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2019/07/17 資金調達の方法は?融資以外や返済不要の調達方法もご紹介

会社を経営する上で悩まされることも多い資金調達。金融機関からの融資以外にも、様々な資金調達方法があります。

 

ここでは低金利・低リスクの方法から最新の資金調達方法まで、14種類についてメリット・デメリットをご紹介いたします。

 

古殿
古殿
個人で利用可能なものや、返済不要な方法もありますので、ぜひ最後までお読みください!

 

1.資金調達の方法

 

資金調達の方法には、大きく分けて以下の方法があります。

  1. ファクタリング
  2. 日本政策金融公庫からの融資
  3. 商工組合中央金庫からの融資
  4. 自治体の制度融資
  5. 銀行からの融資
  6. ビジネスローン
  7. 私募債
  8. 手形割引
  9. クラウドファンディング
  10. 自治体の補助金・助成金制度
  11. 知り合いや家族から借りる
  12. ベンチャーキャピタルからの出資
  13. 個人投資家からの出資
  14. ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

 

それぞれのメリット・デメリットや仕組みについて解説していきます。

 

(1)ファクタリング

ファクタリングとは、売掛金を専門の業者に買い取ってもらって行う資金調達の方法のことです。メリットは短い審査期間で返済不要な現金が手に入ること。「今すぐ現金が必要」という緊急性の高いシチュエーションに適しています。

ただし、金融機関などの金利に比べて、高額の手数料がかかるというデメリットも。ファクタリングを利用するかどうかは、調達コストと緊急性を見極めて決めましょう。

 

(2)日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫は政府出資100%の金融機関で、中小企業向けに融資を行っています。他の金融機関等より大幅に低金利なため、資金調達に時間がかかっても構わないなら、もっとも得ができる資金調達方法と言えるでしょう。

ただし、審査が厳しく、さらに審査には3週間〜1ヶ月かかるため、緊急性の高い資金調達には適していません。

 

(3)商工組合中央金庫からの融資

商工組合中央金庫は日本政策金融公庫と同じく政府系の金融機関です。日本政策金融公庫との違いは、信用保証協会の保証がつくことと、未上場なら中小企業以外も利用できること。全体的に、日本政策金融公庫を利用する企業よりも会社ステージが進んだ企業が受ける融資です。

なお、低金利というメリットや、審査に時間がかかるというデメリットは日本政策金融公庫と同じです。

 

(4)自治体の制度融資

自治体の制度融資とは、各自治体が信用保証協会・金融機関と連携し、融資を斡旋する仕組みです。制度は自治体によって異なりますが、日本政策金融公庫・商工組合中央金庫より低い金利で融資を受けられることもあります。

上限額などの条件は細かく異なるため、事業所を置いている自治体に問い合わせてみてください。

 

(5)銀行からの融資

 

銀行からの融資には、

  1. プロパー融資
  2. 制度融資

 

の2種類があります。

 

1.プロパー融資

プロパー融資とは、民間の金融機関がリスクを負って資金を貸し出すことです。そのため、ある程度信用を勝ち得るだけの業績がなければ、プロパー融資での資金調達はできません。創業間もない企業には、かなり厳しい方法です。

2.制度融資

制度融資とは、銀行と借主の間に信用保証協会を置く融資方法です。信用保証協会は国の機関で、万が一事業者が借りたお金を返済できなくなっても、リスクを銀行に代わって負ってくれます。銀行にはリスクがないため、創業したばかりの企業でも比較的審査に通りやすいです。

 

古殿
古殿
民間の銀行が打ち出している新規創業者向けの融資は、ほとんど信用保証協会を使っています。

 

(6)ビジネスローン

ビジネスローンは銀行や消費者金融が提供している法人向けローンです。無担保・無保証で借りることができ、審査も厳しくないのがビジネスローンのメリット。まだ実績がない中小企業でも借りることができます。

ただし、金利は高いのですぐに返せる目処が立っていない場合はあまり利用しないほうがいいでしょう。

 

(7)私募債

私募債は社債を発行して少数の投資家から資金調達する方法です。無担保・無保証ですが、魅力的な実績がなければ資金を出してくれる投資家がつきません。

また、私募債は投資家からの借金なので、金利の支払いと借金返済が必要になります。

 

(8)手形割引

手形割引とは、商取引で受け取った手形を銀行に売却し現金に変えることです。すでに持っている権利を売って資金調達するという意味では、ファクタリングに似ています。

ただし、手形割引の場合、売却した手形が不渡りになった場合には、その手形を買い戻す義務があります。

なお、利用にあたっては通常の融資と同じく審査があります。

 

(9)クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、事業内容に賛同してくれる人を集め、その人々から少額ずつ出資を募ることです。

 

クラウドファンディングには、

  1. 融資型クラウドファンディング
  2. 投資型クラウドファンディング
  3. 購入型クラウドファンディング
  4. 寄付型クラウドファンディング

 

の4種類があります。

1.融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングは、投資家が資金を企業に貸付する形式のクラウドファンディングです。投資家にとっては、貸し出した資金から利益を得られるので、資産運用ができるというメリットがあります。

企業側は、銀行等ほど厳しくない審査・金利で融資を受けられるのがメリットです。

2.投資型クラウドファンディング

 

投資型クラウドファンディングは、出資額に応じて株式を譲渡して資金調達をする方法です。少額でも出資者は株主となるので、ある程度株主の意向に沿った運営が必要となります。

また、まだ実現していない事業で投資型クラウドファンディングを行う場合、技術不足などで事業が実行できず、出資者にリターンができない可能性も。投資型クラウドファンディングを行う場合は、本当に実現可能な事業かどうかよく考えておくことが必要です。

 3.購入型クラウドファンディング

 購入型クラウドファンディングとは、資金調達の目標金額を達成した場合、出資額に応じた商品をリターンとして提供するものです。出資者は消費者感覚で参加する人が多く、事業の事前広告にもなります。

欲しがる人の多いアイデア商品の実現などに用いられることが多い方法です。

 

4.寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングとは、特に投資家に見返りを用意することなく出資を募る方法です。社会的に意義がある事業や、創業者自身を応援したいと思う人が多ければ、利益がなくても資金が集まることも。

企業だけではなく、ボランティア活動や慈善事業、個人的な夢を叶えるための資金調達としても用いられることが多いです。

 

(10)自治体の補助金・助成金制度

補助金・助成金制度は、自治体が独自に定めた条件に合致することで、返済義務のない融資・出資を受けられる制度です。例えば、特定の事業を応援する補助金や、従業員に特定の研修を行った時に受け取れる助成金などがあります。

条件は自治体ごとに様々なので、当てはまる補助金・助成金はないかどうか調べてみましょう。

 

(11)知り合いや家族から借りる

身近に資金を持っていて、事業を応援してくれる人がいるなら、その人から個人的に借りるのも手です。

ただし、身近な人といえども、お金のやりとりは信用問題。もし後々トラブルになった場合、人間関係が崩壊してしまいかねません。身内からお金を借りる時も、借りる前にはしっかりと条件を決め、借用書や契約書を用意するようにしましょう。

 

(12)ベンチャーキャピタルからの出資

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業や新規事業に投資するための機関のことです。スタートアップ企業の株を購入し、当初の株式の額と、公開後の売却額の差額で利益を出すことを目的にしています。

返済義務や限度額がありませんが、ベンチャーキャピタル側も投資目的のため、利益を出せる見込みがないと株主にはなってくれません。また、ベンチャーキャピタルが株主になるということは、ベンチャーキャピタルの意向にある程度沿った経営をする必要も出てきます。

 

(13)個人投資家からの出資

個人投資家はエンジェル投資家とも呼ばれ、有望な新規事業に投資支援を行っています。元起業家の個人投資家も多いので、有望だと見込まれればまとまった額の投資や経営アドバイスを受けることもできます。

ただし、将来の展望がない業種では投資家がつかないほか、必要以上に経営に口出しをする投資家もいるため注意が必要です。

 

(14)ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは、企業が「トークン」と呼ばれる独自の仮想通貨を発行し、そのトークンを世界中の投資家に購入してもらうことで資金調達を行う方法です。クラウドファンディングに似ていますが、違うのは企業が成長していくにつれてトークンの価値が高まっていくことや、投資家間でトークンの売買もできること。

古殿
古殿
新規事業の新たな資金調達方法として注目を集めています!

 

2.資金調達方法の選び方

上の項目でご紹介した資金調達方法は、担保や返済義務の有無、融資を受けられるまでの期間、条件など様々です。その中のどれを選べばいいのか、資金調達方法の選び方を解説します。

 

(1)会社の目指す方向によって変わる

資金調達には「必ずこれがいい」という方法はありません。会社の状況や目指す方向性によって、おすすめの資金調達方法は違います。

例えば、これから創業するスタートアップ企業は、事業実績や今後事業が軌道に乗る保障がないため、銀行からの融資は難しいです。

そのため、

  • 日本政策金融公庫の融資
  • ベンチャーキャピタルからの出資
  • 個人投資家(エンジェル投資家)からの出資
  • クラウドファンディング

など、返済義務がなくある程度まとまった額が調達できる方法がおすすめです。

 

(2)企業向け、個人向けで選ぶ

上でご紹介した資金調達方法を、企業向け・個人向けに分けると以下のようになります。

 

企業向け

  • ファクタリング
  • 日本政策金融公庫からの融資
  • 商工組合中央金庫からの融資
  • 自治体の制度融資
  • 銀行からの融資
  • ビジネスローン
  • 私募債
  • 手形割引
  • クラウドファンディング
  • 自治体の補助金・助成金制度
  • ベンチャーキャピタルからの出資
  • 個人投資家からの出資
  • ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

 

個人向け

  • 日本政策金融公庫からの融資
  • 自治体の制度融資
  • 知り合いや家族から借りる
  • クラウドファンディング
  • 自治体の補助金・助成金制度

 

企業向けの資金調達方法に比べ、個人向けは選択肢が少なく、規模も小さくなりがちです。

古殿
古殿
個人で出資を受けたい場合は、自然と選択の幅は狭まるでしょう!

 

(3)返済義務のない調達方法を選ぶ

万が一事業が失敗した場合、返済義務のある資金調達方法を選んでいると多額の借金を抱えることになります。そのため、創業間もなくてまだ軌道に乗っていない企業は、できる限り返済義務のない資金調達方法を選ぶのがおすすめ。信用保証協会を利用すると手数料が取られますが、大きなリスクを負うよりはずっと気楽ですよ。

 

4.まとめ

資金調達には、様々な方法があります。金利・融資額・審査期間・その後のリスクなども、方法によって千差万別。

古殿
古殿
そのメリット・デメリットを知っておいて、自分の企業にもっとも適した資金調達方法を選べるようになりましょう!

 

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2019/07/10 創業融資とは?どんな種類があるの?審査通過に必要なポイントを詳しく解説

創業融資とは、事業を創業・起業・独立・開業するとき、自己資金のみで事業資金を調達することができない場合に、他者から融資を受けることです。

新規事業を計画している人の中には、創業融資を検討している人も多いはずです。

今回は、日本政策金融公庫の新創業融資制度を中心に、創業融資について解説します。

古殿
古殿
創業融資はどこで借りれば良いのか、審査を通りやすくする方法もご紹介するので、ぜひ最後までお読みください!

 

1.創業融資とは

創業融資とは事業を創業・起業・独立・開業するときに融資を受けることです。

まずは、創業融資の仕組みや種類について見ていきましょう。

 

 

 

(1)起業・開業時にお金を借りられる融資制度

新規事業を創業する時には、当然ですがお金が必要になります。自己資金のみで創業資金をまかなえればいいですが、そうはいかない場合も多いでしょう。

そういった場合に、以下のような場所からお金を借りることを創業融資と呼びます。

 

  • 親兄弟、親族、親戚等
  • 日本政策金融公庫
  • 自治体の制度融資
  • 民間金融機関
  • ノンバンク等

 

(2)創業融資には2種類

上記のうち、利用する人が多いのが以下の2種類です。

  • 日本政策金融公庫
  • 自治体の制度融資

 

実は、その他の方法はあまり現実的ではありません。創業融資は実質的にはこの2つと思っていていいでしょう。

 

日本政策金融公庫の新創業融資制度

日本政策金融公庫は政府が100%出資している政策金融機関で、創業時には「新創業融資制度」という制度を利用して創業融資を受けられます。無担保・無保証人で利用することができるため、利用する人が非常に多い制度です。

 

自治体と信用保証協会・金融機関による制度融資

日本政策金融公庫の他に、各自治体の制度融資を利用する方法もあります。自治体の制度融資は、各自治体が信用保証協会・金融機関と連携し、融資を斡旋する仕組みを取っています。

自治体の融資制度は利子補給や信用保証料が厚い反面、財源に限りがあるため借入額が少なくなる傾向があります。また、日本政策金融公庫より融資実行に時間がかかることが多く、その点もデメリットと言えます。

必ず利用しなければいけないという決まりはありませんが、全体的には日本政策金融公庫の方がメリットは大きいです。

 

2.日本政策金融公庫の新創業融資制度とは

それでは、日本政策金融公庫の新創業融資制度について詳しく解説していきます。

 

(1)圧倒的な低金利

日本政策金融公庫の新創業融資は、一般的な銀行に比べて圧倒的に低金利です。

例えば、同じ100万円の融資を受けた場合、金利は以下の通り。

日本政策金融公庫

年 2.0%

 民間の金融機関

年 10.0%前後(銀行・条件による)

 

古殿
古殿
特に、300万円以下の小口融資なら、より金利の差が大きくなります。

 

(2)融資限度額は3,000万円

日本政策金融公庫の新創業融資の融資限度額は3,000万円です。先にもお伝えしましたが、自治体の融資制度は財源に限りがあるため、日本政策金融公庫よりも少額の融資になりやすいです。

創業時の資金は、今後の利益を生み出すための大事な元手となります。少額の融資しか受けられないと、事業がなかなか軌道に乗らなかった時などは運転資金が苦しくなります。

古殿
古殿
余裕を持って事業を運営していくためにも、日本政策金融公庫で十分な創業融資を受けるのがおすすめです!

 

(3)担保および保証人は原則不要(無担保・無保証)

前の項目でも触れましたが、日本政策金融公庫の新創業融資は無担保・無保証で借りられます。元手がない人や保証人を用意できない人も借り入れが可能なので、誰でも事業を起こすことができますね。

 

(4)審査期間の目安は3週間~1ヵ月

日本政策金融公庫の新創業融資の審査は3週間〜1ヶ月かかります。一般の消費者金融は数日、民間の金融機関なら1週間程度で融資が実行されるのに比べると、これは少し遅めです。

そのため、日本政策金融公庫は「すぐにお金が必要」というシチュエーションには対応できません。「この日を創業日にしたい」というこだわりがある方も、早めに申請を行なっておきましょう。

 

(5)新創業融資制度と新規開業資金との違い

日本政策金融公庫には、「新創業融資制度」と「新規開業資金」という名前の似た2つの制度があります。

 

これらの違いは、

  • 利用できる人
  • 貸付限度額
  • 担保・保証人の有無

の3点。

似ているようで違う2つの制度について、解説していきます。

 

利用できる人が違う

まず、「新創業融資制度」と「新規開業資金」は利用できる人が違います。

  • 新創業融資制度:新たに事業を始める方、または事業開始後で税務申告を2期終えていない方
  • 新規開業資金:新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方

 

事業を始めてから「新創業融資制度」「新規開業資金」で融資を申し込む場合、事業開始からの期間に違いがあります。「新創業融資制度」は、税務申告2期以内、つまりおおむね2年以内しか利用できない制度なのです。

 

貸付限度額の違い

「新創業融資制度」と「新規開業資金」の貸付限度額は、それぞれ以下の通り。

  • 新創業融資制度:3,000万円(うち運転資金1,500万円)
  • 新規開業資金:7,200万円(うち運転資金4.800万円)

 

古殿
古殿
「新規開業資金」の方が、「新創業融資制度」より2倍以上も大きな融資を受けられるのです!

 

新規開業資金は担保または保証人が必要

「新創業融資制度」は無担保・無保証で借りられますが、「新規開業資金」は担保または保証人が必要です。これはとても大きな違いですね。

万が一事業が失敗してお金が返せなくなっても、「新創業融資制度」は無担保・無保証なので返済する必要がありません。対して、「新規開業資金」は担保・保証人が必要で、事業が失敗したとしても返済の義務があります。

 

ただし、返済の義務がない「新創業融資制度」は、その分融資審査が厳しいです。要項では「創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要」という条件がついていますが、自己資金はより多い方が審査に通りやすくなります。

 

3.制度融資

次に、自治体による制度融資について見ていきましょう。日本政策金融公庫より金利が低い場合も多く、こちらの制度を利用することもできます。

 

(1)融資概要は自治体によって異なる

自治体の融資制度は、各自治体によって異なります。現在実施されている自治体の制度融資の例を見てみましょう。

 

東京都「創業融資制度」

  • 融資対象:1ヶ月以内に個人、または2ヶ月以内に法人設立をして、 都内で新たに開業することを計画している人
  • 融資限度額:3,500万円
  • 融資利率:年 2.0〜2.5%
  • 担保・保証人:原則として個人は不要、法人は代表者が連帯保証人

 

大阪府「開業サポート資金」

  • 融資対象:事業を開始する、または、事業開始後5年未満の人
  • 融資限度額:3,500万円(事業開始時期と自己資金額に応じて変動)
  • 融資利率:年 1.4%
  • 担保・保証人:原則として個人は不要、法人は代表者が連帯保証人

 

古殿
古殿
この他にも、各自治体が制度融資を行なっています。起業する地域の制度を調べてみてください。

 

(2)審査期間は2ヶ月かかることも

日本政策金融公庫は審査に時間がかかるとお伝えしましたが、自治体の融資制度はさらに時間がかかります。場合によっては、融資実行までに2ヶ月ほどかかることも。

日本政策金融公庫以上に、自治体の融資制度は緊急の融資には対応できないのです。

 

4.創業融資の審査通過のポイント

最後に、創業融資の審査を通過しやすくするポイントをご紹介します。

 

  • 十分に自己資金がある
  • 滞納がなく信用が高い
  • 起業経験・業界経験がある
  • 優れた事業計画書

 

これらの条件が揃っていると、審査を通過しやすくなります。

 

(1)自己資金なしはNG

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、申請要項に「創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要」という条件があります。以前は「創業資金総額の3分の1以上」という条件でしたが、近年緩和されて10分の1になりました。

しかし、審査を通りやすくするには、自己資金の割合が高いに越したことはありません。自己資金が用意できている人は、計画性があり、余剰資金の確保ができているということなので、貸付をしても返済してくれるだろうという判断基準になるのです。

古殿
古殿
無担保・無保証だからこそ、自己資金をしっかり用意しておく必要があります。

 

(2)過去に滞納がないこと

クレジットカードや水道光熱費、携帯料金など、過去に滞納したことがある人は融資審査に落ちやすいです。これは、過去に滞納している人は今後も滞納する可能性があると思われてしまうため。

また、既にある借金を返すための「借り換え」と判断されてしまうこともあります。スムーズに融資を受けて事業を始めたいなら、過去の行いも重要になってくるのです。

 

(3)起業経験や業界経験の有無

過去に起業の経験があったり、業界経験のある事業を起業したりした場合、審査に通りやすいです。これは、まったくの初心者に比べると、経験がある人の方が事業が成功する確率が高いため。

古殿
古殿
起業したい業界があるなら、同業界で数年経験を積んでみるのも一つの方法です。

 

(4)事業計画(創業計画)をまとめる

融資審査は、事業計画書の内容に左右されます。優れた事業計画書があれば、利益を出していく仕組みをロジカルに説明でき「きちんと返済できる人」と判断されやすくなるのです。

具体的な数字を用いて、実現可能な事業の展開をまとめてみましょう。

 

5.まとめ

創業融資は多くの起業家が利用するごく一般的な制度です。無担保・無保証・低金利で借りられるので、新規事業立ち上げの大きな助けになります。

古殿
古殿
ただし、良い条件で借りられる分、創業融資の審査は厳しいです。きちんと計画を練って、希望額の融資が降りるように準備できるといいですね!

 

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2019/07/03 学生や主婦でも起業する時代!起業するために必要なこととは

「起業したい」という志を抱く人は多いですが、どんなことから始めればいいか知っていますか?漠然と考えているだけでは、いつまでたっても起業はできません。逆に、優れたビジネスモデルがあれば、学生や主婦でも成功をつかむことも可能です。

古殿
古殿
今回は、起業をしたい方のために、起業をするためのステップを解説します。

 

1.起業する理由や目的、事業内容を考える

起業するには、企業のアイデアや目的が不可欠です。漠然と「起業したい」というだけでは事業は始まらないので、まず自己分析をして企業したい理由を煮詰めていきましょう。

 

 

 

(1)なぜ起業したいのかを明確にする

「何でもいいからとにかく社長になりたい」「起業って面白そう」「〇〇をやってみたら儲かりそう」など、曖昧な理由で起業した会社では、軸が定まらず失敗する可能性が大。「起業する」だけではなく「起業して成功する」には、しっかりと事業の軸になる理由や目的が必要なのです。

 

ビジネスモデルを描き出す前に、

  • なぜ起業したいのか
  • 起業して何を実現したいのか
  • 起業することで、自分はどうなりたいのか

を突き詰めて考えておきましょう。

 

(2)どのような事業を行うのかを決める

起業する目的が決まったら、それに沿ってどんな事業を行うのか決めていきます。すでにアイデアがある人は、そのアイデアを具体的に実現するための手段を考えましょう。

 

また、なかなかアイデアが浮かばないという方は、以下のような発想を持つのがおすすめです。

  • 既存の商品やサービスを発展させる方法
  • 既存の商品やサービスを組み合わせる方法
  • 自分の趣味や特技、専門知識を活かす方法
  • 海外で成功している事業を輸入する方法
  • 日常的に感じる不便を解消する方法

自分の中で考えるだけではなく、家族や友人、インターネットの声などを参考にすると、アイデアが生まれやすいかもしれません。

 

(3)どのような価値を提供できるのかを考える

次に、自分の事業でどのような価値を世間に提供できるかを考えます。できれば、既存の企業がまだ実現していないオリジナルの価値を見出せると良いでしょう。

古殿
古殿
既存事業と似た内容で起業する場合には、どこで他社と差別化できるかを考えてみてください。

 

(4)具体的なビジネスモデルにする

最後に、事業内容を噛み砕き、具体的なビジネスモデルにしていきます。

具体的であればあるほど現実味が増しますが、少なくとも

  1. 「誰に」
  2. 「何を」
  3. 「どうやって」

という3つの軸はしっかり決めておきましょう。

1.「誰に」

主な顧客は?ターゲット層

まずは、自分のサービスや商品を「誰に」売るのかというターゲット層を決めます。万人ウケする商品やサービスは既に出揃っていることが多いので、今までにない価値を生むならピンポイントにターゲットを定めるのが重要です。

さらに、ターゲット層は具体的に定めておきましょう。例えば、「若い女性」というだけではなく、「18〜25歳の女性」「○○が好きな若い女性」など。そうすると、その層の平均収入や生活スタイルから求められているものが見えてきやすいです。

2.「何を」

売りたいモノ・サービスは?

次に、ターゲット層から見えてきたニーズを形にします。このとき、ただ理想を追い求めるだけではなく、原価率や生産効率などが現実的かどうかも重視しましょう。

モノやサービスを具体的にしていく中で何度もブラッシュアップを重ね、他社にはない独自の価値が創造できるといいですね。

3.「どうやって」

販売方法は?

最後に、流通経路を決めていきます。

  • 受注生産
  • 店舗販売
  • 通信販売

など、どの販売形態が顧客にアプローチしやすいか考えてみましょう。

また、商品を宣伝するマーケティング方法についても合わせて考えます。ネットショップでの販売・SNSを活用した広報活動など、販売・広報に資金を割かずに事業を行うこともできますよ。

 

2.資金の計画・調達方法

具体的なビジネスモデルが決まったら、次に実際に資金を集めていきます。

資金調達は、

  • 企業資金の把握
  • 自己資金を貯める
  • 融資や助成金など他者から調達

というステップで行なっていきます。

 

(1)必要な起業資金を試算・把握する

どれくらいの資金が必要かわかっていないと、集めようにも集められません。資金が潤沢であるに越したことはありませんが、起業するにはどれくらいの金額がかかるのか把握しておきましょう。

 

店舗・事務所・機械などにかかる設備資金

起業するのにまずかかるのは、店舗・事務所・機械などにかかる設備資金です。設備資金は、起業資金の中でも大きな割合を占めることが多くなります。

 

以下のようなものが、設備資金に含まれます。

  • 店舗・事業所関係:敷金、礼金、仲介手数料、改装費、看板制作費 など
  • 設備費:机、椅子、パソコン、プリンター、電話、車、レジスター、棚、厨房機器 など
  • 備品費:ユニフォーム、食器、事務用品 など
  • 広告宣伝費:チラシ、Webサイト、雑誌広告 など

 

店舗や事務所を借りるための初期費用は、家賃の10ヶ月分くらいが目安。改装などを行う場合、さらに500〜2,000万円ほどかかることもあります。

古殿
古殿
なお、必ずしも事業所が必要ないビジネスモデルなら、まずは自宅で始めると大幅に資金を節約できますよ。

 

仕入れ・給料・広告費などの運転資金

次に、仕入れ・従業員の給与・広告費など、事業を運転していくための資金も必要です。以下のような費用(運転資金)が毎月いくらかかるのか把握しておきましょう。

  • 家賃
  • 人件費・経営者の生活費
  • 仕入れ代金
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 借入れ返済額

 

古殿
古殿
運転資金が尽きるのが早いと、起業直後に倒産を余儀無くされてしまいます。事業が軌道に乗るまで、半年〜1年くらいは赤字でも運転できるくらいの資金は用意しておきたいものです。

 

(2)自己資金を貯める

自己資金とは自分の貯金の中で事業に回せる資金のことです。返済や利息が必要ないので、自己資金の割合が高いほど余裕を持って事業を運営することができます。可能であれば、全て自己資金で起業できるのが理想でしょう。

ただし、融資の審査は起業時より起業後の申込みの方が厳しくなります。自己資金のみで起業すると、もし立ち行かなくなって融資を受けたいときに審査が通りにくい場合があるので注意が必要です。

 

(3)他から調達する場合

自己資金だけでは起業できない場合、他から融資を受けて起業資金を調達します。

 

金融機関から融資を受ける

銀行などの金融機関から融資を受けるのはとてもポピュラーな方法です。

しかし、個人で起業をしたい場合、メガバンクから創業融資を受けることは基本的にできません。地方銀行は、地元の起業家を応援する意味もあって起業融資に積極的なことが多いです。

 

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する

日本政策金融公庫は、少額の融資で起業家を応援してくれます。事業実績がない企業でも、無担保・無保証で3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで融資を受けることが可能です。

 

助成金・補助金など自治体の支援制度を利用する

国や自治体が、起業家を応援するための助成金・補助金を設けていることもあります。事業内容や事業所を置く場所によって限定的に受けられる助成金・補助金もあるので、ビジネスモデルを考えるときにチェックしておきましょう。

 

クラウドファンディングを活用する

近年注目されている資金調達方法が、クラウドファンディング。インターネットを通じて、事業内容に賛同してくれる人たちから少額ずつ融資を募るものです。

資金調達段階からPRの代わりになるので、マーケティングを兼ねることもできます。

 

3.起業の種類

次に、起業に向けての手続きを行います。

  • 法人を設立する
  • 個人事業主として開業する

それぞれの方法で、必要となる手続きが異なります。

 

(1)法人を設立する

法人を設立するには、公証人役場・法務局・税務署・年金事務所・労働基準監督署での手続きが必要です。

 

以下のステップを踏んで、法人登録をしていきます。

  • 定款を作成し、公証人役場の認証を受ける
  • 法務局に行き、設立登記を行う
  • 税務署に行き、法人設立届出書を提出する
  • 年金事務所で、健康保険と厚生年金保険加入の手続きをする
  • 労働基準監督署で、労働保険加入の手続きをする(従業員を雇う場合)

 

(2)個人事業主として開業する

個人事業主として開業するのは、法人の設立よりもずっと簡単です。

 

手続きは税務署で開業届を提出するだけ

 

個人事業主として起業する手続きは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけです。この手続きは、開業から1ヶ月以内に行います。費用は特に必要ありません。また、青色申告を行う場合や、従業員を雇って給与を支払う場合は別の届け出が必要になります。

このような計画がある場合は、開業届と一緒に手続きを行うとスムーズです。

 

4.高校生におすすめ!大学で起業を勉強できる時代

アップルやマイクロソフト、フェイスブックなど、学生起業家が起こした大企業は多数あります。若い起業家は、フレッシュなアイデアや学生のエネルギーを利用できるのが最大のメリットです。

 

(1)起業家支援施設や育成施設がある

「起業をしてみたいけど、知識がなくて不安」という学生向けに、起業家支援施設や育成施設が増えています。知識が豊富なスタッフや、同じく起業を志す仲間と出会う場にもなるため、起業を考えている学生は一度訪れてみるのがおすすめです。

起業に役立つ知識はもちろん、空き店舗の斡旋や起業後の経営相談をしてくれる施設もありますよ。

 

(2)学生の企業への出資制度がある大学も

学生の起業をサポートするために、学生の企業に出資などの支援を行う大学があります。

 

  • 日本経済大学
  • 慶應義塾大学
  • 早稲田大学
  • 京都大学
  • 大阪商業大学
  • 同志社大学
  • 岡山大学
  • 九州情報大学

など

 

大学時代に起業をしたいと思っている高校生は、起業家支援を軸に大学を選んでみてはいかがでしょうか。

 

(3)専属アドバイザーがいることも

学生の起業支援に力を入れている大学では、専属の起業アドバイザーの力を借りられることもあります。経済・経営系の学部なら、豊富な知識を持つ教授が相談に乗ってくれることも。

学生起業家は、周りの力を借りやすいというメリットもあるのです。

 

5.独立起業するのは難しい?

独立起業は、決して難しいことではありません。元手がかからず、パソコン一台で始められる事業もあります。まずは挑戦してみて、軌道に乗りそうなら本業化するというのも一つの方法です。

 

(1)会社に勤めながらネット副業 週末起業する人も

今は、クラウドソーシングなどを利用して誰でもフリーで仕事ができる時代です。ライティング、プログラミング、デザインなど、仕事で培ったスキルがあれば、会社の給与より高収入が得られることも。まずは副業から始め、事業が軌道に乗ったところで退職して本業化すると、収入が途切れることがなく安心です。

 

(2)女性起業家も増加 主婦の趣味・経験を活かした起業例

結婚後は家に入るのではなく、自分のスキルを活かした起業をする女性も多くなっています。

 

子育て経験を活かして 育児ビジネス

子育て中、様々な不便に気づいて「こんな商品・サービスがあればいいのに」と思う女性は多いです。そんなアイデアを行かせるのが、子育て経験のある女性による育児ビジネス。子育て中のピンポイントなニーズを押さえた商品やサービスなど、女性による育児関連の起業が注目されています。

また、自分の子育てが終わったあと、ベビーシッターとして活躍する女性も多いですね。

 

自宅でできる お教室やエステサロン

料理・洋裁・ヨガ・フラワーアレンジメントなど、自分の興味や特技を活かせるのが自宅で行うお教室。結婚や出産で退職したエステティシャン・ネイリストが、自宅でサロンを開くというケースも多いです。家庭の都合で出勤や長時間勤務が難しい、人に教えられる特技があるという女性におすすめの起業方法です。

 

カフェなどの飲食店経営も 

「個人で起業」というと思い浮かべる人の多い、カフェなどの飲食店経営。飲食店経営には保健所の飲食店営業許可、お酒を扱う場合は税務署の酒類販売業免許が必要ですが、スキルの面では比較的ハードルが低い起業方法です。

 

6.起業を考えたら

「起業」というワードが頭に浮かんだら、まずは行動あるのみです。経営者には行動力が必須スキルですから、第一歩を踏み出してみるのが大切ですよ。

 

(1)まずはネットや本で勉強してみる

起業に関するノウハウを書いた本は、書店に数え切れないほどあります。また、インターネットでは無料の起業関連サイトも多く、知識の入り口としておすすめです。漠然と「起業したい」と思うだけでは始まりません。本やネットの知識をもとに起業について多方面から考えてみましょう。

 

(2)税金やお金の知識は必須

ビジネスは理想や熱意があれば成功するものではありません。起業をするなら、一般常識以上の税金やお金の知識は必須となります。できれば簿記の資格を持っていると、起業後に帳簿付けなどの作業がスムーズにできますよ。

 

7.まとめ

起業するには、実現可能なビジネスモデルを具体的に考えるのが大事です。その後、起業するまでには資金調達・起業の手続きというステップがあります。

学生や主婦、いま会社勤めをしている方でも、やり方次第で起業は可能です。

古殿
古殿
起業したいと思ったら、まず知識集めから始めてみましょう!

 

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2019/06/25 交際費は損金算入できる?できない?仕組みを正しく知っておこう

取引先との関係をスムーズにするために何かと嵩む交際費。実は、交際費は上限ありで損金算入できるのです。2014年の税制改正で損金算入できる交際費の枠が大きくなり、節税しやすくなりました。

古殿
古殿
今回は、そんな交際費の損金算入ルールを解説いたします。

 

1.交際費の定義とは?

国税庁によると、交際費とは「法人がその得意先・仕入先・その他事業に関係のある者等に対する接待・供応・慰安・贈答・その他これらに類する行為のために支出する費用」と定められています。

わかりやすく言うと、事業に関係のある相手を接待するために使ったお金ということです。

例えば、接待や懇親のための飲み会や、お中元・お歳暮などの贈答品の費用が交際費にあたります。

 

2.交際費の損金不算入制度の変更点

原則として、交際費は全額損金不算入ということになっています。しかし、「交際費課税の特例措置」という制度があり、現行法では交際費も一定額までは損金に計上することが可能です。

この交際費課税の特例措置は2014年4月に改正されました。改正前・改正後でどのような違いがあるのかを詳しく見ていきましょう。

 

(1)改正前

2014年4月に税制が改正される前は、現行制度よりも少ない金額で交際費の損金算入が認められていました。

時期によって金額が異なりますが、その内容は以下の通りです。

  • 2003年4月1日~2009年3月31日:400万円×当該事業年度の月数÷12×90%
  • 2009年4月1日~2013年3月31日:600万円×当該事業年度の月数÷12×90%
  • 2013年4月1日~2014年3月31日:800万円×当該事業年度の月数÷12

 

このように、交際費が損金算入できる枠は数年ごとに見直されています。2013年3月31日までは、交際費の10%は損金算入できませんでしたが、2013年4月の改正で撤廃されました。上限800万円という内容は、現在もそのまま引き継がれています。

 

ただし、これが適用されていたのは資本金1億円以下の中小企業の場合です。

古殿
古殿
2014年の改正前には、資本金1億円以上の大企業は交際費を損金に算入することは認められていませんでした。

(2)改正後

2014年の改正後には、それ以前よりも損金算入できる交際費の金額が大きくなりました。中小企業は「上限800万円」という以前の内容に加え、「上限なく、交際費(飲食費)の半額を損金算入できる」という条件も選択できるようになっています。

また、資本金1億円以上の大企業にも交際費の損金算入が認められるようになったのは大きな変化です。

古殿
古殿
その詳しい内容については、後の項目で解説します。

 

3.交際費課税の特例措置が2年延長

2018年の税制改正で、交際費課税の特例措置は2020年3月31日まで延長されることになりました。ここでは、その理由や現行の交際費の損金算入について、詳しい内容を解説していきます。

 

(1)なぜ適用期間が延長になったのか?

 

「交際費課税の特例措置」が延長されたのは、消費を増やして日本の経済活動を活性化させるためです。厚生労働省などの要望によりこの延長は実現されましたが、その理由として以下の2点が挙げられています。

  • 飲食店などでの接待を促し、法人企業の収益機会を増やすこと。
  • より多くの飲食店を利用することにより、消費の喚起を促すこと。

 

内容としてはほとんど同じですが、つまり「接待で積極的に飲食店等を利用し、消費を促進させよう」ということですね。「従業員は経費で飲食ができる」「企業側は節税になる」「飲食店は収益を上げられる」という、誰にとってもメリットの多い措置なのです。

 

(2)中小企業(資本金1億円以下)

2014年の「交際費課税の特例措置」改正後、資本金1億円以下の中小企業は以下の条件で交際費を損金算入できるようになりました。

 

①上限800万円まで、交際費全額を損金算入できる

②上限なく、交際費(飲食費)の半額を損金算入できる

 

中小企業はこのどちらかを選択して交際費を損金算入します。つまり、交際費の合計が800万円以下の場合は①を、接待飲食費の合計が1,600万円以上の場合は②を選んだ方が有利ということになりますね。

 

(3)大企業(資本金1億円以上)

資本金1億円以上の大企業の場合は、中小企業の②と同じ「上限なく、交際費(飲食費)の半額を損金算入できる」が適用されます。そのため、2014年4月1日〜2020年3月31日の期間に大企業が損金算入できる交際費の額は、単純に「接待飲食費×50%」という計算になります。

 

(4)個人事業主・フリーランス

個人事業主の場合は、法人とは違って交際費の上限が定められていません。そのため、個人事業主は金額に関係なく全額を損金算入できるということになります。

 

4.交際費にあたるのは何?

それでは、具体的にどのような出費が交際費にあたるのかを見ていきましょう。一見交際費のように思えても、実はルールに照らすとそうではないというケースもあるため、注意が必要です。

 

(1)分かりやすい交際費の例一覧

先にも解説しましたが、交際費とは取引先などを接待するためにかかったお金のことです。飲食代などの接待で直接かかる費用だけではなく、タクシー代などの間接的な費用も上限800万円までなら損金算入することができます。

 

飲食費については次の項目で解説しますが、飲食費以外で交際費に認められる例には以下のようなものがあります。

  • ゴルフ、旅行、観劇など慰安費
  • お中元、お歳暮など贈答品費
  • 香典、結婚祝いなど慶弔に関する出費
  • 開店祝いなどの花代
  • 取引先訪問の際の手土産

 

(2)飲食費

交際費のうち、飲食費とはその名の通り取引先などを接待するための飲食にかかったお金のことを指します。具体的には以下のものが飲食費に含まれます。

  • 自社の従業員が、取引先社員などを接待して飲食するための代金
  • 飲食のために発生する、テーブルチャージ代やサービス料、会場費
  • 飲食後に、飲食店等で貰うお土産代
  • 取引先の業務やイベントに弁当等の差入れを行うための弁当代など
  • 親会社やグループ内法人の役員等に対して接待するための飲食代

 

このうちのどれかかつ5000円以上のものが飲食費として損金算入できます。

では、5000円以下の場合はどうなるかというと、これは会議費にあたります。

古殿
古殿
会議費の詳細については、次の項目で解説します!

 

(3)会議費

会議費とは「会議に関連してかかった費用」のことです。具体的には、以下のようなもののことです。

  • 会議のために借りた会場費
  • 会議に使用した資料代
  • 会議に際して出した弁当・お茶・茶菓子代

 

また、先に触れたように、取引先との飲食代も5000円以下であれば会議費として計上できます。なぜなら、取引先と飲食をする場合は仕事の話が出るのは自然なことであって、会議と飲食費の区別が難しいためです。そのため、5000円以上は飲食費・5000円以下は会議費と定められているのです。

古殿
古殿
なお、会議費には損金算入の上限がないため積極的に利用すると良いでしょう。

 

(4)広告宣伝費

通常の贈答品は交際費になりますが、その品物が社名入りのタオルやカレンダーといった会社のグッズなら、広告宣伝費として損金算入できます。

不特定多数に向けて会社をアピールするために作ったものなら、広告宣伝目的とすることができるのです。一見交際費のようでも、広告宣伝費として損金算入できる場合はこちらを優先するようにしましょう。

 

5.まとめ

交際費の損金算入は、経済を活性化させるために枠がどんどん大きくなっています。損金算入の上限がない会議費や広告宣伝費も活用すれば、大きな利益調整ができますよ。

古殿
古殿
税制で損をしないためにも、損金算入のルールはきちんと知っておきましょう!

 

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2019/06/11 雇用調整助成金で従業員を守ろう!条件・手続きについて解説

不況により業績が悪化した時に利用できる「雇用調整助成金」。事業の縮小により従業員を減らさざるを得ないとき、解雇ではなく休業・教育訓練・出向という形で雇用を継続させると受給することができます。

今回はそんな雇用調整助成金についてご紹介いたします。

古殿
古殿
万が一の時に会社と従業員を守るためにも、ぜひ知っておきましょう。

 

1.雇用調整助成金とは?

雇用調整助成金とは、業績が悪化し事業を縮小せざるを得なくなったとき、従業員の雇用を調整することができる助成金のことです。

一時的な業績悪化の場合、従業員を解雇してしまうと企業と従業員どちらにとってもデメリットが大きくなります。そこで、解雇ではなく雇用形態を休業・教育訓練・出向のいずれかに調整することで受給できるのが雇用調整助成金です。

この期間の一部を助成してくれるため、会社と従業員を両方守ることができます。

 

近年、雇用調整助成金の申請件数は減少傾向にあります。しかし、たとえ経営状態が万全でも、事故や災害などで思わぬ損害を受けてしまうこともあるでしょう。

雇用調整助成金はそんなときにも特例で支給されることがあるため、全くの無関係な企業はほとんどないと言えます。

古殿
古殿
万が一のとき、解雇という選択肢を取ってしまわないために、ぜひ雇用調整助成金の制度を知っておきましょう。

 

(1)支給の対象となるのは?

雇用調整助成金は雇用保険の適用事業所が対象となります。なお、対象となる従業員は、6ヶ月以上継続雇用されている雇用保険被保険者です。

 

(2)支給の条件とは?

雇用調整助成金が支給されるには、以下の業績不振の条件を満たす必要があります。

  • 直近3か月の生産量・売上高等の生産指標が、前年同期と比べて10%以上減少していること
  • 雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者数の最近3か月間の月平均値の雇用指数が、前年同期と比べ一定数以上(*)増加していないこと
  • 実施する休業等および出向が労使協定に基づくものであること。(計画届とともに協定書の提出が必要)
  • 過去に雇用調整助成金又は中小企業緊急雇用安定助成金の支給を受けたことのある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の翌日から起算して一年を超えていること

*大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上

 

なお、事故や災害の被害によって業績が悪化した場合は、基本的には対象外となります。しかし、熊本地震発生時や2018年7月の西日本豪雨の際には、特例として支給が認められました。

古殿
古殿
事故・災害等の特例は支給条件・支給額ともに異なるため、詳しくは厚生労働省のHPなどを確認しましょう!

 

(3)支給される期間

雇用調整助成金が支給されるのは、雇用主が指定した1年間です。引き続き申請することはできませんが、休止期間(支給終了後1年)が明ければ再度申請することができます。

 

(4)受け取れる金額

雇用調整助成金で受け取れる金額は、中小企業の場合は従業員の雇用継続にかかる費用の2/3、大企業の場合は1/2です。
ただし、どちらの場合も1日1人あたり7,810円が雇用調整助成金支給額の上限です。この上限額はその時の物価などによって変動するため、申請の際に確認するようにしましょう。

  • 休業の場合:休業手当の2/3(1/2)
  • 教育訓練期間の場合:賃金負担額の2/3(1/2)+1,200円
  • 出向の場合:負担額の2/3(1/2)

 

この金額を、休業・教育訓練の場合は1年で最大100日分、休止後に再度申請する場合は3年で150日分受け取れます。出向の場合は、最長1年分です。

 

(5)不正受給が多い理由

2013年から2015年までに支給された657億円の雇用調整助成金のうち、不正受給されたのは54億円。全体の申請件数の10%弱が不正受給という状況です。

これは、実際に休業したかどうかの確認が難しいためです。

雇用調整助成金の申請書には勤怠記録の添付も必要ですが、カレンダー形式の書類に「休業」と書くだけ申請が通ってしまいます。また、従業員に休業手当が支給されたかどうかという書類も添付しますが、これも実態とは違う書類が提出される可能性があります。

つまり、実際は通常通り操業している、従業員に助成金が分配されないといった状況でも、雇用調整助成金の申請書は通ってしまうのです。

申請件数が多いため、不正受給が多くても全てをチェックするのは難しい状況にあります。ただし、ランダムに抜き打ちチェックが行われており、もし不正受給が発覚した場合は助成金を全額返還することになっています。

また、不正受給が発覚した事業所は、各都道府県の労働局から事業所名が公表され、会社の信用を落としてしまいます。

古殿
古殿
制度は会社と従業員を守るためだけに正しく使いましょう!

 

2.雇用調整の方法と手続き

雇用調整は労働組合または従業員の過半数を代表する者との間で、「休業等協定書」を締結して実施します。
休業・出向・教育訓練とは、以下の基準に沿ったもののことを指します。

 

(1)休業

  • 所定労働日の全一日にわたる、もしくは所定労働時間内に対象従業員が一斉に1時間以上行うこと(シフト制は除く)
  • 判定基礎期間における対象従業員の休業等の実施の延日数が所定労働延日数の1/20以上(大企業は1/15以上)
  • 休業手当の支払が平均賃金の6割以上であること

 

(2)出向

  • 出向従業員の同意を得ていること
  • 賃金の一部を負担していること
  • 出向前とおおむね同額の賃金が出向従業員に支払われるもの
  • 終了後6ヶ月以内に同じ従業員を出向させないこと

 

(3)教育訓練

  • 休業期間を利用して従業員の能力を向上させる教育・訓練・講習等を行うこと
  • 訓練や講習は所定労働日の所定労働時間内に実施すること

 

ただし、対象となるのは職業に関する知識・技術・技能を会得・向上するための関する講習のみです。語学などの一般的な講習や業務に関することであっても、通常時と同様に行なっている教育プログラムには適用されません。

また、受講者は受講日には業務を行うことはできず、受講後にレポートを提出する必要があります。

 

(4)手続きの流れ

雇用調整助成金の申請書は、開始の2週間前を目処に管轄の労働局かハローワークに提出する必要があります。申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
  • 雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書
  • 雇用調整助成金休業等実施計画届
  • 登記事項証明書
  • 月次損益計算書
  • 従業員名簿

 

そして、休業・教育訓練・出向のそれぞれの場合で、以下の書類が追加で必要となります。

休業

  • 休業協定書
教育訓練
  • 教育訓練協定書
  • 教育訓練の状況を示す就業規則等
  • 教育訓練計画一覧表
出向
  • 雇用調整助成金出向実施計画届
  • 出向協定書
  • 出向契約書

 

休業・教育訓練の場合、判定基礎期間を1~3ヶ月の間で定め、期間ごとに休業等実施計画書を提出します。助成金の申請書も判定期間終了後2ヶ月以内に提出しましょう。

出向の場合は、6ヶ月ごとに申請を行います。続けて申請をする場合は6ヶ月経過後の2ヶ月以内に手続きが必要です。

 

3.雇用調整助成金の申請書はどこでダウンロードできる?

雇用調整助成金の申請書は、厚生労働省のホームページでダウンロードできます。以下のURLからダウンロードできますので、必要なものを用意して提出しましょう。

厚生労働省HP「雇用調整助成金の様式ダウンロード」

 

4.まとめ

雇用調整助成金は経営状態が厳しい会社や、その従業員にとってとても有効です。

申請件数が多く不正受給も多いという一面もありますが、発覚した場合には全額返還となります。

古殿
古殿
制度は正しく利用して、不況の時も会社と従業員を守れるように努めましょう。

 

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2019/06/04 フリーランスが支払わなければならない税金と納付時期まとめ|節税方法もチェック!

源泉徴収されないフリーランスの方は、自分で支払うべき税金を計算して申告しなければなりません。フリーになったばかりで、どんな税金をどのくらい払えばいいかわからないという方もおられるのではないでしょうか。

今回はフリーランスの方が支払うべき税金と、その計算方法をご紹介します。

古殿
古殿
節税に役立つ情報もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.フリーランスの人が納める税金は?

フリーランス1年生の中には、どんな税金をどのくらい納めればいいかわからないという方もいるでしょう。

 

フリーランスの人が納める税金・保険料は、

所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料・個人事業税・消費税

以下の6つです。

 

税務上、フリーランスの収入は事業所得にあたります。年間の所得が38万円を超えると所得税が発生し、確定申告が必要となります。その所得税の確定申告に基づき、住民税の納入額が計算されます。

フリーランスの仕事のみで生計を立てている人は、所得税と住民税はほぼ支払わなければならない税金となります。

 

また、フリーランスはサラリーマンのように会社加入の保険に入っていないため、個人として国民健康保険と国民年金に加入します。「税」という名称ではありませんが、これもフリーランスの人が支払わなければならないお金です。

 

そして、個人事業税・消費税は一定の所得や売り上げを超える人のみに課せられる種類の税金のため、フリーランスだから絶対に支払わなければならないという訳ではありません。

古殿
古殿
とはいえ、今は対象ではないという方も、将来売り上げが上がった時のために課税の仕組みを知っておいたほうがいいでしょう。

 

2.所得税

先ほど少し触れましたが、所得税は年間の所得が38万円を超える場合に支払う税金です。この金額を超えると、確定申告をして所得税を納める必要が出てきます。

 

(1)収入と所得はどう違う?

税務の計算をする上では、「収入」と「所得」は異なります。

収入とは「売り上げ」のことで、フリーランスの仕事で実際に受け取った金額が全て収入となります。一方所得は、その収入から必要な経費を除いた金額のことを指します。

経費とは、仕事をする事務所の家賃や仕事に必要なパソコン、製造業なら材料の原価、仕事をするためにかかる交通費などです。

節税をするためには、この経費をなるべく多く計上して所得を減らすのがポイントです。

 

(2)所得税の計算方法

所得税は、

  • 所得税額=課税所得金額×適用税率-控除額
  • 課税所得金額=事業収入-必要経費-基礎控除(38万円)

 

という式で計算して求められます。

 

適用税率は所得が大きくなるほど大きくなります。控除も様々な種類・段階があり、0〜479万6,000円と幅広いです。

そのため、フリーランスの所得税がどのくらいかというのは一概には言えませんが、課税所得が200万円で5〜9万円、300万円で10〜17万円、400万円で20〜30万円くらいが目安です。

 

(3)所得税の節税となる控除

フリーランスが課税所得金額を減らして所得税を節税するためのポイントとしては、先ほど紹介した経費をなるべく多く計上することに加え、控除を効果的に利用することが挙げられます。

 

フリーランスならではの控除には、「小規模企業共済等掛金控除」があります。これは自営業者のための退職金積立制度のようなもので、フリーランスの仕事を廃業した時に掛け金に一定の利率を上乗せした金額を受け取れます。

支払った掛け金全額が控除金額となるため、フリーランスの方はぜひ利用したい制度です。

 

また、青色申告者の特典として与えられる「青色申告控除」もフリーランスならでは。最大65万円の大幅控除なので、可能なら青色申告を目指すのがおすすめです。

古殿
古殿
その他にも控除にはたくさんの種類があるため、自分が該当するものを把握しておきましょう。

 

3.その他納めなければいけない税金など

その他、フリーランスの人が納める税金について、納付方法や金額の目安をそれぞれの項目で解説していきます。

 

(1)住民税

住民税は所得税の確定申告を元に計算されるため、特に申告は必要ありません。金額は「所得割(一律10%)+均等割(世帯割)」という式で求めます。

年間の所得が一定以下の場合は減額や免除という措置もありますが、その基準は自治体によって異なります。目安としては、所得200万円で10〜17万円、所得300万円で20〜27万円、所得400万円で30〜37万円ほどです。

課税所得の10%が住民税の概算額になるということもお聞きになったことがあるかもしれません。

 

(2)個人事業税

個人事業税は公共サービスの財源で、事業を行なっている都道府県に納めます。所得が290万円を超えた時に3〜5%の割合で課されます。税率は業種により異なるため、自分の事業の課税割合を知っておきましょう。

特に申告の必要はなく、確定申告を元に納付が必要かどうか判定されて、自動的に納付書が送られてきます。金額の目安は、所得290万円の場合9〜15万円ほどです。

 

(3)固定資産税

固定資産税とは、土地や家屋といった固定資産を持っている人が納めなければならない税金です。その不動産を事業所に使っているのであれば、固定資産税を経費として計上できます。

税額は「固定資産の評価額×1.4%」という式で求めます。例えば評価額3,000万円の不動産を持っていた場合、42万円が目安です。

 

(4)消費税

消費税は2年前の課税売上高が1,000万円以上の場合に課税されます。

計算方法には本則課税と簡易課税の2種類がありますが、本則課税がベーシックです。「消費税 = 売上の消費税-経費の消費税」という式で計算します。

 

(5)国民健康保険・国民年金

国民健康保険の金額や納付方法は都道府県によって異なります。

基本的には世帯割に加算されるため、住民税より高額になるケースが多いです。年ごとに一括、または半期ごとに各市区町村に納め、その金額が確定申告の時に控除されます。

国民年金はフリーランスの場合「第1号被保険者」となります。金額は一定の保険料額に保険料改定率(前年度の物価・賃金変動率などを考慮したもの)を掛けて計算します。

古殿
古殿
支払いは月々で、滞納するとのちに受け取れる年金の額に影響が出るため注意しましょう。

 

(6)フリーランスの税金支払額【計算例】

それでは、具体的にフリーランスの税金支払い額を計算してみましょう。今回は売り上げ600万円・経費150万円という人を例としてみます。

事業収入600万円-経費150万円–基礎控除38万円=412万円

上記の式で、まずこの人の課税所得金額が412万円ということが割り出せます。全ての税金は、この課税所得金額をベースに計算していきます。

 

そのため、所得税は

412万円×適用税率20%-控除額42万7,500円=39万6,500円

という計算で39万6,500円となります。

 

住民税や国民健康保険料は、自治体によって異なります。フリーランスで所得400万円であれば、全ての税金を合わせた額は概算で80〜100万円ほどになります。

 

4.フリーランスの税金対策3選

フリーランスの方が税金を節約するには、確定申告の時に対策をとる必要があります。知っているのと知らないのとでは控除額が大きく変わってくることもあるため、しっかりと把握しておきましょう。

 

(1)確定申告時にしっかり経費を申請する

まず、経費をなるべく多く計上して課税所得を減らすのがもっとも大事です。自宅で仕事をしているなら家賃の一部も経費にできますし、交際費や自家用車、私服の購入費用なども工夫次第で経費に計上できます。

あまりにも度がすぎると差し戻しされてしまう可能性もありますが、できる限り経費はしっかりと申請しましょう。

 

(2)控除の手続きを行う

控除額も、工夫次第で大幅に増える場合があります。例えば、フリーランスの仕事で家族を養っている場合、家族の働き方が少し変わるだけで扶養家族にできることもあります。

また、先ほど紹介した小規模企業共済等掛金控除は節税になる上、退職金の積み立てもできる嬉しい制度です。他にも資産運用に興味のある方はイデコ、従業員さんがいらっしゃる個人事業主の方は「旅費規定」を作成して日当を支給すれば節税になります。

こういった制度を見逃さず控除の手続きを行っておくことで、課税所得を減額することができます。

 

(3)節税が期待できる保険や年金に加入する

生命保険や個人年金は支払額によって控除額の割合が異なります。控除を受けて節税ができれば、その分保険料に利息がついたのと同じことになるので積極的に加入しましょう。

また、フリーランスでかつ不安定な業種の場合、年金や保険は万が一の時に役立つというメリットもあります。

 

5.経費にできる税金と経費にできない税金

税金を経費に計上できれば、かなりの節税効果が見込めます。ここでは、フリーランスが経費にできる税金とできない税金をまとめました。

 

(1)経費にできない税金

基本的には、税金は経費にできないと思っておきましょう。所得税や住民税、フリーランスの仕事に使っていない自宅の固定資産税など、ほとんどの税金は経費にできません。

 

(2)経費にできる税金

例外的に、個人事業税は経費に計上することができます。その名の通り事業にかかる税金のため、事業をしていなければ払う必要がないということで経費にできるのです。

また、売り上げにかかる消費税も税込経理をしていれば経費に計上することが可能です。

さらに、自宅で仕事をしている場合は、その仕事場にあたる部分の固定資産税も経費として認められます。仕事場として使っている面積の割合を算出し、その割合を固定資産税額にかけて算出します。

 

6.まとめ

フリーランスの方にかかってくる税金や保険料について概略を解説してきました。フリーランスは、サラリーマンのように源泉徴収されない分、売り上げから支払う様々な税金があります。

滞納は信用問題にも繋がりますので、必ず正しく申告し、納税を行うようにしましょう。

古殿
古殿
経費や控除を利用して、不正のない範囲で節税するのもフリーランスとして大切な知恵です!

 

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2019/05/27 中小企業の経営者必見!2019年の助成金まとめ

助成金や補助金の利用は、中小企業の経営戦略には欠かせません。しかし、年間で5,000種類以上の中小企業向けの助成金や補助金が発表されているため、知らなくて損してしまうことがないよう自社が活用できる助成金をあらかじめ知っておかなければなりません。

古殿
古殿
ここでは、2019年版の中小企業が活用できる助成金一覧をまとめてご紹介します!

 

1.助成金とは

助成金は、主に厚生労働省の管轄によるものです。

女性や高齢者の雇用の促進や正社員の増加など、国が抱えている雇用の課題を改善するために取り組んでいる企業に対して一定額交付されるお金のことです。

 

一方補助金は、経済産業省が管轄していて、国の政策目標の達成に貢献する企業に交付されるお金です。例えば、新規創業をサポートする補助金や、社屋の防火や耐震リフォームに対して一定額が交付されるお金などのことです。

 

助成金と補助金の違いは、「雇用問題に関するお金」と「政策に関するお金」と覚えておくといいでしょう。国の省庁以外に、地方自治体や民間の団体が交付している助成金・補助金もあります。

また、助成金は支給要件をみたすと支給されるのが基本ですが、補助金は要件をみたした上で、さらに事業計画書などによる選抜制が基本になるという違いもあります。

古殿
古殿
もちろん、助成金も要件をみたせば絶対支給されるというものではありません。

 

2.国から受け取れる助成金一覧

2019年現在、国から受け取れる助成金を一覧でご紹介します。一覧と言っても、助成金の種類はあまりにも多く、全てはご紹介しきれないので、有名なものや中小企業が利用しやすいものについて解説していきます。

 

(1)キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、パートやアルバイトなど、非正規雇用の従業員をキャリアアップさせたいときに利用したい助成金です。「正社員として雇用する」以外にも、「職業訓練を受けさせる」「賃金規定を改定する」など全部で8通りのコースがあります。

創業後経営が軌道に乗り正社員を増やしたいときなど、人事に関する変更をしたい際にはチェックしておきましょう。

支給金額は、該当する従業員1人あたり60万円です。

 

(2)トライアル助成金

「トライアル助成金」は、経験不足など就職が困難な求職者を3ヶ月試験雇用することで支給される助成金です。普通に就職活動をしているだけでは履歴書段階で落とされてしまうような人材を、助成金をきっかけに雇用してもらい常用雇用に繋げることが目的となっています。

 

未経験者を試験雇用する「一般トライアルコース」、障害者を雇い入れる「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」、35歳以下の若年者や女性を建設労働者として雇い入れる「若年・女性建設労働者トライアルコース」の3つがあります。トライアル後の常用雇用は義務ではないため、経験不足でもまずは人手が欲しいという中小企業におすすめの助成金です。

 

支給金額は1人あたり1ヶ月4万円(一定の要件を満たせば5万円)で、最長3ヶ月で12〜15 万円となっています。

 

(3)職場定着支援助成金

「職場定着支援助成金」は、離職率の低下を目的とした助成金です。離職率低下のための「評価・処遇制度」「研修制度」「健康づくり制度」「メンター制度」を導入・実施した企業に支給されます。各種制度を導入することで40万円、さらに、その結果離職率低下の目標を達成できれば60万円が追加で支給されます。

古殿
古殿
また、介護事業・保育事業主が介護労働者・保育労働者の離職率低下に取り組んだ場合にも、一定の助成金が支給されます。

 

(4)労働移動支援助成金

「労働移動支援助成金」は、事業縮小により従業員の解雇を余儀なくされた時に役立つ助成金です。

離職を余儀なくされた従業員に対し、職業紹介事業者や教育訓練施設での再就職支援・職業訓練を企業が提供する場合に支給されます。また、従業員が求職活動をするための休暇に対しても助成金が支払われます。

古殿
古殿
申請には、職業紹介業者に委託契約をした翌日から2か月以内に「利用確認券」の発行手続きが必要です!

 

(5)三年以内既卒者等採用定着奨励金

既卒者・中退者を従業員として雇い入れる時に使えるのが「三年以内既卒者等採用定着奨励金」です。求人を新卒者だけでなく既卒者も応募可能とし、採用してから一定期間定着させると事業主に奨励金が支給されます。

中小企業では、採用後1年で既卒者1人に対し50万円、中退者1人に対し60万円が支払われます。2人目以降は既卒者15万円、中退者25万円です。その後は1年1人あたり10万円が支払われ、3年定着させると1人最大80万円を受け取ることが可能です。

さらに、若者雇用促進法に基づく認定企業(ユースエール認定企業)は、1年目の雇用に対して10万円が加算されます。

 

3.地方自治体から受け取れる助成金一覧

次に、2019年現在、都道府県や市町村など、地方自治体から受け取れる助成金を一覧でご紹介します。

こちらも数が多く全ては解説しきれないため、中小企業や創業者が利用しやすい代表的なものや、地方ならではのユニークな助成金をいくつか解説していきます。

 

(1)東京都:創業助成金

東京都の「創業助成金」は、東京都内での創業を具体的に計画している人や、創業5年未満の中小企業に対して交付される助成金です。

都内所在の創業支援施設に入居していることや、都が実施した創業支援プログラムに参加したなど、17ある条件のうち1つを満たしていれば交付を受けることができます。

古殿
古殿
東京都の創業助成金支給額は300万円で、事業所の賃借料・広告費・設備投資などに用いることができます。

 

(2)大阪府:業務改善助成金

「業務改善助成金」は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内の最低賃金を引き上げるための制度です。 事業場内の最低賃金を30円引き上げることで、該当する労働者の人数により50〜100万円が支給されます。

さらに、賃金改善のために必要となった設備投資についても、費用の一部が助成されます。

 

(3)北海道札幌市:映画・ドラマ制作助成金

札幌市の「国際共同映像制作助成金」は、札幌市内の映像事業者や広告代理店が、北海道・札幌を舞台にした映画やドラマを政策すると交付される助成金です。北海道や札幌の魅力を国内・海外に広め観光客を誘致することが目的で、撮影にかかった経費が上限1,000万円まで支給されます。

地方自治体には、このように地方ならではのユニークな助成金や、観光客誘致を目的とした助成金も数多くあります。

古殿
古殿
各地方自治体の助成金は、助成金のポータルサイトなどでチェックできますよ!

 

4.助成金を利用する時の注意点

助成金や補助金は、基本的に後払いです。銀行からの融資や出資のように、審査に通った時点で入金されすぐに使えるというわけにはいかないのです。

例えば、設備投資などが要件の助成金の場合、先に手持ちのお金で設備投資をし、その経費を報告・確認されて初めて助成金が入金されます。そのため、助成金が支給される要件を「これから満たそうとしている」という形では助成金は申請できません。

 

また、人気の高い助成金は競争率が高くなるため、申請したからといって必ず支給されるわけではありません。要件をきちんと満たしていなければ採択されませんし、満たしていても他に魅力的な企業が応募していると採択率が低くなります。

古殿
古殿
応募の際はきちんと要件を確認し、もし助成が受けられなくても成り立つ経営を心がけましょう!

 

5.まとめ

2019年版、中小企業向けの助成金をご紹介してきましたが、いかがでしたか?

助成金は、利用できるものはした方が絶対に得です。

古殿
古殿
企業にも社会にもメリットがあるものなので、新規事業を開始したり人材を雇い入れたりする時には、該当する助成金がないかどうかチェックしておきましょう。

 

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2019/05/20 会社設立に必要な費用とは?なぜ必要?

自分で会社を設立する時、まず心配なのが費用のこと。

今回は、株式会社設立・合同会社設立にかかる費用を、項目ごとにご紹介します。会社設立にまつわる手続きを自分で行なった場合・行政書士に依頼した場合それぞれについて解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。

古殿
古殿
会社設立の費用を経費として計上するときの方法やその科目についても解説します!

 

1.会社設立の費用っていくら?

会社設立の費用は、株式会社か合同会社かによって異なります。

株式会社と合同会社の違いは、大まかにいうと株式を公開できるかどうか。株式を持つ株主がいるかどうかで、資金調達や会社の意思決定の面で違いがあります。

会社設立の費用においては、株式会社と合同会社では登記費用や登録免許税の額が異なります。それぞれの会社設立にかかる費用について、詳しく見ていきましょう。

 

2.会社設立に必要な費用|株式会社

まず、株式会社設立に必要な費用について見ていきましょう。株式会社設立には、「登記」という手続きが必要になり、費用も大部分は登記に関わるものとなっています。

 

(1)株式会社設立に必要な法定費用

株式会社設立にかかる費用は、242,000円です。これは、資本金や開業のための設備投資、行政書士への報酬などは含まず、株式会社を登記するための法定費用です。

 

金額の内訳は、以下のようになります。

  • 定款の認証手数料:50,000円
  • 定款の謄本手数料:2,000円
  • 定款に貼る収入印紙代:40,000円
  • 設立にかかる登録免許税:150,000円

 

「定款に貼る収入印紙代」の40,000円は、電子定款を選択すれば不要となります。しかし、電子定款の作成には専用の機器が必要で、行政書士への依頼が必要になるため、依頼をせず自分で株式会社設立をする場合には24万2,000円の実費がかかります。

また、「設立にかかる登録免許税」150,000円に関しては、資本金の0.7%が150,000円を超えている場合には不要です。ということは、資本金が2,140万円以上ある場合には「設立にかかる登録免許税」は不要ということになります。

 

(2)株式会社設立に必要な雑費

会社設立のために必要な費用には、上で解説した法定費用の他に以下のものがあります。

 

  • 設立する会社の実印作成費:5,000円程度
  • 設立時に必要な個人の印鑑証明取得費:300円×必要枚数
  • 新しい会社の登記簿謄本の発行費:500円×必要枚数

 

これらの費用が合わせて10,000円程度となるため、株式会社設立には25万円ほどかかるという認識を持っていればいいでしょう。

 

(3)株式会社設立を行政書士に依頼する場合

上でご紹介した金額は会社設立の手続きを全て自分で行なった場合のため、行政書士などの専門家に依頼した場合には別途代行手数料がかかります。代行手数料の相場は、50,000〜90,000円ほどです。

 

行政書士に依頼した場合には、電子定款での手続きとなるため収入印紙の40,000円が不要となります。そのため、行政書士に株式会社設立を依頼した場合、260,000〜300,000円ほどが費用としてかかると考えておきましょう。

 

3.会社設立に必要な費用|合同会社

次に、合同会社を設立する場合の費用をご紹介します。合同会社の設立は、株式会社に比べて費用を抑えられ、手続きもシンプルです。

 

(1)合同会社設立に必要な法定費用

合同会社設立の費用は、100,000万円です。こちらも、資本金や行政書士への報酬を除いた法定費用の実費となります。

費用の内訳は、以下の通りです。

 

  • 定款に貼る収入印紙代:40,000円
  • 設立にかかる登録免許税:60,000円

 

株式会社設立と同じく、「定款に貼る収入印紙代」40,000円は、電子定款を選択した場合はかかりません。また、「設立にかかる登録免許税」60,000円は、資本金の0.7%が60,000円以上なら不要となるため、資本金が857万円以上あれば必要ありません。

 

(2)合同会社設立に必要な雑費

合同会社設立にも、株式会社設立と同じく以下の雑費がかかります。

 

  • 新しく設立する会社の実印作成代:5,000円程度
  • 設立時に必要な個人の印鑑証明取得費:300円×必要枚数
  • 新しい会社の登記簿謄本の発行費:500円×必要枚数

 

これらの合計は約10,000円のため、合同会社設立には約110,000円かかると思っておきましょう。

 

(3)合同会社設立を行政書士に依頼する場合

合同会社設立の代行を行政書士に依頼した場合、代行手数料の相場は40,000〜80,000円ほどです。その場合は電子定款となり収入印紙代が不要となるため、合同会社設立を行政書士に依頼した場合の費用は110,000円〜150,000円ほどとなります。

 

4.会社設立のコストを削減する方法

 

会社設立には一定の費用がかかりますが、できることなら安く済ませたいものです。コストを抑えて会社設立する方法はあるのでしょうか。

 

(1)資本金を多く用意する

会社設立にかかる費用は、ほとんど法定費用といって必ずかかる費用です。そのため、大幅にコストを削減するのは難しいですが、一つ目の方法として、まず資本金を多めに用意するということがあります。

先にも触れましたが、「設立にかかる登録免許税」は資本金が株式会社で2,140万円、合同会社で857万円以上ある場合には必要ありません。それぞれ15万円・6万円の費用が削減できますので、可能なら資本金を多く用意すると会社設立の費用が大幅カットできます。

ただし、資本金が1,000万円を超えてしまうと税制の優遇が受けられなくなり、削減したコスト以上に損をしてしまうこともあるため注意しましょう。

 

(2)行政書士に依頼する

行政書士に依頼して、電子定款を利用すれば「定款に貼る収入印紙代」4万円を節約することができます。もちろん行政書士への報酬が別途かかりますが、会計事務所によっては、会社設立後の顧問契約を条件に会社設立代行を無料で行なってくれる場合もあります

さらに、行政書士は会社設立にあたってのアドバイスも行なってくれるので、初めて会社設立する方には心強い存在です。4万円のコストを削減しつつ専門家のサポートも受けられるので、会社設立には行政書士の手を借りるのがおすすめです。

 

(3)合同会社を設立する

会社設立費用を大幅に削減する方法としては、株式会社ではなく合同会社を設立するという手もあります。

先に解説した通り、株式会社の設立費用は約25万円、合同会社の設立費用は約10万円と、15万円ほどの差があります。合同会社は株式を発行できないため資金調達が難しいですが、株主がいない分会社の意思決定がスムーズというメリットもあります。

古殿
古殿
会社設立の手続きも合同会社の方がシンプルなので、とにかく費用と手間を削減して会社を設立したいという方は合同会社という方法もあることを覚えておきましょう。

 

5.会社設立費用を自分で立替えた場合は?

会社設立のためにかかった費用は、もちろん会社設立後に経費として計上します。会社設立費用を経費として計上するときは、全ての費用を会社の設立日に発生したものとして総勘定元帳に記入します。

 

経費として計上する方法は複数ありますが、社長が会社設立費用を全て立替えた場合、貸方に「役員借入金」「短期借入金」「未払金」「仮受金」などの科目を用いて記入しましょう。

または、会社の設立日に現金で清算したことにして、現金出納帳に記載することもできます。この場合の科目は「創立費」「開業費」などを用います。

ちなみに、会社設立までにかかった費用は法定費用だけではなく、法務局の駐車場代や定款のコピー代、行政書士と打ち合わせに使ったカフェ代など、細かな経費まで「創立費」の科目で計上できます。

古殿
古殿
これらの「創立費」の科目は、決算時に全額を償却するか、5年で償却する処理をします。

 

6.まとめ

会社設立の費用は、株式会社か合同会社か、自分で手続きを行うかなどによって変わってきます。

古殿
古殿
損してしまうことのないよう、ご紹介した情報をしっかり理解しておいてくださいね!

 

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2019/05/13 会社の成長に関係あり?会社名の決め方まとめ

いざ会社を設立するとき、悩んでしまうのが会社名の決め方。会社名は、会社のイメージを左右するため、ときに会社の業績に影響が出ることも。

今回は、会社名の決め方のルールや法律上の決まり、英語表記のルールなどについて解説していきます。

古殿
古殿
決め方の参考にもなる、有名企業の名前の由来もご紹介します。

 

1.会社名決めにおける基本的なルール

まずは、会社名の決め方に関する基本的なルールや法律をご紹介します。

これらのルールに則って、自分の会社にぴったりの会社名を考えていきましょう。

会社名は、法律上、「商号」といいます。

 

 

(1)会社名に使える文字・符号

法律上、会社名に使える文字の種類は以下の通りです。

  • 漢字
  • ひらがな
  • カタカナ
  • ローマ字(大文字・小文字)
  • アラビア数字(0, 1, 2, 3, 4, 5……)

 

そして、符号は以下のものが使えます。

  • &(アンパサンド)
  • ‘(アポストロフィ)
  • ,(コンマ)
  • -(ハイフン)
  • .(ピリオド)
  • ・(中点)

 

「☆」や「♪」、絵文字などの特殊な記号や文字は会社名に使うことができません。また、符号は文字を区切るときのみで、先頭や末尾に使うことができません。

 

(2)必ず会社の法人格を示す言葉をつける

会社名には、「株式会社」「合同会社」など、必ず会社の法人格をつける必要があります。位置は会社名の前後どちらにつけても問題ありませんので、文字の配置や口に出した時の響きでしっくりくる方を選びましょう。

 

なお、現在の法律では、会社の法人格として英語の「Co., Ltd」などを用いることができなくなっています。英語で会社名をつけたい場合も、日本語の法人格をつけて「(英語名)株式会社」などとなります。

ただし、定款には英語表記ができるので、海外と取引がある企業やグローバル展開をしている企業は、定款は英語表記で記載するのが一般的です。

 

(3)同一の住所に同じ会社名はNG

法律上、同じ住所で同じ会社名の会社が登記することはできません。

以前なら基本的にありえないことでしたが、現在はパソコン1台あればどこでも仕事ができるので、同一住所に2つ以上の会社が存在しても不思議ではありません。こういった場合は、バーチャルオフィスなど住所をレンタルできるサービスを利用するのが便利です。

 

(4)類似する会社名がないかチェック

法律上は、住所さえ違えば類似した名前の会社が既に存在していても登記することは可能です。しかし、類似の会社名があった場合、「不正競争防止法」により損害賠償を求められる可能性があります。

また、会社名以外にも、似たような商品名やサービスがある場合には「商標権の侵害」で訴えられてしまうことも。

会社名や商品名は、候補の名前をインターネットなどで検索し、類似のものがないかどうか確認してから決めましょう。

 

(5)公序良俗に反するものは不可

会社名には、公序良俗に反するものは使用できません。例えば、侮辱的な言葉や犯罪を想起させる言葉、ネガティブなイメージの単語など、他者に不快感を抱かせるような会社名です。

また、「◯◯士」「○○大学」など国家資格や行政組織、団体等と誤認させるような会社名も使用できません。著名な故人・歴史上の人物、他社が商標権や著作権を持つキャラクター名・商品名なども、公序良俗に反するとされて登記できなかったり、訴訟を受けたりする可能性があります。

 

(6)「支店」「支社」は使えない

「支店」「支社」「部署」などといった、ある会社の一部であることを示すような言葉は会社名に含めることができません。

 

(7)法律で禁止されている言葉とは?

「銀行」「保険」「信用金庫」など、特定の業種を表す言葉は、その業種以外の会社は会社名に使うことができません。逆に、それらの業種の会社は、必ず会社名にその言葉を含める必要があります。

 

2.会社名決めで注意したいこと

それでは、実際に会社名の決め方で注意したいことを解説していきます。決め方のポイントを押さえて、覚えやすく広く知られる会社名を考えましょう。

 

(1)会社名は意味・由来があるものを

会社名の決め方でもっとも重要なのは、意味や由来があるということです。事業で実現したいビジョンを込めた会社名は、人に説明しやすく覚えてもらいやすいというメリットがあります。

とはいえ、あまり長い会社名は口に出したり覚えたりしにくいので、意味や由来を込めつつ簡潔な会社名を選ぶのがおすすめです。

 

(2)ドメインを取得できるか

会社名の決め方で、意外と見落としやすいのがドメインの取得。

会社の公式ページは、事業を広く人々に知ってもらうためにとても重要です。ドメインと会社名がちぐはぐだと顧客や取引先が混乱してしまいかねないので、なるべく同じまたは近いドメインを取得できる会社名がいいでしょう。

 

また、会社名を検索した時、自社のページが上位に表示されるというのも重要なポイント。会社名が既に漫画のキャラクターやブロガーのハンドルネームなどとして使われているというケースもあります。同じ名称のコンテンツの人気が高いほど検索で見つかりにくいので、会社名の決め方には「ネット検索」という要素も含めて考えましょう。

 

(3)外国語での意味・発音も確認しておく

日本語だけではなく、外国語での意味も会社名の決め方として重要です。日本語では問題ないように思える会社名も、外国の人が聞くと思わぬ意味に捉えられてしまうことも。

例えば、「カルピス」は、英語で「cow(牛)+piss(おしっこ)」という意味に聞こえてしまうので、海外ではカルピスは「カルピコ」という名前で販売されています。

 

このようなことを避けるために、会社名を決める時には英語・フランス語・スペイン語…など、思いつく限りの言葉でネガティブな意味を持たない言葉かどうか確かめましょう。

また、グローバル展開を考えている企業の場合、外国人が覚えやすく発音しやすいということも会社名の決め方のポイントとなります。

 

3.有名企業を参考に!会社名の由来3選

有名企業の会社名は、覚えやすくて事業内容を端的に表しているものが多いです。自社にぴったりの会社名を考えるために、有名企業の会社名の決め方を参考にしてみましょう。

 

(1)株式会社ファーストリテイリング

ユニクロやGUを展開するアパレル企業「株式会社ファーストリテイリング」は、会社名がそのまま会社のビジョンになっています。「ファースト(素早い)」「リテイリング(小売業)」という英単語を組み合わせた造語で、ファストフードのように素早く提供できるアパレル(=ファストファッション)を表しています。

既存の企業とは明確に違う事業形態を持っている場合、そのビジョンを生かした会社名の決め方がおすすめです。

 

(2)株式会社メルカリ

フリーマーケットアプリを運営する「株式会社メルカリ」の「メルカリ」は、ラテン語の「商いする(mercari)」が由来です。ラテン語は英語・フランス語・イタリア語・スペイン語などに分かれて派生していった言葉のため、全世界に似たような単語があり通じやすいという特徴があります。

古殿
古殿
業態にまつわる言葉の由来は、会社名の決め方のヒントになります。

 

(3)アートコーポレーション株式会社

「アートコーポレーション株式会社」は、アート引越しセンターなどを展開する会社です。

引越し業者を探す時、電話帳の一番前に来るようにという意味で「アート」という言葉が選ばれました。同じ理由で、引越し業者は「アーク引越しセンター」「アリさんマーク」など、「ア」で始まる会社名が多くなっています。

企業理念や業態を表す以外に、こういった利点で選ぶという会社名の決め方もあります。

 

4.会社名の決め方に関するよくある疑問

 

最後に、会社名の決め方に関する疑問を解決していきます。

 

(1)会社名は後から変更できる?

結論から言うと、会社名を後から変更することは可能です。

会社名を変えるには、法務局で登記の変更手続きをする必要があります。事業所の看板やホームページの名称を変えただけでは、会社名を変えたことにはならないので注意してください。

 

株式会社の場合は、まず株主総会で承認を受け、株主総会の議事録を作成します。議事録と登記申請書、新しい名称の会社実印を押した印鑑届出書を法務局に提出し、手続きは完了です。登記の変更を自分で行うには4万円、税理士などに依頼する場合は7〜8万円の費用がかかります。

 

(2)英語で表記したいときはどうしたらいい?

先にもお伝えしましたが、「株式会社」などの法人格を英語で登記することはできません。しかし、定款やホームページに英語で表記した会社名を記載したい場合は、「(英語名)Co., Ltd.」などといった英語表記が使えます。

英語の法人格として使えるのは、以下の通りです。

  • (Company・会社)
  • (Limited・有限の)
  • (Incorporated・法人化された)
  • (Corporation・株式会社)

 

古殿
古殿
それぞれに使い方の定義や明確な違いはないので、会社名と合わせてしっくり来るものを選んで使って問題ありません。

 

(3)どうしても会社名が決められないときは?

会社名の決め方は、基本的なルールさえ守れば自由です。

どうしても悩んでしまって決められない時は、直感的にピンときたものや、なんとなくしっくり来る語感のものを選ぶといいでしょう。辞書で開いたページの言葉や、子どもが直感的に決めた会社名を選んだという人もいるようですよ。

 

5.まとめ

会社名の決め方やルールをご紹介してきましたが、いかがでしたか?

会社名は、会社のイメージを担っていく重要なものです。

古殿
古殿
長く使い続けるものだからこそ、しっくりと来る良い会社名を考えられると良いですね!

 

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2019/05/06 1円でもいい?資本金額決定のための基礎知識

株式会社の場合、制度上は1円からでも構わない資本金ですが、実際に事業を始めるとなると、いくらにすればいいのか迷ってしまいますよね。

今回は、そんな資本金の基礎知識についてご紹介していきます。資本金の目的や金額の決め方を誰でもわかりやすいよう簡単に解説いたします。

古殿
古殿
資本金は、少なすぎる・高すぎるとそれぞれデメリットもあるため、安易に決めずにきちんと必要な額を算出しましょう。

 

1.資本金の目的とは?何に必要?

会社を立ち上げたことのない方であれば、そもそも資本金とは何なのかがわからないということもあるかもしれません。

まずは、基礎知識として資本金の目的や必要性について簡単に解説していきます。

 

 

(1)資本金ってそもそも何?

資本金とは、会社が創立当初から所有している運転資金のことです。賃借対照表では、「純資産」の項目に当てはまります。

株式会社の場合、その会社の株主から払い込まれた出資金とするのが原則です。例えば、株式会社を立ち上げ、一株1,000円で1万株発行し全て払い込まれたケースには、資本金額は1,000万円となります。

合同会社であれば、「社員が全員出資者であること」が条件となるので、社員2人以上で起業する場合には全員が資本金を出し合って創設します。

 

(2)資本金から読み取れること

前の項目でも解説しましたが、資本金は誰かへ返済する必要のない「純資産」のため、資本金の額が多い会社はそれだけ財務に余力があると言えます。

そのため、資本金の金額が大きければ大きいほど万が一の時の返済能力が高く、銀行や投資家、取引先などからの信用が得やすくなります。

 

平成18年に施行された新会社法では資本金を自由に設定できるようになったため、資本金1円からでも起業ができるようになりました。

しかし、資本金が1円の会社は、融資する銀行や取引先に「きちんと返済能力があるのか」「本当に代金を払ってくれるのか」という不安に思われてしまうことがあります。また、資本金が少ないと「その程度の心構えで起業したのか」と甘く見られてしまう可能性もあります。

古殿
古殿
簡単に言えば、資本金額の大きさはそのまま会社の信用度の大きさとなるでしょう。資本金は、ただの数字ではなく、その会社の基礎的な能力をわかりやすく表すものなのです!

 

(3)資本金が高額=良い会社なの?

基本的には、資本金は多いに越したことはありません。特に、設立したばかりの会社はすぐに利益が出せるとは限らないため、最初に高額な資本金を用意できれば利益が出始めるまでの運転資金として使えます。思っていた通りに事業が進まなくても、資本金で会社を維持できる期間が長ければ、改善策を模索する時間を稼ぐこともできます。

また、株式会社の場合、資本金額が大きいということはより多くの投資家からの支持を得ているということなので、事業に成長の見込みがある良い会社と言えるでしょう。

このような会社は、銀行からの融資も受けられやすく、より大きな事業を展開することができます。

 

ただし、後の項目で解説しますが、資本金の額には1,000万円・1億円というボーダーラインがあり、それを超えると消費税や法人税の支払額が変わります。資本金は多いに越したことはありませんが、むやみに大きな金額を用意すれば良いというわけではないということも覚えておきましょう。

 

2.資本金の金額はいくらにすればいい?

資本金の平均金額は、300万円です。

しかし、会社の事業内容により必要となる金額は異なります。パソコン1台あれば運営できるIT企業と大規模な工場や原料仕入れが必要な物づくり系の企業では、必要な資金に差があることは簡単に想像がつくかと思います。

 

資本金の金額の決定の際は、起業する会社の業態によって必要な資金を算出します。

起業後数ヶ月は利益ゼロでも会社を維持できるだけの金額がいいでしょう。利益が出始めるまで、事業所の家賃や従業員の給与などの必要経費を賄っていけるだけの資本金が必要となります。

具体的には、税制の優遇を受けられる1,000万円以下で、100〜300万円を目安になるべく多く用意するのが理想です。

古殿
古殿
なお、会社を立ち上げるには登記費用が合同会社で10万円・株式会社で25万円かかるので、その費用も別途見込んでおきましょう。

 

3.資本金の決定時に気を付けたいこと

先にもお伝えした通り、制度上は1円からでも株式会社を設立できますが、かといって簡単に「1円」と決めてしまうのも良くありません。逆に、資本金が高額すぎても、税制で損をしてしまう可能性があるため、ボーダーラインは知っておく必要があります。

資本金の金額を決める時、気をつけるポイントを解説します。

 

(1)会社の信用に関わることがある

資本金は、そのまま会社の信用度に直結します。特に、1円など極端に資本金額が低い会社は、支払い能力に問題があると判断されて銀行から融資を断られてしまうケースもあります。銀行が融資してくれる額は、大まかに資本金の2倍程度と言われています。資本金が1円では、法人口座も開設できないケースもあるでしょう。

また、一般的に、初めて取引をする会社については資本金を見て判断するケースが多いです。資本金が一定以下の企業とは取引しないというガイドラインを設けている会社もあるため、資本金が少ないせいでビジネスチャンスを逃してしまうことも。

 

そういった問題が生じた場合、資本金を増やす「増資」を行なうことも可能です。

しかし、増資をするための法的な手続きにはそれなりに費用がかかるため、やはり最初に設定する資本金は低くしすぎないようにしなければなりません。先にお伝えしたように、数ヶ月分の運転資金を計算し、必要十分な金額を資本金として用意しましょう。

古殿
古殿
形式的に、1円で会社設立は可能ですが、設立後の実態を考えた場合、この辺りを十分に考慮して資本金を設定するべきです。

 

(2)税負担が軽減できる場合がある

しかし、資本金は、むやみに金額が大きければ良いというものではありません。

資本金が大きくなると支払う税額も多くなるので、必要十分かつ税制で得をする金額に設定しましょう。

 

まず、資本金1,000万円未満の会社は設立1期目・2期目の消費税が免除されます。また、資本金1億円以下の中小企業は法人税率の一部軽減が適用されます。そのため、新規事業を設立する際は1,000万円・1億円のボーダーラインを意識して資本金の額を決めると良いでしょう。

 

そして、都道府県や市町村に支払う地方税についても、資本金が少ない会社は軽減措置の適用を受けられます。例えば、法人市町村民税には、事業利益の有無に関係なく負担する義務がある「均等割」というものがあり、資本金額が1,000万円以下の会社は最低限の税負担で済みます。さらに、段階的に一定の軽減税率が適用されるので、資本金をむやみに大きくしないことで地方税も節税できるのです。

税制面だけで考えた場合、資本金は1,000万円以下で、設立後の運用面を考えた金額に設定するべきであるということが結論になります。

 

(3)許認可が必要な場合の資本金

業界によっては、許認可を得ないと会社の運営をスタートできない場合があります。この許認可には資本金が審査基準となっている場合があるので、自分が企業したい業界の許認可についても確認しておきましょう。

 

例えば、旅行業は3,000万円・建設業は500万円以上が資本金額のボーダーラインです。また、労働者派遣事業では2,000万円×事業所数の資本金が必要となります。

 

4.まとめ

資本金の基礎知識について、おわかりいただけましたか?

 

資本金は少額すぎると会社の信用度が低くなり、高額すぎると税制で損をする場合があります。増資の手続きには手間と費用がかかるため、創設時から適切な資本金額を設定できるようにしましょう。

古殿
古殿
繰り返しになりますが、資本金は100〜300万円を目安に、1,000万円以下でなるべく多く用意するのが理想です。

 

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