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2020/01/29 営業利益とはなにか?他の利益との違いや計算方法を解説

損益計算書に登場する様々な項目は、企業の経営状況を見極めるヒントとなります。

今回は、その中の「営業利益」について詳しく解説していきます。

 

企業が本業で得た利益を示す営業利益を見れば、その会社の競争力を知ることができます。

営業利益率を求め、他社と比較することで、会社がどのような戦略で経営しているかもわかりますよ。

 

 

1.≪営業利益とは?≫

営業利益とは、その会社が本業で稼いだ利益のことです。自動車製造業なら自動車、製薬会社なら薬の販売など、その会社が主とする事業で得た利益のことを営業利益と呼びます。

 

似た言葉に「売上総利益」や「経常利益」がありますが、それぞれ営業利益とは意味が違います。

売上総利益は物やサービスを販売して得た収益から、仕入原価を引いたものです。

それに対して、営業利益は、仕入原価以外にかかった経費である「販売費および一般管理費」を抜いたもののことを言います。販売費および一般管理費には、人件費・家賃地代・宣伝費などが含まれます。

 

経常利益は会社が本業で得た利益以外に、不動産収入や配当収入、サイドビジネスの収益などを加えたものです。本業で得た利益以外については、支払利息や雑損失などの経費もマイナスして計上します。

 

2.≪営業利益と他の利益との違い≫

決算期に企業が作成する損益計算書には、「利益」とつく項目が5つあります。

この項目では、それぞれの違いと関係性を知っていきましょう。

 

(1)売上総利益

売上総利益とは、商品の売り上げによって獲得した利益のことで、「売上高—売上原価」という計算式で求めます。例えば50円で仕入れた商品を100円で売っている場合、50円が売上利益。その売上利益の一決算期分の合計が、売上総利益となります。

建設業や飲食業などで、「粗利」という用語をよく使いますが、粗利とは売上総利益のことを指しています。

 

営業利益と売上総利益を比べると、人件費や家賃などの販売費・管理費にどれだけの金額を割いているかがわかります。

売上総利益は多いのに営業利益が少ないという場合、原価以外の管理費がかかりすぎている可能性があります。

 

逆に、営業利益に比べて売上総利益が少ないと、商品の仕入原価が高すぎるということを意味します。

 

(2)営業利益

先にも解説しましたが、営業利益は企業が本業で獲得した利益です。

会社がいくつかの事業を行なっていたり不動産収入などの不労所得があったりする場合は、それらを除いた本業のみの利益を示します。

 

営業利益は「売上総利益—販売費及び一般管理費」という計算式で求めることができます。

売上総利益から、人件費や家賃などの経費を差し引いたものというイメージですね。

 

(3)経常利益

経常利益は、会社の本業と本業以外の利益を合計したもののことを言います。計算式は「営業利益+営業外収益—営業外費用」です。

営業外収益としては、会社が所有している不動産の家賃収入や、本業以外のサイドビジネスの利益などが考えられます。

 

営業利益と経常利益の関係を見ると、会社の本業が順調かどうかわかります。

経常利益の中で営業利益の占める割合が多い場合、会社のメイン収入を本業のみに頼っているということで、経営は順調ですがリスク分散ができていない可能性があります。

 

それに対して、営業利益が占める割合が低い場合、本業以外に会社を支える事業や資産があるということで、もし本業が傾いたとしてもダメージが少ないと予想できます。

 

(4)税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、法人税などを支払う前の利益のことを言います。

 

経常利益との違いは、特別利益・特別損失が計算に入ることです。

特別利益・特別損失とは、通常の経営では起こらない臨時的な利益や損失のことです。例えば、株や不動産の売却益や盗難・災害による損失など、一度限りの損益のことを言います。

 

税引前当期純利益は、「経常利益+特別利益—特別損失」という計算式で求めます。

 

(5)当期純利益

当期純利益は、税引前当期純利益から税金を差し引いて、最終的に会社の手元に残る利益のことです。

「税引前当期純利益—法人税等」という計算式で求めます。

結局、一年で会社がどれだけ稼いだのかという結果は、当期純利益を見て判断します。

 

3.≪営業利益の計算方法≫

それでは、営業利益の計算方法について解説していきます。

 

(1)営業利益の計算式

営業利益を求めるための計算式は、以下の通りです。

 

・営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費

 

ここでは、会社が本業以外で得た収益や、一時的な収入・損失は計算には入れません。

あくまで本業に関して、売上総利益から仕入れ以外の経費を引いたものが営業利益となります。

 

(2)「売上総利益(粗利益・粗利)」とは?

先にも解説しましたが、売上総利益は1年間の全ての売上金額から仕入原価を引いたもの。同じ意味で、粗利益・粗利と呼ばれることもあります。

 

売上総利益は、その企業の競争力を示します。

例えば、同じものを同じ価格で、同じ個数売った場合、仕入原価を抑えられた会社の方が売上総利益は大きくなります。同規模の会社と売上総利益を比較することで、自社の仕入れノウハウがどの程度なのかを測ることができるのです。

 

売上総利益は、以下の計算式で求められます。

 

・売上総利益 = 売上高 — 売上原価

 

(3)「販売費及び一般管理費」に含まれる勘定科目

販売費及び一般管理費には、仕入原価以外の経費が含まれます。

具体的に、販売費及び一般管理費となる勘定科目は以下のものです。

 

・給料

・賞与

・法定福利費

・福利厚生費

・広告宣伝費

・接待交際費

・旅費交通費

・支払手数料

・賃借料

・通信費

・水道光熱費

・保険料

・減価償却費

・租税公課

・消耗品費

 

4.≪売上高営業利益率とは?≫

売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の比率です。

これを見ることで、その企業が本業でどれだけ効率的に利益を生み出せたかがわかります。

 

(1)利益率の計算方法

売上高営業利益率は、以下の計算式で求めます。

 

売上高営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

 

先にもお伝えしましたが、売上高営業利益率は売上高に対する営業利益の割合です。

本業で稼いだ金額から、原価も経費も引かない状態の売上高と営業利益を比べ、割合をパーセンテージで算出します。

 

(2)利益率から何が分かる?

売上高営業利益率からわかるのは、品物の原価にどれだけの利益率を乗せて販売しているかということです。

これが高ければ高いほど、その会社は付加価値の高い商品を販売しているということで、ブランド力や競争力があるということになります。

 

ただし、逆に売上高営業利益率を低くして、大量に売ることで利益を出すという戦略も考えられるため、売上高営業利益率が高ければ高いほどいいというわけではありません。

 

(3)優良企業の利益率の目安

売上高営業利益率の理想的な数値は、企業ごとの経営戦略によるため、一概には言えません。

 

ちなみに、日本企業の売上高営業利益率ランキングでトップの「アサックス」は71.08%となっています。

アサックスは不動産担保ローンを扱う会社で、商品の製造・販売など実際の「モノ」を扱う業種より、サービスを扱う業種の方が売上高営業利益率は高いです。

 

全業種での売上高営業利益率の平均値は3.4%となっていて、物販関係の業種ごとの平均値は以下の通りです。

・製造業:4.7%

・卸売業:1.4%

・小売業:2.7%

 

人件費や設備費用が多くかかる製造業・小売業では、全体的に売上高営業利益率が高く、その間の卸売業ではやや低めという傾向があります。

 

5.≪まとめ≫

営業利益はその企業が本業で稼いだ金額から、仕入原価や経費を引いたものです。

会社の中心的な事業が、どれだけの利益をあげているのかという指標になります。

 

売上総利益や経常利益と比較することで、本業の経営が順調かどうか、仕入れノウハウが優れているかどうかを判断できます。

今回お伝えした知識を、企業研究や経営分析をする時にぜひ役立ててみてください。

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2020/01/22 「雑所得」に含まれる収入と申告方法

雑所得には、年金・副業による収入・先物取引やFXによる収入などが含まれます。

会社員は20万円以上、その他の方は1円でも雑所得があると、確定申告が必要です。

 

今回は、雑所得の具体例や計算方法、確定申告の方法について詳しくご紹介いたします。

無申告だと追徴課税を課せられる可能性もあるので、雑所得がある方は申告方法を知っておきましょう。

 

 

1.≪雑所得とは?概要と具体例≫

雑所得とは、定義付けされた9種類の所得に含まれない、その他の所得のことです。

まずは、雑所得と他の所得の違いや、雑所得が発生する具体例などを解説していきます。

 

(1)所得の種類

所得は、その発生理由によって9種類に分類されています。

 

・利子所得:預金・貸付金などの利子

・配当所得:株式などの配当金

・不動産所得:所有する不動産から得る家賃地代

・事業所得:事業を行なって得た所得

・給与所得:会社から得た給与・賞与

・退職所得:退職金

・山林所得:所有する山林の木などを譲渡して得た所得

・譲渡所得:土地・建物・株式・会員権などを譲渡して得た所得

・一時所得:懸賞・ギャンブルの払戻金・生命保険の一時金など一度限りの所得

 

これらのどの種類にも当てはまらない所得を、雑所得と呼びます。

 

(2)雑収入・事業所得・一時所得との違い

雑所得と雑収入は、言葉は似ていますが違う意味を持っています。

 

まず雑所得とは、先にも解説した通り、定められた9つのカテゴリに含まれない所得のことです。

一方、雑収入とは、事業に関連して得た本業以外の収入のこと。例えば、事業を行う中で得た空き箱などを売却した収入や、会社のものを貸し出した時のリース料などが該当します。

この雑収入は、事業に関連しているものなので事業所得に含まれ、雑所得とは根本から異なるものなのです。

 

次に、一時所得と雑所得の違いは、一時的なものかどうか、また儲けようとして得たものどうかで判断します。

一時所得に含まれる懸賞やギャンブル等の払戻金、生命保険の一時金などは、基本的に一度限りかつ偶発的で、事業や労働の対価として得たものではありません。

 

そういった一時所得の条件を満たさず、かつ他の所得に当てはまらないものを雑所得と呼びます。

 

(3)雑所得の具体例

雑所得の具体例を挙げると、以下のようなものがあります。

 

・年金・恩給など公的年金

・副業による収入

・ネットオークションの売上金

・先物取引・FX・仮想通貨などで得た収益

・本業以外で得た原稿料・印税・講演料など

・非営業用貸金の利子

・外貨建預金の為替差益

・生命保険などの個人年金保険

・税務署等からの還付金

 

2.≪雑所得と税額の計算方法≫

それでは、雑所得と、雑所得に課せられる税額の計算方法を解説していきます。

 

(1)雑所得の計算方法

雑所得の計算方法は、公的年金とその他の雑所得で異なります。

 

・公的年金:収入金額ー公的年金等控除額=公的年金等の雑所得

・その他の雑所得:総収入金額ー必要経費=その他の雑所得

 

年金所得とその他の雑所得が両方ある場合は、この2つの合計を計算します。

 

(2)雑所得の税額は?

雑所得は給与所得など他の全ての所得と合計して総所得額を算出し、そこに所得税率をかけて税額を計算します。

所得税は累進課税制度が採用されていて、所得額が上がると税率も上がる仕組みです。

 

所得額に対する、所得税の税率一覧は以下の通り。

 

〜195万円:5%

195〜330万円:10%

330〜695万円:20%

695〜900万円:23%

900〜1,800万円:33%

1,800〜4,000万円:40% 

4,000万円〜:45%

 

ただし、雑所得のうち、先物取引によるものは申告分離課税の対象です。

申告分離課税とは、一時的に大きな金額が手に入ったとき、その分だけを所得と切り離して考えることで、実情に沿わない高額納税を避ける制度です。

先物取引で出た雑所得には、金額に関わらず一律で20.135%の税率が課せられます。

 

3.≪雑所得の確定申告はどうする?≫

雑所得が生じた場合には、一定の場合をのぞいて確定申告が必要です。

雑所得の確定申告が必要なケースや、具体的な申告方法を解説していきます。

 

(1)20万円以下なら申告不要?

「20万円以下の雑所得なら、申告不要」という話を聞いたことがある人も多いと思います。

 

しかし、これが適用されるのは、サラリーマンなど会社から給与所得を得ている人のみです。

例えばサラリーマンが副業をしたり、ネットオークションで物を売ったりして雑収入を得た場合なら、その金額が年間20万円以下なら確定申告の必要がありません。(ただし、住民税の申告は所得の金額の大小に関係なく必要になります。)

それ以外のフリーランスや主婦/主夫などの方は、雑収入が20万円以下であっても確定申告が必要です。

 

また、給与収入を得ている場合でも、年収が2,000万円以上の方、会社で年末調整を受けていない方は確定申告を行います。

 

(2)申告免除でも住民税申告が必要なケースとは

雑所得が20万円以下で、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は必須です。

なぜなら、所得税を納めるのは国、住民税を納めるのは地方自治体で、それぞれ申告要件が異なるためです。

雑所得が20万円以下で所得税の申告が不要だからといって、住民税の申告を行わないと、無申告と見なされてしまいます。

 

雑所得が20万円以上あり所得税の確定申告を行なった場合には、そのデータが住民税の計算にも流用されるため、改めて申告する必要はありません。

 

(3)認められる必要経費・認められない必要経費

必要経費とは、その所得を得るために必要な経費のことです。

 

例えば、商品を仕入れ、ネットショップで販売して収入を得ているなら、

・商品の仕入れ代金

・ネットショップのシステム利用料

・ラッピングや送料

・通信費

・交通費

・パソコンやスマートフォンの購入費

・家賃や倉庫の賃料

・賃貸物件を維持するための光熱費

・販促費・広告費

・業務のための借入金の利息

などが必要経費と認められます。

 

ただし、自宅で業務を行なっている場合、部屋・パソコン・通信費・光熱費などはプライベートで使うこともあるでしょう。

その場合は家事按分といって、それらを業務に使用している面積・時間などの割合をかかった金額にかけたものが必要経費として認められます。

 

完全にプライベートで使った費用や、確定申告で所得控除の対象となる生命保険などは必要経費として認められません。

雑所得の金額は、稼いだ総額ではなく、総額からこれらの必要経費を差し引いて計算します。

 

(4)雑所得の申告方法の具体例

それでは具体的な雑所得の申告方法を、ケース別に解説していきます。

 

①サラリーマンの副業

サラリーマンが副業で20万円以上の雑所得を得ている場合、確定申告が必要です。

 

まず、副業で得た収入の総額から必要経費を差し引き、雑所得の金額を算出します。

所得が給与所得と雑所得のみの場合は、確定申告書Aを使い、源泉徴収票と帳簿を参考にして収入金額と所得金額を書き込みましょう。

 

副業をしていることを会社に知られたくない場合には、会社に住民税の通知が届かないよう第二表にある「住民税に関する事項」の「自分で納付」に〇をつけて提出します。

 

②オークションやフリマなどの収入

ネットオークションやフリマを利用して収入を得た場合、課税対象にならない取引もあります。

それは、生活用動産の売買です。

 

生活用動産とは、生活に必要な動産(不動産以外の財産)うち、30万円以下のものです。

家具・衣服・書籍・自動車・安価な貴金属などの取引は非課税となるので、20万円以上の所得があっても確定申告の必要はありません。

 

一方、30万円以上の高級品を売却した場合は、その所得を雑所得として確定申告する必要があります。

確定申告の方法は上記で説明したサラリーマンのケースと同様で、給与所得がなく雑所得のみの場合には、該当する項目にだけ記入します。

 

③確定申告に必要な書類

確定申告書はAとBの2種類です。

その年に得た所得が、給与所得・雑所得・総合課税の配当所得・一時所得のいずれかの場合は、確定申告書Aを使用します。他に事業所得・山林所得・不動産所得などがある場合には、確定申告書Bを使用します。

 

他に確定申告に必要な書類は、以下の通りです。

・本人確認書類

・所得を証明する書類(源泉徴収票・支払調書など)

・控除を受けるための書類

 

4.≪雑所得の確定申告を行うメリット≫

雑所得の確定申告を行うメリットは、払いすぎた税金が還付される可能性があることです。

副業でも、支払い元が所得税を源泉徴収している場合があり、その場合は払いすぎた所得税が戻ってきます。

 

また、雑所得は確定申告をしない場合のリスクが大きく、税務署に無申告がバレてしまうと追徴課税が課せられる可能性があります。

追徴課税の税率は重く、実際に支払うべきだった税額よりかなり余計な出費になってしまうため、雑所得があった場合には正直に申告しておいた方がいいのです。

 

5.≪まとめ≫

雑所得は、定められた所得のカテゴリに当てはまらない、年金・副業・先物取引などで得た所得のことです。

年末調整を受けているサラリーマンは、雑所得が20万円以下であれば確定申告の必要がありませんが、その他の方は雑所得の金額がいくらでも申告をする必要があります。

 

また、所得税の確定申告が必要ない方も、住民税の申告は必須です。

無申告の場合は重い追徴課税が課せられることもあるので、雑所得を得た方は申告を忘れないようにしましょう。

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2020/01/15 租税公課とは?経費として計上できる税金を解説

租税公課とは、企業・個人事業の帳簿に登場する勘定科目です。その名の通り、租税(税金)と公課(公的負担金)を合わせたものですが、実は税金であっても租税公課に含まれないものもあります。

 

今回は、租税公課に含まれるもの・含まれないものを詳しく解説。

帳簿付けには必ず必要な勘定科目なので、しっかりと内容を把握しておきましょう。

 

 

1.≪租税公課とは何か≫

租税公課とは、「租税」つまり国や地方に納める税金の一部と、「公課」国や公共団体などに支払う交付金・会費などの公的な課金を合わせた勘定科目です。ちなみに、読み方は「そぜいこうか」です。

 

おおまかに言うと、税金や公的負担金を経費として計上するための科目ですが、税金の中には租税公課に含まれないものもあります。

租税公課の対象になるもの・ならないものは、次からの項目で詳しく解説します。

 

2.≪「租税」「公課」の対象になるもの≫

それでは、租税公課の対象となるものを「租税」と「公課」に分けてご紹介していきます。

 

(1)「租税」の対象になるもの

租税の対象となるのは、国・地方に納める税金のうち、事業に関連していて、ペナルティ等の意味合いがないものです。

 

①国税

租税に含まれる国税には、以下のようなものがあります。

 

・登録免許税

・印紙税

・収入印紙

など

 

②地方税

地方税のうち、租税に含まれるのは以下のものです。

 

・固定資産税

・不動産所得税

・償却資産税

・自動車税

・軽自動車税

・自動車取得税

・自動車重量税

・事業税

など

 

(2)「公課」の対象になるもの

公課の対象となるのは、罰金や科料などを除いた公的負担金です。

 

➀各種手数料

まず、次のような市区町村役所などで支払う各種手数料は、租税公課に含まれます。

 

・印鑑証明書・住民票などの発行手数料

・その他公共サービスに対する手数料

 

②団体に対する会費・交付金

公的な団体(商工会・商工会議所・協同組合・同業者組合・商店会等)に対して支払う、会費や交付金なども租税公課の対象です。

 

・会費

・組合費

・賦課金

など

 

3.≪租税公課の対象にならないもの≫

税金や公的負担金の中でも、租税公課の対象にならないものもあります。事業そのものに関係のない税金・公的負担金は、経営者や会社が支払ったものでも経費としては認められません。

 

また、以下に挙げる税金等は、事業に関連していても租税公課には含まれません。

 

(1)所得税・外国法人税

所得税・住民税など、個人に対して課せられる税金は租税公課に含めることができません。なぜなら、事業に対してかかるのではなく、事業から得た所得に対して課せられるものだからです。

 

これらは、租税公課に含まれないだけではなく、損金算入することもできない税金です。

基本的には、事業と個人の口座を分けて個人のお金から支払いますが、やむをえず事業用の口座から支払って帳簿付けをする場合には、「事業主貸」という勘定科目を使います。

 

また、法人税額から控除する外国法人税についても、租税公課には含みません。

 

(2)法人税・都道府県民税・市町村税

企業にとっての所得税や住民税にあたる法人税・都道府県民税・市町村税も、租税公課に含めることができません。

こちらも個人の場合と同様、事業に対してかかるのではなく、事業から得た所得に対してかかる税金だからです。

 

これらの税金は、原則的に損金不算入とされています。

法人税・都道府県民税・市町村税を支払って帳簿付けする際は、「法人税等」という勘定科目を用います。

 

(3)各種加算税や加算金・延滞税や延滞金・過怠税

税金の支払いが遅れた時に課せられる、加算税・加算金・延滞税・延滞金・過怠税といったものも租税公課には含まれません。

支払いが遅れたことに対して発生する税金は、所得を減額して課税額を減らす要因にはならないためです。基本的に、ペナルティの意味を持つものは租税公課には含まれないと覚えておきましょう。

 

ただし、利子税と「地方税の納期限の延長に係る延滞金」の損金算入は認められています。

これらはどちらも、延納や申告期限の延長が認められた場合に発生する税金です。延滞税のようなペナルティとしての性質がないため、租税公課に含めて損金算入することができるのです。

 

また、社会保険料の延滞金も損金算入できることになっています。

 

(4)罰金・科料

交通違反や法規違反の際に発生する、罰金や科料も租税公課には含めません。延滞に関する罰金等と同じく、こちらもペナルティの意味合いを持つためです。

 

犯罪等による罰金によって支払う税金が減額されるのはおかしいので、租税公課に含めたり、損金算入したりすることはできなくなっています。

 

4.≪個人事業主の場合はここに注意!≫

個人事業主も、帳簿付けに租税公課という勘定科目を使うことがあります。

個人事業主が租税公課を扱う場合、企業とは違うポイントを見ていきましょう。

 

(1)事業主個人の税金は租税公課に含まれない

先にも触れましたが、所得税・住民税など、事業主個人に課せられる税金は租税公課に含みません。

これは、例え事業主が一人だけで運営している事業であっても、事業と個人は切り離して考えるためです。

事業主個人の収入や支出は事業とは関係ないため、租税公課に含めて損金算入することができません。

 

他には、

・家庭用の自動車関連税

・相続税

・贈与税

・国民年金保険料

・国民健康保険料

など、個人が支払う税金・公的負担金も、租税公課には含みません。

 

(2)消費税は経理方式で取り扱いが異なる

消費税については、経理方式によって租税公課に含めるかどうかが変わってきます。

経理方式には、「税込経理方式」「税抜き経理方式」の2種類があります。

 

・税込経理方式:売上高・仕入高に消費税を含めて計算する方法

・税抜経理方式:売上高・仕入高に消費税を含めず計算する方法

 

そして、それぞれの経理方式で、消費税の扱いは以下のようになります。

 

・税込経理方式:消費税を租税公課に含める

・税抜経理方式:消費税を租税公課に含めない

 

税抜経理方式の場合は、消費税を租税公課ではなく「未払消費税」という勘定科目で処理します。

 

ただし、個人事業だと、そもそも消費税の課税業者ではない場合も多いです。

開業してから2年以内の個人事業、また売り上げが1,000万円を超えない場合は、消費税の計算自体が必要ありません。

 

5.≪租税公課の対象ではないが控除の対象となるもの≫

税金や公的負担金の中には、租税公課には含まれないものの控除の対象となるものもあります。

 

(1)相続税

遺産を相続する際に発生する相続税は、経費に計上することができません。相続税の扱いに伴って、税理士等に依頼した場合の費用も同様です。

これは、相続税が事業に関係するものではないためです。

 

しかし、相続税は租税公課に含めることができなくても、控除対象となる税金です。

贈与税額控除・配偶者控除・未成年者控除・障害者控除・相次相続控除・外国税控除などを利用して、税金の支払い額を抑えることができます。

 

(2)国民健康保険や国民年金の保険料

こちらも広く捉えれば公的負担金ですが、事業ではなく個人に課せられるもののため経費に計上できません。

 

ただし、国民健康保険・国民年金は、所得税の社会保険料控除の対象です。

確定申告の書類には1年間に支払った社会保険料を記入する欄があり、そこに支払い額を記入すると所得から差し引かれて、結果的に節税になります。

 

6.≪まとめ≫

租税公課とは、事業に関して支払った税金・公的負担金を損金算入するための勘定科目です。

 

ただし租税公課に含まれない税金もあり、事業に関連しないもの・個人に課せられたもの・ペナルティの意味合いを持つものは損金算入できません。

少し複雑ですが、帳簿付けには必須の勘定科目のため、しっかり把握しておきましょう。

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2020/01/08 経常利益とは?計算方法と優良企業の見分け方

損益計算書に登場する様々な項目は、企業の経営状況を判断するための大きなヒントです。

 

今回は、その中でも「経常利益」について詳しく解説していきます。

企業の本業と、本業以外の収益を合わせた経常利益は、企業の実力を表す数字です。経常利益率を求めることで、業界の中でその会社がどのような位置付けなのかもわかりますよ。

 

 

1.≪経常利益とは何か≫

経常利益とは、企業が事業全体で得た利益のことを言います。

混同しやすい言葉に「営業利益」がありますが、意味が違い、これは企業が本業で得た利益のこと。

 

会社によっては、不動産収入や株の運用など、本業以外の部分で利益が出る場合があります。

経常利益は、企業が得た本業の利益と、本業以外の利益を合わせた、全ての利益の合計額を言います。

 

2.≪経常利益と他の利益との違い≫

決算期に企業が作成する損益計算書には、「利益」とつく項目が5つあります。

この項目では、それぞれの違いと関係性を知っていきましょう。

 

「売上総利益」

売上総利益とは、商品の売り上げによって獲得した利益のことです。

 

「売上高—売上原価」という計算式で求め、例えば50円で仕入れた商品を100円で売っている場合、50円が売上総利益。

その売上総利益の一決算期分の合計が、売上総利益となります。

 

「営業利益」

先にも触れましたが、営業利益は企業が本業で獲得した利益です。

自動車会社なら自動車の売り上げ、食品会社なら食品の売り上げという風に、会社の中心となる事業の利益のことを言います。

 

「売上総利益—販売費及び一般管理費」という計算式で求めることができます。売上総利益から、人件費や家賃などの経費を差し引いたものというイメージですね。

 

経常利益と営業利益の関係を見ると、企業がリスク分散できているかどうかや、経営のどこに問題点があるかがわかります。

例えば、営業利益が赤字なのに経常利益が黒字という場合、業績が悪化しているのにその他の部分からの収入が大きいことを示します。

本業が赤字でも、それをカバーするだけの収入源やサイドビジネスがあるということで、本業には改善の余地があるものの、リスク分散はできているということになるでしょう。

 

逆に、営業利益に比べて経常利益が少ない場合、本業の業績をそれ以外の経営が足を引っ張っているということになります。

 

③「経常利益」

経常利益は今回メインで解説していくものです。

先に解説したように、会社の本業と本業以外の利益を合計したもののことを言います。計算式は「営業利益+営業外収益—営業外費用」です。

 

営業外収益としては、会社が所有している不動産の家賃収入や、本業以外のサイドビジネスの利益などが考えられます。

 

④「税引前当期純利益」

税引前当期純利益とは、法人税などを支払う前の利益のことを言います。

経常利益との違いは、特別利益・特別損失が計算に入ることです。

 

特別利益・特別損失とは、通常の経営では起こらない利益や損失のことです。例えば、株や不動産の売却益や盗難・災害による損失など、一度限りの損益のことを言います。

 

税引前当期純利益は、「経常利益+特別利益—特別損失」という計算式で求めます。

 

⑤「当期純利益」

当期純利益は、税引前当期純利益から税金を差し引いて、最終的に会社の手元に残る利益のことです。

「税引前当期純利益—法人税等」という計算式で求めます。

結局、一年で会社がどれだけ稼いだのかという結果は、当期純利益を見て判断します。

 

経常利益と純利益の関係性を見ると、企業の安定性がわかります。

例えば、経常利益が赤字なのに純利益が黒字の場合。最終的に利益は残ったものの、通常の経営は赤字で、一時しのぎの特別利益で黒字を出したということになります。

このような企業は、近い将来経営が行き詰まる可能性の高い、赤字体質の企業と言えるでしょう。

 

逆に、経常利益は黒字なのに純利益が赤字という場合は、順調な経営を行っているところに突発的な損失があったと考えられます。この場合、その年は赤字だったとしても経営状態に関してそこまで心配する必要はないでしょう。

 

3.≪経常利益の計算方法≫

それでは、経常利益の具体的な計算方法や、含まれるもの・含まれないものを解説していきます。

 

➀経常利益の計算式

経常利益は、以下の計算式で求めます。

・経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

 

営業利益とは、総売上から経費を差し引き、本業で得た利益です。

営業外収益は本業以外から得た収益で、営業外費用はそのためにかかった経費のこと。特別な損失や売却などは含めず、通常の経営を行う中で企業が得た利益を示します。

 

➁営業利益の出し方

営業利益の算出方法は、以下の通り。

・営業利益=売上総利益—販売費及び一般管理費

 

総売上からまずは仕入れにかかった原価を引き、そこから人件費・家賃などの全ての経費を引いたものが営業利益です。

 

➂営業外利益に含まれるもの

営業外利益に含まれるものは、企業が本業以外から得ている利益で、一時的ではないものです。

 

具体例を挙げると、

・所有している不動産の家賃収入

・所有している株式の配当金

・貸付金の利息

・有価証券利息

・為替差益

・本業以外の業務による売上

などが営業外利益に含まれます。

 

本業以外で得た利益であっても、固定資産の売却益や前期損益修正益など、通常の経営では発生しないものは営業外利益ではなく特別利益になります。

 

④営業外費用に含まれるもの

営業外費用には、通常の経営をする中で本業以外にかかった費用のことを言います。

 

具体例を挙げると、

・支払利息

・手形売却損

・有価証券売却損

・サイドビジネスの経費

などが営業外費用に含まれます。

 

固定資産売却損や前期損益修正損、盗難・災害による損失など、通常の経営では発生しない損失は特別損失になり、営業外費用には含みません。

 

4.≪経常利益はなぜ重要?≫

会社の経営状況を判断する際、なぜ経常利益が重要になるのでしょうか。

経常利益を見ることで、会社のどんな部分が判断できるのかを解説していきます。

 

➀企業の実力を表す経常利益

経常利益は、会社を通常に運営している場合に得られる総利益を示しています。

経常利益以降の税引前当期純利益や当期純利益には、一度限りの損益である特別利益・特別損失も含まれるため、実際の経営状況が判断できません。

 

また、営業利益だけでも会社本来の実力を判断することはできず、特に多角経営に乗り出している企業などは過小評価になりがちです。

会社の実際の実力や経営状況を見るには、経常利益がもっとも参考になるのです。

 

➁経常利益率を見れば優良企業が分かる!

経営が安定している優良企業を判断する目安として、経常利益率があります。

経常利益率は企業の売上高に対する経常利益のパーセンテージです。「経常利益÷売上高×100」という計算式で求めることができます。

 

経常利益率は、普通の企業で4%ほど、10%以上なら優良企業と言われています。

経常利益率が高い企業は、それだけ利益を生み出せる固定資産や収益事業をたくさん持っているということで、万が一本業が傾いても倒産するリスクが低いです。

 

ただし、経常利益率の目安は業界によって大きく異なり、上記の数字で一概に判断することはできません。

例えば、石油・ガス・鉱物業界は経常利益率が22.49%、銀行・信託業は14.74%など、一般の基準よりも経常利益率が高い業界もあります。

 

逆に、建設業は-204.01%など、全体の基準よりもかなり低くなっています。

企業研究や経営分析をする場合は、1社の数字だけではなく、業界の基準との比較を行うのも大切です。

 

5.≪まとめ≫

経常利益とは、会社の本業と本業以外の利益を合わせたもののこと。経常利益が大きい会社は経営が安定していて、倒産しにくい優良企業と言えます。

今回ご紹介した基準を参考に、企業研究や自社の経営分析を行ってみましょう。

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2019/12/25 決算書の読み方・目的を解説

決算書は、会社の財務状況が一目でわかるようにまとめた書類です。

決算期に1年分のまとめとして作成し、株主や関係会社への報告や、法人税を算出するための確定申告に用います。

 

今回は、決算書とは何なのかという基礎知識や、活用方法をご紹介。決算書を作成するための、具体的な作業スケジュールも解説します。

 

1.≪会社の家計簿?決算書とは

決算書は、会社の一定期間の経営成績や財務状況をまとめた書類です。

決算書に含まれる書類には、以下のようなものがあります。

・貸借対照表

・損益計算書

・株主資本等変動計算書

・キャッシュフロー計算書など

 

決算書は会社ごとに定めた年に1度の決算日から2ヶ月以内に作成し、これらを元に確定申告を行います。

税法改正の施行が4月1日になることが多いため、大多数の会社では3月に決算を行い、決算書もこの時期に作ります。

 

決算書は確定申告だけではなく、株主や取引先に対する業績報告や、金融機関から融資を受ける際の与信管理にも用いられる重要な書類です。

 

(1)決算書と財務諸表の違い

決算書とよく似た言葉として「財務諸表」があります。

2つの言葉が指すものはほぼ同じで、単純な言い換えもできますが、決算書の中でも有価証券報告書を提出する会社(上場企業など)が作成するものを財務諸表と呼びます。

 

ちなみに、それ以外の会社が作成する決算書は「計算書類」です。

同じ決算書でも、財務諸表と計算書類では含まれる書類の種類が異なります。

 

財務諸表

・賃借対照表

・損益計算書

・株主資本変動計画書

・製造原価報告書

・キャッシュフロー計画書

・附属明細表

 

計算書類

・賃借対照表

・損益計算書

・株主資本変動計画書

・個別注記表

 

2.≪決算書の読み方!財務三表はここをチェック≫

決算書を見ると、企業の経営状況を確認することができます。

決算書類の中でも代表的な

・損益計算書

・賃借対照表

・キャッシュフロー計画書

の3種類について、読み方を解説していきます。

 

(1)会社のもうけが一目瞭然「損益計算書」

損益計算書の構成は、左側に科目・右側に金額という形でシンプルな表です。

1事業年度で会社が使ったお金と儲けたお金を全てまとめ、どれだけ損失・利益があったかをまとめています。

 

まず、上の3つの項目「売上高」「売上原価」「販売費および一般管理費」で、会社の本業の経営成績がわかります。

「営業利益=売上高−売上原価−販売費および一般管理費」という計算で、会社の本業が赤字か黒字か、またその金額がどれだけかを表しています。

 

次の「営業外収益」「営業外費用」で、会社が本業以外に使ったお金と儲けたお金がわかります。

ここに含まれるのは家賃収入や支払利息など、本業以外で発生する金額の中でも恒常的なものです。「経常利益=営業外収益−営業外費用」という計算式になります。

 

最後に「特別利益」と「特別損失」は、会社の本業以外で、かつ突発的に発生したお金の動きです。資産の売買や、災害損失、盗難損失などが含まれます。

そして、全ての収益から全ての損失と費用を引いたものが「税引前当期利益」。

そこから支払いが発生する、法人税などの税金を引いたものが「当期利益」という見方になります。

 

(2)会社の財産チェック「貸借対照表」

賃借対照表は別名「バランスシート」とも呼ばれます。

表の左右でバランスをとって、同じ金額になるようにすることが名前の由来です。

 

賃借対照表に記載する項目は大きく「資産」「負債」「純資産」の3つのカテゴリに分かれていて、表の左側に資産、右側に負債と純資産が載っています。

 

資産とは、預金・売掛金・商品在庫・不動産など会社が持っている財産のこと。負債は借入金・買掛金・社債など、会社が負っている借金です。純資産は資本金・利益余剰金など、自己資本のことを言います。

 

計算式で表すと「資産=負債+純資産」となり、その会社にどれだけの財産と負債があるか、割合はどのようになっているかがわかります。

 

(3)会社の家計簿「キャッシュフロー計算書」

キャッシュフロー計算書とは、会社の現金が1事業年度でどのように動いたかを示す書類。項目ごとに、期首と期末の状況を比べてどのような収支になったかを記載します。

 

厳密に決まったフォーマットがあるわけではありませんが、大項目は「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3つに分けることが多いです。

 

営業キャッシュフローは商品販売やサービス提供など、会社の本業で得たキャッシュ量を表します。

投資キャッシュフローは事業の維持に必要となる資金です。固定資産の取得や売却などが当てはまります。「営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー」を「フリーキャッシュフロー」と呼びます。

財務キャッシュフローでは、会社の資金が不足したときに行なった資金調達の方法や、返済状況がわかります。

 

3.≪決算書の活用方法

決算書には、先にも触れたように3つの役割があります。

 

・税金の確定申告

・株主・関係会社に対する成果報告

・与信管理

 

しかし、この他にも決算書を活用して企業の健康状態を測る、「財務分析」という活用方法があります。

経営分析は決算書に記載されている数字を比較して、企業の「収益性」「安全性」「成長性」を分析するものです。

 

会社の収益性は、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」をそれぞれ売上高で割り、売上高利益率を求めることでわかります。

前年度よりこれらの値が大きくなっていると、1事業年度で会社の収益性が向上したと言えます。

 

安全性は会社の資産と負債を比較し、「流動比率(流動資産÷流動負債)」や「当座比率(当座資産÷流動負債)」を調べることで分析できます。

これらの数値は%で表し、高ければ高いほど安全な経営ができているということです。

 

成長性は売上高・総資産の規模などを、同社の前期や同業界の市場平均値と比較して確かめます。

「売上高成長率」や「経常利益成長率」を分析することで、会社の成長スピードや業界での位置付けがわかります。

 

4.≪良い決算書は毎日の入力作業から

決算書類は決算期に集中して作るものではありません。事業年度中、毎日のお金の出入りや使い道を記帳していき、その積み重ねが決算書になるのです。

間違いがない決算書類をスムーズに作成するためには、日々の帳簿付けが鍵になります。

 

そして、その帳簿をまとめて決算書にするのが、決算期の作業です。

例として、3月決算の企業で決算書を作成する場合の理想的なスケジュールと、それぞれの作業にかかる日数を見ていきましょう。

 

4月(1ヶ月):記帳

・通帳のコピーを取る

・データ入力の際に必要な情報を収集

・領収書・請求書を整理

 

5月上旬(10日):決算整理事項の確認

・決算整理仕訳を作成

・会計ソフトに仕訳を入力

・残高試算表を作成

・総勘定元帳を作成

 

5月中旬(10日):決算書の作成

・損益計算書・貸借対照表を作成

・個別注記表を作成

・勘定科目内訳書を作成

 

5月下旬(10日):申告書の作成

・法人税の申告書を作成

・地方税(事業税・都道府県税・市町村民税)の申告書を作成

 

5月末(10日):申告書の作成・税金納付

・法人税・消費税を税務署に申告

・地方税(事業税・都道府県民税)を都道府県税事務所に申告

・市町村民税を各市町村に申告

・金融機関で税金を納付

 

5月末(1日):書類保存

・決算書・申告書を決算報告書として保管

・保管義務のある書類を、定められた期間保存

 

5.≪決算書を提出する方法

作成した決算書は、株主・金融機関・税務署になどに提出します。

持参して手渡しが望ましいですが、提出先が多い場合には郵送も可能です。

 

決算書を郵送で提出する場合は、案内状・送付状を添えて信書として郵送します。ゆうパックやゆうメールは、信書を送ることができないためNGです。

 

6.≪まとめ≫

決算書は、毎年決算期に作成する重要書類。会社の1年間の利益や損失、財務状況をまとめて記載します。

主に株主や関係各社への成果報告・税金の申告・信用審査などに利用しますが、記載内容を元に会社の経営状況を診断することもできます。会社が何を重要視した決算書を作るのか?ここが分かっていると、数字の記載箇所・表示科目も変わってくることがあります。

 

経理関係者にとっては年に一度の大仕事となる決算書作成には、スケジュールをしっかり組んで計画的に取り組みましょう。

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2019/12/18 税効果会計をわかりやすく解説

税効果会計はなかなか理解が難しく、簿記の勉強でも躓く人が多い箇所です。

詳しい計算方法などは法改正で変わっていきますが、大まかな目的やメリットがわかれば税効果会計が理解しやすくなります。

 

今回は、複雑な概念である税効果会計の改正についてわかりやすく解説していきます。2018年の改正で、変更されたポイントについてもご紹介していきます。

 

 

1.≪税効果会計とは?目的と概要≫

税効果会計とは、会計上の利益額と税務上の利益額に差異がある場合、それを調整するために行う作業です。

 

企業が支払う法人税などは、法人税法で定められた計算方法で算出した利益額に対して課税されます。しかし、企業が会計業務で算出する利益の計算方法は、法人税法が定めるものとは異なるため、企業の実際の業績は税務上の利益に反映されないことがあるのです。

そのため、過剰または過少に算出された法人税等と、実際に支払うべき法人税等の金額の差を縮めるために税効果会計を行います。

 

ちなみに、2018年の改正以降、税効果会計の計算は簿記2級の試験に出題される範囲となりました。

 

2.≪税効果会計適用の手順とメリット≫

まずは、税効果会計を適用するための手順と、税効果会計を行うメリットを解説します。

 

(1)税効果会計の適用手順

税効果会計はざっくり言うと、「会計上と税法上の利益の差異を算出」→「差異金額に法定実効税率をかける」→「調整額を算出し、法人税等の金額に足し引きする」という手順で行います。

ちなみに、税効果会計で差異と認められるのは、将来的に解消が見込まれる「一時差異」のみです。

 

1.会計上の利益と税法上の利益の一時差異を算出

2.「差異金額×法定実効税率」で、繰延税金資産・繰延税金負債を算出

3.算出された金額を、「法人税等調整額」として損益計算書に計上

4.法人税等調整額を、税法上算出された法人税等に加算・減算して納付

 

一時差異とは、会計上と税法上で認識が異なる「貸倒引当金繰入超過額」「減価償却費」「退職給付引当金」「賞与引当金」「繰越欠損金」などのことです。

将来的に解消されるものの、認識時期が異なることで生じる差異を、税効果会計で調節する目的があります。

 

また、計算上で使用する「法定実効税率」は、以下の計算式で求めます。

法定実効税率

【法人税率×(1+地方法人税率+法人住民税率)+(法人事業税率+法人事業税標準税率×地方法人特別税率)】÷(1+事業税率+法人事業税標準税率×地方法人特別税率))

 

(2)税効果会計適用のメリット

税効果会計を適用するメリットは、企業会計上の損益と納付する税金額の関係がわかりやすくなることです。

税効果会計を導入することで、法人税等が課税される純利益がより会社の財政状態や経営成績の実態に近くなり、納付する税額も実態に即したものになります。

 

例えば、会計上は減価償却費に算入しているものの、税法上は上限金額を超えるため、損金不算入となっている経費がある場合などに税効果会計を導入するメリットがあります。

純利益の金額がより経営の実態に即した形になるため、利益に対して重すぎる税負担を避けることができるのです。

 

ただし、先にも触れたように、税効果会計で調整できるのは将来的に解消される一時差異のみ。税効果会計を適用することで結果的に節税になるということはありません。

 

3.≪「税効果会計に係る会計基準」の主な改正ポイント≫

2018年2月に、税効果会計に係る会計基準の一部改正がありました。

改正前とは異なる税効果会計の扱いについて、ポイントを見ていきましょう。

 

(1)子会社の株式資産についての将来加算一時差異の取扱い

改正以前は、子会社株式等に係る将来加算一時差異は、一律で繰延税金負債を計上するというルールがありました。

しかし、改正後は個別財務諸表での子会社株式等に係る将来加算一時差異の扱いが以下のように変わっています。

 

・親会社または投資会社が、その投資の売却等を当該会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間に売却等を行う意思がない:繰延税金負債を計上しない

・それ以外の場合:繰延税金負債を計上する

 

(2)中繰延税金資産の回収可能性の判定基準

税効果会計では、会社を5つのカテゴリに分けて繰延税金資産の回収可能性を判断します。

 

分類1:繰延税金資産の全額について回収可能性がある

・過去(3年)及び当期のすべての事業年度において、期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得が生じている。

・当期末において、近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれない。

 

分類2:一時差異等のスケジューリングの結果、繰延税金資産を見積る場合、当該繰延税金資産は回収可能性がある

・過去(3年)及び当期のすべての事業年度において、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が、期末における将来減算一時差異を下回るものの、安定的に生じている。

・当期末において、近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれない。

・過去(3年)及び当期のいずれの事業年度においても重要な税務上の欠損金が生じていない。

 

分類3:将来の合理的な見積可能期間(おおむね5年)以内の一時差異等加減算前課税所得の見積額に基づいて、当該見積可能期間の一時差異等のスケジューリングの結果、繰延税金資産を見積る場合、当該繰延税金資産は回収可能性がある

・過去(3年)において、重要な税務上の欠損金の繰越期限切れとなった事実がある。

・当期末において、重要な税務上の欠損金の繰越期限切れが見込まれる。

 

分類4:将来の合理的な見積可能期間(おおむね5年)以内の課税所得の見積額に基づいて、当該見積可能期間の一時差異等のスケジューリングの結果、計上された繰延税金資産に ついては回収可能性がある

5年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合、当該繰延税金資産は回収可能性があるものとする

・過去(3年)及び当期において、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減している

・過去(3年)及び当期のいずれかの事業年度においても重要な税務上の欠損金が生じていない

 

上記に該当していても、

 (A)将来において5年超にわたり課税所得が安定的に生じることを合理的に説明できるときは分類2に該当しているものとして扱う。

(B)将来においておおむね3年から5年程度は課税所得が生じることを合理的に説明できるときは分類3に該当しているものとして扱う

 

分類5:繰延税金資産の回収可能性はない

・過去(3年)及び当期のすべてで、重要な税務上の欠損金が生じている

・翌期においても重要な税務上の欠損金が生じることが見込まれている

 

2018年の改正では、分類2・3・4の基準や取り扱いについて変更がありました。

現在採用されているのは上記の基準なので、繰延税金資産の扱いにはこちらを用います。

 

(3)繰延税金資産および繰延税金負債の表示科目

改正前の税法では、繰延税金資産と繰延税金負債は、それに関わる資産や負債の内容に合わせて表示科目を選択する必要がありました。

2018年の改正以後は、繰延税金資産と繰延税金負債は以下のような表示科目で扱うことになっています。

 

繰延税金資産:投資その他の資産

繰延税金負債:固定負債

 

4.≪税効果会計の問題点≫

税効果会計を適用すると、実際の収益に基づいた税納付ができる反面、急激な経営状況の悪化に対応できません。

一時は一定の収益力があり、繰延税金資産を計上していた企業が、急激に業績を落として収益を上げられなくなると、将来法人税等を減算する予定が立たなくなってしまうのです。

 

先に多く納付した法人税等を取り戻す機会がなくなり、多額の繰延税金資産が毀損する事があり得ます。過去には、2003年にりそな銀行の将来の収益性が疑問視され、大きな社会問題になったこともありました。

 

5.≪まとめ≫

税効果会計は会計上と税務上の利益の差異を調整することが目的の作業です。

法人税等の課税所得が実際の経営利益と近くなり、実態に即した適正な納税ができるというメリットがあります。

 

頻繁に改正が行われている分野なので、計算方法や法定実効税率については適宜財務省のホームページなどで確認しながら対応しましょう。

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2019/12/11 法人税等とは?「法人税等調整額」の取り扱いも解説

損益計算書や賃借対照表で用いる、「法人税等」という言葉。

法人税や、それに類する税金を表すことは予想できますが、具体的に何が含まれているのか知っていますか?

 

今回は、法人税等に含まれる税金や、会計処理上の扱いについて解説。ほぼ全ての企業で毎年必要になる作業なので、法人税等の仕訳や処理方法を知っておきましょう。

 

 

1.≪法人税等とは?

企業の経理業務には、「法人税等」という言葉が登場します。

文字通り「法人税や、それに類するもの」という意味ですが、具体的にどんなものが法人税等に含まれるのかはご存知ですか?

 

法人税等には、以下の3つの税金が含まれています。

 

・法人税

・住民税

・事業税

 

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

 

(1)法人税

「法人税等」というくらいなので、当然法人税等のメインは法人税です。

法人税は会社の所得に対して課税される税金で、個人事業主における所得税にあたります。そのため、「法人所得税」と呼ばれることもある税金です。

 

法人税の税率は法人の区分や所得金額により異なり、所得金額が高くなるほど税率も上がる「累進課税制度」が採用されています。

国に対して納める国税で、法人税等に含まれる税金の中では唯一の国税となっています。

 

(2)住民税

法人税等に含まれる税金2つ目は、住民税です。法人税等に含まれる住民税は、個人のものと区別するために「法人住民税」と呼ばれることもあります。

 

法人住民税は法人が事業所を置く市区町村に納付する税金です。法人税が国税なのに比べ、こちらは地方税。

法人住民税には2種類あり、法人税額よって金額が変わる「法人税割」と、資本金の額などに応じて金額が決まる「均等割」の2つの合計金額を支払います。

法人税割は、赤字だった年など法人税がかからない場合は支払いが発生しませんが、均等割は赤字の場合でも支払い義務があります。

 

(3)事業税

事業税は法人が事業を行うにあたって利用している、道路や港湾、消防、警察といった公共施設・公共サービスの費用を負担するための税金です。

 

法人税と同じく所得金額に対して課税されますが、納める先は国ではなく地方自治体の地方税です。

資本金が1億円以上の法人の場合は、所得に課税される「課税割」だけではなく「付加価値割」「資本割」も加わります。

 

ただし、このうち法人税等に含まれるのは所得割のみ。付加価値割と資本割は、法人税等ではなく「販売費および一般管理費」に計上します。

 

(4)租税公課との違い

法人税等と似た勘定科目に、「租税公課」というものがあります。

 

租税公課とは、その名の通り「租税」と「公課」、国や地方自治体に納める税金や、国・地方公共団体・その他団体などから課せられる会費・組合費・賦課金・罰金などを計上する科目です。

損益計算書上では、「販売費および一般管理費」という部に属しています。

 

しかし、法人税等に含まれる法人税・住民税・事業税の課税割は、租税公課には含まれません。法人税等は、損益計算書上「法人税、住民税および事業税」という部となります。

なぜなら、法人税等は所得の中から支払われる税金で、損金算入できないためです。

 

(5)法人税等は消費税の課税対象外

課税売上高が1,000万円を超える法人には、消費税の支払いが発生します。

消費税は税金の中でも「間接税」といい、顧客や取引先が商品の購入に際して支払った消費税を法人が一旦預かり、それをまとめて納付するものです。

 

先にも触れましたが、法人税等は所得の中から支払われる税金なので、消費税の課税対象にはなりません。

消費税の課税所得を算出する際には、法人税等の金額を除いて計算します。

 

2.≪法人税等の申告について≫

法人は1年分の法人税等を、「中間申告納付」と「確定申告納付」の2回に分けて納付します。

 

法人税等はその法人の1年分の所得に対して課税されるため、1年の営業が終わってみないと具体的な納税額が確定しません。そのため、まず中間申告では「前事業年度の法人税額÷12×6」、つまり前事業年度に支払った法人税の半額を支払います。

中間申告納付を会計処理する際は、「仮払法人税等」という勘定科目を使います。

 

その後、1年分の所得金額がわかった上で「確定申告納付」を行い、残りの法人税等の正確な金額を算出します。

法人税等の金額が確定したら、会計処理で「仮払法人税等」の金額を、「法人税等」の科目に振り替えます。

 

3.≪法人税等の調整額とは?≫

会計上の利益と法人税の課税所得にズレがある場合、法人税法が定める方法で所得を再計算し、法人税等の調整を行います。

その場合に発生するのが、法人税等調整額です。

 

(1)法人税等調整額の見方

「法人税等調整額」という科目は、損益計算書の「法人税等合計」の内訳にあります。

「法人税、住民税および事業税」から「法人税等調整額」を引いた金額が、実際の法人税等の支払い金額となります。

 

(2)企業会計と法人税のズレを調整

なぜ法人税等調整額が必要になるかというと、法人税法上の所得の計算ルールと、一般的な企業の利益の計算ルールが同じではないため。

一般的な利益の計算方法で企業の所得を算出すると、法人税等が過剰または過少になってしまうケースがあるのです。

 

そういった場合に、「税効果会計」という作業を行なって法人税等調整額を算出し、「法人税、住民税および事業税」の金額に加算・減算します。企業会計上と法人税のズレを解消するために使用する科目が「法人税等調整額」であると言えます。

税効果会計の対象になるのは、「貸倒引当金繰入超過額」「減価償却費」「退職給付引当金」「賞与引当金」「繰越欠損金」といった将来解消される見込みのある一時差異のみです。

 

4.≪法人税等の仕訳計上のポイント≫

先に触れたように、法人税等は「中間申告納付」「確定申告納付」と年2回に分けて納付します。

そのため、法人税等を仕訳計上する際は、「仮払法人税等」「未払法人税等」という勘定科目を使って処理します。

 

まず、前年分の法人税額をベースにして、中間申告で納付すべき法人税等が50万円と計算された場合。

借方:仮払法人税等 500,000円

貸方:現金 500,000円

 

次に、1年間の営業利益が昨年分より増えたため、確定申告で納付すべき法人税等が110万円だとわかった場合。

110万円のうち、50万円は先に支払っているので、以下のように仕訳を行います。

借方:法人税等 1,100,000円

貸方:仮払法人税等 500,000円

   未払法人税等 600,000円

 

最後に、法人税等の残りを現金で納付した場合、仕訳は以下のようになります。

借方:未払法人税等 600,000円

貸方:現金 600,000円

 

このように、法人税等の納付に際しては、中間申告・確定申告・納付時の3段階に分けて仕訳を行うことになります。

 

5.≪まとめ≫

法人税等には「法人税」「住民税」「事業税」の3つの税金が含まれます。他の税金を計上する「租税公課」とは分けて考え、所得から支払う税金のため消費税の課税対象にもなりません。

 

法人税等の納付は中間申告・確定申告の2回に分けて行い、会計処理は「仮払法人税等」「未払法人税等」という勘定項目を使って3段階に分けて仕訳。

少し複雑な作業が必要ですが、ほぼ全ての法人で毎年必要な処理となるため、経理担当者・経営者の方はしっかり把握しておきましょう。

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2019/12/04 税務調査とは?調査の流れや必要な準備を解説

税務調査は、税務署が各会社の申告・納税状況が正しいかどうかチェックする調査のことです。

毎年約20万件の調査が行われ、中小企業は平均で5年に1回程度の頻度で税務調査を受けます。

今回は、税務調査とはどういった内容なのかや、その流れについて解説します。

税務調査に備えて、きちんと準備をしておけるようにしましょう。

また、税務調査は「交渉」が最も重要になります。よって、依頼している税理士によって結果が変わることもあり、税務調査は信頼できるプロの税理士に依頼するようにしましょう。

 

 

1.≪税務調査とは?≫

税務調査とは、法人・個人事業主・個人などが、正しく納税を行なっているかどうか調査すること。

税務に関する帳簿や書類を確認し、申告通りの内容になっているかどうかを調べます。

実施される税務調査の数は、年間約20万件。毎年、全法人の6%程度が税務調査を受けることになります。

 

2.≪税務調査で実際に行われること≫

それでは、実際の税務調査ではどのようなことが行われるのかを見ていきましょう。

 

(1)調査方式は「任意」と「強制」の2種類

税務調査には、任意調査と強制調査の2種類があります。

 

  • 任意調査

脱税の疑いなどがない場合に行われる税務調査。任意調査の場合は事前に連絡が入り、日付を決めて調査が行われます。税務の実情が申告通りなら、特に問題ありません。

ただし、税務調査の場で調査官から質問を受け、それに虚偽の答えをしたり黙秘をしたりすると、罰則が課せられる場合があります。

 

  • 強制調査

脱税の疑いがある場合、強制調査が行われます。強制調査を行うのは、税務署ではなく「マルサ」とも呼ばれる国税局査察部です。「脱税の隠蔽工作が悪質なこと」「脱税額が1億円を超えること」が強制調査の条件となっています。

裁判所の令状を持って、事前連絡はなく直接現場に踏み込み、帳簿などの証拠を差し押さえます。

 

(2)事前に行われる準備調査の内容

税務調査とは、任意調査でも強制調査でも、対象の事業所に出向いて実際に帳簿などを見聞することをいいます。

実は、税務署の調査官は、実際に税務調査を行う前に「準備調査」を行い、当日にチェックするポイントなどを定めてきています。

 

準備調査には、「内偵調査」と「外観調査」の2種類があります。

 

  • 内偵調査

飲食店や小売店などに、調査官が客を装って来店すること。レジ打ちの有無・客数・客単価・従業員数などを事前にチェックし、税務調査の日に帳簿の内容と実情が合致しているかを調べるために行います。

 

  • 外観調査

外観調査は、社長の自宅や会社の事務所、所有している土地などの状況を事前に確認する調査です。

例えば、社長が自宅の修繕工事などを行なっていた場合、税務調査の時にその金額を会社の帳簿に計上して公私混同をしていないかを調べます。

 

(3)実地調査で調べられること

税務調査当日、会社の中で行う調査を実地調査といいます。

実地調査では、主に帳簿を中心にチェックが行われます。

総勘定元帳

・現金預金出納帳などの補助元帳

会計伝票、給与台帳

預金通帳

領収書、請求書などの証拠書類

各種契約書

これらの帳簿の内容が、調査官が持参している過去の申告内容と合っているかどうか照らし合わせる作業です。

 

場合によっては、帳簿調査の他に現況調査が行われることもあります。

現況調査とは、現物の資産を実際に調査すること。金庫やレジを開けて抜き打ち調査し、そこにある現金と現金出納帳の金額が合致しているかどうかなどを調べます。

 

また、調査官には質問検査権があるため、帳簿の内容や申告状況について質問を行います。

先に触れましたが、虚偽や黙秘には罰則が課せられるため、税務調査に立ち会う担当者は、これらの質問に間違いなく適切に答えなければいけません。

 

顧問税理士がいれば、社員に代わって質問に答えたり、経費の使い方等について説明したりすることもあります。

そのため、税務調査には会社の顧問税理士が立ち会うのが基本です。

なお、税務調査は「交渉」が最も重要になります。よって、依頼している税理士によって結果が変わることもあり、税務調査は信頼できるプロの税理士に依頼するようにしましょう。税法の解釈などのプレゼンテーション、税務調査の経験が重要となります。素人の方が分一人だけで対応すると、納める必要のなかった税金を負担することになるケースもあります。税務調査はプロの税理士に必ず依頼すべきです。

 

(4)事前連絡あり?税務調査の流れ

任意調査の場合、税務調査が行われる2週間ほど前までに、税務署から会社または顧問税理士に連絡が入ります。

日付も指定されますが、その日に都合が悪い場合は日付をずらすことも可能です。

 

強制調査の場合、証拠を隠滅される恐れがあるため事前連絡はありません。

とはいえ、強制調査は相当悪質なケースでない限り行われることはないため、一般的な企業は気にする必要はないでしょう。

 

調査当日は、当日10時ころ、調査官が事業所を訪れて調査が始まります。

調査官の人数は、中小企業の場合、1名か2名のことが多いです。質問への受け答えや帳簿の説明、対応のアドバイスなどをしてもらうため、税理士にも立ち会ってもらうのが安心です。

 

税務調査にかかる時間は、法人の場合、基本的には2日間で実施され、1日あたり6〜7時間となります。特に問題がなければ、それより早く終わることもあります。

規模の小さい会社で、特に問題がなければ調査は2日間で終了します。大企業や何か問題が見つかった場合は、3〜5日続けて調査が行われることも中にはあります。

 

3.≪法人を対象とした税務調査は5年に1回≫

法人を対象とする税務調査では、主に法人税・消費税に関わる財務状況がチェックされます。

 

(1)法人への税務調査の頻度

税務調査をどのくらいの間隔でするといった決まりは、特にありません。

会社の規模・業績・業種などによって、税務署側が一社ごとに調査周期を決めています。

ほぼ毎年行われたり、20年以上も行われなかったりと様々です。

一般的な中小企業では、多くても3年に1回。5年に1回ほどが平均的な頻度と言われています。

 

1回の税務調査で3年分の帳簿を調査するため、新規起業の会社は3年目から税務調査が入りやすくなります。

ただし、1年目から大幅な黒字が出るなど、税務署が注目するポイントがあると、起業まもない会社にも税務調査が入ることがあります。

 

(2)税務調査が入りやすい会社の特徴

税務調査が入りやすい会社は、「脱税の疑い」とまでは言わないまでも、脱税をしやすい、またはしている可能性が疑われる会社という見方もできます。

具体的には、以下のような会社が条件に当てはまります。

 

・現金を扱う業種

売上が急増している

売上の伸びと利益の伸びが比例していない

粗利の変動が大きい

売上の伸びに対して人件費の伸びが大きい

・支店や店舗が増えているのに売上が伸びていない

・代表者の報酬が多すぎる

・代表者が、報酬額に比べて高価すぎる買い物をしている

 

また、大きな会社ほど脱税額も大きくなるので、規模の大きい会社に優先的に税務調査が入りやすいです。

また、赤字の会社も、粉飾決算で黒字を赤字に見せている疑いがある場合、税務調査が入る場合があります。

とはいえ、税務調査が行われる絶対的な規則性はなく、3~5年に1回は税務調査が実施されると考えたほうがいいでしょう。

 

(3)税務調査に必要な準備・ポイント

税務調査が入るという連絡があったら、過去3年分の帳簿や財務に関する書類を整理し、調査官に見せられるようにします。

具体的に、準備する書類は以下のものがあります。

 

売上に関する書類

・請求書

・見積書

・受注書の控え

・総勘定元帳

・小切手の控え

・売掛帳など

 

仕入や経費に関する書類

・買掛帳

・支払い領収書

・請求書

・納品書

・発注書など

 

その他の書類

・法人税の納付書控え

・源泉所得税の納付書控え

・資産関係の契約書

・現金残高のわかる通帳

・手形帳など

 

雇用に関する書類

源泉徴収簿

扶養控除申告書

・出勤簿やタイムカード

・雇入関係書類

・退職給与受給申告書など

 

当日の調査中に、3年以上前の帳簿を見せるように求められる場合もあるため、保管義務のある書類はできるだけ整理しておきましょう。

 

また、当日の質問では、一見調査に関係のない、経営者の私生活について聞かれることもあります。

例えば、最近の買い物、旅行、乗っている車、子供の学校や習い事などについて。これは単なる世間話ではなく、暮らしぶりから脱税の疑いがないかどうか判断しようとしています。

余計なことを話すと疑いを深められてしまう可能性があるため、聞かれた以上のことは答えないのが税務調査時のポイントと言ってもいいでしょう。

 

4.≪税務調査は個人も対象になる≫

税務調査は個人が対象になることもあります。

個人の税務調査の場合、主に相続税がチェックされ、申告件数全体の25%~30%に対して調査が行われます。

 

ちなみに、調査対象はランダムに決まるわけではなく、申告書の内容から、漏れや誤りがある可能性が高い人が選ばれています。

個人の場合、法人のように帳簿付けは行なっていないため、主に預金・金融資産・不動産・保険や、相続者の収入状況などが調査の対象となります。

 

もちろん、個人事業主に対しても税務調査は行われます。

消費税も納税している課税事業者であれば、基本的には、税務調査は定期的にあるものだと考えていいでしょう。昨今では、建設業や不動産事業の業種に調査が多い傾向があります。

これは景気によって業績が上がっている事業者の方が多いこと、調査による税務署の否認統計がこれらの業種に多いことが影響していると考えられます。

 

5.≪税務調査のその後の流れとは≫

税務調査の結果は、調査が行われた約1週間〜数ヶ月後に出ます。

調査官が何も問題がなかったと判断すれば、その通知をもって税務調査は終了となります。会社側が行う手続き等は、特にありません。

 

税務調査で問題が見つかり、指摘事項がある場合は、調査結果の内容や指摘について税務署が説明を行います。

指摘事項に不服があれば、会社側は異議申し立てや訴訟を行うことができます。

 

最後に、税務調査で問題があり、税務署が修正申告を求める場合。修正申告を行うと、過去の申告の誤りを認めたことになり、税金の追納が必要になります。

修正申告を行なった後では、内容に不服があっても異議申し立てができないため、顧問税理士によく相談してから修正申告を行いましょう。

 

6.≪まとめ≫

税務調査とは、各会社が正しく申告や納税を行なっているかどうかをチェックするための調査のこと。

年間20万件、前企業の6%が調査を受けることを考えると、あなたの会社にいつ税務調査が回ってきても不思議ではありません。

繰り返しになりますが、税務調査は「交渉」が最も重要になります。よって、依頼している税理士によって結果が変わることもあり、税務調査は信頼できるプロの税理士に依頼するようにしましょう。

 

もちろん調査の有無に関わらず、脱税はいけないことですが、税務調査に常に備えて正しい帳簿付けと申告を行うようにしましょう。

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2019/11/27 給与計算でミスが発覚!ミスを防止するための対策とは?

社員の生活に直結する給与計算は、決してミスが許されない作業。しかし、人が行う仕事にはどうしてもミスが付きものです。

 

今回は、給与計算にミスが発覚した時の対処方法をご紹介いたします。

速やかに正しい対応をして、ミスの影響を最低限に抑えましょう。

 

給与計算のミスが起こらないよう、予防する方法やミスが起こりやすいポイントも解説します。

 

 

1.≪給与計算のミスによって起こる問題≫

給与計算のミスによって起こる問題は、多岐に渡ります。

まず、

 

・社員に不信感を抱かせる

・会社の信頼が失墜する

 

など、心理面の問題。給与が本来の額より少なければ誰でも嫌な気持ちになりますし、逆に払いすぎていた場合は本人も知らない間に横領をさせてしまうことになります。

 

また、給与計算のミスが相次いだり、税金・保険料のミスを放置したりして脱税の疑いをかけられてしまった場合、会社自体の評判も悪くしてしまいます。

さらに、ミスをしてしまうと、給与計算の担当者の査定にも響くでしょう。

 

他に給与計算のミスは、実務面にも影響を及ぼします。

 

・訂正業務が必要

・税金・保険料の追徴・訂正申請が必要なことも

 

気持ちの面で申し訳ない以上に、給与計算のミスのせいで余計な業務が増えて、他の仕事を圧迫してしまうのです。

他にも、給与計算に用いる社員の個人情報漏洩などのリスクも考えられます。

 

2.≪給与計算でミスに気付いた時の対応≫

それでは、実際に給与計算のミスに気づいたら、どのように対応すればいいかを解説していきます。

 

(1)①本人に通知・お詫びをする

給与計算のミスに気づいたら、何より先に本人に通知・お詫びをします。

 

嘘をついたり、誤魔化そうとしたりすると、嘘が嘘を呼んで余計に大きな問題に発展しかねません。給与計算のミスがあった社員本人に、給与計算にミスがあった事実と金額の過不足を伝え、誠実に謝罪しましょう。

 

システム上の問題などで大人数にミスがあった場合には、正しく事実が伝わるよう謝罪文を作成・配布してもいいでしょう。

 

(2)②正確な給与明細を作り直す

本人への謝罪が済んだら、正確な給与明細を作り直します。

ミスをすると「早く訂正しなければ」と焦ってしまいがちですが、ここでもミスがあるとさらなる問題を引き起こしかねません。迅速性も大切ですが、入念にチェックをして正しく給与計算し直しましょう。

 

(3)③なぜミスが起きたのかを説明する

ミス発見時、または訂正をする際に、ミスの原因が浮かび上がるはず。

どこがどうして間違ってしまったのかを本人に説明し、再度謝罪しましょう。

 

複数人で給与計算を行っている場合は、ミスの原因をチームに共有するのも大切です。

 

(4)④過不足の修正

正しい給与明細に基づいて、給与の過不足を清算します。

 

  • 払い過ぎていた場合

給与計算でミスをして多く払いすぎていた場合、従業員から過払い額を払い戻してもらう必要があります。

手渡し・振込どちらでも問題ありませんが、過払い分ときっちり同額を受け取り、金額を明記した領収書を渡しましょう。

 

従業員がスムーズに対応すれば事を荒立てる必要はありませんが、払い戻しを渋るような場合は「不当利得返還請求権」で過払い分を請求することになります。

会社側のミスで給与が多く支払われたのだとしても、受け取った従業員は会社に不利益を与えたということになってしまうのです。

 

もし、それでも返還しない、過払いに気付いていたのに長期間に渡って申告しなかったなど悪質な場合には、社内対応の枠を超えて警察や弁護士に相談することになります。

 

  • 不足していた場合

給与の支払額が不足していた場合は、速やかに不足分を支払います。

支払い方は、普段給与を支払っている方法と同じでいいでしょう。

正しい給与明細と、不足分の支払いを本人に確認してもらい、金額を明記した領収書を受け取ります。

 

(5)⑤翌月給与での相殺は違法?

過払い分・不足分が少額なら、翌月の給与に足し引きして相殺すればいいと思うかもしれません。

しかし、それは「賃金全額払いの原則」に違反してしまう対応です。結果は同じになるとしても、原則的には給与は給与、過不足分は過不足分として対応します。

特に不足がある場合は、当月中に速やかに不足額を支払うようにしましょう。

 

ただし、過払いの場合には翌月調整も可能です。

労使協定に「ミスがあった場合には翌月に調整する」という文言がある場合や、本人と話し合って同意が得られた場合には翌月以降に過払い分を相殺しても問題ありません。

 

3.≪給与計算でのミスが起きやすいときとは≫

それでは、給与計算のミスが起こりがちなのはいつなのか、タイミングや注意点を解説していきます。

 

(1)異動や年齢によって項目が変化したとき

給与計算のミスが発生するのは、給与額や保険に何らかの変更があったとき。

異動や昇進などで給与額・支払い方法に変更があると、変更忘れや入力間違いでミスが起こりやすくなります。

 

また、社会保険料・雇用保険料が変わる年齢でも、ミスが起こりやすいです。

・40歳:40歳になる誕生月より、介護保険料の徴収開始。

・64歳:雇用保険料の免除開始。4月1日時点で64歳以上の人が免除対象。

・65歳:65歳になる誕生月の前月で、介護保険料の特別徴収終了。

 

(2)税額や保険料が改定されたとき

給与収入にかかる税額や保険料は、頻繁に改正されます。

この改正に対応しきれず変更漏れがあると、全社に渡る大規模な給与計算ミスが起こりかねません。給与計算の担当者は、毎年の改正を注意深くチェックするようにしましょう。

 

税金・保険料の改正タイミングは、以下の通りです。

・健康保険料:毎年3月

・雇用保険料:毎年4月

・住民税額:毎年6月

・厚生年金保険料:毎年9月

 

(3)月途中の入社・退社があったとき

月途中に入社・退社した社員は、給与の日割り計算が必要になります。この計算を忘れて、ひと月分払ってしまった、または払わなかったというのは、起こりうるミスです。

日割り計算の方法も会社の就業規定によって異なるので、よく確認する必要があります。

 

さらに、入退社時は保険の手続きも複雑です。

入社時、雇用保険料は当月から、社会保険料は翌月から控除を始めます。月の途中で退職した場合、退職月分の社会保険料は掛かりません。

 

(4)イレギュラーな支給があったとき

臨時の賞与・祝い金・見舞金などイレギュラーな支給があったときも、給与計算のミスが起こりやすいタイミング。

支給自体は正しく支払っても、税金や保険料の課税対象になるかどうかで納めるべき税額・保険料が変わり、正しく納付できない可能性があります。

 

4.≪給与計算でミスをなくすための対策≫

最後に、給与計算のミスをなくすための防止策について考えていきましょう。

 

(1)給与計算のルールを見直す

ミス防止の基本は、給与計算のルールを見直すこと。給与計算の担当者が変わるときにも同じルールで引き継げるよう、誰が見てもわかりやすい資料を整備しましょう。

欠勤控除、日割計算の算出法など曖昧になりがちな部分も、賃金規定を確認して正しい方法で行う必要があります。

 

また、交通費や扶養控除の不正を防止するため、定期的に社員情報をアップデートするのも大切です。

 

(2)ミスしやすいポイントを押さえる

給与計算でミスをしやすいポイントは、先に触れたように給与に何らかの変更があるタイミング。

社会保険が変わる年齢の社員や、入退社・異動があった社員を事前にリストアップしておけば、ミスしやすいポイントを重点的にチェックできます。

 

(3)ダブルチェック体制を導入

人の手で行う作業には、入力間違いなどのミスが付き物です。

そして、自分のミスには自分ではなかなか気づくことができません。

 

給与計算は一人に任せるのではなく、複数人で行なうダブルチェック体制を導入しましょう。

ただし、チームで給与計算を行う場合、ルールの周知や作業の進捗など情報共有をしっかりしていく必要があります。

 

(4)給与計算ソフトや専門家に代行依頼

給与計算のミスは、入力間違い・計算間違いといったヒューマンエラーで起こるケースが最も多いです。

そのため、給与計算はソフトを用いて、できるだけ自動化するのがおすすめです。

 

もしくは外部業者に給与計算を委託すれば、専門家が正確に給与計算をしてくれる上、自社で経理スタッフを雇う必要がなくなり人件費の節約にも繋がります。

 

5.≪まとめ≫

給与計算のミスは、社員のモチベーション低下や会社の信頼失墜に直結する問題。できるだけミスを防止し、万が一ミスがあった場合には速やかな対応が不可欠です。

 

給与計算のミス防止には、ミスが起こりやすいタイミングを知ることが大事。

また、ソフトで自動化したり、給与計算自体を外注したりすることで、ミスをなくしてスムーズに会社を運営することができます。

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2019/11/20 給与計算の実務に資格は必要?仕事の流れと代行のメリット・デメリットを解説

給与計算は税金や社会保険について様々な知識が必要な業務。そんな給与計算の実務に就くには、資格は必要なのでしょうか。

 

今回は、給与計算の実務の流れや、必要な知識についてご紹介いたします。

給与計算の実務能力を証明する「給与計算実務能力検定試験」、給与計算のアウトソーシングサービスについても解説します。

 

1.≪給与計算での実務内容は?≫

まずは、給与計算の実務内容をステップごとにご紹介いたします。

 

給与計算の実務には大きく分けて、

 

・従業員に支払う給与の算出

・税金・保険料を算出・納付

 

という2種類の作業があります。

 

(1)従業員に支払う給与の算出

給与計算の実務の最初のステップは、従業員一人ひとりの勤怠状況を把握すること。

労働日数・労働時間・時間外労働・遅刻や早退などの状況を確認しましょう。

 

そのデータに基づき、労働時間に対する賃金を算出します。

その後、会社ごとに定められている手当(通勤手当・住宅手当・家族手当など)を加算して、給与の支払い総額を決定します。

 

(2)税金・保険料を算出・納付

給与計算の実務には、税金や保険料を算出、天引きして支払い金額を決定するまでの作業が含まれています。

一般的なサラリーマンの場合、給与計算の際に総額から差し引く税金・保険料は以下の通りです。

 

・健康保険料

・介護保険料(40〜64歳の従業員のみ)

・厚生年金保険料

・雇用保険料

・所得税

・住民税

 

社会保険料に関しては、加入している保険組合によって保険料率が定められているため、標準報酬月額に保険料率をかけて算出します。

所得税は累進課税制度が採用されているので、収入や控除の金額によって税額が変動。住民税は従業員が住んでいる自治体によって税率が異なります。

 

給与総額から税金・保険料を引いたものが、いわゆる「手取り」。これらの内容を記載した給与明細を作成し、給与支給と同時に従業員に配布します。

 

その後、台帳に支払い内容を記録し、天引きした税金・保険料の納付を行います。

支払い金額の算出以後の作業は、厳密には給与計算の実務には含まれませんが、実質的には給与計算の担当者が納付まで担当することが多いです。

 

(3)ミスが及ぼす影響は大きい

給与計算は従業員の生活に直結している実務。万が一ミスや遅れがあると、従業員に会社への不信感を抱かせてしまいます。

 

また、給与計算の中でも税金・保険料の計算ミスがあった場合、追徴や訂正申請が必要になります。

気づかず放置していると脱税の疑いをかけられる可能性もあり、給与計算の実務にミスがあると、会社自体に大きな影響を及ぼしてしまうのです。

 

2.≪給与計算前に行うべき実務≫

それでは、実際に給与計算を始める前に、事前準備として必要な実務を見ていきましょう。

 

(1)従業員情報の確認

給与計算の実務を行うためには、従業員情報の確認が不可欠。給与計算や支払いには、従業員ごとに以下の情報が必要になります。

 

・給与の振込口座

・通勤経路と交通費

・扶養家族の人数

・勤怠管理

 

通勤経路や扶養家族については、申請内容次第で給与を多く受け取る不正も可能となってしまいます。

そのため、従業員情報は、定期的に見直し・更新をしていきましょう。

 

(2)支払い方法の確認

給与の支払い方法は、会社ごとに異なります。

月ごとに銀行振込という会社が多いですが、日払いや週払い、振込ではなく手渡しというケースもあるでしょう。

 

従業員ごとに希望の方法が違うなど、支払い方法が数種類ある場合もあるため、給与計算の実務を始める前に確認しておく必要があります。

 

(3)労働協定の確認

就業規則や給与規定が定まっていないと、そもそも給与計算ができません。

給与計算は事業開始直後から必要になる実務なので、起業の際や従業員を初めて雇い入れる前に決定しておく必要があります。

 

給与計算のために取り決めが必要な項目は、以下のようなものがあります。

 

・始業と終業の時刻、休憩時間の規定

・時間外労働・深夜労働・休日労働時間に関する割増率(法令で規定あり)

・会社独自の時間外計算があるかどうか(宿直手当、夜勤手当、代休時の割増率など)

・時間外計算の単位

・日割り計算の方法

・給与の計算方法・締め日と支払い日

 

また、国が定めている労働基準法についても、人事担当者や給与計算担当者が知っておく必要があります。

 

3.≪給与計算における実務の流れ≫

それでは、給与計算における実務の流れを説明していきます。

 

(1)勤怠項目・支給項目・控除項目を算出

給与計算には、大きく分けて3つの項目が関わってきます。

 

・勤怠項目

・支給項目

・控除項目

 

給与計算の大まかな計算式は、「勤怠項目+支給項目−控除項目」です。

 

  • 勤怠項目

勤怠項目というのは、実際の労働時間に関して支払う賃金のことです。

勤怠項目には「基本給」「時間外手当」の2種類があり、時間外手当は労働基準法で定められた割増率で計算します。

 

  • 支給項目

支給項目は、労働時間に関わらない手当などのこと。通勤手当や家族手当、住宅手当など、会社によって規定が違います。

従業員一人ごとに、該当する手当を加算します。

 

  • 控除項目

控除項目は税金や保険料など給与総額から差し引くもの。

社宅の家賃や制服代、食事代なども、給与から天引きしている場合は控除項目に当てはまります。

 

(2)支払い業務

給与総額から控除項目を引き、支払い金額が確定したら支払い業務を行います。

給与計算の根拠となったデータから給与明細を作成し、支払いと共に配布しましょう。

 

決定した額を、振り込み・手渡しなど決められた方法で従業員に支払うのみなので、実務自体が難しいというわけではありません。

しかし、実際にお金が動く作業なので、間違いが許されない部分でもあります。

 

(3)支払いの後処理

従業員の給与は、もちろん支払って終わりではありません。支払いの記録を後に残せるよう、賃金台帳を記入して保管します。

 

また、従業員の給与から天引きした税金・保険料を納付する作業も給与計算担当者が行うことが多いです。

 

(4)給与計算の年間スケジュール

給与計算の実務は、毎月の支払い金額算出だけではありません。

給与計算の実務に関わる年間スケジュールを、月ごとにまとめてみました。

 

1月:税務署に法定調書を提出、市区町村に給与支払報告書を提出

2月:特になし

3月:4月の新規採用者・異動者の給与決定、4月に64歳以上になる従業員を把握(雇用保険料が免除となるため)

4月:新入社員・異動社員の給与設定、税率・保険料に改定があれば変更を反映

5月:4月に入社した社員の社会保険料控除開始

6月:住民税の新年度控除額を登録、賞与の計算(6月に賞与支給がある場合)

7月:労働保険の年度更新(保険料計算)、社会保険は算定基礎届提出、4月昇給者の随時改定(月額変更届)

8月:4月昇給による随時改定者の社会保険料改定

9月:厚生年金保険料率の変更(変更後の保険料が控除されるのは10月に支払う給与から)

10月:7月に算定基礎届を提出した社員の社会保険料改定

11月:年末調整の準備(社員に案内し、必要書類を配布する)

12月:賞与支給、年末調整実施

 

給与計算には保険や税金が関わっているので、年間スケジュールもそれに伴うものが多くなっています。

 

4.≪給与計算の実務には資格が必要?≫

結論からいうと、給与計算の実務には特別な資格は必要ありません。

しかし、給与計算は専門的な知識が必要な作業のため、全く経理の知識がない人が行うのは難しいでしょう。

 

経理や給与計算の能力を証明する試験として、実務能力検定試験というものもあります。

 

(1)専門性の高い仕事だが資格は不要

給与計算の実務は専門性の高い仕事ですが、特別な資格は必要ありません。

自社内で給与計算を行なっている会社では、経営者や経理スタッフ、人事スタッフなどが行なっているケースが多いです。

 

(2)税務・労務の知識が必須

給与計算の実務には、税金や社会保険の幅広い知識を用います。さらに手当や就業規定は会社によって異なるため、会社内部の知識が不可欠です。

 

また、従業員の個人情報を扱う仕事のため、コンプライアンスもしっかりした人材が担当する必要があります。

そのため、資格が必要ないとは言っても、給与計算の担当者にはしっかりと教育や研修を行なった方がいいでしょう。

 

(3)実務能力検定試験とは?

給与計算は資格がなくても担える業務ですが、民間の検定で「給与計算実務能力検定試験」というものがあります。

これは、その名の通り給与計算に関する知識を問い、給与計算の実務能力を証明する試験です。

 

検定には1級と2級があり、試験は年2回。自社社員に検定を受けさせることで知識が身につくため、会社負担で経理スタッフに資格取得を求めるケースも多いです。

 

また、給与計算はどの会社でも必ず発生する実務なので、経理スタッフの就職・転職にも役立つ資格となっています。

 

(4)給与計算代行のメリットとデメリット

給与計算は自社内で行う以外に、税理士や社労士にアウトソーシングするという方法もあります。

給与代行サービスを利用するメリット・デメリットは以下の通り。

 

メリット

・専門家による正確な給与計算

・自社内の業務負担を減らせる

・コスト削減になる場合も

 

デメリット

・コストがかかる

・自社内に給与計算のノウハウが育たない

・情報漏洩のリスクも

 

メリット面とデメリット面をよく比較して、自社に必要なサービスを取り入れてみましょう。

 

5.≪まとめ≫

給与計算の実務には、複雑な税金・保険の知識が不可欠です。

特に資格が必要な仕事ではありませんが、実務能力を証明する「給与計算実務能力検定試験」という検定があります。

 

また、自社内で給与計算が難しい場合は、給与計算の代行サービスも検討してみてください。

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