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2019/11/27 給与計算でミスが発覚!ミスを防止するための対策とは?

社員の生活に直結する給与計算は、決してミスが許されない作業。しかし、人が行う仕事にはどうしてもミスが付きものです。

 

今回は、給与計算にミスが発覚した時の対処方法をご紹介いたします。

速やかに正しい対応をして、ミスの影響を最低限に抑えましょう。

 

給与計算のミスが起こらないよう、予防する方法やミスが起こりやすいポイントも解説します。

 

 

1.≪給与計算のミスによって起こる問題≫

給与計算のミスによって起こる問題は、多岐に渡ります。

まず、

 

・社員に不信感を抱かせる

・会社の信頼が失墜する

 

など、心理面の問題。給与が本来の額より少なければ誰でも嫌な気持ちになりますし、逆に払いすぎていた場合は本人も知らない間に横領をさせてしまうことになります。

 

また、給与計算のミスが相次いだり、税金・保険料のミスを放置したりして脱税の疑いをかけられてしまった場合、会社自体の評判も悪くしてしまいます。

さらに、ミスをしてしまうと、給与計算の担当者の査定にも響くでしょう。

 

他に給与計算のミスは、実務面にも影響を及ぼします。

 

・訂正業務が必要

・税金・保険料の追徴・訂正申請が必要なことも

 

気持ちの面で申し訳ない以上に、給与計算のミスのせいで余計な業務が増えて、他の仕事を圧迫してしまうのです。

他にも、給与計算に用いる社員の個人情報漏洩などのリスクも考えられます。

 

2.≪給与計算でミスに気付いた時の対応≫

それでは、実際に給与計算のミスに気づいたら、どのように対応すればいいかを解説していきます。

 

(1)①本人に通知・お詫びをする

給与計算のミスに気づいたら、何より先に本人に通知・お詫びをします。

 

嘘をついたり、誤魔化そうとしたりすると、嘘が嘘を呼んで余計に大きな問題に発展しかねません。給与計算のミスがあった社員本人に、給与計算にミスがあった事実と金額の過不足を伝え、誠実に謝罪しましょう。

 

システム上の問題などで大人数にミスがあった場合には、正しく事実が伝わるよう謝罪文を作成・配布してもいいでしょう。

 

(2)②正確な給与明細を作り直す

本人への謝罪が済んだら、正確な給与明細を作り直します。

ミスをすると「早く訂正しなければ」と焦ってしまいがちですが、ここでもミスがあるとさらなる問題を引き起こしかねません。迅速性も大切ですが、入念にチェックをして正しく給与計算し直しましょう。

 

(3)③なぜミスが起きたのかを説明する

ミス発見時、または訂正をする際に、ミスの原因が浮かび上がるはず。

どこがどうして間違ってしまったのかを本人に説明し、再度謝罪しましょう。

 

複数人で給与計算を行っている場合は、ミスの原因をチームに共有するのも大切です。

 

(4)④過不足の修正

正しい給与明細に基づいて、給与の過不足を清算します。

 

  • 払い過ぎていた場合

給与計算でミスをして多く払いすぎていた場合、従業員から過払い額を払い戻してもらう必要があります。

手渡し・振込どちらでも問題ありませんが、過払い分ときっちり同額を受け取り、金額を明記した領収書を渡しましょう。

 

従業員がスムーズに対応すれば事を荒立てる必要はありませんが、払い戻しを渋るような場合は「不当利得返還請求権」で過払い分を請求することになります。

会社側のミスで給与が多く支払われたのだとしても、受け取った従業員は会社に不利益を与えたということになってしまうのです。

 

もし、それでも返還しない、過払いに気付いていたのに長期間に渡って申告しなかったなど悪質な場合には、社内対応の枠を超えて警察や弁護士に相談することになります。

 

  • 不足していた場合

給与の支払額が不足していた場合は、速やかに不足分を支払います。

支払い方は、普段給与を支払っている方法と同じでいいでしょう。

正しい給与明細と、不足分の支払いを本人に確認してもらい、金額を明記した領収書を受け取ります。

 

(5)⑤翌月給与での相殺は違法?

過払い分・不足分が少額なら、翌月の給与に足し引きして相殺すればいいと思うかもしれません。

しかし、それは「賃金全額払いの原則」に違反してしまう対応です。結果は同じになるとしても、原則的には給与は給与、過不足分は過不足分として対応します。

特に不足がある場合は、当月中に速やかに不足額を支払うようにしましょう。

 

ただし、過払いの場合には翌月調整も可能です。

労使協定に「ミスがあった場合には翌月に調整する」という文言がある場合や、本人と話し合って同意が得られた場合には翌月以降に過払い分を相殺しても問題ありません。

 

3.≪給与計算でのミスが起きやすいときとは≫

それでは、給与計算のミスが起こりがちなのはいつなのか、タイミングや注意点を解説していきます。

 

(1)異動や年齢によって項目が変化したとき

給与計算のミスが発生するのは、給与額や保険に何らかの変更があったとき。

異動や昇進などで給与額・支払い方法に変更があると、変更忘れや入力間違いでミスが起こりやすくなります。

 

また、社会保険料・雇用保険料が変わる年齢でも、ミスが起こりやすいです。

・40歳:40歳になる誕生月より、介護保険料の徴収開始。

・64歳:雇用保険料の免除開始。4月1日時点で64歳以上の人が免除対象。

・65歳:65歳になる誕生月の前月で、介護保険料の特別徴収終了。

 

(2)税額や保険料が改定されたとき

給与収入にかかる税額や保険料は、頻繁に改正されます。

この改正に対応しきれず変更漏れがあると、全社に渡る大規模な給与計算ミスが起こりかねません。給与計算の担当者は、毎年の改正を注意深くチェックするようにしましょう。

 

税金・保険料の改正タイミングは、以下の通りです。

・健康保険料:毎年3月

・雇用保険料:毎年4月

・住民税額:毎年6月

・厚生年金保険料:毎年9月

 

(3)月途中の入社・退社があったとき

月途中に入社・退社した社員は、給与の日割り計算が必要になります。この計算を忘れて、ひと月分払ってしまった、または払わなかったというのは、起こりうるミスです。

日割り計算の方法も会社の就業規定によって異なるので、よく確認する必要があります。

 

さらに、入退社時は保険の手続きも複雑です。

入社時、雇用保険料は当月から、社会保険料は翌月から控除を始めます。月の途中で退職した場合、退職月分の社会保険料は掛かりません。

 

(4)イレギュラーな支給があったとき

臨時の賞与・祝い金・見舞金などイレギュラーな支給があったときも、給与計算のミスが起こりやすいタイミング。

支給自体は正しく支払っても、税金や保険料の課税対象になるかどうかで納めるべき税額・保険料が変わり、正しく納付できない可能性があります。

 

4.≪給与計算でミスをなくすための対策≫

最後に、給与計算のミスをなくすための防止策について考えていきましょう。

 

(1)給与計算のルールを見直す

ミス防止の基本は、給与計算のルールを見直すこと。給与計算の担当者が変わるときにも同じルールで引き継げるよう、誰が見てもわかりやすい資料を整備しましょう。

欠勤控除、日割計算の算出法など曖昧になりがちな部分も、賃金規定を確認して正しい方法で行う必要があります。

 

また、交通費や扶養控除の不正を防止するため、定期的に社員情報をアップデートするのも大切です。

 

(2)ミスしやすいポイントを押さえる

給与計算でミスをしやすいポイントは、先に触れたように給与に何らかの変更があるタイミング。

社会保険が変わる年齢の社員や、入退社・異動があった社員を事前にリストアップしておけば、ミスしやすいポイントを重点的にチェックできます。

 

(3)ダブルチェック体制を導入

人の手で行う作業には、入力間違いなどのミスが付き物です。

そして、自分のミスには自分ではなかなか気づくことができません。

 

給与計算は一人に任せるのではなく、複数人で行なうダブルチェック体制を導入しましょう。

ただし、チームで給与計算を行う場合、ルールの周知や作業の進捗など情報共有をしっかりしていく必要があります。

 

(4)給与計算ソフトや専門家に代行依頼

給与計算のミスは、入力間違い・計算間違いといったヒューマンエラーで起こるケースが最も多いです。

そのため、給与計算はソフトを用いて、できるだけ自動化するのがおすすめです。

 

もしくは外部業者に給与計算を委託すれば、専門家が正確に給与計算をしてくれる上、自社で経理スタッフを雇う必要がなくなり人件費の節約にも繋がります。

 

5.≪まとめ≫

給与計算のミスは、社員のモチベーション低下や会社の信頼失墜に直結する問題。できるだけミスを防止し、万が一ミスがあった場合には速やかな対応が不可欠です。

 

給与計算のミス防止には、ミスが起こりやすいタイミングを知ることが大事。

また、ソフトで自動化したり、給与計算自体を外注したりすることで、ミスをなくしてスムーズに会社を運営することができます。

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2019/11/20 給与計算の実務に資格は必要?仕事の流れと代行のメリット・デメリットを解説

給与計算は税金や社会保険について様々な知識が必要な業務。そんな給与計算の実務に就くには、資格は必要なのでしょうか。

 

今回は、給与計算の実務の流れや、必要な知識についてご紹介いたします。

給与計算の実務能力を証明する「給与計算実務能力検定試験」、給与計算のアウトソーシングサービスについても解説します。

 

1.≪給与計算での実務内容は?≫

まずは、給与計算の実務内容をステップごとにご紹介いたします。

 

給与計算の実務には大きく分けて、

 

・従業員に支払う給与の算出

・税金・保険料を算出・納付

 

という2種類の作業があります。

 

(1)従業員に支払う給与の算出

給与計算の実務の最初のステップは、従業員一人ひとりの勤怠状況を把握すること。

労働日数・労働時間・時間外労働・遅刻や早退などの状況を確認しましょう。

 

そのデータに基づき、労働時間に対する賃金を算出します。

その後、会社ごとに定められている手当(通勤手当・住宅手当・家族手当など)を加算して、給与の支払い総額を決定します。

 

(2)税金・保険料を算出・納付

給与計算の実務には、税金や保険料を算出、天引きして支払い金額を決定するまでの作業が含まれています。

一般的なサラリーマンの場合、給与計算の際に総額から差し引く税金・保険料は以下の通りです。

 

・健康保険料

・介護保険料(40〜64歳の従業員のみ)

・厚生年金保険料

・雇用保険料

・所得税

・住民税

 

社会保険料に関しては、加入している保険組合によって保険料率が定められているため、標準報酬月額に保険料率をかけて算出します。

所得税は累進課税制度が採用されているので、収入や控除の金額によって税額が変動。住民税は従業員が住んでいる自治体によって税率が異なります。

 

給与総額から税金・保険料を引いたものが、いわゆる「手取り」。これらの内容を記載した給与明細を作成し、給与支給と同時に従業員に配布します。

 

その後、台帳に支払い内容を記録し、天引きした税金・保険料の納付を行います。

支払い金額の算出以後の作業は、厳密には給与計算の実務には含まれませんが、実質的には給与計算の担当者が納付まで担当することが多いです。

 

(3)ミスが及ぼす影響は大きい

給与計算は従業員の生活に直結している実務。万が一ミスや遅れがあると、従業員に会社への不信感を抱かせてしまいます。

 

また、給与計算の中でも税金・保険料の計算ミスがあった場合、追徴や訂正申請が必要になります。

気づかず放置していると脱税の疑いをかけられる可能性もあり、給与計算の実務にミスがあると、会社自体に大きな影響を及ぼしてしまうのです。

 

2.≪給与計算前に行うべき実務≫

それでは、実際に給与計算を始める前に、事前準備として必要な実務を見ていきましょう。

 

(1)従業員情報の確認

給与計算の実務を行うためには、従業員情報の確認が不可欠。給与計算や支払いには、従業員ごとに以下の情報が必要になります。

 

・給与の振込口座

・通勤経路と交通費

・扶養家族の人数

・勤怠管理

 

通勤経路や扶養家族については、申請内容次第で給与を多く受け取る不正も可能となってしまいます。

そのため、従業員情報は、定期的に見直し・更新をしていきましょう。

 

(2)支払い方法の確認

給与の支払い方法は、会社ごとに異なります。

月ごとに銀行振込という会社が多いですが、日払いや週払い、振込ではなく手渡しというケースもあるでしょう。

 

従業員ごとに希望の方法が違うなど、支払い方法が数種類ある場合もあるため、給与計算の実務を始める前に確認しておく必要があります。

 

(3)労働協定の確認

就業規則や給与規定が定まっていないと、そもそも給与計算ができません。

給与計算は事業開始直後から必要になる実務なので、起業の際や従業員を初めて雇い入れる前に決定しておく必要があります。

 

給与計算のために取り決めが必要な項目は、以下のようなものがあります。

 

・始業と終業の時刻、休憩時間の規定

・時間外労働・深夜労働・休日労働時間に関する割増率(法令で規定あり)

・会社独自の時間外計算があるかどうか(宿直手当、夜勤手当、代休時の割増率など)

・時間外計算の単位

・日割り計算の方法

・給与の計算方法・締め日と支払い日

 

また、国が定めている労働基準法についても、人事担当者や給与計算担当者が知っておく必要があります。

 

3.≪給与計算における実務の流れ≫

それでは、給与計算における実務の流れを説明していきます。

 

(1)勤怠項目・支給項目・控除項目を算出

給与計算には、大きく分けて3つの項目が関わってきます。

 

・勤怠項目

・支給項目

・控除項目

 

給与計算の大まかな計算式は、「勤怠項目+支給項目−控除項目」です。

 

  • 勤怠項目

勤怠項目というのは、実際の労働時間に関して支払う賃金のことです。

勤怠項目には「基本給」「時間外手当」の2種類があり、時間外手当は労働基準法で定められた割増率で計算します。

 

  • 支給項目

支給項目は、労働時間に関わらない手当などのこと。通勤手当や家族手当、住宅手当など、会社によって規定が違います。

従業員一人ごとに、該当する手当を加算します。

 

  • 控除項目

控除項目は税金や保険料など給与総額から差し引くもの。

社宅の家賃や制服代、食事代なども、給与から天引きしている場合は控除項目に当てはまります。

 

(2)支払い業務

給与総額から控除項目を引き、支払い金額が確定したら支払い業務を行います。

給与計算の根拠となったデータから給与明細を作成し、支払いと共に配布しましょう。

 

決定した額を、振り込み・手渡しなど決められた方法で従業員に支払うのみなので、実務自体が難しいというわけではありません。

しかし、実際にお金が動く作業なので、間違いが許されない部分でもあります。

 

(3)支払いの後処理

従業員の給与は、もちろん支払って終わりではありません。支払いの記録を後に残せるよう、賃金台帳を記入して保管します。

 

また、従業員の給与から天引きした税金・保険料を納付する作業も給与計算担当者が行うことが多いです。

 

(4)給与計算の年間スケジュール

給与計算の実務は、毎月の支払い金額算出だけではありません。

給与計算の実務に関わる年間スケジュールを、月ごとにまとめてみました。

 

1月:税務署に法定調書を提出、市区町村に給与支払報告書を提出

2月:特になし

3月:4月の新規採用者・異動者の給与決定、4月に64歳以上になる従業員を把握(雇用保険料が免除となるため)

4月:新入社員・異動社員の給与設定、税率・保険料に改定があれば変更を反映

5月:4月に入社した社員の社会保険料控除開始

6月:住民税の新年度控除額を登録、賞与の計算(6月に賞与支給がある場合)

7月:労働保険の年度更新(保険料計算)、社会保険は算定基礎届提出、4月昇給者の随時改定(月額変更届)

8月:4月昇給による随時改定者の社会保険料改定

9月:厚生年金保険料率の変更(変更後の保険料が控除されるのは10月に支払う給与から)

10月:7月に算定基礎届を提出した社員の社会保険料改定

11月:年末調整の準備(社員に案内し、必要書類を配布する)

12月:賞与支給、年末調整実施

 

給与計算には保険や税金が関わっているので、年間スケジュールもそれに伴うものが多くなっています。

 

4.≪給与計算の実務には資格が必要?≫

結論からいうと、給与計算の実務には特別な資格は必要ありません。

しかし、給与計算は専門的な知識が必要な作業のため、全く経理の知識がない人が行うのは難しいでしょう。

 

経理や給与計算の能力を証明する試験として、実務能力検定試験というものもあります。

 

(1)専門性の高い仕事だが資格は不要

給与計算の実務は専門性の高い仕事ですが、特別な資格は必要ありません。

自社内で給与計算を行なっている会社では、経営者や経理スタッフ、人事スタッフなどが行なっているケースが多いです。

 

(2)税務・労務の知識が必須

給与計算の実務には、税金や社会保険の幅広い知識を用います。さらに手当や就業規定は会社によって異なるため、会社内部の知識が不可欠です。

 

また、従業員の個人情報を扱う仕事のため、コンプライアンスもしっかりした人材が担当する必要があります。

そのため、資格が必要ないとは言っても、給与計算の担当者にはしっかりと教育や研修を行なった方がいいでしょう。

 

(3)実務能力検定試験とは?

給与計算は資格がなくても担える業務ですが、民間の検定で「給与計算実務能力検定試験」というものがあります。

これは、その名の通り給与計算に関する知識を問い、給与計算の実務能力を証明する試験です。

 

検定には1級と2級があり、試験は年2回。自社社員に検定を受けさせることで知識が身につくため、会社負担で経理スタッフに資格取得を求めるケースも多いです。

 

また、給与計算はどの会社でも必ず発生する実務なので、経理スタッフの就職・転職にも役立つ資格となっています。

 

(4)給与計算代行のメリットとデメリット

給与計算は自社内で行う以外に、税理士や社労士にアウトソーシングするという方法もあります。

給与代行サービスを利用するメリット・デメリットは以下の通り。

 

メリット

・専門家による正確な給与計算

・自社内の業務負担を減らせる

・コスト削減になる場合も

 

デメリット

・コストがかかる

・自社内に給与計算のノウハウが育たない

・情報漏洩のリスクも

 

メリット面とデメリット面をよく比較して、自社に必要なサービスを取り入れてみましょう。

 

5.≪まとめ≫

給与計算の実務には、複雑な税金・保険の知識が不可欠です。

特に資格が必要な仕事ではありませんが、実務能力を証明する「給与計算実務能力検定試験」という検定があります。

 

また、自社内で給与計算が難しい場合は、給与計算の代行サービスも検討してみてください。

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2019/11/13 給与計算での社会保険の算出方法は?代行のメリット・デメリットも解説

給与計算では、会社側が従業員の給与総額から社会保険料を算出して天引きします。

万が一の時に労働者の生活を守る、大切な社会保険料。全部で5種類ある社会保険の種類と制度、税率や計算方法を知っておきましょう。

 

また、給与計算を外部の社会保険労務士にアウトソーシングするメリットもお伝えしていきます。

 

 

1.≪給与計算における社会保険とは?≫

毎月の給与計算では、給与総額から会社が社会保険料を差し引き、従業員への支払い金額を決定します。

給与計算で社会保険料を算出する方法を知る前に、まずは社会保険の意義や種類といった基礎知識から知っていきましょう。

 

(1)社会保険とは

社会保険とは、労働者が退職した時や病気になったとき、そして、老後に生活を保証するためにある保険制度です。

被保険者がケガや病気、解雇や倒産などで収入がなくなった時に給付されます。

 

保険料は本人と所属している会社が折半で支払い、本人の負担分は毎月の給与計算で会社に天引きされます。

 

(2)社会保険の種類

一般的な社会保険には、以下の5種類があります。

 

・健康保険:病院の治療費や薬代が3割負担になる

・厚生年金保険:加入者が65歳以上になると年金が給付される

・介護保険:介護される立場になった時、1〜2割負担になる(支払いは40歳以上)

・雇用保険:失業した際、失業給付金が給付される

・労災保険:仕事が原因で起きたケガ・病気・障害・死亡等を保障する

 

狭義には、「社会保険料」というと、上の3つの健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料のことを指します。

その場合、雇用保険料と労災保険料はまとめて「労働保険料」と呼ばれます。

 

(3)社会保険の対象者は?

社会保険の対象者は、社会保険の種類によって異なります。

 

健康保険:会社に所属する75歳以下の役員・正社員・下記要件を満たすパート・アルバイト。

 

・2ヵ月超の雇用見込み

・週の労働時間数が正社員の4分の3以上

・月の労働日数が正社員の4分の3以上

 

また、501人以上の事業所では、パート・アルバイトの加入要件が異なります。

 

・1年以上の雇用見込み

・週の労働時間数が20時間以上

・月収88,000円以上

 

厚生年金保険:70歳未満の役員・従業員。(その他の条件は健康保険と同じ)

介護保険:40〜64歳の役員・従業員。(その他の条件は健康保険と同じ)

雇用保険:労働時間週20時間以上・31日以上の雇用見込みの従業員。(個人事業主・会社役員・役員家族・学生を除く)

労災保険:全ての役員・従業員

 

2.≪給与計算における社会保険の計算方法≫

それでは、具体的に給与計算で社会保険料を算出する方法を解説していきます。

 

(1)社会保険の基本となる計算式

社会保険料の計算式は、基本的にどの種類の保険でも同じです。

 

保険料=標準報酬月額×保険料率÷2

 

最後に「÷2」をするのは、先に触れたように社会保険料は会社と本人が折半して支払うためです。

 

ただし、労災保険だけは会社が100%負担。つまり、従業員は労災保険料を1円も支払わなくていいため、労災保険料は給与計算には参入しません。

また、雇用保険料は本人と会社で折半負担ではなく、業種によって負担率が異なります。

 

(2)基礎となるのは「標準報酬月額」

社会保険料は、各従業員の「標準報酬月額」に対して保険料率がかかります。                 

 

この標準報酬月額とは、その従業員の平均的な給与額を定めたもの。会社員の給与は、毎月の残業代などで変動するため、毎月計算式が異なると給与計算の業務量が膨大になってしまいます。

そこで、年度始めの4〜6月の給与の平均額を取り、それをその年の一律の給与として社会保険料を計算することになっているのです。

 

標準報酬月額からは税金等は控除せず、基本給・残業代・各種手当なども全て含めて計算します。

ただし、毎月支給されるわけではない「祝い金・見舞金」「出張旅費」「賞与」「退職手当」などの収入は標準報酬月額の計算には含みません。

 

(3)保険料率は改定も

健康保険や介護保険の保険料率は定期的に改定があるので、給与計算の担当者は注意しておきましょう。

厚生年金保険の保険料率は、平成29年9月以降は18.300%で固定されています。

 

3.≪給与計算での「社会保険(狭義)」の算出方法≫

 

先にも触れたように、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の3種の保険を、狭義の「社会保険」と呼びます。

給与計算の際、これらの社会保険料をどのように計算するのか見ていきましょう。

 

(1)「健康保険料」の計算式

給与計算の際は、健康保険料のうち本人負担額のみを計算します。

 

健康保険料(従業員負担額)=標準報酬月額×健康保険料率÷2

 

健康保険の保険料率は、加入している保険組合や、都道府県によって異なります。

例えば、健康保険組合・東京都の保険料率は、9.90%。標準報酬月額が20万円の人の場合、健康保険料の本人負担額は「9,900円」となります。

 

ちなみに、健康保険料は給与計算担当者が計算しなくても、各組合・都道府県の保険料一覧表で確認できます。

 

(2)「厚生年金保険料」の計算式

厚生年金保険料についても、給与計算の際には本人負担額のみを計算します。

 

厚生年金保険料(本人負担額)=標準報酬月額×18.3%÷2

 

厚生年金保険料の保険料率は、先にもお伝えした通り18.3%で固定されています。

そのため、例えば標準報酬月額が20万円なら、厚生年金保険料の本人負担額は「36,600円」です。

 

(3)「介護保険料」の計算式

介護保険料は、社会保険の対象者のうち40〜64歳の人のみが支払います。健康保険に付随するものなので、健康保険料に2%程度上乗せされる形になっています。

 

介護保険料(本人負担額)=標準報酬月額×介護保険料率÷2

 

健康保険組合・東京都での介護保険料率は、1.73%。標準報酬月額が20万円なら、介護保険料の本人負担額は「3,460円」です。

 

4.≪給与計算での広義の「社会保険」は業種に注意≫

広義の社会保険である「雇用保険」と「労災保険」は、業種によって保険料率が異なります。

給与計算の際は、自社の業種の保険料率を当てはめて計算しましょう。

 

(1)業種で負担率が変わる「雇用保険料」

雇用保険の保険料率は、業種によって異なります。

業種によって本人負担額・事業主負担額が両方異なるのですが、今回は給与計算の時を想定しているため本人負担の保険料率をご紹介します。

 

・一般の事業:0.3%

・農林水産・清酒製造の事業:0.4%

・建設の事業:0.4%

 

雇用保険料(本人負担額)=標準報酬月額×雇用保険料率

 

よって、指定されている業種以外で標準報酬月額が20万円の場合、雇用保険料の本人負担額は「600円」です。

 

(2)会社が全面負担する「労災保険料」

労災保険は会社が全額負担する保険のため、従業員は保険料を1円も支払いません。

よって、給与計算の際には労災保険料は考慮しなくてOK。

 

労災保険の保険料率は業種によって細かに異なり、怪我や死亡の可能性が高い危険な業種ほど保険料率が高くなっています。

 

5.≪給与計算での社会保険算出を代行してもらう場合は≫

ある程度の規模の会社になると、給与計算をアウトソーシングしているケースも多いです。

給与計算の社会保険料算出を、外部業者に代行してもらうメリットについて解説していきます。

 

(1)社会保険の計算には専門的な知識が必須

社会保険料の計算には、頻繁に改定される税制や加入している組合・都道府県・本人の年齢など、様々な要素が絡んできます。

 

一般的な企業で、事務スタッフや経営者が給与計算を行なっていると、知識の勉強やアップデートがとても大変。遅れや間違いが許されない業務なので、コストがかかってもアウトソーシングしている会社が多いのです。

 

(2)社会保険労務士なら専門的な対応も

毎月の給与計算だけではなく、社員の退職や新入社員の採用、産休・育休の取得にも社会保険が関わってきます。

専門知識のない経理や人事スタッフでは、全てに正確に対応できないことも。

 

社会保険の専門家である社会保険労務士は、アウトソーシングで企業をサポートします。

社会保険労務士に給与計算を依頼した場合、従業員1人につき5,000〜20,000円ほどで業務委託を行なってくれます。

顧問契約を結べば、給与計算以外の手続き代行や相談サービスを受けられますよ。

 

6.≪まとめ≫

給与計算で社会保険料を算出するには、社会保険の種類と制度、税率を理解することが大切。健康保険や介護保険は、保険料率が頻繁に改定されるため、給与計算担当者は年度ごとに知識のアップデートを行なっていきましょう。

 

全ての変更や業務量に対応しきれない場合、外部の給与計算サービスを頼るのも手。社会保険労務士は社会保険の専門家なので、入社・退社や育休・産休にまつわる社会保険の手続きも委託できます。

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2019/11/06 給与計算で算出する「所得税」とは?

毎月の給与総額を算出し、社会保険料や源泉徴収税を差し引く作業を給与計算といいます。

 

給与計算は社員の生活に直結する業務のため、ミスは厳禁。給与計算に関わる控除や税率は、給与計算担当者が詳しく把握しておく必要があります。

 

今回は、源泉徴収税の中でも所得税について詳しく解説いたします。

給与計算での所得税の算出方法や、注意点について知っていきましょう。

 

 

1.≪給与計算で算出する「所得税」とは?≫

所得税とは、その名の通り所得に対してかかる税金。所得金額が上がるほど税率も高くなる累進課税制度を採用していて、多く稼ぐ人ほど多く支払う税金となっています。

 

サラリーマンなど会社勤めの方は給与計算の際に天引きされ、個人事業主の場合は確定申告で所得を申告することで支払額が確定します。

 

(1)給与と所得の違い

「給与」と「所得」は混同されがちな言葉ですが、実は少し意味合いが違います。

 

まず給与とは、会社から支払われる賃金や、個人事業主の場合は自分で稼いだ売り上げ。所得とは、そこから「必要経費」を差し引いたものです。

住民税の計算は、この所得に基づいて行います。

 

所得から差し引ける必要経費は、個人事業主の場合、事業所の家賃や商品の仕入れ金額、従業員に支払った給与など、売り上げを出すために必要な出費です。

会社勤めの方は、仕事の時だけ着るスーツや靴、自分の携帯を仕事にも使う場合の通信費などが当てはまります。

 

しかし、毎月具体的な金額を申告して給与計算するのは難しいため、「給与所得控除」という一定の式に当てはめた額が採用されます。

給与所得控除については、後の項目で詳しく解説するので、そちらを参照してください。

 

そのほかに、扶養家族の数に従って課税額が減額される「扶養控除」、ふるさと納税などの「寄付控除」、誰でも無条件で差し引かれる「基礎控除」などの控除も必要経費に含まれます。

 

(2)所得税の仕組み

先にも触れましたが、所得税は「累進課税制度」が採用されている税金。所得額が上がると税率も上がり、多く稼ぐ人ほど多く負担することになっています。

 

所得金額ごとの税率は、以下の通りです。

 

〜195万円:5%

195〜330万円:10%

330〜695万円:20%

695〜900万円:23%

900〜1800万円:33%

1800〜4000万円:40%

4000万円〜:45%

 

所得税の金額は、給与総額から必要経費や控除を引いた額にこの税率をかけて計算します。

 

(3)「源泉徴収」とは

源泉徴収とは、従業員の給与から支払うべき所得税や住民税を、会社が前もって差し引き、国に支払うことをいいます。

従業員を雇い、給与を支払っている事業者は、必ず給与計算の際に行わなければいけません。

 

源泉徴収をすることで、会社勤めの人は毎月の給与から少額ずつ税金を支払っていることになり、確定申告をする必要がなくなるのです。

 

2.≪給与計算で所得税を算出する前に押さえておきたい用語≫

それでは、給与計算で所得税を算出するに当たって、必ず知っておきたい用語を解説していきます。

後で解説する計算方法にはこれらの用語が登場するので、実際に給与計算をする前に言葉の意味を理解しておきましょう。

 

(1)課税所得

課税所得とは、給与の支払い総額から必要経費や控除を全て差し引いた金額です。

この課税所得に、先にお伝えした所得税の税率をかけると、所得税の金額が算出できます。

 

(2)扶養控除申告書

扶養控除申告書は毎月の給与計算ではなく、年末調整のタイミングで必要になる書類。正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という名称です。

 

年に一度、従業員本人が記入して提出し、扶養している家族や配偶者がいることを申告する書類です。

ここに書かれた内容を元に、扶養控除の金額が決まります。

 

(3)給与所得控除

給与所得控除は、会社勤めの人の必要経費にあたるものです。

 

会社に勤めている人は、仕事をするときに着る服や靴の購入費、仕事関係の電話にかかる電話代などを自分で負担しています。

これらの具体的な金額を一人一人に申告させていると毎月の給与計算の業務量が膨大になってしまうので、給与の額に対して全員一率で計算するのが給与所得控除です。

 

給与所得控除の計算式は、給与収入の額に応じて異なります。

 

〜180万円:収入金額×40%(65万円に満たない場合には65万円)

180〜360万円:収入金額×30%+18万円

360〜660万円:収入金額×20%+54万円

660〜1,000万円:収入金額×10%+120万円

1,000万円〜:2,200,000円(上限)

 

(4)給与所得の源泉徴収税額表

「給与所得の源泉徴収税額表」とは、その名の通り給与所得に対してかかる源泉徴収税額の一覧表です。

給与の金額と扶養家族の数を参照すると、複雑な計算を経ずに源泉所得税額がわかるようになっています。

 

3.≪給与計算で所得税を計算する方法≫

それでは、給与計算で所得税を算出するための計算方法を解説していきます。

 

(1)所得税の計算式

給与計算で所得税を計算する場合、必要になる情報は以下の通りです。

 

・給与の支払い総額

・社会保険料の総額

 

例えば、給与・社会保険料が、以下のような内容の人がいた場合。

 

基本給:200,000円

残業手当:15,000円

非課税の手当(通勤手当など):6,000円

健康保険料:9,970円

厚生年金保険:16,766円

雇用保険料:1,105円

扶養親族等の数:2人

 

この場合、給与計算で源泉所得税を算出する計算式は以下のようになります。

 

給与の支払い総額総額:200,000円+15,000円=215,000円

社会保険料の総額:9,970円+16,766円+1,105円=27,841円

 

そして、「給与所得の源泉徴収税額表」を参照する際は、給与から社会保険料等を差し引いた金額と、扶養親族等の数が必要です。

 

給与の支払い総額総額−社会保険料の総額=187,159円

扶養親族等の数:2人

 

この条件で、最新の平成31年版「給与所得の源泉徴収税額表」を参照すると、「1,100円」と記載されています。

よって、この人の源泉所得税額は1,100円です。

 

(2)「給与所得の源泉徴収税額表」の見方

給与所得の源泉徴収税額表は、給与計算の際に求めた「給与総額−社会保険料」と「扶養親族等の数」を基準に参照します。

 

まず、「給与総額−社会保険料」を算出し、一番左の欄で当てはまる行を探しましょう。

上で挙げた例だと、「187,159円」は「187,000円以上、189,000円未満」の行に当てはまります。

 

そして、「扶養控除申告書」が提出されている従業員は「甲」欄の扶養親族の人数に該当する場所、それ以外の従業員は「乙」欄を参照します。

 

4.≪給与計算で所得税を算出する時の注意≫

それでは、給与計算で所得税を算出する際、注意するべきポイントを解説していきます。

 

(1)扶養家族の数え方

給与計算で、扶養家族として数えることができる家族の条件は、以下の通り。

 

・年間の所得金額が38万円以下(給与所得103万円以下)

・16歳以上の親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)

・納税者と生計を一にしている

 

基本的には、パート・アルバイト・無職などで収入が少ない配偶者・16歳以上の子供・老親など、同居や仕送りをしている家族の中でこの条件に当てはまる人数を数えるだけです。。

ただし、以下の条件に当てはまる場合、実際に扶養している人が存在しなくても、扶養家族の数を加算して給与計算します。

 

・本人が障害者、寡婦(寡夫)、勤労学生の場合:1条件につき1人加算。

・同一生計配偶者・扶養親族(16歳未満を含む)が一般障害者または特別障害者の場合:1人加算
・同一生計配偶者・扶養親族(16歳未満を含む)が同居特別障害者の場合・2人加算

 

(2)賞与の源泉所得税の計算方法

賞与の源泉所得税を計算するときは、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用います。

給与計算の時と違うのは、この表で賞与にかける税率を参照する点です。

 

例えば、賞与金額が100万円、扶養親族が2人という場合、「扶養親族2人」の欄から「987,000円以上、1,370,000円未満」の行を参照します。

すると、左の欄に書いてある賞与に対する源泉所得税率が「32.672%」とわかります。

 

100万円×32.672%=326,720円

 

この場合の賞与の源泉所得税額は、326,720円ということです。

 

(3)復興特別所得税も同時に徴収

2011年に発生した東日本大震災の復興財源にあてるため、2013年から所得税に加えて復興特別所得税も徴収されるようになりました。

 

復興特別所得税の税率は、課税基準となる所得税額の2.1%。毎月の給与だけではなく、賞与も課税の対象です。

興特別所得税は、2037年まで徴収される予定となっています。

 

5.≪給与計算で算出した所得税の納付方法≫

給与計算で算出した源泉所得税は、翌月の10日までに会社が納めます。

基本的には毎月行う手続きですが、従業員10人未満の小規模な会社は「納期の特例」という制度を利用すると納付のタイミングが年2回にまとめることができます。

 

納付方法は、e-taxもしくは所轄の税務署の窓口。「所得税徴収高計算書(納付書)」を作成し、従業員全員の所得税の合計額を支払います。

 

6.≪まとめ≫

給与計算で所得税を算出する方法は、給与総額と社会保険料を先に求め、「源泉徴収税額表」で扶養家族の数を参照するだけ。

一見簡単ですが、給与計算の中で忘れてはいけない大事なステップです。

 

課税対象にならない収入の範囲や、扶養家族の数え方がやや複雑なため、給与計算を担当する方は制度をよく知っておきましょう。

また、頻繁に制度改正がある部分でもあるため、毎年の変更点にも注意を払う必要があります。

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2019/10/17 給与の計算方法は7段階?日割り計算の方法も紹介

毎月何気なく受け取っている給与明細。しかし、給与明細に書かれているそれぞれの項目が、どのように計算されているか知っていますか?

 

今回は、給与計算の方法とその準備、リスク管理などについて解説していきます。給与計算の手順をステップごとに紹介いたしますので、経理担当の方も参考にしてみてください。

 

1.≪給与の計算方法は会社により異なる?≫

給与計算の方法を知る前に、まずは前提として給与計算の基本を知っておきましょう。

給与計算の方法は会社によって違い、また従業員の生活に直結する業務特有のリスクも伴います。

 

(1)計算方法は会社により異なる

給与計算の方法は会社によって異なります。

それは、給与の支払い方法や会社ごとに規定している手当などが会社ごとにバラバラだから。そのため、今回ご紹介する給与計算の方法はあくまで一般的な例で、全ての会社にこれが当てはまるとは限りません。

 

(2)給与計算のリスク

給与計算はどんな会社にも発生する基本的な業務ですが、実は特有のリスクも伴います。従業員の生活に直結することだからこそ、少しでも計算ミスがあると従業員からの信用を失ってしまうのです。

勤怠の記録システムが万全でないと、残業代の未払いなどの問題が起こってしまうこともありますね。

 

また、給与計算の遅れは給与の遅配にも繋がるので、毎月期限内に済ませることが必要です。そして、給与計算をするためには、家族や保険の情報、マイナンバーなど、従業員の個人情報を用います。

大切な情報を預かるからこそ、情報漏洩には細心の注意が必要となります。

 

(3)給与計算に必要な知識

給与計算に伴うリスクを防ぐためには、予防策の準備が必要です。

人の手が関わる以上ケアレスミスは起こり得ますが、システムがきちんと整っていればリスクを最小限に抑えることができるのです。

 

  • 労務

まずは、給与計算の担当者が「労働基準法」や「就業規則」などの知識をきちんと理解していること。

小規模な会社でも、なあなあにならないよう明確なルールが必要です。国の法令に則して、就業規則と給与規定をきちんと定めましょう。

 

  • 税務

給与計算には、所得税や住民税といった税金も絡んできます。給与計算の担当者は、国の税制度についても精通する必要があるのです。

 

源泉徴収税の計算ミスや、控除漏れがあった場合は追徴や訂正申請が必要となるので、税金関連のミスは何としても防がなければいけません。

 

  • リスク管理

最後に、情報漏洩などに対するリスク管理です。給与計算の担当者による故意の流出はもちろん、ハッキングなどによる情報漏洩にも注意しなければいけません。

 

社員を雇用する際は契約条件に守秘義務の項目を入れたり、経理情報を扱うPCは一段とセキュリティに気を配ったりする必要があります。

経理データの持ち出しも、社内規定などで禁止しておいたほうがいいでしょう。

 

2.≪給与の計算方法は7段階≫

それでは、給与計算の方法をステップごとに解説していきます。

給与計算には、全部で7つの段階があります。

 

(1)①勤怠状況を確認・集計

まずは、タイムカードなどの情報から各従業員の勤怠状況を把握します。集計期間中の労働時間について、従業員一人ずつの状況を確認しましょう。

次の3つの項目に分けて集計します。

 

・労働日数

・労働時間

・時間外労働

 

(2)②総支給額を決定

次に、労働時間の情報から総支給額を決定します。

時間外労働には法令で定められた割増率があるので、それに則した割増率で計算しましょう。

 

さらに、会社独自の手当(通勤手当・家族手当・役職手当など)があれば、ここで加算します。

 

・基本給

・時間外手当

・各種手当

この3つの合計が「総支給額」となります。

 

(3)③控除額を計算

次に、給与から天引きする税金や保険料などの「控除額」を計算します。

一般的なサラリーマンの給与にかかる税金・保険料には、以下のものがあります。

 

・雇用保険料

・健康保険料

・厚生年金保険料

・所得税

・住民税

 

扶養家族の数などにより非課税所得がある場合もあるので、この計算式は従業員の個々の状況によって変わります。

また、社宅の家賃など税金・保険料以外に会社が天引きしているものがあれば、ここで差し引いておきます。

 

(4)④手取り金額を計算

「総支給額」から「控除額」を引いたものが、「手取り金額」となります。従業員に実際に支払うのは、この手取り金額です。

 

(5)⑤給与明細作成・賃金台帳への記録

ここまで計算した内容を元に、給与明細を作成します。

給与計算した数字を給与明細のフォーマットに当てはめるだけなので、難しい作業ではありません。

 

また、支払いの記録を後に残せるよう、賃金台帳にも記入します。

 

(6)⑥支払・給与明細配布

給与明細の内容に従い、各従業員に給与を支払います。

その際、必ず給与明細も一緒に交付します。給与明細の交付は所得税法で定められている義務なので、どんな会社・雇用形態でも必ず交付しなければいけません。

 

(7)⑦社会保険料、税金納付

最後に、社会保険料や税金を、会社が従業員に代わって納付します。

社会保険料は会社と従業員が折半する決まりなので、納付額は全従業員の給与から差し引いた控除額のちょうど2倍となります。

 

3.≪日割りの給与を計算する方法≫

次に、月収ではなく日割りで給与計算する方法をご紹介いたします。

 

(1)就業規則を確認

実は、日割り給与の計算方法は法律で定められていません。そのため、各会社が定めている就業規則や賃金規定に従うことになります。

下で挙げるのは、一般的な例です。

 

(2)月の途中で入社した場合

月の途中で入社した場合、一般的な計算ルールは以下の3パターンが考えられます。

 

1.暦日基準

(給与)÷(その月の日数)×(所属日数)

2.所定労働日基準

(給与)÷(その月の所定労働日数)×(出勤日数)

3.月平均の所定労働日基準

(給与)÷(月平均の所定労働日数)×(出勤日数)

(月平均の所定労働日数)=(年間の所定労働日数)÷12

 

各種手当については、日割りする根拠がないものは月途中の入社でも満額支給されます。ただし、弁当代や通勤手当など1日分の金額が明確な場合には、満額ではなく日割り計算となる場合もあります。

 

(3)月の途中で退職した場合

月の途中で退職した場合、月の途中での入社と計算ルールは基本的に同じです。

 

ただし、退職の場合は上の計算方法に加え、出勤しなかった日数分の給与を満額から差し引くという計算方法もあります。日額の求め方は、入社のケースと同じ3パターンです。

退職は円満な形だけではない可能性もありますが、どんな形であれ給与計算期間に少しでも労働した従業員には給与を支払う必要があります。

 

(4)その他の給与計算の方法

上記の他にも、「日給月給制」や「変形労働時間制」などの制度を導入している会社があります。

 

  • 日給月給制

日給月給制とは、給与形態のひとつ。

あらかじめ定められている月の給与から、欠勤・遅刻・早退などで労働しなかった時間分をそこから差し引くという計算方法です。

具体的な計算式は、以下の通り。

 

・(給与の総額÷1ヵ月の通常就労日数)×勤務日数+残業給与=支給額

 

日給月給制では手当も含めて1ヶ月分の給与となっているので、欠勤などがあった場合には手当も含めて減額されます。

 

  • 変形労働時間制

変形労働時間制とは、労働時間を月・年単位で調整することで、時間外労働を調節する制度のことです。

労働基準法では、「週40時間・1日8時間」以上の労働を時間外労働と定めています。これが変形労働時間制を採用すると、例えばある週に60時間働いても、次の週の労働時間が20時間になれば時間外労働は発生しません。

 

週単位だけではなく月単位でもこれが可能なため、多く働いた月の給与が増えない代わりに、長期休暇をとった月も満額の基本給が貰えるということに。

繁忙期と閑散期に波がある業種で、導入されていることが多い制度です。

 

4.≪給与の計算前の準備について≫

最後に、給与計算をする前に必要な準備について解説します。

 

(1)就業規則・給与規定を整備

就業規則・給与規定が定まっていないと、そもそも給与計算ができません。

取り決めが必要な項目は、以下のようなものがあります。

 

・始業と終業の時刻、休憩時間の規定

・時間外労働・深夜労働・休日労働時間に関する割増率(法令で規定あり)

・会社独自の時間外計算があるかどうか(宿直手当、夜勤手当、代休時の割増率など)

・時間外計算の単位

・日割り計算の方法

・給与の計算方法・締め日と支払い日

 

(2)従業員情報を収集・更新

従業員個人の情報も、給与計算には不可欠です。

給与計算に必要な情報は、以下の通り。

 

・給与の振込口座

・通勤経路と交通費

・扶養家族の人数

・勤怠管理

 

通勤経路や扶養家族については、申請内容次第で給与を多く受け取る不正も可能となってしまいます。従業員情報は、定期的に見直し・更新をしていきましょう。

 

(3)適切な保険の加入

従業員を雇用する企業では、従業員を守るために保険に加入しなければいけません。

正社員以外のパートやアルバイトも、収入金額や労働時間などが条件に当てはまれば保険に加入させる義務があります。

 

企業が加入すべき保険には、以下の種類があります。

 

・健康保険

・厚生年金保険

・社会保険

・介護保険

・雇用保険

・労災保険など

 

5.≪まとめ≫

給与計算の方法は、法令で定められている部分と会社が独自に規定している部分があります。とても多くの知識が必要となるので、見た目以上に大変な作業です。

 

また、従業員の生活や個人情報に関わることなので、ミスや遅れ、情報漏洩は許されません。給与に関わる情報は厳密に管理し、正確な計算ができるようにシステムを整備していきましょう。

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2019/10/10 【給与計算の基本】手取りって何?

新社会人になりたての時、自分で給与計算していた額と実際に支払われた額が違って驚いたことはありませんか?

これは、給与から税金や保険料が引かれてから支払われるため。実際に手元に入る収入を「手取り」と呼び、実際にはこの手取り給料で毎月生活することになります。

 

今回は、手取りを算出する給与計算の方法について解説していきます。

 

 

1.≪給与計算の基本!手取りって何?≫

給与計算時に当然のように使っている「手取り」という言葉ですが、その意味をきちんと理解していますか?

まずは「手取り」という言葉の意味や、どんなものによって左右されるのかという基礎知識を知っていきましょう。

 

(1)手取りは実際に受け取る金額

手取りとは、毎月の給与の総支給額から、支払うべき税金や保険料が差し引かれた金額のことです。給与の中から実際に手元に入ってくる金額なので、「手取り」と言います。

計算式は以下の通りです。

 

「額面給与」-「控除」=「手取り」

 

「額面給与」とは、基本給に時間外手当や会社ごとに規定された手当などがプラスされた総支給額のこと。

一般的に、年収は税などが差し引かれる前の総支給額で計算します。

 

「控除」とは、給与収入の中から国や保険組合に支払う税金・保険料のことです。従業員の手に渡る前に、会社によって天引きされます。

 

そして、総支給額から税金などが抜かれ、実際に手に入るお金が手取りです。

 

(2)額面が同じなら手取りも同じ?

実は、額面が同じなら手取り額が同じということにはなりません。

これは、人によって課税されない「控除額」が異なるため。

 

例えば家族を扶養している場合、「扶養控除」が適用されて1人あたり年間38~58万円が非課税所得となります。

所得税などの税金は、総支給から非課税所得を引いた後の金額に課税されるので、額面の給与が同じでも手取り額は一人一人細かに異なるのです。

 

また、日本では求人広告などに提示される給与額は「額面」に一本化されていますが、海外ではそうは限りません。「額面給与」を「Gross」・「手取り額」を「Net」と呼び分け、求人票にはどちらの金額を提示する場合もあります。

海外での就職を考える人や、日本での事業を拡大して海外の人材を雇用したい人は、「Gross」と「Net」の使い分けを覚えておいた方がいいでしょう。

 

2.≪給与計算の手取りを算出する方法≫

それでは、給与計算で手取り額を算出する方法を解説します。

繰り返しになりますが、手取りとは総支給額から控除を除いた金額なので、給与計算においてはその両方を計算する必要があります。

 

(1)支給されるもの

まずは、給与計算のベースとなる総支給から計算していきましょう。

 

  • 基本給

基本給は、雇用契約や社内規定によって定められています。

もし、勤怠で欠勤や遅刻・早退があった場合には、日割り給与や時間当たりの金額を算出して差し引きます。

 

営業職などインセンティブがある仕事の場合は、基本給に歩合給がプラスされる場合もあります。

 

  • 時間外手当

時間外手当とは、残業や休日出勤に対する手当のことです。金額は法律によって定められています。

 

・残業手当

週40時間・1日8時間を超えた労働時間に対して加算される。

計算式は「基本給(1時間)×1.25」

深夜残業(22時~翌5時の間の残業)の場合、「基本給(1時間)×1.5」

 

・休日出勤手当:

法定休日と法定外休日があり、計算式が異なる。

法定休日は「基本給(1時間)×1.35×出勤時間数」

法定外休日は、時間外労働の場合「基本給(1時間)×1.25×出勤時間数」

時間外労働でない場合は、「基本給(1時間)×出勤時関数」

 

  • 家族手当

家族手当は、企業がそれぞれの規定で導入している福利厚生です。

家族手当の制度がない企業もありますが、家族手当を何らかの形で導入している会社の割合は78.1%という調査結果もあり、非常に身近な手当と言えます。

配偶者や子供が主な対象となり、支給額の相場は以下の通りです。

 

・配偶者:月額10,000~15,000円ほど

・子供:月額3,000~5,000円ほど

 

  • その他

その他、会社ごとに規定している手当もあります。

多くの企業が導入している手当の例は、以下の通りです。

 

・資格手当

・住宅手当

・通勤手当

・役職手当

 

手当の種類や金額は企業が自由に決められるので、中には「禁煙手当」「オシャレ手当」などユニークな手当も。金額はそこまで大きくないこともありますが、企業が何を重視しているかという性格が出やすい部分です。

 

(2)控除されるもの

次に、総支給から差し引かれる「控除額」を計算します。

 

  • 健康保険料

健康保険料は、従業員が怪我や病気で医療機関にかかるとき、負担額を減らせるように加入しているものです。

会社が加入している保険組合によって保険料率が変動し、保険料の負担額は従業員と会社で折半となります。

 

  • 厚生年金保険料

厚生年金保険料は将来年金を受け取るための掛け金です。健康保険料と同じく、会社と従業員が折半して負担します。

国民年金保険料は収入額に関わらず一律ですが、厚生年金保険は給与の額が基準となって保険料が異なります。

 

  • 所得税

所得税は総支給額から控除や非課税の手当といった、「非課税所得」を除いた金額に課税されます。

累進課税制度を採用しているので、給与の金額が高くなると税率も上がるシステムとなっています。

 

  • その他

その他、給与から差し引かれる控除には以下のものがあります。

 

・雇用保険:失業した時に失業給付を受けるための保険。

・介護保険料:介護を受ける立場になった時、負担額を減らすための保険。

・住民税:住民票を置いている自治体に支払う税金。

 

他には、会社によっては「労働組合費」「退職金の積立金」「社宅の家賃」なども引かれることがあります。

給与計算時、これらすべての控除額を総支給額から引くと、手取り金額を算出することができます。

 

3.≪給与計算で手取りの目安をシミュレーション≫

それでは、実際の給与計算の例を挙げて、手取り金額の目安を計算していきましょう。

 

(1)手取りの目安は額面の75~80%

加入している保険組合や控除などの条件によって、手取り金額は異なります。

しかし、多くの人の場合、手取りの目安は「額面の75~80%」と言われています。

 

例:

月収22万円の場合→手取り16万5,000円~17万6,000円

年収400万円の場合→手取り年収300万円~320万円

 

ただし、会社の規定で非課税の手当が非常に多い場合や、船員保険など一般の健康保険と大幅に保険料率が異なる保険に加入している場合、手取り金額の目安はこの限りではありません。

 

(2)手取りが分かれば逆算もできる

手取り金額が分かれば、逆算して総支給額や源泉徴収税を算出することも可能です。

 

「手取り金額÷0.75~0.8」という式で大体の総支給額がわかります。

なお、源泉徴収税を算出したい場合は、「総支給額×2~2.5」です。

 

(3)給与計算の無料シミュレーションサイト

これらの計算式はあくまで目安なので、正確な金額ではありません。

もっと詳しく手取り額や総支給額を知りたい場合には、シミュレーションサイトを利用しましょう。

インターネットで検索すると、給与計算の無料シミュレーションサイトが多数出てきますよ。

 

4.≪転職時の給与計算は手取りと額面に注意!≫

転職をする時は、前職での年収を尋ねられることが多いです。そういった場合は、手取り金額よりも額面を優先します。

 

(1)大事なのは手取りより額面

就職・転職の場面で給与の話をする時は、基本的に額面ベースです。実際にもらっていた金額ではなく、自分の額面年収を把握しておきましょう。

 

給与明細の「総支給額」に書いてあるのが額面の月収、年収は12ヶ月分の額面月収にボーナスなども足した「1年間に支給されたすべてのお金」です。

ただし、交通費や経費精算など、使途が明確かつ使った金額と支給された金額が一致しているものは年収に含みません。

 

(2)転職サイトへの「登録」は額面

転職サイトに登録する時は、前職(現職)での年収や希望の年収・月収などを入力します。

その場合も、手取りではなく額面の年収・月収を登録するようにしましょう。

 

(中見出し)「求人広告」「面接」も額面

 

日本国内では、求人広告に記載される給与も額面で統一されています。

ただし、海外ではGrossとNetどちらも使用されるので、海外企業や外資系企業の求人を見る時は気をつけましょう。

 

また、面接で前職の年収や希望年収を聞かれた時も、すべて額面の金額で答えるようにします。

 

5.≪まとめ≫

手取り額とは、給与の総支給額から税金などの控除を除き、実際に手元に入る金額のこと。額面は同じでも、個々の条件により手取り額は異なります。

手取り額の大体の目安は、総支給額の75~80%です。

 

また、転職関連で聞かれる年収や月収は、すべて手取りではなく額面ベースになることを覚えておきましょう。

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2019/10/03 給与計算はアウトソーシングすべき?【メリット・デメリットを解説】

給与計算は、従業員を雇用している全ての会社に発生する基本的な業務。しかし、その計算は単純なものではなく、税制や保険に関わる様々な知識が必要となります。

 

従業員が増えてくると、自社内での対応に手が回らなくなり、アウトソーシングを検討する経営者も多いでしょう。

今回は、給与計算のアウトソーシングに関する基礎知識をお伝えしていきます。

 

 

1.≪給与計算はアウトソーシングすべき?≫

まず、給与計算とはその名の通り従業員に支払う給与を計算する作業のこと。総支給額から税金・保険料・控除などを天引きし、実際に支払う手取り金額を計算します。

 

従業員の生活に直結する仕事なので、給与計算に間違いや遅れがあると信用問題となってしまいます。

 

(1)給与計算の手順

それでは、順を追って給与計算の手順を見ていきましょう。

 

  • 総支給額を計算

まずは、給与計算のベースとなる総支給額を計算します。

 

給与の支払い方法や社内規定によっても詳細は異なりますが、「基本給」に「各種手当」を足したり、「各種控除」を引いたりする作業です。

 

・基本給:契約上各従業員に対して定められている給与のベース金額

・各種手当:通勤手当・住宅手当・残業手当・休日出勤手当など

・各種控除:欠勤控除・遅刻控除・早退控除など

 

各種手当には、就業規則で各会社が決めているものと、法律で決められているものがあります。

また、基本給の計算における各種控除には税金などの控除は含まず、ここでは欠勤や遅刻など労働実績によって差し引くべき額のみを基本給から引きます。

 

  • 税金・社会保険料を計算

次に、総支給額に基づいて税金・社会保険料を計算します。

一般的なサラリーマンの場合、給与にかかる税金・保険料は以下の通りです。

 

・所得税

・住民税

・健康保険料

・介護保険料(40歳以上のみ)

・厚生年金保険料

・雇用保険料

 

所得税や住民税は、給与の金額によって税率が変わり、「総支給額×税率」で計算します。累進課税制度を採用しているので、給与の金額が高くなると、税率も高くなります。

 

社会保険料は金額が毎年度更新され、都道府県によっても保険料が異なります。

また、船員・公務員・教員など、一般的な社会保険には加入せず、業種別の保険に加入する人もいます。

 

  • その他控除額を計算

控除額とは、個別の条件により税金の支払いが免除される金額のことです。

一般的なサラリーマンに適用される控除は、以下のものがあります。

 

・基礎控除

・所得控除

・給与所得控除

・扶養控除

・配偶者控除

・社会保険料控除

 

これらの控除額には課税されないので、税金の計算をするときは総支給から控除額を差し引いてから税率をかけます。

また、通勤手当のように各種手当の中にも課税対象とならないものがあるので、それらも総支給から差し引きます。

 

  • 給与の支払いと記録をする

最後に、給与計算で算出された金額を、間違いがないよう各従業員に支払います。

もちろん支払って終わりではなく、後に記録を残せるよう台帳処理などの事務手続きも必要です。

 

(2)給与計算の難しさ

給与計算は従業員を雇っている会社全てに発生する基本的な業務ですが、内容はそう簡単ではありません。

なぜ給与計算は難しいのか、その理由を見ていきましょう。

 

  • 計算項目の多さと複雑さ

給与計算に必要な要素は大きく分けて「基本給」「税金・保険料」「控除額」の3つですが、その3つを細かく見ていくと非常にたくさんの項目に分かれています。

会社独自の規定・法令で決まっているものなど多様な種類があり、知識のない人がすぐに覚えられるものではありません。

 

また、税制度や保険料は毎年見直されるため、毎年度何らかの変更があります。社内で計算システムを構築してもすぐそれが使えなくなることもあり、順応するには大変な労力が必要なのです。

 

  • ミスが許されない

先にも述べましたが、給与計算は従業員の生活に直結しているもの。少しでもミスがあると、従業員に不信感を抱かせて会社の信用が失墜してしまいます。

 

また、給与計算の遅れは給与の遅配にも繋がりますので、遅れも許されません。

複雑な業務にも関わらず、正確かつ迅速に作業を進めることが求められるのです。

 

  • 専門的な知識が必要

繰り返しになりますが、給与計算は複雑な計算が必要なので、なかなか簡単にこなせるものではありません。

ごく小規模な会社の場合は社長が自ら給与計算をしているケースも多いですが、ある程度規模が大きくなると経理の知識がある社員を雇わざるをえなくなります。

 

その上、一般的な税制の知識だけではなく、社内規定についても詳しくなる必要があるので、入社後の研修にも長時間を要してしまうのです。

 

  • コストがかかる

給与計算は忙しさに波のある作業です。毎月の給与計算はもちろんありますが、年末調整が必要な12月や、新入社員が入社する4月には非常に業務量が多くなります。

 

特に小規模な会社では、ピーク時の業務量に合わせて人員を確保し、ピーク以外の時期も保持し続けるのは難しいでしょう。

情報漏洩などの観点から短期の派遣社員に任せるのも難しい仕事なので、給与計算に関わるコストに頭を悩ませる経営者は多いのです。

 

2.≪給与計算をアウトソーシングするメリット≫

それでは、給与計算をアウトソーシングすると、どのようなメリットがあるのかを考えていきましょう。

 

(1)①正確に対応してくれる

給与計算のアウトソーシングを請け負うのは、給与計算に特化した専門チーム。知識を持った人員が、毎年の税改正などにも順応しながら正確に給与を計算してくれます。

 

自社の社員に一から教育するより、社員の負担を減らして、ミス・遅れを防ぐことができるのです。

 

(2)②コストを削減できるケースも

給与計算をアウトソーシングすれば、雇用コストを削減できることも。経理事務の仕事の平均月収は27万円のため、給与計算をするために経理スタッフを雇用するとなるとそれなりのコストがかかります。

 

もちろん経理スタッフを雇用すれば給与計算以外の業務を任せることもできるので、単純な比較はできません。

しかし、ピーク時には多くの人員が必要になることなどを考えると、アウトソーシングの方が結果的に得になることも多いのです。

 

(3)③本業に集中できる

社長や経理専門ではない社員が給与計算をしている場合、給与計算をしている時間は本来の業務ができません。給与計算は売り上げを生み出す仕事ではないので、社員にはなるべく本業に集中してほしいですよね。

 

給与計算を丸ごとアウトソーシングしてしまえば、業務時間の全てを本業に充てることができます。

それにより伸びる売り上げとアウトソーシングにかかる費用を比較すると、アウトソーシングの方がお得なこともあるのです。

 

3.≪給与計算をアウトソーシングするデメリット≫

給与計算のアウトソーシングは、実はメリットばかりではありません。

デメリット面も知って、自社に導入するべきかきちんと検討しましょう。

 

(1)①追加費用がかかるケースも

アウトソーシングを請け負う会社は、クライアントとなる会社ごとに計算システムを構築して対応しています。

そのため、社内規定が改定になるとシステムにも変更の必要が出て、その作業に追加費用がかかることも。社内規定が何度も変わる会社だと、費用が嵩んでしまうケースもあります。

 

(2)②社内で対応できる人材の育成ができない

給与計算を丸ごと外部に任せるということは、当然社内にノウハウが残らないということ。万が一、アウトソーシング会社が倒産したり、何らかの理由で急に契約を打ち切らなければいけなくなったりしたとき、給与計算ができる人がいないという状況に陥ります。

 

また、一度アウトソーシングした後で自社の経理に作業を戻したいというときも、社内にノウハウがないと社員教育のしようがなく、困ってしまうこともあるのです。

 

4.≪給与計算のアウトソーシングはどこにする?≫

それでは、給与計算のアウトソーシングを請け負っている会社には、どんな種類があるのかを見ていきましょう。

 

(1)①会計事務所

給与計算のアウトソーシング会社として多いのが、会計事務所。ほとんどの会計事務所で、給与計算の請負業務を行なっていると思っていいでしょう。

 

非常に数が多いので、いきなり一社に決めず、数社で相見積もりを取るのがおすすめです。また、会計事務所なら給与計算以外にも決算など会計業務全般を依頼することもできます。

 

(2)②社会保険労務士

従業員の数が多くなると、従業員の入退社や産休・育休の取得などが多くなり、保険にまつわる給与計算業務が多くなります。

 

そんな時は、社会保険の専門家である社会保険労務士に給与計算を依頼するのがおすすめ。十数人〜数百人規模の企業は、社会保険労務士に依頼するのが適しています。

 

(3)③税理士

小規模な会社でも、ほとんどは顧問税理士を依頼しています。

社員の人数が少ない場合、顧問税理士がサービスの一環として、低価格で給与計算を請け負ってくれることがあります。

 

スタートアップ企業で給与計算のコストを低く抑えたい場合、まずは顧問税理士に相談をしてみるのがおすすめです。

 

(4)アウトソーシングする場合の相場

給与計算のアウトソーシングサービスを利用する場合、かかる金額の相場は以下の通り。

 

・基本料金:無料〜20,000円

・追加料金(給与計算1人あたり):500〜1,000円

 

ほとんどのアウトソーシング会社で、サービス自体を利用するための「基本料金」に、1人あたりの給与計算作業にかかる「追加料金」が加算されるという料金システムを採用しています。例えば社員100人の会社の場合、相場料金は50,000〜120,000円くらいです。

なお、年末調整など追加業務が必要になる場合は、さらに追加料金がかかります。

 

(5)アウトソーシングする場合の必要な準備

給与計算をアウトソーシングするためには、以下のものを準備し、依頼する会社に提出します。

 

・就業規則や賃金規程:基本給や昇給基準、各種手当など、会社ごとのルールを記した書類が必要です。

・従業員名簿と賃金台帳:従業員の名簿と、扶養控除や手当にまつわる書類が必要です。不正をしている社員がいないとも限らないので、一定期間ごとに見直しましょう。

・タイムカードや出勤簿:従業員の勤怠を把握するため、出勤・退勤時間などを記録します。

 

5.≪給与計算のアウトソーシングを検討する基準≫

給与計算のアウトソーシングを検討する基準は、従業員の人数や、今いる人員に対する業務量です。

10人以下の小規模な企業など、すでに雇用している従業員の中で給与計算業務まで十分手が回っているなら、もちろんアウトソーシングを検討する必要はないでしょう。

 

従業員数が数十人〜百人を超えてくると、多くの企業が給与計算をアウトソーシングしています。

給与計算のために経理スタッフを雇用しても、従業員の増加とともに対応しきれなくなり、結局アウトソーシングに切り替えるというケースも。

 

コスト面も、ピーク時に数百人分の給与計算ができるほど大人数の経理スタッフを雇うより、アウトソーシングにした方が抑えられます。将来的に目指す会社の規模など、将来性も視野に入れてアウトソーシングを検討するといいでしょう。

 

6.≪給与計算をアウトソーシングせずに無料でする方法はある?≫

給与計算をアウトソーシングせず無料で行いたいなら、社長やすでに雇用している従業員に業務を割り振るしかありません。

しかし、経理の知識がない人材だと、わからないところは勉強しながらこなすしかないのでミスや遅れが発生することも。

 

コスト削減も大切ですが、給与計算は正確性が一番です。他の業務を圧迫しないためにも、会社の拡大とともにアウトソーシングを視野に入れて検討した方がいいでしょう。

 

7.≪まとめ≫

給与計算はどんな会社にも発生する業務ですが、内容はそう単純ではありません。

必要な知識量が多く、間違いは許されない業務なので、自社内で対応できなければアウトソーシングがおすすめです。

 

アウトソーシングなら、専門スタッフが対応するため正確な仕事が期待できます。コスト削減になることもあるので、会社の規模が拡大してきたら給与計算のアウトソーシングを検討してみましょう。

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2019/09/25 確定申告の期限はいつまで?忘れたときの対処法も紹介

「確定申告を忘れた!」「うっかり期限を過ぎてしまった!」ということは、誰にでも起こりえます。そこで放置してしまうと、無申告加算税が課せられ、本来支払う必要がない税金まで払わなければいけなくなることも。

 

今回は、確定申告を忘れた場合の対処法をご紹介。確定申告が遅れた場合のペナルティや、ペナルティを回避する方法も解説していきます。

 

 

1.≪確定申告の期限は?≫

確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日。2月16日や3月15日が土曜日・日曜日にあたる場合は、後倒しになります。

 

つまり、確定申告の期限は3月15日ですが、この期限を過ぎても確定申告の手続き自体は可能。ただし「期限後申告」となり、ペナルティが課せられます。

 

2.≪確定申告を忘れた場合の対処法≫

それでは、確定申告をうっかり忘れてしまった方のために、対処方法を解説していきます。

 

(1)できるだけ早く確定申告を行う

確定申告を忘れた場合の対処は、「できるだけ早く確定申告を行う」これ一択です。

 

先にも触れましたが、3月15日の期限が過ぎても確定申告の手続き自体は可能です。手続きの内容も、期限内と同じです。

異なるのは受付日時のみですが、遅れて確定申告をした場合は遅れた日数に合わせたペナルティが課せられます。このペナルティ「無申告加算税」については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)事情がある場合は税務署に相談する

単純に忘れていたのではなく、確定申告が遅れてしまったやむを得ない事情がある場合は、期限後申告をする前に税務署に相談しましょう。

 

やむを得ない事情とは、例えば「確定申告期間に病気で入院していた」「海外に渡航していた」「災害にあって手続きができなかった」などです。

個別のケースにもよりますが、やむを得ない事情の証明ができればペナルティが免除される場合もあります。

 

(3)来年は忘れないように心得ておく

期限後申告が2年続くと、青色申告の承認が取り消される場合があります。連続ではなくても、断続的に遅れる年が続くと取り消されてしまう場合も。

来年は確定申告を忘れないよう、しっかり心得ておきましょう。

 

3.≪確定申告の書類の提出方法≫

「確定申告の期間内に税務署に行けないから、期限に遅れてしまう」と焦っている人もいるかと思います。または、「期限内の確定申告を忘れたから、税務署に行きづらい」という人もいるかもしれませんね。

 

実は、確定申告は税務署に直接赴く以外の方法でも提出できます。

それぞれの提出方法について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)郵送を利用する

郵送での提出は、切手と封筒だけ用意すればできるので手軽です。

用意する書類は窓口に提出する場合と変わりありません。確定申告書類を封筒に全て入れ、控えを受け取るために切手を貼った返信用封筒を同封して郵送しましょう。

 

送り先は納税地の管轄税務署です。郵送では提出期限は消印が有効となるので、3月15日中に忘れていたことに気付ければ期限内の提出が可能です。

 

(2)e-Taxを利用する

確定申告をe-Taxで提出するには、電子証明書の取得やカードリーダーの購入など事前準備が必要です。

しかし、手続きを全て電子で行うことができるので、紙の書類は必要ありませんし提出にかかる時間も一瞬です。すでにe-Tax利用の手続きが済んでいる方であれば、直前まで確定申告を忘れていても安心ですね。

 

(3)管轄の税務署に直接提出

もちろん、確定申告は管轄の税務署に直接提出することもできます。

書類でわからないところがあれば職員の方に質問できますし、直しがあった場合も郵送やe-Taxでの提出より手間がかかりません。

 

税務署の開庁時間は平日の8:30~17:00です。確定申告書の提出自体は、時間外収受箱へ投函することによりいつでも提出できます。

 

4.≪確定申告を忘れた場合のペナルティ≫

それでは、確定申告を忘れた場合のペナルティについて詳しく見ていきましょう。

 

(1)無申告加算税

確定申告の期限に遅れると、「無申告加算税」というペナルティが課せられます。

無申告加算税は、納付すべき税額に対して「50万円までは15%・50万円を超える部分は20%」の割合を乗じて計算した金額となります。

 

例えば、納税額が100万円なら、

 

(50万円×15%)+(50万円×20%)=17万5,000円

 

ということになりますね。もちろん本来の納税額100万円も納付しますから、計117万5,000円の納税が必要になります。

 

ただし、税務署の調査を受ける前に自ら期限後申告を行った場合は、この無申告加算税の税率は5%に軽減されます。

同じく納税額が100万円の場合は、

 

100万円×5%=5万円

 

ということになります。追及される前に自分で申告することで、3倍以上もペナルティの金額を抑えることができるのですね。

 

また、期限後申告であっても無申告加算税が課されないケースもあります。

 

①無申告加算税が課されないケース

無申告加算税が課されないケースは、以下の2つの条件を両方満たした場合です。

 

  • 法定申告期限から1ヶ月以内に、自主的に期限後申告をしたこと
  • 期限内申告をする意思があったと認められること

 

このうち、期限内申告をする意思があったと認められる」とは、以下の条件を満たしていることです。

 

  • その期限後申告で確定した納税額を、全額法定期限内に納めること
  • 期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと

 

つまり、期限後すぐに自分から申告し、さらに過去にも確定申告が遅れたことがなければ、悪質ではないので容赦しましょうということですね。

そのため、これまで確定申告が遅れたことがなく、うっかり忘れたことに1ヶ月以内に気付いた場合には、早めに期限後申告をすれば通常の確定申告と何ら変わりはありません。

 

(2)延滞税

確定申告により確定した税金を法定期限内に納めないと、延滞税が課せられます。

これは「確定申告自体を忘れた」ことには直接関わりはありませんが「確定申告後に税金の支払いを忘れた」場合に適用されるものです。

 

延滞税は、支払いが遅れた期間によって課税率が変わります。

原則的な課税率は、以下の通りです。

 

  • 納期限の翌日から2月を経過する日まで:年3%
  • 納期限の翌日から2月を経過した日以後:年6%

 

ただし、平成26年1月1日以後の期間は「特例基準割合」が適用されて税率が低くなります。

具体的な税率は、以下の通りです。

 

  • 納期限の翌日から2月を経過する日まで:年6~4.5%(期間による)
  • 納期限の翌日から2月を経過した日以後:年9~9.2%(期間による)

 

(3)青色申告に関わるペナルティ

先にもお伝えしましたが、青色申告をしている場合、2年連続で期限後申告となると青色申告の承認が取り消される場合があります。

青色申告の承認が取り消されると、10万円・65万円の青色申告特別控除が受けられなくなるなど、税制上の優遇が受けられなくなってしまいます。青色申告を行なっている個人事業主の方は、特に確定申告を忘れないように気をつけましょう。

 

(4)重加算税

重加算税とは、意図的に実情と違う内容で確定申告をした場合に課せられる罰金です。多くの場合、所得を過少に申告し、「脱税」や「ほ税」をした場合に課せられます。

 

課税率は税額の35~40%と高額で、もし払えない場合は不動産や貯蓄の差し押さえなどの処分が行われます。

確定申告は期限内に忘れず行うのも大切ですが、内容を正直に申告するのも重要です。

 

なお、もし意図的ではなく確定申告の内容を間違えてしまった場合は「修正申告」を行えば重加算税の課税は免れられます。

 

5.≪確定申告を忘れたら、修正申告は必ず行おう≫

確定申告は、

 

  • 忘れない
  • 忘れて期限を過ぎてしまったら、なるべく早めに期限後申告をする
  • 内容は正しく申告する
  • 確定した税金は期限内に納める

 

以上のポイントを守って行うようにしましょう。

ペナルティはあくまで悪質な脱税を取り締まるためのものなので、誠実な対応をしていればそこまでひどい罰金が課せられることはありませんよ。

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2019/09/04 単式簿記とは?【複式簿記との違いを解説】

単式簿記とは、2つある帳簿付けの方法のうちシンプルで簡単なものです。簿記の知識がなくても帳簿付けをすることが可能ですが、複式簿記より記録しておける内容が少ないのがデメリット。

 

今回は、そんな単式簿記と複式簿記の違いや、単式簿記で帳簿付けする方法を具体的に解説していきます。

メリット・デメリットを把握して、自分に最適な帳簿付けの方法を選びましょう。

 

 

1.≪単式簿記とは?≫

単式簿記とは「簿記」の記帳方法の一つです。対になる言葉として「複式簿記」があり、単式簿記の方が複式簿記よりもシンプルで簡単です。

 

そもそも「簿記」とは、会計報告を行うために帳簿をつけること。この帳簿を元に会計業務を行い、会社や個人事業の財務状況を報告します。

 

(1)単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記と複式簿記の違いは、1回の取引につき、1つの項目を使うか、複数の項目を使うか。

単式簿記では「収入or支出」と「勘定科目」「金額」のみを一列に書き記します。複式簿記では帳簿を左右で「借方」と「貸方」に分け、借方と貸方の金額が同じになるように記帳していきます。

 

言葉の説明だけではわかりづらいので、具体的な例を見ていきましょう。

同じ取引を単式簿記と複式簿記のそれぞれの方法で記帳すると、以下のようになります。

 

例1 ◯月◯日、金融機関から100,000円の借り入れを行なった場合

 

単式簿記:◯月◯日 収入 借入金 100,000円

複式簿記:◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

 

例2 △月△日、10,000円の電気代を現金で支払った場合

 

単式簿記:△月△日 支出 電気代 10,000円

複式簿記:△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

 

例3 ×月×日、50,000円の商品を売って現金を受け取った場合

 

単式簿記:×月×日 収入 商品売上 50,000円

複式簿記:×月×日 現金 10,000円 / 商品売上 10,000円

 

そして、これらの取引が行われた後、単式簿記の帳簿は以下のようになっています。

◯月◯日 収入 借入金 100,000円

△月△日 支出 電気代 10,000円

×月×日 収入 商品売上 50,000円

 

単式簿記の場合は、お金の出入りを「収入・支出」の2パターンのみで管理します。そのため、収入の総額から支出の総額を引けば、収益がプラスかマイナスかがすぐにわかります。

この例だと、借入金10万円から支払いで1万円が減り、そのあと5万円の売上が入ったので、現在「14万円」のプラスだということがわかりますね。

ただし、「預金」「現金」という区別はないので、口座にあるべき金額はいくらか、手元にあるべき金額はいくらかということはわかりません。

 

また、単式簿記ではあとで返済する必要がある借入金も「収入」として計算してしまうので、最終的に手元に残る利益は「4万円」だという情報もわかりません。

さらに、帳簿を付け始める以前の預金額や借り入れ総額もわからないので、会社の会計の大枠を把握するのは難しいです。

 

次に、同じ取引が行われた後の複式簿記の帳簿を見てみましょう。

 

◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

×月×日 現金 50,000円 / 商品売上 50,000円

 

こちらでは、例えば「電気代を支払った」という情報だけではなく、「電気代を現金で支払った」という情報がわかります。借入金の10万円は普通預金に入り、現金として手元にあるのは4万円だという情報もわかりますね。

複式簿記は単式簿記よりも書き方が複雑ですが、複式簿記の帳簿からは単式簿記よりも多くの情報が読み取ることができるのです。

 

また、複式簿記の場合は、お金の出入りを「資産・負債・純資産・収益・費用」の5つに分けて管理します。

上記の取引だと、「借入金」は「負債」、「電気代」は「費用」、「商品売上」は「収益」です。

 

そして、会計業務の際はこの帳簿をもとに「貸借対照表」と「損益計算書」を作成します。

これは「資産・負債・純資産・収益・費用」それぞれのカテゴリの総額はいくらなのかを算出するものです。これにより、会社がどのような財務状況にあるのかを詳しく分析することが可能になります。

 

(2)単式簿記は目的のみを記録する

単式簿記では、取引により現金が増えたのか・減ったのかという「収入・支出」と、その取引の目的のみを記録します。

「収入」のカテゴリになるのは、勘定科目でいうと借入金・売上金・事業主貸など。逆に「支出」になる勘定科目は、地代家賃・仕入・水道光熱費・通信費・給料賃金など全ての出費です。

 

そして、単式簿記では取引の「手段」の記録はしません。

手段というのは、現金のやりとりがあったのか、クレジットカードや売掛・買掛などで後払いになったのか、口座に振り込みをしたのか…などの支払い方法のことです。そのため、取引にかかった金額の出所はどこなのか、どこに入ったのかという情報はわかりません。

 

個人事業主や規模の小さい会社で、複雑な取引はなく現金の出入りさえわかればいいという場合は単式簿記でも十分です。

しかし大規模な会社では詳細な財務状況の把握が必要になるので、単式簿記が採用されることはほぼありません。

 

2.≪単式簿記のメリット・デメリット≫

それでは、単式簿記のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

(1)単式簿記のメリット

  • 簿記の知識がなくても記帳できる
  • 現金のプラス・マイナスがすぐにわかる
  • 作業工程数が複式簿記より少ない

 

まず、単式簿記の大きなメリットは簿記の知識がなくても記帳できること。

その取引が「収入」か「支出」なのかということは誰でも直感的にわかりますから、付け間違いも少ないです。家計簿をつける感覚で、誰でも帳簿付けができます。

確定申告も、白色申告なら単式簿記の帳簿付けで問題ないので、大きな控除枠が必要ない場合は手間が省けるでしょう。

 

また、単式簿記の帳簿は「収入-支出」というシンプルな計算で総計ができるので、収益がプラスかマイナスかということが一目でわかります。

詳細な経営状況の分析は必要なく、ざっくりプラスかマイナスかわかればいいという場合も単式簿記で十分ですね。

 

そして、単式簿記の場合は、複式簿記のように「貸借対照表」や「損益計算書」に発展させる必要がありません。

複式簿記が他の会計書類を作るための土台としての意味合いが強いのに比べ、単式簿記はそれだけで完結しているのです。

 

(2)単式簿記のデメリット

  • 経営状況が把握しづらい
  • 青色申告ができず、控除額が減る

 

単式簿記のデメリットは、記録しておける情報が少なく経営状況の把握がしづらいこと。ある程度規模が大きく、借入金や株式の配当、買掛金、売掛金など複雑な取引がある事業の帳簿付けは、単式簿記では無理でしょう。

 

また、確定申告で「青色申告」をするためには複式簿記での帳簿付けが義務付けられています。

10万円・65万円の青色申告控除など、青色申告は税制で優遇されるポイントがたくさん。単式簿記の帳簿ではこの優遇が受けられないので、納税額で損をしてしまう可能性があります。

 

3.≪単式簿記の書き方・記入例≫

先の例では不要な項目を省略しましたが、実際に単式簿記で記帳するときには以下の項目が必要です。

1つの取引ごとに、それぞれの項目を埋めて表を作っていくイメージです。

 

  • 日付
  • 収入or支出
  • 勘定科目
  • 金額
  • 摘要

 

記入例

◯月◯日 収入 借入金 100,000円 A銀行

△月△日 支出 電気代 10,000円 B電力

×月×日 収入 商品売上 50,000円 C株式会社

 

4.≪単式簿記の帳簿を作成する方法≫

単式簿記はノートに手書き・エクセル・会計ソフトなどで簡単に作成することができます。会計ソフトを使えば、最初から必要な項目や勘定科目のリストが用意されているので簡単です。

しかし、単式簿記にはあまり多くの項目は必要ないので、手書きやエクセルで1から作成してもそこまで手間はかかりません。

 

5.≪まとめ≫

単式簿記は簿記の知識がなくても作成しやすく、初心者におすすめの帳簿付けの方法です。収益のプラス・マイナスを一目で把握でき、確定申告も白色申告なら単式簿記の帳簿でできます。

 

ただし、事業が大きくなってくると詳細な経営状況は把握できず、複式簿記に切り替えざるを得ません

単式簿記の帳簿では青色申告もできないため、納税額で損をしてしまうというデメリットも把握しておきましょう。

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2019/08/12 青色申告と白色申告の違いとは?【メリット・デメリットを解説】

確定申告とは、税務署に前年の所得額を申告して納税額を確定させる作業のことです。38万円を超える所得があれば個人・法人ともに行う必要がありますが、うっかり忘れてしまうと追徴課税が課せられることも。

今回は、確定申告の種類である「青色申告」「白色申告」について詳しく解説します。自分に適した確定申告の種類を知っておくことは、大幅な節税にも繋がりますよ。

 

 

1.≪確定申告における青色申告と白色申告の違いとは?≫

確定申告とは、その年にあった収入や控除額を税務署に申告し、納税すべき税額を決める手続きのことです。

 

(1)確定申告の種類

確定申告には青色申告(10万円控除・65万円控除)と白色申告があります。

青色申告と白色申告は、大まかに言うと必要になる帳簿の書き方と控除額が違います。

 

・青色申告(65万円控除):青色申告承認申請書が必要・複式簿記・特別控除65万円+基礎控除38万円

・青色申告(10万円控除):青色申告承認申請書が必要・簡易簿記・特別控除10万円+基礎控除38万円

・白色申告:事前の申請必要なし・簡易な記帳・基礎控除38万円のみ

 

また、青色申告をするのは事業所得を得ている人(個人事業主)や法人と不動産所得を得ている人のみ。

その他の人や、青色申告承認申請書を提出していない人・法人は白色申告を行います。

 

(2)誰が確定申告をする必要がある?

確定申告は個人・法人で38万円以上の所得があった人や、給与以外の収入が20万円以上あった人が行います。

 

・配当所得があった人

・不動産所得があった人

・事業所得があった人(個人事業主)

・給与所得があった人(2箇所以上から給与を得ている人や、職場で年末調整を受けていない人)

・退職所得があった人

・譲渡所得があった人

・山林所得があった人

・一時所得があった人

・雑所得があった人(年金、副業による所得などがあった人)

 

給与所得を1箇所のみから得ていて、所属している会社が年末調整を行なっている場合(一般的なサラリーマンなど)は確定申告する必要はありません。

ただし、給与に加えて副業などの所得があった場合や、住宅購入や寄付などをして控除を受ける場合にはサラリーマンも確定申告の必要があります。

 

(3)確定申告の提出時期・期間は

確定申告の提出期限は、毎年2月16日~3月15日。2月16日と3月15日に土曜日・日曜日が重なる場合には、それぞれ後ろ倒しになります。

 

2.≪青色申告と白色申告のメリット&デメリット≫

それでは、青色申告と白色申告の違いやメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

 

(1)青色申告のメリット

  • 青色申告特別控除
  • 純損失の繰越し控除
  • 青色専従者給与
  • 少額減価償却の特例
  • 家事按分

 

青色申告のメリットは全部でこの5つ。具体的にどのような利点があるのでしょうか。

 

  • 青色申告特別控除

青色申告の最大のメリットは、白色申告より控除額が大きいことです。「青色申告特別控除」といって、帳簿の付け方によって基礎控除に加えて「10万円」「65万円」の控除枠がもらえます。この控除があると、収入額のうち10万円・65万円が無条件に非課税ということになるので、大幅に所得税を節約できます。

 

  • 純損失の繰越し控除

青色申告では、事業が赤字となった場合、その赤字額を3年まで繰り越すことができます。例えば、1年目は100万円の赤字・2年目も100万円の赤字・3年目は200万円の黒字が出た場合、過去2年の赤字を繰り越して3年目の事業所得を0とすることができます。

1年ごとに税額を計算する白色申告では、3年目の200万円にそのまま課税されてしまうので、収入が年によって不安定な場合も青色申告にメリットがあります。

 

  • 青色専従者給与

青色申告は「専従者給与」でも優遇されています。白色申告の場合、家族など生計を同一にする従業員を雇っていた場合、専従者給与として差し引けるのは、配偶者86万円、その他の親族は50万円と決まっています。一方青色申告では、妥当性のある金額であれば専従者給与に上限が設けられていません。

ただし、このシステムを利用するためには、その年の3月15日までに税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。

 

  • 少額減価償却の特例

白色申告の場合、事業に必要な機材などの購入で、一括で減価償却できるのは10万円までです。10万円を超えた分は、耐用年数に応じて少しずつ経費として計上します。

青色申告ではこの一括減価償却が30万円まで可能。これを「少額減価償却の特例」と言います。一括で経費に算入できる額が大きくなるので課税所得が減り、納税額の調整が可能です。

 

  • 家事按分

自宅などで事業を行なっている場合、「家事按分」といって家賃や光熱費などの一部を経費として算入できるシステムがあります。家事按分自体は白色申告にも認められていますが、青色申告ではその範囲が異なります。

白色申告では家事関連の主な部分が業務に関わっていなければ認められませんが、青色申告では業務に必要なことが明白であれば経費に認められます。

 

(2)青色申告のデメリット

一方で、青色申告のデメリットはこの2つです。

 

  • 青色申告承認申請書が必要
  • 帳簿付けが複雑

 

  • 青色申告承認申請書が必要

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。年度の途中で開業した場合には、開業から2カ月以内に提出しなければならなりません。

そのため、確定申告直前に、いきなり「青色申告をしよう!」と思い立ってできるものではないのです。

 

  • 帳簿付けが複雑

青色申告の65万円控除を受けるためには、複式簿記で帳簿をつけなければいけません。手書きで複式簿記をつけるには、専門的な知識が必要ですし手間もかかります。

手間を減らすために会計ソフトを利用したり、税理士事務所に依頼したりするためにもコストがかかるというのがデメリットです。

 

(3)白色申告のメリット

白色申告のメリットは、記帳が簡単で手間が少ないことです。収支内訳書に売上や経費などを記入するだけの、シンプルな帳簿で申告が認められます。

青色申告のように事前申請等も必要がないので、節税よりも時間の節約を選びたい場合におすすめです。

 

(4)白色申告のデメリット

白色申告のデメリットは、以下の2つです。

 

  • 特別控除枠がない
  • 赤字を繰り越せない

 

  • 特別控除枠がない

白色申告で受けることができる控除は、どんな人も無条件で受けられる「基礎控除38万円」のみ。帳簿付けの手間は実質的に「青色申告10万円控除」と変わらないため、青色承認申請書を提出するだけで、追加で10万円の控除を受けることができます。

 

  • 赤字を繰り越せない

先の項目でも触れましたが、白色申告では青色申告とは違い赤字の繰り越しができません。そのため、赤字の年は青色・白色ともに非課税になりますが、黒字の年は過去の赤字で所得を打ち消せない白色申告の方が税額は重くなります。

業績が赤字と黒字を繰り返している場合には、青色申告の方が適しているのです。

 

3.≪個人の青色申告・白色申告について≫

それでは、個人が確定申告をする場合の流れについて、詳しく見ていきましょう。

 

(1)個人は「所得税」

個人が確定申告を行う目的は「所得税」の金額を算定するためです。ちなみに住民税も同じ所得額から計算されるので、「住民税」の金額もここで確定します。

 

(2)個人の青色申告・白色申告の流れ

個人が確定申告をする場合の流れは、以下の5ステップです。

 

  1. 青色申告の場合、「青色申告承認申請書」を提出する
  2. 請求書や領収書を保管しておく・帳簿をつけておく
  3. 確定申告書を入手する
  4. 確定申告書に記入する
  5. 確定申告書を提出する

 

  • 青色申告の場合、「青色申告承認申請書」を提出する

繰り返しになりますが、青色申告をするためには事前に申請が必要です。

また、個人で青色申告が認められるのは「個人事業主」のため、「開業届」を提出して事業主になる必要があります。

 

  • 請求書や領収書を保管しておく・帳簿をつけておく

確定申告には1年分の収支の証明が必要です。1月1日~12月31日までの収支を、それぞれの申告に必要な方法で記録し、その証明となる請求書・領収書を保管しておきましょう。

 

  • 確定申告書を入手する

確定申告書は税務署や市区町村役所の税務課で直接入手したり、税務署のホームページからダウンロードしたりできます。

 

  • 確定申告書に記入する

①住所・氏名などの基本情報を記入する

②所得金額を項目別に記入する

③控除額を項目別に記入する

  • 所得金額から控除額を差し引き、課税所得を算出する

④課税所得を元に納税額を計算し、記入する

 

⑤確定申告書を提出する

確定申告書の提出は、所轄の税務署の窓口に直接提出・郵送・e-Tax3つの方法で行えます。

提出時に必要な書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 収支内訳書(白色申告の場合)
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)
  • 医療費控除の明細書(医療費控除を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得があった場合)
  • 寄附金の受領証明(ふるさと納税等、寄付をした場合)

 

(3)青色申告向きなのはこんな人

青色申告に向いているのは、以下のような人です。

 

  • 個人事業主・不動産所得がある人・山林所得がある人
  • 特別控除を受けて節税したい人
  • 複式簿記で帳簿付けができる人
  • 年によって年収にばらつきがある人
  • 家族・親族を従業員として雇用している人
  • 自宅で仕事をしているなど家事按分で節税できる人

 

(4)白色申告向きなのはこんな人

  • サラリーマンなど、個人事業主以外の人
  • 給与所得や副業での所得など、青色申告できない所得がある人
  • 帳簿付けが手間だと感じる人

 

青色申告で申告できるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のみです。その他の「給与所得」「退職所得」「雑所得」などの収入があった場合には、青色申告はできません。

青色申告の方が白色申告よりメリット面が大きいので、基本的には青色申告できない所得があるかどうかが白色申告をするべき人の見分け方です。

 

4.≪会社の青色申告・白色申告について≫

最後に、会社が確定申告をする場合の流れについて見ていきます。

 

(1)会社は「法人税」

会社が確定申告をするのは「法人税」の納税額を確定するためです。法人の種類と規模によって適用される法人税率が異なるため、自社の法人税率を事前に把握しておきましょう。

 

(2)法人税申告の青色申告と白色申告の流れ

法人税申告の際の流れは、次の4ステップです。

 

  1. 決算の確定
  2. 税務調整をする
  3. 添付書類を用意する
  4. 法人税申告書を提出する

 

決算の確定

法人税の確定申告には、まず決算の確定が必要です。会計上のルールに従って、その年の収支や財務状況を整理します。

 

②税務調整をする

会計上の利益を税務上の利益に適応させるため、調整を行います。そして、法人税申告書の別表を使い、課税所得と法人税額を計算して記入します。

 

③添付書類を用意する

法人税の確定申告に必要な添付書類を準備します。

必要な書類は、以下の5つです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 勘定科目内訳書
  • 法人事業概況説明書

 

④法人税申告書を提出する

添付書類と法人税申告書を税務署に持参するか、郵送・e-Taxで提出します。

 

(3)便利な会計ソフト

法人であれば多くの場合税理士に確定申告を依頼しますが、そうではない場合は会計ソフトが便利です。必要項目を入力するだけで、帳簿付けや確定申告書の作成が自動で完了します。

税理士に丸投げするよりは手間や知識が必要になりますが、コストを大幅に節約することが可能です。

 

5.≪まとめ≫

青色申告には、10万円・65万円の特別控除枠をはじめとしたメリットがたくさん。白色申告にも帳簿付けが義務付けられたので、手間の面では青色申告もあまり大きな差がありません。

所得税・法人税を節税したい場合や、年によって所得にばらつきがある場合は、青色申告が断然有利です。

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