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2020/01/29 営業利益とはなにか?他の利益との違いや計算方法を解説

損益計算書に登場する様々な項目は、企業の経営状況を見極めるヒントとなります。

今回は、その中の「営業利益」について詳しく解説していきます。

 

企業が本業で得た利益を示す営業利益を見れば、その会社の競争力を知ることができます。

営業利益率を求め、他社と比較することで、会社がどのような戦略で経営しているかもわかりますよ。

 

 

1.≪営業利益とは?≫

営業利益とは、その会社が本業で稼いだ利益のことです。自動車製造業なら自動車、製薬会社なら薬の販売など、その会社が主とする事業で得た利益のことを営業利益と呼びます。

 

似た言葉に「売上総利益」や「経常利益」がありますが、それぞれ営業利益とは意味が違います。

売上総利益は物やサービスを販売して得た収益から、仕入原価を引いたものです。

それに対して、営業利益は、仕入原価以外にかかった経費である「販売費および一般管理費」を抜いたもののことを言います。販売費および一般管理費には、人件費・家賃地代・宣伝費などが含まれます。

 

経常利益は会社が本業で得た利益以外に、不動産収入や配当収入、サイドビジネスの収益などを加えたものです。本業で得た利益以外については、支払利息や雑損失などの経費もマイナスして計上します。

 

2.≪営業利益と他の利益との違い≫

決算期に企業が作成する損益計算書には、「利益」とつく項目が5つあります。

この項目では、それぞれの違いと関係性を知っていきましょう。

 

(1)売上総利益

売上総利益とは、商品の売り上げによって獲得した利益のことで、「売上高—売上原価」という計算式で求めます。例えば50円で仕入れた商品を100円で売っている場合、50円が売上利益。その売上利益の一決算期分の合計が、売上総利益となります。

建設業や飲食業などで、「粗利」という用語をよく使いますが、粗利とは売上総利益のことを指しています。

 

営業利益と売上総利益を比べると、人件費や家賃などの販売費・管理費にどれだけの金額を割いているかがわかります。

売上総利益は多いのに営業利益が少ないという場合、原価以外の管理費がかかりすぎている可能性があります。

 

逆に、営業利益に比べて売上総利益が少ないと、商品の仕入原価が高すぎるということを意味します。

 

(2)営業利益

先にも解説しましたが、営業利益は企業が本業で獲得した利益です。

会社がいくつかの事業を行なっていたり不動産収入などの不労所得があったりする場合は、それらを除いた本業のみの利益を示します。

 

営業利益は「売上総利益—販売費及び一般管理費」という計算式で求めることができます。

売上総利益から、人件費や家賃などの経費を差し引いたものというイメージですね。

 

(3)経常利益

経常利益は、会社の本業と本業以外の利益を合計したもののことを言います。計算式は「営業利益+営業外収益—営業外費用」です。

営業外収益としては、会社が所有している不動産の家賃収入や、本業以外のサイドビジネスの利益などが考えられます。

 

営業利益と経常利益の関係を見ると、会社の本業が順調かどうかわかります。

経常利益の中で営業利益の占める割合が多い場合、会社のメイン収入を本業のみに頼っているということで、経営は順調ですがリスク分散ができていない可能性があります。

 

それに対して、営業利益が占める割合が低い場合、本業以外に会社を支える事業や資産があるということで、もし本業が傾いたとしてもダメージが少ないと予想できます。

 

(4)税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、法人税などを支払う前の利益のことを言います。

 

経常利益との違いは、特別利益・特別損失が計算に入ることです。

特別利益・特別損失とは、通常の経営では起こらない臨時的な利益や損失のことです。例えば、株や不動産の売却益や盗難・災害による損失など、一度限りの損益のことを言います。

 

税引前当期純利益は、「経常利益+特別利益—特別損失」という計算式で求めます。

 

(5)当期純利益

当期純利益は、税引前当期純利益から税金を差し引いて、最終的に会社の手元に残る利益のことです。

「税引前当期純利益—法人税等」という計算式で求めます。

結局、一年で会社がどれだけ稼いだのかという結果は、当期純利益を見て判断します。

 

3.≪営業利益の計算方法≫

それでは、営業利益の計算方法について解説していきます。

 

(1)営業利益の計算式

営業利益を求めるための計算式は、以下の通りです。

 

・営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費

 

ここでは、会社が本業以外で得た収益や、一時的な収入・損失は計算には入れません。

あくまで本業に関して、売上総利益から仕入れ以外の経費を引いたものが営業利益となります。

 

(2)「売上総利益(粗利益・粗利)」とは?

先にも解説しましたが、売上総利益は1年間の全ての売上金額から仕入原価を引いたもの。同じ意味で、粗利益・粗利と呼ばれることもあります。

 

売上総利益は、その企業の競争力を示します。

例えば、同じものを同じ価格で、同じ個数売った場合、仕入原価を抑えられた会社の方が売上総利益は大きくなります。同規模の会社と売上総利益を比較することで、自社の仕入れノウハウがどの程度なのかを測ることができるのです。

 

売上総利益は、以下の計算式で求められます。

 

・売上総利益 = 売上高 — 売上原価

 

(3)「販売費及び一般管理費」に含まれる勘定科目

販売費及び一般管理費には、仕入原価以外の経費が含まれます。

具体的に、販売費及び一般管理費となる勘定科目は以下のものです。

 

・給料

・賞与

・法定福利費

・福利厚生費

・広告宣伝費

・接待交際費

・旅費交通費

・支払手数料

・賃借料

・通信費

・水道光熱費

・保険料

・減価償却費

・租税公課

・消耗品費

 

4.≪売上高営業利益率とは?≫

売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の比率です。

これを見ることで、その企業が本業でどれだけ効率的に利益を生み出せたかがわかります。

 

(1)利益率の計算方法

売上高営業利益率は、以下の計算式で求めます。

 

売上高営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

 

先にもお伝えしましたが、売上高営業利益率は売上高に対する営業利益の割合です。

本業で稼いだ金額から、原価も経費も引かない状態の売上高と営業利益を比べ、割合をパーセンテージで算出します。

 

(2)利益率から何が分かる?

売上高営業利益率からわかるのは、品物の原価にどれだけの利益率を乗せて販売しているかということです。

これが高ければ高いほど、その会社は付加価値の高い商品を販売しているということで、ブランド力や競争力があるということになります。

 

ただし、逆に売上高営業利益率を低くして、大量に売ることで利益を出すという戦略も考えられるため、売上高営業利益率が高ければ高いほどいいというわけではありません。

 

(3)優良企業の利益率の目安

売上高営業利益率の理想的な数値は、企業ごとの経営戦略によるため、一概には言えません。

 

ちなみに、日本企業の売上高営業利益率ランキングでトップの「アサックス」は71.08%となっています。

アサックスは不動産担保ローンを扱う会社で、商品の製造・販売など実際の「モノ」を扱う業種より、サービスを扱う業種の方が売上高営業利益率は高いです。

 

全業種での売上高営業利益率の平均値は3.4%となっていて、物販関係の業種ごとの平均値は以下の通りです。

・製造業:4.7%

・卸売業:1.4%

・小売業:2.7%

 

人件費や設備費用が多くかかる製造業・小売業では、全体的に売上高営業利益率が高く、その間の卸売業ではやや低めという傾向があります。

 

5.≪まとめ≫

営業利益はその企業が本業で稼いだ金額から、仕入原価や経費を引いたものです。

会社の中心的な事業が、どれだけの利益をあげているのかという指標になります。

 

売上総利益や経常利益と比較することで、本業の経営が順調かどうか、仕入れノウハウが優れているかどうかを判断できます。

今回お伝えした知識を、企業研究や経営分析をする時にぜひ役立ててみてください。

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2020/01/22 「雑所得」に含まれる収入と申告方法

雑所得には、年金・副業による収入・先物取引やFXによる収入などが含まれます。

会社員は20万円以上、その他の方は1円でも雑所得があると、確定申告が必要です。

 

今回は、雑所得の具体例や計算方法、確定申告の方法について詳しくご紹介いたします。

無申告だと追徴課税を課せられる可能性もあるので、雑所得がある方は申告方法を知っておきましょう。

 

 

1.≪雑所得とは?概要と具体例≫

雑所得とは、定義付けされた9種類の所得に含まれない、その他の所得のことです。

まずは、雑所得と他の所得の違いや、雑所得が発生する具体例などを解説していきます。

 

(1)所得の種類

所得は、その発生理由によって9種類に分類されています。

 

・利子所得:預金・貸付金などの利子

・配当所得:株式などの配当金

・不動産所得:所有する不動産から得る家賃地代

・事業所得:事業を行なって得た所得

・給与所得:会社から得た給与・賞与

・退職所得:退職金

・山林所得:所有する山林の木などを譲渡して得た所得

・譲渡所得:土地・建物・株式・会員権などを譲渡して得た所得

・一時所得:懸賞・ギャンブルの払戻金・生命保険の一時金など一度限りの所得

 

これらのどの種類にも当てはまらない所得を、雑所得と呼びます。

 

(2)雑収入・事業所得・一時所得との違い

雑所得と雑収入は、言葉は似ていますが違う意味を持っています。

 

まず雑所得とは、先にも解説した通り、定められた9つのカテゴリに含まれない所得のことです。

一方、雑収入とは、事業に関連して得た本業以外の収入のこと。例えば、事業を行う中で得た空き箱などを売却した収入や、会社のものを貸し出した時のリース料などが該当します。

この雑収入は、事業に関連しているものなので事業所得に含まれ、雑所得とは根本から異なるものなのです。

 

次に、一時所得と雑所得の違いは、一時的なものかどうか、また儲けようとして得たものどうかで判断します。

一時所得に含まれる懸賞やギャンブル等の払戻金、生命保険の一時金などは、基本的に一度限りかつ偶発的で、事業や労働の対価として得たものではありません。

 

そういった一時所得の条件を満たさず、かつ他の所得に当てはまらないものを雑所得と呼びます。

 

(3)雑所得の具体例

雑所得の具体例を挙げると、以下のようなものがあります。

 

・年金・恩給など公的年金

・副業による収入

・ネットオークションの売上金

・先物取引・FX・仮想通貨などで得た収益

・本業以外で得た原稿料・印税・講演料など

・非営業用貸金の利子

・外貨建預金の為替差益

・生命保険などの個人年金保険

・税務署等からの還付金

 

2.≪雑所得と税額の計算方法≫

それでは、雑所得と、雑所得に課せられる税額の計算方法を解説していきます。

 

(1)雑所得の計算方法

雑所得の計算方法は、公的年金とその他の雑所得で異なります。

 

・公的年金:収入金額ー公的年金等控除額=公的年金等の雑所得

・その他の雑所得:総収入金額ー必要経費=その他の雑所得

 

年金所得とその他の雑所得が両方ある場合は、この2つの合計を計算します。

 

(2)雑所得の税額は?

雑所得は給与所得など他の全ての所得と合計して総所得額を算出し、そこに所得税率をかけて税額を計算します。

所得税は累進課税制度が採用されていて、所得額が上がると税率も上がる仕組みです。

 

所得額に対する、所得税の税率一覧は以下の通り。

 

〜195万円:5%

195〜330万円:10%

330〜695万円:20%

695〜900万円:23%

900〜1,800万円:33%

1,800〜4,000万円:40% 

4,000万円〜:45%

 

ただし、雑所得のうち、先物取引によるものは申告分離課税の対象です。

申告分離課税とは、一時的に大きな金額が手に入ったとき、その分だけを所得と切り離して考えることで、実情に沿わない高額納税を避ける制度です。

先物取引で出た雑所得には、金額に関わらず一律で20.135%の税率が課せられます。

 

3.≪雑所得の確定申告はどうする?≫

雑所得が生じた場合には、一定の場合をのぞいて確定申告が必要です。

雑所得の確定申告が必要なケースや、具体的な申告方法を解説していきます。

 

(1)20万円以下なら申告不要?

「20万円以下の雑所得なら、申告不要」という話を聞いたことがある人も多いと思います。

 

しかし、これが適用されるのは、サラリーマンなど会社から給与所得を得ている人のみです。

例えばサラリーマンが副業をしたり、ネットオークションで物を売ったりして雑収入を得た場合なら、その金額が年間20万円以下なら確定申告の必要がありません。(ただし、住民税の申告は所得の金額の大小に関係なく必要になります。)

それ以外のフリーランスや主婦/主夫などの方は、雑収入が20万円以下であっても確定申告が必要です。

 

また、給与収入を得ている場合でも、年収が2,000万円以上の方、会社で年末調整を受けていない方は確定申告を行います。

 

(2)申告免除でも住民税申告が必要なケースとは

雑所得が20万円以下で、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は必須です。

なぜなら、所得税を納めるのは国、住民税を納めるのは地方自治体で、それぞれ申告要件が異なるためです。

雑所得が20万円以下で所得税の申告が不要だからといって、住民税の申告を行わないと、無申告と見なされてしまいます。

 

雑所得が20万円以上あり所得税の確定申告を行なった場合には、そのデータが住民税の計算にも流用されるため、改めて申告する必要はありません。

 

(3)認められる必要経費・認められない必要経費

必要経費とは、その所得を得るために必要な経費のことです。

 

例えば、商品を仕入れ、ネットショップで販売して収入を得ているなら、

・商品の仕入れ代金

・ネットショップのシステム利用料

・ラッピングや送料

・通信費

・交通費

・パソコンやスマートフォンの購入費

・家賃や倉庫の賃料

・賃貸物件を維持するための光熱費

・販促費・広告費

・業務のための借入金の利息

などが必要経費と認められます。

 

ただし、自宅で業務を行なっている場合、部屋・パソコン・通信費・光熱費などはプライベートで使うこともあるでしょう。

その場合は家事按分といって、それらを業務に使用している面積・時間などの割合をかかった金額にかけたものが必要経費として認められます。

 

完全にプライベートで使った費用や、確定申告で所得控除の対象となる生命保険などは必要経費として認められません。

雑所得の金額は、稼いだ総額ではなく、総額からこれらの必要経費を差し引いて計算します。

 

(4)雑所得の申告方法の具体例

それでは具体的な雑所得の申告方法を、ケース別に解説していきます。

 

①サラリーマンの副業

サラリーマンが副業で20万円以上の雑所得を得ている場合、確定申告が必要です。

 

まず、副業で得た収入の総額から必要経費を差し引き、雑所得の金額を算出します。

所得が給与所得と雑所得のみの場合は、確定申告書Aを使い、源泉徴収票と帳簿を参考にして収入金額と所得金額を書き込みましょう。

 

副業をしていることを会社に知られたくない場合には、会社に住民税の通知が届かないよう第二表にある「住民税に関する事項」の「自分で納付」に〇をつけて提出します。

 

②オークションやフリマなどの収入

ネットオークションやフリマを利用して収入を得た場合、課税対象にならない取引もあります。

それは、生活用動産の売買です。

 

生活用動産とは、生活に必要な動産(不動産以外の財産)うち、30万円以下のものです。

家具・衣服・書籍・自動車・安価な貴金属などの取引は非課税となるので、20万円以上の所得があっても確定申告の必要はありません。

 

一方、30万円以上の高級品を売却した場合は、その所得を雑所得として確定申告する必要があります。

確定申告の方法は上記で説明したサラリーマンのケースと同様で、給与所得がなく雑所得のみの場合には、該当する項目にだけ記入します。

 

③確定申告に必要な書類

確定申告書はAとBの2種類です。

その年に得た所得が、給与所得・雑所得・総合課税の配当所得・一時所得のいずれかの場合は、確定申告書Aを使用します。他に事業所得・山林所得・不動産所得などがある場合には、確定申告書Bを使用します。

 

他に確定申告に必要な書類は、以下の通りです。

・本人確認書類

・所得を証明する書類(源泉徴収票・支払調書など)

・控除を受けるための書類

 

4.≪雑所得の確定申告を行うメリット≫

雑所得の確定申告を行うメリットは、払いすぎた税金が還付される可能性があることです。

副業でも、支払い元が所得税を源泉徴収している場合があり、その場合は払いすぎた所得税が戻ってきます。

 

また、雑所得は確定申告をしない場合のリスクが大きく、税務署に無申告がバレてしまうと追徴課税が課せられる可能性があります。

追徴課税の税率は重く、実際に支払うべきだった税額よりかなり余計な出費になってしまうため、雑所得があった場合には正直に申告しておいた方がいいのです。

 

5.≪まとめ≫

雑所得は、定められた所得のカテゴリに当てはまらない、年金・副業・先物取引などで得た所得のことです。

年末調整を受けているサラリーマンは、雑所得が20万円以下であれば確定申告の必要がありませんが、その他の方は雑所得の金額がいくらでも申告をする必要があります。

 

また、所得税の確定申告が必要ない方も、住民税の申告は必須です。

無申告の場合は重い追徴課税が課せられることもあるので、雑所得を得た方は申告を忘れないようにしましょう。

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2019/09/04 単式簿記とは?【複式簿記との違いを解説】

単式簿記とは、2つある帳簿付けの方法のうちシンプルで簡単なものです。簿記の知識がなくても帳簿付けをすることが可能ですが、複式簿記より記録しておける内容が少ないのがデメリット。

 

今回は、そんな単式簿記と複式簿記の違いや、単式簿記で帳簿付けする方法を具体的に解説していきます。

メリット・デメリットを把握して、自分に最適な帳簿付けの方法を選びましょう。

 

 

1.≪単式簿記とは?≫

単式簿記とは「簿記」の記帳方法の一つです。対になる言葉として「複式簿記」があり、単式簿記の方が複式簿記よりもシンプルで簡単です。

 

そもそも「簿記」とは、会計報告を行うために帳簿をつけること。この帳簿を元に会計業務を行い、会社や個人事業の財務状況を報告します。

 

(1)単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記と複式簿記の違いは、1回の取引につき、1つの項目を使うか、複数の項目を使うか。

単式簿記では「収入or支出」と「勘定科目」「金額」のみを一列に書き記します。複式簿記では帳簿を左右で「借方」と「貸方」に分け、借方と貸方の金額が同じになるように記帳していきます。

 

言葉の説明だけではわかりづらいので、具体的な例を見ていきましょう。

同じ取引を単式簿記と複式簿記のそれぞれの方法で記帳すると、以下のようになります。

 

例1 ◯月◯日、金融機関から100,000円の借り入れを行なった場合

 

単式簿記:◯月◯日 収入 借入金 100,000円

複式簿記:◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

 

例2 △月△日、10,000円の電気代を現金で支払った場合

 

単式簿記:△月△日 支出 電気代 10,000円

複式簿記:△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

 

例3 ×月×日、50,000円の商品を売って現金を受け取った場合

 

単式簿記:×月×日 収入 商品売上 50,000円

複式簿記:×月×日 現金 10,000円 / 商品売上 10,000円

 

そして、これらの取引が行われた後、単式簿記の帳簿は以下のようになっています。

◯月◯日 収入 借入金 100,000円

△月△日 支出 電気代 10,000円

×月×日 収入 商品売上 50,000円

 

単式簿記の場合は、お金の出入りを「収入・支出」の2パターンのみで管理します。そのため、収入の総額から支出の総額を引けば、収益がプラスかマイナスかがすぐにわかります。

この例だと、借入金10万円から支払いで1万円が減り、そのあと5万円の売上が入ったので、現在「14万円」のプラスだということがわかりますね。

ただし、「預金」「現金」という区別はないので、口座にあるべき金額はいくらか、手元にあるべき金額はいくらかということはわかりません。

 

また、単式簿記ではあとで返済する必要がある借入金も「収入」として計算してしまうので、最終的に手元に残る利益は「4万円」だという情報もわかりません。

さらに、帳簿を付け始める以前の預金額や借り入れ総額もわからないので、会社の会計の大枠を把握するのは難しいです。

 

次に、同じ取引が行われた後の複式簿記の帳簿を見てみましょう。

 

◯月◯日 普通預金 100,000円 / 借入金 100,000円

△月△日 電気代 10,000円 / 現金 10,000円

×月×日 現金 50,000円 / 商品売上 50,000円

 

こちらでは、例えば「電気代を支払った」という情報だけではなく、「電気代を現金で支払った」という情報がわかります。借入金の10万円は普通預金に入り、現金として手元にあるのは4万円だという情報もわかりますね。

複式簿記は単式簿記よりも書き方が複雑ですが、複式簿記の帳簿からは単式簿記よりも多くの情報が読み取ることができるのです。

 

また、複式簿記の場合は、お金の出入りを「資産・負債・純資産・収益・費用」の5つに分けて管理します。

上記の取引だと、「借入金」は「負債」、「電気代」は「費用」、「商品売上」は「収益」です。

 

そして、会計業務の際はこの帳簿をもとに「貸借対照表」と「損益計算書」を作成します。

これは「資産・負債・純資産・収益・費用」それぞれのカテゴリの総額はいくらなのかを算出するものです。これにより、会社がどのような財務状況にあるのかを詳しく分析することが可能になります。

 

(2)単式簿記は目的のみを記録する

単式簿記では、取引により現金が増えたのか・減ったのかという「収入・支出」と、その取引の目的のみを記録します。

「収入」のカテゴリになるのは、勘定科目でいうと借入金・売上金・事業主貸など。逆に「支出」になる勘定科目は、地代家賃・仕入・水道光熱費・通信費・給料賃金など全ての出費です。

 

そして、単式簿記では取引の「手段」の記録はしません。

手段というのは、現金のやりとりがあったのか、クレジットカードや売掛・買掛などで後払いになったのか、口座に振り込みをしたのか…などの支払い方法のことです。そのため、取引にかかった金額の出所はどこなのか、どこに入ったのかという情報はわかりません。

 

個人事業主や規模の小さい会社で、複雑な取引はなく現金の出入りさえわかればいいという場合は単式簿記でも十分です。

しかし大規模な会社では詳細な財務状況の把握が必要になるので、単式簿記が採用されることはほぼありません。

 

2.≪単式簿記のメリット・デメリット≫

それでは、単式簿記のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

(1)単式簿記のメリット

  • 簿記の知識がなくても記帳できる
  • 現金のプラス・マイナスがすぐにわかる
  • 作業工程数が複式簿記より少ない

 

まず、単式簿記の大きなメリットは簿記の知識がなくても記帳できること。

その取引が「収入」か「支出」なのかということは誰でも直感的にわかりますから、付け間違いも少ないです。家計簿をつける感覚で、誰でも帳簿付けができます。

確定申告も、白色申告なら単式簿記の帳簿付けで問題ないので、大きな控除枠が必要ない場合は手間が省けるでしょう。

 

また、単式簿記の帳簿は「収入-支出」というシンプルな計算で総計ができるので、収益がプラスかマイナスかということが一目でわかります。

詳細な経営状況の分析は必要なく、ざっくりプラスかマイナスかわかればいいという場合も単式簿記で十分ですね。

 

そして、単式簿記の場合は、複式簿記のように「貸借対照表」や「損益計算書」に発展させる必要がありません。

複式簿記が他の会計書類を作るための土台としての意味合いが強いのに比べ、単式簿記はそれだけで完結しているのです。

 

(2)単式簿記のデメリット

  • 経営状況が把握しづらい
  • 青色申告ができず、控除額が減る

 

単式簿記のデメリットは、記録しておける情報が少なく経営状況の把握がしづらいこと。ある程度規模が大きく、借入金や株式の配当、買掛金、売掛金など複雑な取引がある事業の帳簿付けは、単式簿記では無理でしょう。

 

また、確定申告で「青色申告」をするためには複式簿記での帳簿付けが義務付けられています。

10万円・65万円の青色申告控除など、青色申告は税制で優遇されるポイントがたくさん。単式簿記の帳簿ではこの優遇が受けられないので、納税額で損をしてしまう可能性があります。

 

3.≪単式簿記の書き方・記入例≫

先の例では不要な項目を省略しましたが、実際に単式簿記で記帳するときには以下の項目が必要です。

1つの取引ごとに、それぞれの項目を埋めて表を作っていくイメージです。

 

  • 日付
  • 収入or支出
  • 勘定科目
  • 金額
  • 摘要

 

記入例

◯月◯日 収入 借入金 100,000円 A銀行

△月△日 支出 電気代 10,000円 B電力

×月×日 収入 商品売上 50,000円 C株式会社

 

4.≪単式簿記の帳簿を作成する方法≫

単式簿記はノートに手書き・エクセル・会計ソフトなどで簡単に作成することができます。会計ソフトを使えば、最初から必要な項目や勘定科目のリストが用意されているので簡単です。

しかし、単式簿記にはあまり多くの項目は必要ないので、手書きやエクセルで1から作成してもそこまで手間はかかりません。

 

5.≪まとめ≫

単式簿記は簿記の知識がなくても作成しやすく、初心者におすすめの帳簿付けの方法です。収益のプラス・マイナスを一目で把握でき、確定申告も白色申告なら単式簿記の帳簿でできます。

 

ただし、事業が大きくなってくると詳細な経営状況は把握できず、複式簿記に切り替えざるを得ません

単式簿記の帳簿では青色申告もできないため、納税額で損をしてしまうというデメリットも把握しておきましょう。

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2019/08/12 青色申告と白色申告の違いとは?【メリット・デメリットを解説】

確定申告とは、税務署に前年の所得額を申告して納税額を確定させる作業のことです。38万円を超える所得があれば個人・法人ともに行う必要がありますが、うっかり忘れてしまうと追徴課税が課せられることも。

今回は、確定申告の種類である「青色申告」「白色申告」について詳しく解説します。自分に適した確定申告の種類を知っておくことは、大幅な節税にも繋がりますよ。

 

 

1.≪確定申告における青色申告と白色申告の違いとは?≫

確定申告とは、その年にあった収入や控除額を税務署に申告し、納税すべき税額を決める手続きのことです。

 

(1)確定申告の種類

確定申告には青色申告(10万円控除・65万円控除)と白色申告があります。

青色申告と白色申告は、大まかに言うと必要になる帳簿の書き方と控除額が違います。

 

・青色申告(65万円控除):青色申告承認申請書が必要・複式簿記・特別控除65万円+基礎控除38万円

・青色申告(10万円控除):青色申告承認申請書が必要・簡易簿記・特別控除10万円+基礎控除38万円

・白色申告:事前の申請必要なし・簡易な記帳・基礎控除38万円のみ

 

また、青色申告をするのは事業所得を得ている人(個人事業主)や法人と不動産所得を得ている人のみ。

その他の人や、青色申告承認申請書を提出していない人・法人は白色申告を行います。

 

(2)誰が確定申告をする必要がある?

確定申告は個人・法人で38万円以上の所得があった人や、給与以外の収入が20万円以上あった人が行います。

 

・配当所得があった人

・不動産所得があった人

・事業所得があった人(個人事業主)

・給与所得があった人(2箇所以上から給与を得ている人や、職場で年末調整を受けていない人)

・退職所得があった人

・譲渡所得があった人

・山林所得があった人

・一時所得があった人

・雑所得があった人(年金、副業による所得などがあった人)

 

給与所得を1箇所のみから得ていて、所属している会社が年末調整を行なっている場合(一般的なサラリーマンなど)は確定申告する必要はありません。

ただし、給与に加えて副業などの所得があった場合や、住宅購入や寄付などをして控除を受ける場合にはサラリーマンも確定申告の必要があります。

 

(3)確定申告の提出時期・期間は

確定申告の提出期限は、毎年2月16日~3月15日。2月16日と3月15日に土曜日・日曜日が重なる場合には、それぞれ後ろ倒しになります。

 

2.≪青色申告と白色申告のメリット&デメリット≫

それでは、青色申告と白色申告の違いやメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

 

(1)青色申告のメリット

  • 青色申告特別控除
  • 純損失の繰越し控除
  • 青色専従者給与
  • 少額減価償却の特例
  • 家事按分

 

青色申告のメリットは全部でこの5つ。具体的にどのような利点があるのでしょうか。

 

  • 青色申告特別控除

青色申告の最大のメリットは、白色申告より控除額が大きいことです。「青色申告特別控除」といって、帳簿の付け方によって基礎控除に加えて「10万円」「65万円」の控除枠がもらえます。この控除があると、収入額のうち10万円・65万円が無条件に非課税ということになるので、大幅に所得税を節約できます。

 

  • 純損失の繰越し控除

青色申告では、事業が赤字となった場合、その赤字額を3年まで繰り越すことができます。例えば、1年目は100万円の赤字・2年目も100万円の赤字・3年目は200万円の黒字が出た場合、過去2年の赤字を繰り越して3年目の事業所得を0とすることができます。

1年ごとに税額を計算する白色申告では、3年目の200万円にそのまま課税されてしまうので、収入が年によって不安定な場合も青色申告にメリットがあります。

 

  • 青色専従者給与

青色申告は「専従者給与」でも優遇されています。白色申告の場合、家族など生計を同一にする従業員を雇っていた場合、専従者給与として差し引けるのは、配偶者86万円、その他の親族は50万円と決まっています。一方青色申告では、妥当性のある金額であれば専従者給与に上限が設けられていません。

ただし、このシステムを利用するためには、その年の3月15日までに税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。

 

  • 少額減価償却の特例

白色申告の場合、事業に必要な機材などの購入で、一括で減価償却できるのは10万円までです。10万円を超えた分は、耐用年数に応じて少しずつ経費として計上します。

青色申告ではこの一括減価償却が30万円まで可能。これを「少額減価償却の特例」と言います。一括で経費に算入できる額が大きくなるので課税所得が減り、納税額の調整が可能です。

 

  • 家事按分

自宅などで事業を行なっている場合、「家事按分」といって家賃や光熱費などの一部を経費として算入できるシステムがあります。家事按分自体は白色申告にも認められていますが、青色申告ではその範囲が異なります。

白色申告では家事関連の主な部分が業務に関わっていなければ認められませんが、青色申告では業務に必要なことが明白であれば経費に認められます。

 

(2)青色申告のデメリット

一方で、青色申告のデメリットはこの2つです。

 

  • 青色申告承認申請書が必要
  • 帳簿付けが複雑

 

  • 青色申告承認申請書が必要

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。年度の途中で開業した場合には、開業から2カ月以内に提出しなければならなりません。

そのため、確定申告直前に、いきなり「青色申告をしよう!」と思い立ってできるものではないのです。

 

  • 帳簿付けが複雑

青色申告の65万円控除を受けるためには、複式簿記で帳簿をつけなければいけません。手書きで複式簿記をつけるには、専門的な知識が必要ですし手間もかかります。

手間を減らすために会計ソフトを利用したり、税理士事務所に依頼したりするためにもコストがかかるというのがデメリットです。

 

(3)白色申告のメリット

白色申告のメリットは、記帳が簡単で手間が少ないことです。収支内訳書に売上や経費などを記入するだけの、シンプルな帳簿で申告が認められます。

青色申告のように事前申請等も必要がないので、節税よりも時間の節約を選びたい場合におすすめです。

 

(4)白色申告のデメリット

白色申告のデメリットは、以下の2つです。

 

  • 特別控除枠がない
  • 赤字を繰り越せない

 

  • 特別控除枠がない

白色申告で受けることができる控除は、どんな人も無条件で受けられる「基礎控除38万円」のみ。帳簿付けの手間は実質的に「青色申告10万円控除」と変わらないため、青色承認申請書を提出するだけで、追加で10万円の控除を受けることができます。

 

  • 赤字を繰り越せない

先の項目でも触れましたが、白色申告では青色申告とは違い赤字の繰り越しができません。そのため、赤字の年は青色・白色ともに非課税になりますが、黒字の年は過去の赤字で所得を打ち消せない白色申告の方が税額は重くなります。

業績が赤字と黒字を繰り返している場合には、青色申告の方が適しているのです。

 

3.≪個人の青色申告・白色申告について≫

それでは、個人が確定申告をする場合の流れについて、詳しく見ていきましょう。

 

(1)個人は「所得税」

個人が確定申告を行う目的は「所得税」の金額を算定するためです。ちなみに住民税も同じ所得額から計算されるので、「住民税」の金額もここで確定します。

 

(2)個人の青色申告・白色申告の流れ

個人が確定申告をする場合の流れは、以下の5ステップです。

 

  1. 青色申告の場合、「青色申告承認申請書」を提出する
  2. 請求書や領収書を保管しておく・帳簿をつけておく
  3. 確定申告書を入手する
  4. 確定申告書に記入する
  5. 確定申告書を提出する

 

  • 青色申告の場合、「青色申告承認申請書」を提出する

繰り返しになりますが、青色申告をするためには事前に申請が必要です。

また、個人で青色申告が認められるのは「個人事業主」のため、「開業届」を提出して事業主になる必要があります。

 

  • 請求書や領収書を保管しておく・帳簿をつけておく

確定申告には1年分の収支の証明が必要です。1月1日~12月31日までの収支を、それぞれの申告に必要な方法で記録し、その証明となる請求書・領収書を保管しておきましょう。

 

  • 確定申告書を入手する

確定申告書は税務署や市区町村役所の税務課で直接入手したり、税務署のホームページからダウンロードしたりできます。

 

  • 確定申告書に記入する

①住所・氏名などの基本情報を記入する

②所得金額を項目別に記入する

③控除額を項目別に記入する

  • 所得金額から控除額を差し引き、課税所得を算出する

④課税所得を元に納税額を計算し、記入する

 

⑤確定申告書を提出する

確定申告書の提出は、所轄の税務署の窓口に直接提出・郵送・e-Tax3つの方法で行えます。

提出時に必要な書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 収支内訳書(白色申告の場合)
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)
  • 医療費控除の明細書(医療費控除を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得があった場合)
  • 寄附金の受領証明(ふるさと納税等、寄付をした場合)

 

(3)青色申告向きなのはこんな人

青色申告に向いているのは、以下のような人です。

 

  • 個人事業主・不動産所得がある人・山林所得がある人
  • 特別控除を受けて節税したい人
  • 複式簿記で帳簿付けができる人
  • 年によって年収にばらつきがある人
  • 家族・親族を従業員として雇用している人
  • 自宅で仕事をしているなど家事按分で節税できる人

 

(4)白色申告向きなのはこんな人

  • サラリーマンなど、個人事業主以外の人
  • 給与所得や副業での所得など、青色申告できない所得がある人
  • 帳簿付けが手間だと感じる人

 

青色申告で申告できるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のみです。その他の「給与所得」「退職所得」「雑所得」などの収入があった場合には、青色申告はできません。

青色申告の方が白色申告よりメリット面が大きいので、基本的には青色申告できない所得があるかどうかが白色申告をするべき人の見分け方です。

 

4.≪会社の青色申告・白色申告について≫

最後に、会社が確定申告をする場合の流れについて見ていきます。

 

(1)会社は「法人税」

会社が確定申告をするのは「法人税」の納税額を確定するためです。法人の種類と規模によって適用される法人税率が異なるため、自社の法人税率を事前に把握しておきましょう。

 

(2)法人税申告の青色申告と白色申告の流れ

法人税申告の際の流れは、次の4ステップです。

 

  1. 決算の確定
  2. 税務調整をする
  3. 添付書類を用意する
  4. 法人税申告書を提出する

 

決算の確定

法人税の確定申告には、まず決算の確定が必要です。会計上のルールに従って、その年の収支や財務状況を整理します。

 

②税務調整をする

会計上の利益を税務上の利益に適応させるため、調整を行います。そして、法人税申告書の別表を使い、課税所得と法人税額を計算して記入します。

 

③添付書類を用意する

法人税の確定申告に必要な添付書類を準備します。

必要な書類は、以下の5つです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 勘定科目内訳書
  • 法人事業概況説明書

 

④法人税申告書を提出する

添付書類と法人税申告書を税務署に持参するか、郵送・e-Taxで提出します。

 

(3)便利な会計ソフト

法人であれば多くの場合税理士に確定申告を依頼しますが、そうではない場合は会計ソフトが便利です。必要項目を入力するだけで、帳簿付けや確定申告書の作成が自動で完了します。

税理士に丸投げするよりは手間や知識が必要になりますが、コストを大幅に節約することが可能です。

 

5.≪まとめ≫

青色申告には、10万円・65万円の特別控除枠をはじめとしたメリットがたくさん。白色申告にも帳簿付けが義務付けられたので、手間の面では青色申告もあまり大きな差がありません。

所得税・法人税を節税したい場合や、年によって所得にばらつきがある場合は、青色申告が断然有利です。

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2019/07/24 確定申告書の種類・提出方法を解説!

確定申告の書類は種類が色々あって、毎年混乱してしまいますよね。また、普段は確定申告をしないサラリーマンの方も、特定の収入・出費があったときは確定申告をする必要があります。

今回は、確定申告のどの種類の書類が、どんなケースで必要になるのかを具体的に解説していきます。作成した書類の提出方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

 

1.≪確定申告の用紙の種類≫

確定申告の種類は大きく分けて2種類で、

 

・確定申告書A

・確定申告書B

 

があります。

 

さらに、特定の収入や支出があった時には

・申告書第三表

・申告書第四表

・申告書第五表

・住宅借入金特別控除額の計算明細書

・医療費の明細書

という添付書類も必要です。

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

(1)「確定申告書A」

確定申告書Aを使うのは、

・会社員・パート・アルバイトで勤務先からお給料をもらっている人

・老齢年金をもらっている人

・株の配当金をもらっている人

・生命保険の一時金をもらった人

などです。

 

  • 4つの所得に特化

確定申告書Aが対応している所得の種類は、

 

・給与所得:給与・俸給・賃金・賞与など

・雑所得:国民年金・厚生年金・恩給・確定給付企業年金・確定拠出年金・外国年金など

・配当所得:株式などの配当・投資信託の収益の配当など

・一時所得:生命保険の一時金・損害保険の満期払戻金・賞金・懸賞の当選金・ギャンブルの払戻金など

 

の4つのみです。

これ以外の所得がある人は、確定申告書Bを使います。

 

  • 年末調整を受けていない人などが使える

一般的に確定申告書Aを使うのは、会社員・アルバイト・パート、年金受給者などで年末調整を受けていない人です。一般的な会社では、年末調整が行われるため確定申告の必要はありません。

 

具体的に確定申告書Aが必要なケースとしては、

・アルバイトなどを掛け持ちしていて複数箇所から給与を得ている場合

・年末調整に算入されない一時所得があった場合

・公的年金の収入金額が、公的年金等控除+基礎控除の合計額(108〜158万円)を上回る場合

などが挙げられます。

 

  • 予定納税がある場合は使用不可

確定申告書Aは予定納税がある場合は使用できません。予定納税とは、前年の所得税が15万円以上だった場合に前払いで納める税金のことです。

 

(2)「確定申告書B」

確定申告書Bは、確定申告書Aよりも項目が多く、多様な所得に対応している確定申告書です。

・アパートやマンションの経営をしている人

・フリーランスで仕事をしている人

・自営業者

などが確定申告書Bを使用します。

 

  • 10種類すべての所得に対応

確定申告書Bは、全ての所得の区分に対応しています。区分は以下の10種類です。

 

・給与所得:給与・俸給・賃金・賞与など

・雑所得:国民年金・厚生年金・恩給・確定給付企業年金・確定拠出年金・外国年金など

・配当所得:株式などの配当・投資信託の収益の配当など

・一時所得:生命保険の一時金・損害保険の満期払戻金・賞金・懸賞の当選金・ギャンブルの払戻金など

・利子所得:公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配など

・不動産所得:不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得

・事業所得:商業・工業・農業・漁業・自由業など、事業から生じる所得

・退職所得:退職金など

・山林所得:5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得

・譲渡所得:資産を売却して得た所得

 

参考:金融広報中央委員会 知るぽると

 

  • 給与所得・雑所得・配当所得・一時所得だけでもok

確定申告書Aに対応している給与所得・雑所得・配当所得・一時所得しかない人も、確定申告書Bを使用することが可能です。記入できる項目は確定申告書Bの方が多いですが、確定申告書Aを使える人はその部分が空欄になるだけです。

確定申告書Bが正式なバージョン、確定申告書Aは簡易バージョンと考えるとわかりやすいですね。

 

  • 退職金を貰った人や個人事業主、誰でも使える

確定申告書Bは、確定申告書Aに記載できない所得がある人全てが使えます。

例えば、

・退職金をもらった人

・個人事業主やフリーランスで仕事をしている人

・不動産収入を得ている人

など、給与所得以外で生活している人が主に該当します。

 

  • 青色・分離・国出・損失・修正とは

確定申告書Bには、氏名や住所を書く欄の下に「種類」という項目があります。青色・分離・国出・損失・修正と種類が並んでいて丸をつけるようになっていますが、これらは以下のような意味を持っています。

 

・青色:青色申告(個人事業主向けの、特別控除が受けられる申告方法)を行う人

・分離:分離課税(特定の所得をほかと分けて計算する申告方法)を行う人

・国出:国外転出時課税制度が適用となる人

・損失:損失申告を行う人

・修正:一度確定申告したあと、修正があり再度提出する人

 

当てはまるもの全てに丸をつけ、確定申告を行います。なお、一つも当てはまらなければ何も書かなくてOKです。

 

(3)(確定申告書Bに添付する)「申告書第三表(分離課税用)」

特定の取引収入があった場合は、確定申告書Bに「申告書第三表(分離課税用)」を添付する必要があります。

 

  • 土地・建物や株式の譲渡、先物取引、FX取引がある人

申告書第三表を使うのは、

・土地・建物の譲渡

・株式などの譲渡

・FX取引や先物取引

などを行った人です。

 

これらの所得は、他の所得と切り離して特定の税率をかける「分離課税」に該当するためです。もし、普段は給与所得のみで生活していても、不動産や株式を売って収入を得たり、FXや先物取引で一定以上の利益を出したりした時には、確定申告Bと申告書第三表が必要になります。

 

(4)「申告書第四表(損失申告用)」

申告書第四表が必要になるのは、以下のようなケースです。

 

・事業やで赤字が出た場合

・株式や不動産、FXなどの取引で赤字が出た場合

・生活に必要な資産が災害・盗難・横領などの被害を受けた場合

 

これらの損失を申告すると、その金額を翌年以降の所得から差し引くことができ、結果的に支払う税金の額が軽減されます。

 

(5)「申告書第四表(損失申告用)付表 東日本大震災の被災者の方用」

損失の中でも、東日本大震災によって資産が被害を受けた場合であれば、申告書第四表に加えてこの付表を記入し提出します。

 

(6)「申告書第五表(修正申告用)」

一度提出した確定申告書に間違いがあり、修正したい場合は「申告書第五表」を用います。

修正申告は必ず追加で税金を納入しなければいけないので、納税者にとって得な手続きではありません。しかし、間違った申告を放っておくと、延滞税やその他の罰金を支払うことになる恐れがあります。そのため、確定申告の内容に間違いが見つかった場合は、なるべく速やかに修正申告をして是正しましょう。

 

(7)「住宅借入金特別控除額の計算明細書」

「住宅借入金特別控除額の計算明細書」は、住宅を購入するためにローンを組んだ人が使用する書類です。

 

  • 住宅ローン控除を受けるための書類

住宅ローン控除とは、住宅ローン残高に合わせて最大40万円(認定長期優良住宅等の場合は最大50万円)の控除を受けられる仕組みのことです。最大10年、計400〜500万円の控除を受けられるお得な制度なので、ローンを組んで住宅を購入した場合は申告しないと絶対に損です。通常、「住宅借入金特別控除額の計算明細書」は住宅ローンを組んだ金融機関から送付されてきます。

 

  • 「確定申告書A/B」に加えて作成するもの

住宅借入金特別控除額の計算明細書は、この1枚だけでは提出できません。

・サラリーマンなど給与収入を得ている人:確定申告書A

・自営業者などその他の収入を得ている人:確定申告書B

と一緒に作成し、提出します。

 

  • 会社員は1年目だけ確定申告 2年目以降は年末調整

会社員の場合、住宅ローン控除のために確定申告が必要なのは最初の1年目のみです。残りの年数分は、会社に「控除証明書」を提出すると年末調整に算入されます。

 

(8)「医療費の明細書」

1年間で10万円以上の医療費を支払った場合、「医療費の明細書」を確定申告書に添付すると、医療費控除を受けられます。

 

  • 医療費控除を受けるための書類

自分や自分が養っている家族の医療費が年間で合計10万円以上かかった時は、医療費控除を受けるために「医療費の明細書」を作成します。

ここでいう医療費には、以下のものが含まれます。

 

・医師に支払った診療費や治療費

・治療や療養に必要な医薬品の購入(風邪を引いた際の薬代等)

・あん摩マッサージ、はり師、きゅう師、柔道整復師に支払った代金

・出産費用

・市販の医薬品

・手術代金(一部例外あり)

・通院や入院のための交通費

 

  • 「確定申告書A/B」に加えて作成するもの

住宅借入金特別控除額の計算明細書と同じく、医療費の明細書はこの1枚だけでは提出できません。

・サラリーマンなど給与収入を得ている人:確定申告書A

・自営業者などその他の収入を得ている人:確定申告書B

と一緒に作成し、提出します。

 

2.≪白色申告と青色申告とは≫

個人事業主の確定申告方法には、

・白色申告

・青色申告

の2種類があります。

 

(1)申告方法の種類

白色申告と青色申告の違いは、以下の通りです。

 

・白色申告:届出不要、簡単な帳簿で提出できるが、節税効果は低い

・青色申告:白色申告より控除額が大きく、節税効果が高いが、複式帳簿が必要となる

 

(2)白色申告とは

白色申告、青色申告の申請書を提出していない事業者が行う確定申告の方法です。

 

  • 届出は不要

白色申告は届出不要で誰でもできる確定申告の方法です。手軽にできる分、控除枠や税制上の優遇措置は用意されていません。

 

  • 単式簿記でOK 比較的手間のかからない申告方法

2014年以前は、白色申告を行うのであれば帳簿付けは義務ではありませんでした。その後白色申告も記帳が義務付けられましたが、青色申告で使う複式帳簿ではなく単式帳簿でもOKとなっています。帳簿付けの手間が少なく、簿記の知識がなくてもできる申告方法です。

 

  • フリーランス収入の少ない人や経費の少ない人におすすめ

白色申告は、比較的収入の少ない人や、あまり経費がかからない人におすすめです。

そもそも収入や経費が多くなければ大きな控除枠は必要ないので、手間のかからない白色申告の方が時間の節約になります。

 

(3)青色申告とは

帳簿付けの手間はかかりますが、青色申告は税制上で優遇されることが多く、ある程度収入がある個人事業主におすすめの方法です。

 

  • 複式簿記で手間はかかるが特別控除が受けられるメリット

青色申告を行うには、複式簿記で記帳した帳簿が必要です。帳簿付けに手間はかかりますが、その分「10万円」または「65万円」の控除が無条件で受けられるというメリットがあります。

 

  • フリーランス収入が多く、節税したい人におすすめ

青色申告がおすすめなのは、ある程度フリーランスで収入があり、節税をしたい人です。

具体的には、所得税率が一気に上がる330万円以上の所得がある人は青色申告の方がお得になります。

 

  • 「青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要がある

青色申告を行うためには、「青色申告承認申請書」を提出しなければいけません。これにより税務署の承認を得て、青色申告をする権利を得られます。

ただし、承認といっても提出内容に不備や問題がない限り、税務署から特に連絡がくることはありません。

 

  • 新規開業時の申告期限

新規事業を開始した初年度から青色申告をしたい場合、開業日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

 

  • 白色申告からの申告期限

すでに白色申告を行なっていて青色申告に切り替えたい場合、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。

 

3.≪確定申告書を提出するには?≫

確定申告書を提出するには、

・WEB(e-Tax)

・税務署へ持参する

・税務署へ郵送する

の3つの方法があります。

 

(1)WEB(e-Tax)で提出可能

WEB(e-Tax)で確定申告書を提出する方法は、ペーパーレスかつ税務署に出向かなくて済むため手軽です。ただし、e-Taxを使用するためには、「電子申告等開始届出書」の提出やICカードリーダライタの購入などの事前準備が必要となります。

 

(2)税務署へ持参する

記入した確定申告書を税務署の窓口に直接持参することもできます。書き方がわからない人向けに相談会なども行われているので、確定申告初心者におすすめの方法です。

ただし、平日の日中しか税務署は開いていない上、確定申告の時期は窓口が混み合うため、提出に時間がかかります。

 

(3)税務署へ郵送する

封筒さえ準備すればいいため、郵送は手軽な提出方法です。提出用封筒と控えを受け取るための返信用封筒を用意し、所轄の税務署の住所へ送ります。

ただし、郵送に日数がかかるのと、もし不備があった場合は返送・再送が必要になるため、期日まで余裕を持って行うのがおすすめです。

 

4.≪まとめ≫

確定申告書の種類は2種類、添付書類には6種類があります。どれが必要なものなのかは自分で判断しなければいけないので、今回の記事を参考に選んでみてください。

また、個人事業主の場合は、白色申告・青色申告からも種類を選ぶ必要があります。青色申告に切り替えるのは、所得330万円をボーダーラインにするのがおすすめです。

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2019/03/14 貸借対照表の見方|合わないときはどうすればいい?

貸借対照表は、企業や個人事業の経営状態の判断の指標となる重要な書類です。確定申告の青色申告65万円控除にも必要な書類なので、個人事業主の方もきちんと書き方を覚える必要があります。

 

しかし、意外と貸借対照表の見方・書き方がわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな方に向けて貸借対照表の基礎知識を解説していきます。

 

 

1. ≪貸借対照表とは?≫

「貸借対照表」とは、バランスシートとも呼ばれることがある会計書類です。企業が持っている資産・負債・資本が現時点でいくらずつあるのかをまとめて記載してあるので、現在の財産状況が一目でわかるのが特徴です。

 

四半期や半期など、決算期ごとに作成したり、月末ごとに財産状況を確認したりするために作成します。

個人事業主が、青色申告65万円控除を適用して確定申告をする時にも必要になる書類です。

 

  1. ≪貸借対照表の見方≫

貸借対照表は、左側が「借方」、右側が「貸方」になっています。

左側(借方)には資産を記載していき、現在企業が持っているプラスの資産の額がわかります。右側(貸方)は上下に分かれていて、上部は負債、下部は純資産です。

負債は現在企業が負っている借金などのマイナスの資産、純資産は資本金など流動しない企業の運転資金を指します。

 

貸借対照表のどこに何が記載されているかわかったところで、貸借対照表の見方を解説していきます。

 

(1)貸借対照表の仕組み

貸借対照表は、左側の借方と右側の貸方が必ず同額になるようになっています。同額にならないときは何かが間違っているので、合うまでチェックが必要です。

貸借対照表の書き方や合わない時の対処方法は、後の項目で解説します。

 

貸借対照表は、資産・負債・資本の3つのバランスで、企業の財政が健全かどうかを判断できます。

詳しい見方について、次の項目で解説します。

 

(2)貸借対照表のここをチェックしよう!

  • 安全性の指標の一つ「自己資本比率」

貸借対照表の見方でまずチェックするのは、「自己資本比率」です。

自己資本比率は、以下の式で求めます。

 

自己資本比率 = 自己資本 / 総資本

 

この数字が高いほど、財産状況が健全な企業ということになります。

全ての資本の中で、企業の運営に使える資本金(純資産)が多いほど、経営が安定している・安全性が高いということです。やみくもに高ければ良いということではありませんが、大まかな経営状況の指標になります。

自己資本比率は、貸借対照表の見方でまずチェックすべき項目です。ちなみに、赤字企業の平均がマイナス4%~5%、黒字企業の平均が25%~26%くらいという統計もあります。

 

  • 会社の支払能力が分かる「流動比率」

貸借対照表の見方で次にチェックするのは「流動比率」です。

 

流動比率 = 流動資産 / 流動負債

 

流動比率は、という式で求めます。

流動資産とは、1年以内に現金化できる資産のことで、貸借対照表の借方の中でも最も上部に記載します。流動負債は、1年以内に返さなければならない負債のことです。

流動資産が流動負債より少なければ、1年以内に支払いができなくなり、資本金などを切り崩す必要があるということになります。逆に、流動資産が多いほど、支払能力に余裕があり経営が順調だということになります。

流動比率は、150%を超えるのが理想とされています。

 

  • 会社の支払能力を更に厳しくチェックする「当座比率」

次に、貸借対照表の見方でわかるのが「当座比率」です。

 

当座比率 = 当座資産 / 流動負債

 

という式で求めます。

当座資産とは、流動資産から1年以上回収できないリスクがある「棚卸資産」を除いたものです。売れ残る可能性がある在庫や、1年以内に廃棄する可能性がある在庫がこれに当たります。

当座比率とは、流動比率より厳しく支払能力をチェックするものです。当座比率は100%を超えるのが理想です。

 

  1. ≪貸借対照表の勘定科目リスト≫

先にご紹介したように、貸借対照表は大きく分けて「資産」「負債」「純資産」の3つの項目でできています。

それぞれの項目が細かな勘定科目に分かれるので、解説していきます。貸借対照表の詳しい見方や書き方を知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。

 

(1)会社の全財産である「資産」

左側の借方に書く「資産」は、「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分かれています。

それぞれ、さらに細かな勘定科目があるため、解説していきます。

 

「流動資産」

・現金預金:現金・預金など、企業が持っているキャッシュ

・売上債権:売掛金など、商品やサービスの対価として発生し、まだ受け取っていない金額

・有価証券:株券・国債などの中で、1年以内に満期になる金額

・棚卸資産:今後販売する商品や原材料などの在庫

・その他の流動資産:1年以内に返済される短期貸付金・仮払金・前渡金など

 

「固定資産」

・有形固定資産:土地・建物・車両・機械・備品など

・無形固定資産:電話加入権・特許権・借地権・ソフトウェアなど

・投資その他の資産:投資有価証券・関連会社株式・出資金・保証金など

 

「繰延資産」

・創立費・開業費・株式交付費・社債発行費・開発費

 

貸借対照表の借方欄は、これらの勘定科目の金額をそれぞれ記入し、最後に「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の合計と、それらの総合計の「資産合計」を算出します。

 

(2)返さなければならない「負債」

「負債」は、「流動負債」と「固定負債」の2つに分かれています。

流動負債は1年以内に返済しなければいけない負債、固定負債は返済期間が1年より長い負債のことを指します。

 

流動負債

・支払手形・買掛金・短期借入金・未払金・前受金・預り金など

 

固定負債

・社債・長期借入金・退職給付引当金など

 

負債は、それぞれ個別の勘定科目の金額を記入し、「流動負債」「固定負債」それぞれの合計を算出します。最後に「流動負債」と「固定負債」を合計した「負債合計」を算出し、貸借対照表の貸方上部に記入します。

 

(3)返さなくてもよい「純資産」

純資産は、「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」の3つに分かれます。

株主資本

・資本金:開業時に用意した資本金、増資して増えた資本金

・新株式申込証拠金:新規の株式を発行し譲渡した時の対価

・資本剰余金:資本準備金など

・利益剰余金:株式の配当で余った利益など

・自己株式:自社で保持している株式

 

評価・換算差額等

・その他有価証券評価差額金・繰越ヘッジ損失・土地再評価差額金

 

新株予約権

・新株予約権:今後発行される株式を購入できる権利

 

純資産は、勘定科目の金額を算出し、「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」それぞれの合計額を算出します。その後、全ての合計を「純資産合計」として貸方下部に記載します。

 

そして、「負債合計」と「純資産合計」を足した額が「負債・純資産合計」です。

この金額は、必ず「資産合計」の額と一致します。合わない場合は間違いがあるということなので、合うまでチェックしたり、下の項目でご紹介する合わない時の対処法で処理したりしましょう。

 

  1. ≪貸借対照表が一致しないときはどうすればいい?≫

確定申告初心者や、貸借対照表の書き方をきちんと理解していない方が作成した場合、借方と貸方の数字が合わないということが発生します。

個人の確定申告でも企業の決算でも、借方と貸方が合わないと受理してもらえません。確定申告をスムーズに終わらせるためにも、貸借対照表が合わない場合の書き方を知っておきましょう。

 

(1)対策①勘定科目が正しい箇所にあるかチェックする

確定申告初心者が、意外と間違えてしまいがちなのが勘定科目の書き方。左が資産・右が負債と純資産ということは理解していても、細かな勘定科目の配置を間違ってしまっていることがあります。

例えば、「現金」は必ず左側にある勘定科目です。右側にある場合は、仕訳や転記の時に間違えているということなので、勘定科目をチェックすることで間違った箇所を見つけやすくなります。

 

(2)対策②異常に金額が大きい(小さい)勘定科目がないかチェック

パソコンで貸借対照表を作成している場合、起こりがちなのが入力ミス。数字の打ち間違いでありえない数値を入力してしまい、左右が合わないという可能性もあります。

各勘定科目の金額を見直し、ありえない数字になっていないかどうかチェックしましょう。

 

(3)対策③どうしても合わない場合は「事業主貸し借り」

上のチェック方法を試しても間違っている箇所が見つからない場合、「事業主貸し借り」または「店主勘定」で処理します。

合わない金額を事業主に貸した、または事業主から借りたということにして帳尻を合わせるということです。

 

ただし、これは、法人の経理の方は使えないテクニックです。基本的には、貸借対照表が合わないときは徹底的にミスを探して合わせます。

個人事業主の方が、確定申告の期限までにどうしてもミスを見つけられない時の緊急避難法として覚えておきましょう。

 

もちろん、確定申告はこの書き方でごまかしたからといって、ミスを残したままにするわけにはいきません。確定申告が終わったら、改めて仕訳表をチェックし、どこが間違えているのか徹底的に探しましょう。

そして再度ミスが起こらないよう対策することで、次の確定申告をスムーズに乗り切ることができます。

 

  1. ≪まとめ≫

「バランスシートはバランスしない」というジョークがあるほど、貸借対照表は作成時にミスが起こりやすく、合わないことが多々あるものです。基本の書き方は単純なので、仕訳や転記でミスがないよう気をつけて作成しましょう。

そして、確定申告にどうしても間に合わないという個人事業主の方は、「事業主貸し借り」・「店主勘定」で帳尻を合わせる方法で乗り切りましょう。

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2019/03/07 複式簿記は覚えないと損?青色申告の65万円控除はお得!!

企業の経理部門や、青色申告の個人事業主には必須の複式簿記。「借方」「貸方」と聞くだけで頭が痛くなってしまうという方もいるかと思いますが、特に個人事業主の方なら青色申告で65万円控除を受けて得をするために必要なものです。

また、企業の経理の方も、複式簿記は業務の基本なので、しっかりやり方を把握しておきましょう。

 

ここでは、そんな複雑な複式簿記の記帳方法をわかりやすく解説していきます。

 

1. ≪複式簿記とは?≫

簿記初心者の中には、そもそも複式簿記とは何なのか、どのようにつければ良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

まずは、そんな方のために複式簿記とはどんなものなのかについて解説していきます。少し複雑ですが、企業で経理業務を行う方や、青色申告の個人事業主は、必ず覚えなければいけない基本の記帳方法です。

 

(1)そもそも簿記とは?

そもそも「簿記」とは、企業などの財産の増減を記録・計算・整理して明確にするものです。この簿記を利用して決算や財務報告書を作成し、税務署や関係先へ財務状況を知らせることを「会計」といいます。

簿記は、会計業務の基礎となる作業なのです。

単式簿記・複式簿記というのはその記録方法で、どちらの方法でも正しく記録されていれば結果に違いはありません。

 

(2)単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記は、一つの取引を一つの勘定項目で記録していく方法です。「支出 仕入 3万円」「収入 売上代金 5万円」「収入 借入金 10万円」などのように、シンプルに「支出」か「収入」をノートなどに記録していきます。

現金が増えたか減ったかのみを記録するので、簿記の知識がなくても簡単に計算できるのが単式簿記のメリットです。

 

しかし、この単式簿記では、その収入や支出の結果、現金や資産がいくらになったかがわかりにくいというデメリットがあります。上に挙げた例だと、借入金の収入で10万円現金が増えていますが、実際には借入金は返済しなければいけないため、単純に資産が増えたとは言えません。

また、返済を続けた場合の借入金残高も、全体の現金の動きを記録するのみの単式簿記では把握できないのです。

こういった単式簿記のデメリットを補えるのが、複式簿記です。

 

複式簿記では、「借方」「貸方」という概念を用いてノートやエクセルの表に記録します。ノートやエクセル表の左側が借方・右側が貸方で、まずは仕訳帳を作成して全ての現金の出入りを明確にします。

その後、仕訳帳の内容をまとめて作成するのが「貸借対照表」と「損益計算書」です。これにより、現金の残高や現金以外の資産、借入金残高などが明確になります。

会計情報がより明確になり、単式簿記よりも詳細な分析が可能なことが複式簿記のメリットです。そのため、企業や青色申告の個人事業主には、複式簿記での詳細な帳簿付けが義務付けられています。

 

(3)「企業会計原則」をクリアしている

「企業会計原則」とは、企業が会計を行うにあたって守るべき原則を定めたものです。虚偽の報告を行わない、正規の方法で作成する、報告される者が誤解しない明瞭な表示、毎期会計を継続するなどの7つの原則がありますが、この2つ目の「正規の方法」が複式簿記を意味します。

単式簿記は、シンプルで誰でも簡単に作成できますが、企業の正規的な会計の作成としては認められていないのです。

個人事業主の場合も、白色申告や青色申告の10万円控除では単式簿記で作成した簡易的な会計が認められていますが、青色申告の65万円控除は複式簿記で作成した正規の会計が必須です。

青色申告の65万円控除で優遇されたい方や、今は白色申告でも将来的に青色申告に切り替えたいという方は、複式簿記の作成を覚えておいた方がいいでしょう。

 

(4)貸借対照表と損益計算書

複式簿記で作成する書類を、「貸借対照表」と「損益計算書」と言います。ノートに手書きしても構いませんし、エクセルやアプリでも記録ができます。

ここでは、それぞれの書類の意味や作成方法を解説していきます。

 

  • 貸借対照表

賃借対照表とは、複式簿記で作成する「資産」「負債」「純資産」を記録した書類です。

他に「バランスシート」と呼ばれることもあり、借方と貸方をノートの左右で一致させることからこの名前になっています。

ノートやエクセル表左側の借方が「資産」・右側の貸方「負債」と「純資産」です。いつでも必ず、「資産=負債+純資産」という構図になります。

単式簿記ではわからない、現金残高や売掛金・借入金の残高がわかります。

 

  • 損益計算書

損益計算書は、複式簿記で作成する「費用」と「収益」を示す書類です。企業に入った収益から費用を差し引き、利益を算出するのに使います。

ノートやエクセル表左側の借方が「費用」・右側の貸方が「収益」です。こちらは「費用+利益=収益」という構図になります。

実質的に、その企業や個人事業が儲かっているか、儲かっていないかがわかる書類です。

 

  1. ≪複式簿記の記帳方法≫

それでは、複式簿記の記帳方法を解説していきます。

少し複雑ですが、企業の経理や青色申告をする個人事業主には複式簿記が必須なので、必ず覚えられるようにしましょう。

 

(1)まず「貸借対照表」を理解しよう

複式簿記を理解するには、まず貸借対照表を理解しましょう。

賃借対照表の作成を理解すれば、損益計算書の作成も容易になります。

 

(2)5つのグループ分けを知っておく

複式簿記で記録する項目には「資産」「負債」「純資産」「費用」「収益」という5つのグループがあります。

 

  • 資産:企業や個人事業主が持つ財産。現金・預金・不動産など
  • 負債:企業や個人事業主が他者から借りている金額。借入金・未払金など
  • 純資産:「総資産−負債」企業・個人事業主の純粋な資産。資本金など
  • 費用:事業の運営にかかった金額。仕入・備品購入・従業員の給与・家賃など
  • 収益:事業により得た金額。売上金・配当金など

 

貸借対照表で記録するのは、先に解説した通り「資産」「負債」「純資産」の3つです。

 

(3)具体的なケースから学ぶ複式簿記の記帳

まず、賃借対照表を作成するときは、仕訳帳を作成します。

複式簿記の仕訳帳は、最初にノートやエクセルの表の左側を「借方」、右側を「貸方」として区切ります。

例えば、現金10万円で業務に使う備品を購入した場合「備品 10万円 / 現金 10万円」とノートに記録します。これは、企業の資産として10万円分の備品が増え、10万円の現金が減ったという意味です。

 

逆に、売上金で資産が増えた場合は「売掛金 10万円 / 売上金 10万円」となります。金融機関から借入をした場合は「現金 10万円 / 借入金 10万円」です。

 

「お金や、受け取る予定のお金が増えた場合」はノート左側の借方に現金や売掛金、「お金が減った場合」はノート右側の貸方に現金が来ると覚えると良いでしょう。

ポイントは、絶対に貸方と借方を一致させるということです。一つずつの取引の金額も、結果的な残高も絶対に一致させます。

 

賃借対照表は、これらの仕訳帳の内容を項目ごとにまとめて見やすくしたものです。賃借対照表の借方は資産、貸方は負債と純資産を表します。

資産はさらに「現金」と「売掛金」、負債は「借入金」と「買掛金」、純資産は「出資金」と「当期純利益」に分けることができます。期末や月末に、どの項目にどれだけの残高があるのかをまとめて明確にすることで、企業や個人事業の経営状況がはっきりとわかります。

賃借対照表も、左右の残高の総合計は必ず一致します。

 

  1. ≪複式簿記を簡単に作成するなら≫

複式簿記を簡単に作成するなら、エクセルや会計ソフトを使ってPCで管理するのがおすすめです。

ノートに記帳するのは手軽ですが、あとで見返したりまとめたりするのに手間がかかるというデメリットがあります。PCでの作成なら、あとで賃借対照表や損益計算書を作成するときにまとめるのも簡単です。

近年はアプリでも複式簿記の記帳ができるので、PCと連動させて手軽なアプリで仕訳帳・エクセルや会計ソフトで賃借対照表と損益計算書を作成と使い分けるのもおすすめです。

 

(1)無料も!会計ソフト

会計ソフトは、テンプレートが充実している・勘定項目があらかじめ設定されているなど、準備の手間が少ないのがメリットです。仕訳帳から賃借対照表や損益計算書へのデータ移行もスムーズなので、青色申告の個人事業主など、会計業務に時間を割きたくないという方にぴったりです。

他の決算書類の作成まで一貫して行えるので、会計にかかる手間を極力抑えたい方や、仕訳の回数が多い企業も会計ソフトを導入するのがおすすめです。

 

ただし、会計ソフトはインストール型のものとクラウド型のものがありますが、どちらも購入費用・月額費用がかかります。仕訳帳など基本的な記帳のみなら、無料の会計ソフトもあるので探してみましょう。

 

(2)スマホで管理できるアプリ

近年は、スマホのアプリでも複式簿記での記帳が可能です。

ただし、賃借対照表や損益計算書までスマホのみで作成できるアプリは少なく、多くの場合アプリでできるのは仕訳帳の作成など簡易な操作がメインです。

PC版のソフトと連動しているアプリがほとんどなので、アプリからソフトへのデータ移行はスムーズです。

アプリ版の会計ソフトは、領収書の写真を撮るだけで仕訳が記録できるなど、スマホアプリならではの機能が充実しています。立ち上げも早く、ノートへの記帳と同じくらい手軽なので、手書きにこだわりがない方はアプリの導入がおすすめです。

 

(3)エクセルでも作成可能?

エクセルでも、複式簿記の記帳は可能です。仕訳帳のみであれば、表の左右に出納を記録するだけなのでほとんど手間なく作成できます。

賃借対照表・損益計算書へのデータ移行にはマクロの知識が必要ですが、ソフトを使わずエクセルのみで会計を行うのは不可能ではありません。エクセルで会計書類を作るソースコードを解説しているサイトもあるので、興味がある方は参考にしてみてください。

ただし、手間はかかるので、会計業務に時間をかけたくない方にはあまりおすすめできません。

 

  1. ≪まとめ≫

複式簿記は、企業の会計業務や青色申告の65万円控除に必須です。特に、個人事業主の方はやり方を知らないと控除枠が減り、損をしてしまいます。

複式簿記は本格的な会計業務の基礎中の基礎なので、会計に関わる方はぜひ理解しておきましょう。

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2019/02/12 開業届は出した方がいい?メリット・デメリットから解説

個人事業主の方が起業する際に税務署へ提出する「開業届」ですが、なんのために必要なのか、本当に出さなければならないものなのかと疑問に感じたことはありませんか?

ここでは、開業届を提出するメリット・デメリットから開業届などの書き方まで、開業届のあれこれについてまとめました。

 

1. ≪開業届とは?≫

開業届とは、正式名称を「個人事業の開廃業届出書」といい、個人事業を開業したことを税務署に届出するための書類です。

個人事業主には、所得税・住民税・消費税・個人事業税が課せられます。この税金を納めるために、個人事業主は開業したことを税務署に知らせる必要があるのです。

開業届を提出すると、税務署から納めるべき税金についての案内が送られてきます。ただし、開業届を提出しなかった場合の罰則は特に設けられていません。

 

  1. ≪開業届を提出するメリットはある?≫

税務署に開業届を出さなくても罰則はありませんが、提出するメリットはあります。まずは、個人事業主が開業届を提出するメリットについてご紹介します。

 

(1)青色申告で確定申告できるようになる

開業届を提出する最も大きなメリットは、白色申告より節税効果の高い青色申告ができるようになることです。

ちなみに、青色申告をするためには、開業届を提出したあとで「青色申告承認申請書」の提出も必要です。青色申告が目的で開業届を出す場合には、青色申告承認申請書の提出を忘れないようにしましょう。

 

青色申告は白色申告よりも帳簿付けの方法が少し複雑ですが、貸借対照表を作成することで事業所得から65万円を控除することができるため、大幅な節税になります。2014年からは、それまで帳簿付けが必要なかった白色申告にも帳簿付けが義務付けられたので、現在は青色申告も白色申告も労力の面では大差はありません。

青色申告の承認申請書を提出するだけで節税効果の高い青色申告が可能になるので、税制で得をしたい個人事業主にとっては、開業届は基本的に出しておいたほうがいい書類です。

また、開業前後に銀行融資を予定している個人事業主の方は、銀行から提出書類の1つとして求められることが多いです。

 

(2)屋号で口座を開設できる

開業届を提出すると、個人名ではなく屋号で銀行口座を開設できるようになります。

個人の口座を事業に利用しても特に問題はありませんが、経費の計算などをするためには、事業用とプライベート用の口座が分かれていた方がなにかと楽です。

また、振込口座が個人事業主の屋号名義になっていることで、取引先からの信用も増します。

 

(3)個人事業主向けの共済等に申し込める

経営が不安定になりがちな個人事業主には、将来の不安が付きものです。そういった不安を解消するための個人事業主向けの共済や積立に申し込むにも、開業届の提出が必要です。

代表的なのは「小規模企業共済」で、こちらは開業届さえ提出すれば実績がなくても申し込むことができます。万が一事業が失敗した時のセーフティネットになるので、起業から日の浅い経営者ほど入っておいたほうが有利です。なお、小規模企業共済は、法人の役員も加入できます。経営者にとっての退職金代わりとしての位置づけも持っています。

 

  1. ≪開業届を提出するデメリットはある?≫

開業届には、メリットだけではなくデメリットもあります。具体的にはどんなデメリットがあるのかを見ていきましょう。

 

(1)失業保険が受け取れなくなる

以前勤めていた会社を辞めて個人事業主になったり法人を設立したりする場合、開業届・法人設立届を提出すると失業保険が受け取れなくなります。

失業保険はその名の通り失業中で無職の人のための保険なので、開業届を出して経営者になった人には支払われません。開業後すぐに経営が軌道に乗るとも限らないので、貯蓄や後ろ盾のないまま仕事を辞めて個人事業主になった方は、失業保険を受け取ってから開業届を出した方が安心でしょう。

 

(2)確定申告をしないと、指摘される可能性あり

開業届とは、言わば「これから事業を始めます」という税務署に対する宣言です。事業には利益が伴うのが前提なので、事業を始めるという宣言をしておいて確定申告をしないと、所得隠しを疑われてしまいます。

開業届を提出しなければ、事業をしていることが税務署に知られないので、そのようなトラブルが起こる可能性は低いです。

 

しかし、事業での収入があるのに確定申告をしないというのは、すなわち脱税を意味します。所得をごまかして脱税をしたいと考えている経営者や個人事業主にとっては、事業の存在を税務署に知らせる開業届を出すのはデメリットとなるでしょう。

脱税せず正々堂々と事業をするには、開業届と確定申告が必須です。青色申告で税制が優遇されるのは、脱税をせずきちんと申告をした褒賞のような意味合いもあります。

 

(3)国民健康保険の減免ができない可能性がある

個人事業主は、ほとんどの場合、国民健康保険に加入することになります。会社に所属していない個人事業主は、開業届を出していなければ無職の人と区別がつかないため、条件によっては保険料が減免される可能性があります。

しかし、開業届を提出すると、個人で事業を行なっていることが税務署に知られるため、保険料の減免は受けられない可能性があります。

 

  1. ≪開業届の作成・提出方法を解説≫

 

それでは、実際に開業届を提出する場合の流れについて、解説していきます。

 

(1)開業届はどこで入手できる?

開業届は、国税庁のホームページからダウンロードするか、最寄りの税務署で入手できます。青色申告をする場合は、一緒に「青色申告承認申請書」も入手すると便利です。

 

(2)開業届の書き方

開業届の書き方には、あまり難しい事はありません。基本的には、求められる項目を埋めていくだけです。

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」なので、まずこの「開業」の部分にマルをつけましょう。その後、氏名、「納税地」となる自宅や事業所の住所、マイナンバー、職業、屋号を上半分の枠内に書き込みます。

屋号は自分の好きにつけて構いませんし、もしなければ空欄でも提出できます。

 

下半分の枠内には、開業日、事業の詳細な内容、従業員数、給与の支払い方法などを記入します。このとき、もし納税地として記載した住所と住民票がある場所や現住所が違うなら、その住所も記載しておきます。そして、氏名の横に捺印して、書類は完成です。

なお、開業日については細かい定義が難しい部分があります。

法人と違って商業登記の義務がないため、何をもって開業とするのかという疑問を持つ方も多いでしょう。結論からお話すると、個人事業主の場合、開業日の定義に明確な決まりはありません。例えば、飲食店の場合、オープンした日を開業日とするケースが多いと思いますが、独立しようと思い立った日を開業日とする方もいらっしゃいます。どちらも正解と言えます。ただし、売上が発生してから後の日付で開業した日とするのは、常識的に考えて少し難しいと言えるでしょう。曖昧な分、判断に迷う論点ではありますが、売上が発生する前の日付を「開業日」としていれば特に問題はないでしょう。

 

(3)開業届以外の必要書類は?

開業届を提出する際は、マイナンバーと本人確認が必要です。

マイナンバーカードを持っていれば一枚で済みますが、ない場合はマイナンバー通知カードと運転免許証などの本人確認書類の2種類が必要となります。これらを提出時に窓口で提示するか、または写しを添付して提出します。

帳簿などの経営の実績を示す書類は、開業届を提出する時点では必要ありません。

 

(4)開業届の提出期限

開業届の提出期限は、原則的に開業から1ヶ月以内です。

開業から1ヶ月以内よりも遅れたからといって特に罰則はありません。青色申告の承認申請書と合わせて提出する個人事業主の方がほとんどでしょうから、新規開業の場合、開業日から2ヶ月以内にセットで提出すれば、提出年度分から青色申告ができて特に問題になることもありません。

 

  1. ≪開業届提出のタイミングはいつ?≫

基本的には、開業届は開業したらすぐに提出をします。開業日にこだわりがある場合には、その日を起点に1ヶ月の期限内に提出しましょう。

もし失業保険を満期まで受給したい場合には、前職を退職してから90〜150日の給付期間が過ぎてから開業日を決めて提出しても、問題はありません。

 

  1. ≪まとめ≫

開業届は、本職として個人事業を続けていくのであれば、提出した方が良い書類です。

適正に提出をしないと、脱税や失業保険の不正受給をしてしまう場合もあります。また、提出しなくても罰則は特にないとは言え、提出に特に手間取る書類でもなく提出するメリットの方が大きいので、個人事業の開業に際しては、すぐに出せるよう準備しておくと良いでしょう。

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2019/01/15 所得税の計算方法・税率・控除額を解説!

扶養控除を超える年収があるのであれば、誰もが支払わなければならない所得税

雇用形態がアルバイトやパートであっても、扶養控除の範囲を超えると所得税の支払いが発生します。

 

今回は、意外に複雑な所得税の計算方法控除額所得税の種類などを、簡単に理解できるように工夫しながら解説していきます。

 

  1. ≪所得税の計算方法とは?≫

所得税の計算方法は、「課税所得×税率-税額控除額」です。簡単な計算に思えますが、単純に年収に税率をかけて控除額を引けばいいのかというと、実はそうではありません。

所得の種類や「課税所得」の計算方法について、下の項目で解説していきます。

 

(1)所得は10種類に分かれる

所得というと、一般的には会社から毎月支払われる給与というイメージですが、実はその他にもたくさんの種類があります。

「所得」は、収入の得方によって以下の10種類の区分があります。

 

  • 利子所得

預貯金・公社債の利子や、貸付信託・公社債投信の収益の分配などから生じる収入です。

  • 配当所得

株の配当、出資の剰余金や証券投資信託の収益の分配などから得られる収入のことです。

  • 不動産所得

土地・建物・船舶・航空機などの貸付から得られる収入のことです。

  • 事業所得

商業・工業・農業・漁業・自由業などの事業から生じる収入のことです。

  • 給与所得

アルバイト・パートや会社員の人が、勤めている会社から毎月支払われる給与・賞与のことです。

  • 退職所得

退職時に得られる収入のことです。

  • 山林所得

5年以上所有している山林を売った時(伐採しても立木のままでも)に得られる収入です。

  • 譲渡所得

事業用・家庭用の資産を譲渡した時に得られる収入です。

  • 一時所得

賞金や満期保険金など、一時的な収入のことです。

  • 雑所得

年金・恩給・原稿料・印税など、上のどの項目にも当てはまらない収入のことです。

 

(2)課税所得の計算方法

課税所得とは、収入金額(実際に稼いだ金額・毎月給与所得を得ている方の場合「年収」)から必要経費・社会保険控除・基礎控除などを引いた金額です。

会社勤めで毎月給与をもらっている方は、いわゆる「手取り」+「所得税」が課税所得です。

 

パートやアルバイト、フリーランスなどで毎月給与から源泉徴収されていない場合、

 

課税所得=総支給額(基本給・残業代・手当)-非課税の手当-所得控除

 

という計算式となります。

「非課税の手当」とは、通勤手当や旅費など課税対象ではない収入のことです。

 

(3)所得税計算に含まれない特定支出控除の例

特定支出控除とは、業務に関わる支払いが多い場合、年収から必要経費として控除できる制度です。平成24年にこの制度が見直されて対象項目が広くなり、利用できる人が多くなりました。

 

特定支出控除を利用できる例としては、

 

  • アルバイトや派遣社員で、毎月通勤にかかる費用を自己負担している場合
  • 転勤した場合の引っ越し費用
  • 単身赴任者が帰宅するための旅費
  • 業務に関する研修費用を個人で支払った場合
  • 業務に関する本や新聞を購入した費用
  • 業務に必要な衣服を購入した費用
  • 業務に必要な資格を得るための費用
  • 業務に関する接待費用

などがあります。

 

毎月会社が源泉徴収しているアルバイトや会社員の方も、これらの領収書を保存しておけば確定申告で還付金が戻る場合もあります。

また、フリーランスや事業主の方も、特定支出控除の制度を知っておくと毎月の支出を必要経費として処理できるかもしれません。

 

(4)超過累進税率とは?

所得税は、累進課税制度を採用しています。累進課税制度とは、簡単にいうと年収が高くなるほど税率が上がる仕組みのことです。

所得税の税率は、年収195万円以下で0%、年収4,000万円以上で45%と、かなり大きな差があります。

年収の金額と所得税の税率の関係は、以下の通りです。

 

〜195万円:0%

195〜330万円:10%

330〜695万円:20%

695〜900万円:23%

900〜1,800万円:40%

1,800〜4000万円:45%

 

ただし、この方法で簡単に計算してしまうと、不公平が生じてしまいます。

 

例えば、年収330万円のAさんと年収331万円のBさんがいた場合、

Aさん→330万円×10%で所得税33万円

Bさん→331万円×20%で所得税66万2,000円

となってしまいます。

 

その不公平を埋めるのが「超過累進税率」です。超過累進税率とは、簡単にいうと「一定額を超過した金額にのみ高い税率で課税する制度」です。

 

先ほどのAさんとBさんの例でいうと、

年収330万円のAさん→先ほどと同じく所得税33万円

Bさん→(330万円×10%)+(1万円×20%)という計算となり、所得税は33万2,000円です。

 

そのため、アルバイトやフリーランスの方が自分で所得税を計算するときは、自分の年収から一段階下の年収上限を引いて、超過した分にのみ高い税率をかけるという方法で計算します。

 

(5)一定額を控除する給与所得控除とは?

給与所得控除とは、会社員やアルバイトで、会社から毎月給与をもらっている場合に発生する控除です。

これは簡単にいうと、アルバイトや会社員の必要経費を清算するためにある制度です。

源泉徴収されないフリーランスや事業主の場合は、収入から必要経費を引いて所得を計算しますが、会社勤めの場合、業務のために購入した衣服や靴などを逐一会社に報告して計算するのは現実的ではありません。そのため、年収の額に合わせて一定額を控除し、所得税がかからないようにするのが、この「給与所得控除」です。

 

アルバイトや会社員で、この控除額以上の支出があった場合には、上の項目で解説した「特定支出控除」の制度を利用することができます。

 

(6)大幅な節税になる税額控除とは?

税額控除とは、「いったん計算された所得税からさらに引かれる金額」のことです。控除額が大きいので、これを利用すれば所得税が0円になることもありえます。

 

税額控除には、「配当控除」「外国税額控除」「認定NPO法人等寄付金特別控除」「住宅借入金等特別控除」「住宅耐震改修特別税額控除」「試験研究を行った場合の所得税額等の特別控除」など、全部で19の項目があります。簡単にいうと、国の認定を受けたNPO団体に寄付する、住宅を購入する、住宅に耐震工事をするなど、国が推進している行いをした人に対し、税額を軽くしてサポートする制度です。

一般のアルバイトや会社員はあまり頻繁に利用する制度ではありませんが、頭に入れておくと節税に役立ちます。

 

(7)所得税及び復興特別所得税の申告納税額の計算方法

復興特別所得税とは、簡単にいうと東日本大震災による被災地復興の財源確保のためにある特別措置の国税です。

2013年1月1日~2037年12月31日の間に支払われた所得に対して課されます。復興特別所得税の計算方法は、基準所得税×2.1%です。

 

  1. ≪源泉所得税の計算方法≫

源泉所得税とは、毎月の給与から天引きされる所得税のことです。

所得税は、年に一回年収に対してかかる税金ですが、年に一回の納税では金額が大きく、支払いが負担となってしまいます。そのため、毎月の給与から所得税を概算し、それを引いた金額をアルバイトや会社員に支払う会社が多いです。

 

源泉所得税の計算方法は3種類ありますが、どれも国税庁が公開している「給与所得の源泉徴収税額表」を見れば簡単にわかります。

 

(1)給与計算の場合

給与から引かれる源泉所得税を計算するには、給与が毎月支払われる場合の「月額表」か、日払いや週払いの場合の「日額表」を参照します。

「(収入金額-社会保険料等の控除額)×3.063%」の金額に、扶養親族の数を表から参照し、二つを足して計算します。

 

(2)賞与の場合

賞与にかかる源泉所得税は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を参照しましょう。前月の所得と扶養親族の数から税率を求め「賞与×税率」で計算します。

 

(3)源泉所得税の計算時の注意点

源泉所得税を計算するときは、本人が寡婦・寡夫・勤労学生・障害者の場合、または扶養親族が障害者の場合は、扶養親族を1人多くして計算します。

 

(4)源泉所得税の納付方法

源泉徴収された所得税と復興特別所得税は、源泉徴収を行った翌月の10日までに納付します。「所得税徴収高計算書(納付書)」を作成し、e-taxか所轄の税務署で納付しましょう。

 

ただし、従業員10名未満の事業所では、「源泉所得税の納期の特例」という制度を利用できます。

この制度を利用すると、毎月税務署に出向くことなく、源泉所得税の納付を年2回(1月・7月)にまとめることができます。別途、管轄税務署に「源泉所得税の納期の特例」の届出が必要になります。

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2018/11/30 確定申告のポイント解説|確定申告のご依頼は東京・大阪経理代行サポートセンターへ!!

経理の求人・人材は派遣より安くて高品質の東京・大阪経理代行へ! 

こんにちは、代表で税理士の古殿哲士です。

 

    1.≪東京・大阪の経理代行|確定申告が必要な人って?≫

 

創業して間もない顧問先の社長様より、「会社の社長は確定申告をする必要がありますか?」というお問い合わせをいただくことがあります。

 

役員報酬給与所得となるため、年末調整で所得税額を確定し納税を完了しているので、通常は確定申告の必要はありません。

ただし役員・従業員にかかわらず給与所得者のうち一定の要件に該当する場合は確定申告の必要があります。

それは一体どのような場合でしょうか。

 

今回は「確定申告をする必要のある人」についてご説明したいと思います。

 

(1)確定申告をする必要のある人って?

以下の場合、確定申告が必要となります。

 

  • 給与の収入金額が2,000万円を超える人

 

  • 給与を1か所からもらっている人で、給与及び退職所得以外の所得額が20万円を超える人

⇒オークションやアフィリエイト収入がある人、外貨預金で為替差益がある人、株や不動産売却で譲渡所得がある人など、いわゆる副業で収入を得ている場合は確定申告が必要です。また原稿料や講演料など源泉徴収をされた報酬がある場合には支払調書を準備しましょう。

 

  • 2か所以上から給与をもらっている人で、年末調整されていない給与の収入金額とその他の所得金額との合計額が20万円を超える人

⇒「乙欄」といって高めに源泉徴収されているケースがあります。確定申告することで還付になる場合もありますので源泉徴収票を準備しましょう

 

  • 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

⇒自宅で事業をしていて会社使用分を家賃として会社からもらっている、または保有している土地や建物を会社に賃貸しているといった場合には、不動産所得が発生していますので確定申告が必要です。固定資産税等の経費資料を準備しましょう。

会社への貸付金がある場合には、貸付金の利息が生じています。この利息は社長の所得となり、確定申告の対象となります。

※この収入については、金額の大小にかかわらず確定申告の必要があります。

 

  • 災害にあって、災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

 

  • 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税等を源泉徴収されないこととなっている人

 

【参考】国税庁HP「平成28年分確定申告特集」

 

確定申告期間中は税務署などに確定申告書作成コーナーが設けられ、無料で教えてもらいながら申告書を作ることができます。

 

ご不明な点は東京・大阪経理代行へお気軽にお問い合わせください。

 

  1. 東京・大阪の経理代行|確定申告した方が得する場合って?≫

 

「年末調整の書類と控除について」のコラムでお伝えしたように、年末調整では「医療費控除」「寄附金控除」「雑損控除」は対象になりません。

これらの控除がある方は、確定申告をする必要があります。

 

このように今回は確定申告が義務ではないけれど、確定申告すれば一度納めた税金が戻ってくる(還付される)可能性がある場合について説明したいと思います。

 

(1)確定申告すると得するケースとは?

①医療費が高額となった場合

自分や家族のために支払った医療費等の実質負担額が、1年間で10万円(所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額)を超えた場合、その超えた金額をその年の所得から差し引くことができます。控除できる金額の上限は200万円です。

⇒医療費の領収書が必要となりますが、医療機関へのタクシー代・バス代など交通費等も対象になります。領収書は捨てずにとっておきましょう。

 

②寄付をした場合

◎国境なき医師団やユニセフなど国が定めた団体に寄付をした人

政治活動関連への寄付金や認定NPO法人、公益社団法人などへ寄付をした場合には、その金額の一部を所得控除にするか税額控除とするか、計算してお得な方を選択できます。

⇒年収1千万円以上の高額所得者でない場合、税額控除を受けた方がお得な場合が多いです。

 

◎ふるさと納税した人

通常の寄付金控除に加え、住民税の税額控除の特例が受けられます。

⇒「ふるさと納税ワンストップ特例」を使う場合、確定申告は不要ですが、6つ以上の自治体にふるさと納税をした人はこの特例は使えず、「ふるさと納税以外の理由で確定申告する人」もこの特例が使えないので確定申告が必要です。

 

③仕事に必要なものを自腹で多く支払った場合

給与所得者の特定支出控除」といって、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、単身赴任者などの帰宅旅費、書籍代や交通費などのうち、会社が必要経費と認めた費用の合計額が、同年の給与所得控除額の2分の1を超えた場合、その超えた分の金額を所得から控除できます。

⇒平成24年の改正で要件が緩和されたので、自分の支払っている分が、特定支出控除にできるか確認してみましょう。

 

④株で損をした人

株式等の売買で出た損失分を、申告分離課税を選択した配当所得などと損益通算できます。

相殺しきれない場合は、翌年以降3年間繰越して損益通算できます。

⇒NISA口座や源泉徴収あり特定口座で株取引をしていれば確定申告は不要と思われがちですが、損失がでた場合は確定申告した方がよいでしょう。

 

<株式の配当金や投信の分配金をもらった人>

配当金は源泉徴収されているので確定申告は不要ですが、確定申告をすれば配当控除が受けられます。

⇒この場合は本業の収入に対する税率20%以下の人しか得しないので注意が必要です。

 

⑤災害や盗難にあった人

地震や火事などの災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、雑損控除により一定の金額の所得控除を受けることができます。

 

⑥住宅ローンを組んで家を買って入居した人

1年目は確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整可能です。

⇒その他、マイホームを増改築した、耐震工事した、売った人にも控除がいろいろあります。

 

こちらを参照ください。

 ↓ ↓ ↓

【参考】国税庁HP「マイホームの取得や増改築などしたとき」

 

その他

  • 年の途中で退職して再就職していない人
  • 年末調整で漏れがあった人、年末調整後に扶養家族に変更があった人

 

このように確定申告は税金をただ支払うだけではなく、場合によっては税金が還付される可能性のあるシステムでもあるのです。

確定申告期間中は税務署などに確定申告書作成コーナーが設けられ、無料で教えてもらいながら申告書を作ることができます。

 

【参考】国税庁HP「平成28年分確定申告特集」

 

  1. 東京・大阪の経理代行|確定申告代行のメリットと注意点≫

 

確定申告は本人がすることももちろん可能ですが、税金に関する問題は専門家である税理士に任せたほうが、時間的に節約できるのはもちろん、金銭的にもお得になる可能性があります。

 

近年、個人事業主やフリーランスの方だけでなく副業の所得が20万円を超える会社員の方などから、「税理士へ確定申告をお願いしたい」というお問い合わせをいただくことも増えています。

 

そこで、ここからは「確定申告代行のメリットと注意点」について説明したいと思います。

 

(1)確定申告の代行は税理士へ

本人が確定申告をする場合には、特に制限はありませんが、他人の確定申告書の作成などは、税理士法に以下のような規定があります。

 

————————————————————————————————————————

税理士法第二条(税理士の業務)

税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。

一 税務代理

二 税務書類の作成

三 税務相談

 

同法第五十二条(税理士業務の制限)

税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

————————————————————————————————————————

 

つまり確定申告の代行は税理士にしかできないということです。

「会社を経営している友達に頼んで手伝ってもらった」など軽い気持ちでやったことも法律違反となります。

上記の税理士にしかできない業務をしっかり把握しておきましょう。

 

(2)確定申告代行を税理士にお願いするメリット

①節税できる

個人事業主の方は節税できる方法がいくつもあります。

青色申告制度を活用した「青色専従者給与」の活用、「65万円控除」「小規模企業共済」の活用など節税してキャッシュアウトを減らしましょう。

 

場合によっては、法人成りしたほうが節税できるケースもあります。

また、青色申告では、赤字が出た場合でも損失を3年間繰り越しできます。

将来、所得が出た場合に赤字部分と相殺することで将来発生する税金も節税できます。

 

青色申告の特典は他にも多くあります。

まずは、青色申告の承認申請書を税務署に提出しましょう!

 

②手間が省ける

大量の領収書や請求書など書類の整理や会計ソフトへの入力、また、どこまで経費にしていいのか迷った場合、自分で調べようとすると時間も手間もかかりますが、税理士へ依頼すれば、こういった作業を全て代行してくれます。

 

慣れていない確定申告に時間を大量投下するよりも、その時間を本業に投下するほうが最終的に皆さんの手元にお金は残ります。

本業に時間も体力も集中投下することで売上を上げることに集中してください。

 

③正確な確定申告ができる

自分で確定申告をした場合、記帳内容の不備やミスで申告漏れが発生する可能性があります。

経費や控除に関してもよく知らなかったために損をすることも。

 

1つのミスで延滞税や加算税が多額にかかってしまった事例も多くあります。

専門家である税理士に任せたほうが、結果的に正確な申告をしてもらえます。

 

④税務調査の立会いをしてもらえる

税務調査は法人にだけ存在するものだと思っていませんか?

個人にも税務調査はあります。自分の事業に税務調査が訪れる可能性は高いのか低いのか、税務調査のときはどのように対応すればいいのか?

経験豊富な税理士にアドバイス・対応してもらえると安心です。

 

ただ、税理士に確定申告代行を依頼した場合、当然ですが費用が発生します。

コスト削減の為、ご自身で確定申告をされることでかえって余計な税金がかかってしまい、税理士に依頼した方が割安だったという結果になることもあります。

 

青色申告の65万円控除のように目に見えて税金を少なくするだけでなく、確定申告に費やす時間的・金銭的コストを節約し、本業で集中していただけるので、実際には顧問料以上のメリットを税理士は提供できます。

 

初めての確定申告で知識がない方はもちろん、今までの確定申告に不安や手間を感じている方は、税理士が運営しているので高品質の東京・大阪経理代行へお気軽にご連絡ください。

親切・丁寧に対応させていただきます。

 

  1. 東京・大阪の経理代行|確定申告のポイント≫

 

先ほどは確定申告代行のメリットと注意点について説明しました。

最後に、「平成 28 年分 確定申告のポイント」について説明していきたいと思います。

 

(1)平成28年分確定申告の相談・申告書の受付、納期限及び振替日

 

※振替納税をご利用の方は、事前に預貯金残高をご確認ください。

⇒残高不足等で振替ができない場合は、振替日ではなく納期限の翌日(所得税等は3月16日)から納付日までの延滞税がかかる場合があります。必ず預貯金残高を確認して不足がないようにしておきましょう。

 

(2)社会保障・税番号(マイナンバー)制度の本格導入

平成28年分の確定申告でもっとも大きな変更点と言えるのが、社会保障・税番号(マイナンバー)制度の本格導入です。

 

今回より「マイナンバーの記載」「本人確認書類の提示又は写しの添付」が必要となります。

⇒ただマイナンバーの記載がなくても罰則規定は設けられてはいません。現状は、マイナンバーの記載がなくても確定申告書は受理してもらえます。

 

(3)給与所得控除の上限額の引き下げ(給与収入1,200万円を超える場合)

給与所得控除とは給与を得るためにかかる経費を概算計算した控除項目であり、給与の年収額に応じて定められている金額をいいます。

 

この給与所得控除額の上限額が平成28年分より段階的に引き下げられます。

つまり年収1,200万を超える高額所得者は増税となります。

 

【年収1,200万円超1,500万円以下の人】

<改正前>給与所得控除額 収入金額×5%+170万円

  ↓ ↓ ↓

<改正後>給与所得控除額 230万円

 

【年収1500万円超】

<改正前>給与所得控除額 245万円

  ↓ ↓ ↓

<改正後>給与所得控除額 230万円

 

(4)特定公社債等が申告分離課税の対象へ

国債、地方債、社債といった特定公社債等の売却益は非課税でしたが、上場株式等の譲渡所得として20.315%の申告分離課税となりました。

 

また特定公社債等の利子所得についても、源泉分離課税から申告分離課税に変更されています。

こちらは選択により申告しなくても構いません。

 

(5)多世帯同居リフォーム工事の税額控除

世代間の助け合いによる子育てを支援する観点から、祖父母・父母・子世代の三世代等の同居を後押しするため、住宅の三世代同居改修工事等に係る特例という制度が創設されました。

 

【対象になるリフォーム】

  • 所有する居住用家屋に対してのリフォーム
  • キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれかの増設
  • リフォーム費用が50万円を超える
  • 改修後にキッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれか2つ以上が複数になる

⇒住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)との併用はできません。

 

(6)公益社団法人等寄附金特別控除の対象拡大

国立大学や公立大学などへの個人の寄付を促すため、現行の所得控除に加え、税額控除が追加され、いずれかを選べるようになりました。

 

その他についてはこちらを参照ください。

  ↓ ↓ ↓

【参考】国税庁HP「平成28年分確定申告 税制上の主な変更点」

 

(7)おわりに

今回の経理代行コラムでは個人の方の確定申告についてお話しました。

日本は年末調整という制度があるため、多くの方が確定申告は自分には関係ないものと思い税金について無関心になっているのが現状です。確定申告しなければいけない方が確定申告をしていないと、後々、延滞税や加算税がかかってしまい、余計に税金を納めることになります。

 

確定申告を通じて税金に対して意識をすることで適切な税金を納める(または還付される)ことが大事ですね。確定申告をしていない方は、今一度、ご自身に確定申告義務がないのか確認しておくべきでしょう。

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