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2020/04/20 会社の設立・登記の方法は?基本的な流れから必要書類・費用までを解説

会社が会社として成立するには、法務局で会社設立登記という手続きをする必要があります。

会社設立登記は必要書類を用意して提出するだけで完了しますが、その準備がなかなか大変です。

 

今回は、会社設立登記の基本的な流れと、必要書類・費用について解説します。

会社設立をお考えの方は、ぜひお役立てください。

 

≪1.会社設立登記の流れ≫

まずは、大まかな会社設立登記の流れを見ていきましょう。

会社設立登記をするときは、この順番に従って必要な書類を集め、提出や手続きを行っていきます。

 

(1)必要事項を決定する

会社設立の最初のステップは、基本事項の決定です。

最初に決めておくべき基本事項には、以下のようなものがあります。

 

・商号(会社名)

・所在地(登記する正確な住所)

・発起人

・登記簿謄本に記載する事業内容

・資本金額

・決算日

 

また、このタイミングで、以降の手続きに必要な会社の印鑑4種類も作成しておきます。

 

(2)定款を作成する

次に、定款の作成を行います。

 

定款とは、会社の基本的なルールを書面にまとめた書類のことです。

定款には以下のような内容を記載します。

 

・会社名

・所在地

・事業目的

・広告方法

・発行可能株式総数

・株式の譲渡制限

・取締役の員数

・取締役の任期

・事業年度

・設立に際して出資される財産の価額

・設立後の資本金の額

・最初の事業年度

・設立時の役員

・発起人の氏名、住所等

・発起人の記名押印

・出資者全員の捨て印

 

(3)公証役場で定款の認証を受ける

定款が作成できたら、その内容が正しいことを第三者に証明してもらう「認証」の手続きを行います。

公証役場に定款を提出して手数料を納付し、公証人による認証を受けます。

 

ちなみに、この定款の認証は、株式会社を設立する場合のみ必要な手続きです。合同会社設立の場合は必要ありません。

 

(4)資本金を払い込む

会社設立時の資本金額を準備し、振り込みます。

会社法の改正により、資本金は1円からでも起業できますが、実際には資本金は多く用意した方が社会的信用は得やすいです。

 

後の会社設立登記で「資本金の払込証明書」が必要になるので、このタイミングで会社用の口座を用意し、資本金として定めた額を振り込みましょう。

 

(5)法務局で設立登記する

会社設立の最後の手続きが、登記申請です。

会社の設立登記は、法務局に必要書類を提出して行います。

 

この会社設立登記の手続き方法には、「直接提出」「郵送」「オンライン提出」の3つがあります。

登記手続きに必要な書類については、次の項目で詳しく解説いたします。

 

≪2.会社設立の登記に必要な書類≫

それでは、会社設立登記の必要書類を、1つずつ見ていきましょう。

 

(1)必須となる書類

以下で解説する書類は、設立する会社の形式や規模に関わらず、どんな会社の設立登記にも必要です。

 

・登記申請書

・登録免許税納付用台紙

・登記すべき事項を記録した磁気ディスク(CD-Rなど)

・公証人の認証済みの定款

・資本金払込証明書

・役員の就任承諾書

・役員の印鑑証明書

・印鑑届書

・印鑑カード交付申請書

 

①登記申請書

登記申請書のテンプレートは、法務省のホームページからダウンロードすることができます。

テンプレートを使わず、同じ内容を記載した書類を作成しても問題ありません。

内容は以下の事項をA4用紙に横書きにするだけなので、特に難しくはないでしょう。

 

・会社の基本事項(会社名・所在地・登記の事由・資本金額・登録免許税額)

・添付書類の内訳

・申請年月日

・本店と代表者の氏名・住所

 

②登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙には、株式会社の場合15万円分、合同会社の場合は6万円分の収入印紙を貼り付けて提出します。

 

この書類には、特に決まった形式はありません。法務局の窓口で申し出て入手することもできますし、ネット上でテンプレートを探してダウンロードしたり、ただの白紙に収入印紙を貼り付けて提出したりしても問題ありません。

 

③登記すべき事項を記録した磁気ディスク(CD-Rなど)

登記事項を保存した書類は紙媒体で提出することもできますが、その場合は用紙を法務局で直接入手する必要があります。

法務省のホームページにある作成例を参考にしながら、自分のPCで作成した方が効率的です。

 

内容はテンプレートに従って必要事項を記入するだけなので、そこまで難しくありません。

作成が終わったら、CD-RかFDに保存し、会社名を書いたシールを貼り付けて提出します。

 

④公証人の認証済みの定款

株式会社を設立する場合、登記の一つ前のステップで公証人の認証を受けた定款が1部必要です。

合同会社の場合、定款の認証は必要ありませんが、登記の際に定款を1部提出します。

 

⑤資本金払込証明書

資本金払込証明書は資本金の払い込みを行なったあと、取得した通帳のコピーから作成します。

 

通帳の記帳欄、表紙、個人情報欄のコピーに表紙をつけ、製本しましょう。

各見開きページの綴り部分には、契印をしておきます。

 

⑥役員の就任承諾書

役員の就任承諾書は、「取締役・代表取締役に就任したことを承諾した」ということを証明するための書類です。 

 

内容は「○年○月○日の取締役会で取締役(代表取締役)に選任され、承諾しました」という文章と、その人の署名です。

インターネット上でテンプレートが取得できるため、日付と署名欄を埋めるだけで問題ありません。

 

⑦役員の印鑑証明書

役員の印鑑証明書は、会社の役員は住民票を置いている自治体の役所で入手します。

定款の認証を受ける際に取得したものと、同じ印鑑証明が必要です。

 

役員が複数人いる会社の場合、全員のものを用意しましょう。

ただし、取締役会がある場合は、代表取締役1名の印鑑証明のみで手続きが可能です。

 

⑧印鑑届書

印鑑届書は、登記の際に会社実印の印鑑登録をするために必要な書類です。

法務局のホームページでテンプレートを入手できるため、必要事項を記入して提出しましょう。

 

⑨印鑑カード交付申請書

会社実印の印鑑登録をしたあと、印鑑証明書を入手するために印鑑カードが必要です。

印鑑届書と同じく、法務局のホームページで入手したテンプレートに必要事項を記入して提出します。

 

会社の印鑑証明書は会社設立後の様々な手続きに使いますが、同じく設立後の手続きで必要になる登記簿謄本については、事前に申請しなくても誰でも取得できます。

 

(2)場合によっては必要な書類

場合によっては会社設立登記をする時、上記の他に以下の書類が必要になることもあります。

 

・発起人決定書

・調査報告書

・財産引継書

・資本金の額の計上に関する証明書

 

まず「発起人決定書」は、定款に取締役・代表取締役・本店所在地の番地・電子定款のURLなどの記載がない場合に必要です。

「調査報告書」「財産引継書」「資本金の額の計上に関する証明書」は、資本金や出資金に現金以外の現物出資が含まれる場合に必要な書類です。

 

≪3.会社設立登記の申請・手続きの方法≫

それでは、会社設立登記の具体的なやり方や費用について解説していきます。

 

(1)申請先と申請期限

会社設立登記の申請先は、法務局です。

法務局の窓口に必要書類を持参して出向くか、法務局の住所に郵送、または専用の申請システムを使ってオンライン申請で行います。

 

また、会社設立登記を行う期間「設立時取締役の調査完了日、もしくは発起人が定めた日から2週間以内」です。

期限を過ぎた後の申請も可能ですが、過ぎてしまうと「登記懈怠」となり、罰金の対象となるので注意しましょう。

 

(2)登記に必要な費用

登記に必要な費用は、ステップごとに以下のものがあります。

 

①定款認証関連

株式会社を設立する場合、定款の認証に以下の費用がかかります。

 

・定款に貼り付ける収入印紙:40,000円(電子定款の場合は不要)

・公証人に払う手数料:50,000円

・定款の謄本交付手数料:約2,000円(250円×ページ数)

 

②設立登記関連

登記申請の際には登録免許税がかかりますが、登録免許税の金額は会社の形式や資本金の額により異なります。

 

・株式会社:150,000円(資本金の0.7%が150,000円以上の場合、その金額)

・合同会社:60,000円(資本金の0.7%が60,000円以上の場合、その金額)

 

③その他の費用

会社設立登記にかかるその他の費用としては、印鑑の作成費用・各種証明書の交付費用・交通費などがあります。

これらの雑費については、合わせて10,000円ほど見込んでおけばいいでしょう。

 

≪4.会社設立登記の後に必要な手続き≫

会社設立登記の後に必要な手続きは、大きく分けて以下の3つがあります。

 

・税務署への各種届出

・健康保険・厚生年金保険への加入

・労災保険・雇用保険への加入

 

どの手続きも、事業開始後の税申告や、従業員の保護のために必要な手続きです。

手続きを怠ると、後でペナルティが課せられる可能性があるため、会社設立登記の後に速やかに行いましょう。

 

≪5.まとめ≫

会社設立登記は、会社設立を行う中で最後のステップです。登記が完了することで、初めて会社として成立します。スムーズに会社設立登記を行うには、手続きの流れと必要書類をしっかり理解し、順序よく準備を進めていく必要があります。

会社設立後に税理士に顧問をご依頼される場合、弊所では司法書士手数料が無料になりますのでご依頼されることを検討してみてはいかがでしょうか?今回ご紹介した会社設立業務を丸投げでご依頼可能です。

 

会社設立をお考えの方は、ぜひ今回解説した内容を参考にしてみてください。

2020/04/13 会社設立のメリットとは?個人事業主とどちらが得か見極めるポイント

会社設立には、何かと手間とコストがかかります。

それでも会社設立する人が多いのは、事業の運営や税制上、得られるメリットが大きいためです。

 

今回は、会社設立のメリットとデメリットについて詳しく解説。

個人事業主と法人成りのどちらが得か見極めるポイントや、個人事業主が会社設立(法人成り)すべきタイミングについてもご紹介します。

 

≪1.会社設立と個人事業主との違い≫

現在サラリーマンで、これから独立を考えている方には、事業を行う方法として「個人事業主」「会社設立」の2つの選択肢があります。

 

会社と個人事業主のもっとも大きな違いは、法律上「法人」と扱われるか「個人」と扱われるかということです。

個人事業主は事業を行なっていてもあくまで個人なので、適用される法律や税金は個人向けのものです。

会社を設立すると、「法律上、人格を持つ組織」である法人になり、個人事業主とは根本的に扱いが変わります。

 

会社設立のためには個人事業より複雑な手続きが必要になり、運営上のルールが課せられるなど厳しい側面もあります。

しかし、その分税制上の優遇措置は法人の方がはるかに多く、メリットが大きいです。

社会的な信用度も個人事業主より法人の方が高いので、事業拡大を目指すなら会社設立の方が適しています。

 

≪2.会社設立の7つのメリット≫

会社設立のメリットは、大きく分けて7つあります。

 

・取引先からの信頼を得られる

・節税になる

・融資・資金調達しやすい

・決算日を決められる

・人材を集めやすい

・相続税が発生せず、継承しやすい

・有限責任なので経営のリスクが減る

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

(1)取引先からの信頼を得られる

会社経営者と個人事業主では、一般的には会社経営者の方が社会的信用度は高いです。

それは、会社の作り方には定款の作成や登記といった複雑な手続きが必要で、手軽に開業できる個人事業主より事業への本気度が高いと判断されるためです。

 

また、資本金や定款・登記手続きの費用など設立にかかるコストも高く、それだけ事業に確実性があると見なされます。

 

(2)節税になる

会社設立には、以下のような様々な税制上のメリットもあります。

法人に適用される税金の軽減措置を利用できることは、個人事業主と比べて大きなメリットでしょう。

 

①給与所得控除

給与所得控除とは、サラリーマンが給与の中から仕事に必要なものを買ったりするための必要経費として、給与所得から一定額が非課税になるというものです。

この給与所得控除は役員報酬にも適用されるため、会社を設立して社長や役員になると、所得のうち一定額は自動的に非課税になります。

個人事業主の場合、非課税になるのは実際に使った必要経費のみです。

 

また、社長や役員は、実際に使った経費を必要経費として会社に申請した上で給与所得控除が適用されるので、二重に得をすることができます。

 

②家族に給与を支払える

会社設立を行うと、家族を従業員として雇い、給与を支払うことができます。

法人であれば給与の額に制限がなく、事業の状況に応じて柔軟に給与額を定めることができます。

会社なら家族へ支払った給与を必要経費にできるので、事業に従事する家族が多いほど大きな節税になるのです。

 

個人事業主も、家族を雇って給与を支払うこと自体は可能ですが、上限額が定められていたり、給与額を自由に変動させられなかったりと様々な制約があります。

また、個人事業主は、基本的に家族に支払った給与を経費にすることができません。

 

③消費税の免除を受けられる

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者、また1,000万円を超えてから2事業年度以内の事業者は、消費税の免税事業者となり、消費税を納付する必要がありません。

基本的には、課税売上高が1,000万円を超えた2年後から、消費税の納付義務が発生します。

 

この条件は会社でも個人事業主でも同様ですが、個人事業主が法人化(会社設立)を行うと、それまでの事業と会社設立後の事業は切り離して考えることになります。

つまり、課税売上高の記録がリセットされ、会社設立から2年間はまた免税事業者になれるということになります。

そのため、会社設立を行うと、免税事業者でいられる期間が4年間に伸び、大きな節税になるのです。

 

④所得税・法人税率の差

会社に課せられる法人税は累進課税で、最大税率は23.2%です。

一方、個人事業主に課せられる所得税では、最大45%までの累進課税制度が採用されています。

 

利益が大きくなるほど納税額の差も開いていくため、純利益が500~1,000万円くらいのラインで「法人成り(会社設立)」を行う個人事業主も多いです。

 

⑤退職所得で節税

会社が利用できる控除には、「退職所得控除」というものもあります。

先にご説明した「給与所得控除」よりもこの退職所得控除の方が枠は大きく、また課税対象となる金額自体も、退職金から退職所得控除を差し引いた額の半額のみです。

 

そのため、従業員の給与の一部を退職金として積み立てておき、後で退職金として支払うことで、課税額を減らして節税することができるのです。

個人事業主の事業形態では、退職金という概念自体がないので、会社設立をする大きなメリットと言えます。

 

⑥必要経費の幅が増える

会社設立を行うと、個人事業主より必要経費の幅が増えます。

例えば、会社名義で借りた不動産を「社宅」とすることによって、その家賃が必要経費になります。

これにより、自分や従業員の家賃を利用して節税することが可能です。

 

また、交際費や、個人事業主では家事按分が適用される必要経費についても、会社の方が経費にできる枠が大きく、節税に繋がりやすいです。

 

⑦欠損金を10年繰り越せる

欠損金の繰越とは、ある年に生じた赤字を翌年以降に繰り越し、後の年度の利益と相殺して課税所得を減らすことです。

会社設立を行うと、赤字が発生した年から10年間この欠損金の繰越が認められます。

 

個人事業主の場合、欠損金の繰越が認められるのは最長3年なので、こちらの面でも会社設立をした方が有利です。

 

⑧保険の半額損金算入が可能

会社設立をすると、社会保険に加入する義務が発生します。

従業員の保険料を半額負担するのでコストは増えますが、そのぶん保険料を損金算入して課税所得を減らし、節税することが可能です。

 

⑨相続税・贈与税なしで事業を引き継げる

個人事業を次の世代に継承するとき、多くの財産を持っている場合は多額の相続税や贈与税が課せられます。

 

しかし、事業を法人化して会社設立しておけば、財産は法人所有のものとなり相続税がかかりません。

これは、最初の項目で解説した「会社は法律上、人として扱われる組織」ということがポイントになります。

会社は法人格を持っているので財産を所有でき、相続税・贈与税の対策にもなるのです。

 

(3)融資・資金調達しやすい

先にもお伝えしたように、会社設立をすると個人事業主より高い社会的信頼性が得られます。

「フリーランスや個人商店より、会社の方が信頼できる」という心象面のほか、実務の面で、登記簿謄本により会社の重要事項を確認できるということも重要です。

 

融資や資金調達には信用が重視されるので、会社設立を行った方が多くの融資・資金を引き出しやすくなります。

そのため、会社設立をすると大規模な事業が可能になり、事業拡大のスピードも速くなるでしょう。

 

(4)決算日を決められる

会社の事業年度は、会社設立時に自由に設定することが可能ですが、個人事業主の場合は毎年1月1日~12月31日と決まっています。

 

そのため、資金繰りに余裕がある時期に設定したり、繁忙期を避けて決算業務がしやすい時期に設定したりと、自社にとって有利に決算を行うことができるのです。

 

(5)人材を集めやすい

会社設立で高い社会的信用が得られることは、人材集めにも影響します。

誰でも、働くなら安定した職場で長く働きたいと思うのは当然。会社なら、社会保険や退職金といった制度がしっかりしているということで求職者の信頼感が増し、人が集まりやすくなるのです。

 

(6)相続税が発生せず、継承しやすい

先にもお伝えしましたが、法人の事業承継には相続税や贈与税がかかりません。

自分一代だけではなく、子供や孫に代々事業を続けていってほしいと考える場合には、会社設立を検討するのがおすすめです。

 

(7)有限責任なので経営のリスクが減る

個人事業主の場合、事業主は事業に対して無限責任を負います。

つまり、多額の借金を抱えて事業が倒産した場合、個人の財産を処分してでも借金を返済する必要があるのです。

 

対して、株式会社や有限会社の社長や役員は有限責任なので、出資額以上の責任を負うことはありません。

万が一事業がうまくいかなかった場合のリスク回避にも、会社設立という方法が使えるのです。

 

≪3.会社設立でのデメリットとは≫

会社設立には、メリットだけではなくデメリットがあります。

両方をしっかり比較して、会社設立をするべきかどうか検討した方が良いでしょう。

 

(1)赤字でも発生する税金がある

法人の場合、法人住民税の均等割りがあるため、利益が全く無くても毎年最低7万円を納税する必要があります。

 

しかし、個人事業主だと、赤字で利益がない場合には所得税は課税されず、納税の義務があるのは年数千円程度の個人住民税の均等割りのみです。

 

(2)社会保険への加入が必要

法人は、従業員を守るために社会保険加入の義務があります。

そして会社は、従業員にかかる社会保険料の半分を負担しなければなりません。

 

先にお伝えしたようにその保険料は損金算入できますが、従業員を雇うごとにコストが増えるというのは会社設立のデメリットです。

従業員が社長1人だけの場合も、国民健康保険と国民年金を納める個人事業主よりも社会保険料は高額です。

 

(3)会社のお金を使う場合に制限がある

個人事業主の場合は、稼いだお金は全て事業主のものとなり、自由に使うことができます。

しかし、会社設立をすると、会社と個人のお金が明確に区別されるようになります。

社長の給料も、役員報酬として会社から受け取るという形に変わります。

 

また、役員報酬の額は自由に変更することができず、決算日の翌日から3ヶ月以内に決定した「定期同額給与」しか経費として計上することができません。

 

(4)税務会計など、事務作業が煩雑

会社設立をすると、個人事業の時よりも提出書類が増え、しかも複雑になります。

確定申告の提出資料だと、個人事業主は書類3~4枚で済ませられますが、法人の場合は法人税の決算申告で少なくとも30~50枚も必要となります。

 

そのため、手続きのために従業員を雇う、申告のために税理士と契約をするなどの必要が出てくるでしょう。

そのためのコストがかかるのも、会社設立のデメリットです。

 

(5)設立と解散に手間と費用がかかる

会社設立には、個人事業よりも何かと費用がかかります。

例えば、個人事業の開業なら書類を提出するだけなので0円ですが、株式会社設立には手続き費用として、登録免許税などが最低でも20万円ほどかかります。

 

また、会社設立をすると税務や保険関係の手続きが複雑になるため、税理士や社労士に依頼する費用もかかります。

さらに、会社を廃止するときにも、解散手続きや官報広告費用に8万円ほどの費用がかかることを知っておきましょう。

 

≪4.メリットはある?会社設立すべきかのポイント≫

会社設立のメリットは、シンプルにいうと「信用性」と「節税」です。

 

すでに個人事業を行なっていて、経営のノウハウが備わり、今後も事業拡大の見込みがある場合は、会社設立をするメリットが大きいです。

節税できる額が、会社設立費用やランニングコストを上回った時点で会社設立を考えていいでしょう。

ちなみに、実利の面では、個人事業主より会社設立をした方が得になるボーダーラインは「事業所得600~800万円」と言われています。もちろん、従業員を雇用しているケースなどもありケースバイケースではあるため、税理士に一度シュミレーションしてもらいましょう。

 

また、新規事業を開始したいときなど、まとまった事業資金が必要なタイミングに合わせて会社設立をするのも一つの方法です。

完全に新規起業をする場合は、「その仕事で自分や家族が食べてさえいければいいのか」、それとも「事業を成長させていずれは大企業に育てたいのか」という将来のビジョンが重要になります。

法人化や、会社設立をするタイミングは人それぞれですが、いずれにせよしっかりした事業計画と必然性があるということが重要です。

 

≪5.まとめ≫

会社設立のメリットは、社会的な信用が高く、事業の運営がスムーズになること。

税制上の優遇措置も法人向けのものの方が多く、節税目的で会社設立する人もいます。

 

しかし、会社設立には何かとコストがかかり、リスクが大きいのも事実。

会社設立を行うなら、事業のビジョンをしっかりと検討し、得になるタイミングを見極める必要があります。

2020/03/12 会社設立にかかる費用は?最低金額・内訳を解説

会社設立の費用は、設立したい会社の種類によって異なります。

現在、設立できる会社の種類は「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類。

ただし、実際に設立される会社の数は株式会社・合同会社の2種類が圧倒的に多いです。

 

今回は、その株式会社・合同会社の設立に関する費用について解説していきます。

 

1.≪株式会社設立の費用≫

それではまず、株式会社の設立にかかる費用を解説していきます。

株式会社の設立には、定款の認証・登記という手続きが必要となり、合同会社よりも設立費用が高くなります。

 

(1)必要な法定費用は242,000円

株式会社設立の手続きにかかる費用は、資本金・雑費を除くと24万2,000円。

その内訳は、以下のようになっています。

 

定款認証手数料:5万円

収入印紙代:4万円

定款の謄本手数料:2,000円

登録免許税:15万円

 

これらを合計すると、上記の24万2,000円という金額になります。

これは会社設立の手続きに必ず必要になるものです。相場などによる変動や、安くする方法はありません。

 

ただし、収入印紙代の4万円については、電子定款で会社を設立する場合にはかかりません。

電子定款を選択すると、紙媒体の定款自体が存在しないので、定款に印紙を貼り付ける必要がなくなるためです。

そのため、電子定款で株式会社を設立する場合、費用の合計は20万2,000円となります。

 

(2)その他にかかる雑費

株式会社設立の手続きを行うためには、必要な書類や印鑑の作成費用がかかります。

手続きにあたってかかる雑費の相場は、全て合わせて1万円ほど。

その内訳は、以下のようになります。

 

実印作成費(4本分):約5,000円~

印鑑登録の費用:約300円

印鑑証明書の発行費:約450円×必要枚数

登記簿謄本の発行費:約500円×必要枚数

 

雑費の中でもっとも大きな出費となるのが、実印作成費。

会社を設立する手続きには、「会社実印(代表社印)」「会社銀行印」「角印(社印)」「住所印(ゴム印)」という4種類の印鑑が必要となります。

安くても1本1,000円以上はかかるので、合計5,000円ほどは見込んでおいた方がいいでしょう。クオリティにこだわると、もっと費用がかかります。

 

印鑑証明や登記簿謄本の発行費は、自治体によって金額が異なるので、上記の金額は目安程度と思っておいてください。

 

(3)資本金はいくらにすべき?

株式会社の設立には資本金が必要です。

2006年に新会社法が施行されてからは、資本金1円からでも会社設立が可能になりました。

しかし、安易に資本金1円で起業してしまうと、様々なデメリットがあります。

 

資本金とは、端的にいうと会社の運転資金なので、これが少なすぎると経営を維持する力が弱いということになります。

金融機関や取引先から「すぐに倒産するのでは?」と思われてしまうと、資金調達や販路拡大が難しくなってしまうのです。

株式会社の資本金は、業種にもよりますが100~1,000万円くらいが相場となっています。可能な限りで、できるだけ多く資本金を集めた方が、設立後の事業がやりやすくなるでしょう。

 

ただし、多ければ多いほど良いというわけではありません。

なぜなら、先にご紹介した登録免許税は、資本金が2,140万円以上になると15万円より高くなるためです。

登録免許税の金額は、正式には「15万円、または資本金の0.7%(資本金の0.7%が15万円を上回る場合)」となっています。

「資本金の0.7%=15万円」となるのが2,140万円なので、これを超えると手続きにかかる法定費用が高くなるということは知っておきましょう。

 

2.≪合同会社設立の費用≫

次に、合同会社を設立するための費用について解説していきます。

合同会社の場合、手続きのステップが少なく、登録免許税も株式会社より安いので、設立費用を抑えることができます。

 

(1)必要な法定費用は10万円

合同会社設立の手続きに必要な費用は、10万円です。

こちらも、国に支払う法定費用なので、相場による変動や安い金額に抑える方法はありません。

費用の内訳は、以下のようになっています。

 

収入印紙代:4万円

登録免許税:6万円

 

合同会社を設立する場合、株式会社で必要な定款の認証という手続きが不要です。

そのため、定款認証手数料や、認証に必要な謄本の作成費用は必要ありません。

 

株式会社の場合と同様、電子定款の場合は収入印紙代の4万円も不要となります。

ですから、合同会社設立に最低限必要な費用は、登録免許税の6万円のみです。

 

資本金の0.7%が6万円を超える場合には、登録免許税はそちらの金額になります。

つまり、資本金が8,571,428円を超えると法定費用が高くなるということは覚えておきましょう。

 

(2)その他の雑費は株式会社とほぼ同じ

法定費用以外にかかる雑費の相場は、株式会社とほぼ同じで合計1万円程度です。

 

実印作成費(4本分):約5,000円~

印鑑登録の費用:約300円

印鑑証明書の発行費:約450円×必要枚数

登記簿謄本の発行費:約500円×必要枚数

 

そのため、合同会社設立にかかる費用の合計は、最低7万円ほど。

株式会社設立にかかる費用の1/3以下なので、とにかく安い方法を選びたい方には合同会社設立がおすすめです。

 

(3)資本金はいくらにすべき?

合同会社の資本金は、株式会社の場合と同じく最低1円でもOKです。

しかし、こちらも株式会社の場合と同じく、資金調達や販路拡大が難しいというデメリットがあります。

 

合同会社の資本金の相場は、50~300万円ほどです。

具体的には、「事業の準備にかかる資金+3~6ヶ月分の運転資金」を計算して、適切な金額を考えましょう。

ただし、先にもお伝えしましたが、資本金857万円を超えると登録免許税が高くなるということは知っておいてください。

 

3≪会社設立の費用を安くする方法≫

会社設立の費用を安くする方法は、あまり多くありません。

ここまでも何度かお伝えしてきましたが、会社設立の手続きにかかる費用は国に支払う法定費用のためです。

 

唯一削れるのは、定款に貼る収入印紙代の4万円。定款を紙ではなく電子定款にすれば、収入印紙代を支払わずに済みます。

ただし、電子定款は誰でも無料で作成できるわけではありません。

 

まず、電子定款はPDFで作成し、その中に電子署名を挿入する必要があります。

PDFデータ自体はフリーソフトでも簡単に作ることができますが、電子署名を挿入するにはAdobe Acrobatなどの専門ソフトを使わなければいけません。

このAdobe Acrobatの購入には、3万円ほどの費用がかかります。

 

また、電子署名を作成するには、あらかじめ電子証明書の交付を受けておく必要があります。

電子証明書の交付を受けるために、マイナンバーカードを読み取るカードリーダーを用意しなければいけません。

カードリーダーの価格は2,000円ほどなので、電子定款を作成する費用相場は32,000円程度と思っておきましょう。

 

ちなみに電子定款は、税理士や司法書士に作成を依頼することも可能です。

この場合、ソフトやカードリーダー代を節約できる代わりに、報酬として5,000円ほどがかかります。

そのため、もっとも法定費用が安いのは、「電子定款+作成を外注」という方法です。

 

4.≪会社設立費用を経費として計上するには≫

会社設立にかかった費用は、開業前のものも含めて会社の経費にすることが可能です。

設立時の費用は、「創立費」と「開業費」の2種類に分けて経費に計上します。

 

創立費:設立の準備にかかった費用(設立手続きに必要な書類の作成費用、登録免許税など)

開業費:設立後の開業準備段階に費用(調査費用、事前広告費、打ち合わせにかかった飲食代など)

 

ただし、会社設立後も経常的にかかっていく費用については、創立費または開業費として経費計上することができません。

設立と同時にかかった費用であっても、以下のようなものは通常の仕訳を行います。

 

・土地や建物の賃借料

・通信費

・事務用消耗品費

・仕入れ費用

・社員の給与

など

 

また、事務所や店舗を借りた時の敷金など、後日戻ってくるお金も開業費にすることはできません。

 

5.≪まとめ≫

会社設立にかかる費用は、株式会社で「約25万円」、合同会社で「約10万円」。この他に、会社の運転資金として使う資本金も必要です。

 

会社設立の費用は法定費用なので安くする方法は少ないですが、紙ではなく電子定款を選択することで収入印紙代4万円の節約が可能です。

ただし、電子定款の作成にもソフトなどの購入費や、外注する場合は報酬がかかることは知っておきましょう。

2020/03/05 会社設立時の資本金はいくら用意すべき?資本金額を決めるポイントとは

資本金とは、会社設立時に元手として用意するお金のことです。

新会社法の施行で、資本金は1円でも会社設立ができるようになりましたが、実際にはある程度まとまった金額を用意する経営者が多いです。

 

今回は、資本金の意味や、資本金の金額はどのように決めるべきかを詳しく解説。

資本金が少なすぎることのデメリットや、実際の払い込み手順についても知っていきましょう。

 

1.≪会社設立には資本金が必要≫

会社設立の際には、資本金が必要となります。

ただし、4種類ある会社の形態のうち、「合名会社」「合資会社」の2つでは信用や労務、現物出資が可能で、必ずしも現金を集める必要はありません。

しかし、実際に設立される会社に多い形態は、残り2つの「株式会社」「合同会社」です。この2種類の会社を設立する場合には、資本金が必須となります。

 

そもそも、資本金とは何かというと「事業を開始し、当面の間運営していくための資金」です。

もちろん、金融機関などから融資を受けたり、出資を募ったりして資金を増やすことはありますが、全ての元手になるのがこの資本金です。

 

その資本金はいくら用意すればいいかという、明確な決まりはありません。2006年の新会社法施行以降、資本金1円からでも会社設立ができるようになりました。

 

しかし、1円起業にはデメリットも多いので、ほとんどの起業家はある程度まとまった金額を資本金として用意します。

1円起業のデメリットや資本金額の目安については、後の項目で詳しく解説します。

 

ちなみに、資本金と似た言葉に「資本準備金」というものがあります。

これは、簡単にいうと万が一の時のための積立金。資本準備金の金額は、資本金の半額までと定められていて、業績が悪化した場合には資本準備金を取り崩すことで会社財産を維持することができます。

資本金とは異なり、資本準備金は必須のものではありません。

 

2.≪会社設立時の資本金の決め方≫

それでは具体的に、資本金はいくら用意すればいいのかを解説していきます。

もちろん、業種や経営方針によって必要な金額は異なりますが、基準となるポイントを見ていきましょう。

 

(1)目安は3ヶ月~半年分の運転資金

多くの会社が資本金額の目安とするのが、開業資金+3~6ヶ月分の運転資金です。

 

起業してすぐに経営が軌道に乗り、十分な利益が出せる会社というのはごく少数。ほとんどの会社は、開業からしばらくは赤字や少ない利益で会社を維持していくことになります。

そんなとき、資本金が少なすぎるとすぐに資金が底をつき、せっかく設立した会社がすぐに潰れてしまいます。

 

ですから、安定した利益を出せるようになるまで、会社を維持する体力として資本金が必要なのです。

開業後、赤字でもかかる経費(固定費)としては、以下のようなものがあります。

 

・事務所や店舗の家賃

・商品の仕入れ代金

・従業員の給与

・水道光熱費・通信費

など

 

毎月かかるこれらの経費を計算し、3~6ヶ月は赤字でも経営していけるように備えましょう。

 

また、当然それとは別に開業資金も必要です。

開業資金として必要な額は、業種によってかなり幅があります。例えば、大規模な工場が必要な製造業なら数千万円かかることもありますし、PC1台で始められるITやサービス業なら数十万円で十分ということも。

資本金を決定する前に、まずは開業準備と半年後までの経営の見通しを立て、必要な金額を算出してみましょう。

 

(2)取引先・金融機関からの信用を考慮する

次に、取引先や金融機関といった、他者から見た場合の資本金について考えていきましょう。

 

先に解説したように、資本金が少ない会社は開業直後に潰れてしまうリスクが高いです。

そんな会社に、商品を卸したり融資したりしたくないのは、当然と言えるでしょう。

そのため、資本金が少ないと取引先や金融機関から敬遠されてしまい、事業がうまく拡大できない可能性も。取引先や金融機関からの信用を得るためには、資本金は多いに越したことはないのです。

 

(3)税金負担額とのバランスを見る

一方、資本金は多ければ多いほどいいという訳ではない面もあります。

それは、税金負担額にも資本金が関わってくるためです。

資本金額によって税務上の違いが生じるボーダーラインは、1,000万円1億円です。

 

まず、1,000万円のボーダーラインで変わるのが消費税。

資本金1,000万円未満の会社の場合、設立から2年間は消費税の納付が免除されますが、1,000万円以上で起業すると、初年度から消費税の納付義務が生じてしまいます。

 

また、法人住民税の均等割についても、資本金1,000万円をボーダーラインとして変わります。

金額は自治体によりますが、例えば、東京都内で従業員が50人の会社の場合、資本金が1,000万円以下では7万円、1,000万円超では18万円と、倍以上の差があります。

 

資本金1億円のボーダーラインでは、さらに様々な違いが出てきます。

これは、資本金1億円以上の会社は「大企業」、1億円未満の会社は「中小企業」と定義されているためです。中小企業と大企業では、法人税の税率や交際費の経費計上、欠損金の繰戻還付など、税制上の扱いが根本的に異なります。

また、国や地方自治体が実施している中小企業向けの施策や補助金等も、資本金1億円をボーダーラインとして適用されなくなるものが多いです。

 

(4)許認可に資本金額が必要な業種も

最後に、業種ごとに定められている資本金額について解説します。

 

基本的に、会社設立は資本金1円から可能ですが、業種によっては一定額以上の資本金がないと、営業の許認可が取れない場合があります。

許認可に資本金の要件がある業種と金額は、以下の通りです。

 

・人材派遣業:2,000万円

・特定建設業:2,000万円

 

3.≪会社設立時の資本金が低すぎることによるリスク≫

先にもお伝えしましたが、資本金は最低1円からでも会社設立が可能です。

しかし、資本金が少なすぎるとデメリットが多く、思うように事業を運営できない可能性も。

資本金が少なすぎることで、起こりうるリスクについて知っていきましょう。

 

(1)融資が受けられない可能性がある

資本金が少ないと、まず銀行からの融資を受けにくくなります。

先にもお伝えした通り、資本金は会社の体力なので、資本金が少ないとすぐに倒産してしまいかねません。

回収の当てがない会社にお金を貸したくないのは当然で、金融機関からの融資を断られてしまう可能性が高くなります。

 

また、起業時に利用する方が多い日本政策金融公庫の新創業融資も、融資の条件に「創業資金の3分の1以上の自己資金を確認できること」があります。

他にも、資本金が少ない場合、法人口座を作ることもできないケースがあります。形式上、会社を作ることができるのと会社の信用力は別のものであることを理解しましょう。

 

(2)取引してもらえない可能性がある

よく知らない会社について調べる際、資本金を重視する人は多いです。

資本金が多ければ、それだけ会社の体力があるということで、もし事業がうまくいっていなくても長く運営を続けていけるという指標になります。

また、資本金が多いほうが事業への本気度が高いとみなされ、資本金が少ないと遊びの延長のように思われてしまいかねません。

 

新規起業でこれから顧客や取引先を確保しなければいけないという場合、信用を得づらくなり、事業拡大がしにくくなるのです。

 

(3)債務超過になりやすくなる

債務超過とは、債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態ということです。

少なすぎる資本金で会社を設立すると、少額の借入をしただけですぐに債務超過になってしまいます。

 

債務超過の会社は、取引先・金融機関・出資者などからのイメージが非常に悪いです。

起業して早々に債務超過にならないためにも、やはり開業資金と当面の運転資金は用意しておいたほうがいいでしょう。

 

4.≪資本金の払い込み方≫

最後に、会社設立時に資本金の払い込みを行う方法について解説します。

 

(1)発起人の銀行口座を用意

会社設立時には、まず発起人名義の個人口座を用意し、そこに資本金を入金します。

口座の開設はいつでも問題ありませんが、入金のタイミングは定款認証日よりも後である必要があるので注意してください。

 

入金を行ったら、会計処理を行います。

例えば資本金を300万円用意した場合、仕訳処理の方法は以下の通りです。

 

借方:現金 3,000,000円

貸方:資本金 3,000,000円

摘要:資本金の払込

 

(2)通帳のコピー作成

資本金の払い込みを行ったら、会社の設立手続きのためにその証明が必要となります。

その証明に必要なのが、通帳のコピーと払込証明書です。

通帳は、

 

・表紙

・表紙裏

・振込内容が記帳されているページ

 

の3ヶ所をコピーします。

証明には支店名・支店番号、銀行印が必要なので、その箇所が含まれているかどうか確認しましょう。

 

また、振込内容が記帳されているページは、発起人の名前と金額にマーカーなどで印をつけておくと、会社設立時の手続きがスムーズになります。

 

(3)払込証明書を作成

最後に、以下の内容を記載した払込証明書を作成します。

 

・日付

・本店所在地

・会社名(商号)

・代表取締役の氏名

・払込があった金額

・払込があった株数

・1株の払込金額

 

この7つの項目と、「証明書の左上」「代表取締役氏名の右側」の2ヶ所に会社代表印が必要となります。

資本金の証明をして登記が終わったら、いつでも資本金を使うことができます。

発起人個人の口座から法人口座へ資本金を移動し、初期費用などにあてましょう。

 

5.≪まとめ≫

資本金は開業後の経営の元手となり、対外的にも会社の持続力をあらわす重要なお金です。

最低1円からでも会社設立はできますが、開業後の経営を考えるとある程度まとまった金額を用意したほうがスムーズです。

 

資本金は会社設立の手続きの前に現金で用意する必要があるので、計画的に準備を進めていきましょう。

2020/02/27 免税事業者とは|課税事業者とどっちがお得?

免税事業者とは、消費税の納付が免除される事業者のこと。消費税の納付義務はありませんが、消費税分の上乗せ請求はできるため、免税事業者であることのメリットは大きいです。

 

しかし、2023年に始まるインボイス方式の影響で、免税事業者はお得なだけではなくなります。

免税事業者の要件や、今後の展望について詳しく見ていきましょう。

 

 

1.≪免税事業者とは≫

免税事業者について知るには、まず消費税の仕組みを知る必要があります。

 

通常、事業者は商品やサービスの値段に消費税を上乗せし、顧客や取引先から消費税を徴収します。

課税事業者は、消費者からいったん預かった消費税を、後日まとめて国に納付する義務があるのです。

 

このように、実際に税金を負担する人と税金を納める人が違うため、消費税は「間接税」と呼ばれています。

商品の仕入れのために事業者が支払った消費税は、「仕入税額控除」という形で納付額から差し引くことができます。

 

免税事業者とは、この消費税の納付を免除される事業者のことです。

免税事業者となるためには、売上額や資本金額など一定の要件を満たす必要があります。

 

2.≪免税事業者となる基準≫

免税事業者となるための基準は、次の3つです。

 

・基準期間の課税売上高が1,000万円以下

・資本金の額または出資金が1,000万円未満

・新規開業から2年以内

 

(1)基準期間の課税売上高が1,000万円以下

免税事業者となる要件一つ目は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下ということです。

基準期間とは、以下の通り。

 

・個人事業主の場合:その年の前々年

・法人の場合:その事業年度の前々事業年度

 

つまり、大まかにいえば、売上高が1,000万円を超えるまでの期間と、その後2年間は免税事業者ということになります。

ただし、例外として、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合は免税事業者と認められません。

 

この特定期間とは、以下の期間を指します。

 

・個人事業主:その年の前年の1月1日〜6月30日までの6ヶ月間

・法人:その事業年度の前事業年度開始日から6ヶ月間

 

要するに、2年前の売上が1,000万円以下であっても、前年に半年間で1,000万円以上の売り上げがあると課税事業者になるということです。

 

(2)資本金の額または出資金が1,000万円未満

基準期間の売上が1,000万円以下だったとしても、資本金が1,000万円以上の法人は消費税の納付が免除されません。

資本金1,000万円以上の事業者は、原則的に課税事業者となるということです。

 

起業するとき、資本金はできる限り多く用意した方が金融機関等からの印象はいいですが、このボーダーラインがあるため資本金を1,000万円以下に抑える企業も多いです。誰にも相談することなく資本金を決定してしまうと、第1期目から消費税を納税しないといけないケースも出てくるので、会社設立の際には税理士に相談すべきでしょう。

 

(3)新規開業から2年以内

先にも触れたように、免税事業者かどうかを判断する「基準期間」は、その年の前々年または前々事業年度です。

開業から2年以内の事業者は、当然2年前の売上はありません。どんな事業者でも、新規開業から2年以内は免税事業者ということになります。

 

個人事業主が法人化した場合には、法人化した時点で個人事業主時代の売上はリセットされます。

免税事業者である期間を伸ばすために、売上が1,000万円を超えた時点で法人化する個人事業主も多いのです。

 

また、先にもお伝えしたように、資本金・出資金1,000万円以上の法人は免税事業者にはならないため、設立1期目から消費税を納付する義務があります。

 

3.≪免税事業者でも消費税の上乗せ請求は可能?≫

ここまでの説明を見ると、消費税の納付義務がない免税事業者が商品やサービスの料金に消費税を上乗せするのは、一見フェアではないように思えます。

 

しかし、免税事業者であっても消費税を上乗せ請求することは可能です。

なぜなら、消費税法や国税庁の通達では「免税事業者は消費税を請求してはいけない」という決まりがないためです。

また、消費税を上乗せ請求できないと、仕入れなどの際に他の事業者に支払う消費税を自己負担しなければいけないことになります。

 

経理処理上は、免税事業者は「税抜き処理」「税込み処理」どちらを選択してもいいことになっています。

ちなみに、2019年10月1日の消費税引き上げに伴い、消費税には「区分記載請求書保存方式」が導入されました。仕訳や請求書では税率8%の品目と税率10%の品目を分けて表示する必要があります。

 

4.≪課税事業者とどちらが得?選択のポイント≫

それでは、課税事業者と免税事業者では、どちらが得になるのかを見ていきましょう。

 

(1)インボイス方式導入で免税事業者は不利に?

消費税率引き上げ・軽減税率導入に伴って、2023年10月から「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が始まります。

これによって変わるのは、仕入れなどで他の事業者に支払った消費税を納付時に相殺する「仕入税額控除」のシステムです。

インボイス方式が導入されると、事業者は適格請求書(インボイス)に記載された消費税のみしか仕入税額控除ができなくなります。

 

インボイスを発行できるのは、登録を受けた課税事業者のみ。免税事業者はインボイスを発行できないため、この制度が始まると免税事業者から取引先事業者に消費税を請求するのが難しくなります。

そうなると、仕入れの際に支払った消費税は免税事業者が自己負担することになります。

 

また、インボイスを発行できないことが理由で、取引先がインボイス発行可能な同業他社へ乗り換えてしまう可能性もあり、免税事業者は不利になってしまいます。

そのため、インボイス方式が導入される2023年10月以降は、課税事業者の方がメリットは大きいケースが多くなります。

 

インボイス方式は、2023年10月から段階的に始まり、2029年10月以降は免税事業者からの仕入れに関わる仕入税額控除が完全にできなくなる予定です。

現在、免税事業者になっている事業者も、時期を見て課税事業者に移行するべきでしょう。

 

(2)課税事業者のほうが良い場合とは

インボイス方式導入前であっても、課税事業者の方が有利な場合もあります。

 

課税事業者になった方が有利なのは、消費者から預かる消費税より、取引先に支払う消費税の方が多いケース。仕入税額控除の制度を利用して、差額分の消費税の還付を受けることができます。

 

①輸出をしている

ここまで解説してきた消費税のやりとりは、あくまで国内での取引の場合。輸出による売上高は免税取引なので、そもそも預かる消費税は0円です。

 

しかし、輸出するために国内業者から仕入れた商品の代金や、物流サービスの料金は、当然消費税が含まれた金額を支払います。

輸出を行なっている事業者は預かる消費税より支払う消費税の方が多く、免税事業者の条件に当てはまっていても、課税事業者として申告した方が得できるのです。

 

②設備投資の額が大きい

設備投資には多額のお金がかかりやすく、支払う消費税が多くなりやすくなります。

 

例えば、不動産業者がビルを建てて貸し出した場合、まずビルの建設に多額の建設費と、それに伴う消費税がかかります。

その後、ビルを貸し出して家賃収入を得たとしても、その年中に借主から預かる消費税より、建設のために支払った消費税の方が多くなるはずです。

 

多額の設備投資を行なった場合には、課税事業者になった方が消費税の還付を受けられ、得できるということになります。

 

5.≪まとめ≫

免税事業者となるための条件は、2年前の売上高が1,000万円以下であることと、資本金が1,000万円以下であることです。

免税事業者は、代金に消費税を上乗せ請求できるにも関わらず、納税の義務はないため、最大10%の得ができることになっています。

 

しかし、2023年にはインボイス方式が始まり、免税事業者は仕入税額控除の仕組み上不利になります。免税事業者の申告納税は任意なので、状況を見て経営にとって得になる判断をするようにしましょう。

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2020/02/20 基礎控除とは?税制改正に伴う変更のポイントも解説

所得税・住民税の計算をするとき、誰でも所得から差し引くことができるのが「基礎控除」です。

現在、基礎控除は一律38万円ですが、税制改正により令和2年度以降の所得は計算方法が変わります。

 

今回は、税制改正で変更となる点や、基礎控除の計算方法を詳しく解説します。

関連して、給与所得控除・相続税の基礎控除についても見ていきましょう。

 

 

1.≪基礎控除とは≫

基礎控除とは、全ての納税者が所得額から差し引ける控除のことです。

まずは、基礎控除の基本的な知識について知っていきましょう。

 

(1)所得税の基礎控除

そもそも控除とは、個人の事情に合わせて課税額を調整するためにある制度です。

例えば、一人身で特段の事情がない人と、養う家族がたくさんいたり、重い病気にかかっている人では、生活にかかる金額が異なります。

それなのに、所得額が同じなら一律で同額の税金を徴収していると、不公平が生じてしまうのです。

それを調整するために、一定の条件に当てはまる人は、総所得から控除を差し引いて課税所得を減らすことができるようになっています。

 

しかし、基礎控除は個人の事情に関係なく、誰にでも適用される控除です。

その金額は、現在38万円です。

つまり、年間の所得が38万円以下であれば、課税所得は0となり所得税がかからないことになります。

また、サラリーマン・アルバイトなどで、給与所得を得ている方には追加で、最小でも65万円の「給与所得控除」も受けられます。

このため、年間所得が「基礎控除38万円+給与所得控除65万円」の「103万円」なら、給与所得者は所得税がかかりません。

家族の扶養に入っている場合などに言われる「103万円の壁」は、基礎控除と給与所得控除の金額が根拠になっているのです。

 

ただし、令和2年度(2020年1月1日~12月31日)の所得にかかる所得税から、基礎控除の金額が改定されます。

この税制改正については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)住民税の基礎控除

所得税だけではなく、住民税にも基礎控除があります。

住民税の基礎控除額は、33万円です。

また、住民税には「人的非課税」という非課税制度があります。これは、生活保護世帯など一定の条件を満たしている場合、住民税を納める必要がないという制度です。

さらに、納税者に扶養親族がいない場合、所得金額が35万円以下なら住民税は課税されません。

そのため、住民税の基礎控除は基本的には33万円ですが、非課税限度額は35万円と言えます。

 

2.≪「基礎」以外のおもな「控除」≫

誰でも受けられる基礎控除以外に、様々な条件を満たすと受けられる控除があります。

その中から、適用される人が多い「扶養控除」「配偶者控除/配偶者特別控除」「社会保険料控除」について解説していきます。

 

(1)扶養控除

扶養控除とは、子供や親など、配偶者以外の家族・親族を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者を扶養している場合の控除は制度が異なるため、次の項目で解説します。

 

税制上、「扶養している」と言える家族・親族の条件は、以下の通りです。

・年間の所得金額が38万円以下(給与所得103万円以下)

・16歳以上の親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)

・納税者と生計を一にしている

 

このような家族・親族が納税者の収入で生活していると、一人当たり以下の金額が控除されます。

・一般の控除対象扶養親族(16歳以上):38万円

・特定扶養親族(19歳以上23歳未満):65万円

・老人扶養親族(70歳以上・同居老親等以外):48万円

・老人扶養親族(70歳以上・同居老親):58万円

 

(2)配偶者控除/配偶者特別控除

配偶者控除・配偶者特別控除は、妻・夫を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者控除に当てはまる家族の条件は、以下のようになっています。

・配偶者であること

・納税者と生計を一にしていること

・配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であること

・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、又は、白色申告者の事業専従者でないこと

 

配偶者控除の金額は、以下の通りです。

 

納税者の所得が900万円以下の場合

一般の控除対象配偶者:38万円

老人控除対象配偶者:48万円

 

納税者の所得が900〜950万円の場合

一般の控除対象配偶者:26万円

老人控除対象配偶者:32万円

 

また、配偶者特別控除は、以上の条件のうち収入面のみ満たしていない場合に受けられます。

配偶者特別控除は、年間所得が38万円以上123万円以下の場合かつ、納税者の所得が1,000万円以下の場合に適用されます。

配偶者特別控除の金額は、納税者と配偶者の所得金額のバランスによって異なります。

 

(3)社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者本人や生計を一にしている家族・親族の社会保険料を支払った場合に適用されます。

控除金額は、支払った社会保険料の全額です。

 

3.≪税制改正で基礎控除はどう変わる?≫

令和2年度(2020年1月1日~12月31日)分の所得から、基礎控除額・給与所得控除額が変更になることを国税庁が決定しました。

基礎控除に関わる税制改正の内容について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)税制改正のポイント

今回の税制改正では、

・基礎控除額の引き上げ

・給与所得控除額の引き下げ

が行われます。

以下の項目で、変更点を詳しく解説します。

 

①基礎控除引き上げ

まず、現在38万円の基礎控除額は、最大48万円に引き上げられます。

これまでは、所得総額に関わらず基礎控除は一律でしたが、改正以降は所得金額によって基礎控除の金額が異なるようになります。

税制改正後の、年間の合計所得金額と基礎控除の関係は以下の通り。

 

【所得税の基礎控除額】

〜2,400万円:48万円

2,400万円〜2,450万円:32万円

2,450万円〜2,500万円:16万円

2,500万円〜:なし

 

また、これに伴い、現在一律33万円となっている住民税の基礎控除も変更になります。

 

【住民税の基礎控除額】

〜2,400万円:43万円

2,400万円〜2,450万円:29万円

2,450万円〜2,500万円:15万円

2,500万円〜:なし

 

②給与所得控除引き下げ

給与所得者に適用される給与所得控除は、基礎控除とは逆に最大10万円引き下げられます。

また、給与所得控除の上限金額が適用となるのも、現行の1,000万円から850万円に引き下げられます。

税制改正後の、給与収入金額と給与所得控除の関係は、以下の通りです。

 

〜162.5万円:55万円

162.5万円〜180万円:収入金額×40%ー10万円

180万円〜360万円:収入金額×30%+8万円

360万円〜660万円:収入金額×20%+44万円

660万〜850万円:収入金額×10%+110万円

850万円〜:195万円(上限)

 

(2)税制改正で税金は上がる?下がる?

今回の税制改正を大まかにまとめると、「年収850万円以上の人は増税・850万円以下の人は変わらない」と言えます。

年収850万円以下の方は、基礎控除額と給与所得控除額がそれぞれ±10万円のため、実質的には影響を受けません。

年収850万円以上の方は、基礎控除額と給与所得控除額の合計が改正前よりも少なくなるため、所得税が増税されます。

また、給与所得控除に関係がない自営業やフリーランスの方は、基礎控除額の引き上げのみが適用されるため、減税となります。

 

4.≪相続税の基礎控除の仕組み≫

所得税や住民税だけではなく、相続税にも基礎控除があります。

亡くなった人の財産を相続すると相続税が発生しますが、相続したのが一定の金額以下なら納税や申告が必要なくなるのです。

このボーダーラインを、相続税の基礎控除と言います。

相続税の基礎控除の計算方法は、以下の通りです。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。

内縁関係の配偶者や、義理の息子・娘といった関係の人は、実際に遺産を相続するとしても法定相続人には含まれません。

例えば、法定相続人の数が3人の場合、計算式は以下のようになります。

 

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

 

この場合、遺産の合計額が4,800万円以下なら相続税の申告・納税をする必要はありません。

また、遺産が4,800万円を超えている場合には、4,800万円を超えた金額にのみ相続税が課せられます。

 

5.≪まとめ≫

税制改正により、基礎控除は+10万円、給与所得控除は−10万円になります。

給与所得者で、年収850万円以下の方には影響がありませんが、年収850万円以上の方は増税、個人事業主やフリーランスの方は減税となります。

これにより、扶養控除や配偶者控除・配偶者特別控除の基準も変わるため、令和2年度分の確定申告には注意が必要です。

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2020/02/13 復興法人税とは?用途や税率、前倒し廃止の理由を解説

復興法人税は、東日本大震災の復興の財源とするため、法人に課せられていた特別税です。

徴収期間は2012年4月1日から2014年3月30日までで、当初の予定より1年早く廃止されました。

 

今回は、この復興法人税の概要や、廃止が前倒しされた理由について詳しく解説します。

また、個人向けの特別税である「復興所得税」についてもご紹介いたします。

 

1.≪復興特別法人税の概要≫

まずは、復興特別法人税とは何か、その概要について知っていきましょう。

 

(1)復興法人税とは

復興法人税とは、2011年に発生した東日本大震災の復興のための施策に必要な財源を確保するために実施された特別税で、平成23年12月に公布されました。

復興法人税の具体的な使い道は、以下の通り。

 

・被災者支援…被災者の生活再建への支援等

・住宅再建・復興まちづくり:復興道路などの社会インフラ整備等

・産業・生業(なりわい)の再生:観光復興や水産業の販路開拓支援等

・原子力災害からの復興・再生:避難指示が解除された区域での生活支援等

 

さらに詳しく復興法人税の使途を知りたい場合は、「東日本大震災復興特別会計歳出暫定予算予定額各目明細書」や復興庁のホームページで確認することができます。

 

復興法人税の課税対象は、全ての所得がある法人です。一般的な会社だけではなく、設立前の会社・町内会・政党要件を満たさない政治団体・マンションの管理組合といった、収益目的ではない法人でも、所得があれば課税されます。

 

ただし、赤字の会社などで法人税が課税されない場合には、復興法人税も同じく課税されません。

復興法人税が課税される法人は、各課税事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に復興特別法人税申告書を提出し、納税額を確定します。

 

2012年4月1日から、通常の法人税に上乗せして復興法人税の徴収が始まりました。

当初、徴収時期は2015年3月30日までの予定でした。しかし、2014年4月の消費税率引き上げの影響を考慮して1年早く廃止されました。

復興法人税の廃止については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)復興法人税の税率

復興法人税の税率は、「法人税額の10%」です。各事業年度の法人税課税額に対して、10%の税率をかけたものが復興法人税額となります。

大まかにいうと、復興法人税の徴収期間は、それ以外の期間と比べて法人税が1.1倍になるというイメージです。

 

ただし、利子など一定の所得に課された復興所得税など、復興法人税から控除できる金額もあります。

そのため、単純に法人税が必ずしも1.1倍になるというわけではありません。

 

また、復興法人税から控除しきれない復興所得税の額がある場合には、申告書を提出することで還付を受けることができます。

 

2.≪法人税引き下げと復興法人税との関係≫

復興法人税の制度は、2011年12月に行われた法人税率の引き下げとセットで実施されています。

先にお伝えしたように、復興法人税は法人税の納税額に基づいて決定されるので、復興法人税が追加で課されたとしても、実質的には減税となりました。

 

(1)軽減税率との関係

平成23年12月以前の、法人に課せられる法人税率は以下の通りでした。

 

大企業:30%

中小企業(年間所得800万円以上):30%

中小企業(年間所得800万円以下):22%

 

そして、平成23年12月の改正で、法人税率は以下のように引き下げられます。

 

大企業:25.5%

中小企業(年間所得800万円以上):25.5%

中小企業(年間所得800万円以下):15%

 

前の項目でお伝えした通り、復興法人税は法人税の10%なので、「法人税+復興法人税」の税率は以下のようになります。

 

大企業:28.05%

中小企業(年間所得800万円以上):28.05%

中小企業(年間所得800万円以下):16.5%

 

このように、法人税引き下げ・復興法人税の実施で、大企業と年間所得800万円以上の中小企業は「1.95%」、年間所得800万円以下の中小企業は「5.5%」もの減税になったのです。

震災復興のために税収が必要となるのにも関わらず、法人に対して実質的な減税を行なったことで、当時は「企業優遇」という批判の声も上がりました。

 

(2)地方税との関係

次に、法人が納める地方税と復興法人税の関係を見ていきましょう。

 

地方事業税に関しては、復興法人税の影響はありません。地方事業税は法人の所得が課税標準となり、復興法人税の実施に際して税率の変更もなかったため、従前通りです。

 

地方住民税については、税率自体に変更はないものの、課税標準となるのが法人税額なので、法人税引き下げ・復興法人税導入の影響を受けます。

先に触れたように、法人税は1.95%または5.5%の減税となるため、地方住民税も連動して減額されます。

 

3.≪復興特別法人税の「前倒し廃止」とは≫

復興法人税が実施された当初、課税期間は課されるのは2012年4月1日から2015年3月30日まで(9月決算法人では9月30日まで)の予定でした。

 

ところが、2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた影響で終了が1年前倒しされ、2014年3月30日(9月決算法人では2014年9月30日)で廃止されました。

消費税増税以外の廃止理由としては、賃金引上げを含む経済の好循環に繋がる、外国企業の誘致を促進し国際的競争力を高める、などが挙げられています。

 

具体的に、いつから復興法人税がかからなくなったかというと、3月決算の法人では2014年4月1日以降の事業所得、9月決算の法人では2014年10月1日以降の事業所得です。

個人の所得から徴収される復興特別所得税は、予定通り25年間続くため、たった2年で廃止された復興法人税は法人税率の引き下げと同じく「企業優遇」と批判を受けました。

しかし、復興法人税の廃止で浮いた金額を、従業員の賃上げに回すよう推進するということで断行されています。

 

4.≪継続中の復興特別所得税との違い≫

復興法人税の他に、復興特別税には復興所得税というものもあります。

 

復興法人税と復興所得税の違いは課税の対象者です。復興法人税は先にも触れた通り法人に、復興所得税は個人に課せられます。

 

復興所得税は全ての納税者が支払う税金です。サラリーマンなどの給与所得者は、源泉所得の際に復興所得税額も含めた金額を徴収されます。

給与以外の所得がある個人事業主等は、確定申告で所得税と復興所得税をあわせて申告し、納税します。

また、源泉徴収義務者は、従業員の給与からあらかじめ徴収した復興所得税を法定期限までにまとめて納付しなければなりません。

 

復興所得税が徴収されるのは、2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間です。

この期間中は、全ての納税者が通常の所得税に復興所得税を上乗せして納税します。

 

復興所得税の税額は所得税額の2.1%です。個人の所得税は、所得金額が高くなるほど税率も上がる累進課税制度を採用しているため、復興所得税の金額や負担割合も所得が高くなるほど高くなります。

 

5.≪まとめ≫

復興法人税は日本国内の法人が東日本大震災の復興のために納める税金です。

個人向けの復興所得税より税率は高いですが、法人税引き下げと同時に実施されて実質的に減税になったことや、短期間で廃止されたことが批判の的になったこともあります。

 

復興法人税はすでに廃止されている税金のため、今後の経理業務に登場することはありません。

しかし、復興所得税は徴収期間が2037年まで続くため、源泉徴収や確定申告の際に気をつけておく必要があります。

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2020/02/06 役員借入金とは?役員借入金を減らす6つの方法

役員借入金とは、役員から法人に貸し付けたお金のことをいいます。上手く利用すれば節税にもなる役員借入金ですが、その金額が膨らんでしまうと様々なデメリットが生じます。

 

今回は、役員借入金が増えてしまった場合のデメリットと、その解決方法を解説いたします。

役員借入金は、借入をするメリットとデメリットを踏まえて適切に利用する必要があります。

 

 

1.≪役員借入金とは?≫

役員借入金とは、会社の役員から会社に対して貸し付けているお金のことで、勘定科目では「役員借入金(負債)」と仕訳します。

逆に、役員が会社から借りているお金のことは役員貸付金と言い、勘定科目では「役員貸付金(資産)」となります。

 

役員借入金が発生するのは、主に以下のような場合です。

 

会社の資本金が足りない時、役員のポケットマネーで立て替えた

法人設立時の開業費等の費用

 

役員借入金のメリットは、金融機関や他社からの借入とは違い、返済期日や利息が自由に定められることです。

もちろん、いずれは返済する必要がありますが、経営状態に余裕のあるタイミングで都合よく返済することができます。

 

さらに、返済するときには当然会社から役員へお金を支払うことになりますが、これは報酬ではなく借入金の返済なので、税金や社会保険料がかかりません。

元本の返済ではなく、利息についても同様なので、役員は利息分については非課税の収入を得ることができるのです。

 

また、役員借入金の利用法として、借入金を増額することで資本金を3,000万円以下に抑え、中小企業向けの税制度を受けるという使い方もあります。

さらに、役員借入金の利息は経費にできるため、適正な利息を役員に支払うことで会社の経費を増やし、利益調整することもできます。

 

2.≪役員借入金が増えるとどうなる?≫

先に役員借入金のメリットをお伝えしましたが、一方で役員借入金が増えてしまうことによるデメリットもあります。

 

取締役会の承認が必要に

金融機関の印象悪化

相続税の対象になる

 

以下の項目で、詳しく見ていきましょう。

 

(1)取締役会の承認が必要に

役員借入金には、金融機関からの借り入れのようなビジネスという側面がありません。

そのため、役員から会社にお金を貸す時には、無利子での賃借が認められています。

 

しかし、利益調整などの目的で利息を設定する場合には利益相反取引に該当するため、取締役会での承認が必要となります。

役員借入金の返済利息は、お金を貸す役員個人では決めることができないのです。

 

(2)金融機関の印象悪化

いくら身内からの借り入れであっても、役員借入金は決算書類上の負債に該当します。

 

また、役員借入金は法人の経営状況が健全であれば、そもそも発生させる必要がない項目なので、金融機関からの印象が悪くなります。

経営状態に問題がないのに役員借入金が多い企業は、役員個人のお金と会社のお金の区別がついていないルーズな会社と思われてしまいかねません。

 

先に解説したようなメリットがあるとはいえ、役員借入金は乱用するべきものではないのです。

 

(3)相続税の対象になる

会社にお金を貸している役員が亡くなった場合、役員借入金も相続税の課税対象です。相続人にとっては、会社に対する債権が相続財産になります。

 

もし、会社の業績が悪く、相続人に対して返済することができない場合も、相続放棄をしない限りは相続人が債権を引き継ぐことになります。そのため、相続人から見ると、戻ってくる見込みがないお金に対して相続税が生じる可能性があるのです。

役員借入金の金額が大きくなればなるほど、相続税負担も重くなります。

 

3.≪役員借入金を減らす6つの方法≫

それでは、上記のデメリットをなくすため、役員借入金を減らす方法を6つご紹介します。

 

(1)役員報酬を減額

役員借入金が増えてしまう原因として、会社の資本に対して役員報酬が高すぎるという問題が挙げられます。

過剰な節税対策で役員報酬の金額を上げすぎると会社に資本が残らず、役員が自分の報酬を役員借入金として会社に戻さざるを得なくなっているのです。

 

その場合には、役員報酬の金額を見直すことで負のスパイラルから抜け出すことができます。

役員借入金が膨らみすぎてしまった企業では、まず役員報酬の減額を考えてみましょう。

 

(2)債務免除する

会社にお金を貸した役員が債務免除をすれば、当然、役員借入金を減らすことができます。

 

ただし、債務免除された金額は「債務免除益」として利益に組み込まれ、法人税の課税対象となります。(消費税については課税売上とはならず、消費税の納税額が増えることはありません。)

また、財産の贈与とみなされて贈与税が発生する場合もあるので注意してください。

 

(3)後継者へ贈与する

役員借入金を後継者に贈与する「暦年贈与」という方法があります。

 

この方法は、役員が亡くなった場合を見越した相続税対策として使えます。

生前に贈与しておけば、贈与税の基礎控除額である110万円の範囲内であれば贈与税はかかりません。

相続税がネックになりそうな役員借入金は、万が一の事態が起こる前から計画的に減らしておくのが大切です。

 

また、役員が亡くなった時、相続税の税務調査に備えておくため、暦年贈与の際は必ず贈与契約書を作成しましょう。

 

(4)DES活用

DESは「Debt Equity Swap」の略です。

「債務と資本を交換する」という意味で、役員借入金を返済する代わりに、役員に会社の株式を発行します。

 

この方法を使うことで、実際に現金を動かすことなく役員借入金を減らすことが可能です。

 

(5)生命保険を活用する

生命保険の解約返戻金や死亡保険金を使って、役員借入金を減らすこともできます。

生命保険料を損金に計上しながら解約返戻金を簿外に貯めていき、その貯まった資金で役員に借入金を返済するという方法です。

 

ただし、解約返戻金には契約上もっとも得ができるタイミングがある(返戻率が年々推移するため。)ので、解約時期を決めて計画的に利用する必要があります。

 

(6)代物返済

代物返済とは、役員の承諾を得て現金以外のもので役員借入金を返済することです。

会社が保有している自己株式、不動産、在庫商品などで、役員借入金を相殺することができます。

 

ただし、会社と役員間の取引はルーズになりがちなので、税務調査などで代物返済にあてた物の時価総額などが問われる場合があります。

会社や役員にとって都合のいい取引ではなく、他者の目から見ても公正と思える取引で返済しなければいけません。

 

4.≪役員借入金は決算書でも工夫が必要≫

先にもお伝えしたように、役員借入金は仕訳では負債に組み込まれます。

身内からの借入金であっても借金は借金なので、決算書上で負債が多すぎるのは問題です。

金融機関や取引先からの印象を良くするためには、役員借入金の扱い方に工夫が必要です。

 

役員借入金は、返済利息だけではなく返済期間も自由に設定することができます。

ですから、役員借入金の返済期間はできるだけ1年以上の長期に定め、決算書上は「固定負債」に組み込まれるようにしましょう。

そうすることで流動負債を減らし、流動比率(流動資産÷流動負債)を良く見せることができるのです。

また、固定長期適合比率(固定資産÷(固定負債+自己資本))についても、流動比率と連動して良い値になります。

 

5.≪まとめ≫

役員借入金は、使い方によっては節税に役立つこともあります。

しかし、そもそも会社の経営状態が健全なら発生させる必要はなく、決算書上では負債となるため金融機関からの印象も悪くなります。

また、役員が亡くなった場合には相続税の対象となるため、あまり増やしすぎず、できるだけ早く返済していくのが理想です。

今回ご紹介した6つの方法を使って、役員借入金が増えすぎないように調整しましょう。

 

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2020/01/22 「雑所得」に含まれる収入と申告方法

雑所得には、年金・副業による収入・先物取引やFXによる収入などが含まれます。

会社員は20万円以上、その他の方は1円でも雑所得があると、確定申告が必要です。

 

今回は、雑所得の具体例や計算方法、確定申告の方法について詳しくご紹介いたします。

無申告だと追徴課税を課せられる可能性もあるので、雑所得がある方は申告方法を知っておきましょう。

 

 

1.≪雑所得とは?概要と具体例≫

雑所得とは、定義付けされた9種類の所得に含まれない、その他の所得のことです。

まずは、雑所得と他の所得の違いや、雑所得が発生する具体例などを解説していきます。

 

(1)所得の種類

所得は、その発生理由によって9種類に分類されています。

 

・利子所得:預金・貸付金などの利子

・配当所得:株式などの配当金

・不動産所得:所有する不動産から得る家賃地代

・事業所得:事業を行なって得た所得

・給与所得:会社から得た給与・賞与

・退職所得:退職金

・山林所得:所有する山林の木などを譲渡して得た所得

・譲渡所得:土地・建物・株式・会員権などを譲渡して得た所得

・一時所得:懸賞・ギャンブルの払戻金・生命保険の一時金など一度限りの所得

 

これらのどの種類にも当てはまらない所得を、雑所得と呼びます。

 

(2)雑収入・事業所得・一時所得との違い

雑所得と雑収入は、言葉は似ていますが違う意味を持っています。

 

まず雑所得とは、先にも解説した通り、定められた9つのカテゴリに含まれない所得のことです。

一方、雑収入とは、事業に関連して得た本業以外の収入のこと。例えば、事業を行う中で得た空き箱などを売却した収入や、会社のものを貸し出した時のリース料などが該当します。

この雑収入は、事業に関連しているものなので事業所得に含まれ、雑所得とは根本から異なるものなのです。

 

次に、一時所得と雑所得の違いは、一時的なものかどうか、また儲けようとして得たものどうかで判断します。

一時所得に含まれる懸賞やギャンブル等の払戻金、生命保険の一時金などは、基本的に一度限りかつ偶発的で、事業や労働の対価として得たものではありません。

 

そういった一時所得の条件を満たさず、かつ他の所得に当てはまらないものを雑所得と呼びます。

 

(3)雑所得の具体例

雑所得の具体例を挙げると、以下のようなものがあります。

 

・年金・恩給など公的年金

・副業による収入

・ネットオークションの売上金

・先物取引・FX・仮想通貨などで得た収益

・本業以外で得た原稿料・印税・講演料など

・非営業用貸金の利子

・外貨建預金の為替差益

・生命保険などの個人年金保険

・税務署等からの還付金

 

2.≪雑所得と税額の計算方法≫

それでは、雑所得と、雑所得に課せられる税額の計算方法を解説していきます。

 

(1)雑所得の計算方法

雑所得の計算方法は、公的年金とその他の雑所得で異なります。

 

・公的年金:収入金額ー公的年金等控除額=公的年金等の雑所得

・その他の雑所得:総収入金額ー必要経費=その他の雑所得

 

年金所得とその他の雑所得が両方ある場合は、この2つの合計を計算します。

 

(2)雑所得の税額は?

雑所得は給与所得など他の全ての所得と合計して総所得額を算出し、そこに所得税率をかけて税額を計算します。

所得税は累進課税制度が採用されていて、所得額が上がると税率も上がる仕組みです。

 

所得額に対する、所得税の税率一覧は以下の通り。

 

〜195万円:5%

195〜330万円:10%

330〜695万円:20%

695〜900万円:23%

900〜1,800万円:33%

1,800〜4,000万円:40% 

4,000万円〜:45%

 

ただし、雑所得のうち、先物取引によるものは申告分離課税の対象です。

申告分離課税とは、一時的に大きな金額が手に入ったとき、その分だけを所得と切り離して考えることで、実情に沿わない高額納税を避ける制度です。

先物取引で出た雑所得には、金額に関わらず一律で20.135%の税率が課せられます。

 

3.≪雑所得の確定申告はどうする?≫

雑所得が生じた場合には、一定の場合をのぞいて確定申告が必要です。

雑所得の確定申告が必要なケースや、具体的な申告方法を解説していきます。

 

(1)20万円以下なら申告不要?

「20万円以下の雑所得なら、申告不要」という話を聞いたことがある人も多いと思います。

 

しかし、これが適用されるのは、サラリーマンなど会社から給与所得を得ている人のみです。

例えばサラリーマンが副業をしたり、ネットオークションで物を売ったりして雑収入を得た場合なら、その金額が年間20万円以下なら確定申告の必要がありません。(ただし、住民税の申告は所得の金額の大小に関係なく必要になります。)

それ以外のフリーランスや主婦/主夫などの方は、雑収入が20万円以下であっても確定申告が必要です。

 

また、給与収入を得ている場合でも、年収が2,000万円以上の方、会社で年末調整を受けていない方は確定申告を行います。

 

(2)申告免除でも住民税申告が必要なケースとは

雑所得が20万円以下で、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は必須です。

なぜなら、所得税を納めるのは国、住民税を納めるのは地方自治体で、それぞれ申告要件が異なるためです。

雑所得が20万円以下で所得税の申告が不要だからといって、住民税の申告を行わないと、無申告と見なされてしまいます。

 

雑所得が20万円以上あり所得税の確定申告を行なった場合には、そのデータが住民税の計算にも流用されるため、改めて申告する必要はありません。

 

(3)認められる必要経費・認められない必要経費

必要経費とは、その所得を得るために必要な経費のことです。

 

例えば、商品を仕入れ、ネットショップで販売して収入を得ているなら、

・商品の仕入れ代金

・ネットショップのシステム利用料

・ラッピングや送料

・通信費

・交通費

・パソコンやスマートフォンの購入費

・家賃や倉庫の賃料

・賃貸物件を維持するための光熱費

・販促費・広告費

・業務のための借入金の利息

などが必要経費と認められます。

 

ただし、自宅で業務を行なっている場合、部屋・パソコン・通信費・光熱費などはプライベートで使うこともあるでしょう。

その場合は家事按分といって、それらを業務に使用している面積・時間などの割合をかかった金額にかけたものが必要経費として認められます。

 

完全にプライベートで使った費用や、確定申告で所得控除の対象となる生命保険などは必要経費として認められません。

雑所得の金額は、稼いだ総額ではなく、総額からこれらの必要経費を差し引いて計算します。

 

(4)雑所得の申告方法の具体例

それでは具体的な雑所得の申告方法を、ケース別に解説していきます。

 

①サラリーマンの副業

サラリーマンが副業で20万円以上の雑所得を得ている場合、確定申告が必要です。

 

まず、副業で得た収入の総額から必要経費を差し引き、雑所得の金額を算出します。

所得が給与所得と雑所得のみの場合は、確定申告書Aを使い、源泉徴収票と帳簿を参考にして収入金額と所得金額を書き込みましょう。

 

副業をしていることを会社に知られたくない場合には、会社に住民税の通知が届かないよう第二表にある「住民税に関する事項」の「自分で納付」に〇をつけて提出します。

 

②オークションやフリマなどの収入

ネットオークションやフリマを利用して収入を得た場合、課税対象にならない取引もあります。

それは、生活用動産の売買です。

 

生活用動産とは、生活に必要な動産(不動産以外の財産)うち、30万円以下のものです。

家具・衣服・書籍・自動車・安価な貴金属などの取引は非課税となるので、20万円以上の所得があっても確定申告の必要はありません。

 

一方、30万円以上の高級品を売却した場合は、その所得を雑所得として確定申告する必要があります。

確定申告の方法は上記で説明したサラリーマンのケースと同様で、給与所得がなく雑所得のみの場合には、該当する項目にだけ記入します。

 

③確定申告に必要な書類

確定申告書はAとBの2種類です。

その年に得た所得が、給与所得・雑所得・総合課税の配当所得・一時所得のいずれかの場合は、確定申告書Aを使用します。他に事業所得・山林所得・不動産所得などがある場合には、確定申告書Bを使用します。

 

他に確定申告に必要な書類は、以下の通りです。

・本人確認書類

・所得を証明する書類(源泉徴収票・支払調書など)

・控除を受けるための書類

 

4.≪雑所得の確定申告を行うメリット≫

雑所得の確定申告を行うメリットは、払いすぎた税金が還付される可能性があることです。

副業でも、支払い元が所得税を源泉徴収している場合があり、その場合は払いすぎた所得税が戻ってきます。

 

また、雑所得は確定申告をしない場合のリスクが大きく、税務署に無申告がバレてしまうと追徴課税が課せられる可能性があります。

追徴課税の税率は重く、実際に支払うべきだった税額よりかなり余計な出費になってしまうため、雑所得があった場合には正直に申告しておいた方がいいのです。

 

5.≪まとめ≫

雑所得は、定められた所得のカテゴリに当てはまらない、年金・副業・先物取引などで得た所得のことです。

年末調整を受けているサラリーマンは、雑所得が20万円以下であれば確定申告の必要がありませんが、その他の方は雑所得の金額がいくらでも申告をする必要があります。

 

また、所得税の確定申告が必要ない方も、住民税の申告は必須です。

無申告の場合は重い追徴課税が課せられることもあるので、雑所得を得た方は申告を忘れないようにしましょう。

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2020/01/15 租税公課とは?経費として計上できる税金を解説

租税公課とは、企業・個人事業の帳簿に登場する勘定科目です。その名の通り、租税(税金)と公課(公的負担金)を合わせたものですが、実は税金であっても租税公課に含まれないものもあります。

 

今回は、租税公課に含まれるもの・含まれないものを詳しく解説。

帳簿付けには必ず必要な勘定科目なので、しっかりと内容を把握しておきましょう。

 

 

1.≪租税公課とは何か≫

租税公課とは、「租税」つまり国や地方に納める税金の一部と、「公課」国や公共団体などに支払う交付金・会費などの公的な課金を合わせた勘定科目です。ちなみに、読み方は「そぜいこうか」です。

 

おおまかに言うと、税金や公的負担金を経費として計上するための科目ですが、税金の中には租税公課に含まれないものもあります。

租税公課の対象になるもの・ならないものは、次からの項目で詳しく解説します。

 

2.≪「租税」「公課」の対象になるもの≫

それでは、租税公課の対象となるものを「租税」と「公課」に分けてご紹介していきます。

 

(1)「租税」の対象になるもの

租税の対象となるのは、国・地方に納める税金のうち、事業に関連していて、ペナルティ等の意味合いがないものです。

 

①国税

租税に含まれる国税には、以下のようなものがあります。

 

・登録免許税

・印紙税

・収入印紙

など

 

②地方税

地方税のうち、租税に含まれるのは以下のものです。

 

・固定資産税

・不動産所得税

・償却資産税

・自動車税

・軽自動車税

・自動車取得税

・自動車重量税

・事業税

など

 

(2)「公課」の対象になるもの

公課の対象となるのは、罰金や科料などを除いた公的負担金です。

 

➀各種手数料

まず、次のような市区町村役所などで支払う各種手数料は、租税公課に含まれます。

 

・印鑑証明書・住民票などの発行手数料

・その他公共サービスに対する手数料

 

②団体に対する会費・交付金

公的な団体(商工会・商工会議所・協同組合・同業者組合・商店会等)に対して支払う、会費や交付金なども租税公課の対象です。

 

・会費

・組合費

・賦課金

など

 

3.≪租税公課の対象にならないもの≫

税金や公的負担金の中でも、租税公課の対象にならないものもあります。事業そのものに関係のない税金・公的負担金は、経営者や会社が支払ったものでも経費としては認められません。

 

また、以下に挙げる税金等は、事業に関連していても租税公課には含まれません。

 

(1)所得税・外国法人税

所得税・住民税など、個人に対して課せられる税金は租税公課に含めることができません。なぜなら、事業に対してかかるのではなく、事業から得た所得に対して課せられるものだからです。

 

これらは、租税公課に含まれないだけではなく、損金算入することもできない税金です。

基本的には、事業と個人の口座を分けて個人のお金から支払いますが、やむをえず事業用の口座から支払って帳簿付けをする場合には、「事業主貸」という勘定科目を使います。

 

また、法人税額から控除する外国法人税についても、租税公課には含みません。

 

(2)法人税・都道府県民税・市町村税

企業にとっての所得税や住民税にあたる法人税・都道府県民税・市町村税も、租税公課に含めることができません。

こちらも個人の場合と同様、事業に対してかかるのではなく、事業から得た所得に対してかかる税金だからです。

 

これらの税金は、原則的に損金不算入とされています。

法人税・都道府県民税・市町村税を支払って帳簿付けする際は、「法人税等」という勘定科目を用います。

 

(3)各種加算税や加算金・延滞税や延滞金・過怠税

税金の支払いが遅れた時に課せられる、加算税・加算金・延滞税・延滞金・過怠税といったものも租税公課には含まれません。

支払いが遅れたことに対して発生する税金は、所得を減額して課税額を減らす要因にはならないためです。基本的に、ペナルティの意味を持つものは租税公課には含まれないと覚えておきましょう。

 

ただし、利子税と「地方税の納期限の延長に係る延滞金」の損金算入は認められています。

これらはどちらも、延納や申告期限の延長が認められた場合に発生する税金です。延滞税のようなペナルティとしての性質がないため、租税公課に含めて損金算入することができるのです。

 

また、社会保険料の延滞金も損金算入できることになっています。

 

(4)罰金・科料

交通違反や法規違反の際に発生する、罰金や科料も租税公課には含めません。延滞に関する罰金等と同じく、こちらもペナルティの意味合いを持つためです。

 

犯罪等による罰金によって支払う税金が減額されるのはおかしいので、租税公課に含めたり、損金算入したりすることはできなくなっています。

 

4.≪個人事業主の場合はここに注意!≫

個人事業主も、帳簿付けに租税公課という勘定科目を使うことがあります。

個人事業主が租税公課を扱う場合、企業とは違うポイントを見ていきましょう。

 

(1)事業主個人の税金は租税公課に含まれない

先にも触れましたが、所得税・住民税など、事業主個人に課せられる税金は租税公課に含みません。

これは、例え事業主が一人だけで運営している事業であっても、事業と個人は切り離して考えるためです。

事業主個人の収入や支出は事業とは関係ないため、租税公課に含めて損金算入することができません。

 

他には、

・家庭用の自動車関連税

・相続税

・贈与税

・国民年金保険料

・国民健康保険料

など、個人が支払う税金・公的負担金も、租税公課には含みません。

 

(2)消費税は経理方式で取り扱いが異なる

消費税については、経理方式によって租税公課に含めるかどうかが変わってきます。

経理方式には、「税込経理方式」「税抜き経理方式」の2種類があります。

 

・税込経理方式:売上高・仕入高に消費税を含めて計算する方法

・税抜経理方式:売上高・仕入高に消費税を含めず計算する方法

 

そして、それぞれの経理方式で、消費税の扱いは以下のようになります。

 

・税込経理方式:消費税を租税公課に含める

・税抜経理方式:消費税を租税公課に含めない

 

税抜経理方式の場合は、消費税を租税公課ではなく「未払消費税」という勘定科目で処理します。

 

ただし、個人事業だと、そもそも消費税の課税業者ではない場合も多いです。

開業してから2年以内の個人事業、また売り上げが1,000万円を超えない場合は、消費税の計算自体が必要ありません。

 

5.≪租税公課の対象ではないが控除の対象となるもの≫

税金や公的負担金の中には、租税公課には含まれないものの控除の対象となるものもあります。

 

(1)相続税

遺産を相続する際に発生する相続税は、経費に計上することができません。相続税の扱いに伴って、税理士等に依頼した場合の費用も同様です。

これは、相続税が事業に関係するものではないためです。

 

しかし、相続税は租税公課に含めることができなくても、控除対象となる税金です。

贈与税額控除・配偶者控除・未成年者控除・障害者控除・相次相続控除・外国税控除などを利用して、税金の支払い額を抑えることができます。

 

(2)国民健康保険や国民年金の保険料

こちらも広く捉えれば公的負担金ですが、事業ではなく個人に課せられるもののため経費に計上できません。

 

ただし、国民健康保険・国民年金は、所得税の社会保険料控除の対象です。

確定申告の書類には1年間に支払った社会保険料を記入する欄があり、そこに支払い額を記入すると所得から差し引かれて、結果的に節税になります。

 

6.≪まとめ≫

租税公課とは、事業に関して支払った税金・公的負担金を損金算入するための勘定科目です。

 

ただし租税公課に含まれない税金もあり、事業に関連しないもの・個人に課せられたもの・ペナルティの意味合いを持つものは損金算入できません。

少し複雑ですが、帳簿付けには必須の勘定科目のため、しっかり把握しておきましょう。

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