申告納付」と「確定申告納付」の2回に分けて納付します。

 

法人税等はその法人の1年分の所得に対して課税されるため、1年の営業が終わってみないと具体的な納税額が確定しません。そのため、まず中間申告では「前事業年度の法人税額÷12×6」、つまり前事業年度に支払った法人税の半額を支払います。

中間申告納付を会計処理する際は、「仮払法人税等」という勘定科目を使います。

 

その後、1年分の所得金額がわかった上で「確定申告納付」を行い、残りの法人税等の正確な金額を算出します。

法人税等の金額が確定したら、会計処理で「仮払法人税等」の金額を、「法人税等」の科目に振り替えます。

 

3.≪法人税等の調整額とは?≫

会計上の利益と法人税の課税所得にズレがある場合、法人税法が定める方法で所得を再計算し、法人税等の調整を行います。

その場合に発生するのが、法人税等調整額です。

 

(1)法人税等調整額の見方

「法人税等調整額」という科目は、損益計算書の「法人税等合計」の内訳にあります。

「法人税、住民税および事業税」から「法人税等調整額」を引いた金額が、実際の法人税等の支払い金額となります。

 

(2)企業会計と法人税のズレを調整

なぜ法人税等調整額が必要になるかというと、法人税法上の所得の計算ルールと、一般的な企業の利益の計算ルールが同じではないため。

一般的な利益の計算方法で企業の所得を算出すると、法人税等が過剰または過少になってしまうケースがあるのです。

 

そういった場合に、「税効果会計」という作業を行なって法人税等調整額を算出し、「法人税、住民税および事業税」の金額に加算・減算します。企業会計上と法人税のズレを解消するために使用する科目が「法人税等調整額」であると言えます。

税効果会計の対象になるのは、「貸倒引当金繰入超過額」「減価償却費」「退職給付引当金」「賞与引当金」「繰越欠損金」といった将来解消される見込みのある一時差異のみです。

 

4.≪法人税等の仕訳計上のポイント≫

先に触れたように、法人税等は「中間申告納付」「確定申告納付」と年2回に分けて納付します。

そのため、法人税等を仕訳計上する際は、「仮払法人税等」「未払法人税等」という勘定科目を使って処理します。

 

まず、前年分の法人税額をベースにして、中間申告で納付すべき法人税等が50万円と計算された場合。

借方:仮払法人税等 500,000円

貸方:現金 500,000円

 

次に、1年間の営業利益が昨年分より増えたため、確定申告で納付すべき法人税等が110万円だとわかった場合。

110万円のうち、50万円は先に支払っているので、以下のように仕訳を行います。

借方:法人税等 1,100,000円

貸方:仮払法人税等 500,000円

   未払法人税等 600,000円

 

最後に、法人税等の残りを現金で納付した場合、仕訳は以下のようになります。

借方:未払法人税等 600,000円

貸方:現金 600,000円

 

このように、法人税等の納付に際しては、中間申告・確定申告・納付時の3段階に分けて仕訳を行うことになります。

 

5.≪まとめ≫

法人税等には「法人税」「住民税」「事業税」の3つの税金が含まれます。他の税金を計上する「租税公課」とは分けて考え、所得から支払う税金のため消費税の課税対象にもなりません。

 

法人税等の納付は中間申告・確定申告の2回に分けて行い、会計処理は「仮払法人税等」「未払法人税等」という勘定項目を使って3段階に分けて仕訳。

少し複雑な作業が必要ですが、ほぼ全ての法人で毎年必要な処理となるため、経理担当者・経営者の方はしっかり把握しておきましょう。

カテゴリ:
2019/09/25 確定申告の期限はいつまで?忘れたときの対処法も紹介

「確定申告を忘れた!」「うっかり期限を過ぎてしまった!」ということは、誰にでも起こりえます。そこで放置してしまうと、無申告加算税が課せられ、本来支払う必要がない税金まで払わなければいけなくなることも。

 

今回は、確定申告を忘れた場合の対処法をご紹介。確定申告が遅れた場合のペナルティや、ペナルティを回避する方法も解説していきます。

 

 

1.≪確定申告の期限は?≫

確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日。2月16日や3月15日が土曜日・日曜日にあたる場合は、後倒しになります。

 

つまり、確定申告の期限は3月15日ですが、この期限を過ぎても確定申告の手続き自体は可能。ただし「期限後申告」となり、ペナルティが課せられます。

 

2.≪確定申告を忘れた場合の対処法≫

それでは、確定申告をうっかり忘れてしまった方のために、対処方法を解説していきます。

 

(1)できるだけ早く確定申告を行う

確定申告を忘れた場合の対処は、「できるだけ早く確定申告を行う」これ一択です。

 

先にも触れましたが、3月15日の期限が過ぎても確定申告の手続き自体は可能です。手続きの内容も、期限内と同じです。

異なるのは受付日時のみですが、遅れて確定申告をした場合は遅れた日数に合わせたペナルティが課せられます。このペナルティ「無申告加算税」については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)事情がある場合は税務署に相談する

単純に忘れていたのではなく、確定申告が遅れてしまったやむを得ない事情がある場合は、期限後申告をする前に税務署に相談しましょう。

 

やむを得ない事情とは、例えば「確定申告期間に病気で入院していた」「海外に渡航していた」「災害にあって手続きができなかった」などです。

個別のケースにもよりますが、やむを得ない事情の証明ができればペナルティが免除される場合もあります。

 

(3)来年は忘れないように心得ておく

期限後申告が2年続くと、青色申告の承認が取り消される場合があります。連続ではなくても、断続的に遅れる年が続くと取り消されてしまう場合も。

来年は確定申告を忘れないよう、しっかり心得ておきましょう。

 

3.≪確定申告の書類の提出方法≫

「確定申告の期間内に税務署に行けないから、期限に遅れてしまう」と焦っている人もいるかと思います。または、「期限内の確定申告を忘れたから、税務署に行きづらい」という人もいるかもしれませんね。

 

実は、確定申告は税務署に直接赴く以外の方法でも提出できます。

それぞれの提出方法について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)郵送を利用する

郵送での提出は、切手と封筒だけ用意すればできるので手軽です。

用意する書類は窓口に提出する場合と変わりありません。確定申告書類を封筒に全て入れ、控えを受け取るために切手を貼った返信用封筒を同封して郵送しましょう。

 

送り先は納税地の管轄税務署です。郵送では提出期限は消印が有効となるので、3月15日中に忘れていたことに気付ければ期限内の提出が可能です。

 

(2)e-Taxを利用する

確定申告をe-Taxで提出するには、電子証明書の取得やカードリーダーの購入など事前準備が必要です。

しかし、手続きを全て電子で行うことができるので、紙の書類は必要ありませんし提出にかかる時間も一瞬です。すでにe-Tax利用の手続きが済んでいる方であれば、直前まで確定申告を忘れていても安心ですね。

 

(3)管轄の税務署に直接提出

もちろん、確定申告は管轄の税務署に直接提出することもできます。

書類でわからないところがあれば職員の方に質問できますし、直しがあった場合も郵送やe-Taxでの提出より手間がかかりません。

 

税務署の開庁時間は平日の8:30~17:00です。確定申告書の提出自体は、時間外収受箱へ投函することによりいつでも提出できます。

 

4.≪確定申告を忘れた場合のペナルティ≫

それでは、確定申告を忘れた場合のペナルティについて詳しく見ていきましょう。

 

(1)無申告加算税

確定申告の期限に遅れると、「無申告加算税」というペナルティが課せられます。

無申告加算税は、納付すべき税額に対して「50万円までは15%・50万円を超える部分は20%」の割合を乗じて計算した金額となります。

 

例えば、納税額が100万円なら、

 

(50万円×15%)+(50万円×20%)=17万5,000円

 

ということになりますね。もちろん本来の納税額100万円も納付しますから、計117万5,000円の納税が必要になります。

 

ただし、税務署の調査を受ける前に自ら期限後申告を行った場合は、この無申告加算税の税率は5%に軽減されます。

同じく納税額が100万円の場合は、

 

100万円×5%=5万円

 

ということになります。追及される前に自分で申告することで、3倍以上もペナルティの金額を抑えることができるのですね。

 

また、期限後申告であっても無申告加算税が課されないケースもあります。

 

①無申告加算税が課されないケース

無申告加算税が課されないケースは、以下の2つの条件を両方満たした場合です。

 

  • 法定申告期限から1ヶ月以内に、自主的に期限後申告をしたこと
  • 期限内申告をする意思があったと認められること

 

このうち、期限内申告をする意思があったと認められる」とは、以下の条件を満たしていることです。

 

  • その期限後申告で確定した納税額を、全額法定期限内に納めること
  • 期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと

 

つまり、期限後すぐに自分から申告し、さらに過去にも確定申告が遅れたことがなければ、悪質ではないので容赦しましょうということですね。

そのため、これまで確定申告が遅れたことがなく、うっかり忘れたことに1ヶ月以内に気付いた場合には、早めに期限後申告をすれば通常の確定申告と何ら変わりはありません。

 

(2)延滞税

確定申告により確定した税金を法定期限内に納めないと、延滞税が課せられます。

これは「確定申告自体を忘れた」ことには直接関わりはありませんが「確定申告後に税金の支払いを忘れた」場合に適用されるものです。

 

延滞税は、支払いが遅れた期間によって課税率が変わります。

原則的な課税率は、以下の通りです。

 

  • 納期限の翌日から2月を経過する日まで:年3%
  • 納期限の翌日から2月を経過した日以後:年6%

 

ただし、平成26年1月1日以後の期間は「特例基準割合」が適用されて税率が低くなります。

具体的な税率は、以下の通りです。

 

  • 納期限の翌日から2月を経過する日まで:年6~4.5%(期間による)
  • 納期限の翌日から2月を経過した日以後:年9~9.2%(期間による)

 

(3)青色申告に関わるペナルティ

先にもお伝えしましたが、青色申告をしている場合、2年連続で期限後申告となると青色申告の承認が取り消される場合があります。

青色申告の承認が取り消されると、10万円・65万円の青色申告特別控除が受けられなくなるなど、税制上の優遇が受けられなくなってしまいます。青色申告を行なっている個人事業主の方は、特に確定申告を忘れないように気をつけましょう。

 

(4)重加算税

重加算税とは、意図的に実情と違う内容で確定申告をした場合に課せられる罰金です。多くの場合、所得を過少に申告し、「脱税」や「ほ税」をした場合に課せられます。

 

課税率は税額の35~40%と高額で、もし払えない場合は不動産や貯蓄の差し押さえなどの処分が行われます。

確定申告は期限内に忘れず行うのも大切ですが、内容を正直に申告するのも重要です。

 

なお、もし意図的ではなく確定申告の内容を間違えてしまった場合は「修正申告」を行えば重加算税の課税は免れられます。

 

5.≪確定申告を忘れたら、修正申告は必ず行おう≫

確定申告は、

 

  • 忘れない
  • 忘れて期限を過ぎてしまったら、なるべく早めに期限後申告をする
  • 内容は正しく申告する
  • 確定した税金は期限内に納める

 

以上のポイントを守って行うようにしましょう。

ペナルティはあくまで悪質な脱税を取り締まるためのものなので、誠実な対応をしていればそこまでひどい罰金が課せられることはありませんよ。

カテゴリ:
2019/09/04 単式簿記とは?【複式簿記との違いを解説】

単式簿記とは、2つある帳簿付けの方法のうちシンプルで簡単なものです。簿記の知識がなくても帳簿付けをすることが可能ですが、複式簿記より記録しておける内容が少ないのがデメリット。

 

今回は、そんな単式簿記と複式簿記の違いや、単式簿記で帳簿付けする方法を具体的に解説していきます。

メリット・デメリットを把握して、自分に最適な帳簿付けの方法を選びましょう。

 

 

1.≪単式簿記とは?≫

単式簿記とは「簿記」の記帳方法の一つです。対になる言葉として「複式簿記」があり、単式簿記の方が複式簿記よりもシンプルで簡単です。

 

そもそも「簿記」とは、会計報告を行うために帳簿をつけること。この帳簿を元に会計業務を行い、会社や個人事業の財務状況を報告します。

 

(1)単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記と複式簿記の違いは、1回の取引につき、1つの項目を使うか、複数の項目を使うか。

単式簿記では「収入or支出」と「勘定科目」「金額」のみを一列に書き記します。複式簿記では帳簿を左右で「借方」と「貸方」に分け、借方と貸方の金額が同じになるように記帳していきます。

 

言葉の説明だけではわかりづらいので、具体的な例を見ていきましょう。

同じ取引を単式簿記と複式簿記のそれぞれの方法で記帳すると、以下のようになります。

 

例1 ◯月◯日、金融機関から100,000円の借り入れを行なった場合

 

単式簿記:◯月◯日 収入 借入金 100,000円

複式簿記:◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

 

例2 △月△日、10,000円の電気代を現金で支払った場合

 

単式簿記:△月△日 支出 電気代 10,000円

複式簿記:△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

 

例3 ×月×日、50,000円の商品を売って現金を受け取った場合

 

単式簿記:×月×日 収入 商品売上 50,000円

複式簿記:×月×日 現金 10,000円 / 商品売上 10,000円

 

そして、これらの取引が行われた後、単式簿記の帳簿は以下のようになっています。

◯月◯日 収入 借入金 100,000円

△月△日 支出 電気代 10,000円

×月×日 収入 商品売上 50,000円

 

単式簿記の場合は、お金の出入りを「収入・支出」の2パターンのみで管理します。そのため、収入の総額から支出の総額を引けば、収益がプラスかマイナスかがすぐにわかります。

この例だと、借入金10万円から支払いで1万円が減り、そのあと5万円の売上が入ったので、現在「14万円」のプラスだということがわかりますね。

ただし、「預金」「現金」という区別はないので、口座にあるべき金額はいくらか、手元にあるべき金額はいくらかということはわかりません。

 

また、単式簿記ではあとで返済する必要がある借入金も「収入」として計算してしまうので、最終的に手元に残る利益は「4万円」だという情報もわかりません。

さらに、帳簿を付け始める以前の預金額や借り入れ総額もわからないので、会社の会計の大枠を把握するのは難しいです。

 

次に、同じ取引が行われた後の複式簿記の帳簿を見てみましょう。

 

◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

×月×日 現金 50,000円 / 商品売上 50,000円

 

こちらでは、例えば「電気代を支払った」という情報だけではなく、「電気代を現金で支払った」という情報がわかります。借入金の10万円は普通預金に入り、現金として手元にあるのは4万円だという情報もわかりますね。

複式簿記は単式簿記よりも書き方が複雑ですが、複式簿記の帳簿からは単式簿記よりも多くの情報が読み取ることができるのです。

 

また、複式簿記の場合は、お金の出入りを「資産・負債・純資産・収益・費用」の5つに分けて管理します。

上記の取引だと、「借入金」は「負債」、「電気代」は「費用」、「商品売上」は「収益」です。

 

そして、会計業務の際はこの帳簿をもとに「貸借対照表」と「損益計算書」を作成します。

これは「資産・負債・純資産・収益・費用」それぞれのカテゴリの総額はいくらなのかを算出するものです。これにより、会社がどのような財務状況にあるのかを詳しく分析することが可能になります。

 

(2)単式簿記は目的のみを記録する

単式簿記では、取引により現金が増えたのか・減ったのかという「収入・支出」と、その取引の目的のみを記録します。

「収入」のカテゴリになるのは、勘定科目でいうと借入金・売上金・事業主貸など。逆に「支出」になる勘定科目は、地代家賃・仕入・水道光熱費・通信費・給料賃金など全ての出費です。

 

そして、単式簿記では取引の「手段」の記録はしません。

手段というのは、現金のやりとりがあったのか、クレジットカードや売掛・買掛などで後払いになったのか、口座に振り込みをしたのか…などの支払い方法のことです。そのため、取引にかかった金額の出所はどこなのか、どこに入ったのかという情報はわかりません。

 

個人事業主や規模の小さい会社で、複雑な取引はなく現金の出入りさえわかればいいという場合は単式簿記でも十分です。

しかし大規模な会社では詳細な財務状況の把握が必要になるので、単式簿記が採用されることはほぼありません。

 

2.≪単式簿記のメリット・デメリット≫

それでは、単式簿記のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

(1)単式簿記のメリット

  • 簿記の知識がなくても記帳できる
  • 現金のプラス・マイナスがすぐにわかる
  • 作業工程数が複式簿記より少ない

 

まず、単式簿記の大きなメリットは簿記の知識がなくても記帳できること。

その取引が「収入」か「支出」なのかということは誰でも直感的にわかりますから、付け間違いも少ないです。家計簿をつける感覚で、誰でも帳簿付けができます。

確定申告も、白色申告なら単式簿記の帳簿付けで問題ないので、大きな控除枠が必要ない場合は手間が省けるでしょう。

 

また、単式簿記の帳簿は「収入-支出」というシンプルな計算で総計ができるので、収益がプラスかマイナスかということが一目でわかります。

詳細な経営状況の分析は必要なく、ざっくりプラスかマイナスかわかればいいという場合も単式簿記で十分ですね。

 

そして、単式簿記の場合は、複式簿記のように「貸借対照表」や「損益計算書」に発展させる必要がありません。

複式簿記が他の会計書類を作るための土台としての意味合いが強いのに比べ、単式簿記はそれだけで完結しているのです。

 

(2)単式簿記のデメリット

  • 経営状況が把握しづらい
  • 青色申告ができず、控除額が減る

 

単式簿記のデメリットは、記録しておける情報が少なく経営状況の把握がしづらいこと。ある程度規模が大きく、借入金や株式の配当、買掛金、売掛金など複雑な取引がある事業の帳簿付けは、単式簿記では無理でしょう。

 

また、確定申告で「青色申告」をするためには複式簿記での帳簿付けが義務付けられています。

10万円・65万円の青色申告控除など、青色申告は税制で優遇されるポイントがたくさん。単式簿記の帳簿ではこの優遇が受けられないので、納税額で損をしてしまう可能性があります。

 

3.≪単式簿記の書き方・記入例≫

先の例では不要な項目を省略しましたが、実際に単式簿記で記帳するときには以下の項目が必要です。

1つの取引ごとに、それぞれの項目を埋めて表を作っていくイメージです。

 

  • 日付
  • 収入or支出
  • 勘定科目
  • 金額
  • 摘要

 

記入例

◯月◯日 収入 借入金 100,000円 A銀行

△月△日 支出 電気代 10,000円 B電力

×月×日 収入 商品売上 50,000円 C株式会社

 

4.≪単式簿記の帳簿を作成する方法≫

単式簿記はノートに手書き・エクセル・会計ソフトなどで簡単に作成することができます。会計ソフトを使えば、最初から必要な項目や勘定科目のリストが用意されているので簡単です。

しかし、単式簿記にはあまり多くの項目は必要ないので、手書きやエクセルで1から作成してもそこまで手間はかかりません。

 

5.≪まとめ≫

単式簿記は簿記の知識がなくても作成しやすく、初心者におすすめの帳簿付けの方法です。収益のプラス・マイナスを一目で把握でき、確定申告も白色申告なら単式簿記の帳簿でできます。

 

ただし、事業が大きくなってくると詳細な経営状況は把握できず、複式簿記に切り替えざるを得ません

単式簿記の帳簿では青色申告もできないため、納税額で損をしてしまうというデメリットも把握しておきましょう。

カテゴリ:
2019/08/12 青色申告と白色申告の違いとは?【メリット・デメリットを解説】

確定申告とは、税務署に前年の所得額を申告して納税額を確定させる作業のことです。38万円を超える所得があれば個人・法人ともに行う必要がありますが、うっかり忘れてしまうと追徴課税が課せられることも。

今回は、確定申告の種類である「青色申告」「白色申告」について詳しく解説します。自分に適した確定申告の種類を知っておくことは、大幅な節税にも繋がりますよ。

 

 

1.≪確定申告における青色申告と白色申告の違いとは?≫

確定申告とは、その年にあった収入や控除額を税務署に申告し、納税すべき税額を決める手続きのことです。

 

(1)確定申告の種類

確定申告には青色申告(10万円控除・65万円控除)と白色申告があります。

青色申告と白色申告は、大まかに言うと必要になる帳簿の書き方と控除額が違います。

 

・青色申告(65万円控除):青色申告承認申請書が必要・複式簿記・特別控除65万円+基礎控除38万円

・青色申告(10万円控除):青色申告承認申請書が必要・簡易簿記・特別控除10万円+基礎控除38万円

・白色申告:事前の申請必要なし・簡易な記帳・基礎控除38万円のみ

 

また、青色申告をするのは事業所得を得ている人(個人事業主)や法人と不動産所得を得ている人のみ。

その他の人や、青色申告承認申請書を提出していない人・法人は白色申告を行います。

 

(2)誰が確定申告をする必要がある?

確定申告は個人・法人で38万円以上の所得があった人や、給与以外の収入が20万円以上あった人が行います。

 

・配当所得があった人

・不動産所得があった人

・事業所得があった人(個人事業主)

・給与所得があった人(2箇所以上から給与を得ている人や、職場で年末調整を受けていない人)

・退職所得があった人

・譲渡所得があった人

・山林所得があった人

・一時所得があった人

・雑所得があった人(年金、副業による所得などがあった人)

 

給与所得を1箇所のみから得ていて、所属している会社が年末調整を行なっている場合(一般的なサラリーマンなど)は確定申告する必要はありません。

ただし、給与に加えて副業などの所得があった場合や、住宅購入や寄付などをして控除を受ける場合にはサラリーマンも確定申告の必要があります。

 

(3)確定申告の提出時期・期間は

確定申告の提出期限は、毎年2月16日~3月15日。2月16日と3月15日に土曜日・日曜日が重なる場合には、それぞれ後ろ倒しになります。

 

2.≪青色申告と白色申告のメリット&デメリット≫

それでは、青色申告と白色申告の違いやメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

 

(1)青色申告のメリット

  • 青色申告特別控除
  • 純損失の繰越し控除
  • 青色専従者給与
  • 少額減価償却の特例
  • 家事按分

 

青色申告のメリットは全部でこの5つ。具体的にどのような利点があるのでしょうか。

 

  • 青色申告特別控除

青色申告の最大のメリットは、白色申告より控除額が大きいことです。「青色申告特別控除」といって、帳簿の付け方によって基礎控除に加えて「10万円」「65万円」の控除枠がもらえます。この控除があると、収入額のうち10万円・65万円が無条件に非課税ということになるので、大幅に所得税を節約できます。

 

  • 純損失の繰越し控除

青色申告では、事業が赤字となった場合、その赤字額を3年まで繰り越すことができます。例えば、1年目は100万円の赤字・2年目も100万円の赤字・3年目は200万円の黒字が出た場合、過去2年の赤字を繰り越して3年目の事業所得を0とすることができます。

1年ごとに税額を計算する白色申告では、3年目の200万円にそのまま課税されてしまうので、収入が年によって不安定な場合も青色申告にメリットがあります。

 

  • 青色専従者給与

青色申告は「専従者給与」でも優遇されています。白色申告の場合、家族など生計を同一にする従業員を雇っていた場合、専従者給与として差し引けるのは、配偶者86万円、その他の親族は50万円と決まっています。一方青色申告では、妥当性のある金額であれば専従者給与に上限が設けられていません。

ただし、このシステムを利用するためには、その年の3月15日までに税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。

 

  • 少額減価償却の特例

白色申告の場合、事業に必要な機材などの購入で、一括で減価償却できるのは10万円までです。10万円を超えた分は、耐用年数に応じて少しずつ経費として計上します。

青色申告ではこの一括減価償却が30万円まで可能。これを「少額減価償却の特例」と言います。一括で経費に算入できる額が大きくなるので課税所得が減り、納税額の調整が可能です。

 

  • 家事按分

自宅などで事業を行なっている場合、「家事按分」といって家賃や光熱費などの一部を経費として算入できるシステムがあります。家事按分自体は白色申告にも認められていますが、青色申告ではその範囲が異なります。

白色申告では家事関連の主な部分が業務に関わっていなければ認められませんが、青色申告では業務に必要なことが明白であれば経費に認められます。

 

(2)青色申告のデメリット

一方で、青色申告のデメリットはこの2つです。

 

  • 青色申告承認申請書が必要
  • 帳簿付けが複雑

 

  • 青色申告承認申請書が必要

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。年度の途中で開業した場合には、開業から2カ月以内に提出しなければならなりません。

そのため、確定申告直前に、いきなり「青色申告をしよう!」と思い立ってできるものではないのです。

 

  • 帳簿付けが複雑

青色申告の65万円控除を受けるためには、複式簿記で帳簿をつけなければいけません。手書きで複式簿記をつけるには、専門的な知識が必要ですし手間もかかります。

手間を減らすために会計ソフトを利用したり、税理士事務所に依頼したりするためにもコストがかかるというのがデメリットです。

 

(3)白色申告のメリット

白色申告のメリットは、記帳が簡単で手間が少ないことです。収支内訳書に売上や経費などを記入するだけの、シンプルな帳簿で申告が認められます。

青色申告のように事前申請等も必要がないので、節税よりも時間の節約を選びたい場合におすすめです。

 

(4)白色申告のデメリット

白色申告のデメリットは、以下の2つです。

 

  • 特別控除枠がない
  • 赤字を繰り越せない

 

  • 特別控除枠がない

白色申告で受けることができる控除は、どんな人も無条件で受けられる「基礎控除38万円」のみ。帳簿付けの手間は実質的に「青色申告10万円控除」と変わらないため、青色承認申請書を提出するだけで、追加で10万円の控除を受けることができます。

 

  • 赤字を繰り越せない

先の項目でも触れましたが、白色申告では青色申告とは違い赤字の繰り越しができません。そのため、赤字の年は青色・白色ともに非課税になりますが、黒字の年は過去の赤字で所得を打ち消せない白色申告の方が税額は重くなります。

業績が赤字と黒字を繰り返している場合には、青色申告の方が適しているのです。

 

3.≪個人の青色申告・白色申告について≫

それでは、個人が確定申告をする場合の流れについて、詳しく見ていきましょう。

 

(1)個人は「所得税」

個人が確定申告を行う目的は「所得税」の金額を算定するためです。ちなみに住民税も同じ所得額から計算されるので、「住民税」の金額もここで確定します。

 

(2)個人の青色申告・白色申告の流れ

個人が確定申告をする場合の流れは、以下の5ステップです。

 

  1. 青色申告の場合、「青色申告承認申請書」を提出する
  2. 請求書や領収書を保管しておく・帳簿をつけておく
  3. 確定申告書を入手する
  4. 確定申告書に記入する
  5. 確定申告書を提出する

 

  • 青色申告の場合、「青色申告承認申請書」を提出する

繰り返しになりますが、青色申告をするためには事前に申請が必要です。

また、個人で青色申告が認められるのは「個人事業主」のため、「開業届」を提出して事業主になる必要があります。

 

  • 請求書や領収書を保管しておく・帳簿をつけておく

確定申告には1年分の収支の証明が必要です。1月1日~12月31日までの収支を、それぞれの申告に必要な方法で記録し、その証明となる請求書・領収書を保管しておきましょう。

 

  • 確定申告書を入手する

確定申告書は税務署や市区町村役所の税務課で直接入手したり、税務署のホームページからダウンロードしたりできます。

 

  • 確定申告書に記入する

①住所・氏名などの基本情報を記入する

②所得金額を項目別に記入する

③控除額を項目別に記入する

  • 所得金額から控除額を差し引き、課税所得を算出する

④課税所得を元に納税額を計算し、記入する

 

⑤確定申告書を提出する

確定申告書の提出は、所轄の税務署の窓口に直接提出・郵送・e-Tax3つの方法で行えます。

提出時に必要な書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 収支内訳書(白色申告の場合)
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)
  • 医療費控除の明細書(医療費控除を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得があった場合)
  • 寄附金の受領証明(ふるさと納税等、寄付をした場合)

 

(3)青色申告向きなのはこんな人

青色申告に向いているのは、以下のような人です。

 

  • 個人事業主・不動産所得がある人・山林所得がある人
  • 特別控除を受けて節税したい人
  • 複式簿記で帳簿付けができる人
  • 年によって年収にばらつきがある人
  • 家族・親族を従業員として雇用している人
  • 自宅で仕事をしているなど家事按分で節税できる人

 

(4)白色申告向きなのはこんな人

  • サラリーマンなど、個人事業主以外の人
  • 給与所得や副業での所得など、青色申告できない所得がある人
  • 帳簿付けが手間だと感じる人

 

青色申告で申告できるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のみです。その他の「給与所得」「退職所得」「雑所得」などの収入があった場合には、青色申告はできません。

青色申告の方が白色申告よりメリット面が大きいので、基本的には青色申告できない所得があるかどうかが白色申告をするべき人の見分け方です。

 

4.≪会社の青色申告・白色申告について≫

最後に、会社が確定申告をする場合の流れについて見ていきます。

 

(1)会社は「法人税」

会社が確定申告をするのは「法人税」の納税額を確定するためです。法人の種類と規模によって適用される法人税率が異なるため、自社の法人税率を事前に把握しておきましょう。

 

(2)法人税申告の青色申告と白色申告の流れ

法人税申告の際の流れは、次の4ステップです。

 

  1. 決算の確定
  2. 税務調整をする
  3. 添付書類を用意する
  4. 法人税申告書を提出する

 

決算の確定

法人税の確定申告には、まず決算の確定が必要です。会計上のルールに従って、その年の収支や財務状況を整理します。

 

②税務調整をする

会計上の利益を税務上の利益に適応させるため、調整を行います。そして、法人税申告書の別表を使い、課税所得と法人税額を計算して記入します。

 

③添付書類を用意する

法人税の確定申告に必要な添付書類を準備します。

必要な書類は、以下の5つです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 勘定科目内訳書
  • 法人事業概況説明書

 

④法人税申告書を提出する

添付書類と法人税申告書を税務署に持参するか、郵送・e-Taxで提出します。

 

(3)便利な会計ソフト

法人であれば多くの場合税理士に確定申告を依頼しますが、そうではない場合は会計ソフトが便利です。必要項目を入力するだけで、帳簿付けや確定申告書の作成が自動で完了します。

税理士に丸投げするよりは手間や知識が必要になりますが、コストを大幅に節約することが可能です。

 

5.≪まとめ≫

青色申告には、10万円・65万円の特別控除枠をはじめとしたメリットがたくさん。白色申告にも帳簿付けが義務付けられたので、手間の面では青色申告もあまり大きな差がありません。

所得税・法人税を節税したい場合や、年によって所得にばらつきがある場合は、青色申告が断然有利です。

« 以前の記事をもっと見る