会社設立は、思い立った時にすぐできるわけではありません。会社の存在を公的に証明するために、定款の認証と登記申請という手続きが必要になります。
さらに、これらの手続きには様々な必要書類があるので、その準備期間も必要です。
目次
1.会社設立に必要な期間は?
会社設立に必要な期間の目安は、全部で1~2ヶ月。
もちろん、事業内容を練ったり資本金を貯めたりするためにはもっと時間が必要ですが、会社設立の手続き自体にはそんなに時間がかかりません。
まずは会社設立の流れと、それぞれの期間の目安を解説していきます。
(1)会社設立の流れ
会社設立は、以下の流れで進めていきます。
- 事業計画・資本金の調達
- 基本事項の決定
- 定款作成
- 定款の認証(株式会社のみ)
- 登記申請
- 社会保険・税金等の手続き
(2)会社設立までの最短期間
前項でお伝えした会社設立の流れのうち、定款の認証と登記申請には公的機関が関わるため、事務処理に時間がかかります。定款の認証は即日できますが、登記申請の処理日数は最短でも1週間ほど。
そのため、事前準備が完璧にできている状態から始めた場合、会社設立にかかる最短期間は1週間ほどです。
その前段階の事業計画や資本金の調達、基本事項の決定に関しては、会社によってさまざま。中には何年もかけて起業を計画する人もいますし、スピード感が必要な事業なら数日で基本事項まで決める場合もあります。
定款の作成や、申請に必要な書類の準備期間は、自分で行うなら2週間~2ヶ月ほどが目安です。専門家に依頼した場合、数日~1週間ほどに期間を短縮することもできます。
2.会社設立を短期間でできるかは事前準備次第
それでは、会社設立の公的な手続きを行うまでの事前準備について、詳しく見ていきましょう。
(1)必要事項を決定しておく
会社設立のためには、まず会社の基本事項を決定しておく必要があります。
会社の基本事項とは、以下のような項目のことです。
- 会社の名前(商号)
- 事業目的
- 本店所在地
- 事業年度
- 資本金
- 出資者
- 株式譲渡の有無
- 役員構成
(2)印鑑を準備しておく
会社設立手続きでは、印鑑が必要になるシーンが多くあります。
会社設立に必要な印鑑は、以下の4種類です。
会社実印(代表社印) | 会社の設立登記時に登録する印鑑 主に重要な契約書などに使う |
会社銀行印 | 銀行口座の開設時に届け出る印鑑 会社実印と分けてリスクを分散する |
角印(社印) | 注文書・請求書・稟議書などに用いる会社の認印 |
住所印(ゴム印) | 会社名・会社住所・電話番号などを記載した印鑑 |
会社の印鑑はオーダーメイドなので、手元に届くまでには数日~の期間がかかります。印鑑がないと必要書類が作れないため、早めに準備しておきましょう。
また、会社の発起人や取締役の個人印鑑も必要なので、用意して印鑑登録を済ませておきます。
(3)印鑑証明をもらう
定款の認証手続きには、発起人と取締役の印鑑証明が1通ずつ必要になります。会社印の印鑑証明は登記が終わるまで取得できませんが、個人の印鑑証明は手続きで忙しくなる前に取得しておきましょう。
印鑑証明は、印鑑登録を行なった自治体の役所で、1通300円程度で発行できます。
3.会社設立に必要なこととその期間
次に、公的機関が関わる会社設立手続の手順と、その期間について解説します。
定款作成や登記に必要な書類について詳しくは、「会社設立・登記に必要な書類とは?手続き方法、設立後にすべきこと」をご覧ください。
(1)定款作成
定款とは、会社の基本事項や基本ルールを記載した書類のことです。
具体的には、以下のような内容を記載します。
- 商号
- 目的
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名及び住所
- 発行可能株式総数
(2)定款認証
次に、定款の認証手続きです。定款の認証は、公証役場に必要書類と手数料を持参して行います。
①収入印紙購入
定款の認証手続きには、4万円分の収入印紙が必要です。公証役場内で購入できる場所がある場合もありますが、事前に郵便局などで購入しておいた方が確実です。
なお、定款に貼り付けるのは認証手続き当日がおすすめ。万が一定款に不備があった場合、先に収入印紙を貼り付けておくと無駄になってしまうためです。
②公証役場で定款認証を受ける
準備が整ったら、以下の必要書類を公証役場に提出します。
- 定款 3部
- 発起人(出資者)全員の印鑑証明書
- 発起人(出資者)の実印
- 身分証明書
- 公証人へ支払う手数料 5万円
- 定款の写し交付手数料 250円×定款のページ数
- 収入印紙 4万円分(電子定款の場合は不要)
定款の認証手続きにはそれほど時間がかからないので、即日完了します。
③資本金を払い込む
定款の認証が終わったら、会社用の口座を用意して、資本金として定めた額を振り込みましょう。このタイミングで行うのは、次の登記手続きで必要な書類を作成するためです。
資本金の払い込みが終わったら、通帳の以下の部分をコピーしておきましょう。
- 通帳の記帳欄
- 表紙
- 個人情報欄
(3)登記申請書類の準備
次に、登記申請書類を用意します。
登記申請にはたくさんの書類が必要ですが、どれも複雑な作業が必要なものではありません。
法務局のホームーページからダウンロードできるフォーマットや、ネット上で配布されているテンプレートに必要事項を記入し、以下の書類を揃えます。この準備は、1~3日程度でできるでしょう。
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 登記すべき事項を記録した磁気ディスク(CD-Rなど)
- 公証人の認証済みの定款
- 資本金払込証明書
- 役員の就任承諾書
- 役員の印鑑証明書
- 印鑑届書
- 印鑑カード交付申請書
(4)登記申請
登記申請書類が揃ったら、法務局で登記申請を行います。上記の必要書類とともに、株式会社は15万円、合同会社は6万円の登録免許税を納めましょう。
ちなみに、会社の設立登記は郵送でも申請できます。登記申請の事務処理には、1~2週間ほどの期間がかかります。
(5)設立後の手続き
会社設立の手続きができたら、開業するために社会保険・税金関係の手続きを行います。
会社設立後、開業までに済ませるべき公的手続きには以下のものがあります。
年金事務所に提出する書類 (会社設立から5日以内) |
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ハローワーク(公共職業安定所) に提出する書類 (従業員を雇用した翌日から10日以内) |
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労働基準監督署に提出する書類 (従業員を雇用した翌日から10日以内) |
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税務署に提出する書類 |
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4.会社設立への期間はゆとりを持って
最初にもお伝えしましたが、会社設立にかかる期間の目安は1~2か月です。専門家に依頼すれば、複雑な書類作成がスムーズにできるので1~3週間で手続きが完了することもあります。
目標とする開業日がある場合、手続きが遅れるとその日に開業できないことも。会社設立を考えている方は、期間にゆとりを持って準備を進めていきましょう。
5.まとめ
会社設立には、定款の作成・認証と登記申請という手続きが必要になります。
会社に関する事項の決定や、書類の準備期間は、自分次第で短縮することも可能です。
しかし、公的機関の事務処理期間は短縮できないので、最低でも1週間程度は見込んでおきましょう。