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2020/05/09 会社設立に必要な期間~必要なこととスケジュールを解説

会社設立は、思い立った時にすぐできるわけではありません。会社の存在を公的に証明するために、定款の認証登記申請という手続きが必要になります。

さらに、これらの手続きには様々な必要書類があるので、その準備期間も必要です。

古殿
古殿
今回は、会社設立にかかる最短期間と、一般的な期間の目安をご紹介していきます!

 

1.会社設立に必要な期間は?

会社設立に必要な期間の目安は、全部で1~2ヶ月。

もちろん、事業内容を練ったり資本金を貯めたりするためにはもっと時間が必要ですが、会社設立の手続き自体にはそんなに時間がかかりません。

まずは会社設立の流れと、それぞれの期間の目安を解説していきます。

 

(1)会社設立の流れ

会社設立は、以下の流れで進めていきます。

  1. 事業計画・資本金の調達
  2. 基本事項の決定
  3. 定款作成
  4. 定款の認証(株式会社のみ)
  5. 登記申請
  6. 社会保険・税金等の手続き

 

(2)会社設立までの最短期間

前項でお伝えした会社設立の流れのうち、定款の認証と登記申請には公的機関が関わるため、事務処理に時間がかかります。定款の認証は即日できますが、登記申請の処理日数は最短でも1週間ほど。

そのため、事前準備が完璧にできている状態から始めた場合、会社設立にかかる最短期間は1週間ほどです。

その前段階の事業計画や資本金の調達、基本事項の決定に関しては、会社によってさまざま。中には何年もかけて起業を計画する人もいますし、スピード感が必要な事業なら数日で基本事項まで決める場合もあります。

定款の作成や、申請に必要な書類の準備期間は、自分で行うなら2週間~2ヶ月ほどが目安です。専門家に依頼した場合、数日~1週間ほどに期間を短縮することもできます。

 

2.会社設立を短期間でできるかは事前準備次第

それでは、会社設立の公的な手続きを行うまでの事前準備について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)必要事項を決定しておく

会社設立のためには、まず会社の基本事項を決定しておく必要があります。

会社の基本事項とは、以下のような項目のことです。

  • 会社の名前(商号)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 事業年度
  • 資本金
  • 出資者
  • 株式譲渡の有無
  • 役員構成

 

古殿
古殿
これらの基本事項は定款に記載する必要があるので、最初に決めておきます。会社設立後には簡単に変えることができない事項なので、慎重に決定しましょう!

 

(2)印鑑を準備しておく

会社設立手続きでは、印鑑が必要になるシーンが多くあります。

会社設立に必要な印鑑は、以下の4種類です。

会社実印(代表社印)

会社の設立登記時に登録する印鑑 主に重要な契約書などに使う

会社銀行印

銀行口座の開設時に届け出る印鑑 会社実印と分けてリスクを分散する

 角印(社印)

注文書・請求書・稟議書などに用いる会社の認印

 住所印(ゴム印)

会社名・会社住所・電話番号などを記載した印鑑

 

会社の印鑑はオーダーメイドなので、手元に届くまでには数日~の期間がかかります。印鑑がないと必要書類が作れないため、早めに準備しておきましょう。

また、会社の発起人や取締役の個人印鑑も必要なので、用意して印鑑登録を済ませておきます。

古殿
古殿
会社設立時の印鑑について詳しくは、「会社設立時に用意すべき印鑑とは?素材や書体はどう決める?」をご覧ください!

 

(3)印鑑証明をもらう

定款の認証手続きには、発起人と取締役の印鑑証明が1通ずつ必要になります。会社印の印鑑証明は登記が終わるまで取得できませんが、個人の印鑑証明は手続きで忙しくなる前に取得しておきましょう。

印鑑証明は、印鑑登録を行なった自治体の役所で、1通300円程度で発行できます。

 

3.会社設立に必要なこととその期間

次に、公的機関が関わる会社設立手続の手順と、その期間について解説します。

定款作成や登記に必要な書類について詳しくは、「会社設立・登記に必要な書類とは?手続き方法、設立後にすべきこと」をご覧ください。

 

(1)定款作成

定款とは、会社の基本事項や基本ルールを記載した書類のことです。

具体的には、以下のような内容を記載します。

  • 商号
  • 目的
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名及び住所
  • 発行可能株式総数
古殿
古殿
定款は最短1時間程度でも作成できますが、知識のない人が調べながら作ったり、内容にこだわったりした場合にはその分時間がかかることもあります!

 

(2)定款認証

次に、定款の認証手続きです。定款の認証は、公証役場に必要書類と手数料を持参して行います。

①収入印紙購入

定款の認証手続きには、4万円分の収入印紙が必要です。公証役場内で購入できる場所がある場合もありますが、事前に郵便局などで購入しておいた方が確実です。

なお、定款に貼り付けるのは認証手続き当日がおすすめ。万が一定款に不備があった場合、先に収入印紙を貼り付けておくと無駄になってしまうためです。

 

②公証役場で定款認証を受ける

準備が整ったら、以下の必要書類を公証役場に提出します。

  • 定款 3部
  • 発起人(出資者)全員の印鑑証明書
  • 発起人(出資者)の実印
  • 身分証明書
  • 公証人へ支払う手数料 5万円
  • 定款の写し交付手数料 250円×定款のページ数
  • 収入印紙 4万円分(電子定款の場合は不要)

 

定款の認証手続きにはそれほど時間がかからないので、即日完了します。

 

③資本金を払い込む

定款の認証が終わったら、会社用の口座を用意して、資本金として定めた額を振り込みましょう。このタイミングで行うのは、次の登記手続きで必要な書類を作成するためです。

資本金の払い込みが終わったら、通帳の以下の部分をコピーしておきましょう。

  • 通帳の記帳欄
  • 表紙
  • 個人情報欄

 

(3)登記申請書類の準備

次に、登記申請書類を用意します。

登記申請にはたくさんの書類が必要ですが、どれも複雑な作業が必要なものではありません。

法務局のホームーページからダウンロードできるフォーマットや、ネット上で配布されているテンプレートに必要事項を記入し、以下の書類を揃えます。この準備は、1~3日程度でできるでしょう。

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 登記すべき事項を記録した磁気ディスク(CD-Rなど)
  • 公証人の認証済みの定款
  • 資本金払込証明書
  • 役員の就任承諾書
  • 役員の印鑑証明書
  • 印鑑届書
  • 印鑑カード交付申請書

 

(4)登記申請

登記申請書類が揃ったら、法務局で登記申請を行います。上記の必要書類とともに、株式会社は15万円、合同会社は6万円の登録免許税を納めましょう。

ちなみに、会社の設立登記は郵送でも申請できます。登記申請の事務処理には、1~2週間ほどの期間がかかります。

 

(5)設立後の手続き

会社設立の手続きができたら、開業するために社会保険・税金関係の手続きを行います。

会社設立後、開業までに済ませるべき公的手続きには以下のものがあります。

年金事務所に提出する書類

(会社設立から5日以内)

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届

ハローワーク(公共職業安定所)

に提出する書類

(従業員を雇用した翌日から10日以内)

  •  雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

労働基準監督署に提出する書類

(従業員を雇用した翌日から10日以内)

  •  保険関係成立届
  • 労働保険概算保険料申告書

税務署に提出する書類

  •  法人設立届出書(会社設立から2ヶ月以内)
  • 給与支払事務所等(給与支払事務所として開設してから1ヶ月以内)
  • 源泉所得税の納期の特例(必須ではありませんが、通常は会社設立時にセットで届出します。)
  • 青色申告の承認申請書(会社設立後3ヶ月以内、または最初の事業年度の末日まで)

 

4.会社設立への期間はゆとりを持って

最初にもお伝えしましたが、会社設立にかかる期間の目安は1~2か月です。専門家に依頼すれば、複雑な書類作成がスムーズにできるので1~3週間で手続きが完了することもあります。

目標とする開業日がある場合、手続きが遅れるとその日に開業できないことも。会社設立を考えている方は、期間にゆとりを持って準備を進めていきましょう。

 

5.まとめ

会社設立には、定款の作成・認証と登記申請という手続きが必要になります。

会社に関する事項の決定や、書類の準備期間は、自分次第で短縮することも可能です。

しかし、公的機関の事務処理期間は短縮できないので、最低でも1週間程度は見込んでおきましょう。

古殿
古殿
会社設立の専門家に手続きを依頼すれば、手間を省いてスピーディーに会社設立することもできますよ!会社設立は起業家の方の夢への第1歩。税理士にお願いすれば、設立前後の損得の話も多く聞けるでしょう!

 

2020/05/07 会社設立の準備に必要なこととは

会社設立の準備は、個人で行うのは大変な大仕事です。各手続きでたくさんの書類が必要なので、準備期間は役所に何度も足を運ぶことになります。

今回は、会社設立準備をスムーズにするために、ステップごとに必要な書類・お金・モノのチェックリストを掲載いたします。

古殿
古殿
会社設立の準備は、全体の流れを把握して着実に進めていくのが大切です!

 

1.会社設立の準備に必要なこと

会社設立には、「定款の認証」と「登記」という手続きが必要です。

そのためには、まず会社の基本事項を決定し、手続きに必要な書類・物・お金を準備しなければなりません。

会社設立をしようと決断したら、まず始めるべき準備について、ステップごとに見ていきましょう。

 

(1)会社の基本事項を決定する

会社設立の準備には、まずは会社の基本事項を決める必要があります。

これらの内容は定款にも記載するので、会社設立を決めたら速やかに決定します。

  • 会社名
  • 本店所在地
  • 事業内容(事業目的・事業年度)
  • 発起人・役員
古殿
古殿
それぞれの決め方や、ルールについて知っていきましょう!

 

①会社名・本店所在地

会社名は事業内容をよく表し、人に覚えてもらいやすいものを考えましょう。

商号に使用できるのは、以下の文字です。

  • ひらがな
  • カタカナ
  • 漢字
  • ローマ字(大文字・小文字)
  • アラビア数字
  • 符号(&、-、・、,など)

 

上記の範囲内なら文字数などは自由ですが、以下のような会社名は使うことができません。

  • 銀行・生命保険・信託など、業種を誤認させるような言葉
  • 下品な言葉・差別用語など、公序良俗に反する文字・言葉
  • ○○営業所、○○支店など
  • 有名企業と全く同じ会社名、商標登録されている名称、同一所在地で同じ名前の会社

 

本店所在地には、主要な事業を行う場所を登録します。実際の事務所の住所以外に、自宅を本店所在地にすることもありますが、賃貸住宅の場合は大家さんの許可を取ったほうがいいでしょう。

 

②事業目的・事業年度

事業目的には、会社設立後に行う事業の内容を記載します。事業目的は、様々な許認可や社会保険団体の入会条件となることもある重要なものです。

そのため、事前に行政機関や法務局に相談してから決めることをおすすめします。

ちなみに、複数の事業を行う場合、事業目的は全部で10個前後に収め、メイン事業がわかりやすくなるよう記載しておくといいでしょう。

事業年度は、決算月を定め、そこから1年間とするのが一般的です。決算月については、資金繰りや事業の忙しさを考慮して都合が良いように決めることができます。

事業の閑散期には、手が空いていて事務手続きがしやすい反面、売上が少ないので決算書の見栄えが悪くなりがちです。

逆に繁忙期に設定すると、資金繰りには余裕がありますが、締め作業などの負担に毎年苦しめられる可能性もあります。

古殿
古殿
決算書の内容は、販路拡大や資金調達にも影響しますので、慎重に決めましょう!

 

③機関設計と役員

機関設計とは、自分の会社の役員や組織の布陣のことです。

代表取締役・取締役・取締役会・監査役・会計参与・株主総会といった、会社の経営権や意思決定権をもつ人の選定・配置を行なっていきます。

以前の法律では、株式会社を設立する場合は3人以上の取締役と監査役、取締役会の設置が必要でした。しかし、現行の会社法では、取締役1人からでも会社設立が可能になっています。

 

(2)必要なお金と物を準備する

次に、会社設立に必要な物とお金を準備する必要があります。

具体的に準備するものは以下の通りです。

  • 資本金
  • 法人用印鑑

 

①資本金の金額決定

まず、資本金を用意するためには、資本金の金額を決めなければいけません。

現行の会社法では、資本金は1円からでも会社設立ができます。

しかし、資本金は会社を運営するための体力で、会社の信用度にも影響するため、実際に1円で起業する人は多くありません。

なるべく多く用意するのが理想ですが、資本金が1,000万円以上だと会社設立1期目から消費税の課税事業者になってしまうので、1,000万円未満に設定することが多いです。

資本金額の目安は「開業資金+3~6ヶ月分の運転資金」で、100~300万円くらいの会社が多くなっています。

 

②資金・設立費用を集める

資本金額が決まったら、そのための費用を準備します。

会社設立費用の集め方には、

  • 設立メンバーの自己資金
  • 投資家からの出資
  • クラウドファンディング

 

などの方法があります。

資本金は会社の資産なので、あとで返済する必要がある借入金は資本金にすることができません。

 

③法人用印鑑を準備する

最後に、会社設立手続きに使う法人用印鑑が必要です。

準備しておくべき印鑑の種類は、以下の通りです。

会社実印(代表社印)

会社の設立登記時に登録する実印。主に重要な契約書などに使う

会社銀行印

銀行口座の開設時に届け出る実印。会社実印と分けてリスクを分散する

 角印(社印)

注文書・請求書・稟議書などに用いる会社の認印

 住所印(ゴム印)

会社名・会社住所・電話番号などを記載した印鑑

これらの準備費用は5,000~20,000円くらいで、必要なものが揃った会社設立印鑑セットを用意している印鑑屋さんもあります。また、法人用印鑑以外に、会社の代表者個人の実印と認印も様々な手続きで必要になります。

実印は取締役全員が準備し、住んでいる自治体で印鑑登録も済ませておきましょう。

 

2.会社設立で準備すべき書類

次に、会社設立に必要な書類を解説します。全ての書類が準備できていないと手続きができないため、せっかく法務局に行っても無駄足になってしまいます。

また、順番通りに揃えないと取得できない書類もあるため気をつけましょう。

 

(1)定款作成に必要な書類

定款とは、会社の基本ルールを記載した書類で、準備の最初で決めたような会社の基本事項を記載します。

そして、株式会社を設立するには、定款の認証を受ける必要があります。

定款の認証を受ける際には、以下の書類を準備して公証役場に提出します。

必要な書類

必要な費用

  • 定款3通
  • 発起人(出資者)全員の印鑑証明書
  • 発起人(出資者)の実印
  • 身分証明書
  • 手数料:5万円                
  • 謄本作成費用:約2,000円(1ページ250円×必要枚数)
  • 収入印紙:4万円分
古殿
古殿
ちなみに、株式会社ではなく合同会社を設立する場合、この定款の認証というステップは必要ありません。定款の作成自体は必要ですが、作成ができたら以下で解説する登記申請の手続きから始めてOKです!

 

(2)登記申請に必要な書類

定款の認証が済んだら、法務局で会社設立登記を行います。

この手続きに必要な書類は、以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 登記すべき事項を記録した磁気ディスク(CD-Rなど)
  • 公証人の認証済みの定款
  • 資本金払込証明書
  • 役員の就任承諾書
  • 役員の印鑑証明書
  • 印鑑届書
  • 印鑑カード交付申請書

 

また、この登記手続きには登録免許税の払い込みが必要です。

登録免許税の金額は、設立する会社の形態によって異なります。

  • 株式会社:15万円
  • 合同会社:6万円

 

(3)設立後に必要な書類

会社設立の手続きの後は、会社の運営を始めるための手続きが必要です。

開業前に必要な準備は、大きく分けて「社会保険関係」「税務署関係」の2種類があります。

社会保険関係

会社設立後、社会保険関係で提出する書類と、その提出先は以下の通りです。

年金事務所に提出する書類

(会社設立から5日以内)

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届

ハローワーク(公共職業安定所)に提出する書類

(従業員を雇用した翌日から10日以内)

  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

労働基準監督署に提出する書類

(従業員を雇用した翌日から10日以内) 

  • 保険関係成立届
  • 労働保険概算保険料申告書

 

税務署関係

会社設立後、税申告を行うために、税務署に以下の書類を提出します。

税務署に提出する書類
  • 法人設立届出書(会社設立から2ヶ月以内)
  • 給与支払事務所等(給与支払事務所として開設してから1ヶ月以内)
  • 青色申告の承認申請書(会社設立後3ヶ月以内、または最初の事業年度の末日まで)

 

(4)書類以外に必要な物

会社設立後は、公的な手続き以外にも事業準備で大忙しになります。

開業までにする準備するもののチェックリストは、以下の通りです。

  • オフィス・店舗の賃貸契約
  • オフィス・店舗の内装工事
  • オフィス・店舗のライフライン契約
  • 従業員の求人募集・雇用契約
  • 必要な機材・什器・事務用品などの購入
  • 商品・材料の仕入れ
  • 名刺作成
  • ホームページ作成
  • チラシ・看板作成
  • SNSアカウント設置

など

 

3.まとめ

会社設立の準備は、用意する書類やお金・モノがたくさんあり大変な作業です。スムーズに開業の日を迎えるためには、手続きの流れを把握して、必要書類や準備するもののチェックリストを作成しておくのが大切です。

会社設立後も税務署に提出する「青色申告の承認申請書」などは期限もあるため、忘れずに届出しておかないと納税の際に不利益が出てしまう可能性もあります。

古殿
古殿
今回ご紹介した準備するものリストを、ぜひ会社設立にお役立てください!

 

2020/04/20 会社の設立方法・登記方法を詳しく解説!基本の流れと必要書類・費用は?

会社が会社として成立するには、法務局で会社設立登記という手続きをする必要があります。会社設立登記は必要書類を用意して提出するだけで完了しますが、その準備がなかなか大変です。

この記事では、会社設立登記の基本的な流れと、必要書類・費用について解説します。

古殿
古殿
会社設立をお考えの方は、ぜひお役立てください!

 

1.会社設立登記の流れ

まずは、大まかな会社設立登記の流れを見ていきましょう。

会社設立登記をするときは、この順番に従って必要な書類を集め、提出や手続きを行っていきます。

 

 

 

(1)必要事項を決定する

会社設立の最初のステップは、基本事項の決定です。

最初に決めておくべき基本事項には、以下のようなものがあります。

  • 商号(会社名)
  • 所在地(登記する正確な住所)
  • 発起人
  • 登記簿謄本に記載する事業内容
  • 資本金額
  • 決算日

 

また、このタイミングで、以降の手続きに必要な会社の印鑑4種類も作成しておきます。

 

(2)定款を作成する

次に、定款の作成を行います。定款とは、会社の基本的なルールを書面にまとめた書類のことです。

定款には以下のような内容を記載します。

  • 会社名
  • 所在地
  • 事業目的
  • 広告方法
  • 発行可能株式総数
  • 株式の譲渡制限
  • 取締役の員数
  • 取締役の任期
  • 事業年度
  • 設立に際して出資される財産の価額
  • 設立後の資本金の額
  • 最初の事業年度
  • 設立時の役員
  • 発起人の氏名、住所等
  • 発起人の記名押印
  • 出資者全員の捨て印

 

(3)公証役場で定款の認証を受ける

定款が作成できたら、その内容が正しいことを第三者に証明してもらう「認証」の手続きを行います。

公証役場に定款を提出して手数料を納付し、公証人による認証を受けます。

 

ちなみに、この定款の認証は、株式会社を設立する場合のみ必要な手続きです。合同会社設立の場合は必要ありません。

 

(4)資本金を払い込む

会社設立時の資本金額を準備し、振り込みます。

会社法の改正により、資本金は1円からでも起業できますが、実際には資本金は多く用意した方が社会的信用は得やすいです。

 

後の会社設立登記で「資本金の払込証明書」が必要になるので、このタイミングで会社用の口座を用意し、資本金として定めた額を振り込みましょう。

 

(5)法務局で設立登記する

会社設立の最後の手続きが、登記申請です。

会社の設立登記は、法務局に必要書類を提出して行います。

 

この会社設立登記の手続き方法には、「直接提出」「郵送」「オンライン提出」の3つがあります。

古殿
古殿
登記手続きに必要な書類については、次の項目で詳しく解説いたします。

 

2.会社設立の登記に必要な書類

それでは、会社設立登記の必要書類を、1つずつ見ていきましょう。

 

(1)必須となる書類

以下で解説する書類は、設立する会社の形式や規模に関わらず、どんな会社の設立登記にも必要です。

  1. 登記申請書
  2. 登録免許税納付用台紙
  3. 登記すべき事項を記録した磁気ディスク(CD-Rなど)
  4. 公証人の認証済みの定款
  5. 資本金払込証明書
  6. 役員の就任承諾書
  7. 役員の印鑑証明書
  8. 印鑑届書
  9. 印鑑カード交付申請書

 

1.登記申請書

登記申請書のテンプレートは、法務省のホームページからダウンロードすることができます。テンプレートを使わず、同じ内容を記載した書類を作成しても問題ありません。内容は以下の事項をA4用紙に横書きにするだけなので、特に難しくはないでしょう。

  • 会社の基本事項(会社名・所在地・登記の事由・資本金額・登録免許税額)
  • 添付書類の内訳
  • 申請年月日
  • 本店と代表者の氏名・住所

2.登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙には、株式会社の場合15万円分、合同会社の場合は6万円分の収入印紙を貼り付けて提出します。

この書類には、特に決まった形式はありません。法務局の窓口で申し出て入手することもできますし、ネット上でテンプレートを探してダウンロードしたり、ただの白紙に収入印紙を貼り付けて提出したりしても問題ありません。

3.登記すべき事項を記録した磁気ディスク

(CD-Rなど)

登記事項を保存した書類は紙媒体で提出することもできますが、その場合は用紙を法務局で直接入手する必要があります。法務省のホームページにある作成例を参考にしながら、自分のPCで作成した方が効率的です。

内容はテンプレートに従って必要事項を記入するだけなので、そこまで難しくありません。作成が終わったら、CD-RかFDに保存し、会社名を書いたシールを貼り付けて提出します。

4.公証人の認証済みの定款

株式会社を設立する場合、登記の一つ前のステップで公証人の認証を受けた定款が1部必要です。

合同会社の場合、定款の認証は必要ありませんが、登記の際に定款を1部提出します。

5.資本金払込証明書

資本金払込証明書は資本金の払い込みを行なったあと、取得した通帳のコピーから作成します。通帳の記帳欄、表紙、個人情報欄のコピーに表紙をつけ、製本しましょう。

各見開きページの綴り部分には、契印をしておきます。

6.役員の就任承諾書

役員の就任承諾書は、「取締役・代表取締役に就任したことを承諾した」ということを証明するための書類です。 内容は「○年○月○日の取締役会で取締役(代表取締役)に選任され、承諾しました」という文章と、その人の署名です。

インターネット上でテンプレートが取得できるため、日付と署名欄を埋めるだけで問題ありません。

7.役員の印鑑証明書 役員の印鑑証明書は、会社の役員は住民票を置いている自治体の役所で入手します。定款の認証を受ける際に取得したものと、同じ印鑑証明が必要です。

役員が複数人いる会社の場合、全員のものを用意しましょう。

ただし、取締役会がある場合は、代表取締役1名の印鑑証明のみで手続きが可能です。

8.印鑑届書 印鑑届書は、登記の際に会社実印の印鑑登録をするために必要な書類です。

法務局のホームページでテンプレートを入手できるため、必要事項を記入して提出しましょう。

9.印鑑カード交付申請書 会社実印の印鑑登録をしたあと、印鑑証明書を入手するために印鑑カードが必要です。印鑑届書と同じく、法務局のホームページで入手したテンプレートに必要事項を記入して提出します。

会社の印鑑証明書は会社設立後の様々な手続きに使いますが、同じく設立後の手続きで必要になる登記簿謄本については、事前に申請しなくても誰でも取得できます。

 

(2)場合によっては必要な書類

場合によっては会社設立登記をする時、上記の他に以下の書類が必要になることもあります。

  • 発起人決定書
  • 調査報告書
  • 財産引継書
  • 資本金の額の計上に関する証明書

 

まず「発起人決定書」は、定款に取締役・代表取締役・本店所在地の番地・電子定款のURLなどの記載がない場合に必要です。

「調査報告書」「財産引継書」「資本金の額の計上に関する証明書」は、資本金や出資金に現金以外の現物出資が含まれる場合に必要な書類です。

 

3.会社設立登記の申請・手続きの方法

それでは、会社設立登記の具体的なやり方や費用について解説していきます。

 

(1)申請先と申請期限

会社設立登記の申請先は、法務局です。法務局の窓口に必要書類を持参して出向くか、法務局の住所に郵送、または専用の申請システムを使ってオンライン申請で行います。

また、会社設立登記を行う期間「設立時取締役の調査完了日、もしくは発起人が定めた日から2週間以内」です。

古殿
古殿
期限を過ぎた後の申請も可能ですが、過ぎてしまうと「登記懈怠」となり、罰金の対象となるので注意しましょう!

 

(2)登記に必要な費用

登記に必要な費用は、ステップごとに以下のものがあります。

 

①定款認証関連

株式会社を設立する場合、定款の認証に以下の費用がかかります。

  • 定款に貼り付ける収入印紙:40,000円(電子定款の場合は不要)
  • 公証人に払う手数料:50,000円
  • 定款の謄本交付手数料:約2,000円(250円×ページ数)

 

②設立登記関連

登記申請の際には登録免許税がかかりますが、登録免許税の金額は会社の形式や資本金の額により異なります。

  • 株式会社:150,000円(資本金の0.7%が150,000円以上の場合、その金額)
  • 合同会社:60,000円(資本金の0.7%が60,000円以上の場合、その金額)

 

③その他の費用

会社設立登記にかかるその他の費用としては、印鑑の作成費用・各種証明書の交付費用・交通費などがあります。

これらの雑費については、合わせて10,000円ほど見込んでおけばいいでしょう。

 

4.会社設立登記の後に必要な手続き

会社設立登記の後に必要な手続きは、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 税務署への各種届出
  • 健康保険・厚生年金保険への加入
  • 労災保険・雇用保険への加入

 

どの手続きも、事業開始後の税申告や、従業員の保護のために必要な手続きです。

手続きを怠ると、後でペナルティが課せられる可能性があるため、会社設立登記の後に速やかに行いましょう。

 

5.まとめ

会社設立登記は、会社設立を行う中で最後のステップです。登記が完了することで、初めて会社として成立します。スムーズに会社設立登記を行うには、手続きの流れと必要書類をしっかり理解し、順序よく準備を進めていく必要があります。

会社設立後に税理士に顧問をご依頼される場合、弊所では司法書士手数料が無料になりますのでご依頼されることを検討してみてはいかがでしょうか?今回ご紹介した会社設立業務を丸投げでご依頼可能です。

古殿
古殿
会社設立をお考えの方は、ぜひ今回解説した内容を参考にしてみてください!

 

2020/04/13 会社設立と個人事業主どちらが良い?メリットとデメリット

個人事業で開業すると、簡易的に手続きを行えるというメリットがありますが、法人に比べて社会的信用が低いというデメリットがあります。 一方、会社設立をする場合は手間とコストがかかりますが、そのぶん事業の運営や税制上、得られるメリットは大きいです。一定水準の利益を超えた場合には、法人の方が税負担の面で有利になるケースが多くなっています。

この記事では、会社設立のメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。

古殿
古殿
個人事業主と法人成りのどちらが得か見極めるポイントや、個人事業主が会社設立(法人成り)すべきタイミングについてもご紹介します!

 

1.会社設立と個人事業主との違い

現在サラリーマンで、これから独立を考えている方には、事業を行う方法として「個人事業主」「会社設立」の2つの選択肢があります。

会社と個人事業主のもっとも大きな違いは、法律上「法人」と扱われるか「個人」と扱われるかということです。

個人事業主は事業を行なっていてもあくまで個人なので、適用される法律や税金は個人向けのものです。

会社を設立すると、「法律上、人格を持つ組織」である法人になり、個人事業主とは根本的に扱いが変わります。会社設立のためには個人事業より複雑な手続きが必要になり、運営上のルールが課せられるなど厳しい側面もあります。

しかし、その分税制上の優遇措置は法人の方がはるかに多く、メリットが大きいです。

古殿
古殿
社会的な信用度も個人事業主より法人の方が高いので、事業拡大を目指すなら会社設立の方が適しています!

 

2.会社設立の7つのメリット

  1. 会社設立のメリットは、大きく分けて7つあります。
  2. 取引先からの信頼を得られる
  3. 節税になる
  4. 融資・資金調達しやすい
  5. 決算日を決められる
  6. 人材を集めやすい
  7. 相続税が発生せず、継承しやすい
  8. 有限責任なので経営のリスクが減る

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

(1)取引先からの信頼を得られる

会社経営者と個人事業主では、一般的には会社経営者の方が社会的信用度は高いです。

それは、会社の作り方には定款の作成や登記といった複雑な手続きが必要で、手軽に開業できる個人事業主より事業への本気度が高いと判断されるためです。

また、資本金や定款・登記手続きの費用など設立にかかるコストも高く、それだけ事業に確実性があると見なされます。

 

(2)節税になる

会社設立には、以下のような様々な税制上のメリットもあります。

法人に適用される税金の軽減措置を利用できることは、個人事業主と比べて大きなメリットでしょう。

 

①給与所得控除

給与所得控除とは、サラリーマンが給与の中から仕事に必要なものを買ったりするための必要経費として、給与所得から一定額が非課税になるというものです。この給与所得控除は役員報酬にも適用されるため、会社を設立して社長や役員になると、所得のうち一定額は自動的に非課税になります。

個人事業主の場合、非課税になるのは実際に使った必要経費のみです。

また、社長や役員は、実際に使った経費を必要経費として会社に申請した上で給与所得控除が適用されるので、二重に得をすることができます。

 

②家族に給与を支払える

会社設立を行うと、家族を従業員として雇い、給与を支払うことができます。法人であれば給与の額に制限がなく、事業の状況に応じて柔軟に給与額を定めることができます。

会社なら家族へ支払った給与を必要経費にできるので、事業に従事する家族が多いほど大きな節税になるのです。

個人事業主も、家族を雇って給与を支払うこと自体は可能ですが、上限額が定められていたり、給与額を自由に変動させられなかったりと様々な制約があります。

古殿
古殿
また、個人事業主は、基本的に家族に支払った給与を経費にすることができません。

 

③消費税の免除を受けられる

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者、また1,000万円を超えてから2事業年度以内の事業者は、消費税の免税事業者となり、消費税を納付する必要がありません。基本的には、課税売上高が1,000万円を超えた2年後から、消費税の納付義務が発生します。

この条件は会社でも個人事業主でも同様ですが、個人事業主が法人化(会社設立)を行うと、それまでの事業と会社設立後の事業は切り離して考えることになります。

つまり、課税売上高の記録がリセットされ、会社設立から2年間はまた免税事業者になれるということになります。

そのため、会社設立を行うと、免税事業者でいられる期間が4年間に伸び、大きな節税になるのです。

 

④所得税・法人税率の差

会社に課せられる法人税は累進課税で、最大税率は23.2%です。

一方、個人事業主に課せられる所得税では、最大45%までの累進課税制度が採用されています。

古殿
古殿
利益が大きくなるほど納税額の差も開いていくため、純利益が500~1,000万円くらいのラインで「法人成り(会社設立)」を行う個人事業主も多いです。

 

⑤退職所得で節税

会社が利用できる控除には、「退職所得控除」というものもあります。

先にご説明した「給与所得控除」よりもこの退職所得控除の方が枠は大きく、また課税対象となる金額自体も、退職金から退職所得控除を差し引いた額の半額のみです。

そのため、従業員の給与の一部を退職金として積み立てておき、後で退職金として支払うことで、課税額を減らして節税することができるのです。

個人事業主の事業形態では、退職金という概念自体がないので、会社設立をする大きなメリットと言えます。

 

⑥必要経費の幅が増える

会社設立を行うと、個人事業主より必要経費の幅が増えます。例えば、会社名義で借りた不動産を「社宅」とすることによって、その家賃が必要経費になります。

これにより、自分や従業員の家賃を利用して節税することが可能です。

また、交際費や、個人事業主では家事按分が適用される必要経費についても、会社の方が経費にできる枠が大きく、節税に繋がりやすいです。

 

⑦欠損金を10年繰り越せる

欠損金の繰越とは、ある年に生じた赤字を翌年以降に繰り越し、後の年度の利益と相殺して課税所得を減らすことです。

会社設立を行うと、赤字が発生した年から10年間この欠損金の繰越が認められます。

個人事業主の場合、欠損金の繰越が認められるのは最長3年なので、こちらの面でも会社設立をした方が有利です。

 

⑧保険の半額損金算入が可能

会社設立をすると、社会保険に加入する義務が発生します。

従業員の保険料を半額負担するのでコストは増えますが、そのぶん保険料を損金算入して課税所得を減らし、節税することが可能です。

 

⑨相続税・贈与税なしで事業を引き継げる

個人事業を次の世代に継承するとき、多くの財産を持っている場合は多額の相続税や贈与税が課せられます。

しかし、事業を法人化して会社設立しておけば、財産は法人所有のものとなり相続税がかかりません。

これは、最初の項目で解説した「会社は法律上、人として扱われる組織」ということがポイントになります。

会社は法人格を持っているので財産を所有でき、相続税・贈与税の対策にもなるのです。

 

(3)融資・資金調達しやすい

先にもお伝えしたように、会社設立をすると個人事業主より高い社会的信頼性が得られます。

「フリーランスや個人商店より、会社の方が信頼できる」という心象面のほか、実務の面で、登記簿謄本により会社の重要事項を確認できるということも重要です。

融資や資金調達には信用が重視されるので、会社設立を行った方が多くの融資・資金を引き出しやすくなります。

そのため、会社設立をすると大規模な事業が可能になり、事業拡大のスピードも速くなるでしょう。

 

(4)決算日を決められる

会社の事業年度は、会社設立時に自由に設定することが可能ですが、個人事業主の場合は毎年1月1日~12月31日と決まっています。

そのため、資金繰りに余裕がある時期に設定したり、繁忙期を避けて決算業務がしやすい時期に設定したりと、自社にとって有利に決算を行うことができるのです。

 

(5)人材を集めやすい

会社設立で高い社会的信用が得られることは、人材集めにも影響します。

誰でも、働くなら安定した職場で長く働きたいと思うのは当然。会社なら、社会保険や退職金といった制度がしっかりしているということで求職者の信頼感が増し、人が集まりやすくなるのです。

 

(6)相続税が発生せず、継承しやすい

先にもお伝えしましたが、法人の事業承継には相続税や贈与税がかかりません。

自分一代だけではなく、子供や孫に代々事業を続けていってほしいと考える場合には、会社設立を検討するのがおすすめです。

 

(7)有限責任なので経営のリスクが減る

個人事業主の場合、事業主は事業に対して無限責任を負います。

つまり、多額の借金を抱えて事業が倒産した場合、個人の財産を処分してでも借金を返済する必要があるのです。

対して、株式会社や有限会社の社長や役員は有限責任なので、出資額以上の責任を負うことはありません。

古殿
古殿
万が一事業がうまくいかなかった場合のリスク回避にも、会社設立という方法が使えるのです。

 

3.会社設立でのデメリットとは

会社設立には、メリットだけではなくデメリットがあります。

両方をしっかり比較して、会社設立をするべきかどうか検討した方が良いでしょう。

 

(1)赤字でも発生する税金がある

法人の場合、法人住民税の均等割りがあるため、利益が全く無くても毎年最低7万円を納税する必要があります。

しかし、個人事業主だと、赤字で利益がない場合には所得税は課税されず、納税の義務があるのは年数千円程度の個人住民税の均等割りのみです。

 

(2)社会保険への加入が必要

法人は、従業員を守るために社会保険加入の義務があります。そして会社は、従業員にかかる社会保険料の半分を負担しなければなりません。

先にお伝えしたようにその保険料は損金算入できますが、従業員を雇うごとにコストが増えるというのは会社設立のデメリットです。

従業員が社長1人だけの場合も、国民健康保険と国民年金を納める個人事業主よりも社会保険料は高額です。

 

(3)会社のお金を使う場合に制限がある

個人事業主の場合は、稼いだお金は全て事業主のものとなり、自由に使うことができます。しかし、会社設立をすると、会社と個人のお金が明確に区別されるようになります。

社長の給料も、役員報酬として会社から受け取るという形に変わります。

古殿
古殿
また、役員報酬の額は自由に変更することができず、決算日の翌日から3ヶ月以内に決定した「定期同額給与」しか経費として計上することができません。

 

(4)税務会計など、事務作業が煩雑

会社設立をすると、個人事業の時よりも提出書類が増え、しかも複雑になります。確定申告の提出資料だと、個人事業主は書類3~4枚で済ませられますが、法人の場合は法人税の決算申告で少なくとも30~50枚も必要となります。

そのため、手続きのために従業員を雇う、申告のために税理士と契約をするなどの必要が出てくるでしょう。

そのためのコストがかかるのも、会社設立のデメリットです。

 

(5)設立と解散に手間と費用がかかる

会社設立には、個人事業よりも何かと費用がかかります。例えば、個人事業の開業なら書類を提出するだけなので0円ですが、株式会社設立には手続き費用として、登録免許税などが最低でも20万円ほどかかります。

また、会社設立をすると税務や保険関係の手続きが複雑になるため、税理士や社労士に依頼する費用もかかります。

古殿
古殿
さらに、会社を廃止するときにも、解散手続きや官報広告費用に8万円ほどの費用がかかることを知っておきましょう。

 

4.メリットはある?会社設立すべきかのポイント

会社設立のメリットは、シンプルにいうと「信用性」と「節税」です。

すでに個人事業を行なっていて、経営のノウハウが備わり、今後も事業拡大の見込みがある場合は、会社設立をするメリットが大きいです。

節税できる額が、会社設立費用やランニングコストを上回った時点で会社設立を考えていいでしょう。

ちなみに、実利の面では、個人事業主より会社設立をした方が得になるボーダーラインは「事業所得600~800万円」と言われています。もちろん、従業員を雇用しているケースなどもありケースバイケースではあるため、税理士に一度シュミレーションしてもらいましょう。

また、新規事業を開始したいときなど、まとまった事業資金が必要なタイミングに合わせて会社設立をするのも一つの方法です。

完全に新規起業をする場合は、「その仕事で自分や家族が食べてさえいければいいのか」、それとも「事業を成長させていずれは大企業に育てたいのか」という将来のビジョンが重要になります。

古殿
古殿
法人化や、会社設立をするタイミングは人それぞれですが、いずれにせよしっかりした事業計画と必然性があるということが重要です!

 

5.まとめ

会社設立のメリットは、社会的な信用が高く、事業の運営がスムーズになること。

税制上の優遇措置も法人向けのものの方が多く、節税目的で会社設立する人もいます。

古殿
古殿
しかし、会社設立には何かとコストがかかり、リスクが大きいのも事実。
会社設立を行うなら、事業のビジョンをしっかりと検討し、得になるタイミングを見極める必要があります!

 

2020/03/19 会社設立時に用意すべき印鑑とは?素材や書体はどう決める?

会社設立時には、会社の印鑑が4種類、個人の印鑑が3種類必要になります。全て同じタイミングで必要というわけではありませんが、会社を設立し、開業していく中で必ず必要になるものです。

そのため、印鑑は会社設立に先んじて全種類作成しておくのがおすすめ。

古殿
古殿
今回は、会社設立に必要な印鑑の種類と、字体や素材の選び方のポイントを解説していきます!

 

1.会社設立時の印鑑の役割

会社設立をするとき、必要になる印鑑は4種類あります。

 

 

 

 

 

  • 会社実印(代表社印):会社の設立登記時に登録する実印。主に重要な契約書などに使う
  • 会社銀行印:銀行口座の開設時に届け出る実印。会社実印と分けてリスクを分散する
  • 角印(社印):注文書・請求書・稟議書などに用いる会社の認印
  • 住所印(ゴム印):会社名・会社住所・電話番号などを記載した印鑑

 

会社実印と会社銀行印は会社設立の手続きに、角印と住所印は開業後すぐに必要となる印鑑です。

使うタイミングは違いますが、どのみち全種類を作成することになりますので、会社設立の手続きを始める時点で全て用意しておくといいでしょう。

以下の項目で、それぞれの印鑑に必要な条件や選び方について、詳しく解説していきます。

 

2.会社設立したら作成すべき印鑑

それでは、会社設立に必要な印鑑について、詳しくご紹介します。

印鑑作成をする時のために、それぞれの用途と目安となる大きさ、刻印の内容について知っておきましょう。

 

(1)実印(代表者印)

会社実印(代表社印)は、会社設立の時に登録する印鑑です。丸い形をしていることから、丸印と呼ばれることもあります。会社設立以降は、会社の意思決定を示すための重要な書類や、会社の存在の証明が必要となる取引・法的手続きなどに使用します。

会社実印が必要となるのは、以下のような場合です。

  • 会社の設立登記をする時
  • 代表取締役の変更があった時
  • 株券を発行する時
  • 法人が不動産を売却する時
  • 不動産を担保にいれる時
  • 連帯保証をする契約を結ぶ時
  • 他の企業を買収する時
  • など

 

会社実印のサイズは、法務局により「1cm以上3cm以内の正方形に収まるサイズ」と定められています。

実際には、18~21mmくらいのサイズを選ぶ人が多いです。

また、「照合に適するものでなければならない」という規定もあるため、シャチハタやゴム印は会社実印として使うことができません。

刻印の内容には特に決まりはありませんが、「株式会社〇〇 代表取締役印」と彫られるのが一般的です。

 

(2)銀行印

銀行印は銀行に届け出る会社の印鑑で、主に銀行・お金に関わる場面で使う印鑑です。

具体的に、銀行印が必要になるシーンは以下の通り。

  • 会社の銀行を開設する時
  • 融資契約を締結する時
  • 手形や小切手を発行する時

など

 

こちらは経営者ではなく、経理部長などが管理することが多くなっています。経営者自身が銀行印を管理する場合、会社実印と銀行印に同じ印鑑を使っているケースもあります。

制度上は同じものを用いることもできますが、リスク分散のために銀行印は実印とは別に作成・管理しておくのがおすすめです。

一般的な刻印内容は、「株式会社〇〇 銀行印」です。

古殿
古殿
デザインや大きさには特に規定はありませんが、会社実印と区別するために会社実印より一回り小さいものを選ぶ場合が多いです。具体的には、16.5~18mmくらいが目安になります。

 

(3)角印(社印)

角印(社印)は、会社実印や銀行印に比べて、日常で使う頻度が高い印鑑です。その名の通り、四角い形をしていることで他の印鑑と区別できます。

角印は、以下のような場面で必要になります。

  • 領収書を発行する時
  • 見積書を発行する時
  • 請求書を発行する時
  • 発注書を発行する時

など

 

角印に刻印する内容は、基本的には「会社名」のみ。

サイズに規定はありませんが、ある程度大きめの20~30mmほどのものが多くなっています。

 

(4)認印・ゴム印

認印とは、実印ではない全ての印鑑のことを指します。

認印が必要になるのは、以下のようなシーンです。

  • 宅急便の受け取り
  • 書留の受け取り
  • 社内文書

など

 

この認印は、会社の名前ではなく経営者や社印個人のものを使うことも多いです。デザインや刻印内容には特に決まりはありませんが、厳重に保管すべき実印や銀行印とは必ず分けるようにしましょう。

一方ゴム印は、住所印と呼ばれることもある大きめの印鑑です。その名の通りゴム製の場合が多く、会社名だけではなく住所や電話番号まで記載されています。

必ずゴム印が必要というよりは、毎回住所などを書く手間を減らす、印刷コストの削減などのために使われることが多いです。

ゴム印を使うのは、以下のような書類です。

  • 契約書・請求書・社内文書
  • 手形・小切手
  • 納品書・領収書
  • 会社封筒

など

 

刻印内容は、「会社名・会社住所・電話番号・代表者名・役職者名」などが多く、特に決まりはありません。

サイズにも決まりはありませんが、20mm×60mmが一般的なサイズとされています。

 

(5)代表者個人の印鑑も用意する

会社名だけではなく、代表者個人の印鑑も様々な場面で必要です。会社設立時には「実印」「銀行印」「認・仕事印」の3種類を、個人名でも作っておきましょう。

会社印鑑と個人印鑑の違いは、刻印に会社名が入っているかどうかです。

個人印の刻印内容は、「姓・名」「姓のみ」「名のみ」どのタイプでも正式な印鑑として使えます。ただし、経営者として重要な場面で使うこともあるので、偽造されやすい市販のものは避けたほうがいいでしょう。

また、実印・銀行印として登録するものには、シャチハタやゴム印は使えないので注意してください。

 

3.会社設立時の印鑑注文のポイント

次に、会社設立時に印鑑を注文する時のポイントをまとめてご紹介します。

 

(1)会社印鑑におすすめの材質は?

印鑑の素材は、大きく分けて「木材系」「角・牙系」「金属・樹脂系」の3種類があります。印鑑として加工できればどんな素材も使用可能ですが、会社印鑑として使うのは、耐久性に優れ、長く使い続けられる素材がおすすめです。

会社設立・運営に必要な印鑑を揃えた「会社設立印鑑セット」で人気なのは、以下の3つの素材です。

  • チタン
  • 黒水牛
  • 彩樺

 

これらの素材は、どれも耐久性が高く、劣化しにくいのが特徴です。特にチタンはメンテナンスフリーで、耐食性、耐火性、耐水性全てが優れているので、万が一の事故や災害でも重要な会社印を失うことがありません。

 

(2)字体の選び方

会社の実印や銀行印は、重要な契約にも使う大切な印鑑です。万が一、偽造されてしまうと非常に損失が大きいため、会社の印鑑は偽造されづらい複雑な字体を選ばなければいけません。

また、欠けたり磨耗したりして、当初と形状が変わってもいけないので、耐久性の高いデザインを選ぶ必要があります。

上記の条件を満たすおすすめの字体には、以下のようなものがあります。

  • 吉相体(きっそうたい)
  • 篆書体(てんしょたい)
  • 太枠篆書体(ふとわくてんしょたい)

 

対して認印は、「誰がこの書類を承認したか」がわかる必要があるため、読みやすさが求められます。

認印には、可読性の高い以下のような字体がおすすめです。

  • 古印体(こいんたい)
  • 隷書体(れいしょたい)

 

4.会社設立時の印鑑登録方法

会社設立をするときは、個人が自治体で印鑑登録をするように、会社は法務局で印鑑登録をする必要があります。

印鑑登録をすることで、印鑑証明書が取得できます。

印鑑登録・印鑑証明書の取得を経て、その印鑑が正式なものと証明し、効力を持たせることができるのです。

 

(1)印鑑届出書の提出が必要

会社設立の手続きでは、印鑑届出書を提出して法務局に会社実印を登録する必要があります。印鑑届出書を提出すると印鑑カードが交付され、必要な時に印鑑証明書の交付申請を行うことができるようになります。

この印鑑証明書は会社の口座開設時に必要となるため、印鑑届出書を提出しないと資本金の払い込みができません。

古殿
古殿
ただし、印鑑証明書には期限があり、発行後3ヶ月以内に設立登記を申請する必要があるため注意しましょう!

 

(2)印鑑届出書記載時の注意点

印鑑届出書の記入自体は、決して難しくはありません。しかし、左上と右下に押印する欄があり、それぞれ違う印鑑を押して提出するため、ここを間違えないよう気をつける必要があります。

印鑑届出書に押印する欄と印鑑は、以下のようになっています。

  • 左上:代表社印
  • 右下:印鑑提出者の実印(代理人が提出する場合、代理人の認印)

 

代理人が印鑑届出書を提出する場合、印鑑提出者は委任状を作成し、その委任状に実印を押す必要があります。

この実印は事前に自治体に登録し、印鑑証明書も同時に提出する必要があるため、早め早めに準備しておきましょう。

 

5.まとめ

会社設立時には、4種類の印鑑を準備します。それぞれ違う場面で必要になり、用途や重要度も異なる印鑑です。

多くのハンコ屋さんでは、会社設立に必要な印鑑がセットになった「会社設立セット」を用意しています。

価格も一つずつ購入するより割安なので、こういったセットを利用してまとめて用意するといいでしょう。

古殿
古殿
素材やデザインは自由度が高いので、ぜひご自分の会社印として愛着を持てる印鑑を作成してみてください!

 

2020/03/12 会社設立にかかる費用はどれくらい必要?最低金額・手続き方法などを解説!

会社設立の費用は、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類によって異なります。

その中でも、実際に設立される会社の数は株式会社・合同会社の2種類が圧倒的に多いです。

古殿
古殿
この記事では、その株式会社・合同会社の設立に関する費用について詳しく解説していきます!

 

1.株式会社設立の費用

それではまず、株式会社の設立にかかる費用を解説していきます。

株式会社の設立には、定款の認証・登記という手続きが必要となり、合同会社よりも設立費用が高くなります。

 

 

 

(1)必要な法定費用は242,000円

株式会社設立の手続きにかかる費用は、資本金・雑費を除くと24万2,000円。

その内訳は、以下のようになっています。

  • 定款認証手数料:5万円
  • 収入印紙代:4万円
  • 定款の謄本手数料:2,000円
  • 登録免許税:15万円

 

これらを合計すると、上記の24万2,000円という金額になります。これは会社設立の手続きに必ず必要になるものです。相場などによる変動や、安くする方法はありません。

ただし、収入印紙代の4万円については、電子定款で会社を設立する場合にはかかりません。

電子定款を選択すると、紙媒体の定款自体が存在しないので、定款に印紙を貼り付ける必要がなくなるためです。

そのため、電子定款で株式会社を設立する場合、費用の合計は20万2,000円となります。

 

(2)その他にかかる雑費

株式会社設立の手続きを行うためには、必要な書類や印鑑の作成費用がかかります。

手続きにあたってかかる雑費の相場は、全て合わせて1万円ほど。

その内訳は、以下のようになります。

  • 実印作成費(4本分):約5,000円~
  • 印鑑登録の費用:約300円
  • 印鑑証明書の発行費:約450円×必要枚数
  • 登記簿謄本の発行費:約500円×必要枚数

 

雑費の中でもっとも大きな出費となるのが、実印作成費。

会社を設立する手続きには、「会社実印(代表社印)」「会社銀行印」「角印(社印)」「住所印(ゴム印)」という4種類の印鑑が必要となります。

安くても1本1,000円以上はかかるので、合計5,000円ほどは見込んでおいた方がいいでしょう。クオリティにこだわると、もっと費用がかかります。

古殿
古殿
印鑑証明や登記簿謄本の発行費は、自治体によって金額が異なるので、上記の金額は目安程度と思っておいてください!

 

(3)資本金はいくらにすべき?

株式会社の設立には資本金が必要です。2006年に新会社法が施行されてからは、資本金1円からでも会社設立が可能になりました。

しかし、安易に資本金1円で起業してしまうと、様々なデメリットがあります。

資本金とは、端的にいうと会社の運転資金なので、これが少なすぎると経営を維持する力が弱いということになります。

金融機関や取引先から「すぐに倒産するのでは?」と思われてしまうと、資金調達や販路拡大が難しくなってしまうのです。

古殿
古殿
株式会社の資本金は、業種にもよりますが100~1,000万円くらいが相場となっています。可能な限りで、できるだけ多く資本金を集めた方が、設立後の事業がやりやすくなるでしょう。

 

ただし、多ければ多いほど良いというわけではありません。なぜなら、先にご紹介した登録免許税は、資本金が2,140万円以上になると15万円より高くなるためです。

登録免許税の金額は、正式には「15万円、または資本金の0.7%(資本金の0.7%が15万円を上回る場合)」となっています。

「資本金の0.7%=15万円」となるのが2,140万円なので、これを超えると手続きにかかる法定費用が高くなるということは知っておきましょう。

 

2.合同会社設立の費用

次に、合同会社を設立するための費用について解説していきます。

合同会社の場合、手続きのステップが少なく、登録免許税も株式会社より安いので、設立費用を抑えることができます。

 

(1)必要な法定費用は10万円

合同会社設立の手続きに必要な費用は、10万円です。

こちらも、国に支払う法定費用なので、相場による変動や安い金額に抑える方法はありません。

費用の内訳は、以下のようになっています。

  • 収入印紙代:4万円
  • 登録免許税:6万円

 

合同会社を設立する場合、株式会社で必要な定款の認証という手続きが不要です。そのため、定款認証手数料や、認証に必要な謄本の作成費用は必要ありません。

株式会社の場合と同様、電子定款の場合は収入印紙代の4万円も不要となります。ですから、合同会社設立に最低限必要な費用は、登録免許税の6万円のみです。

資本金の0.7%が6万円を超える場合には、登録免許税はそちらの金額になります。

つまり、資本金が8,571,428円を超えると法定費用が高くなるということは覚えておきましょう。

 

(2)その他の雑費は株式会社とほぼ同じ

法定費用以外にかかる雑費の相場は、株式会社とほぼ同じで合計1万円程度です。

  • 実印作成費(4本分):約5,000円~
  • 印鑑登録の費用:約300円
  • 印鑑証明書の発行費:約450円×必要枚数
  • 登記簿謄本の発行費:約500円×必要枚数

 

そのため、合同会社設立にかかる費用の合計は、最低7万円ほどです。

株式会社設立にかかる費用の1/3以下なので、とにかく安い方法を選びたい方には合同会社設立がおすすめです。

 

(3)資本金はいくらにすべき?

合同会社の資本金は、株式会社の場合と同じく最低1円でもOKです。しかし、こちらも株式会社の場合と同じく、資金調達や販路拡大が難しいというデメリットがあります。

合同会社の資本金の相場は、50~300万円ほどです。

具体的には、「事業の準備にかかる資金+3~6ヶ月分の運転資金」を計算して、適切な金額を考えましょう。

ただし、先にもお伝えしましたが、資本金857万円を超えると登録免許税が高くなるということは知っておいてください。

 

3会社設立の費用を安くする方法

会社設立の費用を安くする方法は、あまり多くありません。ここまでも何度かお伝えしてきましたが、会社設立の手続きにかかる費用は国に支払う法定費用のためです。

唯一削れるのは、定款に貼る収入印紙代の4万円。定款を紙ではなく電子定款にすれば、収入印紙代を支払わずに済みます。

ただし、電子定款は誰でも無料で作成できるわけではありません。

まず、電子定款はPDFで作成し、その中に電子署名を挿入する必要があります。PDFデータ自体はフリーソフトでも簡単に作ることができますが、電子署名を挿入するにはAdobe Acrobatなどの専門ソフトを使わなければいけません。

このAdobe Acrobatの購入には、3万円ほどの費用がかかります。

また、電子署名を作成するには、あらかじめ電子証明書の交付を受けておく必要があります。電子証明書の交付を受けるために、マイナンバーカードを読み取るカードリーダーを用意しなければいけません。

カードリーダーの価格は2,000円ほどなので、電子定款を作成する費用相場は32,000円程度と思っておきましょう。

 

ちなみに電子定款は、税理士や司法書士に作成を依頼することも可能です。この場合、ソフトやカードリーダー代を節約できる代わりに、報酬として5,000円ほどがかかります。

そのため、もっとも法定費用が安いのは、「電子定款+作成を外注」という方法です。

 

4.会社設立費用を経費として計上するには

会社設立にかかった費用は、開業前のものも含めて会社の経費にすることが可能です。設立時の費用は、「創立費」と「開業費」の2種類に分けて経費に計上します。

創立費

開業費

設立の準備にかかった費用

(設立手続きに必要な書類の作成費用、登録免許税など)

設立後の開業準備段階に費用

(調査費用、事前広告費、打ち合わせにかかった飲食代など)

 

ただし、会社設立後も経常的にかかっていく費用については、創立費または開業費として経費計上することができません。

設立と同時にかかった費用であっても、以下のようなものは通常の仕訳を行います。

  • 土地や建物の賃借料
  • 通信費
  • 事務用消耗品費
  • 仕入れ費用
  • 社員の給与

など

古殿
古殿
また、事務所や店舗を借りた時の敷金など、後日戻ってくるお金も開業費にすることはできません!

 

5.まとめ

会社設立にかかる費用は、株式会社で「約25万円」、合同会社で「約10万円」。この他に、会社の運転資金として使う資本金も必要です。

会社設立の費用は法定費用なので安くする方法は少ないですが、紙ではなく電子定款を選択することで収入印紙代4万円の節約が可能です。

古殿
古殿
ただし、電子定款の作成にもソフトなどの購入費や、外注する場合は報酬がかかることは知っておきましょう!

 

2020/03/05 会社設立時の資本金はいくら用意すべき?資本金額を決めるポイントとは

資本金とは、会社設立時に元手として用意するお金のことです。新会社法の施行で、資本金は1円でも会社設立ができるようになりましたが、実際にはある程度まとまった金額を用意する経営者が多いです。

今回は、資本金の意味や、資本金の金額はどのように決めるべきかを詳しく解説。

古殿
古殿
資本金が少なすぎることのデメリットや、実際の払い込み手順についても知っていきましょう!

 

1.会社設立には資本金が必要

会社設立の際には、資本金が必要となります。

ただし、4種類ある会社の形態のうち、「合名会社」「合資会社」の2つでは信用や労務、現物出資が可能で、必ずしも現金を集める必要はありません。

しかし、実際に設立される会社に多い形態は、残り2つの「株式会社」「合同会社」です。この2種類の会社を設立する場合には、資本金が必須となります。

 

そもそも、資本金とは何かというと「事業を開始し、当面の間運営していくための資金」です。

もちろん、金融機関などから融資を受けたり、出資を募ったりして資金を増やすことはありますが、全ての元手になるのがこの資本金です。

その資本金はいくら用意すればいいかという、明確な決まりはありません。2006年の新会社法施行以降、資本金1円からでも会社設立ができるようになりました。

しかし、1円起業にはデメリットも多いので、ほとんどの起業家はある程度まとまった金額を資本金として用意します。

古殿
古殿
1円起業のデメリットや資本金額の目安については、後の項目で詳しく解説します!

 

ちなみに、資本金と似た言葉に「資本準備金」というものがあります。

これは、簡単にいうと万が一の時のための積立金。資本準備金の金額は、資本金の半額までと定められていて、業績が悪化した場合には資本準備金を取り崩すことで会社財産を維持することができます。

資本金とは異なり、資本準備金は必須のものではありません。

 

2.会社設立時の資本金の決め方

それでは具体的に、資本金はいくら用意すればいいのかを解説していきます。

もちろん、業種や経営方針によって必要な金額は異なりますが、基準となるポイントを見ていきましょう。

 

(1)目安は3ヶ月~半年分の運転資金

多くの会社が資本金額の目安とするのが、開業資金+3~6ヶ月分の運転資金です。

起業してすぐに経営が軌道に乗り、十分な利益が出せる会社というのはごく少数。ほとんどの会社は、開業からしばらくは赤字や少ない利益で会社を維持していくことになります。

そんなとき、資本金が少なすぎるとすぐに資金が底をつき、せっかく設立した会社がすぐに潰れてしまいます。

ですから、安定した利益を出せるようになるまで、会社を維持する体力として資本金が必要なのです。

開業後、赤字でもかかる経費(固定費)としては、以下のようなものがあります。

  • 事務所や店舗の家賃
  • 商品の仕入れ代金
  • 従業員の給与
  • 水道光熱費・通信費

など

古殿
古殿
毎月かかるこれらの経費を計算し、3~6ヶ月は赤字でも経営していけるように備えましょう!

 

また、当然それとは別に開業資金も必要です。

開業資金として必要な額は、業種によってかなり幅があります。例えば、大規模な工場が必要な製造業なら数千万円かかることもありますし、PC1台で始められるITやサービス業なら数十万円で十分ということも。

資本金を決定する前に、まずは開業準備と半年後までの経営の見通しを立て、必要な金額を算出してみましょう。

 

(2)取引先・金融機関からの信用を考慮する

次に、取引先や金融機関といった、他者から見た場合の資本金について考えていきましょう。

先に解説したように、資本金が少ない会社は開業直後に潰れてしまうリスクが高いです。

そんな会社に、商品を卸したり融資したりしたくないのは、当然と言えるでしょう。

そのため、資本金が少ないと取引先や金融機関から敬遠されてしまい、事業がうまく拡大できない可能性も。取引先や金融機関からの信用を得るためには、資本金は多いに越したことはないのです。

 

(3)税金負担額とのバランスを見る

一方、資本金は多ければ多いほどいいという訳ではない面もあります。

それは、税金負担額にも資本金が関わってくるためです。

資本金額によって税務上の違いが生じるボーダーラインは、1,000万円1億円です。

 

まず、1,000万円のボーダーラインで変わるのが消費税。

資本金1,000万円未満の会社の場合、設立から2年間は消費税の納付が免除されますが、1,000万円以上で起業すると、初年度から消費税の納付義務が生じてしまいます。

 

また、法人住民税の均等割についても、資本金1,000万円をボーダーラインとして変わります。

金額は自治体によりますが、例えば、東京都内で従業員が50人の会社の場合、資本金が1,000万円以下では7万円、1,000万円超では18万円と、倍以上の差があります。

 

資本金1億円のボーダーラインでは、さらに様々な違いが出てきます。

これは、資本金1億円以上の会社は「大企業」、1億円未満の会社は「中小企業」と定義されているためです。中小企業と大企業では、法人税の税率や交際費の経費計上、欠損金の繰戻還付など、税制上の扱いが根本的に異なります。

また、国や地方自治体が実施している中小企業向けの施策や補助金等も、資本金1億円をボーダーラインとして適用されなくなるものが多いです。

 

(4)許認可に資本金額が必要な業種も

最後に、業種ごとに定められている資本金額について解説します。

基本的に、会社設立は資本金1円から可能ですが、業種によっては一定額以上の資本金がないと、営業の許認可が取れない場合があります。

許認可に資本金の要件がある業種と金額は、以下の通りです。

  • 人材派遣業:2,000万円
  • 特定建設業:2,000万円

 

3.会社設立時の資本金が低すぎることによるリスク

先にもお伝えしましたが、資本金は最低1円からでも会社設立が可能です。

しかし、資本金が少なすぎるとデメリットが多く、思うように事業を運営できない可能性も。

資本金が少なすぎることで、起こりうるリスクについて知っていきましょう。

 

(1)融資が受けられない可能性がある

資本金が少ないと、まず銀行からの融資を受けにくくなります。

先にもお伝えした通り、資本金は会社の体力なので、資本金が少ないとすぐに倒産してしまいかねません。

回収の当てがない会社にお金を貸したくないのは当然で、金融機関からの融資を断られてしまう可能性が高くなります。

 

また、起業時に利用する方が多い日本政策金融公庫の新創業融資も、融資の条件に「創業資金の3分の1以上の自己資金を確認できること」があります。

古殿
古殿
他にも、資本金が少ない場合、法人口座を作ることもできないケースがあります。形式上、会社を作ることができるのと会社の信用力は別のものであることを理解しましょう!

 

(2)取引してもらえない可能性がある

よく知らない会社について調べる際、資本金を重視する人は多いです。

資本金が多ければ、それだけ会社の体力があるということで、もし事業がうまくいっていなくても長く運営を続けていけるという指標になります。

また、資本金が多いほうが事業への本気度が高いとみなされ、資本金が少ないと遊びの延長のように思われてしまいかねません。

新規起業でこれから顧客や取引先を確保しなければいけないという場合、信用を得づらくなり、事業拡大がしにくくなるのです。

 

(3)債務超過になりやすくなる

債務超過とは、債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態ということです。

少なすぎる資本金で会社を設立すると、少額の借入をしただけですぐに債務超過になってしまいます。

古殿
古殿
債務超過の会社は、取引先・金融機関・出資者などからのイメージが非常に悪いです。起業して早々に債務超過にならないためにも、やはり開業資金と当面の運転資金は用意しておいたほうがいいでしょう。

 

4.資本金の払い込み方

最後に、会社設立時に資本金の払い込みを行う方法について解説します。

 

(1)発起人の銀行口座を用意

会社設立時には、まず発起人名義の個人口座を用意し、そこに資本金を入金します。

口座の開設はいつでも問題ありませんが、入金のタイミングは定款認証日よりも後である必要があるので注意してください。

 

入金を行ったら、会計処理を行います。

例えば資本金を300万円用意した場合、仕訳処理の方法は以下の通りです。

  • 借方:現金 3,000,000円
  • 貸方:資本金 3,000,000円
  • 摘要:資本金の払込

 

(2)通帳のコピー作成

資本金の払い込みを行ったら、会社の設立手続きのためにその証明が必要となります。

その証明に必要なのが、通帳のコピーと払込証明書です。

通帳は、

  • 表紙
  • 表紙裏
  • 振込内容が記帳されているページ

 

の3ヶ所をコピーします。

証明には支店名・支店番号、銀行印が必要なので、その箇所が含まれているかどうか確認しましょう。

また、振込内容が記帳されているページは、発起人の名前と金額にマーカーなどで印をつけておくと、会社設立時の手続きがスムーズになります。

 

(3)払込証明書を作成

最後に、以下の内容を記載した払込証明書を作成します。

  • 日付
  • 本店所在地
  • 会社名(商号)
  • 代表取締役の氏名
  • 払込があった金額
  • 払込があった株数
  • 1株の払込金額

 

この7つの項目と、「証明書の左上」「代表取締役氏名の右側」の2ヶ所に会社代表印が必要となります。

資本金の証明をして登記が終わったら、いつでも資本金を使うことができます。

発起人個人の口座から法人口座へ資本金を移動し、初期費用などにあてましょう。

 

5.まとめ

資本金は開業後の経営の元手となり、対外的にも会社の持続力をあらわす重要なお金です。

最低1円からでも会社設立はできますが、開業後の経営を考えるとある程度まとまった金額を用意したほうがスムーズです。

古殿
古殿
資本金は会社設立の手続きの前に現金で用意する必要があるので、計画的に準備を進めていきましょう!

 

2020/02/27 免税事業者とは|課税事業者とどっちがお得?

免税事業者とは、消費税の納付が免除される事業者のこと。消費税の納付義務はありませんが、消費税分の上乗せ請求はできるため、免税事業者であることのメリットは大きいです。

しかし、2023年に始まるインボイス方式の影響で、免税事業者はお得なだけではなくなります。

古殿
古殿
免税事業者の要件や、今後の展望について詳しく見ていきましょう。

 

1.免税事業者とは

免税事業者について知るには、まず消費税の仕組みを知る必要があります。

通常、事業者は商品やサービスの値段に消費税を上乗せし、顧客や取引先から消費税を徴収します。

課税事業者は、消費者からいったん預かった消費税を、後日まとめて国に納付する義務があるのです。

 

このように、実際に税金を負担する人と税金を納める人が違うため、消費税は「間接税」と呼ばれています。

商品の仕入れのために事業者が支払った消費税は、「仕入税額控除」という形で納付額から差し引くことができます。

免税事業者とは、この消費税の納付を免除される事業者のことです。

古殿
古殿
免税事業者となるためには、売上額や資本金額など一定の要件を満たす必要があります!

 

2.免税事業者となる基準

免税事業者となるための基準は、次の3つです。

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下
  • 資本金の額または出資金が1,000万円未満
  • 新規開業から2年以内

 

(1)基準期間の課税売上高が1,000万円以下

免税事業者となる要件一つ目は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下ということです。

基準期間とは、以下の通り。

  • 個人事業主の場合:その年の前々年
  • 法人の場合:その事業年度の前々事業年度

 

つまり、大まかにいえば、売上高が1,000万円を超えるまでの期間と、その後2年間は免税事業者ということになります。

ただし、例外として、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合は免税事業者と認められません。

 

この特定期間とは、以下の期間を指します。

  • 個人事業主:その年の前年の1月1日〜6月30日までの6ヶ月間
  • 法人:その事業年度の前事業年度開始日から6ヶ月間

 

古殿
古殿
要するに、2年前の売上が1,000万円以下であっても、前年に半年間で1,000万円以上の売り上げがあると課税事業者になるということです!

 

(2)資本金の額または出資金が1,000万円未満

基準期間の売上が1,000万円以下だったとしても、資本金が1,000万円以上の法人は消費税の納付が免除されません。

資本金1,000万円以上の事業者は、原則的に課税事業者となるということです。

 

起業するとき、資本金はできる限り多く用意した方が金融機関等からの印象はいいですが、このボーダーラインがあるため資本金を1,000万円以下に抑える企業も多いです。誰にも相談することなく資本金を決定してしまうと、第1期目から消費税を納税しないといけないケースも出てくるので、会社設立の際には税理士に相談すべきでしょう。

 

(3)新規開業から2年以内

先にも触れたように、免税事業者かどうかを判断する「基準期間」は、その年の前々年または前々事業年度です。開業から2年以内の事業者は、当然2年前の売上はありません。どんな事業者でも、新規開業から2年以内は免税事業者ということになります。

 

個人事業主が法人化した場合には、法人化した時点で個人事業主時代の売上はリセットされます。免税事業者である期間を伸ばすために、売上が1,000万円を超えた時点で法人化する個人事業主も多いのです。

 

また、先にもお伝えしたように、資本金・出資金1,000万円以上の法人は免税事業者にはならないため、設立1期目から消費税を納付する義務があります。

 

3.免税事業者でも消費税の上乗せ請求は可能?

ここまでの説明を見ると、消費税の納付義務がない免税事業者が商品やサービスの料金に消費税を上乗せするのは、一見フェアではないように思えます。

 

しかし、免税事業者であっても消費税を上乗せ請求することは可能です。なぜなら、消費税法や国税庁の通達では「免税事業者は消費税を請求してはいけない」という決まりがないためです。

また、消費税を上乗せ請求できないと、仕入れなどの際に他の事業者に支払う消費税を自己負担しなければいけないことになります。

 

経理処理上は、免税事業者は「税抜き処理」「税込み処理」どちらを選択してもいいことになっています。

ちなみに、2019年10月1日の消費税引き上げに伴い、消費税には「区分記載請求書保存方式」が導入されました。仕訳や請求書では税率8%の品目と税率10%の品目を分けて表示する必要があります。

 

4.課税事業者とどちらが得?選択のポイント

それでは、課税事業者と免税事業者では、どちらが得になるのかを見ていきましょう。

 

(1)インボイス方式導入で免税事業者は不利に?

消費税率引き上げ・軽減税率導入に伴って、2023年10月から「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が始まります。

これによって変わるのは、仕入れなどで他の事業者に支払った消費税を納付時に相殺する「仕入税額控除」のシステムです。

インボイス方式が導入されると、事業者は適格請求書(インボイス)に記載された消費税のみしか仕入税額控除ができなくなります。

 

インボイスを発行できるのは、登録を受けた課税事業者のみ。免税事業者はインボイスを発行できないため、この制度が始まると免税事業者から取引先事業者に消費税を請求するのが難しくなります。

そうなると、仕入れの際に支払った消費税は免税事業者が自己負担することになります。

 

また、インボイスを発行できないことが理由で、取引先がインボイス発行可能な同業他社へ乗り換えてしまう可能性もあり、免税事業者は不利になってしまいます。

そのため、インボイス方式が導入される2023年10月以降は、課税事業者の方がメリットは大きいケースが多くなります。

 

インボイス方式は、2023年10月から段階的に始まり、2029年10月以降は免税事業者からの仕入れに関わる仕入税額控除が完全にできなくなる予定です。

現在、免税事業者になっている事業者も、時期を見て課税事業者に移行するべきでしょう。

 

(2)課税事業者のほうが良い場合とは

インボイス方式導入前であっても、課税事業者の方が有利な場合もあります。

 

課税事業者になった方が有利なのは、消費者から預かる消費税より、取引先に支払う消費税の方が多いケース。仕入税額控除の制度を利用して、差額分の消費税の還付を受けることができます。

 

①輸出をしている

ここまで解説してきた消費税のやりとりは、あくまで国内での取引の場合。輸出による売上高は免税取引なので、そもそも預かる消費税は0円です。

 

しかし、輸出するために国内業者から仕入れた商品の代金や、物流サービスの料金は、当然消費税が含まれた金額を支払います。

輸出を行なっている事業者は預かる消費税より支払う消費税の方が多く、免税事業者の条件に当てはまっていても、課税事業者として申告した方が得できるのです。

 

②設備投資の額が大きい

設備投資には多額のお金がかかりやすく、支払う消費税が多くなりやすくなります。

 

例えば、不動産業者がビルを建てて貸し出した場合、まずビルの建設に多額の建設費と、それに伴う消費税がかかります。

その後、ビルを貸し出して家賃収入を得たとしても、その年中に借主から預かる消費税より、建設のために支払った消費税の方が多くなるはずです。

 

多額の設備投資を行なった場合には、課税事業者になった方が消費税の還付を受けられ、得できるということになります。

 

5.まとめ

免税事業者となるための条件は、2年前の売上高が1,000万円以下であることと、資本金が1,000万円以下であることです。

免税事業者は、代金に消費税を上乗せ請求できるにも関わらず、納税の義務はないため、最大10%の得ができることになっています。

古殿
古殿
しかし、2023年にはインボイス方式が始まり、免税事業者は仕入税額控除の仕組み上不利になります。免税事業者の申告納税は任意なので、状況を見て経営にとって得になる判断をするようにしましょう!

 

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2020/02/20 基礎控除とは?税制改正に伴う変更のポイントも解説

所得税・住民税の計算をするとき、誰でも所得から差し引くことができるのが「基礎控除」です。

現在、基礎控除は一律38万円ですが、税制改正により令和2年度以降の所得は計算方法が変わります。

今回は、税制改正で変更となる点や、基礎控除の計算方法を詳しく解説します。

古殿
古殿
関連して、給与所得控除・相続税の基礎控除についても見ていきましょう!

1.基礎控除とは

基礎控除とは、全ての納税者が所得額から差し引ける控除のことです。

まずは、基礎控除の基本的な知識について知っていきましょう。

 

 

 

(1)所得税の基礎控除

そもそも控除とは、個人の事情に合わせて課税額を調整するためにある制度です。

例えば、一人身で特段の事情がない人と、養う家族がたくさんいたり、重い病気にかかっている人では、生活にかかる金額が異なります。

それなのに、所得額が同じなら一律で同額の税金を徴収していると、不公平が生じてしまうのです。

それを調整するために、一定の条件に当てはまる人は、総所得から控除を差し引いて課税所得を減らすことができるようになっています。

 

しかし、基礎控除は個人の事情に関係なく、誰にでも適用される控除です。その金額は、現在38万円です。

つまり、年間の所得が38万円以下であれば、課税所得は0となり所得税がかからないことになります。

また、サラリーマン・アルバイトなどで、給与所得を得ている方には追加で、最小でも65万円の「給与所得控除」も受けられます。

このため、年間所得が「基礎控除38万円+給与所得控除65万円」の「103万円」なら、給与所得者は所得税がかかりません。

家族の扶養に入っている場合などに言われる「103万円の壁」は、基礎控除と給与所得控除の金額が根拠になっているのです。

ただし、令和2年度(2020年1月1日~12月31日)の所得にかかる所得税から、基礎控除の金額が改定されます。

古殿
古殿
この税制改正については、後の項目で詳しく解説します。

 

(2)住民税の基礎控除

所得税だけではなく、住民税にも基礎控除があります。

住民税の基礎控除額は、33万円です。

また、住民税には「人的非課税」という非課税制度があります。これは、生活保護世帯など一定の条件を満たしている場合、住民税を納める必要がないという制度です。

さらに、納税者に扶養親族がいない場合、所得金額が35万円以下なら住民税は課税されません。

そのため、住民税の基礎控除は基本的には33万円ですが、非課税限度額は35万円と言えます。

 

2.「基礎」以外のおもな「控除」

誰でも受けられる基礎控除以外に、様々な条件を満たすと受けられる控除があります。

その中から、適用される人が多い「扶養控除」「配偶者控除/配偶者特別控除」「社会保険料控除」について解説していきます。

 

(1)扶養控除

扶養控除とは、子供や親など、配偶者以外の家族・親族を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者を扶養している場合の控除は制度が異なるため、次の項目で解説します。

税制上、「扶養している」と言える家族・親族の条件は、以下の通りです。

  • 年間の所得金額が38万円以下(給与所得103万円以下)
  • 16歳以上の親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)
  • 納税者と生計を一にしている

 

このような家族・親族が納税者の収入で生活していると、一人当たり以下の金額が控除されます。

  • 一般の控除対象扶養親族(16歳以上):38万円
  • 特定扶養親族(19歳以上23歳未満):65万円
  • 老人扶養親族(70歳以上・同居老親等以外):48万円
  • 老人扶養親族(70歳以上・同居老親):58万円

 

(2)配偶者控除/配偶者特別控除

配偶者控除・配偶者特別控除は、妻・夫を扶養している場合に受けられる控除です。

配偶者控除に当てはまる家族の条件は、以下のようになっています。

  • 配偶者であること
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であること
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、又は、白色申告者の事業専従者でないこと

 

配偶者控除の金額は、以下の通りです。

納税者の所得が900万円以下の場合

納税者の所得が900〜950万円の場合

一般の控除対象配偶者:38万円

老人控除対象配偶者:48万円

一般の控除対象配偶者:26万円

老人控除対象配偶者:32万円

 

また、配偶者特別控除は、以上の条件のうち収入面のみ満たしていない場合に受けられます。

配偶者特別控除は、年間所得が38万円以上123万円以下の場合かつ、納税者の所得が1,000万円以下の場合に適用されます。

配偶者特別控除の金額は、納税者と配偶者の所得金額のバランスによって異なります。

 

(3)社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者本人や生計を一にしている家族・親族の社会保険料を支払った場合に適用されます。

控除金額は、支払った社会保険料の全額です。

 

3.税制改正で基礎控除はどう変わる?

令和2年度(2020年1月1日~12月31日)分の所得から、基礎控除額・給与所得控除額が変更になることを国税庁が決定しました。

基礎控除に関わる税制改正の内容について、詳しく見ていきましょう。

 

(1)税制改正のポイント

今回の税制改正では、

  • 基礎控除額の引き上げ
  • 給与所得控除額の引き下げ

が行われます。

以下の項目で、変更点を詳しく解説します。

 

①基礎控除引き上げ

まず、現在38万円の基礎控除額は、最大48万円に引き上げられます。

これまでは、所得総額に関わらず基礎控除は一律でしたが、改正以降は所得金額によって基礎控除の金額が異なるようになります。

税制改正後の、年間の合計所得金額と基礎控除の関係は以下の通り。(また、これに伴い、現在一律33万円となっている住民税の基礎控除も変更になります。)

所得税の基礎控除額

住民税の基礎控除額

〜2,400万円:48万円

2,400万円〜2,450万円:32万円

2,450万円〜2,500万円:16万円

2,500万円〜:なし

〜2,400万円:43万円

2,400万円〜2,450万円:29万円

2,450万円〜2,500万円:15万円

2,500万円〜:なし

 

②給与所得控除引き下げ

給与所得者に適用される給与所得控除は、基礎控除とは逆に最大10万円引き下げられます。

また、給与所得控除の上限金額が適用となるのも、現行の1,000万円から850万円に引き下げられます。

税制改正後の、給与収入金額と給与所得控除の関係は、以下の通りです。

 

〜162.5万円:55万円

162.5万円〜180万円:収入金額×40%ー10万円

180万円〜360万円:収入金額×30%+8万円

360万円〜660万円:収入金額×20%+44万円

660万〜850万円:収入金額×10%+110万円

850万円〜:195万円(上限)

 

(2)税制改正で税金は上がる?下がる?

今回の税制改正を大まかにまとめると、「年収850万円以上の人は増税・850万円以下の人は変わらない」と言えます。

年収850万円以下の方は、基礎控除額と給与所得控除額がそれぞれ±10万円のため、実質的には影響を受けません。

年収850万円以上の方は、基礎控除額と給与所得控除額の合計が改正前よりも少なくなるため、所得税が増税されます。

また、給与所得控除に関係がない自営業やフリーランスの方は、基礎控除額の引き上げのみが適用されるため、減税となります。

 

4.相続税の基礎控除の仕組み

所得税や住民税だけではなく、相続税にも基礎控除があります。

亡くなった人の財産を相続すると相続税が発生しますが、相続したのが一定の金額以下なら納税や申告が必要なくなるのです。

このボーダーラインを、相続税の基礎控除と言います。

相続税の基礎控除の計算方法は、以下の通りです。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。

内縁関係の配偶者や、義理の息子・娘といった関係の人は、実際に遺産を相続するとしても法定相続人には含まれません。

例えば、法定相続人の数が3人の場合、計算式は以下のようになります。

 

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

 

この場合、遺産の合計額が4,800万円以下なら相続税の申告・納税をする必要はありません。

また、遺産が4,800万円を超えている場合には、4,800万円を超えた金額にのみ相続税が課せられます。

 

5.まとめ

税制改正により、基礎控除は+10万円、給与所得控除は−10万円になります。

給与所得者で、年収850万円以下の方には影響がありませんが、年収850万円以上の方は増税、個人事業主やフリーランスの方は減税となります。

古殿
古殿
これにより、扶養控除や配偶者控除・配偶者特別控除の基準も変わるため、令和2年度分の確定申告には注意が必要です!

 

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2020/02/06 役員借入金とは?役員借入金を減らす6つの方法

役員借入金とは、役員から法人に貸し付けたお金のことをいいます。上手く利用すれば節税にもなる役員借入金ですが、その金額が膨らんでしまうと様々なデメリットが生じます。

 

今回は、役員借入金が増えてしまった場合のデメリットと、その解決方法を解説いたします。

古殿
古殿
役員借入金は、借入をするメリットとデメリットを踏まえて適切に利用する必要があります!

1.役員借入金とは?

役員借入金とは、会社の役員から会社に対して貸し付けているお金のことで、勘定科目では「役員借入金(負債)」と仕訳します。

逆に、役員が会社から借りているお金のことは役員貸付金と言い、勘定科目では「役員貸付金(資産)」となります。

 

 

役員借入金が発生するのは、主に以下のような場合です。

  • 会社の資本金が足りない時、役員のポケットマネーで立て替えた
  • 法人設立時の開業費等の費用

役員借入金のメリットは、金融機関や他社からの借入とは違い、返済期日や利息が自由に定められることです。

もちろん、いずれは返済する必要がありますが、経営状態に余裕のあるタイミングで都合よく返済することができます。

 

さらに、返済するときには当然会社から役員へお金を支払うことになりますが、これは報酬ではなく借入金の返済なので、税金や社会保険料がかかりません。

元本の返済ではなく、利息についても同様なので、役員は利息分については非課税の収入を得ることができるのです。

 

また、役員借入金の利用法として、借入金を増額することで資本金を3,000万円以下に抑え、中小企業向けの税制度を受けるという使い方もあります。

さらに、役員借入金の利息は経費にできるため、適正な利息を役員に支払うことで会社の経費を増やし、利益調整することもできます。

 

2.役員借入金が増えるとどうなる?

先に役員借入金のメリットをお伝えしましたが、一方で役員借入金が増えてしまうことによるデメリットもあります。

  • 取締役会の承認が必要に
  • 金融機関の印象悪化
  • 相続税の対象になる

 

以下の項目で、詳しく見ていきましょう。

 

(1)取締役会の承認が必要に

役員借入金には、金融機関からの借り入れのようなビジネスという側面がありません。

そのため、役員から会社にお金を貸す時には、無利子での賃借が認められています。

 

しかし、利益調整などの目的で利息を設定する場合には利益相反取引に該当するため、取締役会での承認が必要となります。

役員借入金の返済利息は、お金を貸す役員個人では決めることができないのです。

 

(2)金融機関の印象悪化

いくら身内からの借り入れであっても、役員借入金は決算書類上の負債に該当します。

また、役員借入金は法人の経営状況が健全であれば、そもそも発生させる必要がない項目なので、金融機関からの印象が悪くなります。

経営状態に問題がないのに役員借入金が多い企業は、役員個人のお金と会社のお金の区別がついていないルーズな会社と思われてしまいかねません。

古殿
古殿
先に解説したようなメリットがあるとはいえ、役員借入金は乱用するべきものではないのです。

 

(3)相続税の対象になる

会社にお金を貸している役員が亡くなった場合、役員借入金も相続税の課税対象です。相続人にとっては、会社に対する債権が相続財産になります。

 

もし、会社の業績が悪く、相続人に対して返済することができない場合も、相続放棄をしない限りは相続人が債権を引き継ぐことになります。そのため、相続人から見ると、戻ってくる見込みがないお金に対して相続税が生じる可能性があるのです。

役員借入金の金額が大きくなればなるほど、相続税負担も重くなります。

 

3.役員借入金を減らす6つの方法

それでは、上記のデメリットをなくすため、役員借入金を減らす方法を6つご紹介します。

 

(1)役員報酬を減額

役員借入金が増えてしまう原因として、会社の資本に対して役員報酬が高すぎるという問題が挙げられます。

過剰な節税対策で役員報酬の金額を上げすぎると会社に資本が残らず、役員が自分の報酬を役員借入金として会社に戻さざるを得なくなっているのです。

 

その場合には、役員報酬の金額を見直すことで負のスパイラルから抜け出すことができます。

役員借入金が膨らみすぎてしまった企業では、まず役員報酬の減額を考えてみましょう。

 

(2)債務免除する

会社にお金を貸した役員が債務免除をすれば、当然、役員借入金を減らすことができます。

 

ただし、債務免除された金額は「債務免除益」として利益に組み込まれ、法人税の課税対象となります。(消費税については課税売上とはならず、消費税の納税額が増えることはありません。)

また、財産の贈与とみなされて贈与税が発生する場合もあるので注意してください。

 

(3)後継者へ贈与する

役員借入金を後継者に贈与する「暦年贈与」という方法があります。

この方法は、役員が亡くなった場合を見越した相続税対策として使えます。

生前に贈与しておけば、贈与税の基礎控除額である110万円の範囲内であれば贈与税はかかりません。

相続税がネックになりそうな役員借入金は、万が一の事態が起こる前から計画的に減らしておくのが大切です。

古殿
古殿
また、役員が亡くなった時、相続税の税務調査に備えておくため、暦年贈与の際は必ず贈与契約書を作成しましょう。

 

(4)DES活用

DESは「Debt Equity Swap」の略です。

「債務と資本を交換する」という意味で、役員借入金を返済する代わりに、役員に会社の株式を発行します。

古殿
古殿
この方法を使うことで、実際に現金を動かすことなく役員借入金を減らすことが可能です!

 

(5)生命保険を活用する

生命保険の解約返戻金や死亡保険金を使って、役員借入金を減らすこともできます。

生命保険料を損金に計上しながら解約返戻金を簿外に貯めていき、その貯まった資金で役員に借入金を返済するという方法です。

ただし、解約返戻金には契約上もっとも得ができるタイミングがある(返戻率が年々推移するため。)ので、解約時期を決めて計画的に利用する必要があります。

 

(6)代物返済

代物返済とは、役員の承諾を得て現金以外のもので役員借入金を返済することです。

会社が保有している自己株式、不動産、在庫商品などで、役員借入金を相殺することができます。

 

ただし、会社と役員間の取引はルーズになりがちなので、税務調査などで代物返済にあてた物の時価総額などが問われる場合があります。

会社や役員にとって都合のいい取引ではなく、他者の目から見ても公正と思える取引で返済しなければいけません。

 

4.役員借入金は決算書でも工夫が必要

先にもお伝えしたように、役員借入金は仕訳では負債に組み込まれます。

身内からの借入金であっても借金は借金なので、決算書上で負債が多すぎるのは問題です。

金融機関や取引先からの印象を良くするためには、役員借入金の扱い方に工夫が必要です。

 

役員借入金は、返済利息だけではなく返済期間も自由に設定することができます。

ですから、役員借入金の返済期間はできるだけ1年以上の長期に定め、決算書上は「固定負債」に組み込まれるようにしましょう。

そうすることで流動負債を減らし、流動比率(流動資産÷流動負債)を良く見せることができるのです。

また、固定長期適合比率(固定資産÷(固定負債+自己資本))についても、流動比率と連動して良い値になります。

 

5.まとめ

役員借入金は、使い方によっては節税に役立つこともあります。

しかし、そもそも会社の経営状態が健全なら発生させる必要はなく、決算書上では負債となるため金融機関からの印象も悪くなります。

また、役員が亡くなった場合には相続税の対象となるため、あまり増やしすぎず、できるだけ早く返済していくのが理想です。

古殿
古殿
今回ご紹介した6つの方法を使って、役員借入金が増えすぎないように調整しましょう。

 

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