法人設立届出書とは、税務署や自治体に会社を設立したことを知らせるための届出のことです。法人設立届出書は、法人税の納付に関わる重要な書類なので、どどの会社も必ず提出しなければいけません。
この記事では、法人設立届出書の書き方や提出先、提出期限についてわかりやすく解説いたします。
目次
1.法人設立届出書とは
法人設立届出書とは、会社の設立登記を行なったあと、税務署や自治体に会社設立したことを知らせるために提出する書類のことです。
(1)提出先は税務署と市区町村
法人設立届出書の提出先は、以下の3つです。
- 納税地の所轄税務署
- 都道府県税事務所の法人事業税課もしくは法人住民税課
- 市町村の法人住民税担当部署
各所に提出する内容は、まったく同じで問題ありません。会社に控えとして残しておくために、合計4部作成します。
また、税務署に法人設立届出書を提出する際、控えも一緒に持って行くと、その控えにも受領印がもらえます。
(2)提出期限は設立日から2ヶ月以内
法人設立届出書の提出期限は、会社設立日(登記の日付)から2ヶ月以内です。遅れたとしても特に罰則はありませんが、いずれ提出が必要になる書類なので、会社設立登記が終わったらすぐに取り掛かることをおすすめいたします。
(3)書類の入手方法
法人設立届出書は、税務署、もしくは国税庁のホームページからダウンロードして入手できます。
2.法人設立届出書の書き方
それでは、法人設立届出書の書き方を、具体的に解説していきます。
(1)基本情報
基本情報は会社の基本事項をそのまま記入するだけなので、特に難しくはありません。
①届出先税務署名 | 「届出先税務署名」は、法人設立届出書の提出先です。 会社の本店所在地を管轄する税務署の名前を記入します。 |
②本店又は主たる事務所の所在地 | 「本店又は主たる事務所の所在地」には、会社の本拠地となる事務所や店舗の住所を記入します。 |
③納税地・法人名 法人番号・代表者氏名 | 納税地・法人名・法人番号・代表者氏名は、謄本に記載されている内容をそのまま記入すれば構いません。 |
(2)設立に関する情報
次に、設立に関する情報を記入していきます。
①設立年月日と事業年度
「設立年月日」は、登記申請を行なった日付のことです。「事業年度」には、定款で定めた会計期間を記載します。
②消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日
「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」は、資本金1,000万円以上の会社のみ記入が必要です。資本金が1,000万円以上だと、設立当初から消費税の課税事業者になるため、ここにも登記申請を行なった日付が入ります。
資本金1,000万円未満の会社については、設立後2期、または売上が1,000万円を超えたあと2期の間は消費税の納付が免除されるため、何も書かなくて構いません。
③設立時の資本金額又は出資金の額
「設立時の資本金額又は出資金の額」には、定款に記載されている資本金額・出資金額を記入します。
④設立の形態
「設立の形態」は、1.~5.までの番号選択制です。
新規に会社を設立した場合は、5.の「その他」に◯を付け、「新たに事業を開始」などと記入します。空欄でも構いません。
会社設立以前に個人事業主として営業していて、法人成りをした場合は、1.の「個人企業を法人組織とした法人である場合」を選びましょう。合併・分割・現物出資などで設立した場合は、それぞれ2.~4.の該当するものを選びます。
ちなみに、設立の形態が1.~4.のいずれかの場合は、すぐ下の欄に以前の納税地と事業内容を記入します。
⑤「給与支払い事務所等の開設届出書」提出の有無
開業後、給与の支払いを行う場合には、「給与支払い事務所等の開設届出書」の「有」に◯を付けましょう。
自分自身を含め、会社から給与を支払う場合には、法人設立届出書と一緒に「給与支払い事務所等の開設届出書」を提出します。
⑥支店・出張所・工場等、添付書類等
納税地として記載した本拠地の他に、支店・出張所として営業していたり、その予定で工場をしていたりする場所がある場合には、その名称と住所も記載します。
添付書類等の欄は、法人設立届出書と一緒に提出する添付書類の中で、該当するものに全て◯をつけます。
全部で8つの選択肢がありますが、一般的な会社設立の場合、以下の4種類の書類を添付します。
- 定款の写し
- 設立時の貸借対照表
- 株主等の名簿
- 登記事項証明書
添付書類等の欄の数字でいうと、1、2、3、5です。
3.法人設立届出書の添付書類
法人設立届出書には、一般的に以下の4種類の書類を添付します。
(1)定款の写し
税務署や市区町村に会社の概要を伝えるために、定款の写しを添付します。定款の認証で作成したような正式な謄本ではなく、会社で保有しているもののコピーで問題ありません。定款の全ページを、A4の白黒コピーで写し、左側の2箇所をホチキスで留めましょう。
(2)設立時の貸借対照表
会社設立時の貸借対照表には決まったフォーマットがないので、エクセルなどを使って自作したり、ネットで配布されているテンプレートを利用したりして作成しましょう。
設立時のものなので、基本的には賃借対照表に記載されているのは資本金のみとなります。
(例)資本金が100万円の場合の貸借対照表の内容
資産の部 | 純資産の部 |
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現金だけではなく現物出資もある場合、資産の部には「車両運搬具」「土地」といった勘定科目を使うこともあります。
(3)株主等の名簿
株主等の名簿は、そのまま会社設立時の株主名簿です。
内容は、以下のものを記載します。
- 株主の氏名
- 株主の住所(法人の場合は本社所在地)
- 株主の有する株式の数
- 株主の有する株式の金額
- 役職名及び当該法人の役員または他の株主等との関係
自分1人で会社を設立し、株主も自分だけという場合も、上記の内容をリスト化します。フォーマットは特に決まっていないので、エクセル等で自作するか、ネットで配布されているテンプレートを使うなどして作成しましょう。
(4)登記事項証明書
登記事項証明書は、会社の設立登記が終わった後に法務局で取得できるようになります。
登記事項証明書には、記載する部分によって以下の4種類があります。
- 全部事項証明書
- 現在事項証明書
- 履歴事項証明書
- 閉鎖事項証明書
5.まとめ
法人設立届出書は、設立登記をしてから2ヶ月以内に「税務署」「都道府県税事務所」「市町村」の3ヶ所に提出します。提出が遅れても罰則はありませんが、法人税に関わる重要な書類なので、なるべく速やかに提出しましょう。
記載事項に特に難しいことはありませんので、誰でも簡単に作成できますが、場合によっては少しテクニック的な要素もありますので、不明点は税理士に確認するのがよいでしょう。