「少しでも税負担を軽くしたい!」いう場合、決算日までに何かしらのアクションが必要となりますので、 事前の検討及び対策が必要です。
この記事では、そんな「決算月の節税対策」について詳しくご説明したいと思います。
1.決算月にできる節税対策チェックリスト
(1) 固定資産
①不要な固定資産の洗い出しと除却・廃棄処理
WEB系の事業をされている方はあまりないかもしれませんが、サービス業や小売業、製造業などは、使わなくなった固定資産が意外とあるものです。
不要な固定資産を処分したときは、その処分した固定資産の帳簿価額(取得価格―今まで計上した減価償却費)を固定資産除却損として、費用計上できます。
決算前には固定資産台帳を見直して不要な固定資産をピックアップしておくとよいでしょう。
②固定資産の有姿除却を検討
不要品を処分するにもお金がかかるのでそのままにしている場合もありますよね。
そんなときは「有姿除却」という方法で節税できます。固定資産の除却損が認められるのは、実際に廃棄処分した場合というのが原則ですが、例外的に、使用価値がないことが明確なものについては、捨てなくても現状のままで固定資産除却損として費用計上できます。
税務調査で疑われないためにも「現在は使用を廃止し、今後使用する見込みがない」ことを証明する書類を準備しておきましょう。使用する可能性がないことを客観的に説明できなければいけないのです。
有姿除却するに至った経緯などを税理士にご相談するといいでしょう。税務調査では、有姿除却について説明する際、この書類が役に立ちます。
③30万未満の少額減価償却資産を取得
事業年度末に固定資産を取得した場合、通常は1ヶ月分しか減価償却費を計上できませんが、
中小企業の場合、少額減価償却資産の特例を利用すれば、30万円未満の減価償却資産はその取得価額すべてを費用にすることが認められています。
もともと購入予定だったものを前倒しで購入し使用することで節税になるということです。
いらないものを無理して購入する必要はありません。またこの特例の適用を受けるためには、申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付する必要があります。
④中古資産の取得による減価償却費の計上
分かりやすいのは、やはり車でしょう。
例えば、3月決算の法人が2月に100万円の普通車を購入した場合の減価償却費は
【新車】
1,000,000円×0.333×2ヶ月(2月~3月)÷12ヶ月=55,500円
【4年落ち中古車】
1,000,000円×1.000×2ヶ月(2月~3月)÷12ヶ月=166,666円(簡便法)
普通車の法定耐用年数(6年)から経過年数(4年)を引いて求めた数値と、経過年数(4年)に0.2を掛けた数値を足して求めた値は2.8年ですが、1年未満は切り捨てできるため、中古車の耐用年数は2年となります。
定率法で計算すると、2年の耐用年数をもつ車の減価償却費は、1.0(償却率)×中古車の購入費用となり、購入して12ヶ月で100万円全額を経費計上できます。
結果的に、4年落ちの車を購入した場合、新車を購入するよりも3倍近い減価償却費を計上できます。
ただ、中古車を購入したことで修理代がかさみ無駄な出費が増えるのは困りますよね。
節税の為だけではなく、その車が事業にきちんと利益をもたらしてくれるものなのかどうかが購入のポイントになるでしょう。
(2) 未払金・未払費用
①給与の未払計上
給料の締め日を15 日や20 日で支払が25日にしている会社も多いと思います。
その場合、決算で未払給与として費用計上できます。
例えば、3月決算の法人で給与の締め日が15 日、毎月の従業員の給与の合計が100万円だった場合、
3月16日~3月31日までの給与は4月25日に支払になるので、100万円×1/2の50万円を未払給与として計上できます。
②決算賞与の未払計上
従業員のモチベーションアップと節税を同時にするなら「決算賞与」です。
以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 賞与の額を、事業年度度終了までに全従業員に対して通知すること
- 通知した金額を、決算の1カ月後までに通知した全員に支払うこと
- 通知した金額について未払金として経費に計上していること
節税はできても手元に残るお金は減ります。バランスをよく考えて支給額を決定しましょう。
③社会保険料の未払計上
毎月末日に通帳から引落しされる社会保険料は前月分です。
3月決算の法人であれば3月分の社会保険料は4月末に引き落としとなりますので、未払費用として計上できます。
また、3月31日が土日祝日の場合には4月1日に引き落とされるため、4月1日と4月30日の2ヶ月分を経費として計上できます。注意点として、計上できるのは会社負担分だけです。
④その他、決算日までに支払が済んでいない費用の未払計上
電話代、水道光熱費、通信費、広告宣伝費や法人クレジットカードの利用分など
決算日までに債務として確定しているものは未払費用として計上できます。
これらを漏れがないように拾ってあげることで節税になります。