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2019/09/18 法人成りとは?メリット・デメリットを解説

個人事業主の方の中には、事業が軌道に乗ったタイミングで「法人成り」を検討する人も少なくないでしょう。法人成りには、会社社長としてのキャリアがスタートして気が引き締まるだけではなく、節税面でもメリットがたくさんあります。

ただし、法人成りの手続きは複雑ですし、デメリットもゼロではありません。

 

今回は、そんな法人成りのメリット・デメリットや、法人成りに関する手続きを解説していきます。

 

 

1.≪法人成りとは?≫

法人成りとは、個人事業主が会社を設立し、事業を法人にすること。

会社には株式会社と合同会社の2種類がありますが、どちらになることも同じく「法人成り」と呼びます。

 

それでは、個人事業主と法人の違いや、法人成りをするタイミングの目安について詳しく見ていきましょう。

 

(1)法人と個人事業主の違い

法人と個人事業主の大きな違いは、設立時の手続きです。

個人事業主は開業届を提出するだけですぐに開業できますが、法人は登録や定款などの手続きが必要になり、数週間はかかります。また設立時にかかる費用も、個人事業主は0円から開業できるのに比べ、法人は手続き関連に20万円以上、さらに資本金などの用意も必要です。

 

ただし、設立に手間やお金がかかる分、法人は事業に対する本気度が高いと判断されて社会的な信用度が高いです。

信用度が高いと、資金調達や取引先の獲得が個人事業主に比べて容易になり、事業拡大のスピードも早い傾向があります。

 

(2)法人成りをする目安について

法人成りをする目安は、「売上1,000万円」または「利益500万円」を超えるタイミング。

 

①売上1,000万円

まず、前者の「売上1,000万円」には消費税の納税義務が関わっています。

事業での売上が2年前時点で1,000万円を上回っていると、消費税の課税事業者となります。つまり、売上が1,000万円を超えた年の2年後からは、法人でも個人事業主でも消費税を納税しないといけないということですね。

 

しかし、法人成りをすれば個人とは別人格になるので、個人事業主時代の売上の情報は引き継がれません。そのため、法人成りをすると消費税が非課税となる事業者でいられる年数が伸びるのです。

 

②利益500万円

次に、「利益500万円」は節税の観点でおすすめのタイミングです。

収入から経費を差し引いた「所得」に課税される税金は、個人事業主は「所得税」法人は「法人税」です。どちらも累進課税制で、所得が大きくなればなるほど税率も上がります。

そして、所得税の課税率は5~45%と幅が大きいのに対し、法人税は15~23%と累進課税率が低いのです。

 

法人成りすることでかかる社会保険料のコストなどを考慮しても、法人税の節税効果の方が高くなる目安が「利益500万円」程度。

ただしこのボーダーラインは事業規模や事業以外の所得の有無などで変わってくるので、詳しくは税理士などの専門家に相談した方がいいでしょう。

 

2.≪法人成りをするメリット・デメリットまとめ≫

法人成りをすることのメリット・デメリットは、それぞれ以下の通りです。

 

メリット

  • 所得の分散が可能になる
  • 社宅が必要経費になる
  • 税率が一定になる
  • 退職金も法人の費用になる
  • 納税義務が免除される
  • 社会的信頼性の向上

 

デメリット

  • お金を自由に使うことができない
  • 接待交際費が費用にならないことも
  • 赤字でも税金の負担がある
  • 手続き・提出書類が増える
  • 社会保険の加入義務がある

 

(1)メリット①所得の分散が可能になる

法人成りするメリットの1つ目は、所得の分散が可能になること。

節税のために重要なのは、経費をできるだけ多く計上して、「課税所得」つまり書類上での利益を減らすことです。

 

法人成りをすると、社長や役員に対する報酬を「役員報酬」として経費にすることができます。会社の利益を役員個人に分散し、さらに他の会社から給与を得ていない役員の所得は「給与所得控除」も受けることができるので、大幅に課税所得を削減できるのです。

 

(2)メリット②社宅が必要経費になる

法人成りをすると、法人名義で不動産契約をすることで「社宅」とすることができ節税が可能です。

従業員が生活するためのマンションなどを借りてもいいですし、社長の自宅を法人名義にして社宅にすることもできます。

 

個人事業主の場合、自宅で仕事をしていても「家事按分」で一部しか経費に計上できないので、これも法人成りの大きなメリットです。

 

(3)メリット③税率が一定になる

先の項目でも触れましたが、個人事業主にとっての所得税にあたる「法人税」は、所得税より累進課税率が低いです。

他のコストを考えず課税率だけでいうと、課税所得が330万円を超えたところから法人税の税率の方が低くなります。

 

所得金額に関わらず税率がほぼ一定になるので、法人成りは節税の面でメリットが大きいのです。

 

(4)メリット④退職金も法人の費用になる

個人事業主の場合、退職金はその金額に関わらず経費に計上できません。しかし、法人成りをすると、適正額であれば退職金も経費として計上できます。

 

本来、個人事業当時から法人成り後まで勤続している従業員の退職金は、法人成り後の期間のみの金額が経費にできるシステムです。

ですが、法人成り後、それなりの期間が経ってから退職した場合には、例外として個人事業当時から通算した退職金の金額を経費として計上することができます。

 

(5)メリット⑤納税義務が免除される

「法人成りをする目安」の項目でも解説しましたが、法人成りをすることにより消費税の納税義務を回避することができます。

 

ただし、これには条件があり、

  • 資本金1,000万円未満であること
  • 設立1年目の前半6カ月で売上1,000万円を超えないようにすること

の2点を満たさなければいけません。

 

消費税納税を回避するために法人成りする場合には、注意する必要があります。

 

(6)メリット⑥社会的信頼性の向上

法人成りするメリット6つ目は、社会的な信頼性が向上すること。「個人商店やフリーで仕事をしている人より、会社という肩書きがあった方がなんとなく信頼できる」というのは誰にでもある感覚だと思います。

 

また、実務の面でも法人は登記簿謄本により、会社の所在地や資本金、役員などの重要事項を確認することができるので、社会的な信頼が厚いです。

さらに、企業や金融機関によっては法人としか取引をしないという場合もあるので、法人成りをすることで販路や資金調達の幅が広がることもあります。

 

(7)デメリット①お金を自由に使うことができない

個人事業主の場合は、稼いだお金は全て事業主のものとなり、自由に使うことができました。

しかし、法人成りをすると、会社と個人のお金が明確に区別されるようになります。社長の給料も、役員報酬として会社から受け取るという形に変わります。

 

また、役員報酬の額は自由に変更することができず、経費として計上することができるのは決算日の翌日より3ヶ月以内に決定した「定期同額給与」のみです。

 

(8)デメリット②接待交際費が費用にならないことも

個人事業主の場合、事業に関連がある範囲であれば接待交際費を自由に経費にすることができます。

しかし、法人成りをすると、接待交際費は原則損金不算入です。

 

ただし、資本金1億円以下の中小企業の場合は、年間800万円以下なら経費として計上することができます。

 

(9)デメリット③赤字でも税金の負担がある

個人事業主の場合、赤字で利益がない場合には所得税は課税されず、納税の義務があるのは年数千円程度の個人住民税の均等割りのみです。

しかし、法人の場合は法人住民税の均等割りがあるため、利益が全く無くても毎年最低7万円を納税する必要があります。

 

(10)デメリット④手続き・提出書類が増える

法人成りすると、個人事業の時よりも提出書類が増え、なおかつ複雑になります。

例えば確定申告の手続きなら、個人事業主なら全ての申告が書類1枚で済みますが、法人の場合は法人税の申告だけで19枚も書類があります。

 

そのため、手続きのために事務員を雇ったり、税金の申告のために税理士と契約したりする必要が出てきます。そのためのコストがかかるようになるのも、法人成りのデメリットです。

 

(11)デメリット⑤社会保険の加入義務がある

法人は従業員を守るために社会保険加入の義務があります。そして、会社は従業員にかかる社会保険料の半分を負担しなければなりません。

そのため、従業員を雇うごとにコストが増えるというのも法人成りのデメリットです。

 

また、社長1人だけで事業を行う場合も、個人事業主の国民健康保険+国民年金よりも社会保険料のほうが高額になります。

 

3.≪法人成りに必要な手続き≫

それでは、法人成りに必要な手続きをステップごとに見ていきましょう。

 

(1)法人(会社)の設立

法人成りをするには、当然法人の設立が必要になります。

法人には株式会社と合同会社がありますが、実質的には株式会社を選ぶ人が圧倒的に多いです。

 

個人事業主が法人成りする場合、個人事業主自身が発起人となって企画・立案し、株主となって出資し、新会社の代表取締役として就任することになります。

 

(2)所有する資産・負債の引継ぎ

会社を設立した後、個人事業の資産・負債を新会社に引き継ぐ手続きが必要です。引き継ぐ資産・負債は、この時任意に決めることができます。

 

そして、このステップで「財産目録(引き継ぎ資産・負債の一覧表)」「事業譲渡(営業譲渡)契約書」「株主総会(取締役会)議事録」などの書類も作成します。

 

(3)契約の名義変更の手続き

法人成りをすると、それまでの個人事業主と会社は別人格になります。

そのため、預金通帳・不動産・車両・ライフライン・借入金など、事業に関連する全ての所有物・契約の名義変更をしなければいけません。

 

(4)個人事業の廃業届も忘れずに

事業を会社に引き継いだということは、それまでの個人事業は廃業することになります。個人事業の廃業届も、忘れずに提出しましょう。

 

(5)青色申告の取りやめ手続き

法人成りすると、税金関連の申告方法も変わります。

そのため、青色申告で確定申告している個人事業主は、法人成り際に「所得税の青色申告の取りやめ届出書」も必要になります。青色申告をやめる年の、翌年3月15日までに提出しましょう。

 

4.≪法人成りの挨拶状の書き方・文例≫

法人成りが完了したら、取引先や顧客に挨拶状を書いて法人成りしたことを知らせましょう。

失礼のない内容なら、相手との関係性によって自由に文面を考えて問題ありませんが、挨拶状のテンプレートは以下のようなものです。

 

おめでたいことなので、勢いを止めてしまうという意味がある「、」や「。」は用いません。言葉や文章の区切りは、改行やスペースで行います。

 

例:

 

謹啓 ○○の候 貴社ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます

平素は一方ならぬご厚情を賜りお礼申し上げます

さて この度弊社は組織を株式会社に改め

来る○月○日より 株式会社○○○○として再出発することになりました

これを機に 社員一同 社業の発展を期すべく決意も新たに

一層精励いたして参る所存でございます

何卒 倍旧のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます

まずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます

                     謹白

 令和○年○月吉日

             株式会社○○○○

             代表取締役 ○○○○

 

5.≪まとめ≫

法人成りは、事業を大きく発展させるための一つのステップ。手続きは複雑で手間と費用もかかりますが、節税面や社会的な信用の面で大きなメリットがあります。

 

ただしデメリットもゼロではないので、法人成りをするかどうか、またそのタイミングは注意深く決断しましょう。

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2019/09/11 コーポレートファイナンスとは?【意味や定義を解説】

「コーポレートファイナンス」という言葉を聞いたことがありますか?難しい経済用語のように思えますが、要はコーポレートファイナンスとは「企業価値を高めることを目的とした財務活動」のこと。

財務活動の中で、特に資金調達のことをコーポレートファイナンスと呼ぶことも多いです。

 

今回は、そんなコーポレートファイナンスの基礎知識や戦略、企業価値の求め方について解説していきます。

 

 

1.≪コーポレートファイナンスとは?≫

コーポレートファイナンスとは、企業価値を高めることを目的とした資金調達・資金運用といった財務活動のことです。

また、必要な事業資金を市場から調達することをコーポレートファイナンスと呼ぶこともあります。

 

さらに、「企業の財務や金融」「資金調達の方法」「投資判断の方法」などの意味でコーポレートファイナンスという言葉が使われることもあります。

現時点では「コーポレートファイナンス」は多様な意味を持つ言葉なのです。企業側から見るか、投資家側から見るかで意味合いが変わってくるので、なかなか理解しにくいところがあります。

 

「コーポレートファイナンス」という言葉で呼ぶと難しく感じますが、要は「企業の利益を上げて大きくしていくための経営戦略」ということ。決して難しいことではなく、どの企業も目標としている基本的なことですね。

 

この記事では、コーポレートファイナンスという言葉は企業側から見た「資金をどのように調達し、どのように運用するか」という財務戦略という意味で使っていきます。

 

(1)コーポレートファイナンスとプロジェクトファイナンスの違い

コーポレートファイナンスとプロジェクトファイナンスの違いは、以下の通りです。

 

  • コーポレートファイナンス:企業の事業全体に対する投資・出資・融資などの集め方・運用方法

  • プロジェクトファイナンス:企業が行う一つのプロジェクトに対する投資・出資・融資などの集め方・運用方法

 

コーポレートファイナンスで調達する資金は、企業そのものの価値や信用が評価対象となります。それに対し、プロジェクトファイナンスの場合は一つのプロジェクトの収益性などが資金調達の際の評価対象です。

 

2.≪コーポレートファイナンスにおける企業価値の求め方≫

コーポレートファイナンスの目的は、その企業の「企業価値」を最大化すること。投資家側からすると、企業価値が投資の判断基準(コーポレートファイナンス)となります。

ここでは、そもそも企業価値とはなんなのか、また企業価値を判断するための指標について解説していきます。

 

(1)企業価値とは

企業価値とは、一言でまとめると「企業全体の経済的な価値」のこと。具体的には、「その企業が将来にわたって生み出すフリーキャッシュフローの現在価値」を意味します。

「フリーキャッシュフロー」とは「自由に使える現金」のこと。つまり、負債ではない企業の純資産ということですね。

この純資産を増やして経営を安定させることが、コーポレートファイナンスの目的です。

 

例えば、純利益1億円という売上がこの先10年続くであろうという企業の企業価値は、10億円です。さすがに実際の計算はここまで単純ではありませんが、「その企業にこの先見込める利益の総額」というイメージですね。

これを最大化するための資金調達・資金運用の方法がコーポレートファイナンスなのです。

 

(2)企業価値をもとめる際に使われる指標

企業価値を求める際に使われる指標には、以下のものがあります。

 

  • NPV(正味現在価値)
  • DCF法
  • IRR(内部収益率)

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

(3)NPV(正味現在価値)

NPV(正味現在価値)とは、「Net Present Value」という言葉の略です。「企業が将来にわたって生み出す利益を、現在の価値に換算した場合の企業価値」という意味です。

NPVは「その企業に投資することにより、どれだけの利益が得られるのか」を判断する指標となります。

 

  • 企業価値=将来のキャッシュフローの総額(現在価値)−投資コスト

 

投資家や株主、金融機関が企業に出資・融資するのは、企業が将来にわたって生み出す利益を購入することと同じです。その将来にわたって生み出す利益より投資額の方が少ないとわかれば、投資をする価値があるということになりますよね。

 

しかし、現在の1万円と、10年後の1万円の価値は違います。

例えば、10年後に日本の経済規模や物価が10倍になっていれば、10年後の1万円は現在の1,000円の価値しかありません。ここまで極端なことはありえませんが、投資する側がお金の価値の変動を含めた損得を計算するために求めるのが、NPV(正味現在価値)なのです。

 

(4)DCF法

DCF法とは「Discounted Cash Flow」、直訳すると「割引キャッシュフロー」の略。事業が生み出す期待フリーキャッシュフロー全体を、一定の割引率で割り引いて企業価値を算出する方法です。

 

  • 企業価値=将来のフリーキャッシュフローの総額を加重平均資本コスト(WACC)で割り引いた現在価値

 

先に解説したNPV(正味現在価値)も、DCF法のうちの一つ。事業・プロジェクト・企業など、収益を生み出す資産を所有し続けた時に生み出す利益を、加重平均資本コスト(WACC)を用いて現在価値に換算したものです。

 

(5)IRR(内部収益率)

IRRは「Internal Rate of Return(内部収益率)」の略。新規の事業やプロジェクトの収益率を計算し、投資判断を行うためのもので、「事業やプロジェクトのNPVがちょうどゼロになるような割引率」と定義されています。

簡単にいうと、ある事業やプロジェクトが将来生み出すフリーキャッシュフロー(現在価値)と、それに必要な投資額(現在価値)がちょうど均衡する割引率となります。

投資家はあらかじめIRRにハードルレートを定め、その企業のIRRがハードルレートを超えていれば投資するという判断を行います。

 

3.≪コーポレートファイナンスにおける資金調達≫

最後に、コーポレートファイナンスにおける資金調達の方法について解説していきます。

広義でいうコーポレートファイナンスとは企業の資金調達活動そのものなので、企業間の与信取引や、売上金で運営をする内部調達なども含みます。

 

しかし、ここではコーポレートファイナンスの中でも企業の外部から資金を調達する「株式資本」「負債」の2つについて詳しく見ていきましょう。

 

(1)株主資本

企業が株式を発行し、将来的な収益を見越した投資家がそれを購入して集まる資金が「株主資本」です。

 

コーポレートファイナンスにおける株主資本の最大のメリットは、返済の義務がないこと。例えば当初1万円で購入した株式の価値が経営状況の悪化などで100円まで下がっても、それは投資家の見通しが甘かったという自己責任になるので企業は補償義務を負いません。

また、信用度の面で借入や社債発行ができない企業も、株式の発行なら資金調達をすることができます。

 

ただし、株主の持分によって経営権が生じるため、場合によっては外部の投資家や投資企業に経営権が奪われる可能性があります。また、株主には持分に合わせた配当が必要となるので、一度発行した株式には株式資本コストがかかります。

こういったリスクもあるので、株式の発行時には「誰に、どのくらい株式を発行するのか」という設計を考えることもコーポレートファイナンスの一部です。

 

(2)負債

負債は、金融機関や投資家・投資企業などからお金を借りるという資金調達方法です。もっとも単純かつ一般的なコーポレートファイナンスの方法となります。

もちろん借金ですから返済の必要があり、利息という負債コストも追加でかかりますが、設備投資などで大きな出費が必要となる時には有効なコーポレートファイナンスです。将来にわたって利益を生み出す見込みがある、企業価値が高い企業ほど高額の借入が可能となります。

なお、借入の他には、新株予約権付社債・普通社債の発行という方法もあります。

 

ただし、借入をするためには担保や保証人が必要となる場合が多く、会社の信用が問われます。また、期日が来れば経営状況に関わらず返済をしなければいけないので、赤字経営のベンチャー企業や零細企業には厳しい資金調達方法といえるでしょう。

 

4.≪まとめ≫

「コーポレートファイナンス」という言葉の意味や、企業価値の求め方がわかりましたか?

コーポレートファイナンスとは「企業の利益を上げて大きくしていくための経営戦略」のこと。聞きなれないカタカナ用語にすると難しく感じますが、実はどの企業も行なっている基本的な経営戦略なのです。

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2019/09/04 単式簿記とは?【複式簿記との違いを解説】

単式簿記とは、2つある帳簿付けの方法のうちシンプルで簡単なものです。簿記の知識がなくても帳簿付けをすることが可能ですが、複式簿記より記録しておける内容が少ないのがデメリット。

 

今回は、そんな単式簿記と複式簿記の違いや、単式簿記で帳簿付けする方法を具体的に解説していきます。

メリット・デメリットを把握して、自分に最適な帳簿付けの方法を選びましょう。

 

 

1.≪単式簿記とは?≫

単式簿記とは「簿記」の記帳方法の一つです。対になる言葉として「複式簿記」があり、単式簿記の方が複式簿記よりもシンプルで簡単です。

 

そもそも「簿記」とは、会計報告を行うために帳簿をつけること。この帳簿を元に会計業務を行い、会社や個人事業の財務状況を報告します。

 

(1)単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記と複式簿記の違いは、1回の取引につき、1つの項目を使うか、複数の項目を使うか。

単式簿記では「収入or支出」と「勘定科目」「金額」のみを一列に書き記します。複式簿記では帳簿を左右で「借方」と「貸方」に分け、借方と貸方の金額が同じになるように記帳していきます。

 

言葉の説明だけではわかりづらいので、具体的な例を見ていきましょう。

同じ取引を単式簿記と複式簿記のそれぞれの方法で記帳すると、以下のようになります。

 

例1 ◯月◯日、金融機関から100,000円の借り入れを行なった場合

 

単式簿記:◯月◯日 収入 借入金 100,000円

複式簿記:◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

 

例2 △月△日、10,000円の電気代を現金で支払った場合

 

単式簿記:△月△日 支出 電気代 10,000円

複式簿記:△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

 

例3 ×月×日、50,000円の商品を売って現金を受け取った場合

 

単式簿記:×月×日 収入 商品売上 50,000円

複式簿記:×月×日 現金 10,000円 / 商品売上 10,000円

 

そして、これらの取引が行われた後、単式簿記の帳簿は以下のようになっています。

◯月◯日 収入 借入金 100,000円

△月△日 支出 電気代 10,000円

×月×日 収入 商品売上 50,000円

 

単式簿記の場合は、お金の出入りを「収入・支出」の2パターンのみで管理します。そのため、収入の総額から支出の総額を引けば、収益がプラスかマイナスかがすぐにわかります。

この例だと、借入金10万円から支払いで1万円が減り、そのあと5万円の売上が入ったので、現在「14万円」のプラスだということがわかりますね。

ただし、「預金」「現金」という区別はないので、口座にあるべき金額はいくらか、手元にあるべき金額はいくらかということはわかりません。

 

また、単式簿記ではあとで返済する必要がある借入金も「収入」として計算してしまうので、最終的に手元に残る利益は「4万円」だという情報もわかりません。

さらに、帳簿を付け始める以前の預金額や借り入れ総額もわからないので、会社の会計の大枠を把握するのは難しいです。

 

次に、同じ取引が行われた後の複式簿記の帳簿を見てみましょう。

 

◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

×月×日 現金 50,000円 / 商品売上 50,000円

 

こちらでは、例えば「電気代を支払った」という情報だけではなく、「電気代を現金で支払った」という情報がわかります。借入金の10万円は普通預金に入り、現金として手元にあるのは4万円だという情報もわかりますね。

複式簿記は単式簿記よりも書き方が複雑ですが、複式簿記の帳簿からは単式簿記よりも多くの情報が読み取ることができるのです。

 

また、複式簿記の場合は、お金の出入りを「資産・負債・純資産・収益・費用」の5つに分けて管理します。

上記の取引だと、「借入金」は「負債」、「電気代」は「費用」、「商品売上」は「収益」です。

 

そして、会計業務の際はこの帳簿をもとに「貸借対照表」と「損益計算書」を作成します。

これは「資産・負債・純資産・収益・費用」それぞれのカテゴリの総額はいくらなのかを算出するものです。これにより、会社がどのような財務状況にあるのかを詳しく分析することが可能になります。

 

(2)単式簿記は目的のみを記録する

単式簿記では、取引により現金が増えたのか・減ったのかという「収入・支出」と、その取引の目的のみを記録します。

「収入」のカテゴリになるのは、勘定科目でいうと借入金・売上金・事業主貸など。逆に「支出」になる勘定科目は、地代家賃・仕入・水道光熱費・通信費・給料賃金など全ての出費です。

 

そして、単式簿記では取引の「手段」の記録はしません。

手段というのは、現金のやりとりがあったのか、クレジットカードや売掛・買掛などで後払いになったのか、口座に振り込みをしたのか…などの支払い方法のことです。そのため、取引にかかった金額の出所はどこなのか、どこに入ったのかという情報はわかりません。

 

個人事業主や規模の小さい会社で、複雑な取引はなく現金の出入りさえわかればいいという場合は単式簿記でも十分です。

しかし大規模な会社では詳細な財務状況の把握が必要になるので、単式簿記が採用されることはほぼありません。

 

2.≪単式簿記のメリット・デメリット≫

それでは、単式簿記のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

(1)単式簿記のメリット

  • 簿記の知識がなくても記帳できる
  • 現金のプラス・マイナスがすぐにわかる
  • 作業工程数が複式簿記より少ない

 

まず、単式簿記の大きなメリットは簿記の知識がなくても記帳できること。

その取引が「収入」か「支出」なのかということは誰でも直感的にわかりますから、付け間違いも少ないです。家計簿をつける感覚で、誰でも帳簿付けができます。

確定申告も、白色申告なら単式簿記の帳簿付けで問題ないので、大きな控除枠が必要ない場合は手間が省けるでしょう。

 

また、単式簿記の帳簿は「収入-支出」というシンプルな計算で総計ができるので、収益がプラスかマイナスかということが一目でわかります。

詳細な経営状況の分析は必要なく、ざっくりプラスかマイナスかわかればいいという場合も単式簿記で十分ですね。

 

そして、単式簿記の場合は、複式簿記のように「貸借対照表」や「損益計算書」に発展させる必要がありません。

複式簿記が他の会計書類を作るための土台としての意味合いが強いのに比べ、単式簿記はそれだけで完結しているのです。

 

(2)単式簿記のデメリット

  • 経営状況が把握しづらい
  • 青色申告ができず、控除額が減る

 

単式簿記のデメリットは、記録しておける情報が少なく経営状況の把握がしづらいこと。ある程度規模が大きく、借入金や株式の配当、買掛金、売掛金など複雑な取引がある事業の帳簿付けは、単式簿記では無理でしょう。

 

また、確定申告で「青色申告」をするためには複式簿記での帳簿付けが義務付けられています。

10万円・65万円の青色申告控除など、青色申告は税制で優遇されるポイントがたくさん。単式簿記の帳簿ではこの優遇が受けられないので、納税額で損をしてしまう可能性があります。

 

3.≪単式簿記の書き方・記入例≫

先の例では不要な項目を省略しましたが、実際に単式簿記で記帳するときには以下の項目が必要です。

1つの取引ごとに、それぞれの項目を埋めて表を作っていくイメージです。

 

  • 日付
  • 収入or支出
  • 勘定科目
  • 金額
  • 摘要

 

記入例

◯月◯日 収入 借入金 100,000円 A銀行

△月△日 支出 電気代 10,000円 B電力

×月×日 収入 商品売上 50,000円 C株式会社

 

4.≪単式簿記の帳簿を作成する方法≫

単式簿記はノートに手書き・エクセル・会計ソフトなどで簡単に作成することができます。会計ソフトを使えば、最初から必要な項目や勘定科目のリストが用意されているので簡単です。

しかし、単式簿記にはあまり多くの項目は必要ないので、手書きやエクセルで1から作成してもそこまで手間はかかりません。

 

5.≪まとめ≫

単式簿記は簿記の知識がなくても作成しやすく、初心者におすすめの帳簿付けの方法です。収益のプラス・マイナスを一目で把握でき、確定申告も白色申告なら単式簿記の帳簿でできます。

 

ただし、事業が大きくなってくると詳細な経営状況は把握できず、複式簿記に切り替えざるを得ません

単式簿記の帳簿では青色申告もできないため、納税額で損をしてしまうというデメリットも把握しておきましょう。

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2019/08/26 個人事業主と法人の違い【法人化・法人成りのタイミングとは?】

「個人事業主」と「法人」は、似ているようでかなり違います。

今回は、独立・起業をする時、個人事業主と法人のどちらを選べばいいかを徹底解説。2つの税制上の違いや開業・設立方法、法人化する時の損益分岐点などをまとめました。サラリーマン生活と個人事業や起業は両立できるのか?という疑問にもお答えしていきます。

 

 

1.≪個人事業主と法人の違い≫

自分でビジネスを始める時は、「個人事業主」と「法人」という2つの選択肢があります。まずはそれぞれの違いについて知っていきましょう。

 

(1)開業・設立方法

個人事業主と法人は、まず開業・設立方法が違います。

 

①個人事業主

個人事業主として開業する手続きは、「開業届」を税務署へ提出するだけです。設立にお金はかからず、手続きも1日で済みます。

 

②法人

法人の設立には、「株式会社」と「合同会社」の2種類があります。

かかる費用は、株式会社が約24万円、合同会社は約10万円です。どちらも「定款」と「登記」という手続きが必要となり、定款は公証人役場・登記は法務局や税務局で行います。

設立に必要な書類も個人事業主より多く、手続きには1週間ほどの時間がかかります。

 

③用語にも違いがある

細かいことですが、使う用語にも個人事業主と法人では違いがあります。事業を行う時の店名や事業者名のことを、個人事業主は「屋号」、法人は「会社名」と呼びます。

また、所得計算をするための期間の呼び方は、個人事業主は「会計期間」、法人は「事業年度」です。会計期間は12ヶ月と定められていますが、事業年度は自由に決められるという違いもあります。

 

(1)税金

支払う必要がある税金も、個人事業主と法人では違います。

 

①個人事業主

個人事業主が支払う税金は、「個人事業税」「消費税」「所得税」「住民税」の4種類です。確定申告は、「白色申告」もしくは「青色申告」で行います。

 

②法人

法人が支払う税金は、「法人税」「法人事業税」「地方法人特別税」「法人住民税」「固定資産税」「消費税」の6つ。会社によっては、利子や配当金に課税される「所得税」や、「自動車関連税」も支払う必要があります。

確定申告は、「法人税申告書」で行います。

 

③所得税と法人税

個人事業主にとっての「所得税」にあたるものは、法人では「法人税」です。どちらも個人事業主または法人の所得に対して課税されるのは同じですが、その税率が異なります。

個人事業主の場合、所得の金額にしたがって段階的に税率が上がり、「5~45%」の所得税が課せられます。対して法人は、所得が800万円以下・以上の2段階で税率が決まり「15%または23.9%」。

仮に所得が800万円だった場合、個人事業主には「23%」法人には「15%」の税金が課せられ、個人事業主の方が割高になります。

 

④相続税

また、個人事業主の事業資産や預金は相続税の課税対象ですが、法人の資産は相続税の課税対象になりません。

そのため、相続税を節税するために、ある程度の資産を持った個人事業主は法人化することもあります。

 

(2)社会保険

最後に、個人事業主と法人の保険の違いを比較しながら説明いたします。

 

①個人事業主

個人事業主は、社会保険ではなく国民健康保険と国民年金に加入します。

 

②法人

法人では、従業員はもちろんのこと、経営者や役員も会社の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入します。ただし、会社の社長は労働基準法における労働者ではないため、労働保険(雇用保険・労災保険)には加入できません。

 

2.≪個人事業主のメリットとデメリット≫

それでは、個人事業主のメリットとデメリットを解説していきます。

 

(1)個人事業主のメリット

個人事業主のメリットは、開業の手続きが簡単なことです。先の項目でも解説した通り、開業届さえ出せばその日から個人事業主になれます。

確定申告の手続きも、法人税の申告に比べてかなりシンプルです。

 

(2)個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリットは、税制の優遇が法人より少ないこと。所得税(法人税)の税率は、所得がおよそ500万円を超えると個人事業主の方が高くなります。

赤字の繰り越しは、個人事業主は青色申告でも3年、法人は9年です。

 

また、社会的な信用も法人より個人事業主の方が低いです。法人としか取引をしない企業があったり、求人も法人より集まりにくかったりなどのデメリットがあります。

 

3.≪法人のメリットとデメリット≫

次に、法人のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

(1)法人のメリット

法人のメリットは、個人事業主より節税の面で優れていることです。法人税は所得税に比べて累進性が低く、同じ所得でも税率に大きな差が出ます。

また、経費として認められる範囲も法人の方が広く、役員報酬などで利益調整をすることも可能です。

さらに、先にも触れましたが法人は赤字を9年繰り越すことができ、万が一赤字が出た時も経営の立て直しがしやすいです。

保険を経費に計上できることや、株式を発行して資金調達できることも法人ならではのメリットです。

 

また、個人よりも会社の方が社会的信用度も高く、銀行からの融資や求人に対する応募も集まりやすいというメリットもあります。

 

(2)法人のデメリット

法人のデメリットは、設立や法人税申告の手続きが複雑なこと。設立に際して用意する書類も多いですし、資本金や定款・登記の費用も必要です。

また、個人事業主の確定申告は簿記の知識がない素人でも可能ですが、法人税の申告はかなり複雑です。税理士など専門家の手を借りないと難しいでしょう。

 

さらに、株式を発行したり、投資家から資金調達したりすると、株主や投資家の意向を経営に反映させなければいけないこともあります。

 

4.≪個人事業主から法人化へ≫

個人事業主として開業し、経営が軌道に乗ったら法人化するケースも少なくありません。法人化するタイミングや、法人化のメリットを解説していきます。

 

(1)どんな時に法人化?

一般的に、法人化するタイミングは「売上が1,000万円を超えたとき」と言われています。これは、売り上げが1,000万円を超えると、翌年から消費税の納税義務が発生するからです。

消費税の納付を免除されるためには、「2事業年度前、または前事業年度開始から6ヶ月間の売上が1,000万円以下」である必要があります。

法人化した場合、個人事業主としての売上は計上されないため、法人化から2期目までは消費税の納税が免除されます。そのため、消費税の免税業者でいる期間を伸ばすために、売上が1,000万円を超える見通しがたったら法人化する事業者が多いのです。

 

ただし、法人税(所得税)の節約を考えるなら、ボーダーラインとなる所得は500万円程度。「売上が1,000万円」「課税所得が500万円」のどちらかを超えたら法人化を考えた方がいいでしょう。

 

(2)法人化するメリット

法人化するメリットは、以下の通りです。

 

  • 社会的信用度が上がる
  • 個人事業主より税制上優遇される
  • (売上1,000万円以上の場合)免税事業者でいる期間が伸びる
  • 社会保険に加入できる
  • 株式を発行して資金調達ができる

 

(3)法人化を考える損益分岐点

法人化をする損益分岐点は、「売上が1,000万円」「課税所得が500万円」のどちらかを超えるタイミングです。

所得税・法人税の税率だけで見ると、課税所得330万円以上から所得税の税率の方が高くなります。しかし、法人化した時に加入する社会保険の負担を考える場合、およそ課税所得500万円が損益分岐点です。

また、免税事業者でいられる期間を伸ばすために、売上が1,000万円を超える見込みになる時は法人化を考えた方がいいでしょう。

 

5.≪サラリーマンと個人事業主-両立は可能?≫

会社で副業が認められているなら、サラリーマンと個人事業主の両立をすることは可能です。ただし、会社にばれたくない場合には、ばれないための工夫をする必要があります。

 

(1)両立のメリット

サラリーマンと個人事業を両立すると、以下のようなメリットがあります。

 

  • 収入が増える
  • 事業収入は保険料の算定に含まれない
  • 休みの日や退勤後の時間を有効活用できる
  • 仕事以外のスキルを磨ける
  • 独立の下準備ができる
  • 会社が業績悪化・倒産しても心配ない

 

サラリーマンと個人事業や起業の両立は、技術的には可能です。当然ですが収入も増え、将来的に独立したい場合はその下準備ができるなど、メリットがたくさん。

ただし、副業禁止の会社だと、懲戒解雇や減給の対象になることもあるため注意してください。

 

(2)会社にバレる?

会社の規定では「副業OK」となっていても、実際に上司や同僚にばれると気まずいという人も多いでしょう。「マイナンバーで副業がばれる」という噂がありますが、マイナンバーは重要な個人情報のため、会社がマイナンバーから副業の調査をすることはできません。

ただし、個人事業主としての収入を確定申告して住民税が課税されると、会社にバレてしまう恐れがあります。これは、副業の収入があると給与のみに課税された額より多くなるためです。

 

(3)会社にバレないためには

会社に副業との両立がばれたくない場合、住民税の金額を会社に知られるわけにはいけません。これは、確定申告の際、第二表の住民税の徴収方法の選択欄の「自分で納付」にチェックを入れることで回避できます。

こうすると、給与分の住民税の納付書は勤務先に、個人事業分の住民税は自宅に納付書が届くため、ばれることなく副業ができます。

 

6.≪まとめ≫

個人事業主は簡単な届け出で誰でも開業することができるのがメリット。法人の手続きは煩雑ですが税制上で様々な優遇措置があり、節税したい場合に有利です。

個人事業主と法人の損益分岐点は「売上1,000万円」「課税所得500万円」。サラリーマンでも個人事業や起業との両立は可能なので、将来的に独立したい人はプランを立ててみてください。

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2019/08/19 屋号とは?【役割と付け方のポイントを解説】

個人事業を開業する時、迷ってしまうのが「屋号」。今回は、そもそも屋号とは何なのかという基礎知識と、屋号を決める時のコツやルールを解説します。

屋号は意外に重要で、事業の業績が屋号によって左右されることも。あとで後悔しないよう、屋号はじっくりと考えてつけましょう。

 

 

1.≪屋号とは?≫

確定申告など、様々な場面で書類に記入することがある「屋号」。しかし、そもそも「屋号」とは何なのかを理解していない人もおられるのではないでしょうか。まずはその定義から知っていきましょう。

 

(1)屋号って何?

屋号とは事業を行う上で名乗る名前のことです。要は「事業者名」のようなもので、法人では「会社名」、個人事業主なら「屋号」と呼びます。個人でお店を営んでいる場合、その店名が「屋号」ということになります。

フリーで活動している人の場合は、名前をそのまま出すのに抵抗があるときにペンネームや芸名を屋号とすることも。この場合は「屋号」と同じ意味合いで「雅号」という言葉を使ったりもします。

 

そもそも歴史的には、「屋号」という言葉は様々な意味合いで使われてきました。苗字を持たない農民が家を区別するための「あだ名」のようなものであり、また江戸時代に商店が「越後屋」「松屋」など「屋」が末尾につく店名をつけたことから「店名」という意味でも使われます。

しかし、現代では「屋号」といえば「個人事業主が仕事上で使う名前」というのが一般的です。

 

(2)屋号をつけるのはいつ?

屋号をつけるのは個人事業の開業時というのが一般的ですが、実はいつでも構いません。開業後につけることも、後から変更することも可能です。

 

(3)屋号は必ず必要?

屋号は必ずしも必要なものではありません。「青色申告をする個人事業主は屋号が必要、白色申告の場合は必要ない」と誤解されがちですが、実はそれは間違いです。確定申告の方法に関わらず、屋号はつけてもつけなくてもいいものです。確定申告書などの書類に屋号を記入する欄があることもありますが、屋号がなければ空欄にしておいて問題ありません。

 

2.≪屋号はいつ使う?≫

それでは、個人事業主で屋号をつけることを考えている方向けに、屋号を使うタイミングについて解説していきます。

 

(1)一番よく使うのは請求書・領収書

一番屋号を使う機会が多いのは、請求書や領収書です。例えば、個人商店から何か買い物をしたとき、請求書の宛名が店名(屋号)になっていた方が、店主の個人名が記載されているより何となく安心できますよね。事業の経費にする買い物の領収書も、屋号名義で作成してもらいます。

また、確定申告書や開業届、銀行に提出する融資の申込書などにも屋号を記載する欄があります。

 

(2)屋号だけで個人の銀行口座が開ける?

屋号を持っていると、その名前を使って銀行口座を開設することができます。プライベート用とは別に屋号付きの口座を設けることで、お金の流れを一本化することができて資産管理や帳簿付けの際に便利です。

また、顧客から銀行振込を受ける際も、個人名より屋号付き口座の方がより信頼感が増します。

 

(3)事業用の口座名に使う時は注意!

屋号を使って事業用口座を開設するときは、個人口座とは違い注意が必要です。なぜなら、「事業用口座」として開設すると開設手続きが複雑になったり、利用料・口座管理料などが発生したりすることがあるため。個人口座でも問題なく事業が運営できている場合は、無理に事業用口座を設ける必要はないでしょう。

 

3.≪屋号の付け方≫

それでは、実際に屋号をつける上で、注意したいポイントやルールを押さえておきましょう。

 

(1)付け方にルールはある?

まず、屋号に使える文字の種類は、以下の通りです。

 

  • 漢字
  • カタカナ
  • ひらがな
  • アルファベット(大文字・小文字)
  • 数字(アラビア数字)
  • 特定の記号(「&」「’」「.」「-」「.」「・」

 

この中に含まれていない「☆」「♪」などの記号や、ハングル文字などの外国の文字、「Ⅰ」「Ⅳ」といったローマ数字などは屋号には使えません。

 

また、屋号の文字数には制限がありません。個人事業主ではなく法人の会社名ですが

「株式会社あなたの幸せが私の幸せ世の為人の為人類幸福繋がり創造即ち我らの使命なり今まさに変革の時ここに熱き魂と愛と情鉄の勇気と利他の精神を持つ者が結集せり日々感謝喜び笑顔繋がりを確かな一歩とし地球の永続を約束する公益の志溢れる我らの足跡に歴史の花が咲くいざゆかん浪漫輝く航海へ」

という137文字の会社名も存在します。

ただし、あまり長いと覚えにくかったり、名乗る時や電話で聞き取りづらかったりするので、一般的な店名などの場合は2~7文字ほどがおすすめです。

 

(2)こんな屋号がおすすめ

屋号の決め方は基本的に自由ですが、こんなポイントを押さえておくと事業がうまくいきやすいかもしれません。

 

①事業内容がはっきりわかる

屋号付けの基本は、事業内容がわかりやすいことです。「◯◯美容院」「××工務店」など、業種を明らかにしておけば、一目でどのような仕事をしているのかがわかります。

逆に何をしているかわからない会社だと、顧客やクライアントも仕事の依頼がしにくいですよね。大手企業でも、「紳士服の青木」「トヨタ自動車」など、売り物が一目でわかる会社名は多いです。

 

②覚えやすい

商売繁盛のためには、お客さんに店の名前を覚えてもらうのが大切です。仮に同じ価格・サービスのお店が2つあったとしたら、口コミが広まりやすいのは覚えやすく伝わりやすい屋号のほうです。

英語を使った店名などはオシャレなイメージですが、お客さんにとっては日本語の方が覚えやすいということもありますよ。

 

③言いやすく、書きやすい

屋号は口に出して言ったり書類に記入したりすることも多いです。言いにくい発音で、電話口などでも聞き取りづらい屋号をつけると不便を感じることが多いでしょう。あまりに画数が多い、スペルミスを間違いやすい英語となどいった屋号も、書類仕事が煩雑になりがちです。

 

④SEO(検索エンジン最適化)を意識する

お店を探す時や詳しい情報を知りたい時、お客さんはインターネット検索をよく利用します。一般的な名詞や、ネット上で知名度が高いブロガー等のハンドルネームと屋号が同じだと、なかなかお店の情報が出てきません。

また、お店を探すときは「新宿 中華料理」「大阪 美容院」のように、地域名・業種と絡めて検索されることが多いです。そのため、地名や業種を屋号に含めると、インターネット検索により強くなります。

 

⑤人に話せるエピソードがある

個性的な屋号にするときは、何かエピソードに絡めた屋号にするのがおすすめです。個人事業を始めると、屋号の由来を聞かれることが何かと多いもの。その時に話せるエピソードがあると、インパクトがあって印象に残りやすいです。お店に来店したお客さんや、取引先とのコミュニケーションにも役立ちますよ。

 

⑥「あ」「A」などから始まる

引越し業者には、「アーク」「アート」「アリさんマーク」など「ア」から始まる会社名がとても多いです。これは、引越し業者に依頼する時は電話帳で探すことが多かったため。電話帳の最初の方にあると注目されやすく、たくさんの依頼が集まったのです。

現在は電話帳を使うことは少なくなりましたが、複数の商店が参加するイベントなどでは五十音順・アルファベット順に屋号を並べられることもあります。頭文字にこだわるのも、屋号を決める時の一つのアイデアです。

 

(3)こんな屋号はNG

屋号は、基本ルールを守っていても公俗秩序に反すると判断されると受理されない場合があります。

 

①会社・組織をイメージさせる屋号

個人事業主の屋号には、「会社」「法人」「コーポレーション」など会社・組織をイメージさせる言葉は使えません。実際は個人なのに会社であるようなイメージを抱かせると、混乱や誤解の原因になるためです。

 

②故意に他の事業者と同じ屋号をつける

故意に他の事業者と同じ・類似した屋号をつけるのもNG。同じ屋号の業者が他業種である場合は基本的に大丈夫なようですが、同じ業界の場合は訴訟や差し止め請求を受ける場合もあります。

また、一般的に知名度の高い企業と誤解されるような屋号、商標登録された言葉を使った屋号もNGです。

 

③ネガティブなイメージがある屋号

下品な言葉や、マイナスなイメージがある屋号も受理されません。例えば、下ネタや犯罪を連想させる言葉、罵倒や悪口などがこれに当たります。「やぶ医者」「まずい店」などはグレーゾーンです。インパクトやウケ狙いでつけている事業者もゼロではありませんが、基本的にはやめた方がいいでしょう。

 

4.≪まとめ≫

屋号は個人事業主にとっての「会社名」のようなもので、事業のイメージを大きく左右します。つけてもつけなくてもいいものですが、屋号をつけると「事業を始めた」という感じがして気が引き締まりますし、お客さん・取引先からの信頼も増します。

屋号の決め方は最低限のルールを守れば自由ですが、わかりやすく覚えやすい屋号の方が評判も広まりやすく、商売繁盛に繋がりやすいですよ。

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2019/07/24 確定申告書の種類・提出方法を解説!

確定申告の書類は種類が色々あって、毎年混乱してしまいますよね。また、普段は確定申告をしないサラリーマンの方も、特定の収入・出費があったときは確定申告をする必要があります。

今回は、確定申告のどの種類の書類が、どんなケースで必要になるのかを具体的に解説していきます。作成した書類の提出方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

 

1.≪確定申告の用紙の種類≫

確定申告の種類は大きく分けて2種類で、

 

・確定申告書A

・確定申告書B

 

があります。

 

さらに、特定の収入や支出があった時には

・申告書第三表

・申告書第四表

・申告書第五表

・住宅借入金特別控除額の計算明細書

・医療費の明細書

という添付書類も必要です。

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

(1)「確定申告書A」

確定申告書Aを使うのは、

・会社員・パート・アルバイトで勤務先からお給料をもらっている人

・老齢年金をもらっている人

・株の配当金をもらっている人

・生命保険の一時金をもらった人

などです。

 

  • 4つの所得に特化

確定申告書Aが対応している所得の種類は、

 

・給与所得:給与・俸給・賃金・賞与など

・雑所得:国民年金・厚生年金・恩給・確定給付企業年金・確定拠出年金・外国年金など

・配当所得:株式などの配当・投資信託の収益の配当など

・一時所得:生命保険の一時金・損害保険の満期払戻金・賞金・懸賞の当選金・ギャンブルの払戻金など

 

の4つのみです。

これ以外の所得がある人は、確定申告書Bを使います。

 

  • 年末調整を受けていない人などが使える

一般的に確定申告書Aを使うのは、会社員・アルバイト・パート、年金受給者などで年末調整を受けていない人です。一般的な会社では、年末調整が行われるため確定申告の必要はありません。

 

具体的に確定申告書Aが必要なケースとしては、

・アルバイトなどを掛け持ちしていて複数箇所から給与を得ている場合

・年末調整に算入されない一時所得があった場合

・公的年金の収入金額が、公的年金等控除+基礎控除の合計額(108〜158万円)を上回る場合

などが挙げられます。

 

  • 予定納税がある場合は使用不可

確定申告書Aは予定納税がある場合は使用できません。予定納税とは、前年の所得税が15万円以上だった場合に前払いで納める税金のことです。

 

(2)「確定申告書B」

確定申告書Bは、確定申告書Aよりも項目が多く、多様な所得に対応している確定申告書です。

・アパートやマンションの経営をしている人

・フリーランスで仕事をしている人

・自営業者

などが確定申告書Bを使用します。

 

  • 10種類すべての所得に対応

確定申告書Bは、全ての所得の区分に対応しています。区分は以下の10種類です。

 

・給与所得:給与・俸給・賃金・賞与など

・雑所得:国民年金・厚生年金・恩給・確定給付企業年金・確定拠出年金・外国年金など

・配当所得:株式などの配当・投資信託の収益の配当など

・一時所得:生命保険の一時金・損害保険の満期払戻金・賞金・懸賞の当選金・ギャンブルの払戻金など

・利子所得:公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配など

・不動産所得:不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得

・事業所得:商業・工業・農業・漁業・自由業など、事業から生じる所得

・退職所得:退職金など

・山林所得:5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得

・譲渡所得:資産を売却して得た所得

 

参考:金融広報中央委員会 知るぽると

 

  • 給与所得・雑所得・配当所得・一時所得だけでもok

確定申告書Aに対応している給与所得・雑所得・配当所得・一時所得しかない人も、確定申告書Bを使用することが可能です。記入できる項目は確定申告書Bの方が多いですが、確定申告書Aを使える人はその部分が空欄になるだけです。

確定申告書Bが正式なバージョン、確定申告書Aは簡易バージョンと考えるとわかりやすいですね。

 

  • 退職金を貰った人や個人事業主、誰でも使える

確定申告書Bは、確定申告書Aに記載できない所得がある人全てが使えます。

例えば、

・退職金をもらった人

・個人事業主やフリーランスで仕事をしている人

・不動産収入を得ている人

など、給与所得以外で生活している人が主に該当します。

 

  • 青色・分離・国出・損失・修正とは

確定申告書Bには、氏名や住所を書く欄の下に「種類」という項目があります。青色・分離・国出・損失・修正と種類が並んでいて丸をつけるようになっていますが、これらは以下のような意味を持っています。

 

・青色:青色申告(個人事業主向けの、特別控除が受けられる申告方法)を行う人

・分離:分離課税(特定の所得をほかと分けて計算する申告方法)を行う人

・国出:国外転出時課税制度が適用となる人

・損失:損失申告を行う人

・修正:一度確定申告したあと、修正があり再度提出する人

 

当てはまるもの全てに丸をつけ、確定申告を行います。なお、一つも当てはまらなければ何も書かなくてOKです。

 

(3)(確定申告書Bに添付する)「申告書第三表(分離課税用)」

特定の取引収入があった場合は、確定申告書Bに「申告書第三表(分離課税用)」を添付する必要があります。

 

  • 土地・建物や株式の譲渡、先物取引、FX取引がある人

申告書第三表を使うのは、

・土地・建物の譲渡

・株式などの譲渡

・FX取引や先物取引

などを行った人です。

 

これらの所得は、他の所得と切り離して特定の税率をかける「分離課税」に該当するためです。もし、普段は給与所得のみで生活していても、不動産や株式を売って収入を得たり、FXや先物取引で一定以上の利益を出したりした時には、確定申告Bと申告書第三表が必要になります。

 

(4)「申告書第四表(損失申告用)」

申告書第四表が必要になるのは、以下のようなケースです。

 

・事業やで赤字が出た場合

・株式や不動産、FXなどの取引で赤字が出た場合

・生活に必要な資産が災害・盗難・横領などの被害を受けた場合

 

これらの損失を申告すると、その金額を翌年以降の所得から差し引くことができ、結果的に支払う税金の額が軽減されます。

 

(5)「申告書第四表(損失申告用)付表 東日本大震災の被災者の方用」

損失の中でも、東日本大震災によって資産が被害を受けた場合であれば、申告書第四表に加えてこの付表を記入し提出します。

 

(6)「申告書第五表(修正申告用)」

一度提出した確定申告書に間違いがあり、修正したい場合は「申告書第五表」を用います。

修正申告は必ず追加で税金を納入しなければいけないので、納税者にとって得な手続きではありません。しかし、間違った申告を放っておくと、延滞税やその他の罰金を支払うことになる恐れがあります。そのため、確定申告の内容に間違いが見つかった場合は、なるべく速やかに修正申告をして是正しましょう。

 

(7)「住宅借入金特別控除額の計算明細書」

「住宅借入金特別控除額の計算明細書」は、住宅を購入するためにローンを組んだ人が使用する書類です。

 

  • 住宅ローン控除を受けるための書類

住宅ローン控除とは、住宅ローン残高に合わせて最大40万円(認定長期優良住宅等の場合は最大50万円)の控除を受けられる仕組みのことです。最大10年、計400〜500万円の控除を受けられるお得な制度なので、ローンを組んで住宅を購入した場合は申告しないと絶対に損です。通常、「住宅借入金特別控除額の計算明細書」は住宅ローンを組んだ金融機関から送付されてきます。

 

  • 「確定申告書A/B」に加えて作成するもの

住宅借入金特別控除額の計算明細書は、この1枚だけでは提出できません。

・サラリーマンなど給与収入を得ている人:確定申告書A

・自営業者などその他の収入を得ている人:確定申告書B

と一緒に作成し、提出します。

 

  • 会社員は1年目だけ確定申告 2年目以降は年末調整

会社員の場合、住宅ローン控除のために確定申告が必要なのは最初の1年目のみです。残りの年数分は、会社に「控除証明書」を提出すると年末調整に算入されます。

 

(8)「医療費の明細書」

1年間で10万円以上の医療費を支払った場合、「医療費の明細書」を確定申告書に添付すると、医療費控除を受けられます。

 

  • 医療費控除を受けるための書類

自分や自分が養っている家族の医療費が年間で合計10万円以上かかった時は、医療費控除を受けるために「医療費の明細書」を作成します。

ここでいう医療費には、以下のものが含まれます。

 

・医師に支払った診療費や治療費

・治療や療養に必要な医薬品の購入(風邪を引いた際の薬代等)

・あん摩マッサージ、はり師、きゅう師、柔道整復師に支払った代金

・出産費用

・市販の医薬品

・手術代金(一部例外あり)

・通院や入院のための交通費

 

  • 「確定申告書A/B」に加えて作成するもの

住宅借入金特別控除額の計算明細書と同じく、医療費の明細書はこの1枚だけでは提出できません。

・サラリーマンなど給与収入を得ている人:確定申告書A

・自営業者などその他の収入を得ている人:確定申告書B

と一緒に作成し、提出します。

 

2.≪白色申告と青色申告とは≫

個人事業主の確定申告方法には、

・白色申告

・青色申告

の2種類があります。

 

(1)申告方法の種類

白色申告と青色申告の違いは、以下の通りです。

 

・白色申告:届出不要、簡単な帳簿で提出できるが、節税効果は低い

・青色申告:白色申告より控除額が大きく、節税効果が高いが、複式帳簿が必要となる

 

(2)白色申告とは

白色申告、青色申告の申請書を提出していない事業者が行う確定申告の方法です。

 

  • 届出は不要

白色申告は届出不要で誰でもできる確定申告の方法です。手軽にできる分、控除枠や税制上の優遇措置は用意されていません。

 

  • 単式簿記でOK 比較的手間のかからない申告方法

2014年以前は、白色申告を行うのであれば帳簿付けは義務ではありませんでした。その後白色申告も記帳が義務付けられましたが、青色申告で使う複式帳簿ではなく単式帳簿でもOKとなっています。帳簿付けの手間が少なく、簿記の知識がなくてもできる申告方法です。

 

  • フリーランス収入の少ない人や経費の少ない人におすすめ

白色申告は、比較的収入の少ない人や、あまり経費がかからない人におすすめです。

そもそも収入や経費が多くなければ大きな控除枠は必要ないので、手間のかからない白色申告の方が時間の節約になります。

 

(3)青色申告とは

帳簿付けの手間はかかりますが、青色申告は税制上で優遇されることが多く、ある程度収入がある個人事業主におすすめの方法です。

 

  • 複式簿記で手間はかかるが特別控除が受けられるメリット

青色申告を行うには、複式簿記で記帳した帳簿が必要です。帳簿付けに手間はかかりますが、その分「10万円」または「65万円」の控除が無条件で受けられるというメリットがあります。

 

  • フリーランス収入が多く、節税したい人におすすめ

青色申告がおすすめなのは、ある程度フリーランスで収入があり、節税をしたい人です。

具体的には、所得税率が一気に上がる330万円以上の所得がある人は青色申告の方がお得になります。

 

  • 「青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要がある

青色申告を行うためには、「青色申告承認申請書」を提出しなければいけません。これにより税務署の承認を得て、青色申告をする権利を得られます。

ただし、承認といっても提出内容に不備や問題がない限り、税務署から特に連絡がくることはありません。

 

  • 新規開業時の申告期限

新規事業を開始した初年度から青色申告をしたい場合、開業日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

 

  • 白色申告からの申告期限

すでに白色申告を行なっていて青色申告に切り替えたい場合、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。

 

3.≪確定申告書を提出するには?≫

確定申告書を提出するには、

・WEB(e-Tax)

・税務署へ持参する

・税務署へ郵送する

の3つの方法があります。

 

(1)WEB(e-Tax)で提出可能

WEB(e-Tax)で確定申告書を提出する方法は、ペーパーレスかつ税務署に出向かなくて済むため手軽です。ただし、e-Taxを使用するためには、「電子申告等開始届出書」の提出やICカードリーダライタの購入などの事前準備が必要となります。

 

(2)税務署へ持参する

記入した確定申告書を税務署の窓口に直接持参することもできます。書き方がわからない人向けに相談会なども行われているので、確定申告初心者におすすめの方法です。

ただし、平日の日中しか税務署は開いていない上、確定申告の時期は窓口が混み合うため、提出に時間がかかります。

 

(3)税務署へ郵送する

封筒さえ準備すればいいため、郵送は手軽な提出方法です。提出用封筒と控えを受け取るための返信用封筒を用意し、所轄の税務署の住所へ送ります。

ただし、郵送に日数がかかるのと、もし不備があった場合は返送・再送が必要になるため、期日まで余裕を持って行うのがおすすめです。

 

4.≪まとめ≫

確定申告書の種類は2種類、添付書類には6種類があります。どれが必要なものなのかは自分で判断しなければいけないので、今回の記事を参考に選んでみてください。

また、個人事業主の場合は、白色申告・青色申告からも種類を選ぶ必要があります。青色申告に切り替えるのは、所得330万円をボーダーラインにするのがおすすめです。

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2019/07/17 資金調達の方法は?融資以外や返済不要の調達方法もご紹介

会社を経営する上で悩まされることも多い資金調達。金融機関からの融資以外にも、様々な資金調達方法があります。

ここでは低金利・低リスクの方法から最新の資金調達方法まで、14種類についてメリット・デメリットをご紹介いたします。個人で利用可能なものや、返済不要な方法もありますので、ぜひ最後までお読みください。

 

1.≪資金調達の方法≫

資金調達の方法には、大きく分けて以下の方法があります。

 

・ファクタリング

・日本政策金融公庫からの融資

・商工組合中央金庫からの融資

・自治体の制度融資

・銀行からの融資

・ビジネスローン

・私募債

・手形割引

・クラウドファンディング

・自治体の補助金・助成金制度

・知り合いや家族から借りる

・ベンチャーキャピタルからの出資

・個人投資家からの出資

・ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

 

それぞれのメリット・デメリットや仕組みについて解説していきます。

 

(1)ファクタリング

ファクタリングとは、売掛金を専門の業者に買い取ってもらって行う資金調達の方法のことです。メリットは短い審査期間で返済不要な現金が手に入ること。「今すぐ現金が必要」という緊急性の高いシチュエーションに適しています。

ただし、金融機関などの金利に比べて、高額の手数料がかかるというデメリットも。ファクタリングを利用するかどうかは、調達コストと緊急性を見極めて決めましょう。

 

(2)日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫は政府出資100%の金融機関で、中小企業向けに融資を行っています。他の金融機関等より大幅に低金利なため、資金調達に時間がかかっても構わないなら、もっとも得ができる資金調達方法と言えるでしょう。

ただし、審査が厳しく、さらに審査には3週間〜1ヶ月かかるため、緊急性の高い資金調達には適していません。

 

(3)商工組合中央金庫からの融資

商工組合中央金庫は日本政策金融公庫と同じく政府系の金融機関です。日本政策金融公庫との違いは、信用保証協会の保証がつくことと、未上場なら中小企業以外も利用できること。全体的に、日本政策金融公庫を利用する企業よりも会社ステージが進んだ企業が受ける融資です。

なお、低金利というメリットや、審査に時間がかかるというデメリットは日本政策金融公庫と同じです。

 

(4)自治体の制度融資

自治体の制度融資とは、各自治体が信用保証協会・金融機関と連携し、融資を斡旋する仕組みです。制度は自治体によって異なりますが、日本政策金融公庫・商工組合中央金庫より低い金利で融資を受けられることもあります。

上限額などの条件は細かく異なるため、事業所を置いている自治体に問い合わせてみてください。

 

(5)銀行からの融資

銀行からの融資には、

・プロパー融資

・制度融資

の2種類があります。

 

  • プロパー融資

プロパー融資とは、民間の金融機関がリスクを負って資金を貸し出すことです。そのため、ある程度信用を勝ち得るだけの業績がなければ、プロパー融資での資金調達はできません。創業間もない企業には、かなり厳しい方法です。

 

  • 制度融資

制度融資とは、銀行と借主の間に信用保証協会を置く融資方法です。信用保証協会は国の機関で、万が一事業者が借りたお金を返済できなくなっても、リスクを銀行に代わって負ってくれます。銀行にはリスクがないため、創業したばかりの企業でも比較的審査に通りやすいです。

民間の銀行が打ち出している新規創業者向けの融資は、ほとんど信用保証協会を使っています。

 

(6)ビジネスローン

ビジネスローンは銀行や消費者金融が提供している法人向けローンです。無担保・無保証で借りることができ、審査も厳しくないのがビジネスローンのメリット。まだ実績がない中小企業でも借りることができます。

ただし、金利は高いのですぐに返せる目処が立っていない場合はあまり利用しないほうがいいでしょう。

 

(7)私募債

私募債は社債を発行して少数の投資家から資金調達する方法です。無担保・無保証ですが、魅力的な実績がなければ資金を出してくれる投資家がつきません。

また、私募債は投資家からの借金なので、金利の支払いと借金返済が必要になります。

 

(8)手形割引

手形割引とは、商取引で受け取った手形を銀行に売却し現金に変えることです。すでに持っている権利を売って資金調達するという意味では、ファクタリングに似ています。

ただし、手形割引の場合、売却した手形が不渡りになった場合には、その手形を買い戻す義務があります。

なお、利用にあたっては通常の融資と同じく審査があります。

 

(9)クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、事業内容に賛同してくれる人を集め、その人々から少額ずつ出資を募ることです。

 

クラウドファンディングには、

・融資型クラウドファンディング

・投資型クラウドファンディング

・購入型クラウドファンディング

・寄付型クラウドファンディング

の4種類があります。

 

  • 融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングは、投資家が資金を企業に貸付する形式のクラウドファンディングです。投資家にとっては、貸し出した資金から利益を得られるので、資産運用ができるというメリットがあります。

企業側は、銀行等ほど厳しくない審査・金利で融資を受けられるのがメリットです。

 

  • 投資型クラウドファンディング

投資型クラウドファンディングは、出資額に応じて株式を譲渡して資金調達をする方法です。少額でも出資者は株主となるので、ある程度株主の意向に沿った運営が必要となります。

また、まだ実現していない事業で投資型クラウドファンディングを行う場合、技術不足などで事業が実行できず、出資者にリターンができない可能性も。投資型クラウドファンディングを行う場合は、本当に実現可能な事業かどうかよく考えておくことが必要です。

 

  • 購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングとは、資金調達の目標金額を達成した場合、出資額に応じた商品をリターンとして提供するものです。出資者は消費者感覚で参加する人が多く、事業の事前広告にもなります。

欲しがる人の多いアイデア商品の実現などに用いられることが多い方法です。

 

  • 寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングとは、特に投資家に見返りを用意することなく出資を募る方法です。社会的に意義がある事業や、創業者自身を応援したいと思う人が多ければ、利益がなくても資金が集まることも。

企業だけではなく、ボランティア活動や慈善事業、個人的な夢を叶えるための資金調達としても用いられることが多いです。

 

(10)自治体の補助金・助成金制度

補助金・助成金制度は、自治体が独自に定めた条件に合致することで、返済義務のない融資・出資を受けられる制度です。例えば、特定の事業を応援する補助金や、従業員に特定の研修を行った時に受け取れる助成金などがあります。

条件は自治体ごとに様々なので、当てはまる補助金・助成金はないかどうか調べてみましょう。

 

(11)知り合いや家族から借りる

身近に資金を持っていて、事業を応援してくれる人がいるなら、その人から個人的に借りるのも手です。

ただし、身近な人といえども、お金のやりとりは信用問題。もし後々トラブルになった場合、人間関係が崩壊してしまいかねません。身内からお金を借りる時も、借りる前にはしっかりと条件を決め、借用書や契約書を用意するようにしましょう。

 

(12)ベンチャーキャピタルからの出資

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業や新規事業に投資するための機関のことです。スタートアップ企業の株を購入し、当初の株式の額と、公開後の売却額の差額で利益を出すことを目的にしています。

返済義務や限度額がありませんが、ベンチャーキャピタル側も投資目的のため、利益を出せる見込みがないと株主にはなってくれません。また、ベンチャーキャピタルが株主になるということは、ベンチャーキャピタルの意向にある程度沿った経営をする必要も出てきます。

 

(13)個人投資家からの出資

個人投資家はエンジェル投資家とも呼ばれ、有望な新規事業に投資支援を行っています。元起業家の個人投資家も多いので、有望だと見込まれればまとまった額の投資や経営アドバイスを受けることもできます。

ただし、将来の展望がない業種では投資家がつかないほか、必要以上に経営に口出しをする投資家もいるため注意が必要です。

 

(14)ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは、企業が「トークン」と呼ばれる独自の仮想通貨を発行し、そのトークンを世界中の投資家に購入してもらうことで資金調達を行う方法です。クラウドファンディングに似ていますが、違うのは企業が成長していくにつれてトークンの価値が高まっていくことや、投資家間でトークンの売買もできること。

新規事業の新たな資金調達方法として注目を集めています。

 

2.≪資金調達方法の選び方≫

上の項目でご紹介した資金調達方法は、担保や返済義務の有無、融資を受けられるまでの期間、条件など様々です。その中のどれを選べばいいのか、資金調達方法の選び方を解説します。

 

(1)会社の目指す方向によって変わる

資金調達には「必ずこれがいい」という方法はありません。会社の状況や目指す方向性によって、おすすめの資金調達方法は違います。

例えば、これから創業するスタートアップ企業は、事業実績や今後事業が軌道に乗る保障がないため、銀行からの融資は難しいです。

そのため、

・日本政策金融公庫の融資

・ベンチャーキャピタルからの出資

・個人投資家(エンジェル投資家)からの出資

・クラウドファンディング

など、返済義務がなくある程度まとまった額が調達できる方法がおすすめです。

 

(2)企業向け、個人向けで選ぶ

上でご紹介した資金調達方法を、企業向け・個人向けに分けると以下のようになります。

 

企業向け

・ファクタリング

・日本政策金融公庫からの融資

・商工組合中央金庫からの融資

・自治体の制度融資

・銀行からの融資

・ビジネスローン

・私募債

・手形割引

・クラウドファンディング

・自治体の補助金・助成金制度

・ベンチャーキャピタルからの出資

・個人投資家からの出資

・ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

 

個人向け

・日本政策金融公庫からの融資

・自治体の制度融資

・知り合いや家族から借りる

・クラウドファンディング

・自治体の補助金・助成金制度

 

企業向けの資金調達方法に比べ、個人向けは選択肢が少なく、規模も小さくなりがち。個人で出資を受けたい場合は、自然と選択の幅は狭まるでしょう。

 

(3)返済義務のない調達方法を選ぶ

万が一事業が失敗した場合、返済義務のある資金調達方法を選んでいると多額の借金を抱えることになります。そのため、創業間もなくてまだ軌道に乗っていない企業は、できる限り返済義務のない資金調達方法を選ぶのがおすすめ。信用保証協会を利用すると手数料が取られますが、大きなリスクを負うよりはずっと気楽ですよ。

 

4.≪まとめ≫

資金調達には、様々な方法があります。金利・融資額・審査期間・その後のリスクなども、方法によって千差万別。

そのメリット・デメリットを知っておいて、自分の企業にもっとも適した資金調達方法を選べるようになりましょう。

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2019/07/10 創業融資とは?どんな種類かあるのかから審査通過のためのポイントまで

新規事業を計画している人の中には、創業融資を検討している人も多いはず。しかし、創業融資はどこで借りれば良いのか、審査に通る方法を知っていますか?

今回は、日本政策金融公庫の新創業融資制度を中心に、創業融資について解説します。審査を通りやすくする方法もご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

 

 

1.≪創業融資とは≫

創業融資とは事業を創業・起業・独立・開業するときに融資を受けることです。まずは、創業融資の仕組みや種類について見ていきましょう。

 

(1)起業・開業時にお金を借りられる融資制度

新規事業を創業する時には、当然ですがお金が必要になります。自己資金のみで創業資金をまかなえればいいですが、そうはいかない場合も多いでしょう。

そういった場合に、以下のような場所からお金を借りることを創業融資と呼びます。

 

・親兄弟、親族、親戚等

・日本政策金融公庫

・自治体の制度融資

・民間金融機関

・ノンバンク等

 

(2)創業融資には2種類

上記のうち、利用する人が多いのが以下の2種類です。

 

・日本政策金融公庫

・自治体の制度融資

 

実は、その他の方法はあまり現実的ではありません。創業融資は実質的にはこの2つと思っていていいでしょう。

 

  • 日本政策金融公庫の新創業融資制度

日本政策金融公庫は政府が100%出資している政策金融機関で、創業時には「新創業融資制度」という制度を利用して創業融資を受けられます。無担保・無保証人で利用することができるため、利用する人が非常に多い制度です。

 

  • 自治体と信用保証協会・金融機関による制度融資

日本政策金融公庫の他に、各自治体の制度融資を利用する方法もあります。自治体の制度融資は、各自治体が信用保証協会・金融機関と連携し、融資を斡旋する仕組みを取っています。

自治体の融資制度は利子補給や信用保証料が厚い反面、財源に限りがあるため借入額が少なくなる傾向があります。また、日本政策金融公庫より融資実行に時間がかかることが多く、その点もデメリットと言えます。

必ず利用しなければいけないという決まりはありませんが、全体的には日本政策金融公庫の方がメリットは大きいです。

 

2.≪日本政策金融公庫の新創業融資制度とは≫

それでは、日本政策金融公庫の新創業融資制度について詳しく解説していきます。

 

(1)圧倒的な低金利

日本政策金融公庫の新創業融資は、一般的な銀行に比べて圧倒的に低金利です。

例えば、同じ100万円の融資を受けた場合、金利は以下の通り。

 

日本政策金融公庫:年 2.0%

民間の金融機関:年 10.0%前後(銀行・条件による)

 

特に、300万円以下の小口融資なら、より金利の差が大きくなります。

 

(2)融資限度額は3,000万円

日本政策金融公庫の新創業融資の融資限度額は3,000万円です。先にもお伝えしましたが、自治体の融資制度は財源に限りがあるため、日本政策金融公庫よりも少額の融資になりやすいです。

創業時の資金は、今後の利益を生み出すための大事な元手となります。少額の融資しか受けられないと、事業がなかなか軌道に乗らなかった時などは運転資金が苦しくなります。余裕を持って事業を運営していくためにも、日本政策金融公庫で十分な創業融資を受けるのがおすすめです。

 

(3)担保および保証人は原則不要(無担保・無保証)

前の項目でも触れましたが、日本政策金融公庫の新創業融資は無担保・無保証で借りられます。元手がない人や保証人を用意できない人も借り入れが可能なので、誰でも事業を起こすことができますね。

 

(4)審査期間の目安は3週間~1ヵ月

日本政策金融公庫の新創業融資の審査は3週間〜1ヶ月かかります。一般の消費者金融は数日、民間の金融機関なら1週間程度で融資が実行されるのに比べると、これは少し遅めです。

そのため、日本政策金融公庫は「すぐにお金が必要」というシチュエーションには対応できません。「この日を創業日にしたい」というこだわりがある方も、早めに申請を行なっておきましょう。

 

(5)新創業融資制度と新規開業資金との違い

日本政策金融公庫には、「新創業融資制度」と「新規開業資金」という名前の似た2つの制度があります。

 

これらの違いは、

・利用できる人

・貸付限度額

・担保・保証人の有無

の3点。

似ているようで違う2つの制度について、解説していきます。

 

  • 利用できる人が違う

まず、「新創業融資制度」と「新規開業資金」は利用できる人が違います。

 

・新創業融資制度:新たに事業を始める方、または事業開始後で税務申告を2期終えていない方

・新規開業資金:新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方

 

事業を始めてから「新創業融資制度」「新規開業資金」で融資を申し込む場合、事業開始からの期間に違いがあります。「新創業融資制度」は、税務申告2期以内、つまりおおむね2年以内しか利用できない制度なのです。

 

  • 貸付限度額の違い

「新創業融資制度」と「新規開業資金」の貸付限度額は、それぞれ以下の通り。

・新創業融資制度:3,000万円(うち運転資金1,500万円)

・新規開業資金:7,200万円(うち運転資金4.800万円)

 

「新規開業資金」の方が、「新創業融資制度」より2倍以上も大きな融資を受けられるのです。

 

  • 新規開業資金は担保または保証人が必要

「新創業融資制度」は無担保・無保証で借りられますが、「新規開業資金」は担保または保証人が必要です。これはとても大きな違いですね。

万が一事業が失敗してお金が返せなくなっても、「新創業融資制度」は無担保・無保証なので返済する必要がありません。対して、「新規開業資金」は担保・保証人が必要で、事業が失敗したとしても返済の義務があります。

 

ただし、返済の義務がない「新創業融資制度」は、その分融資審査が厳しいです。要項では「創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要」という条件がついていますが、自己資金はより多い方が審査に通りやすくなります。

 

3.≪制度融資≫

次に、自治体による制度融資について見ていきましょう。日本政策金融公庫より金利が低い場合も多く、こちらの制度を利用することもできます。

 

(1)融資概要は自治体によって異なる

自治体の融資制度は、各自治体によって異なります。現在実施されている自治体の制度融資の例を見てみましょう。

 

東京都「創業融資制度」

・融資対象:1ヶ月以内に個人、または2ヶ月以内に法人設立をして、 都内で新たに開業することを計画している人

・融資限度額:3,500万円

・融資利率:年 2.0〜2.5%

・担保・保証人:原則として個人は不要、法人は代表者が連帯保証人

 

大阪府「開業サポート資金」

・融資対象:事業を開始する、または、事業開始後5年未満の人

・融資限度額:3,500万円(事業開始時期と自己資金額に応じて変動)

・融資利率:年 1.4%

・担保・保証人:原則として個人は不要、法人は代表者が連帯保証人

 

この他にも、各自治体が制度融資を行なっています。起業する地域の制度を調べてみてください。

 

(2)審査期間は2ヶ月かかることも

日本政策金融公庫は審査に時間がかかるとお伝えしましたが、自治体の融資制度はさらに時間がかかります。場合によっては、融資実行までに2ヶ月ほどかかることも。

日本政策金融公庫以上に、自治体の融資制度は緊急の融資には対応できないのです。

 

4.≪創業融資の審査通過のポイント≫

最後に、創業融資の審査を通過しやすくするポイントをご紹介します。

 

・十分に自己資金がある

・滞納がなく信用が高い

・起業経験・業界経験がある

・優れた事業計画書

 

これらの条件が揃っていると、審査を通過しやすくなります。

 

(1)自己資金なしはNG

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、申請要項に「創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要」という条件があります。以前は「創業資金総額の3分の1以上」という条件でしたが、近年緩和されて10分の1になりました。

しかし、審査を通りやすくするには、自己資金の割合が高いに越したことはありません。自己資金が用意できている人は、計画性があり、余剰資金の確保ができているということなので、貸付をしても返済してくれるだろうという判断基準になるのです。

無担保・無保証だからこそ、自己資金をしっかり用意しておく必要があります。

 

(2)過去に滞納がないこと

クレジットカードや水道光熱費、携帯料金など、過去に滞納したことがある人は融資審査に落ちやすいです。これは、過去に滞納している人は今後も滞納する可能性があると思われてしまうため。

また、既にある借金を返すための「借り換え」と判断されてしまうこともあります。スムーズに融資を受けて事業を始めたいなら、過去の行いも重要になってくるのです。

 

(3)起業経験や業界経験の有無

過去に起業の経験があったり、業界経験のある事業を起業したりした場合、審査に通りやすいです。これは、まったくの初心者に比べると、経験がある人の方が事業が成功する確率が高いため。起業したい業界があるなら、同業界で数年経験を積んでみるのも一つの方法です。

 

(4)事業計画(創業計画)をまとめる

融資審査は、事業計画書の内容に左右されます。優れた事業計画書があれば、利益を出していく仕組みをロジカルに説明でき「きちんと返済できる人」と判断されやすくなるのです。

具体的な数字を用いて、実現可能な事業の展開をまとめてみましょう。

 

5.≪まとめ≫

創業融資は多くの起業家が利用するごく一般的な制度です。無担保・無保証・低金利で借りられるので、新規事業立ち上げの大きな助けになります。

ただし、良い条件で借りられる分、創業融資の審査は厳しいです。きちんと計画を練って、希望額の融資が降りるように準備できるといいですね。

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2019/07/03 学生や主婦でも起業する時代!起業するために必要なこととは

「起業したい」という志を抱く人は多いですが、どんなことから始めればいいか知っていますか?漠然と考えているだけでは、いつまでたっても起業はできません。逆に、優れたビジネスモデルがあれば、学生や主婦でも成功をつかむことも可能です。

今回は、起業をしたい方のために、起業をするためのステップを解説します。

 

 

1.≪起業する理由や目的、事業内容を考える≫

起業するには、企業のアイデアや目的が不可欠です。漠然と「起業したい」というだけでは事業は始まらないので、まず自己分析をして企業したい理由を煮詰めていきましょう。

 

(1)なぜ起業したいのかを明確にする

「何でもいいからとにかく社長になりたい」「起業って面白そう」「〇〇をやってみたら儲かりそう」など、曖昧な理由で起業した会社では、軸が定まらず失敗する可能性が大。「起業する」だけではなく「起業して成功する」には、しっかりと事業の軸になる理由や目的が必要なのです。

 

ビジネスモデルを描き出す前に、

・なぜ起業したいのか

・起業して何を実現したいのか

・起業することで、自分はどうなりたいのか

を突き詰めて考えておきましょう。

 

(2)どのような事業を行うのかを決める

起業する目的が決まったら、それに沿ってどんな事業を行うのか決めていきます。すでにアイデアがある人は、そのアイデアを具体的に実現するための手段を考えましょう。

 

また、なかなかアイデアが浮かばないという方は、以下のような発想を持つのがおすすめです。

・既存の商品やサービスを発展させる方法

・既存の商品やサービスを組み合わせる方法

・自分の趣味や特技、専門知識を活かす方法

・海外で成功している事業を輸入する方法

・日常的に感じる不便を解消する方法

自分の中で考えるだけではなく、家族や友人、インターネットの声などを参考にすると、アイデアが生まれやすいかもしれません。

 

(3)どのような価値を提供できるのかを考える

次に、自分の事業でどのような価値を世間に提供できるかを考えます。できれば、既存の企業がまだ実現していないオリジナルの価値を見出せると良いでしょう。

既存事業と似た内容で起業する場合には、どこで他社と差別化できるかを考えてみてください。

 

(4)具体的なビジネスモデルにする

最後に、事業内容を噛み砕き、具体的なビジネスモデルにしていきます。

具体的であればあるほど現実味が増しますが、少なくとも

・「誰に」

・「何を」

・「どうやって」

という3つの軸はしっかり決めておきましょう。

 

  • 主な顧客は?ターゲット層

まずは、自分のサービスや商品を「誰に」売るのかというターゲット層を決めます。万人ウケする商品やサービスは既に出揃っていることが多いので、今までにない価値を生むならピンポイントにターゲットを定めるのが重要です。

さらに、ターゲット層は具体的に定めておきましょう。例えば、「若い女性」というだけではなく、「18〜25歳の女性」「○○が好きな若い女性」など。そうすると、その層の平均収入や生活スタイルから求められているものが見えてきやすいです。

 

  • 「何を」売りたいモノ・サービスは?

次に、ターゲット層から見えてきたニーズを形にします。このとき、ただ理想を追い求めるだけではなく、原価率や生産効率などが現実的かどうかも重視しましょう。

モノやサービスを具体的にしていく中で何度もブラッシュアップを重ね、他社にはない独自の価値が創造できるといいですね。

 

  • 「どうやって」販売方法は?

最後に、流通経路を決めていきます。

・受注生産

・店舗販売

・通信販売

など、どの販売形態が顧客にアプローチしやすいか考えてみましょう。

また、商品を宣伝するマーケティング方法についても合わせて考えます。ネットショップでの販売・SNSを活用した広報活動など、販売・広報に資金を割かずに事業を行うこともできますよ。

 

2.≪資金の計画・調達方法≫

具体的なビジネスモデルが決まったら、次に実際に資金を集めていきます。

資金調達は、

・企業資金の把握

・自己資金を貯める

・融資や助成金など他者から調達

というステップで行なっていきます。

 

(1)必要な起業資金を試算・把握する

どれくらいの資金が必要かわかっていないと、集めようにも集められません。資金が潤沢であるに越したことはありませんが、起業するにはどれくらいの金額がかかるのか把握しておきましょう。

 

  • 店舗・事務所・機械などにかかる設備資金

起業するのにまずかかるのは、店舗・事務所・機械などにかかる設備資金です。設備資金は、起業資金の中でも大きな割合を占めることが多くなります。

 

以下のようなものが、設備資金に含まれます。

・店舗・事業所関係:敷金、礼金、仲介手数料、改装費、看板制作費 など

・設備費:机、椅子、パソコン、プリンター、電話、車、レジスター、棚、厨房機器 など

・備品費:ユニフォーム、食器、事務用品 など

・広告宣伝費:チラシ、Webサイト、雑誌広告 など

 

店舗や事務所を借りるための初期費用は、家賃の10ヶ月分くらいが目安。改装などを行う場合、さらに500〜2,000万円ほどかかることもあります。

なお、必ずしも事業所が必要ないビジネスモデルなら、まずは自宅で始めると大幅に資金を節約できますよ。

 

  • 仕入れ・給料・広告費などの運転資金

次に、仕入れ・従業員の給与・広告費など、事業を運転していくための資金も必要です。以下のような費用(運転資金)が毎月いくらかかるのか把握しておきましょう。

 

・家賃

・人件費・経営者の生活費

・仕入れ代金

・水道光熱費

・通信費

・広告宣伝費

・借入れ返済額

 

運転資金が尽きるのが早いと、起業直後に倒産を余儀無くされてしまいます。事業が軌道に乗るまで、半年〜1年くらいは赤字でも運転できるくらいの資金は用意しておきたいものです。

 

(2)自己資金を貯める

自己資金とは自分の貯金の中で事業に回せる資金のことです。返済や利息が必要ないので、自己資金の割合が高いほど余裕を持って事業を運営することができます。可能であれば、全て自己資金で起業できるのが理想でしょう。

ただし、融資の審査は起業時より起業後の申込みの方が厳しくなります。自己資金のみで起業すると、もし立ち行かなくなって融資を受けたいときに審査が通りにくい場合があるので注意が必要です。

 

(3)他から調達する場合

自己資金だけでは起業できない場合、他から融資を受けて起業資金を調達します。

 

  • 金融機関から融資を受ける

銀行などの金融機関から融資を受けるのはとてもポピュラーな方法です。

しかし、個人で起業をしたい場合、メガバンクから創業融資を受けることは基本的にできません。地方銀行は、地元の起業家を応援する意味もあって起業融資に積極的なことが多いです。

 

  • 日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する

日本政策金融公庫は、少額の融資で起業家を応援してくれます。事業実績がない企業でも、無担保・無保証で3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで融資を受けることが可能です。

 

  • 助成金・補助金など自治体の支援制度を利用する

国や自治体が、起業家を応援するための助成金・補助金を設けていることもあります。事業内容や事業所を置く場所によって限定的に受けられる助成金・補助金もあるので、ビジネスモデルを考えるときにチェックしておきましょう。

 

  • クラウドファンディングを活用する

 

近年注目されている資金調達方法が、クラウドファンディング。インターネットを通じて、事業内容に賛同してくれる人たちから少額ずつ融資を募るものです。

資金調達段階からPRの代わりになるので、マーケティングを兼ねることもできます。

 

3.≪起業の種類≫

次に、起業に向けての手続きを行います。

・法人を設立する

・個人事業主として開業する

それぞれの方法で、必要となる手続きが異なります。

 

(1)法人を設立する

法人を設立するには、公証人役場・法務局・税務署・年金事務所・労働基準監督署での手続きが必要です。

 

以下のステップを踏んで、法人登録をしていきます。

・定款を作成し、公証人役場の認証を受ける

・法務局に行き、設立登記を行う

・税務署に行き、法人設立届出書を提出する

・年金事務所で、健康保険と厚生年金保険加入の手続きをする

・労働基準監督署で、労働保険加入の手続きをする(従業員を雇う場合)

 

(2)個人事業主として開業する

個人事業主として開業するのは、法人の設立よりもずっと簡単です。

 

  • 手続きは税務署で開業届を提出するだけ

 

個人事業主として起業する手続きは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけです。この手続きは、開業から1ヶ月以内に行います。費用は特に必要ありません。また、青色申告を行う場合や、従業員を雇って給与を支払う場合は別の届け出が必要になります。

このような計画がある場合は、開業届と一緒に手続きを行うとスムーズです。

 

4.≪高校生におすすめ!大学で起業を勉強できる時代≫

アップルやマイクロソフト、フェイスブックなど、学生起業家が起こした大企業は多数あります。若い起業家は、フレッシュなアイデアや学生のエネルギーを利用できるのが最大のメリットです。

 

(1)起業家支援施設や育成施設がある

「起業をしてみたいけど、知識がなくて不安」という学生向けに、起業家支援施設や育成施設が増えています。知識が豊富なスタッフや、同じく起業を志す仲間と出会う場にもなるため、起業を考えている学生は一度訪れてみるのがおすすめです。

起業に役立つ知識はもちろん、空き店舗の斡旋や起業後の経営相談をしてくれる施設もありますよ。

 

(2)学生の企業への出資制度がある大学も

学生の起業をサポートするために、学生の企業に出資などの支援を行う大学があります。

 

・日本経済大学

・慶應義塾大学

・早稲田大学

・京都大学

・大阪商業大学

・同志社大学

・岡山大学

・九州情報大学

など

 

大学時代に起業をしたいと思っている高校生は、起業家支援を軸に大学を選んでみてはいかがでしょうか。

 

(3)専属アドバイザーがいることも

学生の起業支援に力を入れている大学では、専属の起業アドバイザーの力を借りられることもあります。経済・経営系の学部なら、豊富な知識を持つ教授が相談に乗ってくれることも。

学生起業家は、周りの力を借りやすいというメリットもあるのです。

 

5.≪独立起業するのは難しい?≫

独立起業は、決して難しいことではありません。元手がかからず、パソコン一台で始められる事業もあります。まずは挑戦してみて、軌道に乗りそうなら本業化するというのも一つの方法です。

 

(1)会社に勤めながらネット副業 週末起業する人も

今は、クラウドソーシングなどを利用して誰でもフリーで仕事ができる時代です。ライティング、プログラミング、デザインなど、仕事で培ったスキルがあれば、会社の給与より高収入が得られることも。まずは副業から始め、事業が軌道に乗ったところで退職して本業化すると、収入が途切れることがなく安心です。

 

(2)女性起業家も増加 主婦の趣味・経験を活かした起業例

結婚後は家に入るのではなく、自分のスキルを活かした起業をする女性も多くなっています。

 

  • 子育て経験を活かして 育児ビジネス

子育て中、様々な不便に気づいて「こんな商品・サービスがあればいいのに」と思う女性は多いです。そんなアイデアを行かせるのが、子育て経験のある女性による育児ビジネス。子育て中のピンポイントなニーズを押さえた商品やサービスなど、女性による育児関連の起業が注目されています。

また、自分の子育てが終わったあと、ベビーシッターとして活躍する女性も多いですね。

 

  • 自宅でできる お教室やエステサロン

料理・洋裁・ヨガ・フラワーアレンジメントなど、自分の興味や特技を活かせるのが自宅で行うお教室。結婚や出産で退職したエステティシャン・ネイリストが、自宅でサロンを開くというケースも多いです。家庭の都合で出勤や長時間勤務が難しい、人に教えられる特技があるという女性におすすめの起業方法です。

 

  • カフェなどの飲食店経営も

 

「個人で起業」というと思い浮かべる人の多い、カフェなどの飲食店経営。飲食店経営には保健所の飲食店営業許可、お酒を扱う場合は税務署の酒類販売業免許が必要ですが、スキルの面では比較的ハードルが低い起業方法です。

 

6.≪起業を考えたら≫

「起業」というワードが頭に浮かんだら、まずは行動あるのみです。経営者には行動力が必須スキルですから、第一歩を踏み出してみるのが大切ですよ。

 

(1)まずはネットや本で勉強してみる

起業に関するノウハウを書いた本は、書店に数え切れないほどあります。また、インターネットでは無料の起業関連サイトも多く、知識の入り口としておすすめです。漠然と「起業したい」と思うだけでは始まりません。本やネットの知識をもとに起業について多方面から考えてみましょう。

 

(2)税金やお金の知識は必須

ビジネスは理想や熱意があれば成功するものではありません。起業をするなら、一般常識以上の税金やお金の知識は必須となります。できれば簿記の資格を持っていると、起業後に帳簿付けなどの作業がスムーズにできますよ。

 

7.≪まとめ≫

起業するには、実現可能なビジネスモデルを具体的に考えるのが大事です。その後、起業するまでには資金調達・起業の手続きというステップがあります。

学生や主婦、いま会社勤めをしている方でも、やり方次第で起業は可能。起業したいと思ったら、まず知識集めから始めてみましょう。

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2019/06/18 役員報酬を変更するには?覚えておきたいポイントまとめ

法人税や社会保険料の節税のためには、役員報酬は注意深く決定する必要があります。そんな役員報酬を変更したい場合、どのようにすればいいかはご存知ですか?

実は、役員報酬を変更できる時期や手順は、厳密に決められているのです。

ここでは、役員報酬はいつからいつまで変更できるのか、時期を逃した場合の注意点など、詳しく解説していきます。

 

 

1.≪役員報酬の変更は「事業年度開始日から3か月以内」≫

役員報酬はいつからいつまで変更できるのかというと、会社設立時または事業年度のはじめから3ヶ月以内です。この期間中に一度のみ変更することができます。

原則として、事業年度中に理由なく役員報酬を変更することはありません。役員報酬を頻繁に変更できないのは、節税が目的の利益操作を防ぐためです。

 

しかし、業績などの理由で、どうしても役員報酬を変更しなければいけないという場面もあるでしょう。そういった場合、どのような手続きをして役員報酬を変更すればいいのかを解説していきます。

 

2.≪役員報酬の変更手続きの手順≫

それでは、具体的に役員報酬を変更するための手順を見ていきましょう。役員報酬を変更できる時期や手続き方法、いつから変更ができなくなるかなどを解説いたします。

 

(1)税法上の役員報酬の規定とは?

役員報酬とは、その名の通り会社の取締役会を形成する役員に支払われる報酬です。一般的には、株主総会で役員報酬の総額を決め、取締役会か代表取締役が役員それぞれの報酬額を決めます。

 

税務上、役員報酬には以下の3つのルールがあります。

 

・定期同額給与

・事前確定届出給与

・利益連動給与

 

前提として、一度決定すると、役員報酬は事業年度の期首から終わりまでずっと一定額を支払わなければなりません。先ほども少し触れましたが、これは不正な利益操作を防ぐためで、「定期同額給与」と言います。期首からずっと同額の報酬を支払っているので、恣意的な利益操作はできなくなります。

 

また、役員に賞与を出す場合には、あらかじめ税務署に給与額を届け出る必要があります。これを「事前確定届出給与 」といい、賞与で利益操作をすることを防ぎます。

 

最後の「利益連動給与 」は有価証券報告書から算出されるものなので、通常は上場会社のみしか用いることはありません。

 

これらの規定に当てはまる役員報酬は、税務上で「損金」に計上することができます。

 

(2)年度開始時に変更する場合

役員報酬は事業年度の期首から変更するのがスムーズです。役員報酬を変更する際は、期首から3ヶ月以内に株主総会などで役員報酬の変更を決定し、議事録に残して保管します。合同会社の場合は、同意書などを作成して議事録同様保管しておきましょう。

議事録などの証拠を残しておかないと、税務調査の際に不正とされて追徴課税が必要になってしまうことも。また、この議事録は社会保険料を変更する際に提出を求められる場合もあります。

 

(3)年度の途中で役員報酬を変更するには

年度の途中で役員報酬を変更することは、特段の理由がない限り認められていません。特に、期首から4ヶ月以上すぎた後に増額された金額は損金算入ができません。損金に算入できないと、法人税と所得税が二重課税されることになってしまいます。

 

損金にならなくても構わないなら、期首での変更と同じく株主総会で決定し、議事録を残せば変更自体は可能です。ただし、税金の二重払いとなり結果的に損をするので、どうしても必要な時以外には増額はしないほうがいいでしょう。

 

(4)役員報酬はいくらに設定すればよい?

先に解説した通り、役員報酬は株主総会が、役員一人ひとりの報酬は取締役会や代表取締役が決めます。

とは言え、中小企業の場合、社長本人が大株主という場合が大半です。役員の仕事に対する適正な給与というよりは、節税の観点で役員報酬を決めることが多くなっています。

 

数年前までは、社会保険への加入督促が厳しくなかったため、社会保険に加入しない場合は法人の利益がゼロになるように役員報酬を定めるのが税制上有利でした。しかし、社会保険料を考慮に入れると、法人に利益を残し、社会保険料を抑えた方が節税になるケースが多いです。

給与と同じく、役員報酬にも社会保険料はかかるため、個人負担・法人負担両方の社会保険料を考えて役員報酬を決めなければなりません。

 

社会保険料を考慮した場合、以下の金額でもっとも節税することができます。

 

・法人利益 〜500万円の場合:役員報酬 0円

・法人利益 1,000万円の場合:役員報酬 200万円

・法人利益 2,000万円の場合:役員報酬 500万円

・法人利益 3,000万円〜の場合:役員報酬 500万円

 

ある程度会社の規模が大きくなると、役員の手取りを多くするだけではなく、会社にお金を残して成長させることも大切です。具体的には、正社員を雇いだすくらいの時期からは、会社の成長も視野に入れて役員報酬を決定しましょう。

 

3.≪年度の途中で役員報酬を変更できるケースとは?≫

例外として、期首以外の時期に役員報酬を変更できる場合もあります。それはどんな理由なのか、ケース別に解説していきます。

 

(1)就任又は退任する場合

新たに役員が就任したり、すでにいる役員が退任したりする場合、役員報酬を変更することができます。

取締役会に加わったり退任したりする時期は期首ではなくても問題ありません。事業年度中に役員になれば当然年の途中から報酬が支払われますし、途中で退任した場合は以降の報酬は無くなります。このようなケースでは、「臨時改定事由」として役員報酬の変更が認められます。

 

(2)役職や職務内容に変更がある場合

役員の中で、平の取締役から上級役員になった場合など、地位や職務に重大な変更があった場合も役員報酬を変更できます。

職務内容が変更されれば、報酬も変わるのが当然。そもそも役員報酬を簡単に変えられないのは不正な利益調整を防ぐためなので、こういった変更は問題ないという訳です。

 

(3)会社の経営状況が悪化した場合

会社の経営状況が著しく悪化した場合も、役員報酬を変更できるケースの一つです。経営状況が著しく悪化しているかどうかは誰が判断するかというと、税務署や国税局です。客観的な事情や銀行や取引先などとの関係上、どうしても役員報酬を減額せざるを得ないと判断された場合は、役員報酬の変更が認められます。

 

(4)その他の特別な事情

その他、会社の合併や役員の休職など、特別な理由があれば役員報酬の変更が認められる場合もあります。事情は個々のケースで違うため、疑問があれば顧問税理士や所轄の税務署に問い合わせてみましょう。

 

4.≪事業年度の途中で役員報酬を変更する際の注意点≫

事業年度の途中で役員報酬を変更する場合も、株主総会で決定し議事録を残すという手順は同じです。役員報酬を増額する場合・減額する場合それぞれの注意点を解説していきます。

 

(1)減額したい場合

事業年度の途中で役員報酬を減額する場合、特に税制上不利になるようなことはありません。

ただし、役員報酬の減額は固定制賃金の減額にあたるため、日本年金機構に届出をする必要があります。なお、税務署等への届出は不要です。

 

(2)増額したい場合

繰り返しになりますが、事業年度の途中で増額した分の役員報酬は損金算入ができません。

理由のない役員報酬の増額は、利益操作と見なされる可能性があります。増額すること自体は可能ですが、増額ぶんは損金にならず二重課税となるため注意しましょう。役員報酬の増額は、期首まで時期を待って行うのがおすすめです。

 

5.≪まとめ≫

事業年度中に役員報酬を変更できないのは、あくまで利益調整を防ぐためです。正当な理由がある場合は、きちんと手順を踏めば増額も認められます。

役員報酬の決め方やいつから会社に利益を残していくかというのは、会社の成長戦略の一つでもあります。なるべく変更をしなくて済むよう、法人税や社会保険料を念入りに計算して決定しましょう。

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