東京・大阪経理代行サポートセンターPowered by スタートパートナーズ税理士法人

012-345-6789 受付時間:XX:00~YY:00(平日)

トップへ戻る 経理代行診断 メールで相談 トップへ戻る

カテゴリ:
2018/02/16 東京・大阪の経理代行|個人事業主に記帳代行サービスは必要?

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!

こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

古殿
古殿
今回は個人事業主にとって記帳代行サービスは必要かどうかを解説していきます。

 

1.経理代行や経理派遣を使うメリット

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

個人事業主の場合、通常は経理全般を自ら行う方が多く、経理派遣や記帳代行などのサービスを利用する方は少なめです。

やはり経費の増加がネックとなり、帳簿を自分で付ける方が大半を占めます。
 
しかし、個人事業主に各種経理代行が不要とは言い切れません。使い方次第では大きなメリットが生まれ、事業を円滑に進めることもできるためです。
 
個人事業主が記帳代行サービスを利用するメリットは、複雑な会計業務を外注できる点にあります。

もし自分で経理を行うとなると、まず簿記の知識を身に着けなくてはいけませんし、数字にも強くなくてはいけません。

例えば、青色申告の承認申請を受けている個人事業主は税抜30万円未満の固定資産は一回で経費とすることができますし、30万円以上のものはその資産によって決められている耐用年数で減価償却していかなくてはいけません。

耐用年数は資産ごとに異なりますし、資産でも例えば内装壁は金属製のものかモルタル製かなどそのつくりによって変わってきます。

また、逆に言えば、白色申告者は税抜10万円以上のものは全て資産計上しなければいけません。 1回で経費としておとせる金額は10万円未満のものだけになります。 

古殿
古殿
これらは全てご自身で判断して計算・判断しなければいけません。  

 

さらに、2014年1月からは、全ての白色申告者に「記帳・帳簿等の保管」が義務付けられました。 つまり、2014年度分から会計ソフトなどに記帳をしなければいけないということです。 帳簿等の保管とは、売上の帳簿・請求書・経費の領収書など事業の取引に関連した帳簿を一定期間保管しておくことです。 帳簿を5年間(記帳制度に基づいて作成した帳簿については7年間)、納税者の住所地又は事業所などの所在地に保存しなければいけません。  

しかし、簿記の知識を身に付けるだけでも費用と時間が掛かってしまいます。

仕訳を間違えてしまう可能性や、金額の記載ミスをしてしまうおそれもあるでしょう。間違えた結果としてご自身で確定申告を行っても、税務調査でこれらは否認されて追徴課税されてしまいます。 自分で会計業務を行うことは深い知識が必要で、仕訳ミスや金額の記載ミスも無くさなくてはいけないのです。
 
もし経理代行サービスを利用すれば、こうした複雑な業務を全て任せられます

仕訳ミスや金額記載ミスも無くなり、簿記を覚える必要性も薄くなるでしょう。

 

また、自分で帳簿を付けずに済むことから、本業へ専念できる点もメリットと言えます。自ら帳簿付けを行うと、毎日数十分程度の時間がかかりますし、場合によっては数時間時間を取られてしまいます。

決算期などは本業へ専念できず、帳簿に時間を割くようになり、結果的に本業の売上が落ちてしまうおそれもあります。売上規模が小さい個人事業主は、まず売上アップに全力を注ぐべきだというのが私個人の考えです。  

経理をアウトソーシングすれば帳簿に時間を取られずに済みます。経理以外の業務へ時間を充てたり、本業へ集中できるようになるでしょう。時間節約のメリットは、経理代行を利用した場合の大きな利点とも言えます。
 

2.忙しい人や不安がある人に最適

このように、経理代行を利用すれば様々なメリットを享受できますが、全ての方に最適とは限りません。

例えば簿記の知識がある方や、経理に時間を割ける方は、経理代行を依頼するメリットも薄いと考えられます。
 
ただ、本来力を注ぐべきではない部分に気を取られずに済むので、お金の面さえクリアできれば基本的には個人事業主全員が記帳代行サービスを活用すべきだと感じます。

個人事業主は総じて記帳のボリュームも法人に比べて少ないのでアウトソーシング料も安くなりがちです。

弊所にご依頼いただいている個人事業主様の記帳アウトソーシング料を平均すると、毎月15,000円~20,000円の間くらいでしょうか。 経理にかかる時間を売上アップに使うことができれば、月15,000円の出費は全然痛くないと考えます。

携帯料金でも月に15,000円かかる方も多い時代です。 一度、経理のアウトソーシングをご検討されてもいいのではないかと思います。 そして、売上や利益を伸ばしたい、新たな事業展開を考えている、仕事で忙しい、経理作業に不安があるという場合にも、経理代行の魅力は大きいでしょう
 
気軽にお試しをすることができるので、悩んだら記帳代行などのサービスを利用してみるのも一つの手です。

古殿
古殿
これらの経理代行サービスは手慣れたスタッフが作業を行うので安心して任せられます。

 
 
記帳代行サービスでお困りの個人事業主の方は
東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。
親切・丁寧に対応させていただきます。
 
お電話番号はこちら 0120-24-7181
受付時間:9:00~21:00(日曜・祝日除く)
メールでご連絡いただく際は、こちらのフォームをご利用ください。


東京、大阪で経理代行、経理のアウトソーシングなら
経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!
⇒料金、サービス内容はこちら
ご相談は無料です!会社の経理でお困りの方は経理派遣より
東京・大阪経理代行サポートセンターにお任せください。

カテゴリ:
2018/02/09 経理代行と経理派遣はどちらがお得?コスト削減に効果的なのはどちら

経理代行と経理派遣は、総合的に見ると経理代行のほうがコスト削減に繋がるでしょう。

もし経理代行が月数万円程度かかったとしても、経理派遣と比べてコスト削減効果は大きいと考えられます。経理派遣の勤務時間・勤務日数を減らせば実質コストは削減できますが、経理代行ほどの削減効果は生まれません。また、経理のスキルは派遣されるスタッフ次第のため、当たり外れが大きい点にも注意が必要です。
 

古殿
古殿
今回はコスト削減と経理関連サービスについて解説していきます。

 

1.経理代行と経理派遣の違い

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

売上や経費などを管理するための重要な業務が経理です。現在はアウトソーシングも一般的になっており、経理代行や記帳代行、経理派遣サービスを利用する事業者も少なくありません。

しかし、経理代行と経理派遣は似て非なるものであり、慎重な選択が求められています
 
経理代行(記帳代行)は、税理士事務所や専門業者へ経理業務をアウトソーシングする方法です。

一般的には担当者とは電話やメールでやり取りし、週1回~月に1回報告を受けたり、必要に応じて面談を行ったりします。

 

一方の経理派遣は、人材派遣会社などから経理業務の派遣社員を雇う方法になります。一般の派遣社員と同じで、オフィスに出勤してもらい、会計全般の業務を担ってもらいます。
 
経理を外注するか、派遣を雇うかという点が大きな違いです。

古殿
古殿
これにより必要なコストも変わりますので、コスト削減が目的なら注意が必要です。

 

2.費用はどう異なるのか

では、費用面はどう異なるのでしょうか?

まず経理代行サービスですが、仕訳の分量によっては月々770円程度からアウトソーシング可能です。
 
一般的な経理代行の場合、基本仕訳料金とその他オプション(給与計算・請求書作成代行など)の2段階に分かれています。
依頼する業者にもよりますが、基本料金はかなり安いといえるでしょう。

オプションを追加すると少し高くなると考えられますが、それでもコストを抑えることができて節約が図れます
 
一方の経理派遣は、派遣社員の時給により必要コストが変動します。仮に時給換算2,000円(人材派遣会社の取り分含む)で、社員の勤務時間が1日5時間とすると、1日あたりのコストは1万円です。月20日勤務を希望した場合、1ヶ月あたりの費用は20万円、1年間では240万円にも達します。
 
また、経理代行は1ヶ月単位で契約できますが、経理派遣は一般に3ヶ月~6ヶ月契約です。経理代行なら小回りが利くものの、経理派遣は最低でも3ヶ月程度は雇う覚悟が必要です。
 

3.コスト削減効果なら経理代行

経理代行と経理派遣、コスト面でどちらがお得かは一目瞭然でしょう。もし経理代行が月数万円程度かかったとしても、経理派遣と比べてコスト削減効果は大きいと考えられます。
 
経理派遣の勤務時間・勤務日数を減らせば実質コストは削減できますが、経理代行ほどの削減効果は生まれません。また、経理のスキルは派遣されるスタッフ次第のため、当たり外れが大きい点にも注意が必要です。

古殿
古殿
総合的に見ると、経理代行のほうがコスト削減に繋がるでしょう。

 
 
経理のコスト削減を検討している方は
東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。
親切・丁寧に対応させていただきます。
 
お電話番号はこちら 0120-24-7181
受付時間:9:00~21:00(日曜・祝日除く)
メールでご連絡いただく際は、こちらのフォームをご利用ください。


東京、大阪で経理代行、経理のアウトソーシングなら
経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!
⇒料金、サービス内容はこちら
ご相談は無料です!会社の経理でお困りの方は経理派遣より
東京・大阪経理代行サポートセンターにお任せください。

カテゴリ:
2018/02/02 経理代行は税理士と行政書士のどちらに依頼するべき?

経理代行は、経理や税金の専門家でもある税理士へ依頼することをおすすめします。行政書士ではなく税理士に依頼すべき理由は、決算申告を依頼できるからです。仮に行政書士へ経理全般をアウトソーシングした場合、決算申告は自身で行わなくてはいけなくなります。

また、面倒だからと行政書士へ名義貸しを行うと、違法行為とみなされ罰せられるおそれがあります。
 

古殿
古殿
この記事では、経理代行は誰に依頼すべきかについてわかりやすく解説していきます。


 

1.税理士へ経理代行・経理派遣を依頼するメリット

税理士は税や経理に関するプロフェッショナルであり、税理士事務所によっては経理代行・記帳代行サービスを提供しています。このような経理代行などを税理士へ依頼するメリットは、記帳の信頼性の高さなどにあるでしょう。
 
企業では別途経理部門を置いたり、経理・会計業務専用の従業員を雇っているところも少なくありません。しかし、経理の人件費が重荷となるほか、経理担当者の知識・経験次第では信頼性も低くなります。

もし税理士へ記帳代行を依頼すれば、経理の人件費の重荷から解放されるだけでなく、正しい経理を行ってくれるでしょう。
記帳1つとってみても、法人税や所得税、消費税など税法の知識も必要です。自計化している会社さんの記帳を拝見して、100点満点のものは皆無といっていいでしょう。
 
また、税理士なら決算申告も代行してもらえますので、申告にかかる時間や費用を節約できる側面もあります。決算申告は納税者本人か税理士のみが認められており、記帳代行サービスを利用する一番のメリットとも言えます。正しい記帳の延長線上に決算・申告があります。記帳が誤っていると、節税等のご提案も誤ったものになってしまいます。

経理において、記帳の正確性はそれだけ重要と言えます。
 

2.行政書士へ経理代行・経理派遣を依頼するメリット

一方、経理代行サービスなどは、行政書士へ依頼することも可能でしょう。

個人の行政書士事務所などがサービスを提供している場合も中にはあります。自社の経理をアウトソーシングできるメリットは計り知れませんが、行政書士に依頼するメリットは費用の安さでしょう。
 
行政書士の記帳代行サービスなどは、月々数千円から依頼できるのが大きな強みでしょう。様々な事務所がサービス提供しており、非常に格安なサービスも存在しています。

自社で会計担当者を雇う場合と比べて、経費削減効果は大きなものとなるでしょう。ただし、同程度や同程度以下の料金で税理士にアウトソーシング可能な場合もありますので、安さが行政書士特有の利点とも言い難いのが実情です。
 
さらに、記帳には法人税、所得税、消費税等の税法の知識が必要という観点から見ると、行政書士による経理代行にはクエッションマークがつきます。会計や税務の専門家は税理士であり、公認会計士です。

この辺りが正確でないと、記帳の正確性にも大きく及んできます。弊社への経理代行切替も多く存在しますが、記帳の内容に誤りが多くあるものも実際に存在しています。
 

3.経理のプロである税理士がおすすめ

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行
税理士と行政書士は全く異なる職業なのですが、記帳など経理のアウトソーシングをする場合、一体どちらを選ぶべきでしょうか?

もし悩んだ時は経理や税金の専門家でもある税理士へ依頼することをおすすめします
 
なぜ行政書士ではなく税理士なのか、と疑問が湧くかもしれませんが、前述の通り、記帳の正確性があり、結果、その延長線上にある決算申告を依頼できるからです。

仮に行政書士へ経理全般をアウトソーシングした場合、決算申告は自身で行わなくてはいけません。

行政書士は法律上、決算申告の代行ができません。面倒だからと行政書士へ名義貸しを行ったりでもしたら、違法行為とみなされ罰せられるおそれがあります
 
また、毎月の記帳と決算申告を1つの経理代行会社にまとめることで全体の経理費用はおさえることが可能です。さらに、税理士であれば決算申告が可能なため、ご自身で税務署まで出向く必要もありません。経理に関すること全般を一任できますので、経費を削減しつつ事業に専念できます。

古殿
古殿
もし税金のことで様々な悩みが生じた時でも、相談できる点も強みでしょう。

 

4.経理代行会社へどの部分から依頼すればいいか?

➀経理代行を依頼するにしても、どこから依頼すればいいのかというお悩みもお聞きします。

こちらについてのご回答は、ずばり「記帳」からでしょう。記帳とは、御社で起こる全てのお金の動き・損益の発生を会計ソフト(会社様によっては、いまだに振替伝票のみをご使用されているところもあります。)に入力していくことです。

先述した通り、記帳には専門知識が必要です。会社様で記帳された結果を拝見して、100点満点の記帳を私は見たことがありません。

さらに、記帳の結果が試算表などの数字となって社長の意思決定が行われます。誤った数字に基づいて、社長が意思決定するわけにはいきません。

そのため、経理周りで一番最初に外注すべきは「記帳」であると言えます。逆に言えば、記帳以外の請求書発行・振込支払・給与計算などは記帳ほどの専門的な知識は求められません。

 

➁記帳の次に専門知識が必要となる経理分野は給与計算でしょう。

また、従業員さんの人数が増えれば増えるほど外注されている会社様が多い傾向にあります。

給与計算を誤ると、会社と従業員の間の問題となるため、後で修正するのも一苦労です。年末調整で所得税部分は修正できる仕組みになっていますが、社会保険料や支給額の課税・非課税を誤ってしまうと、年末調整でも修正・精算できません。

経理を行っていくうえで、給与計算も大事な位置づけとなります。

 

➂「記帳⇒給与計算」の順にアウトソーシングされると、経理で専門知識が必要になるものはおおよそカバーすることができます。

請求書の発行や振込などの支払いは専門知識というよりも作業的位置づけとなります。それでも従業員を雇って、「請求書の発行や振込をされると誤っていないか心配」、「余計な人件費がかかってしまう」ということにもなりかねません。

そのような場合、➀・➁をアウトソーシングされた後で経理周りを全てアウトソーシングするということも考えるべきでしょう。

 

5.経営における経理の重要性

社長が経営を行っていく場合、社長の中で経理はどれくらいの重要性を占めているでしょうか?

弊社では経理の重要性は創業期とそれ以降で変わってくるものであると認識しております。

 

➀創業期で一番大事なことは「売上を上げること」です。

売上が上がらなければ、そもそも経理もくそもありません。会社の存続に関わるからです。

よって、専門知識も必要な経理(特に記帳・決算申告)は必要最低限なコストでアウトソーシングして、社長は売上アップに専念するべきです。また、このような創業期であっても「経理をやらない」という選択肢はありません。

経理をやっていないと決算申告ができず、納税の義務を果たせません。法人は登記されるので、税務署も決算申告を行っているか否かは全て法人ごとに情報として持っています。

ここで、決算申告をしなければ、後々大変なことになるでしょう。延滞税や加算税など余計な納税が必要になります。もちろん融資も受けることができません。

売上を上げることに全力を注ぎつつ、経理にも最低限のコストをかけて経営していくことになります。

経理にかけるコストをおさえるためにも記帳・決算申告だけでもアウトソーシングして経営に専念していくのが正解でしょう。

 

➁創業期を乗り切れば、会社に最低限の売上は立つようになっているでしょう。

もちろん売上アップのためにまだまだ営業活動は必要ですが、この頃には従業員も増えて売上アップだけやっておけばいいというステージではなくなっています。

ここで、経理の持つ意味は創業期と変わっています。

一人代表だけの創業期と異なり、従業員も何人か会社に存在するでしょう。組織化に向けて走っているステージに入っています。

当然、従業員の給与計算を毎月やらなければ従業員に給与を支給できませんし、給与計算が誤っていれば従業員が会社に不信感を抱き退職してしまうことも考えられます。

請求書の発行や振込支払についても同様です。期日通りに請求書の発行・振込支払を行わなければ信用問題になり、取引がなくなってしまうことも考えられます。記帳も同じです。

正しい数字を毎月見て意思決定していかなければ、誤った意思決定をすることになります。誤った意思決定で会社は傾きかねません。数字に基づいて正しい意思決定をしていくことが重要なステージに入っています。

創業期と異なり入ってくるお金も出ていくお金も大きくなっているため、経営意思決定におけるインパクトが大きくなっているからです。

結果的に、創業期と異なり、経営における経理の位置づけは高いものとなっています。場合によっては、経理専門の人員を雇用して経営しなくてはならないでしょう。

しかし、優秀な人材の雇用が困難な時代において、経理という重要な場所に置くことのできる人材の確保は難しくなっています。

お金に関する事を全て任せていいのか、社内の別の人間にむやみに話したりしないか、雇用しても退職してしまった・・・。
このような悩みは経理のアウトソーシングで解決できます。

記帳・給与計算・請求書の発行・振込支払・年末調整・決算申告から御社の状況に合わせてカスタマイズしてアウトソーシングできます。

古殿
古殿
中でも、記帳・給与計算・決算申告のご依頼が多くなっています。経理の人材確保が難しいからこそ、永続的にプロに依頼できる経理代行会社へのアウトソーシングを検討するべきでしょう。

 

カテゴリ:
2018/01/19 【病院の経理】個人クリニックの経理のポイントを解説!

個人クリニックでは、家計とクリニックの会計は分けて考える必要があります。領収書もしっかりと分け、プライベートの領収書が混ざらないよう注意する必要があります。個人経営のクリニックでは医師が経理を兼ねている場合も度々あるため、最低限の経理に関する知識は必須と言えるでしょう。

古殿
古殿
今回は病院の経理(個人クリニックの経理)について解説していきます!

 

1.事業と家計の分離からはじめる

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

個人経営の病院では、生活用の銀行口座やクレジットカードを本業で使用している場合も珍しくはありません。起業時からそのままだったり、手間だからと分けずに使っている方も少なくはないでしょう。
 
しかし、家計と事業を分けずに口座やカードを使用していると、経理が非常に複雑になります。特に注意したいのが経費の処理で、家計の支出と本業の支出が区分しづらくなり、混乱してしまうことも考えられます。

例えば同一の口座を使用している場合、引き落とされた1万円が家計の支出なのか、それとも病院の支出なのか判断に迷う場合もあるでしょう。
 

こうした混同を避けるためにも、家計とクリニックの会計は分けて考える必要があります。必ずクリニック専用の銀行口座とカードを作成し、入金と支払い時に使うようにしましょう。

古殿
古殿
また、領収書もしっかりと分け、プライベートの領収書が混ざらないよう注意する必要があります。

 

2.最低限の経理の知識が必須

個人経営のクリニックでは医師が経理を兼ねている場合も度々あります。規模の小さなクリニック・病院ではごく一般的ですが、最低限の経理に関する知識は必須と言えます。
 
経理は収入と支出を管理するためのものですが、それぞれ勘定科目で細かく仕訳する作業が必要です。例えばどの経費をどの勘定科目で仕訳するか、売上をどう計上するかなど、正確な処理が求められます。最低でも収入・経費の勘定科目仕訳の方法は覚える必要があるでしょう。
 
また、自宅とクリニックを兼ねている場合、家事按分(かじあんぶん)も考慮しなくてはいけません。特に注意したいのは水道光熱費で、例えば家事とクリニックで使用した電気代の割合を計算し、使用した割合に応じて経費を計上します。
 
他にも、従業員を雇った場合の給与や各種保険の経理など、規模によって幅広い知識が求められます。

古殿
古殿
クリニック開業前に、ある程度経理について学んでおく必要があるでしょう。

 

3.個人にかかる税金の範囲

個人クリニックに課せられる税金は、一般の事業を行う「個人事業者」とほぼ同様の取り扱いとなります。

従って、個人クリニックにかかる税金としては、個人事業者と同様に所得税をはじめ、住民税や事業税、消費税、固定資産税(該当する不動産や償却資産等がある場合)などがあります。

しかし、一般の個人事業者は、「会社法」を基礎としていますが、医療機関は、「医療法」を基礎としているため、会計処理の方法や余剰金の取扱いなどで、医療機関独特の取扱いになるところもあります。

 

【個人クリニックにかかる主な課税税目】

所得税、消費税、住民税、事業税、固定資産税など

 

4.税務上の言葉の意味

会計や税金に関する言葉には、意味が分かりづらいことが良くあります。
病院における「収入」「必要経費」「所得」の意味の違いを見ていきましょう。

 

(1)収入

患者から直接いただく窓口収入や社会保険料収入や自由診療収入等の振込入金のように、入ってきた金額の総額のことを言います。自営業者の場合、一般的に年商などとも表現されます。

ちなみに、支払基金からの振込金額は源泉所得税が差引かれていますので、その額を加算した金額の総額が「収入」となります。

 

(2)必要経費

必要経費は収入を得るために必要な経費であり、業種や業態によって多少変わっててきます。開業医の場合は、診療所の家賃や駐車場代、看護師や事務員などの給料、医療設備の減価償却といったものが必要経費となります。

開業医の場合は、下記(6)に追記しますが「家事関連費」にも注意が必要です。

 

(3)所得

上記の「収入」から「必要経費」を差し引いた差額を意味します。

各種税金はこの「所得」に対して一定の税率を乗じて課せられるケースが大半です。

 

(4)個人事業主の10種類の所得

院長の方の中には、診療所診察の他にも学校医をしたり、講演や原稿料などの収入がある方もいらっしゃいます。これらにかかる報酬も「収入」と言えます。

そこで、税金を計算する第一段階として「収入」を種類ごとに分類します。そしてその分類した「収入」の種類ごとに経費を差し引いたり、特定の計算をしたりして「所得」を算出します。

「所得」の種類は下記の通り10種類もあります。

ちなみに、講演料や原稿料の「収入」は「事業所得」ではなく「雑所得」に分類されます。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

 

(5)収入計上の時期

院長(診療所)の税金を計算する場合、患者を12月に診療したのであれば、たとえその診療報酬の振込入金が2月になったとしても、年末の時点で「未収入金」としてその報酬をその年分の「収入」に含めて計算することになります。

 

(6)家事関連費

①家事関連費とは

病院の経費と家事上の支出が混在している経費を「家事関連費」と言います。
これらの費用は確定申告の時に使用時間や使用面積割合などの合理的基準により按分して事業用の部分のみを経費とします。

 

②主な家事関連費と按分基準

  • 車両費…ガソリン代、車検等の維持費などは、使用割合により按分
  • 減価償却費…建物、車両などは使用面積、使用割合などより按分
  • 損害保険料…火災保険料、自動車保険料などは使用面積、使用割合などにより按分
  • 租税公課…固定資産税、都市計画税は使用面積、使用割合などにより按分
  • 支払利息…診療所などに関る支払利息は使用面積などにより按分
  • 水道光熱費…病院と家事用のメーターが同一な電気代、水道代、ガス代などは使用時間、電灯数、蛇口数などにより按分する。
     

5.必要経費の計算の特例

税金は上記の通り、収入から経費を引いた所得(利益)に対して課せられます。そのため経費を増やそうと、院長は個人的な支出まで医院の経費に加えたり、不必要なものまで購入して経費を増やそうとしたりする傾向があります。

しかしそのようなことをしていると、医院の本当の健康状態すなわち経営成績が分からなくなってしまいます。

そこで覚えておいてほしいのが、医療業の特例「概算経費」です。

 

6.概算経費率特例制度とは

(1)意義

医院は、医療サービスを提供するという「公共性」の観点等から、独自の税負担軽減の特例措置や、課税の計算方法が設けられています。
そのような特例措置のうち、医院にとっての要諦ともいえるものとして、「概算経費率特例制度」があります。

この特例制度は、「個人・法人」という経営形態に関わらず、社会保険診療報酬が5,000万円以下である場合に、その社会保険診療報酬にかかる経費について、実際に支出した経費の金額ではなく、社会保険診療報酬(収入)に応じて定められた下記の概算値を用いて経費を計上するというものです。

 

(2)社会保険診療報酬と概算経費の額(速算表)

保険診療収入概算経費
2500万円以下診療報酬収入×72%(所得率28%)
2500万円超~3000万円診療報酬収入×70%(所得率30%) +控除額50万円
3000万円超~4000万円診療報酬収入×62%(所得率38%) +控除額290万円
4000万円超~5000万円診療報酬収入×57%(所得率43%) +控除額490万円

 

(3)概算経費を用いた場合の計算例

 

(例)社会保険診療報酬が4,000万円、社会保険診療報酬にかかる実額経費が2,000万円である場合

①通常の場合

 ②概算経費の場合

収入 4,000万円-経費 2,000万円 =所得 2,000万円

税金 2,000万円×40%-2,796千円 ⇒ 520.4万円

収入 4,000万円
経費 4,000万円×62%+290万円 = 2,770万円
※①通常の経費の額より770万円過大に!
所得 4,000万円-2,770万円= 1,230万円
税金 1,230万円×33%-1,536千円 ⇒ 252.3万円

 

【上記の差額】

520.4万円-252.3万円 ⇒ 268.1万円 の節税になります!!

※所得控除等は考慮していません。

 

(4)概算経費の活用

上記の計算例のように、診療報酬を5000万円以内の範囲に留めて優遇制度を受けると、大きな節税効果が期待できます。

このような有利な制度を受けることができるにも関わらず、最終の着地点をギリギリで外してしまうと、とてももったいないことになります。

古殿
古殿
そのためにも、毎月の正確な売上や経費、所得の金額を常に把握しておくことがとても重要になってきます。

 

7.まとめ

開業医にとって経理が大きな負担となりかねません。医師は診療業務でも負担が大きいのに、経理でさらなる負担を強いられることは避けたいところです。

しかし、経理担当を雇う余裕が無い場合も珍しくはありませんし、雇った人が正確な経理処理をしてくれるとも限りません。
 
個人クリニックの経理は負担が非常に大きいため、経理代行サービスを検討してみると良いでしょう。経理のプロである税理士経理代行や、経理派遣などのサービスを利用すれば、面倒な経理業務全般の負担から開放されます。

別途経理担当者を雇うよりも経理派遣などの方が経費が節約できるほか、信頼性の高さが魅力です。

古殿
古殿
クリニック経営に集中できますので、負担を感じている方は活用してみましょう!

 

 
個人クリニックの経理でお困りの方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。
親切・丁寧に対応させていただきます。
お電話番号はこちら
0120-24-7181
受付時間:9:00~21:00(日曜・祝日除く)
メールでご連絡いただく際は、こちらのフォームをご利用ください。


東京、大阪で経理代行、経理のアウトソーシングなら
経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!
⇒料金、サービス内容はこちら
ご相談は無料です!会社の経理でお困りの方は経理派遣より
東京・大阪経理代行サポートセンターにお任せください。

カテゴリ:
2018/01/05 病院の経理について解説【収入の経理のポイント】

病院の経理は、大きく収入と支出(経費)に分けられます。収入を仕訳する際には、保険収入・自費収入・雑収入の3つの勘定科目を使用します。

保険収入は病院の大半を占め、各種健康保険による診療全般の収入を指します。自費収入は医師が自由に金額を設定できる自由診療全般や、労災保険・自賠責保険による収入を指します。雑収入はその他物品売上による収入を指します。

病院の経理は少々特殊であり、より専門的な知識と実務経験が求められます。

古殿
古殿
この記事では、病院の経理(科目や経理処理)についてわかりやすく解説していきます。

 

1.病院における収入の経理のポイント

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

病院の経理は、大きく収入と支出(経費)に分けられます。

この内、収入を仕訳する際に使用する勘定科目保険収入自費収入雑収入の3つになります。

保険収入は病院の大半を占め、各種健康保険による診療全般の収入を指します。窓口で患者本人が支払う収入と、社会保険診療報酬基金などから振り込まれる収入(保険請求)の2種類があります。

いずれも保険収入で仕訳しますが、保険請求の入金は2ヶ月程度遅れる点に注意が必要です。

自費収入は医師が自由に金額を設定できる自由診療全般や、労災保険・自賠責保険による収入を仕訳する際に使用します。主に保険収入以外の診療収入と考えておくと良いでしょう。

そして雑収入はその他物品売上による収入を指します。

例えば歯科医が歯ブラシ・歯磨き粉を患者に販売した場合、雑収入で売上を計上します。

 

2.仕訳可能な経費と勘定科目の種類

病院で計上できる経費は非常に多いので注意しましょう。
主に以下の経費があり、それぞれ細かく仕訳する必要があります。

  • 診療材料費
  • 外注技工料
  • 租税公課
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 旅費交通費
  • 給与賃金
  • 福利厚生費
  • 損害保険料
  • 消耗品費

 

診療材料費は医薬品や治療に必要な材料の購入費用を、外注技工料は外注した検査料・技工料を計上する際に使用します。租税公課は切手代や印紙代、固定資産税や事業税の損金処理に、水道光熱費は電気代や水道代などを計上します。

通信費と旅費交通費は見分けが難しいですが、通信費は電話代やインターネットの回線利用料、旅費交通費はバスなどの交通費、学会参加費用などが該当します。

給与賃金は、医師や看護師(アルバイト等含む)の給与や、各種手当てを仕訳するための科目です。福利厚生費は従業員の社会保険料、雇用保険料、労災保険など保険料が該当し、医院で負担する分のみを計上します。

そして、損害保険料は医院の火災保険や医療事故に備えた各種保険料を、消耗品費はボールペン、コピー用紙などの事務用品や日常的な消耗品の購入費用を仕訳する際に使う勘定科目です。

ただし、購入価格が10万円を超える消耗品(PCなど)は資産として計上し、毎年減価償却を行う必要があります。

 

3.医業における損益計算書

損益計算書とは?

病院の収入や利益を確認する上で重要となる書類の一つに「損益計算書」という書類があります。

この「損益計算書」とは、病院の一定期間(暦年や一事業期間)における儲けや損失などの経営成績を表す計算書類です。
収益から費用を差し引いて利益または損失を計算します。

もう一つ、本業(診療行為)により生じた利益と臨時的な利益(不動産等売却益)が同一に表示されては本来の病院の経営状態を的確に判断することが困難となるため、その利益や損失がどのようにして生じたかを明らかにする書類でもあります。

大きくは、医業収益・医業費用、医業外収益・医業外費用、臨時収益・臨時費用に区分されます。さらに、医業の場合は内容に応じて3つの収益、4つの費用、5つの利益に区分して表示します。
 
(1)3つの収益

  1. 保険収入
  2. 自由診療収入
  3. 雑収入(①と②以外の収入)

(2)4つの費用

  1. 医業原価
  2. 販売費および一般管理費
  3. 営業外費用
  4. 特別損失

(3)5つの利益

  1. 医業総利益・・・「粗利益」とも言われます。医業収入から、材料費等の原価を差し引いた利益を表します。
  2. 営業利益・・・医業総利益(粗利益)から販売費・一般管理費を差し引いて求めます。病院の本業の利益を表します。
  3. 経常利益・・・病院の経常的な営業活動から得られた利益を表します。
  4. 税引前当期利益
  5. 当期純利益・・・1年間の最終的な利益を表します。

 

4.収益科目の定義等

次に、損益内訳書のうち、収益科目の細かな定義や具体例を見ていきましょう。

医業収益

①外来診療収益

外来患者の診療及び療養に係る収益を計算する勘定科目です。例としては、医療保険・公費負担医療・労災保険公害医療・自動車損害賠償責任保険・介護保険等・自費診療などがあります。

②入院診療収益

入院患者の診療及び療養に係る患者窓口負担金や各支払機関請求分を計算する勘定科目です。例としては、①と同様な医療保険・公費負担医療・労災保険公害医療・自動車損害賠償責任保険・介護保険等・自費診療などです。

③保険予防活動収益

保険適用外に係る収入を計算する勘定科目です。例としては、妊産婦保健指導等保健予防活動・健康診断・人間ドック・予防接種等の収益があります。

④その他の医業収益

診断書等の文書料など前出に属さない医業収益を計上する勘定科目です。例としては、施設介護・短期入所療養介護以外の介護報酬、各市町村の事務手数料・文書料等があります。

 

医業外収益

①受取利息

預貯金の利子、公社債の利子などを計上する勘定科目です。例としては、預貯金の利子、日本国債の利子、貸付金利息などがあります。

②受取配当金

法人からの配当金、投資信託の収益の分配などを計上する勘定科目です。例としては、配当金や信用金庫の分配金等があります。

③患者外

給食収益・・・例としては、患者以外の方に食事を提供した際の収益などがあります。

 

臨時収益

病院が保有していた固定資産を売却した時の売却益やその他臨時的な収益を計上する勘定科目です。災害保険金や医療事故保険金収入等もこちらで計上します。

 

5.費用科目の定義等

次に、費用科目の細かな定義や具体例を見ていきましょう。医業に関わる費用は「材料費」「給与賞与」から「一般的な事務経費」まで多岐に渡るため、主だったものをご紹介します

 

材料費

①医薬品・診療材料費

医薬品や診療材料の購入額(消費額)を計上する勘定科目です。

②医療消耗器具備品費

診療、検査、看護などの医療用の器械や器具のうち、固定資産計上基準額に満たない少額なもの、又は1年以内に消費するもの計上する勘定科目です。

※間違いやすい例・・・材料仕入先から自社で使用する物品を購入した場合は、材料仕入には該当せず、備品消耗品費や接待交際費といった科目で処理を行います。

③給食用材料費

患者給食のために使用した食品の消費額を計上する勘定科目です。

※期末に残っている医薬品や診療材料、貯蔵品などは、一定の方法によりその在庫の額を確認・集計して棚卸資産として貸借対照表の資産の部に計上しなければなりません。

 

給与等

①給与・賞与

病院で直接業務に従事する役員や従業員に対する給与や手当、賞与を計上する勘定科目です。ここでいう手当とは、役職手当、住宅手当、家族手当、時間外手当、通勤手当等をいいます。

また、賞与については、支給済みのものと支給する金額が確定している賞与の額も含みます。

②法定福利費

病院で直接業務に従事する役員、従業員に対する社会保険料、労働保険料などの事業主負担額を計上する勘定科目です。例としては、健康保険料、厚生年金、雇用保険料、労働災害補償保険料の事業主負担分があります。

 

委託費

外部に業務を委託した際の費用を計上する勘定科目です。

例としては、

  • 検査委託費…医業活動に係る検査業務を外部に委託した場合の費用
  • 給食委託費…給食業務を外部に委託した場合の費用
  • 寝具委託費…寝具委託業務を外部に委託した場合の費用
  • その他委託費…上記以外の委託費清掃委託費、保守委託費など

 

設備関係費

病院の土地・建物や救急車(車両)に関する費用を計上する勘定科目です。

例としては、

  • 減価償却費…有形固定資産及び無形固定資産の取得原価の期間配分額
  • 器機賃借料…器機等のリース料、レンタル料など
  • 地代家賃…土地、建物などの賃借料
  • 修繕費…機械の整備、部品交換等、軽微な損傷の修繕費用など
  • 固定資産税等…固定資産税、都市計画税等の租税公課
  • 車両関係費…救急車、検診車、巡回自動車などの燃料や保険料など

 

研究・研修費

研究費…研究材料や研究用図書の購入や研究活動に係る費用を計上する科目です。

※試験研究費の税額控除・・・余談ですが、政策的な配慮から、青色申告法人には「試験研究に関する費用」のうち一定額が税額控除の対象となるものもあります。

古殿
古殿
税額控除は、算出した最終税額から直接控除できるため非常に節税効果があります。

 

国税庁参考URL
・研究開発税制について(概要)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5441.htm
 

6.まとめ

ご覧いただいた通り、病院の経理には一般企業と異なる勘定科目や会計処理が散在しています。また、病院は公共性が強く、医療を通じて社会の発展に大きく寄与する機関でもあります。

そのためにも、自院の経営・営業成績をきっちり把握するために、まずはしっかりした会計処理を行い、正確な損益計算書を初めとした計算書類を作成していきましょう。
 

7.経理代行・経理派遣も検討を

規模の小さな病院では、医師が経理を兼ねる場合が大半を占めます。大きな病院では別途経理担当を雇っている場合も多いですが、人件費が膨らむため注意が必要です。

また、病院の経理は少々特殊であり、より専門的な知識と実務経験が求められます。

負担を減らすためにも、税理士による経理代行経理派遣サービスを利用してみてはいかがでしょうか。経理のプロである税理士へ一任できるため、適正かつ信頼性の高い経理処理が可能になります。

古殿
古殿
経理ミスのリスクと修正の手間を減らせますので、経理代行や経理派遣は魅力の大きいサービスと言えます。

 

カテゴリ:
2017/12/29 相続と贈与【単純承認と限定承認とは】

相続の承認とは「被相続人(亡くなった方)の財産を相続すること」を意思表示することです。プラスの財産だけでなくマイナスの財産も全て引き継ぐ『単純承認』と、相続財産の範囲でマイナスの財産を負担する『限定承認』について詳しくご説明します。
 

古殿
古殿
前回は相続放棄について解説しました。今回は相続の承認についてわかりやすく解説していきます。

 

1.相続の承認

相続の承認とは「被相続人(亡くなった方)の財産を相続すること」を認めることです。

この相続の承認には「単純承認」「限定承認」という2つの方法があります。

 

2.相続の単純承認

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産(借金・債務等)も全て、無条件で相続することを認めることを相続の単純承認と言います。

マイナスの財産が全くない場合、もしくはマイナスの財産がプラスの財産よりも明らかに少ない場合には単純承認をします。

相続放棄と異なり、単純承認を選択した場合には手続きは必要ありません。

 

3.相続の限定承認

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行被相続人の財産の範囲内でのみ、債務を負担して相続の承認をすることを相続の限定承認と言います。

つまり、マイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合には相続せず、プラスが多かった場合に限り相続を承認するという方法が「限定承認」です。

プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか不明な場合等にこの限定承認を選択します。

相続開始時に財産や債務がどの程度になるかわからない場合に限定承認を選択しておけば、相続によって債務を抱えるという事態は避けられます。

限定承認を選択するには、相続人全員が限定承認を希望している必要があります。
 
相続人のうち1人でも限定承認を希望しない人がいる場合には、限定承認は成立しないため注意しましょう。

古殿
古殿
相続の放棄と同様、限定承認を選択する際にも手続きが必要です。

 

(1)相続の限定承認の手続きの期限

相続の限定承認の手続きの期限は、原則として相続開始を知った日から3か月以内です。

(2)相続の限定承認の手続きを行う場所

相続の限定承認の手続きは被相続人の亡くなった時の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。

(3)相続の限定承認に必要な書類

相続の限定承認の手続きには「相続の限定承認の申述書」の提出が必要です。書式は裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

相続の限定承認の申述書

また、添付書類として、下記のような書類も必要となります。

【標準的な申立添付書類】

  • 手続きを行う本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 手続きを行う本人の住民票又は戸籍附票

 

【全員】

  1.  被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2.  被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  3.  申述人全員の戸籍謄本
  4.  被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 

【相続人が配偶者+父母または祖父母等(直系尊属)の場合】

  1. 被相続人の直系尊属のうち、相続人と同じ代かそれより下の代で既に亡くなっている方がいる場合、その方の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【相続人が被相続人の配偶者のみの場合,又は被相続人の配偶者と兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)の場合】

  1. 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2. 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  3. 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  4. 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 

なお、期限までに限定承認の手続きをしなかった場合、自動的に単純承認を選択したものとした取扱いとなります。

 

4.限定承認のメリット・デメリット

 

(1)メリット

限定承認は、プラスの財産の範囲内だけで相続財産を相続する方法です。

メリットとしては、以下のものが挙げられます。
 
①プラスの相続財産だけ引継ぐことができる。

相続ではプラスの財産がマイナスの財産より多ければ、相続を承認して(単純承認)、残った財産を遺産分割します。
 
しかし、マイナスの財産のほうが多い場合、借金の返済をしなければならなくなってしまうかもしれません。被相続人の借金の額が分からない場合に限定承認をすると、もし、借金の額が財産の額より多かった場合、その財産以上にある借金は切り捨てられ返済しなくてもよくなります。

②特定の財産だけ引継ぐことができる。

例えば、マイナスの相続財産が多い場合に相続放棄をすると、自宅財産の相続権も失ってしまいます。このような場合には、限定承認を利用して、自宅の価額を支払うことで自宅を確保できる場合があります。

③少ない人数の手続で相続を終わらせることができる。

相続放棄をすると、次の相続人に相続権が移るため、その相続人も相続放棄の手続をしなければなりません。限定承認を選択すると、承認した者のみで手続を進めることができます。

 

(2)デメリット

限定承認は、マイナスにならないというお得感がある感じの方法ですが、以下のようなデメリットもあります。実務的には利用されるケースが少ないの現状です。

①相続人全員で行わなければならない。

相続人が複数いる場合、相続人全員で手続を行わなければなりません。相続人のうち誰か1人でも同意しない場合、限定承認を利用することはできません。

ただし、相続放棄をした相続人がいるときには、その人ははじめから相続人でなかったとみなされるので、残りの相続人だけで限定承認の手続をすることができます。

②限定承認の手続には期限がある。

限定承認の手続は、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申し立てをして行わなければなりません。3か月を過ぎると単純承認したものとみなされます。

③みなし譲渡所得税が発生する。

詳細は後述させていただきます。

④手続が複雑で大変。

限定承認は、単純承認や相続放棄とくらべて、手続が複雑です。財産の調査、共同相続人全員との連携、家庭裁判所に申述など。

古殿
古殿
家庭裁判所に受理された後も、官報への公告や相続財産の管理・換価などといったような手間もかかります。

 

5.限定承認に係る税務

(1)みなし譲渡課税

限定承認の場合、相続開始日に被相続人が全ての財産を相続人に「時価」で譲渡したものとみなし、譲渡所得税が課されます。

譲渡所得税は、譲渡価額(時価)からその資産の取得費、譲渡費用を差し引いた金額に課税がされます。

この譲渡所得税は被相続人の債務となるので、相続税の計算をするときに債務として控除することとなります。また、譲渡所得は、被相続人の準確定申告(相続の開始があったことを知った日から4か月以内)をする必要があります。

 

税率は以下のとおりです。
 
・長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの)

所得税15% 住民税5% 合計20%
 
・短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの)

所得税30% 住民税9% 合計39%

(注)平成49年までは別途復興特別取得税2.1%がかかります。

なお、譲渡所得の計算上、下記の特例は適用できませんので注意が必要です。(居住用財産の3,000万円特別控除、居住用財産の譲渡所得に係る軽減税率 など)
 
譲渡所得税が発生するものとしては、時価の値上がりがみられる不動産が中心です。何十年も不動産を所有していれば、その間に時価が上昇して取得したときよりも高額になっていることも少なくないでしょう。自宅不動産については譲渡所得税が発生することも多いと思われます。

(例)被相続人が1,000万円で取得した自宅(土地建物)の時価が2,000万円になっている場合。(長期譲渡所得とする。)
 
譲渡所得税・住民税(復興特別所得税を除く)

時価2,000万円-取得費1,000万円=1,000万円  1,000万円×20% ⇒200万
 
つまり、この例では、被相続人に200万円の債務が加算されます。ただし、財産<借金 の場合は、譲渡所得税が加算されても、財産以上の債務が増えることはありません。
 

(2)準確定申告

被相続人が死亡した年に所得があれば、所得税がかかります。そのため、被相続人についても確定申告をする必要があります。

ただ、亡くなってしまった人が自分で確定申告をすることはできませんので、相続人が代わりに確定申告をします。以前のコラムでも説明しましたとおり、これを「準確定申告」といいます。
 
被相続人が亡くなったときは相続税のことで頭がいっぱいになりがちですが、所得税(準確定申告)のことも忘れないように注意が必要です。

「準確定申告」といっても、内容は確定申告とほとんど変わりません。異なる点は、準確定申告の所得と税額の計算期間は、1月1日から被相続人が亡くなった日までとなります。

また、申告期限は、被相続人が亡くなった日(相続を知った日)の翌日から4か月以内です。
 
準確定申告で納付した税金は、亡くなった人の払うべき税金(債務)です。そのため、準確定申告によって納めた所得税は、相続財産から控除できます。計算結果として、還付があった場合、相続財産に加算されます。
 

古殿
古殿
弊社では経理代行を承っておりますが、相続や贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

 

カテゴリ:
2017/12/22 相続放棄とは?方法と手順、注意点などを詳しく解説【相続と贈与】

相続放棄とは相続時に「相続税の負担が大きいことが明確な場合」や「マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合」等、何らかの理由で相続をしたくない場合に選択できる方法です。

相続放棄で注意すべきポイントとしては、原則として撤回や取り消しはできないことや、全ての相続財産を手放さなければいけないこと、相続放棄をした人の子は相続人にはなれないことなどがあります。

また、相続放棄をした場合の税金の扱いについて、所得税、住民税、固定資産税それぞれで異なるためこちらも注意が必要です。
 

古殿
古殿
前回までは、法定相続人の範囲と法定相続分について解説してきました。この記事では、相続放棄についてわかりやすく解説していきます。

 

1.相続放棄

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

 
相続する財産にはプラスの財産マイナスの財産(借金等)があります。

ドラマ等の影響からか、相続をすると大きな財産が手に入ると思いがちですが、実際には相続財産に対して相続税が課せられたり、マイナスの財産が多かったりということもあります。

「相続税の負担が大きいことが明確な場合」や「マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合」等、何らかの理由で相続をしたくない場合には相続放棄をすることが可能です。
 

 

2.相続放棄の方法

 
相続放棄をするためには所定の手続きが必要です。

いつまでに、どこに、何を、どのように提出すればいいのかわかりやすく解説してきます。

 

(1)相続放棄の手続き期限

相続放棄の手続きの期限は、原則として相続開始を知った日(被相続人が亡くなった日)から3か月以内です。

(2)相続放棄の手続きを行う場所

相続放棄の手続きは被相続人の亡くなった時の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。

(3)相続放棄に必要な書類

相続放棄の手続きには「相続の放棄の申述書」の提出が必要です。書式は裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

相続の放棄の申述書には<20歳未満用>と<20歳以上用>の2種類があるので注意しましょう。

相続の放棄の申述書(20歳以上)はこちら(裁判所HPに移動します)

相続の放棄の申述書(20歳未満)はこちら(裁判所HPに移動します)
 

相続放棄で注意すべきポイント

相続放棄をした人の子は相続人にはなれませんのでご注意ください。
経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行
(赤の四角は相続人になれません。)
 
家庭裁判所に相続の放棄の申述書を提出すると審判が行われ、問題が無ければ「相続放棄申述受理証明書」が交付されます。
マイナスの財産を相続したくない場合以外に、父が営んでいた家業を息子や娘が継ぐため、他の兄弟が相続放棄をする場合もあります。

古殿
古殿
ただ、こういった場合には相続放棄をせずとも、遺産分割協議の段階で分割を辞退すれば問題はありません。

 

3.相続放棄した場合の税金

 
(1)相続放棄をした人は、最初から「相続人でなかった」ことになり、相続については無関係であったものとみなしてもらえます。

そのため、原則として、相続税だけでなくその他の税金の支払義務についても免れることが可能になります。 

所得税

相続放棄をした場合は、被相続人の所得税について申告や納税の義務はありません。相続放棄をしなかった場合は、「準確定申告」という被相続人の代わりに確定申告を行う手続きが必要となります。

被相続人に確定申告義務がある場合には所得税の確定申告が必要ですが、年の途中で亡くなった場合、被相続人に代わって誰かが所得税の申告を行わなくてはならないためです。相続人が複数いる場合、共同で準確定申告を行うこととなります。

住民税

相続放棄をした場合は、被相続人の住民税についても納税の義務はありません。相続放棄をしなかった場合、被相続人が納めていなかった住民税がある場合には相続人となる人が納めなくてはなりません。

5月頃に「相続人代表者指定届」を提出するよう市区町村から相続人に対して通知が届きます。「相続人代表者指定届」の中で指定した人に被相続人の住民税の決定通知書が送られることになります。住民税の決定通知書は毎年5~6月に発送されます。

固定資産税

固定資産税についても、相続放棄をした場合には支払義務はありません。ただし、被相続人の亡くなったタイミングによっては、「いったん相続人が立替えて納税した上で、本来の納税義務者に対して立替分を返すように請求する」という形をとらざるを得ないこともあります。

相続放棄をしている場合であっても、1月1日時点で固定資産課税台帳に名前が載っている場合、納税をしなくてはなりません。

 

(2)「もし間違って納税してしまったら??」

相続放棄をしたことにより、所得税や住民税の納税義務がないのに納税をしてしまった場合には、還付の請求を行うことができます。ただし、市役所や税務署は徴収しすぎた分については基本的に教えてくれません。納め過ぎた税金を返してほしい時は、返してもらえるように請求を行わないといけません。

所得税については「更正の請求」という方法で税務署に申告書を提出します。更正の請求の期限は5年間になります。住民税は所得税の申告に基づいて市役所側が計算をして通知をしてくれるのが原則です。税務署への申告を行なった後に市役所側から過誤納金の通知書が届くことが多いです。

 

4.生命保険金

 

(1)生命保険金の取扱い

相続放棄をした場合でも、親族が亡くなったことによる生命保険の保険金は受け取ることができます。生命保険金は被相続人の「相続財産」ではなく、受け取った人の財産とみなされます。(これを「みなし相続財産」といいます)

下記のケースでは、相続放棄をしていても相続税が課税される場合があります。

  • 保険料支払者…被相続人
  • 被保険者…被相続人
  • 保険金受取人…他者
古殿
古殿
例えば、夫が自分を被保険者とする生命保険に加入しており、保険料も夫が支払っている場合で、夫が亡くなった時に配偶者が保険金を受け取った場合などが該当します。

 

(2)生命保険金の非課税枠

生命保険金の非課税枠とは、相続税の計算上「500万円×法定相続人の数」で計算した金額を、受け取った保険金の金額から差し引いて計算するというものです。

例えば、親族が亡くなった時に5,000万円の生命保険金を受け取ったとします。

被相続人に配偶者と子供2人(長男と長女)の計3人の法定相続人がいた場合、非課税枠は「500万円×3人=1500万円」となり、受け取った保険金5,000万円からの非課税枠1,500万円を差し引いた3,500万円を基に相続税を計算していきます。

 

(3)相続放棄した場合の非課税枠

相続放棄した場合の非課税枠は相続人の中に相続放棄をした人がいる場合、計算の方法が少し特殊になります。

  • 相続放棄をした人は非課税枠の適用はできません。
  • 非課税枠を計算するうえでの人数にはカウントされます。
  • 非課税枠は相続放棄した人以外で按分して適用します。

(例)法定相続人は配偶者と子供2人(長男と長女)の計3人、生命保険金は各人とも2,000万円で、長男が相続放棄をした場合

  • 全体の非課税枠は、500万円×3人⇒1,500万円
  • 配偶者と長女の割合は、2,000万円/2,000万円+2,000万円=1/2
  • 配偶者の非課税枠 1,500万円×1/2 ⇒750万円
  • 長女の非課税枠  1,500万円×1/2 ⇒750万円
  • 長男の非課税枠  0円(なし)

課税の対象となる生命保険の金額は、

  • 配偶者 2,000万円-750万円 ⇒1,250万円
  • 長男  2,000万円(非課税枠なし)
  • 長女  2,000万円-750万円 ⇒1,250万円

 

5.【相続税の計算】

 相続税には、基礎控除という非課税枠があります。基礎控除の額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めます。
上記の例ですと、法定相続人が3人なので、

「3,000万円+600万円×3人」⇒ 4,800万円となります。
 
相続放棄があったとしても、生命保険の非課税枠と同様に法定相続人の数にはカウントします。さらに、生命保険金の非課税枠が1,500万円あるので、合計6,300万円までは相続税はかかりません。

結論、相続放棄をして生命保険金を受け取った場合、受取人には相続税の支払義務があります。しかし、生命保険金を含めた全ての相続財産の合計額が「基礎控除と生命保険金の非課税枠の合計額」以下なら、相続税はかからないことになります。

弊社では経理代行を承っておりますが、相続贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

古殿
古殿
相続贈与に関して困っている方や、さらに詳しく知りたい方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

 

カテゴリ:
2017/12/15 法定相続分とは?どの相続人がどれくらい遺産をもらえるの?【相続と贈与】

法定相続分とは、民法で定められている各相続人が相続できる割合のことを言います。法定相続人により相続できる割合が異なるため、注意が必要です。

また、民法と相続税法で「法定相続分」に違いが出ることがあります。例えば、子の1人が相続放棄をした場合や養子の数によって違いが出ます。相続税法では相続税の計算をする際、課税遺産総額を法定相続分どおりに取得したものとみなして各法定相続人の税額を計算し、その税額の合計額を相続税の総額とします。

古殿
古殿
前回は法定相続人について解説しました。この記事では、法定相続人と関連して法定相続分についてわかりやすく解説していきます。

 

1.【法定相続分とは】

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

法定相続分とは、民法で定められている各相続人が相続できる割合のことを言います。

法定相続人により相続できる割合が異なるため、注意が必要です。

 

法定相続分に基づいて計算すると、各相続人が相続できる割合は下記のとおりです。

 

 

①配偶者と子ども(または孫)が相続人の場合

配偶者=1/2 (孫を含む)子ども全員=1/2

②配偶者と被相続人の父母・祖父母(直系尊属)が相続人の場合

配偶者=2/3 直系尊属全員=1/3

③配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合

配偶者=3/4 兄弟姉妹全員=1/4

なお、子ども、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いる場合には、均等に分けることが原則です。

古殿
古殿
文章だけでの説明では理解しにくいため、いくつか例を挙げてみましょう。

(例1)相続する資産が1200万円で、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人の場合

配偶者の法定相続分=1200万円×1/2=600万円

子ども1人の法定相続分=(1200万円×1/2)÷2=300万円

 

(例2)相続する資産が1200万円で、法定相続人が配偶者と被相続人の父・母の計3人の場合

配偶者の法定相続分=1200万円×2/3=800万円

被相続人の父・母それぞれの法定相続分=(1200万円×1/3)÷2=200万円

 

(例3)相続する資産が1200万円で、法定相続人が配偶者と被相続人の兄・姉・妹の3人の場合

配偶者の法定相続分=1200万円×3/4=900万円

被相続人の兄・姉・妹それぞれの法定相続分は(1200万円×1/4)÷3=100万円

 

法定相続分は、遺産分割協議で誰がどれだけ相続するのか話しあっても全員の納得を得ることができない時に用いられる割合です。

古殿
古殿
遺産分割協議で誰がどれだけ相続するのか全員が納得すれば、法定相続分に関係なく自由に遺産を相続することができます。

 

2.民法と相続税法の法定相続分の違い

民法と相続税法で「法定相続分」に違いが出ることがあります。

例えば、子の1人が相続放棄をした場合や養子の数によって違いが出ます。

相続税法では相続税の計算をする際、課税遺産総額を法定相続分どおりに取得したものとみなして各法定相続人の税額を計算し、その税額の合計額を相続税の総額とします。

この計算の際、相続放棄はなかったものとして計算をしたり、養子の数に上限があったりと一定のルールに基づき相続税の総額を算出します。

古殿
古殿
このため、民法でいう法定相続分の考え方と違いが出てきます。

 

(1)相続放棄をした場合

 

(例)課税遺産総額が2億円、相続人が配偶者、子2名でうち1名が相続放棄をした場合
 
➀考え方

<民法>

民法の法定相続分は、配偶者が1/2、相続放棄をしていない長女が1/2となり、相続放棄をした長男の法定相続分は無しとなります。また、長男に子(被相続人の孫)がいたとしても、その孫に相続権は移りません。

<相続税法>

相続税法の場合、相続人が相続放棄をしたか否かは考慮しないで、相続税の計算を行います。よって、法定相続分は配偶者が1/2、相続放棄をした長男も相続放棄をしていない長女も法定相続分はそれぞれ1/4となります。

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

 

➁実際の相続税の総額計算

<民法>

  • 配偶者:2億円×法定相続分1/2=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円
  • 子1人あたり:2億円×法定相続分1/2×1人=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円

合計:2,300万円+2,300万円 ⇒4,600万円

 

<相続税法>・・・相続放棄はないものとするため子の人数は2名となる

  • 配偶者:2億円×法定相続分1/2=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円
  • 子1人あたり:2億円×法定相続分1/2×1/2人=5,000万円 5,000万円×税率20%-控除額200万円 ⇒800万円

合計:2,300万円+800万円×2人 ⇒3,900万円
 
民法上の相続税と相続税法上の相続税の差額 ⇒民法4,600万円-相続税法3,900万円=700万円

 

(2)養子がいる場合

(例)課税遺産総額が2億円、相続人が配偶者、実子1名、養子2名の場合

➀考え方

<民法>

民法の法定相続分は、養子が何人いても、実子と養子の合計人数で均等に按分します。被相続人に実子1人と養子が2人いた場合は、配偶者が1/2、実子も養子もそれぞれ1/6(※)の割合となります。

※子の一人あたりの法定相続分・・・1/2×1/3 ⇒1/6

 

<相続税法>

前回のコラムでもご説明したとおり、相続税法の場合、相続税の計算の中で「基礎控除の計算」や「生命保険金等の非課税枠の計算」に法定相続人の数を用います。これらの計算過程の中で、税逃れのため、恣意的に養子の数を増やすことも考えられます。

よって、相続税の計算過程においては、養子は実子がいない場合は2人まで実子がいる場合は1人までしか、考慮できません。
 
被相続人に実子1人と養子が2人いた場合は、養子は1人までしか考慮できません。よって、子の人数は2人となり、法定相続分は、配偶者が1/2、実子と養子1名がそれぞれ1/4(※)の割合となります。

※子の一人あたりの法定相続分・・・1/2×1/2人(=3人-養子1人) ⇒1/4

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行
 

➁実際の相続税の総額計算

<民法>・・・養子の人数に制限なし

  • 配偶者:2億円×法定相続分1/2=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円
  • 子1人あたり:2億円×法定相続分1/2×1/3人=3,333万円 3,333万円×税率20%-控除額200万円 ⇒466万円

合計:2,300万円+466万円×3人 ⇒3,698万円

 

<相続税法>・・・子の人数は実子1名と養子1名の合計2名となる。

  • 配偶者:2億円×法定相続分1/2=1億円 1億円×税率30%-控除額700万円 ⇒2,300万円
  • 子1人あたり:2億円×法定相続分1/2×1/2人=5,000万円 5,000万円×税率20%-控除額200万円 ⇒800万

合計:2,300万円+800万円×2人 ⇒3,900万円

民法上の相続税と相続税法上の相続税の差額 ⇒民法3,698万円-相続税法3,900万円=202万円

古殿
古殿
実際の各相続人の相続税額は、相続税の総額を、各人の相続した財産額に応じて按分したり、配偶者控除などを加味して計算することになります。

 

3.配偶者控除

(1)配偶者が相続等により財産を取得した場合

配偶者が相続等により財産を取得した場合、配偶者控除を差し引いた上で相続税額を計算します。

具体的には、

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額まで

のいずれか多い金額が控除の額となります。

配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、上記のいずれか多いほうの金額を超えなければ、配偶者に相続税はかかりません。
 
この配偶者控除は、婚姻期間に関係なく適用できます。極端な例ですが、1日でも正式な婚姻関係があれば配偶者控除が適用できます。また、配偶者控除を受けるためには、申告期限までに相続税の申告書の提出が必要となります。

 

(2)配偶者控除を受けるための必要書類

 

 

弊社では経理代行を承っておりますが、相続贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

古殿
古殿
相続贈与に関して困っている方や、さらに詳しく知りたい方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

 

カテゴリ:
2017/12/08 【相続・贈与】法定相続人とは?相続人の範囲と法定相続分などを解説

法定相続人とは、民法で定められている相続財産を継承することができる親族のことです。相続人と法定相続人は似ていますが、相続人とは「遺産を実際に相続する人」や、「遺産を相続する権利のある人」を意味 しており、「法定相続人」は、「遺産を相続する権利のある人」のことと解釈できます。

古殿
古殿
この記事では、相続をする際や相続税の計算の場面等でしばしば登場する、法定相続人についてわかりやすく解説していきます。

 

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

 

1.法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定められている相続財産を継承することができる親族のことを指します。

法定相続人となることができるのは下記のような人です。

①亡くなった方の配偶者

亡くなった方の配偶者は常に相続人となります。ただし、内縁関係にある人(婚姻届けを出していない人)は相続人にはなれません。

①以外の方に関しては下記の順で配偶者と一緒に相続人になります。

②亡くなった方の子ども

  • 亡くなった方の子どもが既に亡くなっている場合はその子ども、孫が相続人となる
  • 子ども、孫の両方がいる場合は亡くなった方により近い世代を優先する

③亡くなった方の父母・祖父母(直系尊属)

  • ②の該当者がいない場合に相続人となる(②に該当する人が1人でもいる場合には、相続人にはなりません)
  • 父母も祖父母もいる場合は亡くなった方により近い世代を優先

④亡くなった方の兄弟姉妹

  • ②③の該当者がいない場合に相続人となる(②③のいずれかに該当する人が1人でもいる場合には、相続人にはなりません)
  • 亡くなった方の兄弟姉妹が既に亡くなっている場合はその子供が相続人となる

亡くなった方が独身である場合や配偶者が既に亡くなっている場合など、配偶者がいない場合には②→③→④の順に相続人となります。

図で表すと下記のようになります。
経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行  

 

※括弧の付いた人は、括弧の付いていない人が亡くなっている場合に相続人になる人

言葉のみでの説明では少しややこしいため、いくつか例を挙げておきます。(青の四角が法定相続人となります。)

(例1)亡くなった方(被相続人)の配偶者、子、孫の全員が健在の場合

→法定相続人は配偶者と子2人の計3人 (孫は法定相続人ではない)
経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行  

(例2)亡くなった方(被相続人)には子が2人いたが、内1人は孫を残し既に亡くなっている場合

→法定相続人は配偶者、子B、孫の計3人
経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行  
 
(例3)亡くなった方(被相続人)の配偶者が既に亡くなっており、子と孫は健在の場合

→法定相続人は子2人(孫は法定相続人ではない)
経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行  
 
(例4)亡くなった方(被相続人)には子がおらず、父母、祖父母全員が健在の場合

→法定相続人は配偶者、父、母の計3人(祖父母は法定相続人ではない)
経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行  
 
(例5)亡くなった方(被相続人)には配偶者はいるが子はおらず、 父母・祖父母は既に亡くなっており、長兄も子を残して亡くなっている場合

→法定相続人は配偶者、次兄、長兄の子の計3人
経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行  
 

2.相続人と法定相続人の違い

相続人と法定相続人、よく似たような意味合いに感じますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

まず、「相続人」とは、広い意味があり解釈に迷うとこもありますが、「遺産を実際に相続する人」や、「遺産を相続する権利のある人」を意味すると言えます。

なぜなら、「遺産を実際に相続する人」は当然、相続人と言えますし、相続する権利はあっても、遺産を相続しない人のことも相続人と言えるからです。

これに対して、「法定相続人」は、「遺産を相続する権利のある人」のことと解釈できます。遺産を実際に相続したか、放棄したかは関係ありません。「法定相続人」を規定することにより、 広い意味のある「相続人」と区別することできます。

結論として、相続人と法定相続人の違いは、相続人は、「遺産を実際に相続する人」・「遺産を相続する権利のある人」。

法定相続人とは、「遺産を相続する権利のある人」のみのと解釈できます。

(例)被相続人の親族が子と親だった場合

「法定相続人」は子となります。もし、その子が相続放棄をして、親が遺産を相続した場合は、その親が「相続人」となりますが「法定相続人」とはなりません。

 

3.相続税法における法定相続人

「相続人」と「法定相続人」の違いをご説明してきましたが、相続税の計算においては「法定相続人」の数が大きなポイントとなります。

以前のコラムでもご紹介しましたが、相続税の計算においては、遺産分割を実際にどのように行ったかで最初から計算するわけではありません。相続税法上の「法定相続人」が法定相続分で遺産分割したものとして、一旦税額の計算をします。

その他にも、法定相続人の数は、相続税の計算をする上での、生命保険金等の非課税限度額、退職手当等の非課税限度額、遺産に係る基礎控除額、未成年者控除、障害者控除等の計算に必要となってきます。

 

また、相続税法上の法定相続人と民法上の相続人では以下の違いがあります。

  1. 相続の放棄があった場合、その放棄はなかったものとみなす。
  2. 法定相続人に参入できる養子の数
  • 被相続人に実子がいた場合…1人
  • 被相続人に実子がいない場合…2人まで

相続税の計算をする上で、参入できる養子の人数に上限がなければ、基礎控除額は3,000万円+600万円×「法定相続人」の数で計算されるので、法定相続人が増えれば相続税の課税価格が小さくなります。つまり、故意に納税額を少なくすることができるため、これを防止するためであると言えます。

 

4.養子縁組による節税

上記のように、相続税を計算する上で、法定相続人に参入できる養子の数は決まっています。しかし、養子縁組を行うことにより1人でも法定相続人が増えれば、基礎控除額などが増額して課税価格が下がります。

また、相続税は超過累進税率のため、課税価格が下がると税率も下がります。結果的に、相続税そのものが下がるという節税効果があります。

下記に簡単な具体例を記載しました。

 

(例)相続人が子1人だった場合と、養子縁組を行い子2人となった場合。

配偶者はなし、遺産総額は1億円とする。

① 子1人の場合

遺産額1億円-基礎控除額(3,000万円+600万円×1人) ⇒ 6,400万円

6,400万円×30%-700万円 ⇒ 1,220万円・・・①

② 子2人の場合

遺産額1億円-基礎控除額(3,000万円+600万円×2人) ⇒ 5,800万円

5,800万円×1/2(法定相続分) ⇒ 2,900万円

2,900万円×15%-50万円 → 385万円 ×2人分 ⇒ 770万円・・・②

③ 差額

① - ② ⇒ 450万円

※養子縁組することにより約450万円の節税が可能に!

 

養子縁組のメリット

養子縁組をした場合の相続税の節税効果は以下のとおりです。

  1. 相続税の基礎控除が増える。
  2. 生命保険金等、退職手当等の非課税限度枠が増える。
  3. 相続人の一人あたりの法定相続分が減少するため、超過累進税率である相続税の税率が低くなり、結果として相続税の総額が少なくなる。
  4. 孫を養子とした場合、相続を一代飛ばすことができる。

※代襲相続以外の相続の場合、孫負担の相続税は20%増しとなります

養子縁組のデメリット

  1. 配偶者の税額軽減割合が少なくなる。
  2. 相続人が増えるため、遺産分割がまとまりにくくなる可能性がある。
  3. 未成年者を養子とした場合、未成年者は単独で法律行為を行うことができない。⇒未成年者が法律行為を行う場合、原則として法定代理人の同意が必要となります。

法定代理人が遺産分割協議に参加する場合、法定相続分に応じた遺産分割が必要です。

 

なお、国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4170.htm)にあるように、次のいずれかに該当する人は、実の子として取り扱われ、法定相続人の数に含まれます。

  1. 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子になっている人
  2. 被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子になっている人
  3. 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子になっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
  4. 被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供等に代わって相続人になった直系卑属。なお、直系卑属とは子供や孫のことです。

 

弊社では経理代行を承っておりますが、相続贈与に関しても、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、弁理士等の専門家と提携したワンストップ対応をさせていただくことが可能です。

相続贈与に関して困っている方や、さらに詳しく知りたい方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

カテゴリ:
2017/12/01 東京・大阪の経理代行|相続と贈与④贈与は相続よりも得をする?

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ! こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

本コラムでは毎月、経理に関する話題を執筆してきましたが、今月は経理の話題から少し離れ、相続や贈与に関してわかりやすく解説していきます。

よく聞く相続税対策の1つとして生前贈与が挙げられます。

【相続と贈与】のコラムでも紹介した通り、相続と生前贈与の違いは財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

相続・贈与のいずれにせよ税金が課税されますが、

生前贈与は本当に相続税よりもお得になるのでしょうか?

 

1.贈与税の税額について

経理代行・記帳代行は東京・大阪経理代行

そもそも贈与税という税金が存在している理由は「生きている間に家族に財産を譲ってしまえば相続税を払わなくて済む!」

という考えの人が少なからず出てきてしまうため、そういった人々からも平等に税金を徴収するためです。

こうした考え方から、本来であれば

相続税 ≦ 贈与税

となるべきなのですが、現在は贈与税の非課税制度が設けられているため、相続よりも贈与の方が納税額を抑えることができることがあります。

 

2.贈与税の非課税制度について

贈与する財産のうち、非課税扱いになるのは次のような場合です。

法人から贈与を受け取得した財産

贈与税は個人から贈与受ける場合に課税される税金であるため、法人から贈与を受けた場合には贈与税はかかりません。かわりに所得税が課税されます。

扶養義務者から生活費または教育費として取得した財産

ここでの生活費とは通常の日常生活に必要な費用、教育費とは学費・教材費・文具費などを指します。

これらには贈与税はかかりません。ただし、「生活費」「教育費」の名目で財産を受け取った後、別の目的で使用した場合には贈与税がかかります。

公益を目的とする事業に使われる財産

宗教、慈善、学術など、公益を目的とする事業に使われることが確実なものには贈与税はかかりません。

個人から受け取った香典、花輪代、お年玉、見舞い金などの財産

上記のような金品に関しては、社会通念上相当の金額であれば贈与税はかかりません。

(例えば、100万円をお年玉として受け取った場合には贈与税がかかる可能性が高くなります。)

直系尊属(父母・祖父母)から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金とは、居住用の家を新築・取得・増築するための資金のことを指します。高額なケースが多いですが、一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

直系尊属(父母・祖父母)から一括贈与を受けた教育資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金と似ていますが、例えば高校や大学の入学資金などは一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

 

3.贈与は相続よりも得をする?

様々な状況やケースが考えられるため、一概に「贈与は相続よりも得をする」とは言えませんが、贈与の方が得をするケースがあることも事実です。

贈与税の計算について

贈与税を計算する方法は、①「暦年課税方式」と②「相続時精算課税方式」の2種類から選ぶことができます。

贈与税や相続税の課税の仕組みを理解すれば、税金を減らすことも可能となります。

まずは、この2つの方式を見てみましょう。

暦年課税方式とは

毎年1月1日から12月31日までの1年の間にもらった財産の合計額から贈与税を計算します。

その合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた金額に税率を乗じて贈与税額を求めます。

計算方法

(贈与財産(時価評価額)- 110万円)× 税率 - 控除額 = 贈与税額

※贈与財産が不動産などの場合は一定の方法により時価評価額を算定します。

※相続開始3年以内に被相続人からの贈与財産がある場合、

その贈与財産は相続財産とみなされ相続税の計算対象になります。贈与税課税の対象ではありません。

贈与税率については、下記の国税庁のHPをご参考ください。
国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

 

(計算例)

■ お一人から100万円の贈与があった場合

(100万円 - 基礎控除額110万円)× 10% = 0円

■ お一人から600万円の贈与があった場合 

(一般贈与財産)(600万円 - 基礎控除額110万円)× 30% - 65万円 = 82万円

■ 10人の方からお一人100万円ずつ合計1,000万円の贈与があった場合 (一般贈与財産)

(1,000万円 - 基礎控除額110万円)× 40% - 125万円 = 231万円

 
基礎控除額110万円以内の贈与ですと、税負担をすることなく財産の移転が可能となります。

また、この基礎控除額110万円は毎年利用することが可能です。仮に、相続人3人に10年間110万円ずつ贈与をすれば、110万円×3人×10年=3,300万円もの資産を税の負担をすることなく移転することが可能です。

相続時精算課税制度とは

贈与を受けたときに、一律の税率(20%で贈与税を計算納付して、その贈与をした方が亡くなった時に相続税で精算を行う制度です。

分かりやすく言い換えると、相続時点において、贈与した財産も含めて相続税を計算し、その相続税から「支払った贈与税」をマイナスする方法です。

また、「支払う贈与税」を計算する際には、2,500万円まで特別控除の枠があるので贈与税はかかりません。そして、2,500万円の枠を超えた贈与額に対して一律の税率20%を掛けて贈与税額を計算します。

注意点として、この2,500万円の特別控除枠は、一年間あたりの枠ではなく、相続時精算課税制度を使って贈与をした累計額に対する枠となりますのでご注意ください。

2,500万円に達するまでは何度でも税の負担をせずに贈与が行えることになります。

(計算例) 

下記1年目から3年目まで、全て同じ贈与者から相続時精算課税制度を使って金銭の贈与を受けた。

■1年目

1,500万円の贈与を受け取った。

(1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=0円

■2年目

1,500万円の贈与を受け取った。

1年目    2年目
(1,500万円+1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=100万円

■3年目

2,000万円の贈与を受け取った。

※2年目までで特別控除額を使い切っているため、前年までの贈与金額をマイナスします。

前年までの総額  3年目  前年までの総額
(3,000万円 + 2,000万円 - 3,000万円)× 20% = 400万円

 

ちなみに、相続時精算課税制度は誰でも利用することができるのではなく、「贈与者」は60歳以上の親又は祖父母、「受贈者」は20歳以上の子又は孫という要件があります。

また、相続時精算課税制度を一度選択すると、同じ贈与者からの贈与は暦年課税に変更することができませんのでご注意ください。

相続時精算課税制度は相続税対策になる?

相続時精算課税制度は、結果的に贈与財産が相続税で清算されるので、相続税対策にはならないように見えるかもしれません。が、

  1. 「時価が上昇する財産」
  2. 「収益不動産など収益を生む財産」

などについては、効果を発揮します。

「時価が上昇する財産」については、 相続時点において贈与時の時価をもって財産が評価されるため、実際の被相続人の死亡の時点よりも低い評価額で財産を移すことができます。結果的に、相続税対策となります。

「収益不動産など収益を生む財産」については、贈与者から受贈者へ財産を早期に贈与することによって、財産から生じる家賃などを被相続人の相続財産から除外することができます。

結果的に、その分相続財産を減らすことができ、相続税対策となります。

相続時精算課税制度を利用し、贈与した財産の相続税を計算する場合の時価は、相続発生時の時価ではなく、贈与した時の時価で計算することがポイントになります。

つまり、相続時精算課税制度を使った相続税対策は、「財産評価のタイミングが異なること」を利用した節税対策となるわけです。

相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度には、デメリットもあります。

  • 一度、相続時精算課税制度を選択すると暦年課税に戻すことができない
  • 年齢や対象者など要件がある
  • 贈与の都度、金額に関わらず贈与税の申告が必要になる
  • 相続時に小規模宅地等の特例が受けられない

などです。

 

4.まとめ

相続は突然やってきます。相続税の計算は亡くなった方(被相続人)の相続発生時の財産すべてが対象となりますので、少しでも生きている間に財産を少なくすることで相続税への対策をとることは非常に有効です。

それに引きかえ、生前贈与は生きているうちに計画的に行うことができます。これにより相続税の軽減対策が可能になります。

その1つとして、相続時精算課税制度の選択が有用なこともあるでしょう。

また、暦年課税制度も毎年110万円の基礎控除額があります。毎年この基礎控除内での贈与を繰り返して行っていくことにより、
相続発生時の財産を少なくすることが可能です。

また、【贈与税の非課税制度】を利用することにより、多くの財産を税の負担をすることなく次世代に移転する手もあります。

一例として、以前のコラムでもご紹介した

  1. 「住宅取得等資金の非課税制度」
  2. 「教育資金一括贈与の非課税制度」
  3. 「結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度」

などがあります。

一方で、相続税にも多くの優遇措置があります。被相続人の財産の金額や種類、また相続人の人数などによって相続税と贈与税は「どちらがお得」とは言えないのが実情です。

贈与税は相続税の補完税としての役割であり、相続税と贈与税は表裏一体のものです。「どちらがお得」ではなく、両者の仕組みを理解してトータルに試算していくことが重要になってきます。トータルに試算するためには、税理士の存在は不可欠であり、迷わず相談するべきでしょう。

特に、相続税・贈与税の優遇措置を利用することにより税金が数百万円・数千万円変わってくることも少なくありません。

相続贈与に関して困っている方や、
さらに詳しく知りたい方は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

 

  次の記事へ »
« 以前の記事をもっと見る