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2018/10/19 相続・贈与とは?相続税の申告・計算方法|プロが教える基礎知識

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!

こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

古殿
古殿
本コラムでは毎月、経理に関する話題を執筆してきましたが、今回は経理の話題から少し離れ、相続や贈与に関してわかりやすく解説していきます。

 

1.相続・贈与とは?

 

(1)相続とは?

相続」という言葉を耳にしたことはあっても、相続とは何なのか、また何をする必要があるのかをご存知ない方も多いかと思います。

相続とは一言で言うと「亡くなった方の財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐこと」です。

相続をするためには様々な手続きや、相続税の申告・納付をしなければならないことがあるため、「タダでお金がもらえる!」などという安易な気持ちでいると、後々苦労することになってしまいます。

また、相続するのはお金や土地など、自分にとってプラスになるものだけではありません。例えば、亡くなった方が借金をしていた場合には、借金の返済義務など自分にとってマイナスになるものも受け継がなければなりません。

古殿
古殿
ただし、自分にとってマイナスになるものが多くなってしまう場合には、所定の手続きをすることで「財産を受け継がない」という選択も可能ですからご安心ください。

 

(2)贈与とは?

ここまでの説明で、相続について何となくイメージが湧いたかと思います。相続とセットで知っておきたいのが「贈与」という言葉です。

贈与とは一言で言うと「生きている間に財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐこと」です。その性質から「生前贈与」という言い方もします。

この贈与に関しても贈与税がかかることがありますが、制度を上手に活用すれば相続する際にかかる税金よりも納税額を減らすことも可能です。

 

(3)相続と贈与の違いって何?

相続贈与の大きな違いは、2点あります。

 

➀1つ目は、財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

上記でも解説した通り、相続・贈与のどちらに関しても、相続税・贈与税という税金が課税される場合があり、亡くなった方の財産を丸ごと受け継ぐことができるとは限りません。

 

さらに言うと、相続税・贈与税の計算方法や申告方法に関する情報はインターネットや書籍で簡単に手に入りますが、内容が非常に複雑であるため、初めて相続や贈与を行う一般の方にはハードルが高いかと思います。

贈与は生きている間ならばいつでも行うことができますが、相続はある日突然発生するものです。いざという時に何をする必要があるのか、どこの役所に行けばいいのか、どのような書類が必要なのか、わからないことや不安なことも多いかと思います。

 

➁また、相続も贈与も、ある人が別の人に自分の財産をあげるという点は同じですが、財産を「あげる人・もらう人の意思の有無」が異なることに2点目の違いがあります。

 

相続では財産をあげる人が亡くなると、自動的に財産をもらう人に財産が移ります。

あげる人が「あげます」という意思表示をしていなくても、また、相続人が「もらいます」と意思表示をしていなくても、相続は成立します。「財産をもらいたくない」という場合、つまり、相続をしたくない場合は、相続放棄をしないといけません。

贈与では、基本的に生きているときに、財産をあげる人が「あげます」と意思表示をします。さらに、財産をもらう人が「もらいます」と意思表示をすることによって贈与が成立します。

贈与では、財産をもらう人の「もらいます」という意思表示が不可欠です。

 

そのため、意志表示できる年齢などは1つの論点になります。

例えば、20歳の方が財産をもらう場合に、「もらいます」と意思表示することはごくごく一般的にあることです。しかし、1歳の子供(赤ちゃん)が「もらいます」と意思表示することは普通に考えてあり得ませんので、結果的に贈与とはなりません。

 

(4)贈与の種類とは?

ここまで、贈与については生前贈与を前提にお話してきましたが、贈与にはいくつかの種類があります。

 

➀生前贈与(通常の贈与)

下記➁~➃でお話する贈与以外の贈与が、この生前贈与になります。「贈与」といえば、この生前贈与を指すことが一般的です。

 

➁定期贈与(連年贈与)

連年贈与とは毎年繰り返される贈与のことです。例えば、「100万円贈与する」という単発の贈与契約を毎年繰り返す場合などは、まさしく連年贈与になります。

 

定期贈与とは、一定期間、一定の給付を目的として行う贈与です。つまり、連年贈与することをあらかじめ決めている贈与を定期贈与といいます。

例えば、「毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与する」という契約は定期贈与です。連年贈与を10年間繰り返せば、それは定期贈与であり、10年間で1000万円の贈与をすることになります。

古殿
古殿
この定期贈与については、下記のように国税庁のタックスアンサーで見解が述べられています。これは要注意点になります。

参考:国税庁HP「No.4402 贈与税がかかる場合」

 

つまり、毎年100万円ずつ10年にわたって贈与する形式をとっていたとしても、それが1,000万円の贈与をする目的であると認められた場合、1,000万円の贈与として贈与税課税されてしまうということです。

110万円以下の贈与であれば基礎控除内であるため、贈与税はかかりません。しかし、定期贈与である場合にはこのようなリスクを考える必要があります。

 

それでは、定期贈与と認定されないためにどのような対策ができるでしょうか?

あくまでも、事実に基づいて贈与契約書は作成されるべきですが、定期贈与と誤解されないために贈与契約書を毎年(その都度)作成すべきでしょう。そして、「毎年100万円ずつ」、「10年間にわたって」などという文言は絶対に避けるべきでしょう。贈与が始まった初年度だけ贈与契約書を作成し、毎年同額が贈与される場合、定期贈与として認定される可能性が高いです。

また、相続開始前3年以内の贈与については、相続財産に加味して相続税課税の対象になります。贈与税の課税対象にはならないため注意が必要です。

 

➂負担付贈与

「マンションを贈与するので、代わりに住宅ローンを払ってほしい」、これは負担付贈与になります。つまり、財産をもらう人に一定の債務(借金など)を負担させることを条件として行う贈与が負担付贈与となります。

よって、上記の「住宅ローン」の具体例の場合、財産をあげる人はマンションを贈与する義務を負います。また、財産をもらう人も住宅ローンを負担する義務を負うことになります。

仮に、財産をもらう人が住宅ローンを支払わない場合には、財産をあげる人はこの贈与契約を解除することができます。

また、負担付贈与の場合にも贈与税は発生しますが、その計算過程がポイントになります。考え方として、負担付贈与の場合、贈与財産から負担額を差し引いた金額に対して贈与税が課税されます。

マンションの住宅ローンを負担する場合、マンションの「価額」から住宅ローンの金額を控除した金額となります。

 

相続税法基本通達では、この「価額」を「売却時価」としています。つまり、その財産(マンション)を今売りに出した場合、いくらで売れるかということになります。そのため、売却時価はその時々によって金額が変わってきますし、同じ時点であってもマンションなどでは不動産業者の見積りによって幅が出てくることになります。

幅が出てくる場合、複数の不動産業者の見積りの平均値をとれば問題ないでしょう。場合によっては、ある特定の業者さんの見積価額を売却時価として使っても問題になることは少ないでしょう。

 

具体的に、上記の「住宅ローン」の場合、

{(マンションの売却時価-住宅ローン残高)ー基礎控除額}× 税率 ー 控除額

が贈与税額となります。

(贈与)税率については、下記の国税庁HPをご覧ください。

参考:国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

 

例えば、「父親名義のマンションを長男に贈与する場合、不動産鑑定士さんによって、そのマンションの売却時価が2,000万円であると鑑定されました。住宅ローンの残高は700万円です。」この場合、

{(2,000万円-700万円)-110万円 }×45%-175万円=360万5千円

結果として、このケースでは360万5千円の贈与税がかかることになります。

 

また、負担付贈与では、財産をあげた人にも譲渡所得税が発生する可能性があります。

上記の例で、父親が当初、マンションを購入した金額は1,000万円(=マンション購入資金は全て住宅ローンで支払った。)だったとします。父親は住宅ローンの残債でマンションを譲渡したものとして取扱うことになります。住宅ローンの残債額で売却したこととなるため、マンションの譲渡金額は700万円です。

また、マンションは当初1,000万円で取得しています。結果として、1,000万円で取得したものを700万円で売却したと考えるため以下の算式で計算します(話を分かりやすくするため減価償却はあえて考えません。)。

 

(700万円−1,000万円)×20.42%※=0円

このケースでは、マンション取得資金よりも譲渡金額が低いため譲渡所得税は発生しません。しかし、マンション取得資金よりも譲渡金額が高い場合、譲渡所得税が発生することになります。(話を分かりやすくするため減価償却はあえて考えません。)

 

※譲渡所得の税率は以下の通りです。

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったときの税額計算の際の税率は、所得税が15%、住民税が5%となります。

(注) 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納税します。

 

➃死因贈与

「私が死んだら、この家をあなたにあげます」これは死因贈与となります。この死因贈与は、財産をあげる人が死亡することにより効力が生じる贈与契約となります。

 

よく遺贈(遺言によって財産をあげる・もらう行為)と死因贈与を勘違いされる方がいらっしゃいます。死因贈与も贈与の1つですから、財産をもらう人の意思表示・承諾があってはじめて成立します。しかし、遺贈は財産をもらう人の承諾がなくても、財産をあげる人の一方的な意思表示で成立します。

そして、「死因贈与」は、相続と同じタイミング(贈与者が亡くなったとき)で発生しますので、贈与税ではなく相続税がかかります。

 

➄みなし贈与

税法でいう「贈与」は、民法でいう贈与よりも範囲が広く定められています。形式的には贈与していなくても贈与とみなされ、贈与税がかかる場合もあります。これを「みなし贈与」といいます。

例えば、父親から子供にマンションの名義を変更した場合、父子ともに贈与する意図がなくても、実態は父親から子供にマンションをあげたのと同じことになります。その結果、贈与税が課税されます。マンションなどの不動産の場合、その金額が大きいものとなってしまうため、財産をもらった人に対して多額の贈与税が発生してしまうリスクが高いです。

 

2.相続税の申告手続きについて

 

相続税を納める必要がある場合、税務署に相続税の申告書を提出する必要があります。ここでは相続税の申告手続きについて解説していきます。

 

(1)相続に関する手続きの流れ

相続が発生してから相続税の申告を行うまでの流れは下記の通りです。

 

相続発生(故人の亡くなった日)

  • 遺言書の確認
  • 相続人の調査・確認
  • 相続財産の把握

  • 遺産分割協議

  • 相続税計算

  • 遺産分割協議書作成

  • 遺産分割

  • 相続税の申告

 

なお、

  • 相続の放棄・限定承認の選択は相続発生から3ヶ月以内
  • 所得税の準確定申告は相続発生から4ヶ月以内

という決まりもありますので、ご注意ください。

 

(2)相続の放棄

①相続の放棄とは?

相続の放棄とは、プラスの財産(現預金など)もマイナスの財産(借金など)も、被相続人が残した遺産の全てを受け取らないという方法のことをいいます。それでは、どんな場合に相続の放棄を選択すればいいのか確認していきましょう。

プラスの財産(現預金など)とマイナスの財産(借金など)を比べたケースにおいて、マイナスの財産のほうが明らかに多いと判断できる場合、相続の放棄は有効な手段です。もし、被相続人が莫大な借金を残して亡くなった場合、残された相続人は何もしなければその借金を全て負担する事になります。

そのため、相続の放棄という方法があります。

 

②相続の放棄が認められない場合はあるのか?

裁判所へ相続放棄の手続きをして申述が却下されるケースはほとんどありません。しかし、以下の➀または➁に該当する場合は単純承認をしたものとみなされますので、注意が必要です。

なお、単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ方法をいいます。

 

  1. 相続人が相続財産の全部、または一部を処分した場合
  2. 相続の放棄をした後に、相続財産の全部、または一部を隠匿、消費したり、わざと財産目録に記載しなかった場合

 

仮にこの他のケースで相続放棄が却下された場合、2週間以内に「即時抗告」を行えば高等裁判所の再審理を求めることが出来ます。却下された際はなぜ却下されたのか理由を教えてくれないケースがほとんどであるため、弁護士や税理士に相談されるのが良いでしょう。

 

③相続の放棄の期限

相続の放棄の期限は3ヶ月です。

民法第915条は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に相続放棄限定承認単純承認を選ばないといけない」と規定しています

 

④「自己のために相続の開始があったことを知ったときから」とは?

相続の放棄の期限は3ヶ月ですが、被相続人が死亡した時から3ヶ月経過すると、どのような理由があっても相続の放棄はできなくなってしまうのでしょうか?

この期間のカウントは、被相続人の死亡を知らない限り開始しません。例えば、被相続人が死亡して3年後に死亡を知ったのであれば、そこから3ヶ月間は相続の放棄をすることができます。

 

また、被相続人に借金などのマイナスの財産があることを知らなかった場合はどのような取扱いになるでしょうか?

この場合、相続人が、「被相続人に相続財産が全くない」と信じたことにやむを得ない事由が認められる場合であれば、相続の放棄をしないことについて、正当な理由があると認められます。

よって、相続人が被相続人の借金の存在を知らなかったのであれば、死亡の事実を知っていても、相続放棄の「3ヶ月間」についてカウントが開始しません。

ただし、相続人の過失によって借金などのマイナスの財産に気づかなかった場合、相続の放棄をしなかったことについて正当な理由があると認められないおそれもあります。例えば、被相続人の自宅に債権者から督促の郵便が届いているにもかかわらず、相続人が郵便物をチェックしていなかったため3ヶ月が経過したというケースでは、相続の放棄は認められないでしょう。

よって、自分が相続人になったら被相続人の負債の状況を必ず調べるべきです。そして、もし借金などマイナスの財産があったらどのくらいの金額であるのかしっかりと調べましょう。

 

(3)限定承認

①限定承認とは?

「限定承認」とは、マイナスとプラスの財産が両方ともあった場合に、マイナスの財産がプラスの財産を超えない範囲で相続するという相続の方法です。例えば、「プラスの財産が100万円、マイナスの財産が200万円以上あると判明している場合」については、明らかに相続分がマイナスになります。よって、相続の放棄を選択すべきです。

しかし、「プラスの財産が100万円、マイナスの財産が200万円以上あると推測しているが、正確な額は不明の場合」は限定承認を選択すべきでしょう。

 

②限定承認のタイミング

プラスの財産よりもマイナスの財産が明らかに多いと判断できる場合は相続の放棄をすべきです。しかし、プラスとマイナスどちらが多いか不明の場合、相続したマイナスの財産を相続したプラスの財産から弁済し、相続人自身の財産で弁済する責任を負わないというものが限定承認です。

限定承認を行う場合、放棄の場合と同様に、「相続の開始を知ったときから3ヶ月以内」に

家庭裁判所に限定承認の申立てをする必要があります。

ただし、共同相続の場合は相続人全員の共同でなければ限定承認の申立てはできません。逆に言えば、相続人のうち1人でも反対する者がいれば、相続の放棄をするのが良いでしょう。

 

(4)所得税の準確定申告

①準確定申告とは?

一般的に、「確定申告」とは、1月1日から12月31日までの一年間の所得について、翌年の2月16日から3月15日までに申告を行います。しかし、「準確定申告」は別に期限が定められており、被相続人が準確定申告の対象者であるかどうかの判断基準は一般的な確定申告と基本的には同じ考え方です。

ただし、被相続人の場合、本人が死亡しており申告することができません。よって、相続人が被相続人の代わりに確定申告をすることになります。これを「準確定申告」といいます。

 

②準確定申告が必要なケース

準確定申告が必要な場合について、主要なものを下記にまとめました。被相続人が下記の➀~④にあてはまる場合、準確定申告が必要となります。準確定申告の対象者は一般的な確定申告のものと同様です。

 

  • 個人事業主
  • 給与所得と退職所得以外(副業など)の所得
  • 給与の年間収入が2,000万円以上
  • 同族会社の役員やその親族などで、給与の他に貸付金の利子や家賃なども受け取っていた場合

 

③準確定申告の期限

準確定申告については、相続人が相続を知った日の翌日から4ヶ月以内に行わなければなりません。

納税も同期間に行わなければなりません。遅れないようにくれぐれも注意しましょう。

 

相続税の申告書はどこで手に入る?

税務署が相続発生(被相続人の死亡)を把握した後、申告が必要と思われる場合には申告書が送られてきます。送られてきていない場合には国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

 

相続税の申告書はいつまでに提出する?

相続税の申告書には提出期限は相続の開始を知った日(故人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内です。

 

相続税の申告書はどこに提出する?

被相続人の亡くなった時の住所地を所轄する税務署長に提出します。

 

相続税の申告書の他に必要な書類は?

相続する財産の種類や控除の有無によって、添付が必要な書類は異なります。

ここでは、特例等の適用を受けない場合に必要となる書類について解説していきます。

  • マイナンバーを確認するための本人確認書類
  • 身元を確認するための本人確認書類
  • 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本
  • 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
  • 相続人全員の印鑑証明書

 

古殿
古殿
相続税の手続きに関しては多くの必要書類や煩雑な計算が伴うため、相続に詳しい税理士に相談をするのが無難でしょう。

 

3.相続税の計算方法

 

平成27年にあった相続税基礎控除額の改正以降、相続税の課税対象となる方は増加しています。

国税庁の下記HPには「相続税の計算方法」について記載がありますが、専門用語が多くよく分からないというのが本音だと思います。相続税の計算は非常に複雑なものとなっているからです。

参考:国税庁HP「No.4152 相続税の計算」

 

そこで、今回は、相続税の計算方法の概要について解説していきます。

 

(1)相続税の計算方法

相続税を計算するためには下記のような手順が必要です。

 

①相続税の課税対象となる遺産額を計算する

税額を計算するため、個々の相続人の相続する財産のうち課税対象となる相続財産(正味の遺産額とも言います)がどの程度あるのかを確認・確定させる必要があります。

  • ここでは相続人1人1人の相続する遺産額を計算している
  • プラスの財産もマイナスの財産も全て含める
  • 非課税となる財産も確認する

といったことに注意しましょう。

 

②相続税の基礎控除額を計算する

相続税には基礎控除(課税対象額を減額する制度)があります。相続する財産が基礎控除額より少ない場合には、相続税を納める必要がなくなります。

  • 相続税を納める必要がなくても、申告手続きは必要なケースもある

といったことに注意しましょう。

 

③相続税の課税遺産総額を計算する

①②で計算した金額をもとに、相続人全員分の課税対象となる相続財産を計算します。

  • ①と異なり、ここでは相続人全員分の正味の遺産額の合計金額を計算するといったことに注意しましょう。

 

④相続税を計算する

③で計算した相続税の課税遺産総額をもとに、相続人全員分の相続税の合計金額を計算する

  • 相続税の合計金額を計算する際には

法定相続人が法定相続分を相続した」と仮定して計算する

  • 各人の相続税を計算する際には、相続税の合計金額に

「各人が実際に相続した財産が課税遺産総額に占める割合」を乗じて計算する

といったことに注意しましょう。

 

それでは、簡単な具体例を用いて実際に相続税額を算出してみましょう。

 

<具体例>

課税財産9,000万円/被相続人は夫。相続人は妻・長男・長女/

実際の取得割合は、妻→6/10、長男→3/10、長女→1/10である場合。

 

法定相続分で分けた場合の妻の相続税額

9,000万円×1/2(法定相続割合)=4,500万円

4,500万円×20%(相続税率)-200万円(控除額)=700万円

 

法定相続分で分けた場合の長男の相続税額

9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円

2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円

 

法定相続分で分けた場合の長女の相続税額

9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円

2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円

 

<全体の相続税額>

700万円+287万5千円+287万5千円=1,275万円

 

具体例における家族の場合、全体の相続税額は1,275万円になります。この1,275万円のうち、妻・長男・長女それぞれが相続税をいくらずつ払わなくてはいけないのかを計算するのが次のステップです。

 

妻の相続税額

1,275万円×6/10(実際の取得割合)=765万円

 

長男の相続税額

1,275万円×3/10(実際の取得割合)=382万5千円

 

長女の相続税額

1,275万円×1/10(実際の取得割合)=127万5千円

 

さらに、「一定の条件をみたしている場合」、ここまでで算出した各人の相続税額から金額を差し引くことができます。これを「税額控除」といいます。

国税庁のHPにおいても、各種の税額控除について詳細の記載があります。

参考:国税庁HP「相続税の計算と税額控除」

 

税額控除は誰でも受けられるものではなく、相続人が一定の条件をみたしている場合だけ受けることのできるものです。

また、相続人1人1人に税額控除が適用されるため、例えば、具体例における妻に配偶者控除が適用されても、長男・長女まで適用される訳ではありません。

ただし、未成年者控除・障害者控除については、対象相続人の税額から控除できなかった部分は対象相続人の扶養義務者の税額から控除することができます。

税額控除を受けるためには相続税申告が必要となりますので、まずは税額控除を受けられる相続人がいるかどうか確認することとなります。相続税の計算をする際には計算ミスが無いかはもちろんのこと、相続財産をすべて計算に含めているかどうかにも気をつけなければなりません。

古殿
古殿
万が一、申告した税額に誤りがあった場合には追徴課税が発生する可能性もありますので、専門家である税理士に依頼したほうが無難なことは間違いありません。

 

4.相続は贈与よりも得をする?

 

よく聞く相続税対策の1つとして生前贈与が挙げられます。「1.相続と贈与とは?」でも紹介した通り、相続と生前贈与の違いは財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

相続・贈与のいずれにせよ税金が課税されますが、生前贈与は本当に相続税よりもお得になるのでしょうか?

 

(1)贈与税の税額について

そもそも贈与税という税金が存在している理由は「生きている間に家族に財産を譲ってしまえば相続税を払わなくて済む!」という考えの人が少なからず出てきてしまうため、そういった人々からも平等に税金を徴収するためです。

 

こうした考え方から、本来であれば

相続税 ≦ 贈与税

となるべきなのですが、現在は贈与税の非課税制度が設けられているため、相続よりも贈与の方が納税額を抑えることができることがあります。

 

(2)贈与税の非課税制度について

贈与する財産のうち、非課税扱いになるのは次のような場合です。

 

法人から贈与を受け取得した財産

贈与税は個人から贈与受ける場合に課税される税金であるため、法人から贈与を受けた場合には贈与税はかかりません。かわりに所得税が課税されます。

扶養義務者から生活費または教育費として取得した財産

ここでの生活費とは通常の日常生活に必要な費用、教育費とは学費・教材費・文具費などを指します。

これらには贈与税はかかりません。ただし、「生活費」「教育費」の名目で財産を受け取った後、別の目的で使用した場合には贈与税がかかります。

公益を目的とする事業に使われる財産

宗教、慈善、学術など、公益を目的とする事業に使われることが確実なものには贈与税はかかりません。

個人から受け取った香典、花輪代、お年玉、見舞い金などの財産

上記のような金品に関しては、社会通念上相当の金額であれば贈与税はかかりません。

(例えば、100万円をお年玉として受け取った場合には贈与税がかかる可能性が高くなります。)

直系尊属(父母・祖父母)から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金とは、居住用の家を新築・取得・増築するための資金のことを指します。

高額なケースが多いですが、一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

直系尊属(父母・祖父母)から一括贈与を受けた教育資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金と似ていますが、例えば高校や大学の入学資金などは一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

 

(3)贈与は相続よりも得をする?

様々な状況やケースが考えられるため、一概に「贈与は相続よりも得をする」とは言えませんが、贈与の方が得をするケースがあることも事実です。

 

①贈与税の計算について

贈与税を計算する方法は、①「暦年課税方式」と②「相続時精算課税方式」の2種類から選ぶことができます。贈与税や相続税の課税の仕組みを理解すれば、税金を減らすことも可能となります。

まずは、この2つの方式を見てみましょう。

 

暦年課税方式とは

毎年1月1日から12月31日までの1年の間にもらった財産の合計額から贈与税を計算します。その合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた金額に税率を乗じて贈与税額を求めます。

 

計算方法

(贈与財産(時価評価額)- 110万円)× 税率 - 控除額 = 贈与税額

※贈与財産が不動産などの場合は一定の方法により時価評価額を算定します。

※相続開始3年以内に被相続人からの贈与財産がある場合、 その贈与財産は相続財産とみなされ相続税の計算対象になります。贈与税課税の対象ではありません。

贈与税率については、下記の国税庁のHPをご参考ください。

国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

 

(計算例)

  • お一人から100万円の贈与があった場合

(100万円 - 基礎控除額110万円)× 10% = 0円

  • お一人から600万円の贈与があった場合 (一般贈与財産)

(600万円 - 基礎控除額110万円)× 30% - 65万円 = 82万円

  • 10人の方からお一人100万円ずつ合計1,000万円の贈与があった場合 (一般贈与財産)

(1,000万円 - 基礎控除額110万円)× 40% - 125万円 = 231万円

 

基礎控除額110万円以内の贈与ですと、税負担をすることなく財産の移転が可能となります。

また、この基礎控除額110万円は毎年利用することが可能です。仮に、相続人3人に10年間110万円ずつ贈与をすれば、110万円×3人×10年=3,300万円もの資産を税の負担をすることなく移転することが可能です。

 

相続時精算課税制度とは

贈与を受けたときに、一律の税率(20%で贈与税を計算納付して、その贈与をした方が亡くなった時に相続税で精算を行う制度です。

分かりやすく言い換えると、相続時点において、贈与した財産も含めて相続税を計算し、その相続税から「支払った贈与税」をマイナスする方法です。

また、「支払う贈与税」を計算する際には、2,500万円まで特別控除の枠があるので贈与税はかかりません。そして、2,500万円の枠を超えた贈与額に対して一律の税率20%を掛けて贈与税額を計算します。

 

注意点として、この2,500万円の特別控除枠は、一年間あたりの枠ではなく、相続時精算課税制度を使って贈与をした累計額に対する枠となりますのでご注意ください。2,500万円に達するまでは何度でも税の負担をせずに贈与が行えることになります。

 

(計算例) 下記1年目から3年目まで、全て同じ贈与者から相続時精算課税制度を使って金銭の贈与を受けた。

  • 1年目

1,500万円の贈与を受け取った。

(1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=0円

  • 2年目

1,500万円の贈与を受け取った。

1年目    2年目

(1,500万円+1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=100万円

  • 3年目

2,000万円の贈与を受け取った。

※2年目までで特別控除額を使い切っているため、前年までの贈与金額をマイナスします。

前年までの総額  3年目  前年までの総額

(3,000万円 + 2,000万円 - 3,000万円)× 20% = 400万円

 

ちなみに、相続時精算課税制度は誰でも利用することができるのではなく、「贈与者」は60歳以上の親又は祖父母、「受贈者」は20歳以上の子又は孫という要件があります。

また、相続時精算課税制度を一度選択すると、同じ贈与者からの贈与は暦年課税に変更することができませんのでご注意ください。

 

②相続時精算課税制度は相続税対策になる?

相続時精算課税制度は、結果的に贈与財産が相続税で清算されるので、相続税対策にはならないように見えるかもしれません。しかし、

  • 「時価が上昇する財産」
  • 「収益不動産など収益を生む財産」

などについては、効果を発揮します。

 

①「時価が上昇する財産」については、 相続時点において贈与時の時価をもって財産が評価されるため、実際の被相続人の死亡の時点よりも低い評価額で財産を移すことができます。結果的に、相続税対策となります。

 

②「収益不動産など収益を生む財産」については、贈与者から受贈者へ財産を早期に贈与することによって、財産から生じる家賃などを被相続人の相続財産から除外することができます。結果的に、その分相続財産を減らすことができ、相続税対策となります。

相続時精算課税制度を利用し、贈与した財産の相続税を計算する場合の時価は、相続発生時の時価ではなく、贈与した時の時価で計算することがポイントになります。つまり、相続時精算課税制度を使った相続税対策は、「財産評価のタイミングが異なること」を利用した節税対策となるわけです。

 

相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度には、デメリットもあります。

  • 一度、相続時精算課税制度を選択すると暦年課税に戻すことができない
  • 年齢や対象者など要件がある
  • 贈与の都度、金額に関わらず贈与税の申告が必要になる
  • 相続時に小規模宅地等の特例が受けられない

 

などです。

 

(4)まとめ

相続は突然やってきます。相続税の計算は亡くなった方(被相続人)の相続発生時の財産すべてが対象となりますので、少しでも生きている間に財産を少なくすることで相続税への対策をとることは非常に有効です。

それに引きかえ、生前贈与は生きているうちに計画的に行うことができます。

これにより相続税の軽減対策が可能になります。その1つとして、相続時精算課税制度の選択が有用なこともあるでしょう。

 

また、暦年課税制度も毎年110万円の基礎控除額があります。毎年この基礎控除内での贈与を繰り返して行っていくことにより、相続発生時の財産を少なくすることが可能です。

また、【贈与税の非課税制度】を利用することにより、多くの財産を税の負担をすることなく次世代に移転する手もあります。

 

一例として、以前のコラムでもご紹介した

  • 「住宅取得等資金の非課税制度」
  • 「教育資金一括贈与の非課税制度」
  • 「結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度」

などがあります。

 

一方で、相続税にも多くの優遇措置があります。被相続人の財産の金額や種類、また相続人の人数などによって相続税と贈与税は「どちらがお得」とは言えないのが実情です。

贈与税は相続税の補完税としての役割であり、相続税と贈与税は表裏一体のものです。「どちらがお得」ではなく、両者の仕組みを理解してトータルに試算していくことが重要になってきます。

古殿
古殿
トータルに試算するためには、税理士の存在は不可欠であり、迷わず相談するべきでしょう。特に、相続税・贈与税の優遇措置を利用することにより税金が数百万円・数千万円変わってくることも少なくありません。

 

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2017/12/29 相続と贈与【単純承認と限定承認とは】

相続の承認とは「被相続人(亡くなった方)の財産を相続すること」を意思表示することです。プラスの財産だけでなくマイナスの財産も全て引き継ぐ『単純承認』と、相続財産の範囲でマイナスの財産を負担する『限定承認』について詳しくご説明します。
 

古殿
古殿
前回は相続放棄について解説しました。今回は相続の承認についてわかりやすく解説していきます。

 

1.相続の承認

相続の承認とは「被相続人(亡くなった方)の財産を相続すること」を認めることです。

この相続の承認には「単純承認」「限定承認」という2つの方法があります。

 

2.相続の単純承認

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産(借金・債務等)も全て、無条件で相続することを認めることを相続の単純承認と言います。

マイナスの財産が全くない場合、もしくはマイナスの財産がプラスの財産よりも明らかに少ない場合には単純承認をします。

相続放棄と異なり、単純承認を選択した場合には手続きは必要ありません。

 

3.相続の限定承認

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行被相続人の財産の範囲内でのみ、債務を負担して相続の承認をすることを相続の限定承認と言います。

つまり、マイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合には相続せず、プラスが多かった場合に限り相続を承認するという方法が「限定承認」です。

プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか不明な場合等にこの限定承認を選択します。

相続開始時に財産や債務がどの程度になるかわからない場合に限定承認を選択しておけば、相続によって債務を抱えるという事態は避けられます。

限定承認を選択するには、相続人全員が限定承認を希望している必要があります。
 
相続人のうち1人でも限定承認を希望しない人がいる場合には、限定承認は成立しないため注意しましょう。

古殿
古殿
相続の放棄と同様、限定承認を選択する際にも手続きが必要です。

 

(1)相続の限定承認の手続きの期限

相続の限定承認の手続きの期限は、原則として相続開始を知った日から3か月以内です。

(2)相続の限定承認の手続きを行う場所

相続の限定承認の手続きは被相続人の亡くなった時の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。

(3)相続の限定承認に必要な書類

相続の限定承認の手続きには「相続の限定承認の申述書」の提出が必要です。書式は裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

相続の限定承認の申述書

また、添付書類として、下記のような書類も必要となります。

【標準的な申立添付書類】

  • 手続きを行う本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 手続きを行う本人の住民票又は戸籍附票

 

【全員】

  1.  被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2.  被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  3.  申述人全員の戸籍謄本
  4.  被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 

【相続人が配偶者+父母または祖父母等(直系尊属)の場合】

  1. 被相続人の直系尊属のうち、相続人と同じ代かそれより下の代で既に亡くなっている方がいる場合、その方の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【相続人が被相続人の配偶者のみの場合,又は被相続人の配偶者と兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)の場合】

  1. 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2. 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  3. 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  4. 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 

なお、期限までに限定承認の手続きをしなかった場合、自動的に単純承認を選択したものとした取扱いとなります。

 

4.限定承認のメリット・デメリット

 

(1)メリット

限定承認は、プラスの財産の範囲内だけで相続財産を相続する方法です。

メリットとしては、以下のものが挙げられます。
 
①プラスの相続財産だけ引継ぐことができる。

相続ではプラスの財産がマイナスの財産より多ければ、相続を承認して(単純承認)、残った財産を遺産分割します。
 
しかし、マイナスの財産のほうが多い場合、借金の返済をしなければならなくなってしまうかもしれません。被相続人の借金の額が分からない場合に限定承認をすると、もし、借金の額が財産の額より多かった場合、その財産以上にある借金は切り捨てられ返済しなくてもよくなります。

②特定の財産だけ引継ぐことができる。

例えば、マイナスの相続財産が多い場合に相続放棄をすると、自宅財産の相続権も失ってしまいます。このような場合には、限定承認を利用して、自宅の価額を支払うことで自宅を確保できる場合があります。

③少ない人数の手続で相続を終わらせることができる。

相続放棄をすると、次の相続人に相続権が移るため、その相続人も相続放棄の手続をしなければなりません。限定承認を選択すると、承認した者のみで手続を進めることができます。

 

(2)デメリット

限定承認は、マイナスにならないというお得感がある感じの方法ですが、以下のようなデメリットもあります。実務的には利用されるケースが少ないの現状です。

①相続人全員で行わなければならない。

相続人が複数いる場合、相続人全員で手続を行わなければなりません。相続人のうち誰か1人でも同意しない場合、限定承認を利用することはできません。

ただし、相続放棄をした相続人がいるときには、その人ははじめから相続人でなかったとみなされるので、残りの相続人だけで限定承認の手続をすることができます。

②限定承認の手続には期限がある。

限定承認の手続は、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申し立てをして行わなければなりません。3か月を過ぎると単純承認したものとみなされます。

③みなし譲渡所得税が発生する。

詳細は後述させていただきます。

④手続が複雑で大変。

限定承認は、単純承認や相続放棄とくらべて、手続が複雑です。財産の調査、共同相続人全員との連携、家庭裁判所に申述など。

古殿
古殿
家庭裁判所に受理された後も、官報への公告や相続財産の管理・換価などといったような手間もかかります。

 

5.限定承認に係る税務

(1)みなし譲渡課税

限定承認の場合、相続開始日に被相続人が全ての財産を相続人に「時価」で譲渡したものとみなし、譲渡所得税が課されます。

譲渡所得税は、譲渡価額(時価)からその資産の取得費、譲渡費用を差し引いた金額に課税がされます。

この譲渡所得税は被相続人の債務となるので、相続税の計算をするときに債務として控除することとなります。また、譲渡所得は、被相続人の準確定申告(相続の開始があったことを知った日から4か月以内)をする必要があります。

 

税率は以下のとおりです。
 
・長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの)

所得税15% 住民税5% 合計20%
 
・短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの)

所得税30% 住民税9% 合計39%

(注)平成49年までは別途復興特別取得税2.1%がかかります。

なお、譲渡所得の計算上、下記の特例は適用できませんので注意が必要です。(居住用財産の3,000万円特別控除、居住用財産の譲渡所得に係る軽減税率 など)
 
譲渡所得税が発生するものとしては、時価の値上がりがみられる不動産が中心です。何十年も不動産を所有していれば、その間に時価が上昇して取得したときよりも高額になっていることも少なくないでしょう。自宅不動産については譲渡所得税が発生することも多いと思われます。

(例)被相続人が1,000万円で取得した自宅(土地建物)の時価が2,000万円になっている場合。(長期譲渡所得とする。)
 
譲渡所得税・住民税(復興特別所得税を除く)

時価2,000万円-取得費1,000万円=1,000万円  1,000万円×20% ⇒200万
 
つまり、この例では、被相続人に200万円の債務が加算されます。ただし、財産<借金 の場合は、譲渡所得税が加算されても、財産以上の債務が増えることはありません。
 

(2)準確定申告

被相続人が死亡した年に所得があれば、所得税がかかります。そのため、被相続人についても確定申告をする必要があります。

ただ、亡くなってしまった人が自分で確定申告をすることはできませんので、相続人が代わりに確定申告をします。以前のコラムでも説明しましたとおり、これを「準確定申告」といいます。
 
被相続人が亡くなったときは相続税のことで頭がいっぱいになりがちですが、所得税(準確定申告)のことも忘れないように注意が必要です。

「準確定申告」といっても、内容は確定申告とほとんど変わりません。異なる点は、準確定申告の所得と税額の計算期間は、1月1日から被相続人が亡くなった日までとなります。

また、申告期限は、被相続人が亡くなった日(相続を知った日)の翌日から4か月以内です。
 
準確定申告で納付した税金は、亡くなった人の払うべき税金(債務)です。そのため、準確定申告によって納めた所得税は、相続財産から控除できます。計算結果として、還付があった場合、相続財産に加算されます。
 

古殿
古殿
弊社では経理代行を承っておりますが、相続や贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

 

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2017/12/22 相続放棄とは?方法と手順、注意点などを詳しく解説【相続と贈与】

相続放棄とは相続時に「相続税の負担が大きいことが明確な場合」や「マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合」等、何らかの理由で相続をしたくない場合に選択できる方法です。

相続放棄で注意すべきポイントとしては、原則として撤回や取り消しはできないことや、全ての相続財産を手放さなければいけないこと、相続放棄をした人の子は相続人にはなれないことなどがあります。

また、相続放棄をした場合の税金の扱いについて、所得税、住民税、固定資産税それぞれで異なるためこちらも注意が必要です。
 

古殿
古殿
前回までは、法定相続人の範囲と法定相続分について解説してきました。この記事では、相続放棄についてわかりやすく解説していきます。

 

1.相続放棄

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

 
相続する財産にはプラスの財産マイナスの財産(借金等)があります。

ドラマ等の影響からか、相続をすると大きな財産が手に入ると思いがちですが、実際には相続財産に対して相続税が課せられたり、マイナスの財産が多かったりということもあります。

「相続税の負担が大きいことが明確な場合」や「マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合」等、何らかの理由で相続をしたくない場合には相続放棄をすることが可能です。
 

 

2.相続放棄の方法

 
相続放棄をするためには所定の手続きが必要です。

いつまでに、どこに、何を、どのように提出すればいいのかわかりやすく解説してきます。

 

(1)相続放棄の手続き期限

相続放棄の手続きの期限は、原則として相続開始を知った日(被相続人が亡くなった日)から3か月以内です。

(2)相続放棄の手続きを行う場所

相続放棄の手続きは被相続人の亡くなった時の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。

(3)相続放棄に必要な書類

相続放棄の手続きには「相続の放棄の申述書」の提出が必要です。書式は裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

相続の放棄の申述書には<20歳未満用>と<20歳以上用>の2種類があるので注意しましょう。

相続の放棄の申述書(20歳以上)はこちら(裁判所HPに移動します)

相続の放棄の申述書(20歳未満)はこちら(裁判所HPに移動します)
 

相続放棄で注意すべきポイント

相続放棄をした人の子は相続人にはなれませんのでご注意ください。
経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行
(赤の四角は相続人になれません。)
 
家庭裁判所に相続の放棄の申述書を提出すると審判が行われ、問題が無ければ「相続放棄申述受理証明書」が交付されます。
マイナスの財産を相続したくない場合以外に、父が営んでいた家業を息子や娘が継ぐため、他の兄弟が相続放棄をする場合もあります。

古殿
古殿
ただ、こういった場合には相続放棄をせずとも、遺産分割協議の段階で分割を辞退すれば問題はありません。

 

3.相続放棄した場合の税金

 
(1)相続放棄をした人は、最初から「相続人でなかった」ことになり、相続については無関係であったものとみなしてもらえます。

そのため、原則として、相続税だけでなくその他の税金の支払義務についても免れることが可能になります。 

所得税

相続放棄をした場合は、被相続人の所得税について申告や納税の義務はありません。相続放棄をしなかった場合は、「準確定申告」という被相続人の代わりに確定申告を行う手続きが必要となります。

被相続人に確定申告義務がある場合には所得税の確定申告が必要ですが、年の途中で亡くなった場合、被相続人に代わって誰かが所得税の申告を行わなくてはならないためです。相続人が複数いる場合、共同で準確定申告を行うこととなります。

住民税

相続放棄をした場合は、被相続人の住民税についても納税の義務はありません。相続放棄をしなかった場合、被相続人が納めていなかった住民税がある場合には相続人となる人が納めなくてはなりません。

5月頃に「相続人代表者指定届」を提出するよう市区町村から相続人に対して通知が届きます。「相続人代表者指定届」の中で指定した人に被相続人の住民税の決定通知書が送られることになります。住民税の決定通知書は毎年5~6月に発送されます。

固定資産税

固定資産税についても、相続放棄をした場合には支払義務はありません。ただし、被相続人の亡くなったタイミングによっては、「いったん相続人が立替えて納税した上で、本来の納税義務者に対して立替分を返すように請求する」という形をとらざるを得ないこともあります。

相続放棄をしている場合であっても、1月1日時点で固定資産課税台帳に名前が載っている場合、納税をしなくてはなりません。

 

(2)「もし間違って納税してしまったら??」

相続放棄をしたことにより、所得税や住民税の納税義務がないのに納税をしてしまった場合には、還付の請求を行うことができます。ただし、市役所や税務署は徴収しすぎた分については基本的に教えてくれません。納め過ぎた税金を返してほしい時は、返してもらえるように請求を行わないといけません。

所得税については「更正の請求」という方法で税務署に申告書を提出します。更正の請求の期限は5年間になります。住民税は所得税の申告に基づいて市役所側が計算をして通知をしてくれるのが原則です。税務署への申告を行なった後に市役所側から過誤納金の通知書が届くことが多いです。

 

4.生命保険金

 

(1)生命保険金の取扱い

相続放棄をした場合でも、親族が亡くなったことによる生命保険の保険金は受け取ることができます。生命保険金は被相続人の「相続財産」ではなく、受け取った人の財産とみなされます。(これを「みなし相続財産」といいます)

下記のケースでは、相続放棄をしていても相続税が課税される場合があります。

  • 保険料支払者…被相続人
  • 被保険者…被相続人
  • 保険金受取人…他者
古殿
古殿
例えば、夫が自分を被保険者とする生命保険に加入しており、保険料も夫が支払っている場合で、夫が亡くなった時に配偶者が保険金を受け取った場合などが該当します。

 

(2)生命保険金の非課税枠

生命保険金の非課税枠とは、相続税の計算上「500万円×法定相続人の数」で計算した金額を、受け取った保険金の金額から差し引いて計算するというものです。

例えば、親族が亡くなった時に5,000万円の生命保険金を受け取ったとします。

被相続人に配偶者と子供2人(長男と長女)の計3人の法定相続人がいた場合、非課税枠は「500万円×3人=1500万円」となり、受け取った保険金5,000万円からの非課税枠1,500万円を差し引いた3,500万円を基に相続税を計算していきます。

 

(3)相続放棄した場合の非課税枠

相続放棄した場合の非課税枠は相続人の中に相続放棄をした人がいる場合、計算の方法が少し特殊になります。

  • 相続放棄をした人は非課税枠の適用はできません。
  • 非課税枠を計算するうえでの人数にはカウントされます。
  • 非課税枠は相続放棄した人以外で按分して適用します。

(例)法定相続人は配偶者と子供2人(長男と長女)の計3人、生命保険金は各人とも2,000万円で、長男が相続放棄をした場合

  • 全体の非課税枠は、500万円×3人⇒1,500万円
  • 配偶者と長女の割合は、2,000万円/2,000万円+2,000万円=1/2
  • 配偶者の非課税枠 1,500万円×1/2 ⇒750万円
  • 長女の非課税枠  1,500万円×1/2 ⇒750万円
  • 長男の非課税枠  0円(なし)

課税の対象となる生命保険の金額は、

  • 配偶者 2,000万円-750万円 ⇒1,250万円
  • 長男  2,000万円(非課税枠なし)
  • 長女  2,000万円-750万円 ⇒1,250万円

 

5.【相続税の計算】

 相続税には、基礎控除という非課税枠があります。基礎控除の額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めます。
上記の例ですと、法定相続人が3人なので、

「3,000万円+600万円×3人」⇒ 4,800万円となります。
 
相続放棄があったとしても、生命保険の非課税枠と同様に法定相続人の数にはカウントします。さらに、生命保険金の非課税枠が1,500万円あるので、合計6,300万円までは相続税はかかりません。

結論、相続放棄をして生命保険金を受け取った場合、受取人には相続税の支払義務があります。しかし、生命保険金を含めた全ての相続財産の合計額が「基礎控除と生命保険金の非課税枠の合計額」以下なら、相続税はかからないことになります。

弊社では経理代行を承っておりますが、相続贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

古殿
古殿
相続贈与に関して困っている方や、さらに詳しく知りたい方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

 

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2017/12/15 法定相続分とは?どの相続人がどれくらい遺産をもらえるの?【相続と贈与】

法定相続分とは、民法で定められている各相続人が相続できる割合のことを言います。法定相続人により相続できる割合が異なるため、注意が必要です。

また、民法と相続税法で「法定相続分」に違いが出ることがあります。例えば、子の1人が相続放棄をした場合や養子の数によって違いが出ます。相続税法では相続税の計算をする際、課税遺産総額を法定相続分どおりに取得したものとみなして各法定相続人の税額を計算し、その税額の合計額を相続税の総額とします。

古殿
古殿
前回は法定相続人について解説しました。この記事では、法定相続人と関連して法定相続分についてわかりやすく解説していきます。

 

1.【法定相続分とは】

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

法定相続分とは、民法で定められている各相続人が相続できる割合のことを言います。

法定相続人により相続できる割合が異なるため、注意が必要です。

 

法定相続分に基づいて計算すると、各相続人が相続できる割合は下記のとおりです。

 

 

①配偶者と子ども(または孫)が相続人の場合

配偶者=1/2 (孫を含む)子ども全員=1/2

②配偶者と被相続人の父母・祖父母(直系尊属)が相続人の場合

配偶者=2/3 直系尊属全員=1/3

③配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合

配偶者=3/4 兄弟姉妹全員=1/4

なお、子ども、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いる場合には、均等に分けることが原則です。

古殿
古殿
文章だけでの説明では理解しにくいため、いくつか例を挙げてみましょう。

(例1)相続する資産が1200万円で、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人の場合

配偶者の法定相続分=1200万円×1/2=600万円

子ども1人の法定相続分=(1200万円×1/2)÷2=300万円

 

(例2)相続する資産が1200万円で、法定相続人が配偶者と被相続人の父・母の計3人の場合

配偶者の法定相続分=1200万円×2/3=800万円

被相続人の父・母それぞれの法定相続分=(1200万円×1/3)÷2=200万円

 

(例3)相続する資産が1200万円で、法定相続人が配偶者と被相続人の兄・姉・妹の3人の場合

配偶者の法定相続分=1200万円×3/4=900万円

被相続人の兄・姉・妹それぞれの法定相続分は(1200万円×1/4)÷3=100万円

 

法定相続分は、遺産分割協議で誰がどれだけ相続するのか話しあっても全員の納得を得ることができない時に用いられる割合です。

古殿
古殿
遺産分割協議で誰がどれだけ相続するのか全員が納得すれば、法定相続分に関係なく自由に遺産を相続することができます。

 

2.民法と相続税法の法定相続分の違い

民法と相続税法で「法定相続分」に違いが出ることがあります。

例えば、子の1人が相続放棄をした場合や養子の数によって違いが出ます。

相続税法では相続税の計算をする際、課税遺産総額を法定相続分どおりに取得したものとみなして各法定相続人の税額を計算し、その税額の合計額を相続税の総額とします。

この計算の際、相続放棄はなかったものとして計算をしたり、養子の数に上限があったりと一定のルールに基づき相続税の総額を算出します。

古殿
古殿
このため、民法でいう法定相続分の考え方と違いが出てきます。

 

(1)相続放棄をした場合

 

(例)課税遺産総額が2億円、相続人が配偶者、子2名でうち1名が相続放棄をした場合
 
➀考え方

<民法>

民法の法定相続分は、配偶者が1/2、相続放棄をしていない長女が1/2となり、相続放棄をした長男の法定相続分は無しとなります。また、長男に子(被相続人の孫)がいたとしても、その孫に相続権は移りません。

<相続税法>

相続税法の場合、相続人が相続放棄をしたか否かは考慮しないで、相続税の計算を行います。よって、法定相続分は配偶者が1/2、相続放棄をした長男も相続放棄をしていない長女も法定相続分はそれぞれ1/4となります。

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

 

➁実際の相続税の総額計算

<民法>

  • 配偶者:2億円×法定相続分1/2=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円
  • 子1人あたり:2億円×法定相続分1/2×1人=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円

合計:2,300万円+2,300万円 ⇒4,600万円

 

<相続税法>・・・相続放棄はないものとするため子の人数は2名となる

  • 配偶者:2億円×法定相続分1/2=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円
  • 子1人あたり:2億円×法定相続分1/2×1/2人=5,000万円 5,000万円×税率20%-控除額200万円 ⇒800万円

合計:2,300万円+800万円×2人 ⇒3,900万円
 
民法上の相続税と相続税法上の相続税の差額 ⇒民法4,600万円-相続税法3,900万円=700万円

 

(2)養子がいる場合

(例)課税遺産総額が2億円、相続人が配偶者、実子1名、養子2名の場合

➀考え方

<民法>

民法の法定相続分は、養子が何人いても、実子と養子の合計人数で均等に按分します。被相続人に実子1人と養子が2人いた場合は、配偶者が1/2、実子も養子もそれぞれ1/6(※)の割合となります。

※子の一人あたりの法定相続分・・・1/2×1/3 ⇒1/6

 

<相続税法>

前回のコラムでもご説明したとおり、相続税法の場合、相続税の計算の中で「基礎控除の計算」や「生命保険金等の非課税枠の計算」に法定相続人の数を用います。これらの計算過程の中で、税逃れのため、恣意的に養子の数を増やすことも考えられます。

よって、相続税の計算過程においては、養子は実子がいない場合は2人まで実子がいる場合は1人までしか、考慮できません。
 
被相続人に実子1人と養子が2人いた場合は、養子は1人までしか考慮できません。よって、子の人数は2人となり、法定相続分は、配偶者が1/2、実子と養子1名がそれぞれ1/4(※)の割合となります。

※子の一人あたりの法定相続分・・・1/2×1/2人(=3人-養子1人) ⇒1/4

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➁実際の相続税の総額計算

<民法>・・・養子の人数に制限なし

  • 配偶者:2億円×法定相続分1/2=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円
  • 子1人あたり:2億円×法定相続分1/2×1/3人=3,333万円 3,333万円×税率20%-控除額200万円 ⇒466万円

合計:2,300万円+466万円×3人 ⇒3,698万円

 

<相続税法>・・・子の人数は実子1名と養子1名の合計2名となる。

  • 配偶者:2億円×法定相続分1/2=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円
  • 子1人あたり:2億円×法定相続分1/2×1/2人=5,000万円 5,000万円×税率20%-控除額200万円 ⇒800万

合計:2,300万円+800万円×2人 ⇒3,900万円

民法上の相続税と相続税法上の相続税の差額 ⇒民法3,698万円-相続税法3,900万円=202万円

古殿
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実際の各相続人の相続税額は、相続税の総額を、各人の相続した財産額に応じて按分したり、配偶者控除などを加味して計算することになります。

 

3.配偶者控除

(1)配偶者が相続等により財産を取得した場合

配偶者が相続等により財産を取得した場合、配偶者控除を差し引いた上で相続税額を計算します。

具体的には、

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額まで

のいずれか多い金額が控除の額となります。

配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、上記のいずれか多いほうの金額を超えなければ、配偶者に相続税はかかりません。
 
この配偶者控除は、婚姻期間に関係なく適用できます。極端な例ですが、1日でも正式な婚姻関係があれば配偶者控除が適用できます。また、配偶者控除を受けるためには、申告期限までに相続税の申告書の提出が必要となります。

 

(2)配偶者控除を受けるための必要書類

 

 

弊社では経理代行を承っておりますが、相続贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

古殿
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2017/12/08 【相続・贈与】法定相続人とは?相続人の範囲と法定相続分などを解説

法定相続人とは、民法で定められている相続財産を継承することができる親族のことです。相続人と法定相続人は似ていますが、相続人とは「遺産を実際に相続する人」や、「遺産を相続する権利のある人」を意味 しており、「法定相続人」は、「遺産を相続する権利のある人」のことと解釈できます。

古殿
古殿
この記事では、相続をする際や相続税の計算の場面等でしばしば登場する、法定相続人についてわかりやすく解説していきます。

 

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

 

1.法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定められている相続財産を継承することができる親族のことを指します。

法定相続人となることができるのは下記のような人です。

①亡くなった方の配偶者

亡くなった方の配偶者は常に相続人となります。ただし、内縁関係にある人(婚姻届けを出していない人)は相続人にはなれません。

①以外の方に関しては下記の順で配偶者と一緒に相続人になります。

②亡くなった方の子ども

  • 亡くなった方の子どもが既に亡くなっている場合はその子ども、孫が相続人となる
  • 子ども、孫の両方がいる場合は亡くなった方により近い世代を優先する

③亡くなった方の父母・祖父母(直系尊属)

  • ②の該当者がいない場合に相続人となる(②に該当する人が1人でもいる場合には、相続人にはなりません)
  • 父母も祖父母もいる場合は亡くなった方により近い世代を優先

④亡くなった方の兄弟姉妹

  • ②③の該当者がいない場合に相続人となる(②③のいずれかに該当する人が1人でもいる場合には、相続人にはなりません)
  • 亡くなった方の兄弟姉妹が既に亡くなっている場合はその子供が相続人となる

亡くなった方が独身である場合や配偶者が既に亡くなっている場合など、配偶者がいない場合には②→③→④の順に相続人となります。

図で表すと下記のようになります。
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※括弧の付いた人は、括弧の付いていない人が亡くなっている場合に相続人になる人

言葉のみでの説明では少しややこしいため、いくつか例を挙げておきます。(青の四角が法定相続人となります。)

(例1)亡くなった方(被相続人)の配偶者、子、孫の全員が健在の場合

→法定相続人は配偶者と子2人の計3人 (孫は法定相続人ではない)
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(例2)亡くなった方(被相続人)には子が2人いたが、内1人は孫を残し既に亡くなっている場合

→法定相続人は配偶者、子B、孫の計3人
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(例3)亡くなった方(被相続人)の配偶者が既に亡くなっており、子と孫は健在の場合

→法定相続人は子2人(孫は法定相続人ではない)
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(例4)亡くなった方(被相続人)には子がおらず、父母、祖父母全員が健在の場合

→法定相続人は配偶者、父、母の計3人(祖父母は法定相続人ではない)
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(例5)亡くなった方(被相続人)には配偶者はいるが子はおらず、 父母・祖父母は既に亡くなっており、長兄も子を残して亡くなっている場合

→法定相続人は配偶者、次兄、長兄の子の計3人
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2.相続人と法定相続人の違い

相続人と法定相続人、よく似たような意味合いに感じますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

まず、「相続人」とは、広い意味があり解釈に迷うとこもありますが、「遺産を実際に相続する人」や、「遺産を相続する権利のある人」を意味すると言えます。

なぜなら、「遺産を実際に相続する人」は当然、相続人と言えますし、相続する権利はあっても、遺産を相続しない人のことも相続人と言えるからです。

これに対して、「法定相続人」は、「遺産を相続する権利のある人」のことと解釈できます。遺産を実際に相続したか、放棄したかは関係ありません。「法定相続人」を規定することにより、 広い意味のある「相続人」と区別することできます。

結論として、相続人と法定相続人の違いは、相続人は、「遺産を実際に相続する人」・「遺産を相続する権利のある人」。

法定相続人とは、「遺産を相続する権利のある人」のみのと解釈できます。

(例)被相続人の親族が子と親だった場合

「法定相続人」は子となります。もし、その子が相続放棄をして、親が遺産を相続した場合は、その親が「相続人」となりますが「法定相続人」とはなりません。

 

3.相続税法における法定相続人

「相続人」と「法定相続人」の違いをご説明してきましたが、相続税の計算においては「法定相続人」の数が大きなポイントとなります。

以前のコラムでもご紹介しましたが、相続税の計算においては、遺産分割を実際にどのように行ったかで最初から計算するわけではありません。相続税法上の「法定相続人」が法定相続分で遺産分割したものとして、一旦税額の計算をします。

その他にも、法定相続人の数は、相続税の計算をする上での、生命保険金等の非課税限度額、退職手当等の非課税限度額、遺産に係る基礎控除額、未成年者控除、障害者控除等の計算に必要となってきます。

 

また、相続税法上の法定相続人と民法上の相続人では以下の違いがあります。

  1. 相続の放棄があった場合、その放棄はなかったものとみなす。
  2. 法定相続人に参入できる養子の数
  • 被相続人に実子がいた場合…1人
  • 被相続人に実子がいない場合…2人まで

相続税の計算をする上で、参入できる養子の人数に上限がなければ、基礎控除額は3,000万円+600万円×「法定相続人」の数で計算されるので、法定相続人が増えれば相続税の課税価格が小さくなります。つまり、故意に納税額を少なくすることができるため、これを防止するためであると言えます。

 

4.養子縁組による節税

上記のように、相続税を計算する上で、法定相続人に参入できる養子の数は決まっています。しかし、養子縁組を行うことにより1人でも法定相続人が増えれば、基礎控除額などが増額して課税価格が下がります。

また、相続税は超過累進税率のため、課税価格が下がると税率も下がります。結果的に、相続税そのものが下がるという節税効果があります。

下記に簡単な具体例を記載しました。

 

(例)相続人が子1人だった場合と、養子縁組を行い子2人となった場合。

配偶者はなし、遺産総額は1億円とする。

① 子1人の場合

遺産額1億円-基礎控除額(3,000万円+600万円×1人) ⇒ 6,400万円

6,400万円×30%-700万円 ⇒ 1,220万円・・・①

② 子2人の場合

遺産額1億円-基礎控除額(3,000万円+600万円×2人) ⇒ 5,800万円

5,800万円×1/2(法定相続分) ⇒ 2,900万円

2,900万円×15%-50万円 → 385万円 ×2人分 ⇒ 770万円・・・②

③ 差額

① - ② ⇒ 450万円

※養子縁組することにより約450万円の節税が可能に!

 

養子縁組のメリット

養子縁組をした場合の相続税の節税効果は以下のとおりです。

  1. 相続税の基礎控除が増える。
  2. 生命保険金等、退職手当等の非課税限度枠が増える。
  3. 相続人の一人あたりの法定相続分が減少するため、超過累進税率である相続税の税率が低くなり、結果として相続税の総額が少なくなる。
  4. 孫を養子とした場合、相続を一代飛ばすことができる。

※代襲相続以外の相続の場合、孫負担の相続税は20%増しとなります

養子縁組のデメリット

  1. 配偶者の税額軽減割合が少なくなる。
  2. 相続人が増えるため、遺産分割がまとまりにくくなる可能性がある。
  3. 未成年者を養子とした場合、未成年者は単独で法律行為を行うことができない。⇒未成年者が法律行為を行う場合、原則として法定代理人の同意が必要となります。

法定代理人が遺産分割協議に参加する場合、法定相続分に応じた遺産分割が必要です。

 

なお、国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4170.htm)にあるように、次のいずれかに該当する人は、実の子として取り扱われ、法定相続人の数に含まれます。

  1. 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子になっている人
  2. 被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子になっている人
  3. 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子になっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
  4. 被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供等に代わって相続人になった直系卑属。なお、直系卑属とは子供や孫のことです。

 

弊社では経理代行を承っておりますが、相続贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

相続贈与に関して困っている方や、さらに詳しく知りたい方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

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2017/12/01 東京・大阪の経理代行|相続と贈与④贈与は相続よりも得をする?

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ! こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

本コラムでは毎月、経理に関する話題を執筆してきましたが、今月は経理の話題から少し離れ、相続や贈与に関してわかりやすく解説していきます。

よく聞く相続税対策の1つとして生前贈与が挙げられます。

【相続と贈与】のコラムでも紹介した通り、相続と生前贈与の違いは財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

相続・贈与のいずれにせよ税金が課税されますが、

生前贈与は本当に相続税よりもお得になるのでしょうか?

 

1.贈与税の税額について

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そもそも贈与税という税金が存在している理由は「生きている間に家族に財産を譲ってしまえば相続税を払わなくて済む!」

という考えの人が少なからず出てきてしまうため、そういった人々からも平等に税金を徴収するためです。

こうした考え方から、本来であれば

相続税 ≦ 贈与税

となるべきなのですが、現在は贈与税の非課税制度が設けられているため、相続よりも贈与の方が納税額を抑えることができることがあります。

 

2.贈与税の非課税制度について

贈与する財産のうち、非課税扱いになるのは次のような場合です。

法人から贈与を受け取得した財産

贈与税は個人から贈与受ける場合に課税される税金であるため、法人から贈与を受けた場合には贈与税はかかりません。かわりに所得税が課税されます。

扶養義務者から生活費または教育費として取得した財産

ここでの生活費とは通常の日常生活に必要な費用、教育費とは学費・教材費・文具費などを指します。

これらには贈与税はかかりません。ただし、「生活費」「教育費」の名目で財産を受け取った後、別の目的で使用した場合には贈与税がかかります。

公益を目的とする事業に使われる財産

宗教、慈善、学術など、公益を目的とする事業に使われることが確実なものには贈与税はかかりません。

個人から受け取った香典、花輪代、お年玉、見舞い金などの財産

上記のような金品に関しては、社会通念上相当の金額であれば贈与税はかかりません。

(例えば、100万円をお年玉として受け取った場合には贈与税がかかる可能性が高くなります。)

直系尊属(父母・祖父母)から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金とは、居住用の家を新築・取得・増築するための資金のことを指します。高額なケースが多いですが、一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

直系尊属(父母・祖父母)から一括贈与を受けた教育資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金と似ていますが、例えば高校や大学の入学資金などは一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

 

3.贈与は相続よりも得をする?

様々な状況やケースが考えられるため、一概に「贈与は相続よりも得をする」とは言えませんが、贈与の方が得をするケースがあることも事実です。

贈与税の計算について

贈与税を計算する方法は、①「暦年課税方式」と②「相続時精算課税方式」の2種類から選ぶことができます。

贈与税や相続税の課税の仕組みを理解すれば、税金を減らすことも可能となります。

まずは、この2つの方式を見てみましょう。

暦年課税方式とは

毎年1月1日から12月31日までの1年の間にもらった財産の合計額から贈与税を計算します。

その合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた金額に税率を乗じて贈与税額を求めます。

計算方法

(贈与財産(時価評価額)- 110万円)× 税率 - 控除額 = 贈与税額

※贈与財産が不動産などの場合は一定の方法により時価評価額を算定します。

※相続開始3年以内に被相続人からの贈与財産がある場合、

その贈与財産は相続財産とみなされ相続税の計算対象になります。贈与税課税の対象ではありません。

贈与税率については、下記の国税庁のHPをご参考ください。
国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

 

(計算例)

■ お一人から100万円の贈与があった場合

(100万円 - 基礎控除額110万円)× 10% = 0円

■ お一人から600万円の贈与があった場合 

(一般贈与財産)(600万円 - 基礎控除額110万円)× 30% - 65万円 = 82万円

■ 10人の方からお一人100万円ずつ合計1,000万円の贈与があった場合 (一般贈与財産)

(1,000万円 - 基礎控除額110万円)× 40% - 125万円 = 231万円

 
基礎控除額110万円以内の贈与ですと、税負担をすることなく財産の移転が可能となります。

また、この基礎控除額110万円は毎年利用することが可能です。仮に、相続人3人に10年間110万円ずつ贈与をすれば、110万円×3人×10年=3,300万円もの資産を税の負担をすることなく移転することが可能です。

相続時精算課税制度とは

贈与を受けたときに、一律の税率(20%で贈与税を計算納付して、その贈与をした方が亡くなった時に相続税で精算を行う制度です。

分かりやすく言い換えると、相続時点において、贈与した財産も含めて相続税を計算し、その相続税から「支払った贈与税」をマイナスする方法です。

また、「支払う贈与税」を計算する際には、2,500万円まで特別控除の枠があるので贈与税はかかりません。そして、2,500万円の枠を超えた贈与額に対して一律の税率20%を掛けて贈与税額を計算します。

注意点として、この2,500万円の特別控除枠は、一年間あたりの枠ではなく、相続時精算課税制度を使って贈与をした累計額に対する枠となりますのでご注意ください。

2,500万円に達するまでは何度でも税の負担をせずに贈与が行えることになります。

(計算例) 

下記1年目から3年目まで、全て同じ贈与者から相続時精算課税制度を使って金銭の贈与を受けた。

■1年目

1,500万円の贈与を受け取った。

(1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=0円

■2年目

1,500万円の贈与を受け取った。

1年目    2年目
(1,500万円+1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=100万円

■3年目

2,000万円の贈与を受け取った。

※2年目までで特別控除額を使い切っているため、前年までの贈与金額をマイナスします。

前年までの総額  3年目  前年までの総額
(3,000万円 + 2,000万円 - 3,000万円)× 20% = 400万円

 

ちなみに、相続時精算課税制度は誰でも利用することができるのではなく、「贈与者」は60歳以上の親又は祖父母、「受贈者」は20歳以上の子又は孫という要件があります。

また、相続時精算課税制度を一度選択すると、同じ贈与者からの贈与は暦年課税に変更することができませんのでご注意ください。

相続時精算課税制度は相続税対策になる?

相続時精算課税制度は、結果的に贈与財産が相続税で清算されるので、相続税対策にはならないように見えるかもしれません。が、

  1. 「時価が上昇する財産」
  2. 「収益不動産など収益を生む財産」

などについては、効果を発揮します。

「時価が上昇する財産」については、 相続時点において贈与時の時価をもって財産が評価されるため、実際の被相続人の死亡の時点よりも低い評価額で財産を移すことができます。結果的に、相続税対策となります。

「収益不動産など収益を生む財産」については、贈与者から受贈者へ財産を早期に贈与することによって、財産から生じる家賃などを被相続人の相続財産から除外することができます。

結果的に、その分相続財産を減らすことができ、相続税対策となります。

相続時精算課税制度を利用し、贈与した財産の相続税を計算する場合の時価は、相続発生時の時価ではなく、贈与した時の時価で計算することがポイントになります。

つまり、相続時精算課税制度を使った相続税対策は、「財産評価のタイミングが異なること」を利用した節税対策となるわけです。

相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度には、デメリットもあります。

  • 一度、相続時精算課税制度を選択すると暦年課税に戻すことができない
  • 年齢や対象者など要件がある
  • 贈与の都度、金額に関わらず贈与税の申告が必要になる
  • 相続時に小規模宅地等の特例が受けられない

などです。

 

4.まとめ

相続は突然やってきます。相続税の計算は亡くなった方(被相続人)の相続発生時の財産すべてが対象となりますので、少しでも生きている間に財産を少なくすることで相続税への対策をとることは非常に有効です。

それに引きかえ、生前贈与は生きているうちに計画的に行うことができます。これにより相続税の軽減対策が可能になります。

その1つとして、相続時精算課税制度の選択が有用なこともあるでしょう。

また、暦年課税制度も毎年110万円の基礎控除額があります。毎年この基礎控除内での贈与を繰り返して行っていくことにより、
相続発生時の財産を少なくすることが可能です。

また、【贈与税の非課税制度】を利用することにより、多くの財産を税の負担をすることなく次世代に移転する手もあります。

一例として、以前のコラムでもご紹介した

  1. 「住宅取得等資金の非課税制度」
  2. 「教育資金一括贈与の非課税制度」
  3. 「結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度」

などがあります。

一方で、相続税にも多くの優遇措置があります。被相続人の財産の金額や種類、また相続人の人数などによって相続税と贈与税は「どちらがお得」とは言えないのが実情です。

贈与税は相続税の補完税としての役割であり、相続税と贈与税は表裏一体のものです。「どちらがお得」ではなく、両者の仕組みを理解してトータルに試算していくことが重要になってきます。トータルに試算するためには、税理士の存在は不可欠であり、迷わず相談するべきでしょう。

特に、相続税・贈与税の優遇措置を利用することにより税金が数百万円・数千万円変わってくることも少なくありません。

相続贈与に関して困っている方や、
さらに詳しく知りたい方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

 

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2017/11/24 東京・大阪の経理代行|相続と贈与③相続税の計算方法

こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。  

本コラムでは毎月、経理に関する話題を執筆してきましたが、

古殿
古殿
今月は経理の話題から少し離れ、相続や贈与に関してわかりやすく解説していきます。

 

平成27年にあった相続税基礎控除額の改正以降、相続税の課税対象となる方は増加しています。国税庁の下記HPには「相続税の計算方法」について記載がありますが、専門用語が多くよく分からないというのが本音だと思います。

相続税の計算は非常に複雑なものとなっているからです。

参考:国税庁HP「No.4152 相続税の計算」

 

そこで、今回は、相続税の計算方法の概要について解説していきます。

 
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2.相続税の計算方法

相続税を計算するためには下記のような手順が必要です。

①相続税の課税対象となる遺産額を計算する

税額を計算するため、個々の相続人の相続する財産のうち、課税対象となる相続財産(正味の遺産額とも言います)がどの程度あるのかを、確認・確定させる必要があります。

  • ここでは相続人1人1人の相続する遺産額を計算している
  • プラスの財産もマイナスの財産も全て含める
  • 非課税となる財産も確認する

といったことに注意しましょう。

 

②相続税の基礎控除額を計算する

  • 相続税には基礎控除(課税対象額を減額する制度)があります。
  • 相続する財産が基礎控除額より少ない場合には、相続税を納める必要がなくなります。
  • 相続税を納める必要がなくても、申告手続きは必要なケースもある

といったことに注意しましょう。

 

③相続税の課税遺産総額を計算する

①②で計算した金額をもとに、相続人全員分の課税対象となる相続財産を計算します。

  • ①と異なり、ここでは相続人全員分の正味の遺産額の合計金額を計算する

といったことに注意しましょう。

 

④相続税を計算する

③で計算した相続税の課税遺産総額をもとに、相続人全員分の相続税の合計金額を計算する

  • 相続税の合計金額を計算する際には「法定相続人が法定相続分を相続した」と仮定して計算する
  • 各人の相続税を計算する際には、相続税の合計金額に「各人が実際に相続した財産が課税遺産総額に占める割合」を乗じて計算する

といったことに注意しましょう。

 
それでは、簡単な具体例を用いて実際に相続税額を算出してみましょう。

<具体例>
課税財産9,000万円/被相続人は夫。相続人は妻・長男・長女/

実際の取得割合は、妻→6/10、長男→3/10、長女→1/10である場合。

①法定相続分で分けた場合の妻の相続税額

  • 9,000万円×1/2(法定相続割合)=4,500万円
  • 4,500万円×20%(相続税率)-200万円(控除額)=700万円

②法定相続分で分けた場合の長男の相続税額

  • 9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円
  • 2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円

③法定相続分で分けた場合の長女の相続税額

  • 9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円
  • 2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円

 <全体の相続税額

  • 700万円+287万5千円+287万5千円=1,275万円

 

具体例における家族の場合、全体の相続税額は1,275万円になります。

この1,275万円のうち、妻・長男・長女それぞれが、相続税をいくらずつ払わなくてはいけないのかを計算するのが次のステップです。

①妻の相続税額

  • 1,275万円×6/10(実際の取得割合)=765万円

②長男の相続税額

  • 1,275万円×3/10(実際の取得割合)=382万5千円

③長女の相続税額

  • 1,275万円×1/10(実際の取得割合)=127万5千円

 
さらに、「一定の条件をみたしている場合」、ここまでで算出した各人の相続税額から金額を差し引くことができます。

これを「税額控除」といいます。国税庁のHPにおいても、各種の税額控除について詳細の記載があります。

参考:国税庁HP「相続税の計算と税額控除」

 

税額控除は誰でも受けられるものではなく、相続人が一定の条件をみたしている場合だけ受けることのできるものです。

また、相続人1人1人に税額控除が適用されるため、例えば、具体例における妻に配偶者控除が適用されても、長男・長女まで適用される訳ではありません。

ただし、未成年者控除・障害者控除については、対象相続人の税額から控除できなかった部分は対象相続人の扶養義務者の税額から控除することができます。

税額控除を受けるためには相続税申告が必要となりますので、まずは税額控除を受けられる相続人がいるかどうか確認することとなります。

 
相続税の計算をする際には計算ミスが無いかはもちろんのこと、相続財産をすべて計算に含めているかどうかにも気をつけなければなりません。

万が一、申告した税額に誤りがあった場合には追徴課税が発生する可能性もありますので、専門家である税理士に依頼したほうが無難なことは間違いありません。

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2017/11/17 東京・大阪の経理代行|相続と贈与②相続税の申告手続き

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ! こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。  

本コラムでは毎月、経理に関する話題を執筆してきましたが、今月は経理の話題から少し離れ、相続や贈与に関してわかりやすく解説していきます。

 
相続税を納める必要がある場合、税務署に相続税の申告書を提出する必要があります。

今回は相続税の申告手続きについて解説していきます。

 
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1.相続に関する手続きの流れ

相続が発生してから相続税の申告を行うまでの流れは下記の通りです。

相続発生(故人の亡くなった日)

  • 遺言書の確認
  • 相続人の調査・確認
  • 相続財産の把握

  • 遺産分割協議

  • 相続税計算

  • 遺産分割協議書作成

  • 遺産分割

  • 相続税の申告

 
なお、

  • 相続の放棄・限定承認の選択は相続発生から3ヶ月以内
  • 所得税の準確定申告は相続発生から4ヶ月以内

という決まりもありますので、ご注意ください。
 
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2.相続の放棄

(1)相続の放棄とは?

相続の放棄とは、プラスの財産(現預金など)もマイナスの財産(借金など)も、被相続人が残した遺産の全てを受け取らないという方法のことをいいます。

それでは、どんな場合に相続の放棄を選択すればいいのか確認していきましょう。

プラスの財産(現預金など)とマイナスの財産(借金など)を比べたケースにおいて、マイナスの財産のほうが明らかに多いと判断できる場合、相続の放棄は有効な手段です。

もし、被相続人が莫大な借金を残して亡くなった場合、残された相続人は何もしなければその借金を全て負担する事になります。そのため、相続の放棄という方法があります。

 

(2)相続の放棄が認められない場合はあるのか?

裁判所へ相続放棄の手続きをして申述が却下されるケースはほとんどありません。が、以下➀または➁に該当する場合は、単純承認をしたものとみなされますので、注意が必要です。

なお、単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ方法をいいます。

  1. 相続人が相続財産の全部、または一部を処分した場合
  2. 相続の放棄をした後に、相続財産の全部、または一部を隠匿、消費したり、わざと財産目録に記載しなかった場合

仮にこの他のケースで相続放棄が却下された場合、2週間以内に「即時抗告」を行えば、高等裁判所の再審理を求めることが出来ます。

却下された際はなぜ却下されたのか理由を教えてくれないケースがほとんどであるため、弁護士や税理士に相談されるのがいいでしょう。

 

(3)相続の放棄の期限

相続の放棄の期限は3ヶ月です。

民法第915条は、

「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に相続放棄限定承認単純承認を選ばないといけないと規定しています

 

(4)「自己のために相続の開始があったことを知ったときから」とは?

相続の放棄の期限は3ヶ月ですが、被相続人が死亡した時から3ヶ月経過すると、どのような理由があっても相続の放棄はできなくなってしまうのでしょうか?

この期間のカウントは、被相続人の死亡を知らない限り開始しません

例えば、被相続人が死亡して3年後に死亡を知ったのであれば、そこから3ヶ月間は相続の放棄をすることができます。

また、被相続人に借金などのマイナスの財産があることを知らなかった場合はどのような取扱いになるでしょうか?

この場合、相続人が、

「被相続人に相続財産が全くない」と信じたことにやむを得ない事由が認められる場合であれば、相続の放棄をしないことについて、正当な理由があると認められます。

よって、相続人が被相続人の借金の存在を知らなかったのであれば、死亡の事実を知っていても、相続放棄の「3ヶ月間」についてカウントが開始しません。

ただし、相続人の過失によって借金などのマイナスの財産に気づかなかった場合、相続の放棄をしなかったことについて正当な理由があると認められないおそれもあります。

例えば、被相続人の自宅に債権者から督促の郵便が届いているにもかかわらず、相続人が郵便物をチェックしていなかったため3ヶ月が経過したというケースでは、相続の放棄は認められないでしょう。

よって、自分が相続人になったら被相続人の負債の状況を必ず調べるべきです。そして、もし借金などマイナスの財産があったらどのくらいの金額であるのかしっかりと調べましょう。

 

3.限定承認

(1)限定承認とは?

「限定承認」とは、マイナスとプラスの財産が両方ともあった場合に、マイナスの財産がプラスの財産を超えない範囲で相続するという相続の方法です。

例えば、「プラスの財産が100万円、マイナスの財産が200万円以上あると判明している場合」については、明らかに相続分がマイナスになります。

よって、相続の放棄を選択すべきです。

しかし、「プラスの財産が100万円、マイナスの財産が200万円以上あると推測している。しかし、正確な額は不明の場合」は限定承認を選択すべきでしょう。

 

(2)限定承認のタイミング

プラスの財産よりもマイナスの財産が明らかに多いと判断できる場合は相続の放棄をすべきです。

しかし、プラスとマイナスどちらが多いか不明の場合、相続したマイナスの財産を相続したプラスの財産から弁済し、相続人自身の財産で弁済する責任を負わないというものが限定承認です。

限定承認を行う場合、放棄の場合と同様に、「相続の開始を知ったときから3ヶ月以内」に、家庭裁判所に限定承認の申立てをする必要があります。

ただし、共同相続の場合は相続人全員の共同でなければ限定承認の申立てはできません。

逆に言えば、相続人のうち1人でも反対する者がいれば、相続の放棄をするのがいいでしょう。

 

4.所得税の準確定申告

(1)準確定申告とは?

一般的に、「確定申告」とは、1月1日から12月31日までの一年間の所得について、翌年の2月16日から3月15日までに申告を行います。

しかし、「準確定申告」は別に期限が定められており、被相続人が準確定申告の対象者であるかどうかの判断基準は一般的な確定申告と基本的には同じ考え方です。

ただし、被相続人の場合、本人が死亡しており申告することができません。

よって、相続人が被相続人の代わりに確定申告をすることになります。

これを「準確定申告」といいます。

 

(2)準確定申告が必要なケース

準確定申告が必要な場合について、主要なものを下記にまとめました。

被相続人が下記の➀~④にあてはまる場合、準確定申告が必要となります。準確定申告の対象者は一般的な確定申告のものと同様です。

  1. 個人事業主
  2. 給与所得と退職所得以外(副業など)の所得
  3. 給与の年間収入が2,000万円以上
  4. 同族会社の役員やその親族などで、給与の他に貸付金の利子や家賃なども受け取っていた場合

 

(3)準確定申告の期限

準確定申告については、相続人が相続を知った日の翌日から4ヶ月以内に行わなければなりません。納税も同期間に行わなければなりません。

遅れないようにくれぐれも注意しましょう。

 

●相続税の申告書はどこで手に入る?

税務署が相続発生(被相続人の死亡)を把握した後、申告が必要と思われる場合には申告書が送られてきます。送られてきていない場合には国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

●相続税の申告書はいつまでに提出する?

相続税の申告書には提出期限は相続の開始を知った日(故人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内です。

●相続税の申告書はどこに提出する?

被相続人の亡くなった時の住所地を所轄する税務署長に提出します。

●相続税の申告書の他に必要な書類は?

相続する財産の種類や控除の有無によって、添付が必要な書類は異なります。

ここでは、特例等の適用を受けない場合に必要となる書類について解説していきます。

  1. マイナンバーを確認するための本人確認書類
  2. 身元を確認するための本人確認書類
  3. 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本
  4. 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
  5. 相続人全員の印鑑証明書

 
相続税の手続きに関しては多くの必要書類や煩雑な計算が伴うため、相続に詳しい税理士に相談をするのが無難でしょう。

弊社では経理代行を承っておりますが、相続贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携した、ワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

相続贈与に関して困っている方や、さらに詳しく知りたい方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

 

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2017/11/10 【相続と贈与】負担付贈与とは?メリットとデメリット

負担付贈与とは、一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与です。何らかの条件を付け贈与するため、注意しなければなりません。

今回は具体事例として、実際に弊社にあったご質問とご回答について、Q&A方式で掲載します。

前回のコラムでご紹介した「負担付贈与」が主な論点になります。

:ある夫婦は離婚を決めているが、現在、住宅ローン付きの住宅をどちらも夫名義で所有している。離婚による夫から妻への財産分与として、住宅・住宅ローンともに妻名義にすることを検討している。財産の移転のタイミングで様々な税金が発生するのではないかと懸念しており、それが離婚のタイミングにより大きくもなり、小さくもなるのではないかとのお問合せです。

また、離婚後、当該物件には妻だけが居住(物件は売却しない)し、妻の母が住宅ローンを離婚後すぐに一括完済する予定である。検討事項として、3者(夫、妻、妻の母)の課税額が一番少なくなる方法を考察する。

 

:夫から妻へ居住用財産の名義変更をすることについて、下記に「1.手続きいただきたい順番」「2.課税関係」をまとめました。

 

1.手続きいただきたい順番

まず、住宅ローン付きの居住用不動産の夫から妻への財産分与について、下記の手順で進めてください。

  1. 現在の住宅ローンの残額を確認する。⇒約2,500万円である。
  2. 現在の不動産(建物+土地)の売却価格(売却時価)を調べる。
  3. 住宅ローンの残債約2,500万円が不動産の売却価格より低いか(アンダーローンか)、高いか(オーバーローンか)を調べる。
  4. 夫から妻への不動産移転の手続き⇒住宅ローンの負担者移転の手続きも含む。

婚姻期間中に住宅ローンで家を購入した場合、名義に関係なく共有財産になり、財産分与の対象になります。

住宅ローンが残っている場合は、「現在の住宅の売却時価-住宅ローン残高」が財産分与の対象です。

妻が住宅をもらい受ける場合は、他の財産で分与を調整する必要があります。

下記で、それぞれの手続きの内容を詳しくご説明します。

 

➀住宅ローンの正確な残額を確認

まず、住宅ローンの正確な残額を確認しましょう。残高は、借入先金融機関に問い合わせることで確認できます。

➁不動産(建物+土地)の売却価格を確認

不動産の売却価格を確認する方法として大きく下記3つがあります。

ⅰ)不動産鑑定士に鑑定を依頼する。

不動産の価値を調べてもらう場合、不動産鑑定士に依頼するのが最も正確です。資金的に余裕がある場合、不動産鑑定士に依頼しましょう。

ⅱ)ざっくり確認したい場合、不動産売却査定サイトを利用する。

手軽に確認したい場合、インターネット上にある売却査定サイトを利用してください。「不動産 売却」と検索するとたくさんの広告が表示されます。

自分の不動産がおおよそいくらくらいで売却できるのか把握することができます。

3~5つのサイトで査定価格を調べてください。どのサイトでも査定金額がおおよそ似たような金額になれば、平均値を採用しても問題になることはないでしょう。

ⅲ)不動産業者に本格的に訪問査定してもらう。

正確な査定価格を把握したい場合、不動産業者に訪問査定してもらいましょう。不動産業者に依頼すれば、不動産の査定価格を書いた査定書を無料で作ってもらえます。

正確な不動産価格を知るためには、この査定書を数社からとり、その平均値を採用するといった方法もあります。

 

➂不動産の査定価格(売却価格)と住宅ローンの残額のどちらが大きいかを確認する。

不動産査定を踏まえて、以下のいずれの状態になるか判断します。

  • アンダーローン・・・不動産の価格が住宅ローンの残額より大きい状態
  • オーバーローン・・・住宅ローンの残額が不動産の価格より大きい状態

アンダーローンの状態かオーバーローンの状態かは財産分与の内容を決定する上で非常に重要です。

 

➃妻が不動産に住み続けることを前提にした場合

ⅰ)不動産を妻名義に変更し、残りの住宅ローンを夫のままとする場合(参考)

住宅の所有権は妻に、残りのローンは夫が支払います。アンダーローンの場合、不動産が実質的にプラスの財産となります。

この場合、原則として不動産の価格から住宅ローンの残高を差し引いた金額の約半分について妻から夫に金銭の支払いが必要となる可能性があります(本来は自宅の価値は半分ずつ夫婦が取得できるため)。

また、不動産に抵当権が付いている場合、夫が住宅ローンの支払いを滞らせてしまった場合のリスクがあります。

ⅱ)不動産の名義と住宅ローンの債務者を妻にする。

この場合、妻が毎月の住宅ローンを支払うことになりますが、前提として、妻の収入・資産状況などを金融機関によって夫から妻へ債務者が変更してもよいか審査されます。

よって、当事者の合意だけではなく金融機関の許可が必要になります。住宅ローンの債務者は夫婦間で自由に変更できません。借入先金融機関の審査に通ることが必要です。

銀行の審査に通過した場合に初めて名義変更が可能です。

不動産に抵当権が付いているときは銀行も比較的柔軟に対応してくれることが多いですが、そうでない場合は、住宅ローンを完済するまで銀行側が名義変更を了承してくれないこともあります。

銀行の審査に通らず名義変更できない場合は、「ローンを完済した後は妻の名義に変更する」等、しっかりと同意をしておくことが大切です。

ただ、登記請求権の時効の問題もありますので、弁護士や司法書士などに事前にきちんと相談したほうがよいでしょう。

ちなみに、ⅰ)と同様に、アンダーローンの場合、不動産が実質的に+の財産となるので、不動産の価格から住宅ローンの残高を差し引いた金額の約半分について妻から夫に金銭の支払いが必要となる可能性があります。

 

備考➀

住宅ローンについて、夫が債務者で妻が連帯保証人となっていたが、財産分与の話し合いで妻が連帯保証人を外れることになった場合について。財産分与に関する話し合いで、今後妻が責任を負わない事となった場合、銀行と妻との連帯保証契約を解除する必要があります。

この場合にも、連帯保証契約を解除するかは夫婦間の話し合いで決められるものではなく、銀行の決定が必要となります。

なお、連帯保証契約を解除する方法は、住宅ローンの借り換えをする、別の方に連帯債務者・連帯保証人になってもらう等の方法があります。妻が連帯保証人となっている場合、銀行にお話をされて、上記の方法を採ることができるか確認してみましょう。

 

2.課税関係

(1)ケース1

➀妻の課税関係アンダーローンを前提にします。)

ⅰ)「贈与税について」

下記国税庁のHPにあるように、財産分与時に原則として贈与税はかかりません。

参考:国税庁HP「No.4414 離婚して財産をもらったとき」

例えば、夫婦間で1対1の財産分与をした場合、確実に贈与税はかかりません。ただ、財産分与の金額が「多すぎる場合」は贈与税がかかります。

具体的に税務署にも問い合わせた結果、具体的に「〇対〇」であれば贈与税がかかるのか、またはいくら以上であれば贈与税がかかるのかは全く指標がありません。税務職員も回答が難しいのが現実です。

リスクがあることは前提ですが、財産分与で贈与税がかかるケースはめったにない・まずないということでいいのではないかと考えています。

否認する側も、根拠が抽象的過ぎて否認しにくいのではないでしょうか。極端な場合の予防線を張っているだけのように感じます。

ⅱ)「不動産取得税について」

また、基本的に不動産取得税も支払う必要はありません。

贈与税の場合と同じで、財産分与は本来夫婦それぞれが持つべき財産の清算であり、新たに財産を取得したわけではないという考え方のためです。

ただ、これも贈与税の場合と同じで不動産を含む財産分与として譲り受ける財産が相場に比較して多すぎるという場合や財産の清算ではなく慰謝料や離婚後の扶養を目的とする場合は、例外的に課税される可能性があります。さらに、財産分与を受けた不動産に財産分与を受けた方が居住するときには、既存住宅(中古住宅)を取得した場合の不動産取得税の軽減を受けられることが多いので、不動産取得税が問題になることは少ないです。

例えば、平成9年4月1日以降に新築された中古住宅であれば、固定資産評価額が1,200万円の部分までは不動産取得税がかからない等あります。

 

➀のまとめ

妻に贈与税と不動産取得税は基本的にはかかりません。しかし、取得後、不動産の登録免許税や取得した後の固定資産税はかかります。

②夫の課税関係

下記国税庁のHPにあるように、財産分与時に夫に譲渡所得税(所有期間が5年超であれば長期譲渡所得)がかかる可能性があります。

参考:国税庁HP「No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき」

「課税長期譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除

分与した時の土地・建物の売却時価が譲渡所得の譲渡価額になります。つまり、財産分与時のマンションの売却時価はやはり必要な情報になります。

ただし、譲渡取得税には、マイホーム(居住用財産)を売ったときに所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで特別控除ができます。この特例の適用要件として、相手方との関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないことが必要です。

つまり、離婚成立前に財産分与してしまうと親族への譲渡となり、3,000万円の控除が使えないので注意が必要です

また、適用を受けるためには、譲渡をした年分の確定申告書に適用を受けるための必要事項の記載と住民票その他の必要書類の添付が条件とされています。

つまり、夫は確定申告する必要があります。

➁のまとめ

夫婦間で不動産の名義変更をする場合、離婚を前提にした分与であれば離婚「後」に財産分与を原因として名義変更するべきです。

 

③妻の母が住宅ローンを一括で支払った場合

上記の流れから、離婚「後」の財産分与により妻へ住宅・住宅ローンの名義変更を受けることが理想です。

ここで、銀行の審査に通過し住宅ローンの支払義務が妻に移転しても、約2,500万円の住宅ローン残額を母が一括で完済することは避けるべきです。

自身の子供が住宅を購入するための資金援助であれば、年間110万円に加えて700万円まで贈与しても贈与税が課税されない特例(住宅取得等資金贈与の非課税制度。下記備考参照。)等ありますが、これらの特例は全て適用外です。住宅ローンの返済に充てるための金銭の贈与は対象外であるためです。

つまり、贈与税の対象になります。

仮に2,500万円の一括贈与を行った場合、妻に8,105,000円の贈与税がかかります。

 
④妻の母が毎年110万円ずつ子(妻)に贈与して、その金銭で住宅ローンを支払った場合

この場合、基礎控除額110万円以内の贈与であるため贈与税がかからないと思いがちですが、贈与税の課税対象になる可能性があります。

注意すべきポイントは、「あらかじめ、まとまった資金を贈与するつもりだった(定期贈与)」と認定されると、まとまった資金に対して贈与税が課せられる可能性があるということです。

定期贈与とは、例えば、「1,500万円を贈与したいが、贈与税がかかるので、100万円を15回に分けて毎年贈与する」というような場合です。

「形式的」には年間110万円の範囲内で非課税となるはずですが、最初から1,500万円を贈与する目的がある場合には、1,500万円に対して贈与税が課せられます。

つまり、今回のケースも最初から約2,500万円を贈与するものと認定された場合、③と同様に8,105,000円の贈与税がかかります。

下記国税庁のホームページにも分かりやすく記載されています。

参考:国税庁HP「No.4402 贈与税がかかる場合」

 

➄効果的な節税方法

具体的な土地・建物の売却価格が不明なので、アンダーローンかオーバーローンかは分かりませんが、妻からお母様へ負担付贈与(土地・建物と住宅ローンを一括で贈与)をするのがいいでしょう。

この方法は2,500万円そのものに対して贈与税が課税されるのではありません。

土地・建物と住宅ローンの差額に対して贈与税が課税されるので③、④と比較した場合、大きな節税になります。

また、将来的にお母様の相続財産に対して相続税がかかってきたとしても住宅に対しての課税は「小規模宅地の特例」などを活用していけば税金はかなり少なくすることができます。

 

備考➁

「住宅取得等資金贈与の非課税制度について」

自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭の贈与を受けた場合に、直系尊属(実の両親など)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の規定は適用され、住宅ローンの返済に充てるための金銭の贈与は対象外です。

(2)ケース2

離婚「後」、元夫から元妻の母に負担付贈与(土地・建物+住宅ローンを一括で贈与)する場合、このケースでは、ケース1➁でお話したように、離婚「後」に負担付贈与を行い、元夫が確定申告をすることで元夫には課税されません。3,000万円の特別控除が使えるためです。

また、ダイレクトに元妻の母に贈与することで不動産の登録免許税などの手数料が元妻を通すよりも減額できます。

元妻の母についての結論はケース1と全く同様で、2,500万円そのものに対して贈与税が課税されることはなく、土地・建物と住宅ローンの差額に対して贈与税が課税されてきます。将来的な相続時にも特例により相続税を抑えることができるでしょう。

ただし、問題は、元妻の母が住宅ローンの支払者になることについて、銀行の許可を取らなければならないことです。

一般的に、住宅ローンの多くは申込時の上限が「70歳まで」となっています。こちらがかなり難しくなるので、銀行対応次第になるでしょう。

住宅ローンの名義変更後に母が一括返済するとしても難しい可能性があります。

ケース2が可能であれば、ケース1よりも少ない納税で済みますが、銀行の審査次第になります。

 


 

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2017/11/03 相続・贈与とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

相続とは、亡くなった方の財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐことです。

相続と贈与の大きな違いは財産を受け継ぐタイミングと、財産をあげる人もらう人の意思の有無にあります。贈与には生前贈与、定期贈与(連年贈与)、負担付贈与、死因贈与、みなし贈与などの種類があります。

古殿
古殿
この記事では、相続や贈与に関してわかりやすく解説していきます。

 

1.相続とは?

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

相続」という言葉を耳にしたことはあっても、相続とは何なのか、また何をする必要があるのかをご存知ない方も多いかと思います。

相続とは一言で言うと「亡くなった方の財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐこと」です。

相続をするためには様々な手続きや、相続税の申告・納付をしなければならないことがあるため、「タダでお金がもらえる!」などという安易な気持ちでいると、後々苦労することになってしまいます。

また、相続するのはお金や土地など、自分にとってプラスになるものだけではありません。

例えば、亡くなった方が借金をしていた場合には、借金の返済義務など自分にとってマイナスになるものも受け継がなければなりません

ただし、自分にとってマイナスになるものが多くなってしまう場合には、所定の手続きをすることで「財産を受け継がない」という選択も可能ですからご安心ください。

 

2.贈与とは?

ここまでの説明で、相続について何となくイメージが湧いたかと思います。

相続とセットで知っておきたいのが「贈与」という言葉です。

贈与とは一言で言うと「生きている間に財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐこと」です。その性質から「生前贈与」という言い方もします。

この贈与に関しても贈与税がかかることがありますが、制度を上手に活用すれば相続する際にかかる税金よりも納税額を減らすことも可能です。

 

3.相続と贈与の違いって何?

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

相続贈与の大きな違いは、2点あります。

➀1つ目は、財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

上記でも解説した通り、相続贈与のどちらに関しても、相続税贈与税という税金が課税される場合があり、亡くなった方の財産を丸ごと受け継ぐことができるとは限りません。

さらに言うと、相続税贈与税の計算方法や申告方法に関する情報はインターネットや書籍で簡単に手に入りますが、内容が非常に複雑であるため、初めて相続や贈与を行う一般の方にはハードルが高いかと思います。

贈与は生きている間ならばいつでも行うことができますが、相続はある日突然発生するものです。

いざという時に何をする必要があるのか、どこの役所に行けばいいのか、どのような書類が必要なのか、わからないことや不安なことも多いかと思います。

 
➁また、相続も贈与も、ある人が別の人に自分の財産をあげるという点は同じですが、財産を「あげる人・もらう人の意思の有無」が異なることに2点目の違いがあります。

相続では財産をあげる人が亡くなると、自動的に財産をもらう人に財産が移ります

あげる人が「あげます」という意思表示をしていなくても、

また、相続人が「もらいます」と意思表示をしていなくても、相続は成立します。

「財産をもらいたくない」という場合、つまり、相続をしたくない場合は、相続放棄をしないといけません

贈与では、基本的に生きているときに、財産をあげる人が「あげます」と意思表示をします。

さらに、財産をもらう人が「もらいます」と意思表示をすることによって贈与が成立します。

贈与では、財産をもらう人の「もらいます」という意思表示が不可欠です。そのため、意志表示できる年齢などは1つの論点になります。

例えば、20歳の方が財産をもらう場合に、「もらいます」と意思表示することはごくごく一般的にあることです。

しかし、1歳の子供(赤ちゃん)が「もらいます」と意思表示することは、普通に考えてあり得ませんので、結果的に贈与とはなりません。

 

4.贈与の種類とは?

ここまで、贈与については生前贈与を前提にお話してきましたが、贈与にはいくつかの種類があります。

➀生前贈与(通常の贈与)

下記➁~➃でお話する贈与以外の贈与が、この生前贈与になります。「贈与」といえば、この生前贈与を指すことが一般的です。

 

➁定期贈与(連年贈与)

連年贈与とは毎年繰り返される贈与のことです。

例えば、「100万円贈与する」という単発の贈与契約を毎年繰り返す場合などは、まさしく連年贈与になります。

定期贈与とは、一定期間、一定の給付を目的として行う贈与です。つまり、連年贈与することをあらかじめ決めている贈与を定期贈与といいます。

例えば、「毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与する」という契約は定期贈与です。

連年贈与を10年間繰り返せば、それは定期贈与であり、10年間で1000万円の贈与をすることになります。

この定期贈与については、下記のように国税庁のタックスアンサーで見解が述べられています。これは要注意点になります。

参考:国税庁HP「No.4402 贈与税がかかる場合」

つまり、毎年100万円ずつ10年にわたって贈与する形式をとっていたとしても、それが1,000万円の贈与をする目的であると認められた場合、1,000万円の贈与として贈与税課税されてしまうということです。

110万円以下の贈与であれば基礎控除内であるため、贈与税はかかりません

しかし、定期贈与である場合にはこのようなリスクを考える必要があります。

それでは、定期贈与と認定されないためにどのような対策ができるでしょうか?あくまでも、事実に基づいて贈与契約書は作成されるべきですが、定期贈与と誤解されないために贈与契約書を毎年(その都度)作成すべきでしょう。

そして、「毎年100万円ずつ」、「10年間にわたって」などという文言は絶対に避けるべきでしょう。贈与が始まった初年度だけ贈与契約書を作成し、毎年同額が贈与される場合、定期贈与として認定される可能性が高いです。

また、相続開始前3年以内の贈与については、相続財産に加味して相続税課税の対象になります。贈与税の課税対象にはならないため注意が必要です。

 

➂負担付贈与

「マンションを贈与するので、代わりに住宅ローンを払ってほしい」

これは負担付贈与になります。

つまり、財産をもらう人に一定の債務(借金など)を負担させることを条件として行う贈与が負担付贈与となります。

よって、上記の「住宅ローン」の具体例の場合、財産をあげる人はマンションを贈与する義務を負います。
また、財産をもらう人も住宅ローンを負担する義務を負うことになります。
仮に、財産をもらう人が住宅ローンを支払わない場合には、
財産をあげる人はこの贈与契約を解除することができます。

また、負担付贈与の場合にも贈与税は発生しますが、その計算過程がポイントになります。考え方として、負担付贈与の場合、贈与財産から負担額を差し引いた金額に対して贈与税が課税されます。

マンションの住宅ローンを負担する場合、マンションの「価額」から住宅ローンの金額を控除した金額となります。

相続税法基本通達では、この「価額」を「売却時価」としています。つまり、その財産(マンション)を今売りに出した場合、いくらで売れるかということになります。

そのため、売却時価はその時々によって金額が変わってきますし、同じ時点であってもマンションなどでは不動産業者の見積りによって幅が出てくることになります。

幅が出てくる場合、複数の不動産業者の見積りの平均値をとれば問題ないでしょう。場合によっては、ある特定の業者さんの見積価額を売却時価として使っても問題になることは少ないでしょう。

具体的に、上記の「住宅ローン」の場合、

{(マンションの売却時価-住宅ローン残高)ー基礎控除額}× 税率 ー 控除額

が贈与税額となります。

(贈与)税率については、下記の国税庁HPをご覧ください。

参考:国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

例えば、

「父親名義のマンションを長男に贈与する場合、不動産鑑定士さんによって、そのマンションの売却時価が2,000万円であると鑑定されました。住宅ローンの残高は700万円です。」

この場合、

{(2,000万円-700万円)-110万円 }×45%-175万円=360万5千円

結果として、このケースでは360万5千円の贈与税がかかることになります。

また、負担付贈与では、財産をあげた人にも譲渡所得税が発生する可能性があります

上記の例で、父親が当初、マンションを購入した金額は1,000万円(=マンション購入資金は全て住宅ローンで支払った。)だったとします。

父親は住宅ローンの残債でマンションを譲渡したものとして取扱うことになります。住宅ローンの残債額で売却したこととなるため、マンションの譲渡金額は700万円です。

また、マンションは当初1,000万円で取得しています。

結果として、1,000万円で取得したものを700万円で売却したと考えるため以下の算式で計算します。(話を分かりやすくするため減価償却はあえて考えません。)。

(700万円−1,000万円)×20.42%※=0円

このケースでは、マンション取得資金よりも譲渡金額が低いため譲渡所得税は発生しません。しかし、マンション取得資金よりも譲渡金額が高い場合、譲渡所得税が発生することになります。(話を分かりやすくするため減価償却はあえて考えません。)

 

※譲渡所得の税率は以下のとおりです。

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったときの税額計算の際の税率は、所得税が15%、住民税が5%となります。

(注) 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納税します。

 

➃死因贈与

「私が死んだら、この家をあなたにあげます」

これは死因贈与となります。

死因贈与は、財産をあげる人が死亡することにより効力が生じる贈与契約となります。

よく遺贈(遺言によって財産をあげる・もらう行為)と死因贈与を勘違いされる方がいらっしゃいます。死因贈与も贈与の1つですから、財産をもらう人の意思表示・承諾があってはじめて成立します。

しかし、遺贈は財産をもらう人の承諾がなくても、財産をあげる人の一方的な意思表示で成立します。

そして、「死因贈与」は、相続と同じタイミング(贈与者が亡くなったとき)で発生しますので、贈与税ではなく相続税がかかります。

 

➄みなし贈与

税法でいう「贈与」は、民法でいう贈与よりも範囲が広く定められています。形式的には贈与していなくても贈与とみなされ、贈与税がかかる場合もあります。これを「みなし贈与」といいます。

例えば、父親から子供にマンションの名義を変更した場合、父子ともに贈与する意図がなくても、実態は父親から子供にマンションをあげたのと同じことになります。

その結果、贈与税が課税されます。マンションなどの不動産の場合、その金額が大きいものとなってしまうため、財産をもらった人に対して多額の贈与税が発生してしまうリスクが高いです。

 

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