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2020/05/15 個人事業の起業には何が必要?リスクを減らして成功させるコツ

会社から独立したり、副業として個人起業したりする人が増えています。

個人起業をすれば誰でも経営者になることができて、収入がアップする・社会的信用が上がるなどというメリットがあります。

 

しかし当然、個人事業の起業にはリスクがつきものです。

今回は、そんな個人事業の起業のリスクを減らし、成功の可能性を高めるコツや、必要な知識やスキルについてご紹介していきます。

 

1.≪個人起業のために必要なもの≫

個人起業とは、その名の通り1人で会社を設立することです。

経営の責任を自分ひとりで負わなければいけないので、個人起業には様々な知識や準備が必要です。

 

(1)知識

個人事業の起業に必要なのは、まずビジネス・お金・社会保険に関する知識です。

個人事業主としての起業は失敗すれば多額の損失が出る大きな賭けなので、知識をきちんと蓄えてロジカルに経営する必要があります。

 

ビジネスに関する知識

良い事業のアイデアが思いついたら、何の根拠もなく「うまくいくに違いない」と思い込んでしまいがち。

業界や経営に関するビジネスの知識がないと、その目論見がまったく的外れということもあります。

 

ビジネスの知識といっても幅広いですが、事業計画を練ったり、安定した経営をしたりするためには、以下のような知識が役立ちます。

 

・起業する業界の知識(業界動向・顧客の志向など)

・マーケティング知識(商品作り・集客の仕組み・値決めなど)

・人を動かすための知識(プレゼン能力・コミュニケーション能力など)

・経営に関する知識(資金調達・財務・経理など)

・法律に関する知識(会社法・労働基準法・安全衛生法など)

 

お金に関する知識

個人事業の起業をするためには、お金に関する知識が不可欠です。

例えば、以下のような知識がないと、お金の出入りがどんぶり勘定になり、経営状況を的確に分析できません。

 

・資金繰り(キャッシュフロー)の知識

・資金調達のやり方・適切な借入額

・決算書の作り方・分析方法

・税申告のやり方、計算方法

・会計業務のやり方

 

お金に関する知識や実務については、顧問税理士に相談したり、専門知識を持つ経理スタッフを雇ったりすることも可能です。

しかし、それにもコストがかかるので、経営者自らお金の知識を持っておくに越したことはありません。

 

社会保険に関する知識

自分ひとりで事業を行うなら、個人事業主という方法もあります。

 

個人事業主と会社設立で異なるのは、社会保険への加入が義務になっている点です。

大きな会社では、保険関係の手続きは社労士が行うのが一般的ですが、個人事業の場合は経営者が責任を持って加入手続きや保険料の納付をしなければいけません。

 

(2)資本

個人事業主として起業をするには、もちろん先立つものが必要です。

起業の際に用意しておくお金を「資本金」と呼び、だいたい100~300万円ほど用意する人が多いです。

資本金に余裕があればあるほど、経営を維持しやすくなります。

 

起業前に必要な費用

個人ではなく、法人として会社設立する場合、起業前に必要となる費用には、以下のものがあります。

 

会社設立費用:合計25~30万円程度(株式会社の場合)

・定款認証手数料:5万円

・謄本作成費用:約2,000円

・登録免許税:15万円

・収入印紙代:4万円

・会社印鑑:1~2万円

・雑費(交通費・証明書発行費用など):約5,000円

 

この他に、打ち合わせを行う場所代や飲食代、手続きを専門家に依頼する場合はその報酬などがかかることもあります。

ちなみに、この会社設立費用は、会社設立後に使う資本金とは別に用意しておきます。

 

起業後に必要な費用

起業をしたら、事業を始めるための開業費と、経営を続けていくための運営費が必要になります。

ここでかかる費用は、事業内容や開業する地域、人を雇うかどうか、クオリティにどの程度こだわるかなどでかなりばらつきがあります。

 

開業費・運営費それぞれの項目に、自分の場合の金額を置き換えて考えてみましょう。

 

開業費に含まれる主な費用

・広告費

・名刺作成費

・事務所や店舗の敷金・礼金・初月家賃

・設備・備品購入費

・内装工事費

・求人費

など

 

運営費に含まれる主な費用

・事務所や店舗の家賃

・水道光熱費

・通信費

・設備・備品購入費

・人件費

・保険料

・支払い利子

など

 

ちなみに、資本金額の目安は「開業費+6ヵ月分の運営費」と言われています。

 

(3)しっかりとした事業計画

事業計画は個人事業主として起業する上で要となります。

「こうすればうまくいきそう」という予測だけではなく、業界や顧客の分析、試行調査を行い、データを元にして理論的に考えましょう。

 

事業計画書は、起業の際の資金調達にも大きく影響を及ぼします。

良いアイデアが浮かんだからといってすぐ起業せず、しっかりと内容を練って実現可能なプランを作るのが大切です。

 

(4)家族の理解

個人事業主として起業をするときに無視してはいけないのが、家族の理解です。

大黒柱の場合、万が一事業に失敗すると、家族に苦しい生活を強いるリスクがあります。

うまくいった場合も、起業直後は気持ちや時間に余裕がなかったり、収入に波があったりして、どこかで我慢させてしまう可能性が高いです。

 

個人事業主として起業した場合、実務面で家族のサポートが必要だったり、資本金が足りず家族からお金を借りたりすることもあるでしょう。

そのため、まず家族の理解を得ることが、個人起業をする上でもっとも大切です。

 

2.≪個人起業を成功させるコツ≫

それでは、個人起業を成功させるためのコツを見ていきましょう。

 

(1)起業の「4つのコツ」

上手くいく起業の4つのコツとは、

利益率が高い

小資本で始められる

在庫を持たない

定期的に売上が立つ(月額課金)

ということです。

 

これらの条件だとなぜ成功しやすいのか、また条件を満たしやすい事業内容について解説していきます。

 

利益率が高い

利益率が高ければ、それだけ経営に余裕が出るということは、誰にでも想像できることです。

しかし、商品やサービスの価格を上げすぎると買い手がつかないので、他者と競争できる料金のまま、いかに原価を下げるかというのが鍵になります。

 

そのため、独自の仕入れルートがあったり、元手がかからない自分のスキルを高く売ったりできるととても有利です。

例えば、前職でのコネを活かせる仕事や、自分のスキルを売るデザイナー、エンジニア、プログラマーなどの仕事は個人起業でも成功しやすいでしょう。

 

小資本で始められる

大掛かりな設備がいらず、小資本で始められる仕事なら、失敗した時のリスクが少ないです。

例えば、PC一台で始められるIT企業などは、個人事業主の起業にとても適しています。

反対に、高額な機械や大きな倉庫が必要な、製造業や卸売業といった業種は、個人事業主の起業には向いていません。

 

在庫を持たない

買い手がつかなければ、在庫はただの負債です。

どんなものでも一気に仕入れれば安いですが、売れるとは限らない在庫を抱えてしまうのはリスクになります。

 

商品が古くなればさらに売れにくくなるので値下げを検討しなければいけませんし、在庫を保管する場所にもコストがかかるので、利益率が下がる原因になります。

個人事業主で起業をした直後は仕入れを制限し、確実に売り切れる量から扱うのが良いでしょう。

 

定期的に売上が立つ

定期的に売上が立てば、毎月の利益を確保できて経営の見通しが立ちやすくなります。

例えば、個人相手の商売の場合、いつ商品を買いたくなるかは顧客次第なので、定期的な売上が見込めません。

しかし、販売する相手が企業であれば、毎月の消費量や予算がある程度決まっているので、定期的に売上を確保することができます。

 

また、一度買ったらしばらく買わない物より、定期的に買い替えが必要なものの方が売上は立ちやすいです。

サービスの場合は、月額で利用できる「サブスクリプション」も、毎月の売上を確保する方法です。

いかに定期的に売上を立てるかを考えることが、個人起業の鍵となります。

 

(2)個人起業が成功しやすい業種は?

個人事業主の起業が成功しやすい業種は、上記の4つの条件をなるべく満たせる業種です。

 

例えば、以下のような業種が当てはまります。

元手が少なくても始められる業種(IT、サービス、コンサルティング、コーチングなど)

自分のスキルを活かせる業種(デザイナー、エンジニア、音楽制作、理美容師など)

 

また、以下のようなビジネスモデルを取り入れることで、既存の業種を個人事業主の起業で成功させることも可能です。

・在庫を抱えすぎない仕組み(レンタル、受注生産など)

・定期的な売上が立つ販路(BtoB、CtoB、サブスクリプションなど)

 

3.≪起業するなら個人事業主と会社設立どちらがいい?≫

個人事業主と会社設立には、どちらにもメリットとデメリットがあります。

個人で事業を行う際、会社設立がおすすめなのは以下のような人です。

 

・将来的に事業を大きくしたり、継承したりしたい

売上が大きく、会社を設立した方が節税できる

・すでに個人事業主として軌道に乗っている

 

逆に、個人事業主が向いているのは以下のような人です。

事業を大きくしたり、継承したりする予定はない

会社設立でかかるコストより、所得税の方が得

法律や他者からの制約を受けず、自由に経営したい

 

会社設立のメリットについてもっと詳しく知りたい方は、「会社設立のメリットとは?個人事業主とどちらが得か見極めるポイント」をお読みください。

 

4.≪個人事業主として起業する時の注意点≫

個人事業主として起業する場合、事業から得た収入に関しては、自分で確定申告を行う必要があります。

会社を設立する場合には、法人税の申告手続きが必要です。

税申告を怠ると、追徴課税などの罰則が課せられる場合があるので、注意してください。

 

また、現在会社勤めをしていて副業禁止の場合、個人で起業したことが知られてしまうと、最悪クビになる可能性もあります。

会社勤めをしながら個人起業をする際は、まず会社の就業規則を調べ、規則の範囲内で行うようにしましょう。

 

5.≪まとめ≫

個人事業主が起業する場合は誰でも経営者になることができ、収入アップが見込めるということもあって、起業する人が増えています。

 

しかし、安易に始めてしまうと、知識や経験、計画が不十分などの理由で失敗してしまうリスクもあります。

資本金1円、取締役1人からの会社設立が可能になっていますが、事業内容や資金繰りはよく検討し、リスクを排除していくことが大切です。

2020/05/13 合同会社(LLC)とは?設立方法やメリット・デメリットを解説

合同会社は2006年から導入された比較的新しい会社形態です。

まだ世間的な知名度は高くありませんが、実はAppleや西友といった大企業も合同会社という形態を採用しています。

 

今回は、合同会社の特徴や、合同会社を設立するメリット・デメリットをご紹介いたします。

合同会社設立の流れと、よくある疑問についても解説していきます。

 

1.≪合同会社(LLC)とは?≫

合同会社とは、会社の設立形態の一つ。

もっとも数が多い株式会社に次いで、2番目に多く設立されています。

日本で合同会社が設立できるようになったのは、2006年に新会社法が施行されて以降。

海外の「Limited Liability Company」をモデルに導入されたので、「LLC」と略される場合もあります。

 

合同会社はと株式会社のもっとも大きな違いは、「出資者=経営者」であること。

また、出資者の立場が出資額に関わらず対等なこと、役員の任期がないなどの点も株式会社と違います。

さらに、設立時の手続きにかかる費用も、株式会社より安いです。

一方、出資者が有限責任だということは、株式会社と共通しています。

 

そのため、以下のような条件で会社設立をしたいと考えている方には、合同会社が適しています。

・自由度の高い経営をしたい

・倒産時のリスクを低くしたい

・会社への貢献度と出資額にばらつきがある

・会社設立時のコストを抑えたい

 

2.≪合同会社設立のメリット・デメリット≫

合同会社のメリットとデメリットは、以下のようになります。

 

(1)メリット

合同会社のメリットは、主に以下の3つ。

 

・設立コストが安い

・設立・運営の手続きが簡単

・経営の自由度が高い

 

まず、合同会社を設立する場合、登録免許税の6万円のみで手続きが可能です。

株式会社の場合、設立に最低でも20万円以上かかりますので、差額を開業費用に回すことができます。

 

合同会社の設立・運営には、株式会社が行なう「定款の認証」「決算書の公告」といった手続きが必要ありません。

そのため、株式会社より事務的な手間がかからないのも合同会社のメリットです。

 

合同会社は出資者が経営者と同一なので、意思決定の自由度が高く、スピーディーな判断も可能です。

株式会社の場合、経営判断をする際に株主総会の承認を得るなどの手続きが必要になり、時間がかかりがちです。

 

また、株式会社は利益の分配をするとき、出資額(持ち株数)に基づいて配当の金額が決まります。

対して、合同会社は利益の分配が自由なので、出資額が少ないものの貢献度が高いメンバーがいる場合などには、合同会社の方が適しています。

 

(2)デメリット

合同会社の主なデメリットは、以下の3点です。

 

・社会的信用度が低い

・社員の意見が割れると意思決定が難しい

・上場できない

 

先にも触れたように、合同会社は2006年から導入された新しい会社の形態です。

そのため、世間一般での知名度が低く、株式会社より社会的信用が低い傾向があります。

また、経営の自由度が高い分、オーナー主体のワンマン企業というイメージを持たれてしまう可能性もあることは知っておきましょう。

 

次に、合同会社は出資額に関わらず、社員全員が同等の決定権を持ちます。

そのため、社員間で意見が割れた場合、スピーディーな運営ができないことも。

また、もし出資者が会社を離れる場合は出資金が戻されるので、資本金が減ってしまいます。

 

最後に、当然ですが合同会社は株式上場ができません。

そのため、将来的に上場企業を目指したいという場合には、合同会社は最初から選択肢ではなくなります。

 

3.≪合同会社を設立する方法≫

それでは、合同会社の設立手続きとその流れを解説していきます。

 

(1)合同会社設立の手順

合同会社を設立するときには、法務局で「設立登記」という手続きが必要です。

 

設立内容・目的の決定

合同会社を設立する時には、最初の準備として会社の基本事項を決定します。

この手順は、合同会社でも株式会社でも同じです。具体的には、以下の内容を決定しましょう。

 

・商号(会社名)

・事業目的

・本店所在地

・事業年度

・資本金

・出資者

 

株式会社の場合は、これに加えて機関設計についても定めます。

しかし、合同会社は社員(出資者)=経営者なので、取締役・監査役・取締役会といった経営機関を設置する必要がありません。

 

印鑑作成

会社設立の手続きでは、様々なシーンで印鑑が必要になります。

以下の4種類の会社の印鑑を作成しましょう。

 

・会社実印:会社の設立登記時に登録する実印で、代表社印ともいう 重要な契約書などに使う

・会社銀行印:銀行口座の開設時に届け出る実印 会社実印とは分け、リスクを分散する

・角印:注文書・請求書・稟議書などに用いる会社の認印で、社印とも呼ぶ

・住所印:会社名・会社住所・電話番号などを記載した印鑑で、ゴム製のものが多いため「ゴム印」とも呼ばれる

 

会社代表個人の印鑑も、様々な書類で必要になりますので、作成して印鑑登録しておきましょう。

ちなみに、株式会社では取締役全員の印鑑と印鑑証明が必要ですが、合同会社の場合は会社代表1人のものだけでOKです。

 

定款作成

定款とは、会社の基本ルールを記載した書類のことです。

定款には以下の内容を記載します。

 

・商号

・目的

・本店の所在地

・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

・発起人の氏名及び住所

・発行可能株式総数

 

株式会社の場合、この定款を公証役場に持っていって認証してもらう必要がありますが、合同会社は定款の認証手続きは必要ありません。

 

出資金払い込み

次に、会社用の口座を用意して、資本金として定めた額を振り込みましょう。

このタイミングで行うのは、次の登記手続きで必要な書類を作成するためです。

資本金の払い込みが終わったら、通帳の以下の部分をコピーしておきましょう。

 

・通帳の記帳欄

・表紙

・個人情報欄

 

登記

最後に、法務局で会社の登記申請を行います。

あとで解説する必要書類を、窓口または郵送で法務局に提出しましょう。

 

登記申請時には、登録免許税として6万円を納付します。

株式会社の場合、登録免許税は15万円なので、ここで設立費用を9万円節約できます。

 

(2)合同会社設立後の手続き

合同会社設立後には、社会保険や税金に関する手続きを行います。

これらの手続きについては、合同会社も株式会社も共通です。

合同会社設立後に必要となる書類と、その提出先は以下の通り。

 

年金事務所に提出する書類(会社設立から5日以内)

・健康保険・厚生年金保険新規適用届

・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

・健康保険被扶養者(異動)届

 

ハローワーク(公共職業安定所)に提出する書類(従業員を雇用した翌日から10日以内)

・雇用保険適用事業所設置届

・雇用保険被保険者資格取得届

 

労働基準監督署に提出する書類(従業員を雇用した翌日から10日以内)

・保険関係成立届

・労働保険概算保険料申告書

 

税務署に提出する書類

・法人設立届出書(会社設立から2ヶ月以内)

・給与支払事務所等(給与支払事務所として開設してから1ヶ月以内)

・青色申告の承認申請書(会社設立後3ヶ月以内、または最初の事業年度の末日まで)

 

(3)設立・登記に必要な書類一覧

合同会社を設立するには、法務局で登記申請を行います。

合同会社の登記申請に必要な書類と手数料を、一覧で掲載します。

 

・合同会社設立登記申請書

・登記用紙と同一の用紙

・定款 2部

・収入印紙 4万円分(電子定款の場合は不要)

・本店所在地及び資本金決定書

・資本金の払込証明書

・印鑑届書

・代表社員就任承諾書

・代表社員の印鑑証明書

・登録免許税 6万円

 

4.≪合同会社設立のお金に関するよくある疑問≫

最後に、合同会社設立に関して、よくある疑問を解決していきます。

 

(1)資本金は何円がいい?

2006年の新会社法施行以降、合同会社・株式会社問わず資本金は1円からでも会社設立ができます。

しかし、資本金が1円だと社会的信用度が低いなどデメリットが多いので、実際に1円で起業する人は少ないです。

 

資本金の目安は、「開業資金+半年分の運転資金」です。

具体的な金額でいうと、100~300万円くらいに設定するケースが多くなっています。

ちなみに、資本金が1,000万円以上であると、初年度から消費税の納付免除が適用されなくなるので注意しましょう。大事な論点なので、不明点は税理士に確認して進めるべきです。

 

(2)設立費用はいくらかかる?

合同会社の設立費用は、合計10万円です。

その内訳は、以下の通り。

 

・登録免許税:6万円

・定款に貼る収入印紙:4万円

 

登録免許税は一律で定められている税金なので、節約する方法はありません。

定款に貼る収入印紙に関しては、電子定款だと不要になります。

しかし、電子定款を作成するにも、専門ソフトやカードリーダーの購入などで3万円前後はかかります。

 

ちなみに、電子定款の作成は専門業者に委託することもでき、その場合の料金は5,000円程度。定款は「電子定款+外注」が、もっともお得な合同会社設立の方法です。

 

また、一度、合同会社を設立して、事業の進捗によって途中で株式会社に組織変更することも可能です。

 

5.≪まとめ≫

合同会社は株式会社より経営の自由度が高く、スピーディーな経営判断ができるのがメリット。

その他の部分でも手間やコストが削減でき、特にITなど新しいビジネスにはぴったりの起業方法です。

 

ただし、株式会社に比べて社会的信用が低いなどのマイナス面もあるので、会社の形態はメリット・デメリットをよく吟味して決めましょう。

2020/05/11 法人設立届出書とは?必要な添付書類や記入のポイントを解説

会社を設立したら、税務署や自治体に会社を設立したことを知らせるために「法人設立届出書」を提出します。

法人設立届出書は、法人税の納付に関わる重要な書類なので、どの会社も必ず提出しなければいけません。

 

今回は、法人設立届出書の書き方や提出先、提出期限についてわかりやすく解説いたします。

法人設立届出書と一緒に提出する、添付書類についても全種類解説します。

 

1.≪法人設立届出書とは≫

法人設立届出書とは、会社の設立登記を行なったあと、税務署や自治体に会社設立したことを知らせるために提出する書類のことです。

 

(1)提出先は税務署と市区町村

法人設立届出書の提出先は、以下の3つです。

 

・納税地の所轄税務署

・都道府県税事務所の法人事業税課もしくは法人住民税課

・市町村の法人住民税担当部署

 

各所に提出する内容は、まったく同じで問題ありません。

会社に控えとして残しておくために、合計4部作成します。

 

また、税務署に法人設立届出書を提出する際、控えも一緒に持って行くと、その控えにも受領印がもらえます。

 

(2)提出期限は設立日から2ヶ月以内

法人設立届出書の提出期限は、会社設立日(登記の日付)から2ヶ月以内です。

遅れたとしても特に罰則はありませんが、いずれ提出が必要になる書類なので、会社設立登記が終わったらすぐに取り掛かることをおすすめいたします。

 

(3)書類の入手方法

法人設立届出書は、税務署、もしくは国税庁のホームページからダウンロードして入手できます。

 

2.≪法人設立届出書の書き方≫

それでは、法人設立届出書の書き方を、具体的に解説していきます。

 

(1)基本情報

基本情報は会社の基本事項をそのまま記入するだけなので、特に難しくはありません。

 

届出先税務署名

「届出先税務署名」は、法人設立届出書の提出先です。

会社の本店所在地を管轄する税務署の名前を記入します。

 

本店又は主たる事務所の所在地

「本店又は主たる事務所の所在地」には、会社の本拠地となる事務所や店舗の住所を記入します。

 

納税地・法人名・法人番号・代表者氏名

納税地・法人名・法人番号・代表者氏名は、謄本に記載されている内容をそのまま記入すれば構いません。

 

(2)設立に関する情報

次に、設立に関する情報を記入していきます。

 

設立年月日と事業年度

「設立年月日」は、登記申請を行なった日付のことです。

「事業年度」には、定款で定めた会計期間を記載します。

 

消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日

「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」は、資本金1,000万円以上の会社のみ記入が必要です。

資本金が1,000万円以上だと、設立当初から消費税の課税事業者になるため、ここにも登記申請を行なった日付が入ります。

 

資本金1,000万円未満の会社については、設立後2期、または売上が1,000万円を超えたあと2期の間は消費税の納付が免除されるため、何も書かなくて構いません。

 

③設立時の資本金額又は出資金の額

「設立時の資本金額又は出資金の額」には、定款に記載されている資本金額・出資金額を記入します。

 

④設立の形態

「設立の形態」は、1.~5.までの番号選択制です。

新規に会社を設立した場合は、5.の「その他」に◯を付け、「新たに事業を開始」などと記入します。空欄でも構いません。

 

会社設立以前に個人事業主として営業していて、法人成りをした場合は、1.の「個人企業を法人組織とした法人である場合」を選びましょう。

合併・分割・現物出資などで設立した場合は、それぞれ2.~4.の該当するものを選びます。

 

ちなみに、設立の形態が1.~4.のいずれかの場合は、すぐ下の欄に以前の納税地と事業内容を記入します。

 

⑤「給与支払い事務所等の開設届出書」提出の有無

開業後、給与の支払いを行う場合には、「給与支払い事務所等の開設届出書」の「有」に◯を付けましょう。

自分自身を含め、会社から給与を支払う場合には、法人設立届出書と一緒に「給与支払い事務所等の開設届出書」を提出します。

 

⑥支店・出張所・工場等、添付書類等

納税地として記載した本拠地の他に、支店・出張所として営業していたり、その予定で工場をしていたりする場所がある場合には、その名称と住所も記載します。

 

添付書類等の欄は、法人設立届出書と一緒に提出する添付書類の中で、該当するものに全て◯をつけます。

全部で8つの選択肢がありますが、一般的な会社設立の場合、以下の4種類の書類を添付します。

 

・定款の写し

・設立時の貸借対照表

・株主等の名簿

・登記事項証明書

 

添付書類等の欄の数字でいうと、1、2、3、5です。

これらの添付書類については、次の項目で詳しく解説いたします。

 

3.≪法人設立届出書の添付書類≫

法人設立届出書には、一般的に以下の4種類の書類を添付します。

 

(1)定款の写し

税務署や市区町村に会社の概要を伝えるために、定款の写しを添付します。

定款の認証で作成したような正式な謄本ではなく、会社で保有しているもののコピーで問題ありません。

定款の全ページを、A4の白黒コピーで写し、左側の2箇所をホチキスで留めましょう。

 

(2)設立時の貸借対照表

会社設立時の貸借対照表には決まったフォーマットがないので、エクセルなどを使って自作したり、ネットで配布されているテンプレートを利用したりして作成しましょう。

設立時のものなので、基本的には賃借対照表に記載されているのは資本金のみとなります。

 

例えば、資本金が100万円の場合、賃借対照表の内容は以下の通りです。

 

資産の部

現金および預金:1,000,000円

資産合計:1,000,000円

 

純資産の部

資本金:1,000,000円

純資産合計:1,000,000円

 

現金だけではなく現物出資もある場合、資産の部には「車両運搬具」「土地」といった勘定科目を使うこともあります。

もし、法人設立届出書の提出前に、経費で支払いをしたり売上が出ていたりする場合も、提出するのは設立時の貸借対照表なので記載はしません。

 

(3)株主等の名簿

株主等の名簿は、そのまま会社設立時の株主名簿です。

内容は、以下のものを記載します。

 

・株主の氏名

・株主の住所(法人の場合は本社所在地)

・株主の有する株式の数

・株主の有する株式の金額

・役職名及び当該法人の役員または他の株主等との関係

 

自分1人で会社を設立し、株主も自分だけという場合も、上記の内容をリスト化します。

フォーマットは特に決まっていないので、エクセル等で自作するか、ネットで配布されているテンプレートを使うなどして作成しましょう。

 

(4)登記事項証明書

登記事項証明書は、会社の設立登記が終わった後に法務局で取得できるようになります。

登記事項証明書には、記載する部分によって以下の4種類があります。

 

・全部事項証明書

・現在事項証明書

・履歴事項証明書

・閉鎖事項証明書

 

法人設立届出書の添付書類として使うのは、「全部事項証明書」です。発行にかかる手数料は、1通600円です。

法人設立届出書の提出先3ヶ所全てで必要になるので、3通まとめて発行しておきましょう。

 

5.≪まとめ≫

法人設立届出書は、設立登記をしてから2ヶ月以内に「税務署」「都道府県税事務所」「市町村」の3ヶ所に提出します。

提出が遅れても罰則はありませんが、法人税に関わる重要な書類なので、なるべく速やかに提出しましょう。

記載事項に特に難しいことはありませんので、誰でも簡単に作成できますが、場合によっては少しテクニック的な要素もありますので、不明点は税理士に確認するのがよいでしょう。

 

ただし、添付書類として登記事項証明書が必要なので、設立登記後に3通発行しておくのを忘れないようにしましょう。

2020/04/20 会社の設立・登記の方法は?基本的な流れから必要書類・費用までを解説

会社が会社として成立するには、法務局で会社設立登記という手続きをする必要があります。

会社設立登記は必要書類を用意して提出するだけで完了しますが、その準備がなかなか大変です。

 

今回は、会社設立登記の基本的な流れと、必要書類・費用について解説します。

会社設立をお考えの方は、ぜひお役立てください。

 

≪1.会社設立登記の流れ≫

まずは、大まかな会社設立登記の流れを見ていきましょう。

会社設立登記をするときは、この順番に従って必要な書類を集め、提出や手続きを行っていきます。

 

(1)必要事項を決定する

会社設立の最初のステップは、基本事項の決定です。

最初に決めておくべき基本事項には、以下のようなものがあります。

 

・商号(会社名)

・所在地(登記する正確な住所)

・発起人

・登記簿謄本に記載する事業内容

・資本金額

・決算日

 

また、このタイミングで、以降の手続きに必要な会社の印鑑4種類も作成しておきます。

 

(2)定款を作成する

次に、定款の作成を行います。

 

定款とは、会社の基本的なルールを書面にまとめた書類のことです。

定款には以下のような内容を記載します。

 

・会社名

・所在地

・事業目的

・広告方法

・発行可能株式総数

・株式の譲渡制限

・取締役の員数

・取締役の任期

・事業年度

・設立に際して出資される財産の価額

・設立後の資本金の額

・最初の事業年度

・設立時の役員

・発起人の氏名、住所等

・発起人の記名押印

・出資者全員の捨て印

 

(3)公証役場で定款の認証を受ける

定款が作成できたら、その内容が正しいことを第三者に証明してもらう「認証」の手続きを行います。

公証役場に定款を提出して手数料を納付し、公証人による認証を受けます。

 

ちなみに、この定款の認証は、株式会社を設立する場合のみ必要な手続きです。合同会社設立の場合は必要ありません。

 

(4)資本金を払い込む

会社設立時の資本金額を準備し、振り込みます。

会社法の改正により、資本金は1円からでも起業できますが、実際には資本金は多く用意した方が社会的信用は得やすいです。

 

後の会社設立登記で「資本金の払込証明書」が必要になるので、このタイミングで会社用の口座を用意し、資本金として定めた額を振り込みましょう。

 

(5)法務局で設立登記する

会社設立の最後の手続きが、登記申請です。

会社の設立登記は、法務局に必要書類を提出して行います。

 

この会社設立登記の手続き方法には、「直接提出」「郵送」「オンライン提出」の3つがあります。

登記手続きに必要な書類については、次の項目で詳しく解説いたします。

 

≪2.会社設立の登記に必要な書類≫

それでは、会社設立登記の必要書類を、1つずつ見ていきましょう。

 

(1)必須となる書類

以下で解説する書類は、設立する会社の形式や規模に関わらず、どんな会社の設立登記にも必要です。

 

・登記申請書

・登録免許税納付用台紙

・登記すべき事項を記録した磁気ディスク(CD-Rなど)

・公証人の認証済みの定款

・資本金払込証明書

・役員の就任承諾書

・役員の印鑑証明書

・印鑑届書

・印鑑カード交付申請書

 

①登記申請書

登記申請書のテンプレートは、法務省のホームページからダウンロードすることができます。

テンプレートを使わず、同じ内容を記載した書類を作成しても問題ありません。

内容は以下の事項をA4用紙に横書きにするだけなので、特に難しくはないでしょう。

 

・会社の基本事項(会社名・所在地・登記の事由・資本金額・登録免許税額)

・添付書類の内訳

・申請年月日

・本店と代表者の氏名・住所

 

②登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙には、株式会社の場合15万円分、合同会社の場合は6万円分の収入印紙を貼り付けて提出します。

 

この書類には、特に決まった形式はありません。法務局の窓口で申し出て入手することもできますし、ネット上でテンプレートを探してダウンロードしたり、ただの白紙に収入印紙を貼り付けて提出したりしても問題ありません。

 

③登記すべき事項を記録した磁気ディスク(CD-Rなど)

登記事項を保存した書類は紙媒体で提出することもできますが、その場合は用紙を法務局で直接入手する必要があります。

法務省のホームページにある作成例を参考にしながら、自分のPCで作成した方が効率的です。

 

内容はテンプレートに従って必要事項を記入するだけなので、そこまで難しくありません。

作成が終わったら、CD-RかFDに保存し、会社名を書いたシールを貼り付けて提出します。

 

④公証人の認証済みの定款

株式会社を設立する場合、登記の一つ前のステップで公証人の認証を受けた定款が1部必要です。

合同会社の場合、定款の認証は必要ありませんが、登記の際に定款を1部提出します。

 

⑤資本金払込証明書

資本金払込証明書は資本金の払い込みを行なったあと、取得した通帳のコピーから作成します。

 

通帳の記帳欄、表紙、個人情報欄のコピーに表紙をつけ、製本しましょう。

各見開きページの綴り部分には、契印をしておきます。

 

⑥役員の就任承諾書

役員の就任承諾書は、「取締役・代表取締役に就任したことを承諾した」ということを証明するための書類です。 

 

内容は「○年○月○日の取締役会で取締役(代表取締役)に選任され、承諾しました」という文章と、その人の署名です。

インターネット上でテンプレートが取得できるため、日付と署名欄を埋めるだけで問題ありません。

 

⑦役員の印鑑証明書

役員の印鑑証明書は、会社の役員は住民票を置いている自治体の役所で入手します。

定款の認証を受ける際に取得したものと、同じ印鑑証明が必要です。

 

役員が複数人いる会社の場合、全員のものを用意しましょう。

ただし、取締役会がある場合は、代表取締役1名の印鑑証明のみで手続きが可能です。

 

⑧印鑑届書

印鑑届書は、登記の際に会社実印の印鑑登録をするために必要な書類です。

法務局のホームページでテンプレートを入手できるため、必要事項を記入して提出しましょう。

 

⑨印鑑カード交付申請書

会社実印の印鑑登録をしたあと、印鑑証明書を入手するために印鑑カードが必要です。

印鑑届書と同じく、法務局のホームページで入手したテンプレートに必要事項を記入して提出します。

 

会社の印鑑証明書は会社設立後の様々な手続きに使いますが、同じく設立後の手続きで必要になる登記簿謄本については、事前に申請しなくても誰でも取得できます。

 

(2)場合によっては必要な書類

場合によっては会社設立登記をする時、上記の他に以下の書類が必要になることもあります。

 

・発起人決定書

・調査報告書

・財産引継書

・資本金の額の計上に関する証明書

 

まず「発起人決定書」は、定款に取締役・代表取締役・本店所在地の番地・電子定款のURLなどの記載がない場合に必要です。

「調査報告書」「財産引継書」「資本金の額の計上に関する証明書」は、資本金や出資金に現金以外の現物出資が含まれる場合に必要な書類です。

 

≪3.会社設立登記の申請・手続きの方法≫

それでは、会社設立登記の具体的なやり方や費用について解説していきます。

 

(1)申請先と申請期限

会社設立登記の申請先は、法務局です。

法務局の窓口に必要書類を持参して出向くか、法務局の住所に郵送、または専用の申請システムを使ってオンライン申請で行います。

 

また、会社設立登記を行う期間「設立時取締役の調査完了日、もしくは発起人が定めた日から2週間以内」です。

期限を過ぎた後の申請も可能ですが、過ぎてしまうと「登記懈怠」となり、罰金の対象となるので注意しましょう。

 

(2)登記に必要な費用

登記に必要な費用は、ステップごとに以下のものがあります。

 

①定款認証関連

株式会社を設立する場合、定款の認証に以下の費用がかかります。

 

・定款に貼り付ける収入印紙:40,000円(電子定款の場合は不要)

・公証人に払う手数料:50,000円

・定款の謄本交付手数料:約2,000円(250円×ページ数)

 

②設立登記関連

登記申請の際には登録免許税がかかりますが、登録免許税の金額は会社の形式や資本金の額により異なります。

 

・株式会社:150,000円(資本金の0.7%が150,000円以上の場合、その金額)

・合同会社:60,000円(資本金の0.7%が60,000円以上の場合、その金額)

 

③その他の費用

会社設立登記にかかるその他の費用としては、印鑑の作成費用・各種証明書の交付費用・交通費などがあります。

これらの雑費については、合わせて10,000円ほど見込んでおけばいいでしょう。

 

≪4.会社設立登記の後に必要な手続き≫

会社設立登記の後に必要な手続きは、大きく分けて以下の3つがあります。

 

・税務署への各種届出

・健康保険・厚生年金保険への加入

・労災保険・雇用保険への加入

 

どの手続きも、事業開始後の税申告や、従業員の保護のために必要な手続きです。

手続きを怠ると、後でペナルティが課せられる可能性があるため、会社設立登記の後に速やかに行いましょう。

 

≪5.まとめ≫

会社設立登記は、会社設立を行う中で最後のステップです。登記が完了することで、初めて会社として成立します。スムーズに会社設立登記を行うには、手続きの流れと必要書類をしっかり理解し、順序よく準備を進めていく必要があります。

会社設立後に税理士に顧問をご依頼される場合、弊所では司法書士手数料が無料になりますのでご依頼されることを検討してみてはいかがでしょうか?今回ご紹介した会社設立業務を丸投げでご依頼可能です。

 

会社設立をお考えの方は、ぜひ今回解説した内容を参考にしてみてください。

2020/04/13 会社設立のメリットとは?個人事業主とどちらが得か見極めるポイント

会社設立には、何かと手間とコストがかかります。

それでも会社設立する人が多いのは、事業の運営や税制上、得られるメリットが大きいためです。

 

今回は、会社設立のメリットとデメリットについて詳しく解説。

個人事業主と法人成りのどちらが得か見極めるポイントや、個人事業主が会社設立(法人成り)すべきタイミングについてもご紹介します。

 

≪1.会社設立と個人事業主との違い≫

現在サラリーマンで、これから独立を考えている方には、事業を行う方法として「個人事業主」「会社設立」の2つの選択肢があります。

 

会社と個人事業主のもっとも大きな違いは、法律上「法人」と扱われるか「個人」と扱われるかということです。

個人事業主は事業を行なっていてもあくまで個人なので、適用される法律や税金は個人向けのものです。

会社を設立すると、「法律上、人格を持つ組織」である法人になり、個人事業主とは根本的に扱いが変わります。

 

会社設立のためには個人事業より複雑な手続きが必要になり、運営上のルールが課せられるなど厳しい側面もあります。

しかし、その分税制上の優遇措置は法人の方がはるかに多く、メリットが大きいです。

社会的な信用度も個人事業主より法人の方が高いので、事業拡大を目指すなら会社設立の方が適しています。

 

≪2.会社設立の7つのメリット≫

会社設立のメリットは、大きく分けて7つあります。

 

・取引先からの信頼を得られる

・節税になる

・融資・資金調達しやすい

・決算日を決められる

・人材を集めやすい

・相続税が発生せず、継承しやすい

・有限責任なので経営のリスクが減る

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

(1)取引先からの信頼を得られる

会社経営者と個人事業主では、一般的には会社経営者の方が社会的信用度は高いです。

それは、会社の作り方には定款の作成や登記といった複雑な手続きが必要で、手軽に開業できる個人事業主より事業への本気度が高いと判断されるためです。

 

また、資本金や定款・登記手続きの費用など設立にかかるコストも高く、それだけ事業に確実性があると見なされます。

 

(2)節税になる

会社設立には、以下のような様々な税制上のメリットもあります。

法人に適用される税金の軽減措置を利用できることは、個人事業主と比べて大きなメリットでしょう。

 

①給与所得控除

給与所得控除とは、サラリーマンが給与の中から仕事に必要なものを買ったりするための必要経費として、給与所得から一定額が非課税になるというものです。

この給与所得控除は役員報酬にも適用されるため、会社を設立して社長や役員になると、所得のうち一定額は自動的に非課税になります。

個人事業主の場合、非課税になるのは実際に使った必要経費のみです。

 

また、社長や役員は、実際に使った経費を必要経費として会社に申請した上で給与所得控除が適用されるので、二重に得をすることができます。

 

②家族に給与を支払える

会社設立を行うと、家族を従業員として雇い、給与を支払うことができます。

法人であれば給与の額に制限がなく、事業の状況に応じて柔軟に給与額を定めることができます。

会社なら家族へ支払った給与を必要経費にできるので、事業に従事する家族が多いほど大きな節税になるのです。

 

個人事業主も、家族を雇って給与を支払うこと自体は可能ですが、上限額が定められていたり、給与額を自由に変動させられなかったりと様々な制約があります。

また、個人事業主は、基本的に家族に支払った給与を経費にすることができません。

 

③消費税の免除を受けられる

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者、また1,000万円を超えてから2事業年度以内の事業者は、消費税の免税事業者となり、消費税を納付する必要がありません。

基本的には、課税売上高が1,000万円を超えた2年後から、消費税の納付義務が発生します。

 

この条件は会社でも個人事業主でも同様ですが、個人事業主が法人化(会社設立)を行うと、それまでの事業と会社設立後の事業は切り離して考えることになります。

つまり、課税売上高の記録がリセットされ、会社設立から2年間はまた免税事業者になれるということになります。

そのため、会社設立を行うと、免税事業者でいられる期間が4年間に伸び、大きな節税になるのです。

 

④所得税・法人税率の差

会社に課せられる法人税は累進課税で、最大税率は23.2%です。

一方、個人事業主に課せられる所得税では、最大45%までの累進課税制度が採用されています。

 

利益が大きくなるほど納税額の差も開いていくため、純利益が500~1,000万円くらいのラインで「法人成り(会社設立)」を行う個人事業主も多いです。

 

⑤退職所得で節税

会社が利用できる控除には、「退職所得控除」というものもあります。

先にご説明した「給与所得控除」よりもこの退職所得控除の方が枠は大きく、また課税対象となる金額自体も、退職金から退職所得控除を差し引いた額の半額のみです。

 

そのため、従業員の給与の一部を退職金として積み立てておき、後で退職金として支払うことで、課税額を減らして節税することができるのです。

個人事業主の事業形態では、退職金という概念自体がないので、会社設立をする大きなメリットと言えます。

 

⑥必要経費の幅が増える

会社設立を行うと、個人事業主より必要経費の幅が増えます。

例えば、会社名義で借りた不動産を「社宅」とすることによって、その家賃が必要経費になります。

これにより、自分や従業員の家賃を利用して節税することが可能です。

 

また、交際費や、個人事業主では家事按分が適用される必要経費についても、会社の方が経費にできる枠が大きく、節税に繋がりやすいです。

 

⑦欠損金を10年繰り越せる

欠損金の繰越とは、ある年に生じた赤字を翌年以降に繰り越し、後の年度の利益と相殺して課税所得を減らすことです。

会社設立を行うと、赤字が発生した年から10年間この欠損金の繰越が認められます。

 

個人事業主の場合、欠損金の繰越が認められるのは最長3年なので、こちらの面でも会社設立をした方が有利です。

 

⑧保険の半額損金算入が可能

会社設立をすると、社会保険に加入する義務が発生します。

従業員の保険料を半額負担するのでコストは増えますが、そのぶん保険料を損金算入して課税所得を減らし、節税することが可能です。

 

⑨相続税・贈与税なしで事業を引き継げる

個人事業を次の世代に継承するとき、多くの財産を持っている場合は多額の相続税や贈与税が課せられます。

 

しかし、事業を法人化して会社設立しておけば、財産は法人所有のものとなり相続税がかかりません。

これは、最初の項目で解説した「会社は法律上、人として扱われる組織」ということがポイントになります。

会社は法人格を持っているので財産を所有でき、相続税・贈与税の対策にもなるのです。

 

(3)融資・資金調達しやすい

先にもお伝えしたように、会社設立をすると個人事業主より高い社会的信頼性が得られます。

「フリーランスや個人商店より、会社の方が信頼できる」という心象面のほか、実務の面で、登記簿謄本により会社の重要事項を確認できるということも重要です。

 

融資や資金調達には信用が重視されるので、会社設立を行った方が多くの融資・資金を引き出しやすくなります。

そのため、会社設立をすると大規模な事業が可能になり、事業拡大のスピードも速くなるでしょう。

 

(4)決算日を決められる

会社の事業年度は、会社設立時に自由に設定することが可能ですが、個人事業主の場合は毎年1月1日~12月31日と決まっています。

 

そのため、資金繰りに余裕がある時期に設定したり、繁忙期を避けて決算業務がしやすい時期に設定したりと、自社にとって有利に決算を行うことができるのです。

 

(5)人材を集めやすい

会社設立で高い社会的信用が得られることは、人材集めにも影響します。

誰でも、働くなら安定した職場で長く働きたいと思うのは当然。会社なら、社会保険や退職金といった制度がしっかりしているということで求職者の信頼感が増し、人が集まりやすくなるのです。

 

(6)相続税が発生せず、継承しやすい

先にもお伝えしましたが、法人の事業承継には相続税や贈与税がかかりません。

自分一代だけではなく、子供や孫に代々事業を続けていってほしいと考える場合には、会社設立を検討するのがおすすめです。

 

(7)有限責任なので経営のリスクが減る

個人事業主の場合、事業主は事業に対して無限責任を負います。

つまり、多額の借金を抱えて事業が倒産した場合、個人の財産を処分してでも借金を返済する必要があるのです。

 

対して、株式会社や有限会社の社長や役員は有限責任なので、出資額以上の責任を負うことはありません。

万が一事業がうまくいかなかった場合のリスク回避にも、会社設立という方法が使えるのです。

 

≪3.会社設立でのデメリットとは≫

会社設立には、メリットだけではなくデメリットがあります。

両方をしっかり比較して、会社設立をするべきかどうか検討した方が良いでしょう。

 

(1)赤字でも発生する税金がある

法人の場合、法人住民税の均等割りがあるため、利益が全く無くても毎年最低7万円を納税する必要があります。

 

しかし、個人事業主だと、赤字で利益がない場合には所得税は課税されず、納税の義務があるのは年数千円程度の個人住民税の均等割りのみです。

 

(2)社会保険への加入が必要

法人は、従業員を守るために社会保険加入の義務があります。

そして会社は、従業員にかかる社会保険料の半分を負担しなければなりません。

 

先にお伝えしたようにその保険料は損金算入できますが、従業員を雇うごとにコストが増えるというのは会社設立のデメリットです。

従業員が社長1人だけの場合も、国民健康保険と国民年金を納める個人事業主よりも社会保険料は高額です。

 

(3)会社のお金を使う場合に制限がある

個人事業主の場合は、稼いだお金は全て事業主のものとなり、自由に使うことができます。

しかし、会社設立をすると、会社と個人のお金が明確に区別されるようになります。

社長の給料も、役員報酬として会社から受け取るという形に変わります。

 

また、役員報酬の額は自由に変更することができず、決算日の翌日から3ヶ月以内に決定した「定期同額給与」しか経費として計上することができません。

 

(4)税務会計など、事務作業が煩雑

会社設立をすると、個人事業の時よりも提出書類が増え、しかも複雑になります。

確定申告の提出資料だと、個人事業主は書類3~4枚で済ませられますが、法人の場合は法人税の決算申告で少なくとも30~50枚も必要となります。

 

そのため、手続きのために従業員を雇う、申告のために税理士と契約をするなどの必要が出てくるでしょう。

そのためのコストがかかるのも、会社設立のデメリットです。

 

(5)設立と解散に手間と費用がかかる

会社設立には、個人事業よりも何かと費用がかかります。

例えば、個人事業の開業なら書類を提出するだけなので0円ですが、株式会社設立には手続き費用として、登録免許税などが最低でも20万円ほどかかります。

 

また、会社設立をすると税務や保険関係の手続きが複雑になるため、税理士や社労士に依頼する費用もかかります。

さらに、会社を廃止するときにも、解散手続きや官報広告費用に8万円ほどの費用がかかることを知っておきましょう。

 

≪4.メリットはある?会社設立すべきかのポイント≫

会社設立のメリットは、シンプルにいうと「信用性」と「節税」です。

 

すでに個人事業を行なっていて、経営のノウハウが備わり、今後も事業拡大の見込みがある場合は、会社設立をするメリットが大きいです。

節税できる額が、会社設立費用やランニングコストを上回った時点で会社設立を考えていいでしょう。

ちなみに、実利の面では、個人事業主より会社設立をした方が得になるボーダーラインは「事業所得600~800万円」と言われています。もちろん、従業員を雇用しているケースなどもありケースバイケースではあるため、税理士に一度シュミレーションしてもらいましょう。

 

また、新規事業を開始したいときなど、まとまった事業資金が必要なタイミングに合わせて会社設立をするのも一つの方法です。

完全に新規起業をする場合は、「その仕事で自分や家族が食べてさえいければいいのか」、それとも「事業を成長させていずれは大企業に育てたいのか」という将来のビジョンが重要になります。

法人化や、会社設立をするタイミングは人それぞれですが、いずれにせよしっかりした事業計画と必然性があるということが重要です。

 

≪5.まとめ≫

会社設立のメリットは、社会的な信用が高く、事業の運営がスムーズになること。

税制上の優遇措置も法人向けのものの方が多く、節税目的で会社設立する人もいます。

 

しかし、会社設立には何かとコストがかかり、リスクが大きいのも事実。

会社設立を行うなら、事業のビジョンをしっかりと検討し、得になるタイミングを見極める必要があります。

2020/03/12 会社設立にかかる費用は?最低金額・内訳を解説

会社設立の費用は、設立したい会社の種類によって異なります。

現在、設立できる会社の種類は「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類。

ただし、実際に設立される会社の数は株式会社・合同会社の2種類が圧倒的に多いです。

 

今回は、その株式会社・合同会社の設立に関する費用について解説していきます。

 

1.≪株式会社設立の費用≫

それではまず、株式会社の設立にかかる費用を解説していきます。

株式会社の設立には、定款の認証・登記という手続きが必要となり、合同会社よりも設立費用が高くなります。

 

(1)必要な法定費用は242,000円

株式会社設立の手続きにかかる費用は、資本金・雑費を除くと24万2,000円。

その内訳は、以下のようになっています。

 

定款認証手数料:5万円

収入印紙代:4万円

定款の謄本手数料:2,000円

登録免許税:15万円

 

これらを合計すると、上記の24万2,000円という金額になります。

これは会社設立の手続きに必ず必要になるものです。相場などによる変動や、安くする方法はありません。

 

ただし、収入印紙代の4万円については、電子定款で会社を設立する場合にはかかりません。

電子定款を選択すると、紙媒体の定款自体が存在しないので、定款に印紙を貼り付ける必要がなくなるためです。

そのため、電子定款で株式会社を設立する場合、費用の合計は20万2,000円となります。

 

(2)その他にかかる雑費

株式会社設立の手続きを行うためには、必要な書類や印鑑の作成費用がかかります。

手続きにあたってかかる雑費の相場は、全て合わせて1万円ほど。

その内訳は、以下のようになります。

 

実印作成費(4本分):約5,000円~

印鑑登録の費用:約300円

印鑑証明書の発行費:約450円×必要枚数

登記簿謄本の発行費:約500円×必要枚数

 

雑費の中でもっとも大きな出費となるのが、実印作成費。

会社を設立する手続きには、「会社実印(代表社印)」「会社銀行印」「角印(社印)」「住所印(ゴム印)」という4種類の印鑑が必要となります。

安くても1本1,000円以上はかかるので、合計5,000円ほどは見込んでおいた方がいいでしょう。クオリティにこだわると、もっと費用がかかります。

 

印鑑証明や登記簿謄本の発行費は、自治体によって金額が異なるので、上記の金額は目安程度と思っておいてください。

 

(3)資本金はいくらにすべき?

株式会社の設立には資本金が必要です。

2006年に新会社法が施行されてからは、資本金1円からでも会社設立が可能になりました。

しかし、安易に資本金1円で起業してしまうと、様々なデメリットがあります。

 

資本金とは、端的にいうと会社の運転資金なので、これが少なすぎると経営を維持する力が弱いということになります。

金融機関や取引先から「すぐに倒産するのでは?」と思われてしまうと、資金調達や販路拡大が難しくなってしまうのです。

株式会社の資本金は、業種にもよりますが100~1,000万円くらいが相場となっています。可能な限りで、できるだけ多く資本金を集めた方が、設立後の事業がやりやすくなるでしょう。

 

ただし、多ければ多いほど良いというわけではありません。

なぜなら、先にご紹介した登録免許税は、資本金が2,140万円以上になると15万円より高くなるためです。

登録免許税の金額は、正式には「15万円、または資本金の0.7%(資本金の0.7%が15万円を上回る場合)」となっています。

「資本金の0.7%=15万円」となるのが2,140万円なので、これを超えると手続きにかかる法定費用が高くなるということは知っておきましょう。

 

2.≪合同会社設立の費用≫

次に、合同会社を設立するための費用について解説していきます。

合同会社の場合、手続きのステップが少なく、登録免許税も株式会社より安いので、設立費用を抑えることができます。

 

(1)必要な法定費用は10万円

合同会社設立の手続きに必要な費用は、10万円です。

こちらも、国に支払う法定費用なので、相場による変動や安い金額に抑える方法はありません。

費用の内訳は、以下のようになっています。

 

収入印紙代:4万円

登録免許税:6万円

 

合同会社を設立する場合、株式会社で必要な定款の認証という手続きが不要です。

そのため、定款認証手数料や、認証に必要な謄本の作成費用は必要ありません。

 

株式会社の場合と同様、電子定款の場合は収入印紙代の4万円も不要となります。

ですから、合同会社設立に最低限必要な費用は、登録免許税の6万円のみです。

 

資本金の0.7%が6万円を超える場合には、登録免許税はそちらの金額になります。

つまり、資本金が8,571,428円を超えると法定費用が高くなるということは覚えておきましょう。

 

(2)その他の雑費は株式会社とほぼ同じ

法定費用以外にかかる雑費の相場は、株式会社とほぼ同じで合計1万円程度です。

 

実印作成費(4本分):約5,000円~

印鑑登録の費用:約300円

印鑑証明書の発行費:約450円×必要枚数

登記簿謄本の発行費:約500円×必要枚数

 

そのため、合同会社設立にかかる費用の合計は、最低7万円ほど。

株式会社設立にかかる費用の1/3以下なので、とにかく安い方法を選びたい方には合同会社設立がおすすめです。

 

(3)資本金はいくらにすべき?

合同会社の資本金は、株式会社の場合と同じく最低1円でもOKです。

しかし、こちらも株式会社の場合と同じく、資金調達や販路拡大が難しいというデメリットがあります。

 

合同会社の資本金の相場は、50~300万円ほどです。

具体的には、「事業の準備にかかる資金+3~6ヶ月分の運転資金」を計算して、適切な金額を考えましょう。

ただし、先にもお伝えしましたが、資本金857万円を超えると登録免許税が高くなるということは知っておいてください。

 

3≪会社設立の費用を安くする方法≫

会社設立の費用を安くする方法は、あまり多くありません。

ここまでも何度かお伝えしてきましたが、会社設立の手続きにかかる費用は国に支払う法定費用のためです。

 

唯一削れるのは、定款に貼る収入印紙代の4万円。定款を紙ではなく電子定款にすれば、収入印紙代を支払わずに済みます。

ただし、電子定款は誰でも無料で作成できるわけではありません。

 

まず、電子定款はPDFで作成し、その中に電子署名を挿入する必要があります。

PDFデータ自体はフリーソフトでも簡単に作ることができますが、電子署名を挿入するにはAdobe Acrobatなどの専門ソフトを使わなければいけません。

このAdobe Acrobatの購入には、3万円ほどの費用がかかります。

 

また、電子署名を作成するには、あらかじめ電子証明書の交付を受けておく必要があります。

電子証明書の交付を受けるために、マイナンバーカードを読み取るカードリーダーを用意しなければいけません。

カードリーダーの価格は2,000円ほどなので、電子定款を作成する費用相場は32,000円程度と思っておきましょう。

 

ちなみに電子定款は、税理士や司法書士に作成を依頼することも可能です。

この場合、ソフトやカードリーダー代を節約できる代わりに、報酬として5,000円ほどがかかります。

そのため、もっとも法定費用が安いのは、「電子定款+作成を外注」という方法です。

 

4.≪会社設立費用を経費として計上するには≫

会社設立にかかった費用は、開業前のものも含めて会社の経費にすることが可能です。

設立時の費用は、「創立費」と「開業費」の2種類に分けて経費に計上します。

 

創立費:設立の準備にかかった費用(設立手続きに必要な書類の作成費用、登録免許税など)

開業費:設立後の開業準備段階に費用(調査費用、事前広告費、打ち合わせにかかった飲食代など)

 

ただし、会社設立後も経常的にかかっていく費用については、創立費または開業費として経費計上することができません。

設立と同時にかかった費用であっても、以下のようなものは通常の仕訳を行います。

 

・土地や建物の賃借料

・通信費

・事務用消耗品費

・仕入れ費用

・社員の給与

など

 

また、事務所や店舗を借りた時の敷金など、後日戻ってくるお金も開業費にすることはできません。

 

5.≪まとめ≫

会社設立にかかる費用は、株式会社で「約25万円」、合同会社で「約10万円」。この他に、会社の運転資金として使う資本金も必要です。

 

会社設立の費用は法定費用なので安くする方法は少ないですが、紙ではなく電子定款を選択することで収入印紙代4万円の節約が可能です。

ただし、電子定款の作成にもソフトなどの購入費や、外注する場合は報酬がかかることは知っておきましょう。

2020/03/05 会社設立時の資本金はいくら用意すべき?資本金額を決めるポイントとは

資本金とは、会社設立時に元手として用意するお金のことです。

新会社法の施行で、資本金は1円でも会社設立ができるようになりましたが、実際にはある程度まとまった金額を用意する経営者が多いです。

 

今回は、資本金の意味や、資本金の金額はどのように決めるべきかを詳しく解説。

資本金が少なすぎることのデメリットや、実際の払い込み手順についても知っていきましょう。

 

1.≪会社設立には資本金が必要≫

会社設立の際には、資本金が必要となります。

ただし、4種類ある会社の形態のうち、「合名会社」「合資会社」の2つでは信用や労務、現物出資が可能で、必ずしも現金を集める必要はありません。

しかし、実際に設立される会社に多い形態は、残り2つの「株式会社」「合同会社」です。この2種類の会社を設立する場合には、資本金が必須となります。

 

そもそも、資本金とは何かというと「事業を開始し、当面の間運営していくための資金」です。

もちろん、金融機関などから融資を受けたり、出資を募ったりして資金を増やすことはありますが、全ての元手になるのがこの資本金です。

 

その資本金はいくら用意すればいいかという、明確な決まりはありません。2006年の新会社法施行以降、資本金1円からでも会社設立ができるようになりました。

 

しかし、1円起業にはデメリットも多いので、ほとんどの起業家はある程度まとまった金額を資本金として用意します。

1円起業のデメリットや資本金額の目安については、後の項目で詳しく解説します。

 

ちなみに、資本金と似た言葉に「資本準備金」というものがあります。

これは、簡単にいうと万が一の時のための積立金。資本準備金の金額は、資本金の半額までと定められていて、業績が悪化した場合には資本準備金を取り崩すことで会社財産を維持することができます。

資本金とは異なり、資本準備金は必須のものではありません。

 

2.≪会社設立時の資本金の決め方≫

それでは具体的に、資本金はいくら用意すればいいのかを解説していきます。

もちろん、業種や経営方針によって必要な金額は異なりますが、基準となるポイントを見ていきましょう。

 

(1)目安は3ヶ月~半年分の運転資金

多くの会社が資本金額の目安とするのが、開業資金+3~6ヶ月分の運転資金です。

 

起業してすぐに経営が軌道に乗り、十分な利益が出せる会社というのはごく少数。ほとんどの会社は、開業からしばらくは赤字や少ない利益で会社を維持していくことになります。

そんなとき、資本金が少なすぎるとすぐに資金が底をつき、せっかく設立した会社がすぐに潰れてしまいます。

 

ですから、安定した利益を出せるようになるまで、会社を維持する体力として資本金が必要なのです。

開業後、赤字でもかかる経費(固定費)としては、以下のようなものがあります。

 

・事務所や店舗の家賃

・商品の仕入れ代金

・従業員の給与

・水道光熱費・通信費

など

 

毎月かかるこれらの経費を計算し、3~6ヶ月は赤字でも経営していけるように備えましょう。

 

また、当然それとは別に開業資金も必要です。

開業資金として必要な額は、業種によってかなり幅があります。例えば、大規模な工場が必要な製造業なら数千万円かかることもありますし、PC1台で始められるITやサービス業なら数十万円で十分ということも。

資本金を決定する前に、まずは開業準備と半年後までの経営の見通しを立て、必要な金額を算出してみましょう。

 

(2)取引先・金融機関からの信用を考慮する

次に、取引先や金融機関といった、他者から見た場合の資本金について考えていきましょう。

 

先に解説したように、資本金が少ない会社は開業直後に潰れてしまうリスクが高いです。

そんな会社に、商品を卸したり融資したりしたくないのは、当然と言えるでしょう。

そのため、資本金が少ないと取引先や金融機関から敬遠されてしまい、事業がうまく拡大できない可能性も。取引先や金融機関からの信用を得るためには、資本金は多いに越したことはないのです。

 

(3)税金負担額とのバランスを見る

一方、資本金は多ければ多いほどいいという訳ではない面もあります。

それは、税金負担額にも資本金が関わってくるためです。

資本金額によって税務上の違いが生じるボーダーラインは、1,000万円1億円です。

 

まず、1,000万円のボーダーラインで変わるのが消費税。

資本金1,000万円未満の会社の場合、設立から2年間は消費税の納付が免除されますが、1,000万円以上で起業すると、初年度から消費税の納付義務が生じてしまいます。

 

また、法人住民税の均等割についても、資本金1,000万円をボーダーラインとして変わります。

金額は自治体によりますが、例えば、東京都内で従業員が50人の会社の場合、資本金が1,000万円以下では7万円、1,000万円超では18万円と、倍以上の差があります。

 

資本金1億円のボーダーラインでは、さらに様々な違いが出てきます。

これは、資本金1億円以上の会社は「大企業」、1億円未満の会社は「中小企業」と定義されているためです。中小企業と大企業では、法人税の税率や交際費の経費計上、欠損金の繰戻還付など、税制上の扱いが根本的に異なります。

また、国や地方自治体が実施している中小企業向けの施策や補助金等も、資本金1億円をボーダーラインとして適用されなくなるものが多いです。

 

(4)許認可に資本金額が必要な業種も

最後に、業種ごとに定められている資本金額について解説します。

 

基本的に、会社設立は資本金1円から可能ですが、業種によっては一定額以上の資本金がないと、営業の許認可が取れない場合があります。

許認可に資本金の要件がある業種と金額は、以下の通りです。

 

・人材派遣業:2,000万円

・特定建設業:2,000万円

 

3.≪会社設立時の資本金が低すぎることによるリスク≫

先にもお伝えしましたが、資本金は最低1円からでも会社設立が可能です。

しかし、資本金が少なすぎるとデメリットが多く、思うように事業を運営できない可能性も。

資本金が少なすぎることで、起こりうるリスクについて知っていきましょう。

 

(1)融資が受けられない可能性がある

資本金が少ないと、まず銀行からの融資を受けにくくなります。

先にもお伝えした通り、資本金は会社の体力なので、資本金が少ないとすぐに倒産してしまいかねません。

回収の当てがない会社にお金を貸したくないのは当然で、金融機関からの融資を断られてしまう可能性が高くなります。

 

また、起業時に利用する方が多い日本政策金融公庫の新創業融資も、融資の条件に「創業資金の3分の1以上の自己資金を確認できること」があります。

他にも、資本金が少ない場合、法人口座を作ることもできないケースがあります。形式上、会社を作ることができるのと会社の信用力は別のものであることを理解しましょう。

 

(2)取引してもらえない可能性がある

よく知らない会社について調べる際、資本金を重視する人は多いです。

資本金が多ければ、それだけ会社の体力があるということで、もし事業がうまくいっていなくても長く運営を続けていけるという指標になります。

また、資本金が多いほうが事業への本気度が高いとみなされ、資本金が少ないと遊びの延長のように思われてしまいかねません。

 

新規起業でこれから顧客や取引先を確保しなければいけないという場合、信用を得づらくなり、事業拡大がしにくくなるのです。

 

(3)債務超過になりやすくなる

債務超過とは、債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態ということです。

少なすぎる資本金で会社を設立すると、少額の借入をしただけですぐに債務超過になってしまいます。

 

債務超過の会社は、取引先・金融機関・出資者などからのイメージが非常に悪いです。

起業して早々に債務超過にならないためにも、やはり開業資金と当面の運転資金は用意しておいたほうがいいでしょう。

 

4.≪資本金の払い込み方≫

最後に、会社設立時に資本金の払い込みを行う方法について解説します。

 

(1)発起人の銀行口座を用意

会社設立時には、まず発起人名義の個人口座を用意し、そこに資本金を入金します。

口座の開設はいつでも問題ありませんが、入金のタイミングは定款認証日よりも後である必要があるので注意してください。

 

入金を行ったら、会計処理を行います。

例えば資本金を300万円用意した場合、仕訳処理の方法は以下の通りです。

 

借方:現金 3,000,000円

貸方:資本金 3,000,000円

摘要:資本金の払込

 

(2)通帳のコピー作成

資本金の払い込みを行ったら、会社の設立手続きのためにその証明が必要となります。

その証明に必要なのが、通帳のコピーと払込証明書です。

通帳は、

 

・表紙

・表紙裏

・振込内容が記帳されているページ

 

の3ヶ所をコピーします。

証明には支店名・支店番号、銀行印が必要なので、その箇所が含まれているかどうか確認しましょう。

 

また、振込内容が記帳されているページは、発起人の名前と金額にマーカーなどで印をつけておくと、会社設立時の手続きがスムーズになります。

 

(3)払込証明書を作成

最後に、以下の内容を記載した払込証明書を作成します。

 

・日付

・本店所在地

・会社名(商号)

・代表取締役の氏名

・払込があった金額

・払込があった株数

・1株の払込金額

 

この7つの項目と、「証明書の左上」「代表取締役氏名の右側」の2ヶ所に会社代表印が必要となります。

資本金の証明をして登記が終わったら、いつでも資本金を使うことができます。

発起人個人の口座から法人口座へ資本金を移動し、初期費用などにあてましょう。

 

5.≪まとめ≫

資本金は開業後の経営の元手となり、対外的にも会社の持続力をあらわす重要なお金です。

最低1円からでも会社設立はできますが、開業後の経営を考えるとある程度まとまった金額を用意したほうがスムーズです。

 

資本金は会社設立の手続きの前に現金で用意する必要があるので、計画的に準備を進めていきましょう。

2020/02/27 免税事業者とは|課税事業者とどっちがお得?

免税事業者とは、消費税の納付が免除される事業者のこと。消費税の納付義務はありませんが、消費税分の上乗せ請求はできるため、免税事業者であることのメリットは大きいです。

 

しかし、2023年に始まるインボイス方式の影響で、免税事業者はお得なだけではなくなります。

免税事業者の要件や、今後の展望について詳しく見ていきましょう。

 

 

1.≪免税事業者とは≫

免税事業者について知るには、まず消費税の仕組みを知る必要があります。

 

通常、事業者は商品やサービスの値段に消費税を上乗せし、顧客や取引先から消費税を徴収します。

課税事業者は、消費者からいったん預かった消費税を、後日まとめて国に納付する義務があるのです。

 

このように、実際に税金を負担する人と税金を納める人が違うため、消費税は「間接税」と呼ばれています。

商品の仕入れのために事業者が支払った消費税は、「仕入税額控除」という形で納付額から差し引くことができます。

 

免税事業者とは、この消費税の納付を免除される事業者のことです。

免税事業者となるためには、売上額や資本金額など一定の要件を満たす必要があります。

 

2.≪免税事業者となる基準≫

免税事業者となるための基準は、次の3つです。

 

・基準期間の課税売上高が1,000万円以下

・資本金の額または出資金が1,000万円未満

・新規開業から2年以内

 

(1)基準期間の課税売上高が1,000万円以下

免税事業者となる要件一つ目は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下ということです。

基準期間とは、以下の通り。

 

・個人事業主の場合:その年の前々年

・法人の場合:その事業年度の前々事業年度

 

つまり、大まかにいえば、売上高が1,000万円を超えるまでの期間と、その後2年間は免税事業者ということになります。

ただし、例外として、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合は免税事業者と認められません。

 

この特定期間とは、以下の期間を指します。

 

・個人事業主:その年の前年の1月1日〜6月30日までの6ヶ月間

・法人:その事業年度の前事業年度開始日から6ヶ月間

 

要するに、2年前の売上が1,000万円以下であっても、前年に半年間で1,000万円以上の売り上げがあると課税事業者になるということです。

 

(2)資本金の額または出資金が1,000万円未満

基準期間の売上が1,000万円以下だったとしても、資本金が1,000万円以上の法人は消費税の納付が免除されません。

資本金1,000万円以上の事業者は、原則的に課税事業者となるということです。

 

起業するとき、資本金はできる限り多く用意した方が金融機関等からの印象はいいですが、このボーダーラインがあるため資本金を1,000万円以下に抑える企業も多いです。誰にも相談することなく資本金を決定してしまうと、第1期目から消費税を納税しないといけないケースも出てくるので、会社設立の際には税理士に相談すべきでしょう。

 

(3)新規開業から2年以内

先にも触れたように、免税事業者かどうかを判断する「基準期間」は、その年の前々年または前々事業年度です。

開業から2年以内の事業者は、当然2年前の売上はありません。どんな事業者でも、新規開業から2年以内は免税事業者ということになります。

 

個人事業主が法人化した場合には、法人化した時点で個人事業主時代の売上はリセットされます。

免税事業者である期間を伸ばすために、売上が1,000万円を超えた時点で法人化する個人事業主も多いのです。

 

また、先にもお伝えしたように、資本金・出資金1,000万円以上の法人は免税事業者にはならないため、設立1期目から消費税を納付する義務があります。

 

3.≪免税事業者でも消費税の上乗せ請求は可能?≫

ここまでの説明を見ると、消費税の納付義務がない免税事業者が商品やサービスの料金に消費税を上乗せするのは、一見フェアではないように思えます。

 

しかし、免税事業者であっても消費税を上乗せ請求することは可能です。

なぜなら、消費税法や国税庁の通達では「免税事業者は消費税を請求してはいけない」という決まりがないためです。

また、消費税を上乗せ請求できないと、仕入れなどの際に他の事業者に支払う消費税を自己負担しなければいけないことになります。

 

経理処理上は、免税事業者は「税抜き処理」「税込み処理」どちらを選択してもいいことになっています。

ちなみに、2019年10月1日の消費税引き上げに伴い、消費税には「区分記載請求書保存方式」が導入されました。仕訳や請求書では税率8%の品目と税率10%の品目を分けて表示する必要があります。

 

4.≪課税事業者とどちらが得?選択のポイント≫

それでは、課税事業者と免税事業者では、どちらが得になるのかを見ていきましょう。

 

(1)インボイス方式導入で免税事業者は不利に?

消費税率引き上げ・軽減税率導入に伴って、2023年10月から「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が始まります。

これによって変わるのは、仕入れなどで他の事業者に支払った消費税を納付時に相殺する「仕入税額控除」のシステムです。

インボイス方式が導入されると、事業者は適格請求書(インボイス)に記載された消費税のみしか仕入税額控除ができなくなります。

 

インボイスを発行できるのは、登録を受けた課税事業者のみ。免税事業者はインボイスを発行できないため、この制度が始まると免税事業者から取引先事業者に消費税を請求するのが難しくなります。

そうなると、仕入れの際に支払った消費税は免税事業者が自己負担することになります。

 

また、インボイスを発行できないことが理由で、取引先がインボイス発行可能な同業他社へ乗り換えてしまう可能性もあり、免税事業者は不利になってしまいます。

そのため、インボイス方式が導入される2023年10月以降は、課税事業者の方がメリットは大きいケースが多くなります。

 

インボイス方式は、2023年10月から段階的に始まり、2029年10月以降は免税事業者からの仕入れに関わる仕入税額控除が完全にできなくなる予定です。

現在、免税事業者になっている事業者も、時期を見て課税事業者に移行するべきでしょう。

 

(2)課税事業者のほうが良い場合とは

インボイス方式導入前であっても、課税事業者の方が有利な場合もあります。

 

課税事業者になった方が有利なのは、消費者から預かる消費税より、取引先に支払う消費税の方が多いケース。仕入税額控除の制度を利用して、差額分の消費税の還付を受けることができます。

 

①輸出をしている

ここまで解説してきた消費税のやりとりは、あくまで国内での取引の場合。輸出による売上高は免税取引なので、そもそも預かる消費税は0円です。

 

しかし、輸出するために国内業者から仕入れた商品の代金や、物流サービスの料金は、当然消費税が含まれた金額を支払います。

輸出を行なっている事業者は預かる消費税より支払う消費税の方が多く、免税事業者の条件に当てはまっていても、課税事業者として申告した方が得できるのです。

 

②設備投資の額が大きい

設備投資には多額のお金がかかりやすく、支払う消費税が多くなりやすくなります。

 

例えば、不動産業者がビルを建てて貸し出した場合、まずビルの建設に多額の建設費と、それに伴う消費税がかかります。

その後、ビルを貸し出して家賃収入を得たとしても、その年中に借主から預かる消費税より、建設のために支払った消費税の方が多くなるはずです。

 

多額の設備投資を行なった場合には、課税事業者になった方が消費税の還付を受けられ、得できるということになります。

 

5.≪まとめ≫

免税事業者となるための条件は、2年前の売上高が1,000万円以下であることと、資本金が1,000万円以下であることです。

免税事業者は、代金に消費税を上乗せ請求できるにも関わらず、納税の義務はないため、最大10%の得ができることになっています。

 

しかし、2023年にはインボイス方式が始まり、免税事業者は仕入税額控除の仕組み上不利になります。免税事業者の申告納税は任意なので、状況を見て経営にとって得になる判断をするようにしましょう。

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2020/02/20 基礎控除とは?税制改正に伴う変更のポイントも解説

所得税・住民税の計算をするとき、誰でも所得から差し引くことができるのが「基礎控除」です。

現在、基礎控除は一律38万円ですが、税制改正により令和2年度以降の所得は計算方法が変わります。

 

今回は、税制改正で変更となる点や、基礎控除の計算方法を詳しく解説します。

関連して、給与所得控除・相続税の基礎控除についても見ていきましょう。

 

 

1.≪基礎控除とは≫

基礎控除とは、全ての納税者が所得額から差し引ける控除のことです。

まずは、基礎控除の基本的な知識について知っていきましょう。

 

(1)所得税の基礎控除

そもそも控除とは、個人の事情に合わせて課税額を調整するためにある制度です。

例えば、一人身で特段の事情がない人と、養う家族がたくさんいたり、重い病気にかかっている人では、生活にかかる金額が異なります。

それなのに、所得額が同じなら一律で同額の税金を徴収していると、不公平が生じてしまうのです。

それを調整するために、一定の条件に当てはまる人は、総所得から控除を差し引いて課税所得を減らすことができるようになっています。

 

しかし、基礎控除は個人の事情に関係なく、誰にでも適用される控除です。

その金額は、現在38万円です。

つまり、年間の所得が38万円以下であれば、課税所得は0となり所得税がかからないことになります。

また、サラリーマン・アルバイトなどで、給与所得を得ている方には追加で、最小でも65万円の「給与所得控除」も受けられます。

このため、年間所得が「基礎控除38万円+給与所得控除65万円」の「103万円」なら、給与所得者は所得税がかかりません。

家族の扶養に入っている場合などに言われる「103万円の壁」は、基礎控除と給与所得控除の金額が根拠になっているのです。

 

ただし、令和2年度(2020年1月1日~12月31日)の所得にかかる所得税から、基礎控除の金額が改定されます。

この税制改正については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)住民税の基礎控除

所得税だけではなく、住民税にも基礎控除があります。

住民税の基礎控除額は、33万円です。

また、住民税には「人的非課税」という非課税制度があります。これは、生活保護世帯など一定の条件を満たしている場合、住民税を納める必要がないという制度です。

さらに、納税者に扶養親族がいない場合、所得金額が35万円以下なら住民税は課税されません。

そのため、住民税の基礎控除は基本的には33万円ですが、非課税限度額は35万円と言えます。

 

2.≪「基礎」以外のおもな「控除」≫

誰でも受けられる基礎控除以外に、様々な条件を満たすと受けられる控除があります。

その中から、適用される人が多い「扶養控除」「配偶者控除/配偶者特別控除」「社会保険料控除」について解説していきます。

 

(1)扶養控除

扶養控除とは、子供や親など、配偶者以外の家族・親族を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者を扶養している場合の控除は制度が異なるため、次の項目で解説します。

 

税制上、「扶養している」と言える家族・親族の条件は、以下の通りです。

・年間の所得金額が38万円以下(給与所得103万円以下)

・16歳以上の親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)

・納税者と生計を一にしている

 

このような家族・親族が納税者の収入で生活していると、一人当たり以下の金額が控除されます。

・一般の控除対象扶養親族(16歳以上):38万円

・特定扶養親族(19歳以上23歳未満):65万円

・老人扶養親族(70歳以上・同居老親等以外):48万円

・老人扶養親族(70歳以上・同居老親):58万円

 

(2)配偶者控除/配偶者特別控除

配偶者控除・配偶者特別控除は、妻・夫を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者控除に当てはまる家族の条件は、以下のようになっています。

・配偶者であること

・納税者と生計を一にしていること

・配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であること

・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、又は、白色申告者の事業専従者でないこと

 

配偶者控除の金額は、以下の通りです。

 

納税者の所得が900万円以下の場合

一般の控除対象配偶者:38万円

老人控除対象配偶者:48万円

 

納税者の所得が900〜950万円の場合

一般の控除対象配偶者:26万円

老人控除対象配偶者:32万円

 

また、配偶者特別控除は、以上の条件のうち収入面のみ満たしていない場合に受けられます。

配偶者特別控除は、年間所得が38万円以上123万円以下の場合かつ、納税者の所得が1,000万円以下の場合に適用されます。

配偶者特別控除の金額は、納税者と配偶者の所得金額のバランスによって異なります。

 

(3)社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者本人や生計を一にしている家族・親族の社会保険料を支払った場合に適用されます。

控除金額は、支払った社会保険料の全額です。

 

3.≪税制改正で基礎控除はどう変わる?≫

令和2年度(2020年1月1日~12月31日)分の所得から、基礎控除額・給与所得控除額が変更になることを国税庁が決定しました。

基礎控除に関わる税制改正の内容について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)税制改正のポイント

今回の税制改正では、

・基礎控除額の引き上げ

・給与所得控除額の引き下げ

が行われます。

以下の項目で、変更点を詳しく解説します。

 

①基礎控除引き上げ

まず、現在38万円の基礎控除額は、最大48万円に引き上げられます。

これまでは、所得総額に関わらず基礎控除は一律でしたが、改正以降は所得金額によって基礎控除の金額が異なるようになります。

税制改正後の、年間の合計所得金額と基礎控除の関係は以下の通り。

 

【所得税の基礎控除額】

〜2,400万円:48万円

2,400万円〜2,450万円:32万円

2,450万円〜2,500万円:16万円

2,500万円〜:なし

 

また、これに伴い、現在一律33万円となっている住民税の基礎控除も変更になります。

 

【住民税の基礎控除額】

〜2,400万円:43万円

2,400万円〜2,450万円:29万円

2,450万円〜2,500万円:15万円

2,500万円〜:なし

 

②給与所得控除引き下げ

給与所得者に適用される給与所得控除は、基礎控除とは逆に最大10万円引き下げられます。

また、給与所得控除の上限金額が適用となるのも、現行の1,000万円から850万円に引き下げられます。

税制改正後の、給与収入金額と給与所得控除の関係は、以下の通りです。

 

〜162.5万円:55万円

162.5万円〜180万円:収入金額×40%ー10万円

180万円〜360万円:収入金額×30%+8万円

360万円〜660万円:収入金額×20%+44万円

660万〜850万円:収入金額×10%+110万円

850万円〜:195万円(上限)

 

(2)税制改正で税金は上がる?下がる?

今回の税制改正を大まかにまとめると、「年収850万円以上の人は増税・850万円以下の人は変わらない」と言えます。

年収850万円以下の方は、基礎控除額と給与所得控除額がそれぞれ±10万円のため、実質的には影響を受けません。

年収850万円以上の方は、基礎控除額と給与所得控除額の合計が改正前よりも少なくなるため、所得税が増税されます。

また、給与所得控除に関係がない自営業やフリーランスの方は、基礎控除額の引き上げのみが適用されるため、減税となります。

 

4.≪相続税の基礎控除の仕組み≫

所得税や住民税だけではなく、相続税にも基礎控除があります。

亡くなった人の財産を相続すると相続税が発生しますが、相続したのが一定の金額以下なら納税や申告が必要なくなるのです。

このボーダーラインを、相続税の基礎控除と言います。

相続税の基礎控除の計算方法は、以下の通りです。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。

内縁関係の配偶者や、義理の息子・娘といった関係の人は、実際に遺産を相続するとしても法定相続人には含まれません。

例えば、法定相続人の数が3人の場合、計算式は以下のようになります。

 

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

 

この場合、遺産の合計額が4,800万円以下なら相続税の申告・納税をする必要はありません。

また、遺産が4,800万円を超えている場合には、4,800万円を超えた金額にのみ相続税が課せられます。

 

5.≪まとめ≫

税制改正により、基礎控除は+10万円、給与所得控除は−10万円になります。

給与所得者で、年収850万円以下の方には影響がありませんが、年収850万円以上の方は増税、個人事業主やフリーランスの方は減税となります。

これにより、扶養控除や配偶者控除・配偶者特別控除の基準も変わるため、令和2年度分の確定申告には注意が必要です。

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2020/02/13 復興法人税とは?用途や税率、前倒し廃止の理由を解説

復興法人税は、東日本大震災の復興の財源とするため、法人に課せられていた特別税です。

徴収期間は2012年4月1日から2014年3月30日までで、当初の予定より1年早く廃止されました。

 

今回は、この復興法人税の概要や、廃止が前倒しされた理由について詳しく解説します。

また、個人向けの特別税である「復興所得税」についてもご紹介いたします。

 

1.≪復興特別法人税の概要≫

まずは、復興特別法人税とは何か、その概要について知っていきましょう。

 

(1)復興法人税とは

復興法人税とは、2011年に発生した東日本大震災の復興のための施策に必要な財源を確保するために実施された特別税で、平成23年12月に公布されました。

復興法人税の具体的な使い道は、以下の通り。

 

・被災者支援…被災者の生活再建への支援等

・住宅再建・復興まちづくり:復興道路などの社会インフラ整備等

・産業・生業(なりわい)の再生:観光復興や水産業の販路開拓支援等

・原子力災害からの復興・再生:避難指示が解除された区域での生活支援等

 

さらに詳しく復興法人税の使途を知りたい場合は、「東日本大震災復興特別会計歳出暫定予算予定額各目明細書」や復興庁のホームページで確認することができます。

 

復興法人税の課税対象は、全ての所得がある法人です。一般的な会社だけではなく、設立前の会社・町内会・政党要件を満たさない政治団体・マンションの管理組合といった、収益目的ではない法人でも、所得があれば課税されます。

 

ただし、赤字の会社などで法人税が課税されない場合には、復興法人税も同じく課税されません。

復興法人税が課税される法人は、各課税事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に復興特別法人税申告書を提出し、納税額を確定します。

 

2012年4月1日から、通常の法人税に上乗せして復興法人税の徴収が始まりました。

当初、徴収時期は2015年3月30日までの予定でした。しかし、2014年4月の消費税率引き上げの影響を考慮して1年早く廃止されました。

復興法人税の廃止については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)復興法人税の税率

復興法人税の税率は、「法人税額の10%」です。各事業年度の法人税課税額に対して、10%の税率をかけたものが復興法人税額となります。

大まかにいうと、復興法人税の徴収期間は、それ以外の期間と比べて法人税が1.1倍になるというイメージです。

 

ただし、利子など一定の所得に課された復興所得税など、復興法人税から控除できる金額もあります。

そのため、単純に法人税が必ずしも1.1倍になるというわけではありません。

 

また、復興法人税から控除しきれない復興所得税の額がある場合には、申告書を提出することで還付を受けることができます。

 

2.≪法人税引き下げと復興法人税との関係≫

復興法人税の制度は、2011年12月に行われた法人税率の引き下げとセットで実施されています。

先にお伝えしたように、復興法人税は法人税の納税額に基づいて決定されるので、復興法人税が追加で課されたとしても、実質的には減税となりました。

 

(1)軽減税率との関係

平成23年12月以前の、法人に課せられる法人税率は以下の通りでした。

 

大企業:30%

中小企業(年間所得800万円以上):30%

中小企業(年間所得800万円以下):22%

 

そして、平成23年12月の改正で、法人税率は以下のように引き下げられます。

 

大企業:25.5%

中小企業(年間所得800万円以上):25.5%

中小企業(年間所得800万円以下):15%

 

前の項目でお伝えした通り、復興法人税は法人税の10%なので、「法人税+復興法人税」の税率は以下のようになります。

 

大企業:28.05%

中小企業(年間所得800万円以上):28.05%

中小企業(年間所得800万円以下):16.5%

 

このように、法人税引き下げ・復興法人税の実施で、大企業と年間所得800万円以上の中小企業は「1.95%」、年間所得800万円以下の中小企業は「5.5%」もの減税になったのです。

震災復興のために税収が必要となるのにも関わらず、法人に対して実質的な減税を行なったことで、当時は「企業優遇」という批判の声も上がりました。

 

(2)地方税との関係

次に、法人が納める地方税と復興法人税の関係を見ていきましょう。

 

地方事業税に関しては、復興法人税の影響はありません。地方事業税は法人の所得が課税標準となり、復興法人税の実施に際して税率の変更もなかったため、従前通りです。

 

地方住民税については、税率自体に変更はないものの、課税標準となるのが法人税額なので、法人税引き下げ・復興法人税導入の影響を受けます。

先に触れたように、法人税は1.95%または5.5%の減税となるため、地方住民税も連動して減額されます。

 

3.≪復興特別法人税の「前倒し廃止」とは≫

復興法人税が実施された当初、課税期間は課されるのは2012年4月1日から2015年3月30日まで(9月決算法人では9月30日まで)の予定でした。

 

ところが、2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた影響で終了が1年前倒しされ、2014年3月30日(9月決算法人では2014年9月30日)で廃止されました。

消費税増税以外の廃止理由としては、賃金引上げを含む経済の好循環に繋がる、外国企業の誘致を促進し国際的競争力を高める、などが挙げられています。

 

具体的に、いつから復興法人税がかからなくなったかというと、3月決算の法人では2014年4月1日以降の事業所得、9月決算の法人では2014年10月1日以降の事業所得です。

個人の所得から徴収される復興特別所得税は、予定通り25年間続くため、たった2年で廃止された復興法人税は法人税率の引き下げと同じく「企業優遇」と批判を受けました。

しかし、復興法人税の廃止で浮いた金額を、従業員の賃上げに回すよう推進するということで断行されています。

 

4.≪継続中の復興特別所得税との違い≫

復興法人税の他に、復興特別税には復興所得税というものもあります。

 

復興法人税と復興所得税の違いは課税の対象者です。復興法人税は先にも触れた通り法人に、復興所得税は個人に課せられます。

 

復興所得税は全ての納税者が支払う税金です。サラリーマンなどの給与所得者は、源泉所得の際に復興所得税額も含めた金額を徴収されます。

給与以外の所得がある個人事業主等は、確定申告で所得税と復興所得税をあわせて申告し、納税します。

また、源泉徴収義務者は、従業員の給与からあらかじめ徴収した復興所得税を法定期限までにまとめて納付しなければなりません。

 

復興所得税が徴収されるのは、2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間です。

この期間中は、全ての納税者が通常の所得税に復興所得税を上乗せして納税します。

 

復興所得税の税額は所得税額の2.1%です。個人の所得税は、所得金額が高くなるほど税率も上がる累進課税制度を採用しているため、復興所得税の金額や負担割合も所得が高くなるほど高くなります。

 

5.≪まとめ≫

復興法人税は日本国内の法人が東日本大震災の復興のために納める税金です。

個人向けの復興所得税より税率は高いですが、法人税引き下げと同時に実施されて実質的に減税になったことや、短期間で廃止されたことが批判の的になったこともあります。

 

復興法人税はすでに廃止されている税金のため、今後の経理業務に登場することはありません。

しかし、復興所得税は徴収期間が2037年まで続くため、源泉徴収や確定申告の際に気をつけておく必要があります。

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