東京・大阪経理代行サポートセンターPowered by スタートパートナーズ会計事務所

012-345-6789 受付時間:XX:00~YY:00(平日)

トップへ戻る 経理代行診断 メールで相談 トップへ戻る

カテゴリ:
2019/06/25 交際費は損金算入できる?できない?仕組みを正しく知っておこう

取引先との関係をスムーズにするために何かと嵩む交際費。実は、交際費は上限ありで損金算入できるのです。2014年の税制改正で損金算入できる交際費の枠が大きくなり、節税しやすくなりました。

今回は、そんな交際費の損金算入ルールを解説いたします。

 

 

  1. 交際費の定義とは?

国税庁によると、交際費とは「法人がその得意先・仕入先・その他事業に関係のある者等に対する接待・供応・慰安・贈答・その他これらに類する行為のために支出する費用」と定められています。

わかりやすく言うと、事業に関係のある相手を接待するために使ったお金ということです。例えば、接待や懇親のための飲み会や、お中元・お歳暮などの贈答品の費用が交際費にあたります。

 

  1. 交際費の損金不算入制度の変更点

原則として、交際費は全額損金不算入ということになっています。しかし、「交際費課税の特例措置」という制度があり、現行法では交際費も一定額までは損金に計上することが可能です。

この交際費課税の特例措置は2014年4月に改正されました。改正前・改正後でどのような違いがあるのかを詳しく見ていきましょう。

 

(1)改正前

2014年4月に税制が改正される前は、現行制度よりも少ない金額で交際費の損金算入が認められていました。

時期によって金額が異なりますが、その内容は以下の通りです。

 

・2003年4月1日~2009年3月31日:400万円×当該事業年度の月数÷12×90%

・2009年4月1日~2013年3月31日:600万円×当該事業年度の月数÷12×90%

・2013年4月1日~2014年3月31日:800万円×当該事業年度の月数÷12

 

このように、交際費が損金算入できる枠は数年ごとに見直されています。2013年3月31日までは、交際費の10%は損金算入できませんでしたが、2013年4月の改正で撤廃されました。上限800万円という内容は、現在もそのまま引き継がれています。

 

ただし、これが適用されていたのは資本金1億円以下の中小企業の場合です。2014年の改正前には、資本金1億円以上の大企業は交際費を損金に算入することは認められていませんでした。

 

(2)改正後

2014年の改正後には、それ以前よりも損金算入できる交際費の金額が大きくなりました。中小企業は「上限800万円」という以前の内容に加え、「上限なく、交際費(飲食費)の半額を損金算入できる」という条件も選択できるようになっています。

 

また、資本金1億円以上の大企業にも交際費の損金算入が認められるようになったのは大きな変化です。その詳しい内容については、後の項目で解説します。

 

  1. 交際費課税の特例措置が2年延長

2018年の税制改正で、交際費課税の特例措置は2020年3月31日まで延長されることになりました。ここでは、その理由や現行の交際費の損金算入について、詳しい内容を解説していきます。

 

(1)なぜ適用期間が延長になったのか?

「交際費課税の特例措置」が延長されたのは、消費を増やして日本の経済活動を活性化させるためです。厚生労働省などの要望によりこの延長は実現されましたが、その理由として以下の2点が挙げられています。

 

・飲食店などでの接待を促し、法人企業の収益機会を増やすこと。

・より多くの飲食店を利用することにより、消費の喚起を促すこと。

 

内容としてはほとんど同じですが、つまり「接待で積極的に飲食店等を利用し、消費を促進させよう」ということですね。「従業員は経費で飲食ができる」「企業側は節税になる」「飲食店は収益を上げられる」という、誰にとってもメリットの多い措置なのです。

 

(2)中小企業(資本金1億円以下)

2014年の「交際費課税の特例措置」改正後、資本金1億円以下の中小企業は以下の条件で交際費を損金算入できるようになりました。

 

①上限800万円まで、交際費全額を損金算入できる

②上限なく、交際費(飲食費)の半額を損金算入できる

 

中小企業はこのどちらかを選択して交際費を損金算入します。つまり、交際費の合計が800万円以下の場合は①を、接待飲食費の合計が1,600万円以上の場合は②を選んだ方が有利ということになりますね。

 

(3)大企業(資本金1億円以上)

資本金1億円以上の大企業の場合は、中小企業の②と同じ「上限なく、交際費(飲食費)の半額を損金算入できる」が適用されます。そのため、2014年4月1日〜2020年3月31日の期間に大企業が損金算入できる交際費の額は、単純に「接待飲食費×50%」という計算になります。

 

(3)個人事業主・フリーランス

個人事業主の場合は、法人とは違って交際費の上限が定められていません。そのため、個人事業主は金額に関係なく全額を損金算入できるということになります。

 

  1. 交際費にあたるのは何?

それでは、具体的にどのような出費が交際費にあたるのかを見ていきましょう。一見交際費のように思えても、実はルールに照らすとそうではないというケースもあるため、注意が必要です。

 

(1)分かりやすい交際費の例一覧

先にも解説しましたが、交際費とは取引先などを接待するためにかかったお金のことです。飲食代などの接待で直接かかる費用だけではなく、タクシー代などの間接的な費用も上限800万円までなら損金算入することができます。

 

飲食費については次の項目で解説しますが、飲食費以外で交際費に認められる例には以下のようなものがあります。

 

・ゴルフ、旅行、観劇など慰安費

・お中元、お歳暮など贈答品費

・香典、結婚祝いなど慶弔に関する出費

・開店祝いなどの花代

・取引先訪問の際の手土産

 

(2)飲食費

交際費のうち、飲食費とはその名の通り取引先などを接待するための飲食にかかったお金のことを指します。具体的には以下のものが飲食費に含まれます。

 

・自社の従業員が、取引先社員などを接待して飲食するための代金

・飲食のために発生する、テーブルチャージ代やサービス料、会場費

・飲食後に、飲食店等で貰うお土産代

・取引先の業務やイベントに弁当等の差入れを行うための弁当代など

・親会社やグループ内法人の役員等に対して接待するための飲食代

 

このうちのどれかかつ5000円以上のものが飲食費として損金算入できます。

では、5000円以下の場合はどうなるかというと、これは会議費にあたります。会議費の詳細については、次の項目で解説します。

 

(3)会議費

会議費とは「会議に関連してかかった費用」のことです。具体的には、以下のようなもののことです。

 

・会議のために借りた会場費

・会議に使用した資料代

・会議に際して出した弁当・お茶・茶菓子代

 

また、先に触れたように、取引先との飲食代も5000円以下であれば会議費として計上できます。なぜなら、取引先と飲食をする場合は仕事の話が出るのは自然なことであって、会議と飲食費の区別が難しいためです。そのため、5000円以上は飲食費・5000円以下は会議費と定められているのです。

なお、会議費には損金算入の上限がないため積極的に利用すると良いでしょう。

 

(4)広告宣伝費

通常の贈答品は交際費になりますが、その品物が社名入りのタオルやカレンダーといった会社のグッズなら、広告宣伝費として損金算入できます。不特定多数に向けて会社をアピールするために作ったものなら、広告宣伝目的とすることができるのです。一見交際費のようでも、広告宣伝費として損金算入できる場合はこちらを優先するようにしましょう。

 

  1. ≪まとめ≫

交際費の損金算入は、経済を活性化させるために枠がどんどん大きくなっています。損金算入の上限がない会議費や広告宣伝費も活用すれば、大きな利益調整ができますよ。

税制で損をしないためにも、損金算入のルールはきちんと知っておきましょう。

カテゴリ:
2019/06/18 役員報酬を変更するには?覚えておきたいポイントまとめ

法人税や社会保険料の節税のためには、役員報酬は注意深く決定する必要があります。そんな役員報酬を変更したい場合、どのようにすればいいかはご存知ですか?

実は、役員報酬を変更できる時期や手順は、厳密に決められているのです。

ここでは、役員報酬はいつからいつまで変更できるのか、時期を逃した場合の注意点など、詳しく解説していきます。

 

 

1.≪役員報酬の変更は「事業年度開始日から3か月以内」≫

役員報酬はいつからいつまで変更できるのかというと、会社設立時または事業年度のはじめから3ヶ月以内です。この期間中に一度のみ変更することができます。

原則として、事業年度中に理由なく役員報酬を変更することはありません。役員報酬を頻繁に変更できないのは、節税が目的の利益操作を防ぐためです。

 

しかし、業績などの理由で、どうしても役員報酬を変更しなければいけないという場面もあるでしょう。そういった場合、どのような手続きをして役員報酬を変更すればいいのかを解説していきます。

 

2.≪役員報酬の変更手続きの手順≫

それでは、具体的に役員報酬を変更するための手順を見ていきましょう。役員報酬を変更できる時期や手続き方法、いつから変更ができなくなるかなどを解説いたします。

 

(1)税法上の役員報酬の規定とは?

役員報酬とは、その名の通り会社の取締役会を形成する役員に支払われる報酬です。一般的には、株主総会で役員報酬の総額を決め、取締役会か代表取締役が役員それぞれの報酬額を決めます。

 

税務上、役員報酬には以下の3つのルールがあります。

 

・定期同額給与

・事前確定届出給与

・利益連動給与

 

前提として、一度決定すると、役員報酬は事業年度の期首から終わりまでずっと一定額を支払わなければなりません。先ほども少し触れましたが、これは不正な利益操作を防ぐためで、「定期同額給与」と言います。期首からずっと同額の報酬を支払っているので、恣意的な利益操作はできなくなります。

 

また、役員に賞与を出す場合には、あらかじめ税務署に給与額を届け出る必要があります。これを「事前確定届出給与 」といい、賞与で利益操作をすることを防ぎます。

 

最後の「利益連動給与 」は有価証券報告書から算出されるものなので、通常は上場会社のみしか用いることはありません。

 

これらの規定に当てはまる役員報酬は、税務上で「損金」に計上することができます。

 

(2)年度開始時に変更する場合

役員報酬は事業年度の期首から変更するのがスムーズです。役員報酬を変更する際は、期首から3ヶ月以内に株主総会などで役員報酬の変更を決定し、議事録に残して保管します。合同会社の場合は、同意書などを作成して議事録同様保管しておきましょう。

議事録などの証拠を残しておかないと、税務調査の際に不正とされて追徴課税が必要になってしまうことも。また、この議事録は社会保険料を変更する際に提出を求められる場合もあります。

 

(3)年度の途中で役員報酬を変更するには

年度の途中で役員報酬を変更することは、特段の理由がない限り認められていません。特に、期首から4ヶ月以上すぎた後に増額された金額は損金算入ができません。損金に算入できないと、法人税と所得税が二重課税されることになってしまいます。

 

損金にならなくても構わないなら、期首での変更と同じく株主総会で決定し、議事録を残せば変更自体は可能です。ただし、税金の二重払いとなり結果的に損をするので、どうしても必要な時以外には増額はしないほうがいいでしょう。

 

(4)役員報酬はいくらに設定すればよい?

先に解説した通り、役員報酬は株主総会が、役員一人ひとりの報酬は取締役会や代表取締役が決めます。

とは言え、中小企業の場合、社長本人が大株主という場合が大半です。役員の仕事に対する適正な給与というよりは、節税の観点で役員報酬を決めることが多くなっています。

 

数年前までは、社会保険への加入督促が厳しくなかったため、社会保険に加入しない場合は法人の利益がゼロになるように役員報酬を定めるのが税制上有利でした。しかし、社会保険料を考慮に入れると、法人に利益を残し、社会保険料を抑えた方が節税になるケースが多いです。

給与と同じく、役員報酬にも社会保険料はかかるため、個人負担・法人負担両方の社会保険料を考えて役員報酬を決めなければなりません。

 

社会保険料を考慮した場合、以下の金額でもっとも節税することができます。

 

・法人利益 〜500万円の場合:役員報酬 0円

・法人利益 1,000万円の場合:役員報酬 200万円

・法人利益 2,000万円の場合:役員報酬 500万円

・法人利益 3,000万円〜の場合:役員報酬 500万円

 

ある程度会社の規模が大きくなると、役員の手取りを多くするだけではなく、会社にお金を残して成長させることも大切です。具体的には、正社員を雇いだすくらいの時期からは、会社の成長も視野に入れて役員報酬を決定しましょう。

 

3.≪年度の途中で役員報酬を変更できるケースとは?≫

例外として、期首以外の時期に役員報酬を変更できる場合もあります。それはどんな理由なのか、ケース別に解説していきます。

 

(1)就任又は退任する場合

新たに役員が就任したり、すでにいる役員が退任したりする場合、役員報酬を変更することができます。

取締役会に加わったり退任したりする時期は期首ではなくても問題ありません。事業年度中に役員になれば当然年の途中から報酬が支払われますし、途中で退任した場合は以降の報酬は無くなります。このようなケースでは、「臨時改定事由」として役員報酬の変更が認められます。

 

(2)役職や職務内容に変更がある場合

役員の中で、平の取締役から上級役員になった場合など、地位や職務に重大な変更があった場合も役員報酬を変更できます。

職務内容が変更されれば、報酬も変わるのが当然。そもそも役員報酬を簡単に変えられないのは不正な利益調整を防ぐためなので、こういった変更は問題ないという訳です。

 

(3)会社の経営状況が悪化した場合

会社の経営状況が著しく悪化した場合も、役員報酬を変更できるケースの一つです。経営状況が著しく悪化しているかどうかは誰が判断するかというと、税務署や国税局です。客観的な事情や銀行や取引先などとの関係上、どうしても役員報酬を減額せざるを得ないと判断された場合は、役員報酬の変更が認められます。

 

(4)その他の特別な事情

その他、会社の合併や役員の休職など、特別な理由があれば役員報酬の変更が認められる場合もあります。事情は個々のケースで違うため、疑問があれば顧問税理士や所轄の税務署に問い合わせてみましょう。

 

4.≪事業年度の途中で役員報酬を変更する際の注意点≫

事業年度の途中で役員報酬を変更する場合も、株主総会で決定し議事録を残すという手順は同じです。役員報酬を増額する場合・減額する場合それぞれの注意点を解説していきます。

 

(1)減額したい場合

事業年度の途中で役員報酬を減額する場合、特に税制上不利になるようなことはありません。

ただし、役員報酬の減額は固定制賃金の減額にあたるため、日本年金機構に届出をする必要があります。なお、税務署等への届出は不要です。

 

(2)増額したい場合

繰り返しになりますが、事業年度の途中で増額した分の役員報酬は損金算入ができません。

理由のない役員報酬の増額は、利益操作と見なされる可能性があります。増額すること自体は可能ですが、増額ぶんは損金にならず二重課税となるため注意しましょう。役員報酬の増額は、期首まで時期を待って行うのがおすすめです。

 

5.≪まとめ≫

事業年度中に役員報酬を変更できないのは、あくまで利益調整を防ぐためです。正当な理由がある場合は、きちんと手順を踏めば増額も認められます。

役員報酬の決め方やいつから会社に利益を残していくかというのは、会社の成長戦略の一つでもあります。なるべく変更をしなくて済むよう、法人税や社会保険料を念入りに計算して決定しましょう。

カテゴリ:
2019/06/11 雇用調整助成金で従業員を守ろう!条件・手続きについて解説

不況により業績が悪化した時に利用できる「雇用調整助成金」。事業の縮小により従業員を減らさざるを得ないとき、解雇ではなく休業・教育訓練・出向という形で雇用を継続させると受給することができます。

今回はそんな雇用調整助成金についてご紹介いたします。万が一の時に会社と従業員を守るためにも、ぜひ知っておきましょう。

1.≪雇用調整助成金とは?≫
雇用調整助成金とは、業績が悪化し事業を縮小せざるを得なくなったとき、従業員の雇用を調整することができる助成金のことです。
一時的な業績悪化の場合、従業員を解雇してしまうと企業と従業員どちらにとってもデメリットが大きくなります。そこで、解雇ではなく雇用形態を休業・教育訓練・出向のいずれかに調整することで受給できるのが雇用調整助成金です。この期間の一部を助成してくれるため、会社と従業員を両方守ることができます。

近年、雇用調整助成金の申請件数は減少傾向にあります。しかし、たとえ経営状態が万全でも、事故や災害などで思わぬ損害を受けてしまうこともあるでしょう。雇用調整助成金はそんなときにも特例で支給されることがあるため、全くの無関係な企業はほとんどないと言えます。
万が一のとき、解雇という選択肢を取ってしまわないために、ぜひ雇用調整助成金の制度を知っておきましょう。

(1)支給の対象となるのは?
雇用調整助成金は雇用保険の適用事業所が対象となります。なお、対象となる従業員は、6ヶ月以上継続雇用されている雇用保険被保険者です。

(2)支給の条件とは?
雇用調整助成金が支給されるには、以下の業績不振の条件を満たす必要があります。

・直近3か月の生産量・売上高等の生産指標が、前年同期と比べて10%以上減少していること
・雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者数の最近3か月間の月平均値の雇用指数が、前年同期と比べ一定数以上(*)増加していないこと
・実施する休業等および出向が労使協定に基づくものであること。(計画届とともに協定書の提出が必要)
・過去に雇用調整助成金又は中小企業緊急雇用安定助成金の支給を受けたことのある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の翌日から起算して一年を超えていること。
*大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上

なお、事故や災害の被害によって業績が悪化した場合は、基本的には対象外となります。しかし、熊本地震発生時や2018年7月の西日本豪雨の際には、特例として支給が認められました。
事故・災害等の特例は支給条件・支給額ともに異なるため、詳しくは厚生労働省のHPなどを確認しましょう。

(3)支給される期間
雇用調整助成金が支給されるのは、雇用主が指定した1年間です。引き続き申請することはできませんが、休止期間(支給終了後1年)が明ければ再度申請することができます。

(4)受け取れる金額
雇用調整助成金で受け取れる金額は、中小企業の場合は従業員の雇用継続にかかる費用の2/3、大企業の場合は1/2です。
ただし、どちらの場合も1日1人あたり7,810円が雇用調整助成金支給額の上限です。この上限額はその時の物価などによって変動するため、申請の際に確認するようにしましょう。

・休業の場合:休業手当の2/3(1/2)
・教育訓練期間の場合:賃金負担額の2/3(1/2)+1,200円
・出向の場合:負担額の2/3(1/2)

この金額を、休業・教育訓練の場合は1年で最大100日分、休止後に再度申請する場合は3年で150日分受け取れます。出向の場合は、最長1年分です。

(5)不正受給が多い理由
2013年から2015年までに支給された657億円の雇用調整助成金のうち、不正受給されたのは54億円。全体の申請件数の10%弱が不正受給という状況です。

これは、実際に休業したかどうかの確認が難しいためです。
雇用調整助成金の申請書には勤怠記録の添付も必要ですが、カレンダー形式の書類に「休業」と書くだけ申請が通ってしまいます。また、従業員に休業手当が支給されたかどうかという書類も添付しますが、これも実態とは違う書類が提出される可能性があります。
つまり、実際は通常通り操業している、従業員に助成金が分配されないといった状況でも、雇用調整助成金の申請書は通ってしまうのです。

申請件数が多いため、不正受給が多くても全てをチェックするのは難しい状況にあります。ただし、ランダムに抜き打ちチェックが行われており、もし不正受給が発覚した場合は助成金を全額返還することになっています。また、不正受給が発覚した事業所は、各都道府県の労働局から事業所名が公表され、会社の信用を落としてしまいます。
制度は会社と従業員を守るためだけに正しく使いましょう。

2.≪雇用調整の方法と手続き≫
雇用調整は労働組合または従業員の過半数を代表する者との間で、「休業等協定書」を締結して実施します。
休業・出向・教育訓練とは、以下の基準に沿ったもののことを指します。

(1)休業
・所定労働日の全一日にわたる、もしくは所定労働時間内に対象従業員が一斉に1時間以上行うこと(シフト制は除く)
・判定基礎期間における対象従業員の休業等の実施の延日数が所定労働延日数の1/20以上(大企業は1/15以上)
・休業手当の支払が平均賃金の6割以上であること

(2)出向
・出向従業員の同意を得ていること
・賃金の一部を負担していること
・出向前とおおむね同額の賃金が出向従業員に支払われるもの
・終了後6ヶ月以内に同じ従業員を出向させないこと

(3)教育訓練
・休業期間を利用して従業員の能力を向上させる教育・訓練・講習等を行うこと
・訓練や講習は所定労働日の所定労働時間内に実施すること

ただし、対象となるのは職業に関する知識・技術・技能を会得・向上するための関する講習のみです。語学などの一般的な講習や業務に関することであっても、通常時と同様に行なっている教育プログラムには適用されません。
また、受講者は受講日には業務を行うことはできず、受講後にレポートを提出する必要があります。

(4)手続きの流れ
雇用調整助成金の申請書は、開始の2週間前を目処に管轄の労働局かハローワークに提出する必要があります。申請に必要な書類は以下の通りです。

・雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
・雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書
・雇用調整助成金休業等実施計画届
・登記事項証明書
・月次損益計算書
・従業員名簿

そして、休業・教育訓練・出向のそれぞれの場合で、以下の書類が追加で必要となります。

休業
・休業協定書

教育訓練
・教育訓練協定書
・教育訓練の状況を示す就業規則等
・教育訓練計画一覧表

出向
・雇用調整助成金出向実施計画届
・出向協定書
・出向契約書

休業・教育訓練の場合、判定基礎期間を1~3ヶ月の間で定め、期間ごとに休業等実施計画書を提出します。助成金の申請書も判定期間終了後2ヶ月以内に提出しましょう。
出向の場合は、6ヶ月ごとに申請を行います。続けて申請をする場合は6ヶ月経過後の2ヶ月以内に手続きが必要です。

3.≪雇用調整助成金の申請書はどこでダウンロードできる?≫

雇用調整助成金の申請書は、厚生労働省のホームページでダウンロードできます。以下のURLからダウンロードできますので、必要なものを用意して提出しましょう。

厚生労働省HP「雇用調整助成金の様式ダウンロード」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080400.html

4.≪まとめ≫
雇用調整助成金は経営状態が厳しい会社や、その従業員にとってとても有効です。
申請件数が多く不正受給も多いという一面もありますが、発覚した場合には全額返還となります。制度は正しく利用して、不況の時も会社と従業員を守れるように努めましょう。

カテゴリ:
2019/06/04 フリーランスが支払わなければならない税金と納付時期まとめ|節税方法もチェック!

源泉徴収されないフリーランスの方は、自分で支払うべき税金を計算して申告しなければなりません。フリーになったばかりで、どんな税金をどのくらい払えばいいかわからないという方もおられるのではないでしょうか。

 

今回はフリーランスの方が支払うべき税金と、その計算方法をご紹介します。節税に役立つ情報もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

  1. ≪フリーランスの人が納める税金は?≫

フリーランス1年生の中には、どんな税金をどのくらい納めればいいかわからないという方もいるでしょう。

フリーランスの人が納める税金・保険料は以下の6つです。

 

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 個人事業税
  • 消費税

 

税務上、フリーランスの収入は事業所得にあたります。年間の所得が38万円を超えると所得税が発生し、確定申告が必要となります。その所得税の確定申告に基づき、住民税の納入額が計算されます。

フリーランスの仕事のみで生計を立てている人は、所得税と住民税はほぼ支払わなければならない税金となります。

 

また、フリーランスはサラリーマンのように会社加入の保険に入っていないため、個人として国民健康保険と国民年金に加入します。「税」という名称ではありませんが、これもフリーランスの人が支払わなければならないお金です。

 

そして、個人事業税・消費税は一定の所得や売り上げを超える人のみに課せられる種類の税金のため、フリーランスだから絶対に支払わなければならないという訳ではありません。とはいえ、今は対象ではないという方も、将来売り上げが上がった時のために課税の仕組みを知っておいたほうがいいでしょう。

 

  1. 所得税

先ほど少し触れましたが、所得税は年間の所得が38万円を超える場合に支払う税金です。この金額を超えると、確定申告をして所得税を納める必要が出てきます。

 

(1)収入と所得はどう違う?

税務の計算をする上では、「収入」と「所得」は異なります。

収入とは「売り上げ」のことで、フリーランスの仕事で実際に受け取った金額が全て収入となります。一方所得は、その収入から必要な経費を除いた金額のことを指します。

経費とは、仕事をする事務所の家賃や仕事に必要なパソコン、製造業なら材料の原価、仕事をするためにかかる交通費などです。

節税をするためには、この経費をなるべく多く計上して所得を減らすのがポイントです。

 

(2)所得税の計算方法

所得税は、

 

所得税額=課税所得金額×適用税率-控除額

課税所得金額=事業収入-必要経費-基礎控除(38万円)

 

という式で計算して求められます。

 

適用税率は所得が大きくなるほど大きくなります。控除も様々な種類・段階があり、0〜479万6,000円と幅広いです。そのため、フリーランスの所得税がどのくらいかというのは一概には言えませんが、課税所得が200万円で5〜9万円、300万円で10〜17万円、400万円で20〜30万円くらいが目安です。

 

(3)所得税の節税となる控除

フリーランスが課税所得金額を減らして所得税を節税するためのポイントとしては、先ほど紹介した経費をなるべく多く計上することに加え、控除を効果的に利用することが挙げられます。

 

フリーランスならではの控除には、「小規模企業共済等掛金控除」があります。これは自営業者のための退職金積立制度のようなもので、フリーランスの仕事を廃業した時に掛け金に一定の利率を上乗せした金額を受け取れます。

支払った掛け金全額が控除金額となるため、フリーランスの方はぜひ利用したい制度です。

 

また、青色申告者の特典として与えられる「青色申告控除」もフリーランスならでは。最大65万円の大幅控除なので、可能なら青色申告を目指すのがおすすめです。

 

その他にも控除にはたくさんの種類があるため、自分が該当するものを把握しておきましょう。

 

  1. ≪その他納めなければいけない税金など≫

その他、フリーランスの人が納める税金について、納付方法や金額の目安をそれぞれの項目で解説していきます。

 

(1)住民税

住民税は所得税の確定申告を元に計算されるため、特に申告は必要ありません。金額は「所得割(一律10%)+均等割(世帯割)」という式で求めます。

年間の所得が一定以下の場合は減額や免除という措置もありますが、その基準は自治体によって異なります。目安としては、所得200万円で10〜17万円、所得300万円で20〜27万円、所得400万円で30〜37万円ほどです。課税所得の10%が住民税の概算額になるということもお聞きになったことがあるかもしれません。

 

(2)個人事業税

個人事業税は公共サービスの財源で、事業を行なっている都道府県に納めます。所得が290万円を超えた時に3〜5%の割合で課されます。税率は業種により異なるため、自分の事業の課税割合を知っておきましょう。

特に申告の必要はなく、確定申告を元に納付が必要かどうか判定されて、自動的に納付書が送られてきます。金額の目安は、所得290万円の場合9〜15万円ほどです。

 

(3)固定資産税

固定資産税とは、土地や家屋といった固定資産を持っている人が納めなければならない税金です。その不動産を事業所に使っているのであれば、固定資産税を経費として計上できます。

税額は「固定資産の評価額×1.4%」という式で求めます。例えば評価額3,000万円の不動産を持っていた場合、42万円が目安です。

 

(4)消費税

消費税は2年前の課税売上高が1,000万円以上の場合に課税されます。

計算方法には本則課税と簡易課税の2種類がありますが、本則課税がベーシックです。「消費税 = 売上の消費税-経費の消費税」という式で計算します。

 

(5)国民健康保険・国民年金

国民健康保険の金額や納付方法は都道府県によって異なります。

基本的には世帯割に加算されるため、住民税より高額になるケースが多いです。年ごとに一括、または半期ごとに各市区町村に納め、その金額が確定申告の時に控除されます。

 

国民年金はフリーランスの場合「第1号被保険者」となります。金額は一定の保険料額に保険料改定率(前年度の物価・賃金変動率などを考慮したもの)を掛けて計算します。

支払いは月々で、滞納するとのちに受け取れる年金の額に影響が出るため注意しましょう。

 

(6)フリーランスの税金支払額【計算例】

それでは、具体的にフリーランスの税金支払い額を計算してみましょう。今回は売り上げ600万円・経費150万円という人を例としてみます。

 

事業収入600万円-経費150万円–基礎控除38万円=412万円

 

上記の式で、まずこの人の課税所得金額が412万円ということが割り出せます。全ての税金は、この課税所得金額をベースに計算していきます。

 

そのため、所得税は

 

412万円×適用税率20%-控除額42万7,500円=39万6,500円

 

という計算で39万6,500円となります。

 

住民税や国民健康保険料は、自治体によって異なります。フリーランスで所得400万円であれば、全ての税金を合わせた額は概算で80〜100万円ほどになります。

 

  1. ≪フリーランスの税金対策3選≫

フリーランスの方が税金を節約するには、確定申告の時に対策をとる必要があります。知っているのと知らないのとでは控除額が大きく変わってくることもあるため、しっかりと把握しておきましょう。

 

(1)確定申告時にしっかり経費を申請する

まず、経費をなるべく多く計上して課税所得を減らすのがもっとも大事です。自宅で仕事をしているなら家賃の一部も経費にできますし、交際費や自家用車、私服の購入費用なども工夫次第で経費に計上できます。

あまりにも度がすぎると差し戻しされてしまう可能性もありますが、できる限り経費はしっかりと申請しましょう。

 

(2)控除の手続きを行う

控除額も、工夫次第で大幅に増える場合があります。例えば、フリーランスの仕事で家族を養っている場合、家族の働き方が少し変わるだけで扶養家族にできることもあります。

また、先ほど紹介した小規模企業共済等掛金控除は節税になる上、退職金の積み立てもできる嬉しい制度です。他にも資産運用に興味のある方はイデコ、従業員さんがいらっしゃる個人事業主の方は「旅費規定」を作成して日当を支給すれば節税になります。

こういった制度を見逃さず控除の手続きを行っておくことで、課税所得を減額することができます。

 

(3)節税が期待できる保険や年金に加入する

生命保険や個人年金は支払額によって控除額の割合が異なります。控除を受けて節税ができれば、その分保険料に利息がついたのと同じことになるので積極的に加入しましょう。

また、フリーランスでかつ不安定な業種の場合、年金や保険は万が一の時に役立つというメリットもあります。

 

  1. ≪経費にできる税金と経費にできない税金≫

税金を経費に計上できれば、かなりの節税効果が見込めます。ここでは、フリーランスが経費にできる税金とできない税金をまとめました。

 

(1)経費にできない税金

基本的には、税金は経費にできないと思っておきましょう。所得税や住民税、フリーランスの仕事に使っていない自宅の固定資産税など、ほとんどの税金は経費にできません。

 

(2)経費にできる税金

例外的に、個人事業税は経費に計上することができます。その名の通り事業にかかる税金のため、事業をしていなければ払う必要がないということで経費にできるのです。

 

また、売り上げにかかる消費税も税込経理をしていれば経費に計上することが可能です。

さらに、自宅で仕事をしている場合は、その仕事場にあたる部分の固定資産税も経費として認められます。仕事場として使っている面積の割合を算出し、その割合を固定資産税額にかけて算出します。

 

  1. まとめ

フリーランスの方にかかってくる税金や保険料について概略を解説してきました。フリーランスは、サラリーマンのように源泉徴収されない分、売り上げから支払う様々な税金があります。

滞納は信用問題にも繋がりますので、必ず正しく申告し、納税を行うようにしましょう。経費や控除を利用して、不正のない範囲で節税するのもフリーランスとして大切な知恵です。

カテゴリ:
2019/05/20 会社設立に必要な費用とは?なぜ必要?

 

自分で会社を設立する時、まず心配なのが費用のこと。

今回は、株式会社設立・合同会社設立にかかる費用を、項目ごとにご紹介します。会社設立にまつわる手続きを自分で行なった場合・行政書士に依頼した場合それぞれについて解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。会社設立の費用を経費として計上するときの方法やその科目についても解説します。

 

1.≪会社設立の費用っていくら?≫

会社設立の費用は、株式会社か合同会社かによって異なります。

株式会社と合同会社の違いは、大まかにいうと株式を公開できるかどうか。株式を持つ株主がいるかどうかで、資金調達や会社の意思決定の面で違いがあります。

会社設立の費用においては、株式会社と合同会社では登記費用や登録免許税の額が異なります。それぞれの会社設立にかかる費用について、詳しく見ていきましょう。

 

2.≪会社設立に必要な費用|株式会社≫

まず、株式会社設立に必要な費用について見ていきましょう。株式会社設立には、「登記」という手続きが必要になり、費用も大部分は登記に関わるものとなっています。

 

(1)株式会社設立に必要な法定費用

株式会社設立にかかる費用は、242,000円です。これは、資本金や開業のための設備投資、行政書士への報酬などは含まず、株式会社を登記するための法定費用です。

 

金額の内訳は、以下のようになります。

 

  • 定款の認証手数料:50,000円
  • 定款の謄本手数料:2,000円
  • 定款に貼る収入印紙代:40,000円
  • 設立にかかる登録免許税:150,000円

 

「定款に貼る収入印紙代」の40,000円は、電子定款を選択すれば不要となります。しかし、電子定款の作成には専用の機器が必要で、行政書士への依頼が必要になるため、依頼をせず自分で株式会社設立をする場合には24万2,000円の実費がかかります。

 

また、「設立にかかる登録免許税」150,000円に関しては、資本金の0.7%が150,000円を超えている場合には不要です。ということは、資本金が2,140万円以上ある場合には「設立にかかる登録免許税」は不要ということになります。

 

(2)株式会社設立に必要な雑費

会社設立のために必要な費用には、上で解説した法定費用の他に以下のものがあります。

 

  • 設立する会社の実印作成費:5,000円程度
  • 設立時に必要な個人の印鑑証明取得費:300円×必要枚数
  • 新しい会社の登記簿謄本の発行費:500円×必要枚数

 

これらの費用が合わせて10,000円程度となるため、株式会社設立には25万円ほどかかるという認識を持っていればいいでしょう。

 

(3)株式会社設立を行政書士に依頼する場合

上でご紹介した金額は会社設立の手続きを全て自分で行なった場合のため、行政書士などの専門家に依頼した場合には別途代行手数料がかかります。代行手数料の相場は、50,000〜90,000円ほどです。

 

行政書士に依頼した場合には、電子定款での手続きとなるため収入印紙の40,000円が不要となります。そのため、行政書士に株式会社設立を依頼した場合、260,000〜300,000円ほどが費用としてかかると考えておきましょう。

 

3.≪会社設立に必要な費用|合同会社≫

次に、合同会社を設立する場合の費用をご紹介します。合同会社の設立は、株式会社に比べて費用を抑えられ、手続きもシンプルです。

 

(1)合同会社設立に必要な法定費用

合同会社設立の費用は、100,000万円です。こちらも、資本金や行政書士への報酬を除いた法定費用の実費となります。

費用の内訳は、以下の通りです。

 

・定款に貼る収入印紙代:40,000円

・設立にかかる登録免許税:60,000円

 

株式会社設立と同じく、「定款に貼る収入印紙代」40,000円は、電子定款を選択した場合はかかりません。また、「設立にかかる登録免許税」60,000円は、資本金の0.7%が60,000円以上なら不要となるため、資本金が857万円以上あれば必要ありません。

 

(2)合同会社設立に必要な雑費

合同会社設立にも、株式会社設立と同じく以下の雑費がかかります。

 

  • 新しく設立する会社の実印作成代:5,000円程度
  • 設立時に必要な個人の印鑑証明取得費:300円×必要枚数
  • 新しい会社の登記簿謄本の発行費:500円×必要枚数

 

これらの合計は約10,000円のため、合同会社設立には約110,000円かかると思っておきましょう。

 

(3)合同会社設立を行政書士に依頼する場合

合同会社設立の代行を行政書士に依頼した場合、代行手数料の相場は40,000〜80,000円ほどです。その場合は電子定款となり収入印紙代が不要となるため、合同会社設立を行政書士に依頼した場合の費用は110,000円〜150,000円ほどとなります。

 

4.≪会社設立のコストを削減する方法≫

 

会社設立には一定の費用がかかりますが、できることなら安く済ませたいものです。コストを抑えて会社設立する方法はあるのでしょうか。

 

(1)資本金を多く用意する

会社設立にかかる費用は、ほとんど法定費用といって必ずかかる費用です。そのため、大幅にコストを削減するのは難しいですが、一つ目の方法として、まず資本金を多めに用意するということがあります。先にも触れましたが、「設立にかかる登録免許税」は資本金が株式会社で2,140万円、合同会社で857万円以上ある場合には必要ありません。それぞれ15万円・6万円の費用が削減できますので、可能なら資本金を多く用意すると会社設立の費用が大幅カットできます。

ただし、資本金が1,000万円を超えてしまうと税制の優遇が受けられなくなり、削減したコスト以上に損をしてしまうこともあるため注意しましょう。

 

(2)行政書士に依頼する

行政書士に依頼して、電子定款を利用すれば「定款に貼る収入印紙代」4万円を節約することができます。もちろん行政書士への報酬が別途かかりますが、会計事務所によっては会社設立後の顧問契約を条件に会社設立代行を無料で行なってくれる場合も。さらに、行政書士は会社設立にあたってのアドバイスも行なってくれるので、初めて会社設立する方には心強い存在です。4万円のコストを削減しつつ専門家のサポートも受けられるので、会社設立には行政書士の手を借りるのがおすすめです。

 

(3)合同会社を設立する

会社設立費用を大幅に削減する方法としては、株式会社ではなく合同会社を設立するという手もあります。

先に解説した通り、株式会社の設立費用は約25万円、合同会社の設立費用は約10万円と、15万円ほどの差があります。合同会社は株式を発行できないため資金調達が難しいですが、株主がいない分会社の意思決定がスムーズというメリットもあります。

会社設立の手続きも合同会社の方がシンプルなので、とにかく費用と手間を削減して会社を設立したいという方は合同会社という方法もあることを覚えておきましょう。

 

5.≪会社設立費用を自分で立替えた場合は?≫

会社設立のためにかかった費用は、もちろん会社設立後に経費として計上します。会社設立費用を経費として計上するときは、全ての費用を会社の設立日に発生したものとして総勘定元帳に記入します。

 

経費として計上する方法は複数ありますが、社長が会社設立費用を全て立替えた場合、貸方に「役員借入金」「短期借入金」「未払金」「仮受金」などの科目を用いて記入しましょう。

または、会社の設立日に現金で清算したことにして、現金出納帳に記載することもできます。この場合の科目は「創立費」「開業費」などを用います。

ちなみに、会社設立までにかかった費用は法定費用だけではなく、法務局の駐車場代や定款のコピー代、行政書士と打ち合わせに使ったカフェ代など、細かな経費まで「創立費」の科目で計上できます。これらの「創立費」の科目は、決算時に全額を償却するか、5年で償却する処理をします。

 

6.≪まとめ≫

会社設立の費用は、株式会社か合同会社か、自分で手続きを行うかなどによって変わってきます。

損してしまうことのないよう、ご紹介した情報をしっかり理解しておいてくださいね。

カテゴリ:
2018/12/18 経営者必見!法人の節税対策におすすめの方法10選

法人の経営者にとって、常に大きな悩みとなる節税。同じ経費・同じ利益額なら、裏ワザを使ってでも少しでも節税したいというのが本音ですよね。

今回は、法人の節税対策におすすめの方法をご紹介していきます。

 

1. ≪法人の節税対策とは?≫

法人の節税対策とは、税制上のシステムを活用して少しでも払う税金を減らすことです。利益額を実際より低く申告するなど、違法な方法で不正に税金を減らす「脱税」とは根本的に違います。

節税は、国が定めた制度を正当に活用するだけなので、決して悪いことではありません。

法律の範囲内で節税の方法や裏ワザを知っているかどうかで、納めるべき税金の額が大きく異なる場合もあります。

 

法人の節税については、基本的に普段お世話になっている税理士の先生に相談するのが一番です。

税理士は税制のプロなので、その知識量は一般人の比ではありません。一般人は思いもつかないような裏ワザも、税理士にとっては当然のことだったりもします。

知識がある人が得をするのが税金の世界ですので、節税を後ろめたいことだとは思わずに積極的に税理士に相談してみましょう。

 

  1. ≪法人の節税の種類≫

法人の節税の種類には、大きく分けて2種類あります。

お金を使わない節税と、お金を使う節税です。

 

前者のお金を使わない節税は王道的な方法で、主に経費の計上のしかたを工夫することで節税できるテクニックです。

 

後者については、なるべくお金を手元に残すために節税するのに、お金を使ってしまっては本末転倒だと思う方も多いでしょう。お金を使う節税というのは税金を払うという意味ではなく、社内の設備を充実させたり社員の福利厚生を厚くしたりと、賢くお金を使うことで節税するという方法です。

お金を使う節税の中でも、使う目的により、将来のためになる「投資型節税」・法人を守るための「保守的節税」・自身や従業員へのご褒美になる「消費的節税」などがあります。

 

  1. ≪法人の節税におすすめの方法10選≫

法人におすすめの節税の裏ワザを、10個ご紹介していきます。

 

(1)役員報酬を工夫する

経営者の中には、役員報酬をずっと変えていなかったり、なんとなく金額を決めていたりしているという方も少なくないのではないでしょうか。

 

役員報酬というのは、最も大きな節税が見込めるポイントです。

法人の利益にかかる法人税と、個人の所得にかかる所得税や住民税の税率は違うので、多くの場合会社に残す利益が多いほど払う金額が高くなります。扶養家族の数や具体的な利益額によって、具体的な報酬の金額や損益分岐点は異なりますが、今まで何も考えず役員報酬を決めていたという方は一度税理士に相談してみると良いでしょう。

自身の役員報酬だけではなく、業務に従事している親族・家族を役員にして、それぞれに最適な役員報酬を振り分けるとより大幅な節税ができます。

 

(2)出張日当を経費にする

出張が多い法人の場合、出張日当を経費にすると大幅な節税が見込めます。

経費として出張日当を支払うと、実際は役員や従業員がお金を受け取れるにも関わらず、個人の所得扱いにはなりません。そのため、出張日当には所得税がかからず、支払う日当の額が多ければ多いほど節税になるのです。

 

ただし、この方法を行うためには法人内に「旅費規程」が必要です。

旅費規程で、役員や従業員が出張に行った時の日当を設定することで、はじめて出張日当を経費に計上できます。

日当額があまりに高額だと税務署に否認される場合もありますが、1日1万円程度なら問題ないと言われています。

 

(3)新車ではなく中古車を買う

経費として計上するため、決算前に車などの大きな買い物をしてしまおうという経営者の方も多いと思います。

しかし車は固定資産といわれ、車を購入した金額は国が決めた耐用年数に渡って少しずつ経費に計上されます。これを減価償却と言い、新車の場合、償却期間は6年です。軽自動車の場合は4年です。

ただし、中古車の場合は当然新車よりも耐用年数が短いはずなので、減価償却にも特例が認められています。

 

これを利用した裏ワザが、新車ではなく中古車を買うという方法です。

特例を使った場合、最も節税になるのが「4年落ちの中古車」で、4年落ちの中古車を買うと、1年で購入費全額が経費になります。

利益が余って社用車を購入しようというときは、4年落ちの中古車を狙ってみてください。

 

(4)カーナビは後から取り付ける

もう一つ車に関連した裏ワザとして、カーナビがあります。

近年は、車にはカーナビが搭載されているのが当然になってきています。当初からカーナビが搭載された車を購入した場合、カーナビの代金も車の代金と一緒に計上され、6年かけて減価償却されていくことになります。

しかし、カーナビを車とは別途に購入すると、30万円以下のものなら1回で経費に計上することができるのです。

社用車を購入するときは、カーナビは後から購入と覚えておきましょう。

 

(5)決算期を変更する

決算期の直前に予期せぬ売り上げがあり大きなお金が入ると、経費を計上する暇がなく大幅に税額が増えてしまいます。

こういった場合に使える裏ワザが、決算期を変更してしまうという方法です。

 

例えば3月決算の法人で3月に大きな売り上げが上がるとしたら、2月に決算期を変更してしまえば良いのです。

決算期を変更するには、臨時株主総会を開いて定款の変更をすることと、税務署等に決算期変更の届出を出す必要があります。これだけの手続きで意外と簡単に決算期は変更できるので、期末に大きな売り上げが出そうな場合は覚えておきたい裏ワザです。

 

(6)評価損を利用する

法人が抱えている商品の在庫は、基本的には評価損を計上することができません。

しかし、著しく劣化・陳腐化・品質変化などをして通常の方法で販売できないと判断されれば、実は評価損として計上できるのです。例えば、型落ちの商品や流行遅れの商品が大量に余っている場合は、通常価格で販売できないということが証明できれば値引き分を経費として計上できます。

業種によっては非常に有利な制度なので、該当する企業であればぜひ活用してみましょう。

 

(7)自宅を社宅扱いにする

経営者は、自分が住んでいる家を社宅扱いとすれば、合法的に家賃を経費として計上できます。

この裏ワザのポイントは、大家さんと賃借契約をするとき、経営者個人ではなく法人との契約にするということです。

法人が借りた家を経営者が又借りするという形にし、毎月法人から大家さんへ家賃を支払い、経営者は法人に家賃負担額を支払います。

契約の形を変えるだけで毎月の家賃が経費計上できるので、借家住まいの経営者はやっておきたい裏ワザです。

 

(8)消耗品を購入する

決算直前になってどうしても利益が余ってしまうという場合は、事務用品やティッシュなどの消耗品を前倒しして購入しましょう。

基本的に物品購入の金額が経費に計上されるのは「使い始めた日から」となっており、買っただけでは経費に計上できません。

しかし、消耗品だけは事情が異なります。消耗品は使い始めた日がわかりにくく、また在庫量を調べるのも手間なため、買ったその日に経費に計上できるのです。

ただし、あまりにも非常識な量を大量購入すると税務署に承認されない場合もあるので注意が必要です。

 

(9)別会社を設立して資金を分散

法人の節税裏ワザの中でも、最も大掛かりなのが、別会社を設立するという方法です。

近年は最低資本金制度もなくなり、新しい会社を設立するのが非常に容易になっています。資本金1億円以下の会社なら、所得・交際費・消耗品の購入などについて税制上の優遇があります。

 

また、別会社を作ることで経営リスクを分散させられるという、節税の面以外のメリットもあります。

むやみに別会社を設立すれば得になるというわけではありませんが、ある程度大規模な会社の場合はこのような大掛かりな節税方法も検討してみていいでしょう。

 

(10)法人保険を利用する

節税方法には、法人保険を利用するという裏ワザもあります。法人保険は、高い損金を設定することができるので、保険料として大きな経費を計上できます。

また、使ったら使いっぱなしの経費とは違い、解約すればお金が戻ってくるのも保険のメリットです。法人保険に支払った金額は緊急時の予備資金として貯めておけますし、保険の解約金や満期の支払金を経営者や従業員の退職金として充てることもできます。

 

ただし、法人保険を利用した節税は、よく理解しておかないとリスクが高く、デメリットもある方法です。

まず、経費を増やそうとやみくもに高い損金を設定してしまうと、会社に残る現金が目減りしてキャッシュフローが悪くなります。思わぬ損失が出た時や、急速な事業拡大をしたいときなどに、会社に現金がないと非常に不安です。

また、保険は解約した時に解約金を受け取ることができますが、解約のタイミングによっては損になってしまうこともあります。早期解約すると40〜80%ほどしか戻らないこともあるため気をつける必要があります。

さらに、保険の解約金は雑収入として計上されるので、解約時にはその金額に法人税がかかってしまいます。

保険の損金で節税する方法は、単に税の支払いを先延ばしするだけになってしまう場合もあるのです。節税対策として法人保険を利用するときは、事前に損にならない解約タイミングを理解してから契約するようにしましょう。

 

  1. ≪法人の節税対策をするときの注意点≫

節税に励むのは良いことですが、決して行きすぎて脱税にはならないように注意しましょう。

脱税が発覚すると、法人にとって一番大事な信頼を失ってしまいます。一時的に支払う金額は減るかもしれませんが、信頼はお金では買えないものです。

また、節税の範囲内であっても、あまり過剰に経費を計上してしまうと怪しまれたり、税務署に否認されてしまったりということもあります。あまり非常識な経費は基本的に認められないので、制度の範囲内でほどほどに節税に努めましょう。

 

カテゴリ:
2018/10/19 相続・贈与とは?相続税の申告・計算方法|プロが教える基礎知識

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!

こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

 

本コラムでは毎月、経理に関する話題を執筆してきましたが、今回は経理の話題から少し離れ、相続贈与に関してわかりやすく解説していきます。

 

1.相続・贈与とは?

 

(1)相続とは?

相続」という言葉を耳にしたことはあっても、相続とは何なのか、また何をする必要があるのかをご存知ない方も多いかと思います。

 

相続とは一言で言うと「亡くなった方の財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐこと」です。

相続をするためには様々な手続きや、相続税の申告・納付をしなければならないことがあるため、「タダでお金がもらえる!」などという安易な気持ちでいると、後々苦労することになってしまいます。

 

また、相続するのはお金や土地など、自分にとってプラスになるものだけではありません。例えば、亡くなった方が借金をしていた場合には、借金の返済義務など自分にとってマイナスになるものも受け継がなければなりません。

 

ただし、自分にとってマイナスになるものが多くなってしまう場合には、所定の手続きをすることで「財産を受け継がない」という選択も可能ですからご安心ください。

 

(2)贈与とは?

ここまでの説明で、相続について何となくイメージが湧いたかと思います。相続とセットで知っておきたいのが「贈与」という言葉です。

贈与とは一言で言うと「生きている間に財産に関する権利・義務をその親族に受け継ぐこと」です。その性質から「生前贈与」という言い方もします。

 

この贈与に関しても贈与税がかかることがありますが、制度を上手に活用すれば相続する際にかかる税金よりも納税額を減らすことも可能です。

 

(3)相続と贈与の違いって何?

相続贈与の大きな違いは、2点あります。

 

➀1つ目は、財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

上記でも解説した通り、相続・贈与のどちらに関しても、相続税・贈与税という税金が課税される場合があり、亡くなった方の財産を丸ごと受け継ぐことができるとは限りません。

 

さらに言うと、相続税・贈与税の計算方法や申告方法に関する情報はインターネットや書籍で簡単に手に入りますが、内容が非常に複雑であるため、初めて相続や贈与を行う一般の方にはハードルが高いかと思います。

贈与は生きている間ならばいつでも行うことができますが、相続はある日突然発生するものです。いざという時に何をする必要があるのか、どこの役所に行けばいいのか、どのような書類が必要なのか、わからないことや不安なことも多いかと思います。

 

➁また、相続も贈与も、ある人が別の人に自分の財産をあげるという点は同じですが、財産を「あげる人・もらう人の意思の有無」が異なることに2点目の違いがあります。

 

相続では財産をあげる人が亡くなると、自動的に財産をもらう人に財産が移ります。

あげる人が「あげます」という意思表示をしていなくても、また、相続人が「もらいます」と意思表示をしていなくても、相続は成立します。「財産をもらいたくない」という場合、つまり、相続をしたくない場合は、相続放棄をしないといけません。

贈与では、基本的に生きているときに、財産をあげる人が「あげます」と意思表示をします。さらに、財産をもらう人が「もらいます」と意思表示をすることによって贈与が成立します。

贈与では、財産をもらう人の「もらいます」という意思表示が不可欠です。

 

そのため、意志表示できる年齢などは1つの論点になります。

例えば、20歳の方が財産をもらう場合に、「もらいます」と意思表示することはごくごく一般的にあることです。しかし、1歳の子供(赤ちゃん)が「もらいます」と意思表示することは普通に考えてあり得ませんので、結果的に贈与とはなりません。

 

(4)贈与の種類とは?

ここまで、贈与については生前贈与を前提にお話してきましたが、贈与にはいくつかの種類があります。

 

➀生前贈与(通常の贈与)

下記➁~➃でお話する贈与以外の贈与が、この生前贈与になります。「贈与」といえば、この生前贈与を指すことが一般的です。

 

➁定期贈与(連年贈与)

連年贈与とは毎年繰り返される贈与のことです。例えば、「100万円贈与する」という単発の贈与契約を毎年繰り返す場合などは、まさしく連年贈与になります。

 

定期贈与とは、一定期間、一定の給付を目的として行う贈与です。つまり、連年贈与することをあらかじめ決めている贈与を定期贈与といいます。

例えば、「毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与する」という契約は定期贈与です。連年贈与を10年間繰り返せば、それは定期贈与であり、10年間で1000万円の贈与をすることになります。

 

この定期贈与については、下記のように国税庁のタックスアンサーで見解が述べられています。これは要注意点になります。

参考:国税庁HP「No.4402 贈与税がかかる場合」

 

つまり、毎年100万円ずつ10年にわたって贈与する形式をとっていたとしても、それが1,000万円の贈与をする目的であると認められた場合、1,000万円の贈与として贈与税課税されてしまうということです。

110万円以下の贈与であれば基礎控除内であるため、贈与税はかかりません。しかし、定期贈与である場合にはこのようなリスクを考える必要があります。

 

それでは、定期贈与と認定されないためにどのような対策ができるでしょうか?

あくまでも、事実に基づいて贈与契約書は作成されるべきですが、定期贈与と誤解されないために贈与契約書を毎年(その都度)作成すべきでしょう。そして、「毎年100万円ずつ」、「10年間にわたって」などという文言は絶対に避けるべきでしょう。贈与が始まった初年度だけ贈与契約書を作成し、毎年同額が贈与される場合、定期贈与として認定される可能性が高いです。

また、相続開始前3年以内の贈与については、相続財産に加味して相続税課税の対象になります。贈与税の課税対象にはならないため注意が必要です。

 

➂負担付贈与

「マンションを贈与するので、代わりに住宅ローンを払ってほしい」、これは負担付贈与になります。つまり、財産をもらう人に一定の債務(借金など)を負担させることを条件として行う贈与が負担付贈与となります。

よって、上記の「住宅ローン」の具体例の場合、財産をあげる人はマンションを贈与する義務を負います。また、財産をもらう人も住宅ローンを負担する義務を負うことになります。

仮に、財産をもらう人が住宅ローンを支払わない場合には、財産をあげる人はこの贈与契約を解除することができます。

また、負担付贈与の場合にも贈与税は発生しますが、その計算過程がポイントになります。考え方として、負担付贈与の場合、贈与財産から負担額を差し引いた金額に対して贈与税が課税されます。

マンションの住宅ローンを負担する場合、マンションの「価額」から住宅ローンの金額を控除した金額となります。

 

相続税法基本通達では、この「価額」を「売却時価」としています。つまり、その財産(マンション)を今売りに出した場合、いくらで売れるかということになります。そのため、売却時価はその時々によって金額が変わってきますし、同じ時点であってもマンションなどでは不動産業者の見積りによって幅が出てくることになります。

幅が出てくる場合、複数の不動産業者の見積りの平均値をとれば問題ないでしょう。場合によっては、ある特定の業者さんの見積価額を売却時価として使っても問題になることは少ないでしょう。

 

具体的に、上記の「住宅ローン」の場合、

{(マンションの売却時価-住宅ローン残高)ー基礎控除額}× 税率 ー 控除額

が贈与税額となります。

(贈与)税率については、下記の国税庁HPをご覧ください。

参考:国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

 

例えば、「父親名義のマンションを長男に贈与する場合、不動産鑑定士さんによって、そのマンションの売却時価が2,000万円であると鑑定されました。住宅ローンの残高は700万円です。」この場合、

{(2,000万円-700万円)-110万円 }×45%-175万円=360万5千円

結果として、このケースでは360万5千円の贈与税がかかることになります。

 

また、負担付贈与では、財産をあげた人にも譲渡所得税が発生する可能性があります。

上記の例で、父親が当初、マンションを購入した金額は1,000万円(=マンション購入資金は全て住宅ローンで支払った。)だったとします。父親は住宅ローンの残債でマンションを譲渡したものとして取扱うことになります。住宅ローンの残債額で売却したこととなるため、マンションの譲渡金額は700万円です。

また、マンションは当初1,000万円で取得しています。結果として、1,000万円で取得したものを700万円で売却したと考えるため以下の算式で計算します(話を分かりやすくするため減価償却はあえて考えません。)。

 

(700万円−1,000万円)×20.42%※=0円

このケースでは、マンション取得資金よりも譲渡金額が低いため譲渡所得税は発生しません。しかし、マンション取得資金よりも譲渡金額が高い場合、譲渡所得税が発生することになります。(話を分かりやすくするため減価償却はあえて考えません。)

 

※譲渡所得の税率は以下の通りです。

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったときの税額計算の際の税率は、所得税が15%、住民税が5%となります。

(注) 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納税します。

 

➃死因贈与

「私が死んだら、この家をあなたにあげます」これは死因贈与となります。この死因贈与は、財産をあげる人が死亡することにより効力が生じる贈与契約となります。

 

よく遺贈(遺言によって財産をあげる・もらう行為)と死因贈与を勘違いされる方がいらっしゃいます。死因贈与も贈与の1つですから、財産をもらう人の意思表示・承諾があってはじめて成立します。しかし、遺贈は財産をもらう人の承諾がなくても、財産をあげる人の一方的な意思表示で成立します。

そして、「死因贈与」は、相続と同じタイミング(贈与者が亡くなったとき)で発生しますので、贈与税ではなく相続税がかかります。

 

➄みなし贈与

税法でいう「贈与」は、民法でいう贈与よりも範囲が広く定められています。形式的には贈与していなくても贈与とみなされ、贈与税がかかる場合もあります。これを「みなし贈与」といいます。

例えば、父親から子供にマンションの名義を変更した場合、父子ともに贈与する意図がなくても、実態は父親から子供にマンションをあげたのと同じことになります。その結果、贈与税が課税されます。マンションなどの不動産の場合、その金額が大きいものとなってしまうため、財産をもらった人に対して多額の贈与税が発生してしまうリスクが高いです。

 

  1. 相続税の申告手続きについて

 

 

相続税を納める必要がある場合、税務署に相続税の申告書を提出する必要があります。ここでは相続税の申告手続きについて解説していきます。

 

(1)相続に関する手続きの流れ

相続が発生してから相続税の申告を行うまでの流れは下記の通りです。

 

相続発生(故人の亡くなった日)

・遺言書の確認

・相続人の調査・確認

・相続財産の把握

遺産分割協議

相続税計算

遺産分割協議書作成

遺産分割

相続税の申告

 

なお、

相続の放棄・限定承認の選択は相続発生から3ヶ月以内

所得税の準確定申告は相続発生から4ヶ月以内

という決まりもありますので、ご注意ください。

 

(2)相続の放棄

①相続の放棄とは?

相続の放棄とは、プラスの財産(現預金など)もマイナスの財産(借金など)も、被相続人が残した遺産の全てを受け取らないという方法のことをいいます。それでは、どんな場合に相続の放棄を選択すればいいのか確認していきましょう。

プラスの財産(現預金など)とマイナスの財産(借金など)を比べたケースにおいて、マイナスの財産のほうが明らかに多いと判断できる場合、相続の放棄は有効な手段です。もし、被相続人が莫大な借金を残して亡くなった場合、残された相続人は何もしなければその借金を全て負担する事になります。

そのため、相続の放棄という方法があります。

 

②相続の放棄が認められない場合はあるのか?

裁判所へ相続放棄の手続きをして申述が却下されるケースはほとんどありません。しかし、以下の➀または➁に該当する場合は単純承認をしたものとみなされますので、注意が必要です。

なお、単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ方法をいいます。

 

相続人が相続財産の全部、または一部を処分した場合

相続の放棄をした後に、相続財産の全部、または一部を隠匿、消費したり、わざと財産目録に記載しなかった場合

 

仮にこの他のケースで相続放棄が却下された場合、2週間以内に「即時抗告」を行えば高等裁判所の再審理を求めることが出来ます。却下された際はなぜ却下されたのか理由を教えてくれないケースがほとんどであるため、弁護士や税理士に相談されるのが良いでしょう。

 

③相続の放棄の期限

相続の放棄の期限は3ヶ月です。

民法第915条は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に相続放棄限定承認単純承認を選ばないといけない」と規定しています

 

④「自己のために相続の開始があったことを知ったときから」とは?

相続の放棄の期限は3ヶ月ですが、被相続人が死亡した時から3ヶ月経過すると、どのような理由があっても相続の放棄はできなくなってしまうのでしょうか?

この期間のカウントは、被相続人の死亡を知らない限り開始しません。例えば、被相続人が死亡して3年後に死亡を知ったのであれば、そこから3ヶ月間は相続の放棄をすることができます。

 

また、被相続人に借金などのマイナスの財産があることを知らなかった場合はどのような取扱いになるでしょうか?

この場合、相続人が、「被相続人に相続財産が全くない」と信じたことにやむを得ない事由が認められる場合であれば、相続の放棄をしないことについて、正当な理由があると認められます。

よって、相続人が被相続人の借金の存在を知らなかったのであれば、死亡の事実を知っていても、相続放棄の「3ヶ月間」についてカウントが開始しません。

ただし、相続人の過失によって借金などのマイナスの財産に気づかなかった場合、相続の放棄をしなかったことについて正当な理由があると認められないおそれもあります。例えば、被相続人の自宅に債権者から督促の郵便が届いているにもかかわらず、相続人が郵便物をチェックしていなかったため3ヶ月が経過したというケースでは、相続の放棄は認められないでしょう。

よって、自分が相続人になったら被相続人の負債の状況を必ず調べるべきです。そして、もし借金などマイナスの財産があったらどのくらいの金額であるのかしっかりと調べましょう。

 

(3)限定承認

①限定承認とは?

「限定承認」とは、マイナスとプラスの財産が両方ともあった場合に、マイナスの財産がプラスの財産を超えない範囲で相続するという相続の方法です。例えば、「プラスの財産が100万円、マイナスの財産が200万円以上あると判明している場合」については、明らかに相続分がマイナスになります。よって、相続の放棄を選択すべきです。

しかし、「プラスの財産が100万円、マイナスの財産が200万円以上あると推測しているが、正確な額は不明の場合」は限定承認を選択すべきでしょう。

 

②限定承認のタイミング

プラスの財産よりもマイナスの財産が明らかに多いと判断できる場合は相続の放棄をすべきです。しかし、プラスとマイナスどちらが多いか不明の場合、相続したマイナスの財産を相続したプラスの財産から弁済し、相続人自身の財産で弁済する責任を負わないというものが限定承認です。

限定承認を行う場合、放棄の場合と同様に、「相続の開始を知ったときから3ヶ月以内」に

家庭裁判所に限定承認の申立てをする必要があります。

ただし、共同相続の場合は相続人全員の共同でなければ限定承認の申立てはできません。逆に言えば、相続人のうち1人でも反対する者がいれば、相続の放棄をするのが良いでしょう。

 

(4)所得税の準確定申告

①準確定申告とは?

一般的に、「確定申告」とは、1月1日から12月31日までの一年間の所得について、翌年の2月16日から3月15日までに申告を行います。しかし、「準確定申告」は別に期限が定められており、被相続人が準確定申告の対象者であるかどうかの判断基準は一般的な確定申告と基本的には同じ考え方です。

ただし、被相続人の場合、本人が死亡しており申告することができません。よって、相続人が被相続人の代わりに確定申告をすることになります。これを「準確定申告」といいます。

 

②準確定申告が必要なケース

準確定申告が必要な場合について、主要なものを下記にまとめました。被相続人が下記の➀~④にあてはまる場合、準確定申告が必要となります。準確定申告の対象者は一般的な確定申告のものと同様です。

 

  • 個人事業主
  • 給与所得と退職所得以外(副業など)の所得
  • 給与の年間収入が2,000万円以上
  • 同族会社の役員やその親族などで、給与の他に貸付金の利子や家賃なども受け取っていた場合

 

③準確定申告の期限

準確定申告については、相続人が相続を知った日の翌日から4ヶ月以内に行わなければなりません。

納税も同期間に行わなければなりません。遅れないようにくれぐれも注意しましょう。

 

  • 相続税の申告書はどこで手に入る?

税務署が相続発生(被相続人の死亡)を把握した後、申告が必要と思われる場合には申告書が送られてきます。送られてきていない場合には国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

 

  • 相続税の申告書はいつまでに提出する?

相続税の申告書には提出期限は相続の開始を知った日(故人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内です。

 

  • 相続税の申告書はどこに提出する?

被相続人の亡くなった時の住所地を所轄する税務署長に提出します。

 

  • 相続税の申告書の他に必要な書類は?

相続する財産の種類や控除の有無によって、添付が必要な書類は異なります。

ここでは、特例等の適用を受けない場合に必要となる書類について解説していきます。

 

  • マイナンバーを確認するための本人確認書類
  • 身元を確認するための本人確認書類
  • 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本
  • 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
  • 相続人全員の印鑑証明書

 

相続税の手続きに関しては多くの必要書類や煩雑な計算が伴うため、相続に詳しい税理士に相談をするのが無難でしょう。

 

  1. 相続税の計算方法

 

平成27年にあった相続税基礎控除額の改正以降、相続税の課税対象となる方は増加しています。

国税庁の下記HPには「相続税の計算方法」について記載がありますが、専門用語が多くよく分からないというのが本音だと思います。相続税の計算は非常に複雑なものとなっているからです。

参考:国税庁HP「No.4152 相続税の計算」

 

そこで、今回は、相続税の計算方法の概要について解説していきます。

 

(1)相続税の計算方法

相続税を計算するためには下記のような手順が必要です。

 

①相続税の課税対象となる遺産額を計算する

税額を計算するため、個々の相続人の相続する財産のうち課税対象となる相続財産(正味の遺産額とも言います)がどの程度あるのかを確認・確定させる必要があります。

 

  • ここでは相続人1人1人の相続する遺産額を計算している
  • プラスの財産もマイナスの財産も全て含める
  • 非課税となる財産も確認する

といったことに注意しましょう。

 

②相続税の基礎控除額を計算する

相続税には基礎控除(課税対象額を減額する制度)があります。相続する財産が基礎控除額より少ない場合には、相続税を納める必要がなくなります。

 

  • 相続税を納める必要がなくても、申告手続きは必要なケースもある

といったことに注意しましょう。

 

③相続税の課税遺産総額を計算する

①②で計算した金額をもとに、相続人全員分の課税対象となる相続財産を計算します。

 

  • ①と異なり、ここでは相続人全員分の正味の遺産額の合計金額を計算するといったことに注意しましょう。

 

④相続税を計算する

③で計算した相続税の課税遺産総額をもとに、相続人全員分の相続税の合計金額を計算する

 

  • 相続税の合計金額を計算する際には

法定相続人が法定相続分を相続した」と仮定して計算する

  • 各人の相続税を計算する際には、相続税の合計金額に

「各人が実際に相続した財産が課税遺産総額に占める割合」を乗じて計算する

といったことに注意しましょう。

 

それでは、簡単な具体例を用いて実際に相続税額を算出してみましょう。

 

<具体例>

課税財産9,000万円/被相続人は夫。相続人は妻・長男・長女/

実際の取得割合は、妻→6/10、長男→3/10、長女→1/10である場合。

 

  • 法定相続分で分けた場合の妻の相続税額

9,000万円×1/2(法定相続割合)=4,500万円

4,500万円×20%(相続税率)-200万円(控除額)=700万円

 

  • 法定相続分で分けた場合の長男の相続税額

9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円

2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円

 

  • 法定相続分で分けた場合の長女の相続税額

9,000万円×1/4(法定相続割合)=2,250万円

2,250万円×15%(相続税率)-50万円(控除額)=287万5千円

 

<全体の相続税額>

700万円+287万5千円+287万5千円=1,275万円

 

具体例における家族の場合、全体の相続税額は1,275万円になります。この1,275万円のうち、妻・長男・長女それぞれが相続税をいくらずつ払わなくてはいけないのかを計算するのが次のステップです。

 

  • 妻の相続税額

1,275万円×6/10(実際の取得割合)=765万円

 

  • 長男の相続税額

1,275万円×3/10(実際の取得割合)=382万5千円

 

  • 長女の相続税額

1,275万円×1/10(実際の取得割合)=127万5千円

 

さらに、「一定の条件をみたしている場合」、ここまでで算出した各人の相続税額から金額を差し引くことができます。これを「税額控除」といいます。

国税庁のHPにおいても、各種の税額控除について詳細の記載があります。

参考:国税庁HP「相続税の計算と税額控除」

 

税額控除は誰でも受けられるものではなく、相続人が一定の条件をみたしている場合だけ受けることのできるものです。

また、相続人1人1人に税額控除が適用されるため、例えば、具体例における妻に配偶者控除が適用されても、長男・長女まで適用される訳ではありません。

ただし、未成年者控除・障害者控除については、対象相続人の税額から控除できなかった部分は対象相続人の扶養義務者の税額から控除することができます。

税額控除を受けるためには相続税申告が必要となりますので、まずは税額控除を受けられる相続人がいるかどうか確認することとなります。相続税の計算をする際には計算ミスが無いかはもちろんのこと、相続財産をすべて計算に含めているかどうかにも気をつけなければなりません。

万が一、申告した税額に誤りがあった場合には追徴課税が発生する可能性もありますので、専門家である税理士に依頼したほうが無難なことは間違いありません。

 

  1. 相続は贈与よりも得をする?

 

よく聞く相続税対策の1つとして生前贈与が挙げられます。「1.相続と贈与とは?」でも紹介した通り、相続と生前贈与の違いは財産を受け継ぐタイミングが生きている間なのか亡くなった後なのかという点です。

相続・贈与のいずれにせよ税金が課税されますが、生前贈与は本当に相続税よりもお得になるのでしょうか?

 

(1)贈与税の税額について

そもそも贈与税という税金が存在している理由は「生きている間に家族に財産を譲ってしまえば相続税を払わなくて済む!」という考えの人が少なからず出てきてしまうため、そういった人々からも平等に税金を徴収するためです。

 

こうした考え方から、本来であれば

相続税 ≦ 贈与税

となるべきなのですが、現在は贈与税の非課税制度が設けられているため、相続よりも贈与の方が納税額を抑えることができることがあります。

 

(2)贈与税の非課税制度について

贈与する財産のうち、非課税扱いになるのは次のような場合です。

 

  • 法人から贈与を受け取得した財産

贈与税は個人から贈与受ける場合に課税される税金であるため、法人から贈与を受けた場合には贈与税はかかりません。かわりに所得税が課税されます。

  • 扶養義務者から生活費または教育費として取得した財産

ここでの生活費とは通常の日常生活に必要な費用、教育費とは学費・教材費・文具費などを指します。

これらには贈与税はかかりません。ただし、「生活費」「教育費」の名目で財産を受け取った後、別の目的で使用した場合には贈与税がかかります。

  • 公益を目的とする事業に使われる財産

宗教、慈善、学術など、公益を目的とする事業に使われることが確実なものには贈与税はかかりません。

  • 個人から受け取った香典、花輪代、お年玉、見舞い金などの財産

上記のような金品に関しては、社会通念上相当の金額であれば贈与税はかかりません。

(例えば、100万円をお年玉として受け取った場合には贈与税がかかる可能性が高くなります。)

  • 直系尊属(父母・祖父母)から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金とは、居住用の家を新築・取得・増築するための資金のことを指します。

高額なケースが多いですが、一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

  • 直系尊属(父母・祖父母)から一括贈与を受けた教育資金のうち、一定の要件を満たしている財産

住宅取得等資金と似ていますが、例えば高校や大学の入学資金などは一定の要件を満たしていれば贈与税はかかりません。

 

(3)贈与は相続よりも得をする?

様々な状況やケースが考えられるため、一概に「贈与は相続よりも得をする」とは言えませんが、贈与の方が得をするケースがあることも事実です。

 

①贈与税の計算について

贈与税を計算する方法は、①「暦年課税方式」と②「相続時精算課税方式」の2種類から選ぶことができます。贈与税や相続税の課税の仕組みを理解すれば、税金を減らすことも可能となります。

まずは、この2つの方式を見てみましょう。

 

  • 暦年課税方式とは

毎年1月1日から12月31日までの1年の間にもらった財産の合計額から贈与税を計算します。その合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた金額に税率を乗じて贈与税額を求めます。

 

計算方法

(贈与財産(時価評価額)- 110万円)× 税率 - 控除額 = 贈与税額

※贈与財産が不動産などの場合は一定の方法により時価評価額を算定します。

※相続開始3年以内に被相続人からの贈与財産がある場合、 その贈与財産は相続財産とみなされ相続税の計算対象になります。贈与税課税の対象ではありません。

贈与税率については、下記の国税庁のHPをご参考ください。

国税庁HP「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

 

(計算例)

  • お一人から100万円の贈与があった場合

(100万円 - 基礎控除額110万円)× 10% = 0円

  • お一人から600万円の贈与があった場合 (一般贈与財産)

(600万円 - 基礎控除額110万円)× 30% - 65万円 = 82万円

  • 10人の方からお一人100万円ずつ合計1,000万円の贈与があった場合 (一般贈与財産)

(1,000万円 - 基礎控除額110万円)× 40% - 125万円 = 231万円

 

基礎控除額110万円以内の贈与ですと、税負担をすることなく財産の移転が可能となります。

また、この基礎控除額110万円は毎年利用することが可能です。仮に、相続人3人に10年間110万円ずつ贈与をすれば、110万円×3人×10年=3,300万円もの資産を税の負担をすることなく移転することが可能です。

 

  • 相続時精算課税制度とは

贈与を受けたときに、一律の税率(20%で贈与税を計算納付して、その贈与をした方が亡くなった時に相続税で精算を行う制度です。

分かりやすく言い換えると、相続時点において、贈与した財産も含めて相続税を計算し、その相続税から「支払った贈与税」をマイナスする方法です。

また、「支払う贈与税」を計算する際には、2,500万円まで特別控除の枠があるので贈与税はかかりません。そして、2,500万円の枠を超えた贈与額に対して一律の税率20%を掛けて贈与税額を計算します。

 

注意点として、この2,500万円の特別控除枠は、一年間あたりの枠ではなく、相続時精算課税制度を使って贈与をした累計額に対する枠となりますのでご注意ください。2,500万円に達するまでは何度でも税の負担をせずに贈与が行えることになります。

 

(計算例) 下記1年目から3年目まで、全て同じ贈与者から相続時精算課税制度を使って金銭の贈与を受けた。

  • 1年目

1,500万円の贈与を受け取った。

(1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=0円

  • 2年目

1,500万円の贈与を受け取った。

1年目    2年目

(1,500万円+1,500万円-特別控除額2,500万円)×20%=100万円

  • 3年目

2,000万円の贈与を受け取った。

※2年目までで特別控除額を使い切っているため、前年までの贈与金額をマイナスします。

前年までの総額  3年目  前年までの総額

(3,000万円 + 2,000万円 - 3,000万円)× 20% = 400万円

 

ちなみに、相続時精算課税制度は誰でも利用することができるのではなく、「贈与者」は60歳以上の親又は祖父母、「受贈者」は20歳以上の子又は孫という要件があります。

また、相続時精算課税制度を一度選択すると、同じ贈与者からの贈与は暦年課税に変更することができませんのでご注意ください。

 

  • 相続時精算課税制度は相続税対策になる?

相続時精算課税制度は、結果的に贈与財産が相続税で清算されるので、相続税対策にはならないように見えるかもしれません。しかし、

 

  • 「時価が上昇する財産」
  • 「収益不動産など収益を生む財産」

などについては、効果を発揮します。

 

①「時価が上昇する財産」については、 相続時点において贈与時の時価をもって財産が評価されるため、実際の被相続人の死亡の時点よりも低い評価額で財産を移すことができます。結果的に、相続税対策となります。

 

②「収益不動産など収益を生む財産」については、贈与者から受贈者へ財産を早期に贈与することによって、財産から生じる家賃などを被相続人の相続財産から除外することができます。結果的に、その分相続財産を減らすことができ、相続税対策となります。

相続時精算課税制度を利用し、贈与した財産の相続税を計算する場合の時価は、相続発生時の時価ではなく、贈与した時の時価で計算することがポイントになります。つまり、相続時精算課税制度を使った相続税対策は、「財産評価のタイミングが異なること」を利用した節税対策となるわけです。

 

相続時精算課税制度のデメリット

 

相続時精算課税制度には、デメリットもあります。

 

  • 一度、相続時精算課税制度を選択すると暦年課税に戻すことができない
  • 年齢や対象者など要件がある
  • 贈与の都度、金額に関わらず贈与税の申告が必要になる
  • 相続時に小規模宅地等の特例が受けられない

 

などです。

 

(4)まとめ

相続は突然やってきます。相続税の計算は亡くなった方(被相続人)の相続発生時の財産すべてが対象となりますので、少しでも生きている間に財産を少なくすることで相続税への対策をとることは非常に有効です。

それに引きかえ、生前贈与は生きているうちに計画的に行うことができます。

これにより相続税の軽減対策が可能になります。その1つとして、相続時精算課税制度の選択が有用なこともあるでしょう。

 

また、暦年課税制度も毎年110万円の基礎控除額があります。毎年この基礎控除内での贈与を繰り返して行っていくことにより、相続発生時の財産を少なくすることが可能です。

また、【贈与税の非課税制度】を利用することにより、多くの財産を税の負担をすることなく次世代に移転する手もあります。

 

一例として、以前のコラムでもご紹介した

  • 「住宅取得等資金の非課税制度」
  • 「教育資金一括贈与の非課税制度」
  • 「結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度」

などがあります。

 

一方で、相続税にも多くの優遇措置があります。被相続人の財産の金額や種類、また相続人の人数などによって相続税と贈与税は「どちらがお得」とは言えないのが実情です。

贈与税は相続税の補完税としての役割であり、相続税と贈与税は表裏一体のものです。「どちらがお得」ではなく、両者の仕組みを理解してトータルに試算していくことが重要になってきます。

 

トータルに試算するためには、税理士の存在は不可欠であり、迷わず相談するべきでしょう。特に、相続税・贈与税の優遇措置を利用することにより税金が数百万円・数千万円変わってくることも少なくありません。

カテゴリ:
2017/07/28 東京・大阪の経理代行|美容院・理容室の経理④「節税のポイント」

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!

こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

 

今回のコラムでは、美容院や理容室などヘアサロンで簡単にできる節税対策を解説します。

 

【美容院・理容室の節税のポイント】

決算賞与(ボーナス)を支給する

決算ギリギリのタイミングで可能な節税対策として比較的手軽に行えるのが

スタッフへのボーナス支給」です。

 

通常、決算までに支払いが完了していない経費に関しては決算時に計上できませんが、

スタッフへのボーナス支給に関しては支払いが完了していなくても経費として計上することができます。

 

美容院・理容室において、この方法を使用した場合と使用していない場合を比較してみましょう。

ボーナス支給なし ボーナス支給あり
営業利益 500万円 500万円
支給ボーナス額 0円 80万円
実効税率 33% 33%
税額 165万円 138万円
手元に残る金額 335万円 282万円
営業利益-ボーナス支給額-税額 335万円 282万円

※賞与以外の経費は考慮していません。

 

ボーナス支給ありの場合、手元に残る金額(282万円)は

ボーナスを支給しない場合のもの(335万円)と比べて少なくなります。

 

しかし、税額だけを比べると27万円(165万円-138万円)少なくなるため、

実質的に53万円(335万円-282万円)の負担で済みます。

 

スタッフのやる気・モチベーションをはかるためには有効でしょう。

美容院・理容室などヘアサロンの経理代行は東京・大阪経理代行

では、実際にこの方法を使用する際にはどのようなことに注意すればよいのでしょうか?

 

①決算時に賞与の額について未払い計上扱いにする

②決算日までに全スタッフにボーナス支給額を通知する(支給額、支給日を明記)

③決算日から1か月以内に支払いを完了させる

 

なお、役員へのボーナスは経費扱いにはならないため注意しましょう。

 

今回は決算時ギリギリにできる節税対策についてご紹介しましたが、

その他にも細かな対策が可能な場合があります。

 

美容院・理容室の節税方法がもっと知りたい方は

東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

親切・丁寧に対応させていただきます。

 

お電話番号はこちら

0120-24-7181

受付時間:9:00~21:00(日曜・祝日除く)

メールでご連絡いただく際は、こちらのフォームをご利用ください。


東京、大阪で経理代行、経理のアウトソーシングなら

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!

⇒料金、サービス内容はこちら

ご相談は無料です!会社の経理でお困りの方は経理派遣より

東京・大阪経理代行サポートセンターにお任せください。

 

カテゴリ:
2017/06/16 東京・大阪の経理代行|建設業の経理③「工事請負契約書作成時の節税ポイント」

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!

こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

 

今回のコラムでは工事請負契約書作成時の節税のポイントをわかりやすく解説していきます。

 

【1.契約書に消費税額を明記する】

印紙税法によれば、契約の種類や契約書に記載された契約金額により印紙税額が定められています。

請負に関する契約書に関しては下記の税額が定められています。

記載された契約金額 税額
1万円未満 0円
1万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 1000円
300万円超500万円以下 2000円
500万円超1000万円以下 1万円
1000万円超5000万円以下 2万円
5000万円超1億円以下 6万円
1億円超5億円以下 10万円
5億円超10億円以下 20万円
10億円超50億円以下 40万円
50億円超 60万円

 

ただし、建設工事の請負に係る契約書で、

平成26年4月1日~平成30年3月31日までの間に作成されるものについては印紙税額が軽減されています。

 

記載された契約金額 税額
1万円未満 0円
1万円以上200万円以下 200円
200万円超300万円以下 500円
300万円超500万円以下 1000円
500万円超1000万円以下 5000円
1000万円超5000万円以下 1万円
5000万円超1億円以下 3万円
1億円超5億円以下 6万円
5億円超10億円以下 16万円
10億円超50億円以下 32万円
50億円超 48万円

参考:国税庁HP 印紙税額一覧表(平成29年5月1日以降適用分)

 

上記で出てくる「記載された契約金額」とは消費税込の金額を指します。

ただし、消費税額を明記すれば税抜金額を「記載された契約金額」として扱うことができます。

 

(例)契約金額が 1080万円(税込)の場合(平成26年4月1日~平成30年3月31日の間)

・「1080万円」と記載した場合→税額は1万円

・「1000万円、消費税80万円、合計1080万円」と記載した場合→税額は5000円

このように、少しの工夫で印紙税額を節税することができます。

 

【2.契約書をコピーして作成する】

工事を請け負う場合、「工事請負契約書 」が必要です。

工事請負契約書は印紙税の課税文書であるため印紙を貼り付ける必要があります。

 

発注者と受注者の双方が契約書を保管するためには契約書が2通必要なため、

通常であれば印紙も2通分必要です。

しかし、下記の方法で受注者に原本のコピーを渡す形をとれば、1通分の印紙代のみに節約する事ができます

 

①署名押印した契約書を1通作成する

②①をコピーする(ただコピーするだけでOK、コピーには署名押印もしない)

③契約書内に下記の文言を入れる

本契約書1通を作成し、乙がこれを保管し、甲はこの写しを保管する

④発注者が原本を、受注者がコピーを保管しておく

この方法で、印紙税を1通分に節税することができます。

 

【3.軽減措置のない請負契約を、工事請負契約書に併記する】

【1.契約書に記載する金額を税抜表示にする】で触れたように、

工事請負契約書については軽減措置がありますが、

軽減措置の無い請負契約もあります。

しかし、工事請負契約書に他の請負契約についても併記することで、

その契約書に記載されている契約金額の全額が軽減措置の対象となります。

 

例えば、工事請負金額が4000万円、

設計請負金額が800万円の場合にそれぞれの契約書を作成します。

工事請負契約書→印紙税1万円

設計請負契約書→印紙税1万円

の合計2万円が必要になります。

 

しかし、工事請負契約書に設計請負を織り込んで1つの契約書とした場合には、

工事請負契約書→印紙税1万円

となるため、それぞれで契約書を作成する場合に比べて印紙税を半分に節税することができます。

 

【まとめ】

・契約書には消費税額を明記し、税抜価格も明記する

・工事請負契約書を2通作成する時、片方はコピーして作成する

・軽減措置の無い請負契約は、軽減措置の対象となる工事請負契約書に併記する

 

節税や税金に関するご相談は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

親切・丁寧に対応させていただきます。

 

お電話番号はこちら

0120-24-7181

受付時間:9:00~21:00(日曜・祝日除く)

メールでご連絡いただく際は、こちらのフォームをご利用ください。


東京、大阪で経理代行、経理のアウトソーシングなら

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ!

⇒料金、サービス内容はこちら

ご相談は無料です!会社の経理でお困りの方は経理派遣より

東京・大阪経理代行サポートセンターにお任せください。